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2022年7月5日

「キャリアデザイン」の授業で東京ディズニーリゾートのフードメニューを考える夢の課題が出されました。

2022年度の共通教育科目「キャリアデザイン」(担当:文学部国文学科 深澤晶久教授)で、東京ディズニーリゾートの運営を行う株式会社オリエンタルランドによる夢の授業が実現しました。6月14日(火)、同社のフード本部フード統括部長である横山政司氏が講師として登壇され、東京ディズニーリゾートのフードメニューを考える課題が出されました。学生たちはオリエンタルランドの新入社員として案を考え、7月5日(火)のプレゼンテーションに臨みます。

夢と魔法の国を運営する原動力は「人を笑顔にする」ということ

株式会社オリエンタルランド
フード本部フード統括部長横山政司氏

授業は「東京ディズニーランドに行ったことありますか?」という質問から始まりました。「東京ディズニーランドに行ったことがある」は生徒のほとんどが、東京ディズニーシーでも8割程度が手を挙げました。「これだけたくさんの方に来ていただいているのはテンションが上がりますね」と、横山氏は笑いを交えて講演を始めました。

横山氏は学生時代、小学校の教員を目指していました。しかし、大学のサークルでイベントの企画に携わり「人を笑顔にする仕事」の楽しさを知り進路を変更。1991年にオリエンタルランドに入社します。最初はアトラクションの運営部に配属され経理部やテーマパーク戦略部、人事部の人事部長を歴任し、2020年にフード本部のフード統括部長に就任しました。

横山氏は、思い出深いエピソードとしてテーマパーク戦略部のときのことを話してくれました。来園者数が伸び悩んでいた時期、案を求められ、いいアイディアと思って出した戦略を「お前はなにも分かっていない」と一蹴されたと言うのです。それまで経理部にいた横山氏は、投資家の意見や経営面からしか戦略を考えておらず、ゲスト(お客様)や現場の声に耳を傾けていなかったことに気付かされたと言います。その後、一からゲストが本当に求めていることを調査して、入園者増加に結び付けました。

創業からパーク開園まで23年!オリエンタルランドの歴史

オリエンタルランドの企業理念は「自由でみずみずしい発想を原動力に素晴らしい夢・感動・喜び・やすらぎを提供する」というもの。オリエンタルランドは1960年に京成電鉄本社の一角に生まれました。浦安沖を埋め立て、一大レジャーランドの建設を目的に設立されました。創業者はアメリカ・カリフォルニアのディズニーランドに行ったときにその素晴らしさに感動し、是非ディズニーランドを日本の子供たちにも体験させてあげたいと考えたのです。

当時の浦安は漁業が盛ん。まずは漁師の方々への交渉から始まり、1964年に埋め立てがスタートします。1970年に埋め立ては完了。1974年からディズニー社と交渉を開始、1979年に契約が成立します。そこから建設が始まり、1983年に東京ディズニーランドは、アメリカ以外にできた初のディズニー施設としてオープンしました。創業から23年目のことでした。そこからオリエンタルランドは急成長を続け、1996年には新エリア「トゥーンタウン」がオープンし、2001年には東京ディズニーシーが開園しました。さらに去年東京ディズニーランドに新エリアがオープンし、東京ディズニーシーもエリア拡大の予定が控えています。

フード本部ってどんなことをする仕事?

横山氏は現在フード本部のフード統括部長をされています。フード本部では、園内のレストランやカフェなど食事に関するすべてを取り仕切っています。計画を立て、メニューを開発し、生産や仕入れをして調理し、ゲストに提供するまでが主な工程ですが、衛生や設備の管理、人材育成やプロモーションも仕事に入ります。特に衛生管理は徹底されており、開業から一度も食中毒は起きていません。またメニュー開発も、総料理長にパリの有名なコンクールで2位を受賞した指折りのフレンチシェフを起用するなど力を入れています。最近では有名パティシエのサダハルアオキとのコラボメニューも販売し話題となりました。

オリエンタルランドの資金サイクルはとてもシンプルで、売上から費用を引いた利益が、そのまま次の施設やイベントの開発など投資に回っていると言います。さらに充実した施設やサービスのためには、客単価を上げることが大事になります。フード本部では、アイドルタイムと呼ばれる14~17時台の底上げが課題の1つ。その解決策が、園内を周りながら気軽に食べ歩きのできる「ワンハンドメニュー」の開発です。

フード本部の新入社員となって「新しいワンハンドメニュー」を提案しよう!

いよいよ課題が発表されました。「みなさんはオリエンタルランドのフード本部の新入社員です」と横山氏。アイドルタイムの売上を底上げできる、新しいワンハンドメニューを開発する、という課題が与えられました。フードとデザートの2つを考え、それぞれ販売店舗と価格も設定します。条件は3つ。できるだけ調理に手間をかけないこと、施設やコンセプトに合った付加価値をつけること、できたら提供する容器などに工夫をしてみること。

労働人口の減少やコロナ禍の影響もあり、少ない労働力で魅力的なメニューを提供できることは重要になってきています。また、園内はエリアごとにそれぞれコンセプトがあります。そのコンセプトに違和感がないメニューを考えることも大切です。そして近年の原価高騰により、食材の値段は上がっています。利益を取れる価格設定が大事ですが、ゲストに「高い」と思われてはそもそも買ってもらえません。そのために付加価値を高め、価格に反映できるメニューを考える必要があります。

難しい課題ですが、憧れの東京ディズニーリゾートのメニューを考えられるとあって、学生たちもやる気充分。すぐに活発にグループで相談を始めていました。学生たちは2回のグループワークを経て、7月5日に最終プレゼンテーションを迎えます。横山氏は「良い提案があれば本当に商品化も考えています。感動する提案を待っています」と学生たちの企画に期待を寄せました。

深澤教授の話

横山様には、毎年、この授業において、様々な角度からのお題を提示いただいています。就職活動を直前に控えた学生たちにとっては、まさに企業研究&インターンシップトレーニングが経験できる貴重な機会となっています。学生には最も身近と言えるオリエンタルランド様、しかし、そのお題は、極めてリアリティに溢れ、しかも難易度の高い内容となっています。毎年、横山様は、“本気モード”で進めて下さっており、授業のためのテーマではなく、オリエンタルランド様が日頃の事業課題として挑戦されているものを提示いただいています。横山様の毎年のお力添えに対し、心から感謝申し上げます。

(文学部国文学科 深澤晶久)

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