社会連携プログラム
SOCIAL COOPERATION PROGRAM
TOPICS
2022年11月15日

「グローバルキャリアデザイン」の授業で連合の前事務局長の相原康伸氏が「公益」についての講演を行いました。

全学部を対象としたキャリア教育科目である「グローバルキャリアデザイン」(担当:文学部国文学科 深澤晶久教授)で、10月21日(金)に現ILEC(公益社団法人教育文化協会)理事長の相原康伸氏が講演を行いました。労働組合連合の役割や雇用の問題、国際社会での日本の在り方、多様性など幅広く「働くこと」を捉えなおす内容を伺い「公益のためにどう行動変容するか」を考えました。学生たちは、いま起こっていることを違う視点から見る大切さを学びました。

「公益」について考える

相原氏の話は「公益とはなにか」というところから始まりました。
あまり馴染みのない言葉のようですが、実は「皆さん、今日も実践しているんです」。それは、マスク。自分だけでなく他者の健康を守るために着けているマスクは公益にあたります。公益とは自分のみならず、他者や公の利益を考え、行動することです。
「今日一番のメッセージは、公益に対してどう行動を変容していくか」。
私たちが置かれている様々な社会の課題に対し、公益のために日々の行動をわずかにでも変えること。今回の講演のテーマが最初に語られました。

連合の役割とは

相原氏は日本労働組合総連合会(連合)の前事務局長でした。連合とは日本の労働組合の中央組織です。加盟組合員は約700万人。連合および労働組合の役割は、職場の声をまとめて企業に伝えること。企業は、労働組合が話し合いたいときは受けなければならないという法律があります。真正面から向き合って話す。労働者のことを考えた経営を行うように提言していく大事な役割です。

また「働くということは、いつもピカピカな状態じゃないんです」と相原氏。メンタルが弱ったり、人間関係に悩んだり労働条件に困ったり。これらを受け止めるのも連合の大切な役割です。連合には年間1万5千件から2万件の相談が寄せられます。コロナ禍になってから特に増えたのは、女性・フリーランス・非正規雇用の人々からの声。相原氏は「弱い立場の人たちにさらにしわが寄っている」と伝えました。

憲法第28条には労働三権があり、
働く上で尊重されてしかるべきことが定められています。
団結すること、
交渉すること、
行動すること。
これらは労働者がより良い仕事をする上での権利であり労働組合の根拠となる法律です。ただ、労働組合は企業との関係だけでなく「雇用されていない人、例えばフリーランスや未就業者も含めすべての人に利益があるように努めることが大事」と語ります。当事者だけでなく全員が利益につながるかを考える「ソーシャルダイアログ(社会対話)」を覚えていてほしいと相原氏はエピソードを交え、力を込めて語りました。

国際社会の問題に対しどう変容させるか

今の学生が社会に出るとき求められることは、創造性、今までとは違う視点を持つこと、他者とのコラボレーション能力などが挙げられます。さらに大事なことは「異文化の人たちに対する普遍的な敬愛が持てるかどうか」。グローバルな視点を持つことが求められています。現在、国際社会では貧困と分断が深刻で、日本は世界の中でもいち早く労働力人口が減少しています。多様性やジェンダーの問題も立ちはだかります。それらをどのように変容させるべきか、相原氏は課題を改めて確認していきました。

貧困の課題は、日本のひとり親世帯の問題も。ひとり親の子どもの大学進学率は59%。日本は大学卒業後、新卒一括採用のため初職決定率は9割と世界でも極めて高いですが、新卒で正社員になれないとあとで挽回が利かないとも取れる側面を相原氏は話します。
また、ジェンダーギャップについても問題提起。「特に政治・経済の分野で女性の進出が圧倒的に少ない」と言います。その例として「中学生の女子生徒会長は2割」という話が。「組織の上に立つのは男性という思い込みが社会変容を妨げているのではないか」と、この問題が根深いことを話されました。

行動変容するために

相原氏は、主要国のなかでも日本は若者世代の投票率が低いことにも触れました。日本は「シルバー民主主義」と呼ばれ、ボリュームが大きく投票率の高い高齢者に目掛けて政治をします。「皆さんが政治に参加する姿勢を期待したいと思います」と語りました。
そして、「未来を予測することはできないけれど、未来を予測するのに最も効果的なのは自ら行動すること」と言います。
「私たちがどのように行動するかによって、公益を資することができるかを考えてみてください」とメッセージを送りました。

授業の最後には学生たちからの感想も聞かれました。
「初職決定率の高さをいいものと考えていましたが、お話を伺って失敗すると挽回しにくいというリスクの面もあることにも気付きました」
と言った声や、
「ジェンダーギャップや選挙の話などいままで重要視していなかったけれど、将来や公益を考えることの大切さを知りました」
という感想が。
いままで当然だったものを、改めて見つめなおし問い直す姿勢を学びました。

深澤教授の話

相原様には、毎年この授業にお越しいただき、労働組合の役割のみならず、高い視座広い視点から世の中を見つめることの大切さを教えていただいています。刻々と変わる世の中で、時代を敏感に読み、その変化にどう対応していくかが、大学生の今後のキャリア形成に重要になると考えます。今年も、大変に貴重なお話しをいただきありがとうございました。心から感謝申し上げます。

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