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2023年1月12日

就活の「主体性」と「自育力」を身につける「グローバル・キャリアデザイン」。第10セッションでは、千葉県でテーマパークを運営する株式会社オリエンタルランドで執行役員を務めた、永嶋悦子さんをお迎えしました!

グローバル・キャリアデザインでは、各分野から多彩な講師をお迎えし、キャリアや働くことの本質を探ります。第10回では、千葉県でテーマパークを運営する株式会社オリエンタルランドで執行役員を務めた永嶋さんがご登壇。2年前に退職した永嶋さんは、現在草津に拠点を移し、東京都競馬株式会社の社外取締役として精力的に活動中。最初は1人のキャストだったという永嶋さんのキャリアを通して、日本で初めてのテーマパークが世界に評価されるまでの貴重なストーリーを語っていただきました。

開園時のキャストとして

永嶋さんが株式会社オリエンタルランドに正社員として入社したのは、1982年。千葉県にテーマパークがオープンする1年前になります。
米国以外では初のテーマパークだったため、開演までの1年間は米国からやってきたキャストからトレーニングを受けました。まだ日本=敗戦国というイメージがあったためか、当初米国キャストは「日本人に何ができる」と日本人を馬鹿にしていましたが、教わったことをきっちりこなす日本人を目の当たりにし、1~2カ月後には「お前達、すごいな」と称賛のまなざしを向けるようになったそうです。

シアタータイプのアトラクションでコスチュームを着るキャストの1人だった永嶋さんは、9年間にわたり、施設責任者を務められました。

「20代は習い事や友人と遊ぶ時間がとれないほど忙しかったんですが、仕事は本当に楽しく、毎日充実していました。実は3回ほど救急車で運ばれたことがあります。倒れて初めて、自分の不調に気づくタイプでした(笑)」

管理職試験に合格後は様々な部署を経て、入社25年目に執行役員に就任

1990年代になると、修学旅行や卒業旅行でテーマパークを訪れる学生が増え、ここは楽しい思い出の象徴となっていきました。管理職試験に合格した永嶋さんは、営業部の課長代理として全国でセールス活動へ。
教育委員会や文化庁とつながり、社外の世界を知る貴重な機会となったそうです。

2000年代のテーマパークは、TVCMで「夢が叶う場所」を謳い、学生だけでなく大人も楽しめる場所に変化していきました。
コールセンターマネージャーとCS推進部部長を経た永嶋さんは、2007年にエンターテイメント本部長として執行役員に就任。2019年に理事に就任するまで、執行役員として様々な役割を果たしました。

2010年代に入ると、ゲストだけでなく夢を届ける側のキャストも楽しめる場所を目指します。
2011年3月11日に発生した東日本大震災では、千葉県にあるテーマパークも大きな影響を受けましたが、苦難を乗り越えキャストや会社が大きく成長できたと永嶋さんは当時を振り返ります。

「会社は休園中も社員に給与を保証していたんです。社員は待機中の時間を活用し、ゲストを快適にお迎えするトレーニングを重ね、役に立つ情報をみんなで共有しながら、再開に備えていました」

世界一といわれるキャストのホスピタリティに、マニュアルはない

千葉県にあるテーマパークのホスピタリティは世界一と称されますが、その背景にあるのはキャストの人間力だと永嶋さんは語ります。

「キャストが目指すべきゴールは、ゲストにハピネスをお届けすること。キャストの教育はここからスタートします。みなさん驚くかもしれませんが、そこにはマニュアルはないんです。ゲストに楽しんでもらうために必要なことをキャスト1人ひとりが考え、先輩や仲間と話し合って行動することで、あのホスピタリティが生み出されています。キャストが手を振るとゲストが喜んでくれた。背景にはこうしたフィードバックの共有と積み重ねがあるんです」

大きな責任感の中でも、仲間と仕事を心から楽しめた

終了後、学生から「なぜ倒れるまで仕事をしたんでしょうか」という問いに、「恥ずかしいことですが、私がいないとダメなんだと勝手に思い込んでいました」と答える永嶋さん。
最大400人ほどのキャストを束ねる立場は、大きな責任があったことでしょう。
責任感に押しつぶされることなく、なんでも話し合えて喧嘩もできる仲間と日々挑戦しながら仕事を楽しむことができた、当時の貴重な体験を語ってくださいました。

そこを訪れるゲストだけでなく、夢の世界を運営するキャストの心にもハピネスを届けることを目指す、株式会社オリエンタルランド。
永嶋さんと20年近いお付き合いになるという深澤教授は、
「ぜひ貴社に入社する学生が増えてほしいですね」
と締めくくりました。

深澤教授の話

永嶋様と初めてお会いしてから、やがて四半世紀になります。いつもアクティブで前向きな永嶋様から色々なことを学ばせていただきました。とりわけメンバー一人ひとりのことに気を配りながら、先頭に立って組織を牽引されるリーダーシップについては、私の目標でもありました。今回も、会社生活の中で経験された多くのエピソードから、働くことの楽しさもそして厳しさも教えて下さいました。学生にとっては、極めて貴重な時間になったと思います。この場を借りて、改めて感謝申し上げます。

2023年1月12日

キャリアや働くことを共に考え、議論する「グローバル・キャリアデザイン」。第9セッションでは、CEL英語ソリューションズ最高経営責任者の曽根さんをお迎えしました!

全学部の大学3年生を対象に、就職活動に向けて「主体性」と「自育力」を身につけるグローバル・キャリアデザインでは、各分野から多彩な講師をお迎えし、学生と共にキャリアや働くことの本質を探ります。第9回では「本物の英語力」を身につける英語学校、CEL英語ソリューションズ最高経営責任者の曽根さんがご登壇。学生時代は東大野球部でピッチャーを務め、野球を通じて深澤教授ともつながりがあったという曽根さん。ますますグローバル化が進む社会で、これからキャリアを形成していく学生たちが英語をどうとらえるべきか、大切なヒントを語ってくださいました。

グローバル人材として思い浮かぶ日本人とは?

実践女子大学には毎年講師として訪れている曽根さんが、学生に最初に投げかけたのは「グローバル人材とは?」という問いでした。4人ずつの6つのグループそれぞれが、グローバル人材として思い浮かぶ日本人を3名、壇上のホワイトボートに記入。そこにはイチロー選手、ZOZOTOWN前澤元社長、渡辺直美さんなど、たくさんの名前が挙がりました。

「これをみると、スポーツ選手、芸能人、政治家、経済人など、いろいろな方の名前があります。グローバル人材というのは、ただ単に英語を話すだけではないことがわかるでしょう」

続いて曽根さんは、以前グローバル・キャリアデザインに登壇した3名の講師(指揮者の櫻井先生、レゴの蓮沼先生、スタバの岩田先生)を挙げ、そこに共通するグローバル人材像を探ります。ホワイトボードにはチャレンジ精神、コミュニケーション力、リーダーシップなど、様々な言葉が並びました。

「みなさん素晴らしい観点を持っています。教科書で教わらなくとも、グローバル人材の本質をよく理解しています」

英語の表現は多彩。正解は決してひとつではない

続く授業では、少し視点を変えて英会話での表現へ。
劇場や映画館で「こちらの席、空いていますか?」を英語でどういうか、学生に投げかけました。
「英語にはいろいろな表現があるので、正解はひとつではありません」と励ます中、グループごとに様々な答えが発表されました。

「みなさん素晴らしい。すべて正解です!」と称える曽根さんは、
「4 words(Is this seat taken?)」
「2 words(May I?)」
という短い表現も紹介。さらに言葉を使わないジェスチャーがあることにも触れました。

日本語と同じように「コミュニケーションの道具」である英語は、正解がひとつではないことを曽根さんは強調しました。
英語は正確に話さなければならないと考える学生には、目から鱗だったのではないでしょうか。

英語は「勉強」ではなく「使ってみる」ことが上達への近道

英語の習得には、「英語の富士山」があると語る曽根さん。あたかも山を登るように3段階のフェーズを経て、レベルが向上していくようです。
曽根さんによれば、英語をビジネスでもある程度不自由なく使えるようになるには2000時間必要といわれますが、1日3時間であれば約2年で達成できます。

「実は英語というものは、勉強してはだめなんです。StudyではなくPlayする意識が大切です。みなさんが自転車に乗れるようになったときのことを思い出してみてください。頭であれこれ思い悩むのではなく、とにかく乗ってみたのでは。英語もこれと同様で、『使ってみる』ことが上達につながるんですよ」

美しい英語とは、高い人間性が生み出すもの

最後に「美しい英語とは」という問いを投げかけた曽根さんは、著名人の英語スピーチを例に挙げ、発音や文法の細部にこだわるよりも話す内容が大切だと語りました。

「老若男女、誰がいつ始めても習得できる英語は、ネイティブになる必要はありません。美しい英語とは、経験、知識、教養、人格を含めた高い人間性を持った人が使う英語のことをいいます」

授業のまとめとして、グローバル人材には
①高い専門能力、
②コミュニケーション能力、
③自分を説明する能力、
これら3つの総合力の強化が役に立つと語る曽根さん。

実践女子大学を牽引するトップランナーを育てるこの授業から、美しい英語を使いながら未来を創るグローバル人材が育っていくことを願います。

深澤教授の話

曽根様には、毎年、ご支援をいただいています。
これからの学生が活躍する社会では、どのような企業で、あるいは組織で活動していても、英語でのコミュニケーション能力は求められると考えます。
しかし、ネイティブな英語を話すことよりも、品格のある日本人としての英語が大切であることを、曽根様は学生に語り掛けて下さいます。
「Play English」楽しみながら話すことこそ、上達への道だと考えます。
この場を借りて、曽根様には心から感謝申し上げます。

2022年11月15日

「グローバルキャリアデザイン」の授業で連合の前事務局長の相原康伸氏が「公益」についての講演を行いました。

全学部を対象としたキャリア教育科目である「グローバルキャリアデザイン」(担当:文学部国文学科 深澤晶久教授)で、10月21日(金)に現ILEC(公益社団法人教育文化協会)理事長の相原康伸氏が講演を行いました。労働組合連合の役割や雇用の問題、国際社会での日本の在り方、多様性など幅広く「働くこと」を捉えなおす内容を伺い「公益のためにどう行動変容するか」を考えました。学生たちは、いま起こっていることを違う視点から見る大切さを学びました。

「公益」について考える

相原氏の話は「公益とはなにか」というところから始まりました。
あまり馴染みのない言葉のようですが、実は「皆さん、今日も実践しているんです」。それは、マスク。自分だけでなく他者の健康を守るために着けているマスクは公益にあたります。公益とは自分のみならず、他者や公の利益を考え、行動することです。
「今日一番のメッセージは、公益に対してどう行動を変容していくか」。
私たちが置かれている様々な社会の課題に対し、公益のために日々の行動をわずかにでも変えること。今回の講演のテーマが最初に語られました。

連合の役割とは

相原氏は日本労働組合総連合会(連合)の前事務局長でした。連合とは日本の労働組合の中央組織です。加盟組合員は約700万人。連合および労働組合の役割は、職場の声をまとめて企業に伝えること。企業は、労働組合が話し合いたいときは受けなければならないという法律があります。真正面から向き合って話す。労働者のことを考えた経営を行うように提言していく大事な役割です。

また「働くということは、いつもピカピカな状態じゃないんです」と相原氏。メンタルが弱ったり、人間関係に悩んだり労働条件に困ったり。これらを受け止めるのも連合の大切な役割です。連合には年間1万5千件から2万件の相談が寄せられます。コロナ禍になってから特に増えたのは、女性・フリーランス・非正規雇用の人々からの声。相原氏は「弱い立場の人たちにさらにしわが寄っている」と伝えました。

憲法第28条には労働三権があり、
働く上で尊重されてしかるべきことが定められています。
団結すること、
交渉すること、
行動すること。
これらは労働者がより良い仕事をする上での権利であり労働組合の根拠となる法律です。ただ、労働組合は企業との関係だけでなく「雇用されていない人、例えばフリーランスや未就業者も含めすべての人に利益があるように努めることが大事」と語ります。当事者だけでなく全員が利益につながるかを考える「ソーシャルダイアログ(社会対話)」を覚えていてほしいと相原氏はエピソードを交え、力を込めて語りました。

国際社会の問題に対しどう変容させるか

今の学生が社会に出るとき求められることは、創造性、今までとは違う視点を持つこと、他者とのコラボレーション能力などが挙げられます。さらに大事なことは「異文化の人たちに対する普遍的な敬愛が持てるかどうか」。グローバルな視点を持つことが求められています。現在、国際社会では貧困と分断が深刻で、日本は世界の中でもいち早く労働力人口が減少しています。多様性やジェンダーの問題も立ちはだかります。それらをどのように変容させるべきか、相原氏は課題を改めて確認していきました。

貧困の課題は、日本のひとり親世帯の問題も。ひとり親の子どもの大学進学率は59%。日本は大学卒業後、新卒一括採用のため初職決定率は9割と世界でも極めて高いですが、新卒で正社員になれないとあとで挽回が利かないとも取れる側面を相原氏は話します。
また、ジェンダーギャップについても問題提起。「特に政治・経済の分野で女性の進出が圧倒的に少ない」と言います。その例として「中学生の女子生徒会長は2割」という話が。「組織の上に立つのは男性という思い込みが社会変容を妨げているのではないか」と、この問題が根深いことを話されました。

行動変容するために

相原氏は、主要国のなかでも日本は若者世代の投票率が低いことにも触れました。日本は「シルバー民主主義」と呼ばれ、ボリュームが大きく投票率の高い高齢者に目掛けて政治をします。「皆さんが政治に参加する姿勢を期待したいと思います」と語りました。
そして、「未来を予測することはできないけれど、未来を予測するのに最も効果的なのは自ら行動すること」と言います。
「私たちがどのように行動するかによって、公益を資することができるかを考えてみてください」とメッセージを送りました。

授業の最後には学生たちからの感想も聞かれました。
「初職決定率の高さをいいものと考えていましたが、お話を伺って失敗すると挽回しにくいというリスクの面もあることにも気付きました」
と言った声や、
「ジェンダーギャップや選挙の話などいままで重要視していなかったけれど、将来や公益を考えることの大切さを知りました」
という感想が。
いままで当然だったものを、改めて見つめなおし問い直す姿勢を学びました。

深澤教授の話

相原様には、毎年この授業にお越しいただき、労働組合の役割のみならず、高い視座広い視点から世の中を見つめることの大切さを教えていただいています。刻々と変わる世の中で、時代を敏感に読み、その変化にどう対応していくかが、大学生の今後のキャリア形成に重要になると考えます。今年も、大変に貴重なお話しをいただきありがとうございました。心から感謝申し上げます。

2022年11月15日

多彩な講師の方々をお迎えした「女性とキャリア形成」。最終回は学生のアンケート結果に今注目されるデータサイエンスを活用し、6回の講義を振り返りました。

様々な分野で活躍している講師の方々をお招きした2022年共通教育科目「女性とキャリア形成」も、いよいよ最終回となりました。まとめの授業ではこれまでの6回の講義で学生のみなさんがどんなことを感じ、学んだのかをデータサイエンスの視点から分析しました。社会のあらゆる場面で情報のデジタル化が進む中で、データから何を読み取るかはますます重要になっています。授業の後に寄せられた学生の意見を統合し、それぞれの講義がみなさんの心にどのように刺さったのか、様々な側面から講義を振り返りました。

データを分析した数字だけでは、真のデータ活用とはいえない?

深澤教授の紹介で登壇したのは、VISITS Technologies株式会社の野村さんです。VISITS Technologies株式会社では、AIを活用したアンケートツール「VISITS forms」を提供しています。「VISITS forms」は、アンケートで寄せられた意見をAIがとりまとめ、傾向を可視化するツールです。これまでにトヨタ、パナソニック、住友商事などの大企業が社員から集めた意見をVISITS formsで分析し、業務改善や新たなミッションの策定につなげています。

データサイエンスの第一線にいる立場として、野村さんは語ります。

「みなさんが社会人になると遭遇すると思いますが、会社ではデータを分析し、結果の数字を発表して終わりというケースが少なくありません。数字をみるとなんとなくわかった気になりがちですが、その数字がいったい何なのか、数字が示す意味を掘り下げることが真のデータ活用なんです」

共感や納得を可視化することは、ビジネスや社会を動かす大きな武器になる

今回VISITS formsが分析したのは、アンケートで集まった学生達の意見に対する反響です。野村さんは総合点・新規性・有効性という3つの観点で反響が多かった学生の意見を9つ抽出し、匿名で紹介しました。全文を読み上げながら、どのポイントが支持を集めたのか、学生と一緒に探りました。

「注意したいのは、今回反響が多かった意見が正しいということではないということです。多様性を求める社会では、意見の多様性も大切です。いろいろな人がいて、いろいろな意見がある中で、そこから生まれる共感や納得を可視化することは、ビジネスや社会を動かす大きな武器になると思います。今回の授業を通じて、みなさんが他人との違いを知り、それをおもしろいと感じる学びになるとうれしいです」

授業の最後に、深澤教授のメッセージが詰まったカードのプレゼント

後半では、深澤教授から授業の振り返りがありました。
今年で2年目となった「女性とキャリア形成」で深澤教授が目指したことのひとつは、学生の1人ひとりが「6人の講義を自分のキャリアにどう活かすか」という視点を持つことでした。アンケート結果からも、気づきと学びに溢れた6回の講義は、さまざまなポイントで学生達の心を動かしたことがわかりました。

CUBEという4~5人のグループに分かれて進んだ授業は、学年や学科が異なる学生の間にコミュニケーションを増やしました。授業の進行も各CUBEの持ち回り制でしたが、どの会もしっかりと役割を果たしたことが、大きな拍手で称えられました。

授業の最後には、深澤教授から学生全員にハピネスカードの贈呈がありました。
カードの裏側には、

「実践女子大学で学んだ誇りを持ち、トップランナーとして活躍してほしい」

という教授の想いが込められたメッセージがいくつも書き込まれています。カードを受け取る学生達に、笑顔が浮かびました。

授業を通じて得た自信を、社会人としての活躍に役立ててほしい

今回「college student first」として、生徒の主体性と能動性を引き出すことを意識したという深澤教授は、6回の授業を見事にやりきった学生達を誇らしく語ります。

「今回は昨年よりも、さらに学生達が前のめりになってくれたと思います。今年から始めた試みである、講義を聞いた後に全メンバーをシャッフルして議論する『ワールドカフェ』という取り組みもよかったですね。他のCUBEで異なる意見に触れることで、同じ実践の大学生であっても、様々な意見があることに気づき、自分の意見を自由に言ってもいいという安心感や自信につながったようです。

講義にお招きした講師の方たちのように、学生達が社会で活躍しキャリアを積み重ねていくには、自己肯定感が必要です。今回の授業で得た様々な経験が、学生1人ひとりの自己肯定感を強くし、社会で勝負していく力につながっていってほしいと強く願っています。自分達で授業を創り上げたという自信が、リーダーシップのきっかけになってくれると嬉しいですね」

学年も学科も異なる学生が一堂に会し、ひとつのテーマについて語り合った「女性とキャリア形成」。貴重な講義と自由な議論の経験は、わくわくする未来を創る魅力的な人材を実践女子大学からたくさん送り出していくことでしょう。

2022年11月7日

「実践キャリアプランニング」の授業で実践女子大学OGの千葉美那弓氏が人生とお金の関わりを考える講演を行いました。

「実践キャリアプランニング」の授業で、10月14日(金)に実践女子大学OGの千葉美那弓氏が人生とお金の関わりや、ライフプランについての講演を行いました。専攻とはまったく異なる職種についた千葉氏は、人生を逆算して考える「ライフプラン」の大切さを伝えてくれました。

別ジャンルに飛び込み勉強の日々

今回の講師の千葉氏は実践女子OG。今年3月卒業したばかりの、学生たちに身近な先輩です。学部は日野キャンパスにある生活科学部食生活科学科。健康栄養を専攻していました。在学中に栄養士の資格が取得できる学科です。しかし、千葉氏が選んだ会社は証券会社。その理由は「栄養士の仕事は年を取ってからでもできるかなと思った」からだと言います。そのまま栄養士になることに疑問を持ち「お金の勉強をした方が、これからの人生に対して良いのではと思ったんです」と言います。インターンシップに積極的に参加し「様々な業界・企業の話をきいて、栄養士にならなきゃという固定観念を捨てられた」と話しました。

専攻と全く違う職種にあえて飛び込んだ千葉氏は、毎日勉強の日々。6時に起床し、経済ニュース番組を見ながら朝ご飯を食べたら出社。始業までの1時間でまた新聞やニュースを読み、その日の経済動向をチェックします。今の仕事は営業。研修を終え、7月にデビューしたばかりです。新しく資産運用をしたい方や、運用がしばらくない方にテレアポを取り訪問しています。

お金を考えるにはライフプランを考えよう

アイザワ証券は創業104年の老舗証券会社。17都府県48店舗展開しており、千葉氏は静岡県の三島支店に配属されています。証券会社とは株や証券などの金融商品を取り扱う会社です。お金は人生においてかかせないものです。お金と人生の関わりを考えるには、どんな人生を送りたいか考える「ライフデザイン」と人生の具体的な計画「ライフプラン」を決めることが大事だと言います。特に、人生の三大費用と呼ばれる「教育資金」「住宅購入費」「老後の費用」にどれくらいかかるのか考えるのに、ライフプランは大切です。三大費用は、合わせてなんと1億ほどかかると言われています。

今回の講義を聞く学生たちは2年生で、まだ人生に関わるお金をきちんと考えたことはないかもしれません。そこで、まず考えてほしいのが「家計管理」だと言います。自分の今の生活を営むための収入と支出を管理することで、きちんとお金の動きを把握することができます。また、お金の動きは収入と支出の他に、「貯蓄」が大事。お金が入ったら使う前に貯蓄に回す、先取貯蓄をしておくことが大事だと千葉氏は言います。

人生100年時代!お金に働いてもらう考え方

これからの日本は人生100年時代が到来し、2007年生まれの2人に1人は100歳になると言われています。そこで大切になってくるのは、お金を貯めるだけではなく「資産運用」です。超低金利時代の今、銀行の利子は0.001%。「この金利で、預けたお金を倍にするには何年かかると思いますか?」千葉氏の問いかけに、1,000年くらいという選択肢で手を挙げる学生が多い中、答えはなんと72,000年。気が遠くなる時間が必要なのです。預けているだけではお金は増えません。そこで資産を運用し、自分でお金を増やすことが求められています。

資産を使って株や債券を買うことを投資と言います。投資をすることはその企業の株を買うことで、自分のお金が直接企業のために使われるということになります。国の国債を買えばそのお金は公共サービスについて利用され、自分のお金が直接社会貢献に使われることが説明されました。

また、今注目されているのが「つみたてNISA」です。長期積み立て、分散投資が可能で20年間非課税のため資産運用の方法として国も推進しています。18歳以上が対象のため、学生たちも口座を作ることができます。「つみたてNISAをやっている人いますか?」と聞かれると、2、3名の学生が手を挙げました。学生たちがしっかり資産形成を考えていることに千葉氏も感心していました。

投資に「絶対」はない!

良いことに思われる投資ですが、リスクもあります。お金を運用することは必ず利益が得られるわけではありません。世界情勢や景気などにより損失が出ることも。金融商品は自分の意思で選ぶので、利益・損失は自己責任ということを覚えておかなければいけません。

投資は怖いイメージがあるのも確かです。投資詐欺が増えており、被害者の多くが20代30代の若い世代です。「「必ず」「絶対」という言葉に騙されず、自分でしっかりお金の流れを確認することが大事です」と千葉氏からの言葉がありました。

いろいろな企業の話を聞いて柔軟な考えを持とう

早めに就職先を決めて、4年生の間自由に過ごしたかったという千葉氏は、2年生の終わりからインターンシップの参加を申し込むなど積極的に就職活動を行いました。いつまでに何をしたいか逆算して考えることはライフプランと同じです。

また、就職した今だから思うこととして、「就職先は意外と決まります」と言います。「不安や焦りはあると思うけど、妥協せずあきらめずに就活に取り組んでほしいです」と、これから就活を迎える学生たちにエールを送りました。

2022年11月7日

「グローバルキャリアデザイン」の授業で元マイナビ専務・浜田憲尚氏が就職活動の本質に迫る講演を行いました。

現代生活学科の授業「グローバルキャリアデザイン」(担当:文学部国文学科 深澤晶久教授)で、10月14日(金)に元マイナビ専務の浜田憲尚氏による講演が行われました。これからまさに就職活動が控えている学生たちに、就職活動の本質やなぜ働くのかなど、全体を俯瞰する視点の大切さを語って下さいました。

偶然出会った自分が打ち込める仕事

マイナビのロゴは、「M」の字をウェーブに見立てた一人の人生を描いているといいます。一人ひとりの可能性と向き合い、成長させる「きっかけ」でありたいというのが企業理念です。マイナビは1973年設立。現在全国70か所、海外8拠点を持つ大きな企業です。「マイナビという会社は、一言でいえば皆さんと企業をつなげる仕事をしています」と浜田氏。アルバイトからフリーランス、アスリートたちの支援やウェディング事業まで幅広く扱っています。新卒生が企業に就職することももちろんそのひとつ。「日本は新卒一括採用のため、たくさんの企業が待ち構えています。活かさない手はない」と力強く仰いました。

それから浜田氏の異例の入社の経緯を教えてくれました。大学で哲学を専攻していた浜田氏は院へ進みたかったのですが、親に説得され就職することに。就職活動に乗り気でなかったため、偶然DMを見たマイナビの面接に応募。当日向かってみると誰もいません。開始時間と終了時間を間違えていたのです。そこにいたある社員の方が気にかけてくれ、少し話すと「今度会おう」と時間と場所を指定されました。後日行ってみると、なんとそれは最終面接。話した社員の方は当時の人事部長だったというのです。

そのままマイナビに入社し、営業を経て、京都拠点の立ち上げや新卒向けの就職情報サービス開発に携わり、常任理事顧問に。まさにマイナビをNo.1就職情報サービス会社に育てた第一人者です。昨年退社し、現在はマイナビの海外展開の事業サポートをなさっています。「就職活動せずに入社した僕が就職を語るのも変な話なのですが」と前置きしつつ、長く勤めた理由を「打ち込める仕事に出会ったから」だと話します。会社が大切に育ててくれ、若くても仕事を任せてもらえたことや、自分たちでサービスを作り利益を得る楽しみ、クライアントの期待。そして人や企業の運命を左右する仕事であるという責任感があったからだと言います。

就職活動の前に考えてほしいこと

今回の講義を聞くのは就職活動前の3年生。今の心境は?と浜田氏に問われ、不安な心境を打ち明けました。「採用してくれる企業があるだろうか」「今の段階であまり動けていない」「行きたい会社が見つかるか…」わくわくしている学生たちは少ないようです。そこで浜田氏は「なぜ働くのか」ともう一つの問いかけをしました。「まずはお金を稼ぎたいから」「働いていない自分は想像つかないから」と、学生たちから回答が。では、自分にとってベストな就職には何が重要か、再度浜田氏は問いかけます。学生からは「自分の希望する職につくこと」「自分が大切にしていることを大事にしてくれる環境」などの回答が出ました。

浜田氏は「働くことは糧(かて)を得ること」と言います。そして「どんな職につき、糧を得るかは方法論です」と続けました。また人生で最も悲しいことは、何のために生きているのか分からないことだと言い、反対に存在価値が認められると自分に意味があると思えると話します。これらは生きがいや仕事のやりがいにつながることです。人は必要とされている、自分が活かされていると感じるとそこで働く意味があると思います。「人は誰しもいきいきと働くべき」と浜田氏は続けます。そのためにはそもそもどう生きたいか、自分を見つめることが大事です。就職すること自体を目的にせず、「なぜ働くのか」を考えることが大切だと語りました。

企業と学生、お互いがベストな就職を目指して

そして「皆さんがいきいきと働くことは企業にとっても良いこと」と浜田氏。企業とは、物やサービスなど「価値」を提供して対価をもらいます。その企業の価値を最大化するものが「人材」です。自分の力を活かして活躍すれば、企業の価値も上がっていくということ。そのため、企業側も「ベストな就職」を求めています。マイナビは企業と学生両者にとってベストな就職をする手助けをしています。質の高い情報や、たくさんの選択肢を提供し、精度の高いマッチングを目指しています。

最後に、学生たちに向けこれからの就職活動についてアドバイス。現在の採用基準は「量より質」。人数を採りたい時でも、基準を下げてまで採用する企業は少ないと言います。そのためインターンシップなど、早めの企業研究をしてほしいと助言しました。また「これまで、学生さんたちのたくさんの意見や期待をもらってマイナビも成長しました。もっといいサービスにしていきたいので、積極的に利用して頑張ってください」と応援しました。

縁がつながり就職先に!OGも応援

「深澤教授が資生堂在籍時に人事で関わったときのご縁で、年に1回学生たちの前で話す機会をいただきました」と浜田さん。
縁はさらに続き、なんとこの授業がきっかけで、2名の学生がマイナビに入社しています。
OGである中島さんと渡辺さんも最後に挨拶されました。
「この授業でマイナビに興味を持ち入社しました」
「自分たちも就活のとき先輩にいろいろ話を聞いてもらいました。良かったら相談してください」
と先輩らしい優しい言葉も。
就活に対し不安もある学生たちですが、将来のことを考える良い機会となりました。

深澤教授の話

マイナビの浜田様とは、もう15年来、私の企業人事時代から大変にお世話になっています。
そして毎年この授業にお越しいただいていますが、ご自身の就職活動を含めたキャリアの興味深いエピソードや、マイナビという会社の社会的意義など、学生にとっては、毎年、本当に多くの学びの機会をいただいています。
“就活の本質”という、浜田様でしかお聞き出来ない内容であり、これから就職活動に臨む学生にとって、貴重な時間となりました。
浜田様にはこの場を借りて、厚く御礼申し上げます。

2022年9月14日

「キャリアデザイン」の授業で東京ディズニーリゾートの課題『ワンハンドメニュー開発』の最終プレゼンが行われました。

2022年度の共通教育科目「キャリアデザイン」(担当:文学部国文学科 深澤晶久教授)で、7月5日(火)に東京ディズニーリゾートの運営を行う株式会社オリエンタルランドとのコラボ授業が行われました。6月14日に行われたオリエンテーションで出された課題「東京ディズニーリゾートのワンハンドメニューを考える」についての最終プレゼンテーションです。プレゼン時間は5分。同社のフード本部フード統括部長である横山政司氏の前で、全9班がそれぞれ楽しいメニューを考え、レベルの高いプレゼンを行いました。

ディズニーフードにもヘルシー路線を

ディズニーキャラクターの名前を付けた各班が、順番に発表していきました。最初の班は「ダッフィー」。長く愛され、ファミリー層が楽しめるワンハンドフードを考えました。ワンハンドフードはターキーレッグなど肉系が多いことから、ヘルシーで手軽に食べられる「フィッシュケーキ(さつま揚げ)」を提案。ニモのアトラクション近くで販売します。デザートは「マラサダ」という揚げドーナツ。バリエーションも豊富に作れ、中にジャムを入れたり、おかず系のものを入れればお惣菜にもなるという優れものです。

ヘルシーに注目したのは「プーさん」チームも。食べ歩きもでき、カロリーを抑えた女性向けのフードとして「生春巻き」を提案。海老入りということで、リトルマーメイドのエリアで販売します。デザートはミッキー型のマカロン。ランチボックスに入れて提供し、箱の底にメッセージやキャラクターを印刷し、食べ終わった後も楽しんでもらえる工夫をしました。

「ティンカーベル」チームは、東京ディズニーシーにオープンする予定の新エリアに合ったフードを考えました。ピーターパンがモチーフの新エリアに、ティンカーベルのお団子ヘアをモチーフにした「たこ焼き」を提案。デザートはラプンツェルの三つ編みをイメージした「ワッフル」です。棒に刺して提供し、棒にはキャラクターの名言などがおみくじのように楽しめる非日常性を入れました。

ワンハンドフードもインスタ映え!

「ドナルド」チームは手で持って可愛い写真を撮れるデザートとして、ダッフィー&フレンズの「フィナンシェ」を考えました。キャラクターの形のフィナンシェに手持ちの棒がついており、顔の近くに持って自撮りすると可愛い写真が撮れるものを提案しました。フードは食べ歩きの定番「コロッケ」。ミスターポテトヘッドのパーツを印刷した包装に入れると、キャラクターになる工夫をしています。料金設定も原価率まで計算し利益を出し設定しました。

「ミッキー」チームは虹色チーズが入った「チーズドッグ」です。空をモチーフにしたアトラクションのソアリン付近で販売します。ソアリンの近くにはワンハンドメニューが少ないこともリサーチしました。デザートはダッフィー&フレンズの「トゥンカロン」。ぬいぐるみを持って来園するゲストをターゲットに、各キャラクターをデザインした大き目のマカロンを販売し、写真映えを狙います。

「デイジー」チームのフードは、ファミリー層でもシェアしやすい「チーズ入りじゃがいももち」を提案しました。デザートはミニーマウスの「いちご串」です。いちごとおまんじゅうと、ミニーの顔の形をしたカステラを串に刺して提供します。ピンク色をした可愛らしい見た目で、こちらも写真映えする見た目を重視しています。

白雪姫のリンゴのデザートは3班がアイディアを考案

人気のあったモチーフは白雪姫の毒リンゴでした。「クイーングリムヒルド」チームは白雪姫のような体験ができるデザート「カップケーキ」を提案しました。リンゴの形をしたカップケーキにゼリーを添え、毒リンゴを食べてしまった白雪姫のように思わず口に入れたくなるデザートです。フードは「ガレット」を提案。フランスの料理、じゃがいものガレットを、フランスが舞台の美女と野獣のエリアで販売します。

チーム「ジミニークリケット」はテニスボールサイズの「ドーナツ」にアイシングを施し、リンゴ型にしたデザートを考えました。ヘタの部分がフォークになっており、刺したままりんご飴のように食べ歩きを楽しめます。フードは「小籠包」。ワンハンドフードでは珍しい中華系で、見た目の似たベイマックスをイメージした包装で提供します。

「ミニー」チームも毒リンゴをモチーフにした「ドーナツ」を提案しました。カスタードクリームを中に仕込んでいます。提供する箱に凝り、蓋が魔女の手のように見えるデザインを考えました。フードはミッキーが被る帽子の形をした「ブリトー」を考案。食べ歩きにも適した形で、ファンタジーを楽しんでもらえる工夫をしました。

配送や盛り付け、価格帯をどうする?

どの班も、工場で製造し冷凍、販売店で解凍して提供する過程を考えました。違いが出たのは、解凍してからどのような盛り付けをして提供するか、価格帯をどうするか。横山氏からのフィードバックもこの点への確認が多くありました。

価格帯については、「もう少し上げてもいいのではないか」や「価格の根拠がもう少しあれば」など経営目線からの意見も。提供方法に関しても、「ランチボックスだと配送時にかさばるのでは」や揚げドーナツには「店で揚げるのは手間なので、温めて提供できると良いですね」といった、学生たちにもう一歩踏み込んだ提案を求めました。

ただ、包装やデザインに対してはたくさんの誉め言葉が。「デザインが可愛い」「インスタ映え間違いなしですね」など感嘆の声が聞かれました。それぞれの班の工夫にも「親子でシェアできるイメージができる」「パッケージデザインに話題性がある」と細かいところまで評価をいただきました。

本格的なプレゼンは良い経験に!

全体の総括として、横山氏から「一次提案からフィードバックを経て最終提案まで、どのチームもブラッシュされている」との言葉が。「どのチームも頑張ったのが伝わってきました」と学生たちの頑張りをねぎらい、「本格的なプレゼンを経験したことはきっとプラスになる、自信を持ってください」と学生たちにエールを送りました。

最後に横山氏が選んだオリエンタルランド賞の表彰が行われました。選ばれたのは「ドナルド」チーム。特別賞に「プーさん」チームが選ばれ、賞品をいただきました。最後に全員で写真を撮り、和やかに授業は終了しました。

深澤教授の話

本年度も、オリエンタルランド横山様のご支援をいただき、コラボ講座を実施することが出来ました。学生にとっては、とても身近なテーマでありますが、横山様からいただいたお題は、とてもレベルの高い内容、しかも、中間提案の際にまでフィードバックをいただけるという、実際の企業での仕事さながらの経験をさせていただきました。学生たちは、アイデア出しだけでは進まないお題に奮闘しながらも、とてもポジティブに取り組んでくれました。横山様には、この場を借りて、改めて心より感謝申し上げます。ありがとうございました。

2022年9月5日

ビジネスホテル「ドーミーイン」の女子大生の認知度を上げる施策をプレゼンする授業が日野キャンパスにて行われました

7月5日(火)に高橋裕樹徳仁教授による株式会社共立メンテナンスとの連携授業が日野キャンパスで行われました。この日は最終プレゼンテーション。学生たちは中間発表を経て、現状分析やスライド作成など準備を重ねてきました。課題は、共立メンテナンスのビジネスホテル「ドーミーインの女子大生の認知度を上げる施策を考えよ!」。共立メンテナンスの人事担当の前で発表します。

SNSを活用してドーミーインのイメージと認知度アップ!

最初の班は、まず丁寧な現状分析から発表を始めました。特に社会人が出張で利用することが多いビジネスホテルですが、なぜ女子大生の認知度は低いのかを分析。女子大生がホテルを知るきっかけは、CMやSNSで見かけることが挙げられました。さらにホテルを検索するときは、旅行サイトに次いでSNSが利用されていることが分かりました。ドーミーインのインスタグラムの公式アカウントはおしゃれで魅力的な投稿が多いですが、フォロワーが少なく、女子大生が好みそうなハッシュタグを使っていません。ドーミーインはSNSをうまく活用しきれてないのではという仮説を立てました。そこでインスタグラムで投稿動画大会の開催を提案。ドーミーインで撮影した様子を「#ホテル女子会」など女子大生に見られやすいハッシュタグと、「#ドーミーinStory」などオリジナルハッシュタグも付けて投稿します。いいね数で競い、上位の投稿者にはホテルの宿泊券をプレゼントする案を考えました。これにより女子大生に見てもらえるように働きかけるという案です。

状況分析した結果、何を一番伝えたいのか

発表を終えて、学生たちからは「女子大生と言われても幅広いので、どこに焦点を当てるかが難しかった」や「アンケートを取ると意外な回答結果もあり、現状分析をしないと分からないことがあった」などと感想が。
共立メンテナンスのお二人からもフィードバックもいただきました。橋本氏は「アンケート結果が意外なもので、実際の女子大生の生の声を反映してもらえて気付きになりました」と感想を述べました。そのうえで、「女子大生に見てもらえるドーミーインならではの投稿内容も考えてほしい」と助言も。船木氏からは「一番伝えたい部分はなにか精査して、情報の取捨選択をしましょう」と発表の仕方についてのアドバイスがありました。

バースディキャンペーンでドーミーインを知ってもらおう!

次の班は、ドーミーインで誕生日会を行ってもらうバースディプランを提案しました。ドーミーインの項目別満足度では、清潔さや部屋の設備など女性がホテルに求めるニーズと重なっていることが分かります。ただ女子大生がビジネスホテルを利用する頻度は少なく、ホカンスや誕生日会など特別な日の利用が多いことに注目。そこで、アメニティを充実し、インスタ映えする女性向けのプランを作ることで利用してもらえる案を考えました。ブランドのスキンケアやボディケア用品などアメニティを充実させ、ルームミストやインスタ映えする館内着やマグカップなどを用意。さらにケーキやバルーン、チェキやプロジェクターなどを利用できる誕生日会プランを用意します。さらに、インスタグラムでキャンペーンをしてプロモーション。ドーミーインに宿泊せずとも誕生日関連のハッシュタグを付けるとキャンペーンに参加でき、抽選で宿泊が当たるシステムにします。これは競合他社も行っているキャンペーン方法で、ドーミーインはキャンペーンに取り組んでいないことを指摘しました。キャンペーンを行うことで、女子大生に注目してもらえると考えました。

さらにブラッシュアップしてより高度なプレゼンを

発表を終えての感想は、「現状分析が初めてでスライドにまとめるまで大変だったけれど、いい経験になった」という人や、「自分たちのことだから簡単だと思ったが、女子大生の認知を上げるのは思っていたよりも難しかった」など素直な思いが聞かれました。 共立メンテナンスのお二人からのフィードバックも、「他社の事例も調べられていて具体的でよかった」「パワーポイントも、デザインも可愛く見やすかった」とお褒めの言葉を頂きました。ただ、キャンペーンの広め方や「ドーミーインの強みである温泉や食事ではなく、弱い部分を強くするという理由付けがほしい」など、あと一歩深められればより高度なプレゼンになる助言をくださいました。

たくさんの会社を知れる就活を楽しんで

最後の総括では、3年生のこれからの就活についての話も飛び出しました。「インターンシップなど今年は去年に比べて学生の動きが速い」と言います。ただ「息切れしないように焦らず、早めに準備をしましょう」とアドバイスが。そして「日本では新卒一括採用のシステムです」と話されました。中途採用は大手会社では、書類も見てもらえないことが多いですが、新卒は大手も関係なく、話を聞き面接を受けることができると言います。「新卒のときが一番いろんな会社と接点を持てます。臆せずどんどん会社を見て回ってください」と続けました。するとだんだんと働く上で自分のやりたいことや大切にしたいことが見えてくると言います。「今回のプレゼンを見て、この発表ができるならどんな会社や面接にいっても身になって返ってくると思いました。就活は準備も大変ですが、準備から楽しくやっていればきっと良い結果になります」とエールを送りました。

高橋特任教授からのメッセージ

今回の授業は実際に企業様(株式会社共立メンテナンス)のご協力をいただき、グループで議論し、中間報告から最終的に企業様にプレゼンテーションを実施する課題解決型の授業を行いました。
共立メンテナンス様からのお題は「ドーミーインの女子大学生の認知度を上げる施策を考えよ!」でした。
今回の授業では全国にビジネスホテルを展開する「ドーミーイン」の認知度を上げることができるのか?同時に共立メンテナンス様の事業内容の理解、ビジネスホテルの理解、女子学生の消費者行動などの現状分析を行い、解決に向けて自分たちができることを考え、企業、業界理解、マーケティング的思考を深める事ができました。ビジネスホテルの特徴や、なぜ女子学生の認知度が低いのかなどグループで議論し課題を発見し、新しい宿泊サービスを企画提案できた事は学生にとって貴重な体験となりました。この授業をきっかけに学生自身も社会人として必要なスキルや取組姿勢など多くの学びがあったと思います。共立メンテナンス様、船木様、橋本様、本当にありがとうございました。

2022年7月5日

「キャリアデザイン」の授業で東京ディズニーリゾートのフードメニューを考える夢の課題が出されました。

2022年度の共通教育科目「キャリアデザイン」(担当:文学部国文学科 深澤晶久教授)で、東京ディズニーリゾートの運営を行う株式会社オリエンタルランドによる夢の授業が実現しました。6月14日(火)、同社のフード本部フード統括部長である横山政司氏が講師として登壇され、東京ディズニーリゾートのフードメニューを考える課題が出されました。学生たちはオリエンタルランドの新入社員として案を考え、7月5日(火)のプレゼンテーションに臨みます。

夢と魔法の国を運営する原動力は「人を笑顔にする」ということ

株式会社オリエンタルランド
フード本部フード統括部長横山政司氏

授業は「東京ディズニーランドに行ったことありますか?」という質問から始まりました。「東京ディズニーランドに行ったことがある」は生徒のほとんどが、東京ディズニーシーでも8割程度が手を挙げました。「これだけたくさんの方に来ていただいているのはテンションが上がりますね」と、横山氏は笑いを交えて講演を始めました。

横山氏は学生時代、小学校の教員を目指していました。しかし、大学のサークルでイベントの企画に携わり「人を笑顔にする仕事」の楽しさを知り進路を変更。1991年にオリエンタルランドに入社します。最初はアトラクションの運営部に配属され経理部やテーマパーク戦略部、人事部の人事部長を歴任し、2020年にフード本部のフード統括部長に就任しました。

横山氏は、思い出深いエピソードとしてテーマパーク戦略部のときのことを話してくれました。来園者数が伸び悩んでいた時期、案を求められ、いいアイディアと思って出した戦略を「お前はなにも分かっていない」と一蹴されたと言うのです。それまで経理部にいた横山氏は、投資家の意見や経営面からしか戦略を考えておらず、ゲスト(お客様)や現場の声に耳を傾けていなかったことに気付かされたと言います。その後、一からゲストが本当に求めていることを調査して、入園者増加に結び付けました。

創業からパーク開園まで23年!オリエンタルランドの歴史

オリエンタルランドの企業理念は「自由でみずみずしい発想を原動力に素晴らしい夢・感動・喜び・やすらぎを提供する」というもの。オリエンタルランドは1960年に京成電鉄本社の一角に生まれました。浦安沖を埋め立て、一大レジャーランドの建設を目的に設立されました。創業者はアメリカ・カリフォルニアのディズニーランドに行ったときにその素晴らしさに感動し、是非ディズニーランドを日本の子供たちにも体験させてあげたいと考えたのです。

当時の浦安は漁業が盛ん。まずは漁師の方々への交渉から始まり、1964年に埋め立てがスタートします。1970年に埋め立ては完了。1974年からディズニー社と交渉を開始、1979年に契約が成立します。そこから建設が始まり、1983年に東京ディズニーランドは、アメリカ以外にできた初のディズニー施設としてオープンしました。創業から23年目のことでした。そこからオリエンタルランドは急成長を続け、1996年には新エリア「トゥーンタウン」がオープンし、2001年には東京ディズニーシーが開園しました。さらに去年東京ディズニーランドに新エリアがオープンし、東京ディズニーシーもエリア拡大の予定が控えています。

フード本部ってどんなことをする仕事?

横山氏は現在フード本部のフード統括部長をされています。フード本部では、園内のレストランやカフェなど食事に関するすべてを取り仕切っています。計画を立て、メニューを開発し、生産や仕入れをして調理し、ゲストに提供するまでが主な工程ですが、衛生や設備の管理、人材育成やプロモーションも仕事に入ります。特に衛生管理は徹底されており、開業から一度も食中毒は起きていません。またメニュー開発も、総料理長にパリの有名なコンクールで2位を受賞した指折りのフレンチシェフを起用するなど力を入れています。最近では有名パティシエのサダハルアオキとのコラボメニューも販売し話題となりました。

オリエンタルランドの資金サイクルはとてもシンプルで、売上から費用を引いた利益が、そのまま次の施設やイベントの開発など投資に回っていると言います。さらに充実した施設やサービスのためには、客単価を上げることが大事になります。フード本部では、アイドルタイムと呼ばれる14~17時台の底上げが課題の1つ。その解決策が、園内を周りながら気軽に食べ歩きのできる「ワンハンドメニュー」の開発です。

フード本部の新入社員となって「新しいワンハンドメニュー」を提案しよう!

いよいよ課題が発表されました。「みなさんはオリエンタルランドのフード本部の新入社員です」と横山氏。アイドルタイムの売上を底上げできる、新しいワンハンドメニューを開発する、という課題が与えられました。フードとデザートの2つを考え、それぞれ販売店舗と価格も設定します。条件は3つ。できるだけ調理に手間をかけないこと、施設やコンセプトに合った付加価値をつけること、できたら提供する容器などに工夫をしてみること。

労働人口の減少やコロナ禍の影響もあり、少ない労働力で魅力的なメニューを提供できることは重要になってきています。また、園内はエリアごとにそれぞれコンセプトがあります。そのコンセプトに違和感がないメニューを考えることも大切です。そして近年の原価高騰により、食材の値段は上がっています。利益を取れる価格設定が大事ですが、ゲストに「高い」と思われてはそもそも買ってもらえません。そのために付加価値を高め、価格に反映できるメニューを考える必要があります。

難しい課題ですが、憧れの東京ディズニーリゾートのメニューを考えられるとあって、学生たちもやる気充分。すぐに活発にグループで相談を始めていました。学生たちは2回のグループワークを経て、7月5日に最終プレゼンテーションを迎えます。横山氏は「良い提案があれば本当に商品化も考えています。感動する提案を待っています」と学生たちの企画に期待を寄せました。

深澤教授の話

横山様には、毎年、この授業において、様々な角度からのお題を提示いただいています。就職活動を直前に控えた学生たちにとっては、まさに企業研究&インターンシップトレーニングが経験できる貴重な機会となっています。学生には最も身近と言えるオリエンタルランド様、しかし、そのお題は、極めてリアリティに溢れ、しかも難易度の高い内容となっています。毎年、横山様は、“本気モード”で進めて下さっており、授業のためのテーマではなく、オリエンタルランド様が日頃の事業課題として挑戦されているものを提示いただいています。横山様の毎年のお力添えに対し、心から感謝申し上げます。

(文学部国文学科 深澤晶久)

2022年6月28日

「未来フォーラム」のメンバーと学生たちでグループ対話をする特別コラボ授業が行われました

2022年度の共通教育科目「キャリアデザイン(担当:文学部国文学科 深澤晶久教授)」は「今、社会や企業が求める人材とは」をテーマに、キャリア形成を学ぶ授業です。企業のトップから直接講演を聞ける機会があり人気の授業。今回は「未来フォーラム」のメンバーの皆さんと学生たちのグループ対話が実施されました。未来フォーラムは様々な業種の労働組合の集まりで、11企業から組合のリーダーたちが参加してくださいました。学生たちは、各企業から、働く意義ややりがいなどを直接伺える貴重な機会となりました。

労組組合の集まり「未来フォーラム」との特別コラボレーション授業

いつもと違い机を動かして班が作られた教室で授業が始まりました。11の班には各企業の労働組合のメンバーが着席しています。始めに、代表幹事を務めるセイコーエプソン労働組合の品川執行委員長から「未来フォーラム」について紹介がありました。未来フォーラムとは、業種の枠を超え「人のために、社会のために、未来のために」という理念に共感する労働組合の集まりです。

労働組合とは、かつては従業員が団結してストなどを起こし、会社と対峙し改善要求する団体というイメージでした。しかし現在では会社の存続、発展が従業員の生活に影響する、ということを重視しています。皆が生き生きとより良い人生を送るために、より良い社会を実現するという理念のもと、労働組合はあります。未来フォーラムには現在26の労働組合が参加しています。この日はそのうち11の企業の労働組合のメンバーが訪れました。

学生たちはこの日に備え名刺を作って質問を考え準備をしてきました。企業ごと11班に分かれ、1回15分ずつ、名刺交換から始まり、質疑応答を行います。テーマは「仕事のやりがい」と「働く意義とリアル」。仕事に対する本音を率直に聞けるまたとない機会です。時間ごとにローテーションし、計4回班を回り、企業と対話が行われました。

なぜその企業を選んだの?

学生から多くあった質問は「なぜこの会社を選んだのか」ということ。給湯器の企業株式会社ノーリツでは「機械が好きだったからという理由が最初」という方が。しかしそのあと「お風呂は人を幸せにする」という企業理念に共感していったと言います。
富士フイルムビジネスイノベーション株式会社では「入社の決め手は良い人が多いからという人が多い」との回答が。良い人が集まる会社であれば居心地がよく、自分も成長できると思ったということでした。 株式会社ツムラの方は「健康とはワークライフバランスを考える」という理念にも共感したと話しました。

どんなときにやりがいを感じる?

アルプスアルパイン株式会社の方は「自分の作った製品が使われていることに喜びややりがいを感じる」と言います。トイレなどの製造販売会社TOTO株式会社の方は、当時は少なかったユニバーサルデザインに力をいれていることに魅力を感じたと言います。「障害者の方の生活を支えているのだと実感しました」と話してくれました。

仕事のリアル…難しいことは?

仕事の難しさを隠さず教えてくれる方も。近畿日本ツーリストではコロナで旅行業界が打撃を受けたとき、従業員の早期退職を募ったエピソードを話してくれました。「労働組合として仲間たちを守れず辛かった」と伝えてくれました。また、現在「ワーケーション」が話題になっていますが、企業としてはなかなか進まないと言います。

どうやって企業を選べばいい?

就活へのアドバイスとして、自己分析が大事だという企業も複数ありました。丸井グループの方は「幅広く手掛けている会社なので自分の好きなこと、得意なことを仕事にできる」と思い入社したといいます。そのためにも自分の特徴や何が得意かを知っておくことの大事さを強調されました。
システム会社であるBIPROGY株式会社では、システム作りというよりお客様とどういうシステムにするかのやりとりがメインなので「システム会社でも理系より文系の人の方が求められる」と言った目から鱗の情報も。文系だからと諦めずに気になった企業にチャレンジするエールにもなりました。
株式会社ヤナセでは、「仕事は手段です、では目的はなにかを考えましょう」という話が。「なぜ働くのか」を考えることの大事さを話していました。セイコーエプソン株式会社では、言われたことだけをこなすのではなく、自分で考えて行動することの大切さを伝えました。「自分がどんなことが好きか知っておき、気になったことにチャレンジしてください」とエールを送っていました。

 「自分で選んで決めること」が大事

あっという間に時間は過ぎグループ対話は終了。最後に品川委員長からコメントをいただきました。「就職活動はどこを選ぶか、何を選ぶか不安かと思いますが、必ずベストを選ばなくてはいけないのではありません。自分で決めたという事実が大事。正しい正しくないにとらわれず、選択することを恐れずに決断してください」と語りました。

最後に学生たちからの感想も聞かれました。「素朴な疑問にも真剣に答えてくれて嬉しかった。就活は不安で一杯だが、頑張ろうと思えた」という学生や「この業界で行こうと決めていたつもりだが、今日の話を聞いて、魅力的な業界がたくさんあってまた迷ってきた」という学生も。学生たちにとって様々な刺激となったようでした。最後は全員で写真を撮り、なごやかに終了しました。

深澤教授からのメッセージ

私自身が企業時代に労働組合の中央執行委員長を務めていたご縁から、毎年未来フォーラム様にお世話になり、このような機会をいただいています。まさにこれから就職活動が始まる3年を主体とした当科目の履修学生にとっては、企業を知るとともに、「働きがい」や「やりがい」などを社員の方から直接お聞き出来る絶好のチャンスとなり、学生の真剣な姿が印象的でした。学生の中には、授業終了後、渋谷までの帰り道でも、お声をかけていただき、授業の延長戦を続けていただいた労組さんもいらっしゃったとのこと、そのお気遣いに感動いたしました。
何よりお越しいただいた方が皆さん労働組合の幹部の方々、誰よりも会社のことを知り、会社のことを考え、働く従業員のことを日々考え続けているメンバー、熱気が溢れており、教室の空気が今までと違う雰囲気でもありました。学生たちが、働くことをポジティブに捉え、今日お越しいただいた未来フォーラムの皆さんのように、企業を牽引する存在になって欲しいと願います。未来フォーラムの皆様、本当にありがとうございました。