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2022年8月3日

2022年共通教育科目「女性とキャリア形成」第五回に、元(株)資生堂執行役員常務の関根さんをお迎えしました!

様々な分野で活躍し、輝かしいキャリアを築いてきた講師の方をお招きするリレー講座の第五回は元(株)資生堂執行役員常務を務めた関根さんです。
「皆様にとって仕事とは?」という問いかけで始まった授業では、資生堂に入社した関根さんがどんな壁にぶつかり、それをどう乗り越えてきたかというエピソードを軸とし、学生達が社会人として活躍しキャリアを形成していくためのヒントがたくさん盛り込まれていました。途中、美しい立ち姿や座り姿のコツを学ぶ時間も設けられ、学生からは歓声が上がっていました。

商品を「売らない」ビューティーコンサルタントとして

1972年にビューティーコンサルタントとして資生堂に入社した関根さん。学生時代に尊敬する先生と出会い、将来の夢は教師になることでしたが、御父様が寝たきりになったことで大学進学を諦めざるを得ず、就職を決めたそうです。「初任給が高い会社」を探す中で、出会ったのが資生堂でした。
入社したばかりの関根さんが担当したのは、スーパーなどに設けられた不定期の特設会場で、通りかかった人に化粧品を紹介・販売する仕事。高度経済成長を背景にした厳しいノルマは、なかなか達成できませんでした。

「毎日終礼で各自の売上を報告するんですが、ノルマの1割しか売れない日もありました。自分が目標を達成できなければ、チームの誰かが足りない分をカバーしなくてはなりません。毎日がプレッシャーでした」

悩んだ関根さんがたどり着いたのは、なんと「売らない」ことでした。いくらノルマを達成できても押し売りはやりたくなかった関根さんは、「商品を売る」から「商品を利用したお客様の喜び」にシフトしました。
「お客様に声を掛ける際、最初に『売りません』と言った上で、商品を体験していただいたんです。『押し売りされないなら…』と商品を試したお客様の美しさを、資生堂の商品で引き出すことで、自然と購入につながっていったんです」

多くのお客様から支持された関根さんは、着実に売り上げを伸ばしていきました。ここで関根さんが学んだのは、自分達はお客様のためにあるということでした。働くのは上司や会社の評価を得るためではなく、お客様の喜びのため、信頼を得ること仕事の本質をつかんだ関根さんは、実績を積み重ねていきました。

40年以上在籍する中で、様々な仕事を経験

その後、関係会社に出向し、そこで女性初の本部長に任命されました。さらに宇都宮支社の支社長、大阪支店支店長を経て、50歳のときに国際マーケティング部へ。ドイツ人上司のもとで、グローバル人材に囲まれながら働き、各国を飛び回りました。

「上司に私の配属理由を聞いたら『人事考課に自分の意見が言える。グローバル人材の第一要件を満たしていた』と言われました。意見を言わない日本人の中で、関根さんはものおじしないという評価だったようです」

英語がそれほど得意ではなかったという関根さんは、NYで行った30分の英語スピーチに秘書にルビを振ってもらうこともあったそうです。国際事業部での経験は、英語やグローバルビジネスに本気で取り組むきっかけになったと当時を振り返りました。

そして2012年に資生堂の執行役員に就任、2014年には執行役員常務、顧問を務めた関根さんは、2018年に独立し、(株)Bマインドを設立しました。現在は女性活躍、プラス志向講師として全国で活躍しています。

目の前に現れた壁は、困難であると同時にチャンス

関根さんはこれから社会に出る学生達に、チャレンジ精神の大切さを強調しました。

「お給料をもらう以上、会社では興味のない仕事もやらなくてはなりません。時には不本意な異動もあるでしょう。でも目の前の課題を『やりたくない』と思う前に、それをチャレンジととらえてほしいんです。勇気を出して新しい環境に飛び込むと、新しいものが見え、自分に足りないものがわかります。ぶつかった壁から逃げず、立ち向かうことが自分を成長させる経験になります。

仕事もプライベートも輝くための要件として①自分の強みを知る・磨く、②チャレンジ精神(失敗を恐れない)、③主体的であること、④タフな精神力を意識することがポイントだと関根さんは語ります。そして持続的な幸せという意味のwell-beingに役立つポジティブ思考を紹介しました。ポジティブ思考は物事を良い方に考えることではなく、つらく苦しい中で希望や解決策を探す思考と、探し出した光に向かって進んでいく強い精神のことです。それには目の前の壁そのものに価値を見出し、試練として受け止め、困難を突破して成長する「ブレークスルー思考」が役に立つといいます。

「人生は選択と挑戦の連続といえます。選択で大事なのは、ポジティブな思考と視点。挑戦で大事なのは、自分の強みと課題が一致していることです。そのためには自分の強みや得意分野を磨いておくのは、とても役に立ちます。

人生はアップダウンの連続といえます。チャレンジして失敗しても、それは貴重な経験ととらえればいいんです。みなさんには逆境を楽しみ、苦しいときほど笑うタフな精神力を身に付けていただきたいですね」
と締めくくりました。

well-beingにつながる具体的な手法で、輝く未来を創っていく

大きな拍手で終了した講演の後は、質疑応答の時間となりました。「自分に似合うメイクを教えてほしい」という質問には、質問した学生の長所を活かす具体的なメイクアドバイスがあり、みな真剣に聞き入っていました。また「プレゼンテーションで意識すべきことは?」という問いには、「ミスなく語るよりも、聴衆の目をみて心から湧き上がる自分の言葉で語ることが大切」と強調しました。

関根さんが紹介してくださった、キャリアを①今、やらなければいけないこと(must)、②今できること(can)、③やりたいこと(will)の3つでとらえる視点は、社会で活躍する際、自分を客観的に振り返る上で役に立つ視点になりそうです。仕事だけではなくプライベートも輝くwell-beingを実現する具体的な手法の数々は、学生の心に強く響いたようです。

深澤教授の話

女性とキャリア形成、5人目のゲストは、元資生堂執行役員常務の関根近子様でした。私が資生堂勤務時代には大変お世話になった方で、久しぶりにお目にかかりましたが、さらにパワーアップされておられるお姿に感動いたしました。全身から溢れるオーラに加え、ポジティブ思考のお話しに学生は魅了されていました。
60名を超える学生が教室でお聞きしているのに、学生一人ひとりと会話をされておられることを感じる、その雰囲気づくりがとても印象的でした。
やはり、こうして対面で、ゲストの姿から感じる「想い」を浴びることが大切であることを改めて感じました。この場を借りて関根様に心から感謝申し上げます。

2022年7月26日

日野キャンパスにて実践プロジェクトa「JAL社員と考えるSDGs」がスタートしました!

様々な企業の方をお招きし、私たちが直面する課題について考える社会連携授業。今回は日野キャンパスに日本航空株式会社産学連携部人財開発グループ塩崎さんをお迎えし、SDGsについて考えます。グループワークを主体とするこちらの授業は、3回の講義で構成されています。第一回は「新しい機内食サービスをSDGsの観点から提案してみよう」というテーマに、日本航空株式会社が直面する様々な課題について、講師の塩崎さんからレクチャーがありました。

授業のテーマは、企業が取り組むSDGs

「若いみなさんに会うのが楽しみでした」と笑顔で教室に登場した塩崎さんは、1987年に日本航空に入社。CAとして国内・国際線でキャリアを重ねながら、部下の指導教育にも携わってきました。2021年から産学連携部の所属となり、様々な大学との活動を推進しています。

今回、塩崎さんが提示したテーマはSDGsです。Sustainable Development Goalsの頭文字を取ったSDGsは、日本語では「持続可能な開発目標」と訳されています。現代の私たちだけでなく将来の世代も豊かな暮らしを送るために、環境・経済・社会の3つの分野で17のゴールと169のターゲット、232の指標が設けられています。SDGsは2015年に国連で193か国の全会一致で採択され、2030年のゴールに向かって各国が取り組んでいます。

食を扱う企業が直面する、食品ロスとプラスチックごみ問題

多くの企業がSDGsを考える中、日本航空株式会社では食品ロスに注目しています。世界ではまだ食べられる食料が毎年13億も廃棄され、日本では毎年約612万トンとなっています。食品ロスは「もったいない」というだけでなく、ごみとなった食品を処理する際に大量の二酸化炭素を排出し、途上国を中心に8億人以上が栄養不足で苦しんでいる食の不均衡の放置につながる、大きな問題です。
日本の食品ロスの約半分は、外食産業や食品製造業など、食を扱う事業によるものです。私たち1人ひとりが食品ロスを考えることが重要ですが、企業としても食品ロスの削減に舵を切ることができれば、大きな動きとなっていくでしょう。

もうひとつの課題は、プラスチックごみです。世界では毎年8億トンのプラスチックごみが廃棄されています。数百年以上自然界に残り続けるプラスチックは、環境破壊につながります。特に5ミリ以下の細かい粒子となったプラスチック(マイクロプラスチック)が海に流れ込むと海洋生物の身体に取り込まれることで問題となっています。
日本は米国に次いで1人あたりの使い捨てプラスチックごみが多い国となっています。食品パッケージとして身近で便利なプラスチックですが、3R(Reduce・Reuse・Recycle)の観点から生産量を減らす取り組みが求められています。

日本航空株式会社がいま実施していること

では日本航空株式会社では食品ロス削減のために、4R:Refuse・Reduce・Recycle・Reuseというキーワードを掲げています。具体的にはRefuse(乗客は食べられないものを事前に伝えられる)、Reduce(食品ゴミの削減)、Recycle(循環型農法で作られた野菜を使用)、Reuse(規格外の野菜や果物を機内食デザートに活用)という取り組みを実施しています。
また使い捨てプラスチック製品からの脱却として、使用済みPETボトルを原料とした容器、繰り返し洗って使える食器、そばつゆボトルを止めてジュレにする、100%再生PETボトルの飲み物を提供など、を進めています。

さらに機内で使用する紙コップなどの製品は、環境や生き物に配慮したことを証明する世界的な認証(FSC、MSC、ASC)を受けた商材を使用しています。

授業のゴールは、新しい機内食サービスをSDGsの観点から提案すること

後半では、塩崎さんから今回のゴールとして「新しい機内食サービスをSDGsの観点から提案すること」が示されました。もともと機内食は、食品を扱う上でのリスク(食中毒や賞味期限切れなど)をクリアし、食のダイバーシティ(アレルギーや宗教上の理由)を考慮しなくてはなりません。 「空のレストラン」を目指して機内での食事を楽しめるように様々な工夫をしている中で、新たな工夫のうちのひとつとしてSDGsが注目されています。塩崎さんの「環境や人に優しい機内食のアイデアを、仲間と一緒に考えてみましょう」という言葉で、レクチャーが締めくくられました。

プレゼンテーションに向けて、グループワークがスタート

授業の途中では、塩崎さんの「私たちに何ができる?」という問いかけがあり、和やかな雰囲気の中で学生はグループでディスカッションを開始。食品ロスに関しては、「必要以上に食材を買わない」「残ったものは冷凍保存する」「使えると部分は使う」といった意見が寄せられました。また「水筒やエコバッグの利用」「なるべく紙製品を選ぶ」といったプラスチックごみ削減のアイデアもでていました。

最期にグループワークを進める際の3ステップ、プレゼンテーションの5つのポイントの説明がありました。最終的に全員参加のプレゼンにすることを意識し、グループワークでは自分の意見を伝える・仲間の意見を傾聴する・論理的な意思決定をする点が強調されました。

三回目の授業では、グループごとに新たな機内食サービスのプレゼンテーションを行います。日本航空株式会社の取り組みを具体的に聞き、自分達で機内食を考えることを通じて、SDGsをより身近に考えるきっかけになったのではないでしょうか。

2022年7月21日

<学生記者レポート>館内カフェの設置や道のり動画作成などを提案 =本学と印刷博物館の社会連携授業で最終プレゼン(7/1、7/8)

印刷博物館の新たなビジネスモデルを考える社会連携授業の最終プレゼンテーションが7月上旬、渋谷キャンパスで行われました。学生は来館者増に向け、館内カフェの設置や道のり動画作成などユニークなアイデアを提案。印刷博物館学芸員の中西さんは「垣根のない話し合いが良いアイデアを生んだ」などと講評しました。

印刷博物館のみなさんと

最終プレゼンは7月1日と8日の2回に分けて行われ、それぞれ8チームずつ発表しました。テーマは6月3日のキックオフ授業で提示された「印刷出版文化に関心の薄い層の来館者数増加」と「新たな体験価値創出、継続的な発信」の2つです。1チームあたり4~5名の各班で問題点を見つけだし、1か月かけてアイデアを企画しました。

東京ドームとコラボの提案も

プレゼンは、1日は2班、13班、16班、8班、1班、4班、14班、12班の順に8チームが発表。8日は7班、10班、15班、6班、9班、11班、3班、5班の順に8チームが続きました。1チームあたりの発表時間は6分です。各日、最も評価の高かったチームには「印刷博物館賞」が贈られました。提案されたのは、写真映えスポットの館内設置の他、オリジナルキャラクターの作成、YouTuberとのコラボ動画投稿など多彩なアイデアです。中には、印刷博物館の近隣にある東京ドームとのコラボレーションなど異彩を放つアイデアもあり、プレゼンを審査した印刷博物館の皆さんをうならせました。

プレゼンに耳を傾ける

「印刷博物館賞」に13班と6班

審査の結果、優秀プレゼンに贈られる「印刷博物館賞」を受賞したのは13班と6班です。13班は「課題発見力と分析力」が、また、6班は「博物館までの順路動画や限定カフェの再現性の高さ」が、それぞれ高く評価されました。

後半は6班が受賞
前半は13班が受賞

課題発見力や分析力が断トツ-13班

のうち、1日の「印刷博物館賞」を贈られた13班は、印刷出版文化に関心の薄い層をいかに博物館に呼び込むかテーマを選びました。印刷博物館の問題点を「常設展が退屈…」「一般客、特に若者に向けたアピールが足りない…」などと分析した上で、カレンダー体験しかないスタンプを増やしたり、SNS映えする写真が撮れるスペースを設置したりするなどの改善案を提案したのが特徴です。中西さんは、受賞理由について「13班のプレゼンは課題発見力や分析力が断トツだった。5段階評価でいずれも4と評価した」とコメント。また、プレゼンの仕方も「一人ひとり役割分担して4人でプレゼンしたことが、非常に印象はよかった。(そのことにより)一体感がすごくあったと思う」などと講評しました。

論評する中西さん

提案の納得感を絶賛—6班

授業風景

また、8日に「印刷博物館賞」を贈られた6班は、アイデアの具体性が光りました。始めに課題分析では、ターゲットを若者層に絞りました。そのうえでターゲットに人気のあるチームラボと印刷博物館の、SNSの投稿内容や施設を比較して課題を浮き彫りにしました。主な提案は3つあり、限定カフェの併設、体験型ワークショップの常設、写真映えスポットの設置です。中でも限定カフェの提案は、その具体性の高さが際立ちました。ドリンクのカップホルダーに、日付や写真などのオリジナルプリントを施せるアイデアを企画。文字フォントを複数用意して、印刷博物館らしさを前面にアピールしました。加えて、来場者にオリジナルカップホルダーをSNSに投稿してもらうことで、知名度のアップも狙いました。

極めつけは、広報活動でInstagramへ動画投稿をする提案です。学生が実際に、駅から博物館までの順路を撮った動画を編集して投稿したところ、30分後の動画閲覧数が500件に上りました。受施設との比較に基づいた提案は説得力があり、プレゼンも論理性があった」などと絶賛。授業後に作った動画をリツイートしたいと掛け合ったほどでした。

宇田川さん、式さんが講評

写真スポット半年以内の設置へ

全16チームのプレゼンを終えて、中西さんは「どのチームの発表も素晴らしかった。これは皆さんが垣根なく話し合いをすることができた結果だと思う」と論評。加えて、今回の提案を受けて特に3つを実現させたいと話しました。具体的には、「写真映えスポットの設置」、「東京ドームとのコラボレーション」、「スタンプラリーの実施」の3つを挙げ、「写真映えスポットは半年以内の設置を考えている。また印刷博物館に遊びに来てほしい」と学生らに語り掛けました。

社会連携授業は本学が初めて-凸版印刷

学生カメラマンも今回がデビュー戦!

凸版印刷株式会社の運営する印刷博物館は2000年に設立。印刷が人々の生活に果たした役割を伝えています。本学が初めてという社会連携授業は、国文学科の2年生を対象とした「実践キャリアプランニング」で行われました。今年度は66人が履修しており、国文学科教授の深澤晶久教授(キャリア教育担当)が指導教授を務めました。

深澤晶久教授の話

本学キャリア教育の特色でもある全学必修科目の「実践キャリアプランニング」では、毎年、様々な企業の方にご支援をいただき、企業が実際に抱える課題について、学生が考え提案するPBL型の授業を推進しています。本年は、本学と包括連携協定を結ばせていただいている印刷博物館様との初めてのコラボ講座となりました。グループワークに先駆けて、6月初旬には、学生の有志が実際に印刷博物館を訪れ、中西様をはじめスタッフの皆さんから詳細な説明を受けるなど、例年にも増してリアリティー溢れる授業となりました。お題については、かなりレベルが高く、一方、時間が限られている中でしたが、学生たちは真剣に取り組んでくれました。最後になりますが、約1か月間にわたり、ご協力いただきました印刷博物館の中西様、宇田川様、式様をはじめとする皆様方に心から感謝申し上げます。

担当の深澤晶久教授
英文学科4年の開原莉乃です

【取材メモ】

こんにちは!文学部英文学科4年の開原莉乃(かいばら・りの)です。 来春、ふるさとの静岡県にUターンし、地元のS新聞社(県紙)に就職することが決まりました。卒業までの10か月間、学生記者として本学の多彩なニュースを紹介します。今回は、文学部の深澤晶久教授(キャリア教育)が指導する「実践キャリアプランニング」の授業にお邪魔してきました。もともと高校で新聞部に所属していたこともあり、凸版印刷が運営する印刷博物館と本学の社会連携授業は、取材前から興味や関心がありました。実際、人の数だけ多様なアイデアや着眼点があり、企画の可能性は無限大だと感心させられたところです。というのも、同じテーマが与えられて出発点は同じでも、アイデア出しまでの道のりや提案内容は全チーム異なっていたからです。私も昨年度、深澤先生の講義を受講して、チームで課題解決に取り組む難しさや達成感を実感しました。学びの多い時間になったので、後輩の皆さんにも企画提案型の講義にぜひ挑戦してほしいと思います。

7月1日(金)に行われたプレゼン前半の提案内容は、以下の通りです。

2班

【提案】
▼活版印刷体験
 —メッセージカードが入る写真立て
▼オリジナルグッズ制作
 —好きな文字を組み合わせられる「活字シュガー」
  コーヒー、紅茶とセット販売

13班

【提案】
▼印刷体験、オリジナルスタンプの充実化
▼SNS活用
 —写真映えスポットの設置

16班

【提案】
▼チケットのサイズ、柄の変更
 —柄がシーズンごとに変わりコレクション化できる
  スマホケースに挟めるほどのサイズ
▼写真映えスポットの設置
 —顔出しパネル
  トリックアートの展示

8班

【提案】
▼声優を起用した音声ガイド
—音声ガイドの利用者特典を用意
  声優とのコラボグッズ販売

1班

【提案】
▼館内カフェの設置
—印刷博物館に関連するオリジナルフードの販売
「チョコドーム」「フードプリンター」
▼有名人とのコラボ
 —音声解説を有名人が担う

4班

【提案】
▼館内カフェの設置
 —オリジナルメニューの販売
  「三原色ドリンク」「フォント印刷クッキー」「本型のケーキ」
▼マスコットキャラクターの作成
▼Instagramの改善
 —1分程度の動画投稿

14班

【提案】
▼声優による音声ガイド
▼TikTokを活用した施設魅力の発信
▼撮影可能エリアの拡大と写真映えスポットの設置

12班

【提案】
▼サンリオとのコラボ 
 —コラボデザインのはがき、しおり、ステッカー制作体験
  コラボキャラクターの作成
▼アンケート特典を追加

7月8日(金)に行われたプレゼン後半の提案内容は以下の通りです。

7班

【提案】
▼Instagramの活用
 —写真撮影コーナーの設置
  メンションでおみくじを引ける特典追加
▼館内カフェの充実
 —看板メニューの作成、定着
▼お土産の充実

10班

【提案】
▼SNSを利用した宣伝
—YouTubeを利用した広告プロモーション
  TikTokを利用した施設紹介

15班

【提案】
▼印刷体験の充実化
▼子ども向け体験コーナーの設置
 —スタンプラリーや宝探しゲームを行う
▼Instagramの活用
 —リール投稿をする

6班

【提案】
▼ターゲットを絞った広報活動
▼常設展示の魅力増大
 —写真映えスポットの設置
  体験コーナー、ワークショップの常設
▼限定カフェの併設
 —ドリンクのホルダーカップにオリジナルプリント

9班

【提案】
▼東京ドームとのコラボ
 —連動イベントの企画
▼VR展示のナレーションに声優や俳優を起用
▼歴代プリクラ機の設置
▼セルフ写真館の設置

11班

【提案】
▼写真映えスポットの設置
 —大きな本のオブジェ、新聞紙ラック
▼1950~1960年代の小物、衣装の貸し出し
▼レトロなカフェメニュー、お土産の販売
 —茶色と白で色合いをまとめた「オリジナルパフェ」
オリジナルの包み紙を使用した「サンドイッチ」
本型の箱に入った「プリントクッキー」

3班

【提案】
▼オリジナルキャラクターの作成
 —キャラクターグッズ販売
  パネル設置による道案内
▼Instagramの活用

5班

【提案】
▼子ども向けの体験コーナー設置
 —オリジナルカードの制作体験
有名映画とコラボ
スタンプラリーの設置
▼オリジナルキャラクターの作成
▼写真映えスポットの設置

2022年7月17日

2022年共通教育科目「女性とキャリア形成」第四回に、SBI金融経済研究所取締役理事長の政井さんをお迎えしました!

様々な分野で活躍し、輝かしいキャリアを築いてきた講師の方をお招きするリレー講座の第四回はSBI金融経済研究所取締役理事長の政井さんです。卒業生である政井さんは、今年の4月に客員教授に就任したばかり。
「人生100年時代」といわれる今、社会人として活躍できる期間はより長くなっていると政井さんは語ります。「マラソンのように続く社会人生活の中で、みなさんが目の前の課題を乗り越えるときに参考になれば嬉しいです」という言葉とともに、女性の活躍につながる様々なエピソードを紹介してくださいました。

世界で女性活躍推進の流れが始まったのは、1975年のメキシコシティから

今は当然のこととして、世界が取り組んでいる女性活躍。その始まりは、1975年にメキシコシティで開催された第1回国際婦人世界会議でした。ここで「国連婦人の10年」が採択され、各国が社会における女性の活躍を考えるようになりました。1979年には第34回国連総会において「女子差別撤廃条約」が採択され、あらゆる場面における男女の平等が約束されました。
こうした世界の動きを受け、日本では少し遅れて1985年に「女子差別撤廃条約」を批准した後、「男女雇用機会均等法」が施行されました。政井さんが就職した1987年の頃は、まだ職場における男女平等の制度が浸透する黎明期にあったそうで、法律が施行されたことは、ニュースとして扱われていました。2015年には「女性活躍推進法」や企業の女性活躍を数値で測るコーポレート・ガバナンス・コードが制定され、より具体的な実現に向けて日本社会がさらに動き出しています。

「女性活躍推進といったダイバーシティの流れが弱まることはありません。今は一部の世界的な企業だけの取り組みのように見えることも、やがては様々な企業へ広がっていき、日本全体の流れとなっていきます。ダイバーシティが推奨される背景には、いろいろな人の意見を聞くことで、組織がより良くなるという考えがあるからですが、見方を変えれば、その一員である自分がしっかりとした意見を持ち、それを伝えていくことが重要です。」

改めて、世界各国のジェンダーギャップ指数を見てみると、我が国は、ヨーロッパや北米に比べ出遅れています。教育や健康といった項目では上位国との差はあまりないものの、政治や経済といった社会に出てからの指標には、世界でも課題が残る中、我が国ではその中でも大きなジェンダーギャップが残っています。

「ここまで過ごしてきた皆さんの人生では、大きなジェンダーギャップをあまり感じることはなかったかもしれません。しかしながら、こうした統計を見ると一歩社会に踏み出せば、これまでとは違うことが多く待ち受けていることがうかがわれます。それを少し頭の片隅に置いておいてほしい。もちろん、先ほど申し上げたように、ダイバーシティの流れは弱まることはありませんが、ご自身が置かれている状況を理解しておくことも大切だと思います。また、少し話がそれますが、今日ご紹介したように、自分たちの身の回りで起こっていることを少しばかり統計や制度等で確認することで、物事への理解が深まり、知識が増えます。是非、意識してみてください。」

写真と共に振り返る、政井さんのキャリア

続く講義では、一人っ子で可愛がられたという政井さんの写真と共に、時代がどう変わってきたのかを振り返りました。政井さんが小さかった1970年代の日本の経済規模は73兆円で、現在の約8分の1しかありませんでした。
実践女子大学の英文科で学んでいた政井さんは、「仕事をするなら、英語を使った仕事をしたい」という気持ちから外資の金融機関に就職し、20年間勤めました。宗教や慣習が異なる20か国を超える仲間と共に取り組んだ為替を扱う仕事は、「国が変われば当たり前も違う」「異なる背景を持つ人達とゴールを目指す」ことを学んだ、貴重な経験になったと言います。
また、この間、仕事の合間をぬって、これまで仕事で得た知識を体系的に整理する機会を作りたいと、夜間大学院へ。
その後、部長として新生銀行へ転職。日本の金融機関ならではの文化などを通じて、「日本をよく知らなかった自分」に気づくことができたと当時を語りました。
執行役員となった頃には、学会発表等の機会を通じ、専門性を高めていきます。2016年には日本銀行の政策委員会審議委員に就任しました。任期満了に伴う退任後、現在は社外取締役などの責任ある立場として活躍しています

私の座右の銘のひとつは、『とりあえずやってみよう』。20代の頃、初めてのミッションでJAPAN DESKを設置するため、NY出張したのですが、さすがに緊張していました。そんな時、たまたま頼んだ中華のデリバリーにおまけのフォーチュンクッキーがあって、その中に、ウィリアム・コベットこの言葉“You never know what you can do till you try.”が入っていたのです。これを見て、なんだか気が楽になりました。
もうひとつは、『愛されたいなら、愛されるに相応しい人になれ』。これは古代ローマの詩人オウィディウスの代表作のひとつ「恋愛指南」にある言葉ですが、仕事の上でも必要な視点だと感じています。例えば、自分に任せてもらいたい仕事が任せてもらえないと感じたら、それはひょっとすると周りの目からみれば、仕事を未だ任せられる自分になっていないのかもしれません。自分の足りないものに気づき、それを埋める努力をするという視点も大切だと感じています。」

女子大には、女性がイニシアティブをとれる貴重な環境がある

「今はキャリアの総集編」と講義を締めくくった政井さんに、学生からたくさんの質問が寄せられました。「外資系金融で外国人と働く中で、困ったことは?」という質問には、「察する文化に慣れた日本人は、身体が大きくて押しの強い外国人の要求をのんでしまいがち。でも後からやりたくない、できないというのは卑怯だとされる。自分の意志は最初にはっきり伝えることが重要」と答えました。
また「英語を使う外資系企業に就職するために、今からやっておくことは?」という問いには、「相手に『この人は喋れる』という印象を持ってもらうことが大事です。何か、自分の興味があることを、英語で滔々と語ることができるよう練習しておくこともいいと思います。また、何でも興味を持つことは大事です。というのも、語れるものを持っていなければ、英語でも伝えられるものがありませんから。」と回答しました。
「女子大で良かったと思うことは?」という質問には、「男女共学の大学にあるジェンダーギャップが、女子大にはありません。みな女性がやる環境では、企画やリーダーなどに挑戦できる可能性が高くなり、イニシアティブをとった経験は社会で役立ちます。何事も視点を変えれば、違ったものが見えてきます。弱点と感じることを、利点に変える視点が大切ですね」
学生の挙手が止まない中、あっという間に講義時間が終了を迎えました。終始生き生きとユーモアたっぷりに学生に語る政井さんの言葉は、社会で活躍する学生達をこれからも勇気づけていくことでしょう。

深澤教授の話

昨年に引き続き、本授業にご登壇いただいた政井貴子様は、本学出身の先輩。外資系の金融機関での長年のご経験に加え、日本銀行でのご活躍は、現役の学生にとって決して近い存在ではないはずです。しかし、政井様が、目の前の仕事に、一つひとつ懸命に取り組まれたことの具体的なエピソード、そして実践女子大学での学びが、社会で十分に通用することなどをお話し下さり、学生たちの政井様との距離があっという間に近づいたことを感じました。やはり卒業生のお話しにはとても説得力があることを改めて感じました。この場を借りて政井貴子先輩に心から感謝申し上げます。

2022年7月17日

近畿日本ツーリストの企画『若者向けの新たな旅のスタイル』の最終プレゼンをする授業が行われました

近畿日本ツーリストの社員となり企画提案をする最終プレゼンが、6月3日(金)に渋谷キャンパスで行われました。同社の地域ビジネスを担当する橘清志氏から出された課題は「若者が何度も地域に通いたくなる、帰りたくなる新たな旅のスタイル」。学生はグループに分かれ発表を行いました。

地域の決定からアンケート・資料作りも自分たちで行う

学生たちに課題が出されたのは4月22日。コロナ禍により打撃を受けている観光事業の掘り起こしとして、地域活性化に繋がる旅の創生が必要であると橘氏の講演があり、その企画を考える課題が出されました。ターゲットは、学生たちと同じ世代の若者たち。若者の旅に対するニーズから調べ地域を選択、宿泊施設や移動の環境なども含めツアーの計画を考えます。パワーポイントや補足資料なども学生たちで作成します。大切なのは「若者が、何度も通う旅・帰る旅」であること。観光地に一回行って終わりでなくまた来たくなる仕掛けを考える必要があります。

いよいよプレゼンが始まります。プレゼンの時間は7分。全部で6グループで、他のグループのプレゼンを聞いているときは評価を付け、自分のいるグループ以外の1つのグループに投票します。プレゼンの最後には橘氏が選んだ近畿日本ツーリスト賞と、学生投票が1位だったグループは学生間賞に選ばれます。

癒しの島・八丈島で大自然を楽しむ

1組目のグループは「八丈島」をプレゼンしました。羽田空港から1時間という好アクセスで、大自然を味わえる癒しの島として提案しました。八丈島の課題としては、夏以外に観光客が来ないことを挙げられました。アンケートの結果、旅行者はInstagramなどSNSのハッシュタグを使って情報を集めることが分かったため、SNSを活用し1年間のイベントを伝えることを提案。近畿日本ツーリストはInstagramの公式アカウントがないので、作成することも提案しました。旅行後はSNSに投稿をするとクーポンをもらえる仕組みで何度も行きたくなる旅を企画しました。

橘氏は、旅マエを中心に作っていることを評価。「何度も行きたいと思う仕掛けをSNS以外にも考えられたら、さらに良かったですね」と述べました。

ボランティアを通して三陸海岸を好きになろう

2組目は「三陸海岸」の旅を企画しました。東日本大震災の影響がいまだに残っている三陸地域に、楽しみに行くだけではなくボランティアで役に立とうという提案です。例えば春にはリンゴの植樹会など、三陸防災復興プロジェクト(https://sanriku-project.jp/)に参加します。グルメを楽しみ、同時にボランティアで地域の方たちと触れ合うことで、心のケアと復興の手助けになる旅です。 橘氏からは分かりやすかったと感想があり「食べて好きになってもらうだけではなく、生産者との交流を重視する工夫があれば」と助言がありました。

北毛地域って知ってる?

3組目は群馬県の「北毛地域」をプレゼン。事前に取ったアンケートで「田舎のおじいちゃん・おばあちゃんと関わってみたい」という世代を越えた交流を求めている若者が多いことに着目しました。北毛地域は、避暑地としても有名な日光や片品温泉など観光地も多いですが、農業体験やクイズラリーなどで地元の人とも交流します。吹きガラス体験で形に残る思い出を作り、ログインボーナスなどで何度も行きたくなる仕掛けも考えました。 橘氏は移動手段などの問題などにも触れられていたことに「よく調べていますね」と、高齢化が問題になっている地域の若者とふれあうニーズに着目した企画に感心していました。

新たなふるさと宇都宮

4組目は都心から近く、日帰りでも楽しめる「宇都宮」を提案しました。選択プラン制で自分に合ったプランを選ぶことができます。なかには、来る時期に合わせ「種植え・育てる・収穫」の体験プランに参加し、自分で育てた作物を食べることができる体験を通して愛着をもってもらう企画です。

橘氏から泊まりを促進するプランは?という質問があり、「まずは旅先に宇都宮を選んでもらうこと」を重視した、と学生たちから回答がありました。選択プランにすることで、宇都宮を気に入った人は泊まって楽しんでもらえるようにする工夫です。

自分の田舎をセレクト・カスタマイズ!山梨いいさよ

5組目は首都圏からアクセス抜群で晴天率の高い「山梨県」を選択しました。このグループはまずZ世代の旅行タイプを分析。のんびりしたい「脱力型」、いろいろ巡りたい「活発型」、ひとり旅を楽しむ「自己求道型」、一緒に行く人と合わせる「フォロワー型」の4つのタイプに合わせ、選択プランを設定しました。自分のタイプに合わせて好きな旅程をカスタマイズできるシステムです。

橘氏からも「スライドが見やすく、Z世代への分析が面白い」と評価が。アプローチが面白かっただけに「もう少しデジタルに慣れた世代へ向けた提案を深く考えられたら良かった」とアドバイスもありました。

地域密着「岐阜県」体験型合宿

最後の6組目は「岐阜県」への旅を企画しました。ターゲットは新歓期の運動サークルです。サークルの合宿期に合わせて毎年若者に来てもらうことが可能となります。また、地域交流の場である「Mビル」を活用し地域住民との交流をはかり、はちみつ採集やオカリナ作り、美濃焼作りといった体験を通して、地元の文化に親しんでもらうというプランです。

橘氏からは「僕も知らないことがたくさんあった」と感嘆の声が聞かれました。どうやって情報を収集したのかという質問に、この地域出身の学生がおり地域の活性化に関心を持っていたことが分かり「ぴったりの課題だったんですね」と納得の表情をされました。

想像力を働かせて新たな企画を産み出そう

6組のプレゼンを終え、橘氏から総評がありました。「みなさん、難しかったと思います。難しい問題だからこそ、国や企業など社会全体で取り組んでいる」と学生たちの頑張りをねぎらいました。顧客・企業・地域の三方よしの関係を産み出す仕組みを作るのは難しいことです。そんな企画を産み出すためには「企画の四則演算」を使ってみることも提案されました。新しい要素を加える「+」、あえて減らす「-」、異質な要素を掛け合わせる「×」、逆転の発想で価値をひっくり返す「÷」。それは新しいか?誰をしあわせにする?自分にとって楽しい?を問いかけながら企画を作ることの大事さを語りました。
そして最後に「みなさんこの企画でどのくらい想像力を働かせましたか?」と問いかけました。「他人のやっていないことを、想像力を使って実現することが楽しさです。みなさん自信を持って、人生という旅を楽しんでください」と締めくくりました。

最後には賞の発表。橘氏と小宮氏が選んだKNT賞は6組目の岐阜県をプレゼンしたグループ、学生間賞は5組目の山梨県をプレゼンしたグループでした。それぞれのグループにはささやかながら商品が贈られ、最後に全員で笑顔で写真を撮り、なごやかに授業は終了しました。

深澤教授の話

昨年に引き続き、本授業の前半のパートナー企業としてご協力いただきました。東京2020に向けてインバウンド事業も含め、飛躍的な拡大が期待されていた旅行需要も新型コロナウイルスが、その景色を一変させてしまいました。旅行業界は、厳しい環境からの脱却を向けて、様々な領域での事業を模索されており、今年は、若者と地方再生をキーワードとしたお題でした。やや状況に変化の兆しはあるものの、少子化プラス東京への一極集中によってさらに喫緊の課題となっている地方再生を考える、極めてリアリティーに溢れる内容でした。大学に入学したばかりの1年生同士が、本当に真剣に議論し、素晴らしい成果を発表してくれました。本授業の後半に向けて期待は高まるばかりでした。近畿日本ツーリスト様に、この場を借りて心から御礼申し上げます。

2022年4月22日

近畿日本ツーリストの社員として『若者が何度も地域に通う旅、帰る旅等の新たな旅のスタイル』を考えて企画提案する

株式会社 近畿日本ツーリスト 橘清志氏

近畿日本ツーリストの社員となって、「地域に通う若者の新たな旅のスタイル」を考えて企画提案する授業が、4月22日(金)に渋谷キャンパスにて行われました。同社と本校の社会連携授業として実施され、同社の地域ビジネスを担当する橘清志氏が講師として登壇されました。企画の最終発表は6月3日。橘氏は「想像力をフル活用して面白い企画を作ってください」と語り、学生たちの企画に期待を寄せました。

近畿日本ツーリストは修学旅行分野のパイオニア

株式会社近畿日本ツーリストは「感動・学び・出会いを総合プロデュースする」をテーマに、企業法人向けサービスを行っている旅行会社です。個人旅行も手掛けていますが、団体旅行に強みがあるのが特徴です。理由は前身の日本ツーリスト時代、修学旅行分野でパイオニアとなったことにあります。卒業旅行や慰安旅行など、節目節目に「旅」を入れていこうというと考えを広め、1948年に5名からスタートした会社は、現在では、KNT-CTホールディングスとして5500名ほどの従業員を抱える大企業へと発展しました。

いまでは当たり前になっている夜行バスでのツアーなどを考案するなど、新しいことに挑戦してきた近畿日本ツーリスト。現在は環境に優しいサービスを提供するハイクラスブランド「ブループラネット」にも力をいれています。

旅に「トラブル」はつきもの!?

講師の橘氏は近畿日本ツーリストの営業部に入社し、当初は企業の団体旅行の企画を担当されていました。その後国内旅行部署などを経て、現在は地域共創事業部で、地域ビジネスやBPO事業を担当されています。

自己紹介のなかで「旅(travel)の語源はトラブル(trouble)である」という話から、営業部時代のエピソードを披露されました。マカオに旅行の下見に行った際、帰国前日に航空会社が経営難で倒産し帰国できず、そのまま海外に置き去りになった経験でした。想像するだけでも大変さが伝わるエピソードですが、しかし「そのときは本当に大変だったけれど後々笑って話せる」と冗談を交えて話されていました。

コロナ禍の観光ビジネスの現状…地域活性に繋げるためには

橘氏の話はアインシュタインの名言を引用し、想像力の大切さを意識するところから始まりました。それには旅行者の「旅行+α」の自覚していない欲求を想像することが大事だから。提案や交渉、コミュニケーションにも想像力が必要であることを強調されていました。

観光ビジネスとは、旅行会社だけではなく、宿泊業、交通、テーマパークなど複数の事業が複雑に関わるビジネス形態です。また、文化の保全や環境の保護、経済成長の観点からも必要不可欠です。経済面で言えばGDPの10%を占め、全人口の1/10の雇用に関わっていると言われています。

そのため日本でも近年観光ビジネスに力を入れ、特にインバウンド需要を見込んでいましたが、コロナ禍により大打撃を受けました。インバウンドが回復するまで時間がかかる現在、国内観光需要の掘り起こしが必要なのです。

橘氏は観光ということを考えるときには「地域」「住民」「産業」の3つの循環が大事と言います。観光地を核として好循環を創出することで、地域活性化に繋がります。そのためには1回行って終わりではなく、何度も行きたくなる、その地に「帰る」旅が必要である、と観光業界は考えています。その企画立案に学生たちが挑戦します。

想像力を使って「若者が何度も通いたくなる旅」を考えよう!

学生たちに出された課題は「若者が、何度も通う旅・帰る旅の企画造成」。まずは現在の若者のニーズや、どの地域を選定するか調査します。その上で滞在や移動の環境も含め、オリジナルアイデアを加えて、何度も行きたくなる仕掛けを考えます。

学生からは「若者に来てもらうことと地域の課題解決のどちらを優先して企画を考えるべきか」という質問があり、橘氏からも「素晴らしい質問」との言葉が飛び出しました。この2つの問題は複雑に絡んでおり、どちらを優先するかは難しい問題ですが、「地域の課題を解決するために若者に来てもらうには?」という観点で考えることを助言されました。

新たな旅のスタイルの背景には何が求められているのか

ヒントとして、現在の旅行顧客のニーズは、コロナ禍を経て変容してきていることが紹介されました。近場への観光やアウトドアブーム、ワーケーションなどの滞在型やロングステイの広がりなどが挙げられます。コロナ禍により密を避け、自然環境に触れられることが求められているのです。また、グリーンツーリズムや里山での二拠点居住など「ふるさと」を持ちたいという需要が増えていると言います。生き方が多様化し、新たな生活を模索するひとつに「旅」という選択肢が増えているのです。

社員として行う本格的なプレゼンテーション

学生たちはグループワークを経て新しい旅のかたちを考えていきます。今回の授業は、良い企画があれば近畿日本ツーリストで採用される可能性もある、とても本格的なものです。5月13日に最初のプレゼンテーション、6月3日には最終プレゼンテーションに臨みます。プレゼンテーションは役割分担をして聞き手に分かりやすくまとめる必要があります。橘氏からは視点を増やし、想像力を鍛えることが最後助言され「皆さんの企画を楽しみにしています」と激励。その言葉通り、今後の進展が楽しみな授業となりました。

深澤教授の話

今年もスタートしました。“大学での学び方を学ぶ”をコンセプトにした「実践プロジェクトa」
昨年度一昨年度の2倍となる30名の1年生が履修してくれています。
主体性溢れる精鋭たちとともに前半は近畿日本ツーリスト様、後半はサントリーホールディングス様の課題に挑戦していきます。
いずれもハードルの高い課題が提示されますが、「授業を終えた時の達成感、そして学生一人ひとりの成長の姿」を味わえることを期待して授業を進めてまいります。
(文学部国文学科 深澤晶久)

2022年4月20日

有楽町マルイ『インクルージョンフェス2022 Spring』で現代生活学科 環境・エネルギーゼミ作成のサステナブルレポート2021が展示されました (3/7〜3/13)

 2022年3月7日~13日、有楽町マルイにおいて『インクルージョンフェス2022 Spring』が開催されました。「私の『好き』は地球や人にやさしい!」というタイトルと共に、有楽町マルイに出店する店舗が各自のエシカルな活動を紹介する中、7階の会場では現代生活学科 環境・エネルギーゼミの活動が「サステナブルレポート2021」と共に紹介されていました。

サステナブルレポートとは

 サステナブルレポートとは、現代生活学科 環境・エネルギーゼミで「持続可能な社会の実現」を目指して行った1年間の活動をまとめたものです。編集長の学生とともに全員が協力しながら、まるで雑誌を編集するように46ページの冊子に仕上げました。

菅野教授のもとでこのサステナブルレポートの作成が始まったのは2019年でした。以前からあった「ゼミの活動を紹介する媒体がほしい」という意見をかたちにしたもので、その2021で3冊目になりますが、毎年学生たちの試行錯誤によりバージョンアップを重ねています。

学外プロジェクトにも積極的に参加

環境・エネルギーゼミのある現代生活学科では、地球環境やエネルギー問題についての基礎知識を学び、問題解決や改善に結びつく手法を考えます。持続可能な社会の担い手となる専門知識と技能を身につける領域です。

2021年の環境・エネルギーゼミの活動では、学外プロジェクトにも積極的に参加しました。J-POWERグループがエネルギーと環境の共生を目指して社会貢献活動に取り組む「エコ×エネ体験プロジェクト」では、実際の発電所を題材として火力・水力発電について学び、参加した他大学の学生とディスカッションを行いました。

また原発事故の風評被害を払拭するために環境省が行っている「ぐぐるプロジェクト」では、放射線に対する正しい知識を学び、それをどう発信すべきかを深く考えて台詞作成部門に応募しました。

キャンパスの外にも、学びの場を求めて

このほかにもいくつかのスマートシティの最前線を見学しました。綱島サステナブル・スマートタウン内の「スイソテラス」は、水素エネルギーの基礎が学べる施設として知られています。ここでの体験を通じて、化石燃料から低炭素社会へどう移行していくべきか、学生たちが考える貴重なきっかけになったようです。柏の葉スマートシティでは再生エネルギーを活用した都市を歩き、あちこちに風力発電機や太陽光パネルの存在を感じながら、環境未来型都市を体感することができました。

さらに学生たちは三菱みなとみらい科学館、科学技術館、多摩六都科学館にも足を運び、五感を通じて学ぶ様々な技術の基礎知識を通じて、環境と技術の共生を考えました。

さらに2021年12月には、東京ビッグサイトで開催された「エコプロ2021」に環境・エネルギーゼミで出展。ブースを訪れた方に環境に関するアンケートを実施する貴重な場となりました。ブースでは学内に掲示された節電ポスターや、使用済みカイロ・ペットボトルキャップ・使い捨てコンタクトレンズケースの回収などを紹介し、活動全体をまとめ、サステナブルレポート2020も配布することができました。

アウトプットの存在は、学生を大きく成長させる

菅野教授がゼミの学生に強調していることは、環境に対して問題意識を持つことだと語ります。

「ゼミに参加する学生の多くはそれまで環境教育や環境活動に参加したことがなく、『環境は理系の学問』という印象を持っている人も少なくないんです。環境について考えたことがないのはそうした機会がなかっただけで、きっかけさえあれば思考をどんどん深めていくことができます。そこでゼミではまず、身近な存在である環境について興味を持つきっかけを重視しています。
 サステナブルレポートは学生の学びによい影響を与えていると思います。自分達で企画を考え、冊子にまとめ上げることを通して、『物を創る』という社会人としての基礎力を養うことにつながっています。アウトプットすることが決まっていると、学生たちの日々の活動に目標ができるようですね。
 2021年はレポートを作った経験が自信につながり、企業が実施するアワードに応募する学生も出ました。環境をテーマにしたアワードはたくさんあるため、今後も応募する学生が続くことを期待しています。
 コロナ禍次第ですが、2022年は引き続き学内の廃棄物(使用済みカイロなど)の回収と、太陽光発電による自然エネルギーキャンパスをテーマにした活動に力を入れたいと考えています。これらの活動を通して学生の視野を大きく広げる社会連携についても、積極的に推進していきたいです。 これからもゼミを通じて環境に興味を持ち、持続可能な社会を考え、行動につなげる学生がここからたくさん巣立っていってほしいと願っています」

2022年4月13日

実践プロジェクトb「人と社会の活性化を促すアート・デザイン」がスタート!

さまざまな課題をテーマに、社会をよりよい方向へ進めることを「アート・デザイン」の観点から探求する、産学協同プログラムの「実践プロジェクトb」。今期は実践女子大学と長岡造形大学の2大学が連携するという、新しい取り組みでスタートしました。普段はなかなか接点のないさまざまな学科の学生が参加する場で、どのような学びが生まれていくのでしょうか。

デザインを手段に、社会課題を解決する手法を学ぶ

冒頭では、下山教授が授業の全体像を紹介しました。デザインというと「絵を描く」「手でモノをつくる」というイメージを浮かべる人が多いですが、社会においてさまざまな企画を実現することもデザインであるという教授の言葉は、そこにいた学生に新鮮な印象を与えていました。実践プロジェクトbでは、デザインを手段に課題を解決する手法を学びます。

今回テーマとなる課題は、コロナ禍で大きく変化したブライダルジュエリー。お迎えした企業のお二人から、いまどんな社会問題に直面しているのか、プレゼンテーションがありました。

Project map代表 米田氏「コロナ禍で大きな変化を迎えた、ブライダルイベントの現状と課題」

Project map代表であり、ブライダル関連での業務経験の長い米田氏は、豊富なスライドを使いながら、ブライダルジュエリーを取り巻く現状を分析。2019年から続くコロナ禍で、結婚式、婚約指輪や結婚指輪の購入といった、結婚につきもののイベントがどう変化しているのかを説明しました。

米田氏によれば、近年結婚式を挙げる人が減少しつつあり、成婚したカップルの中で式を挙げる人は約50%。2020年はコロナ禍がそこにさらに追い打ちをかけました。とはいえ「人との接触を減らす感染対策の中でも、結婚式は挙げたい」というニーズもあり、これまでの二人の幸せな姿を披露する場から、周囲の人に感謝を伝える場に変えつつあるようです。また昔は「男性の給料3か月分」と言われていた婚約指輪のプレゼントは、65%に減少しましたが、結婚指輪は98%と依然高水準。プレゼンの中では、結婚したカップルを対象に実施した調査をもとに、婚約指輪と結婚指輪の購入についての心理や、購入に至る過程もわかりやすく図解されました。

株式会社ケイ・ウノ 久野氏「ブライダルジュエリーは必要ですか?」

続いてオーダーメイドジュエリーブランドとして知られる株式会社ケイ・ウノの久野氏より、店舗ではいまどんな婚約指輪や結婚指輪が求められているのか、そのリアルな実情が紹介されました。

「ジュエリーは本当に必要ですか?」という意外な問いかけから始まったプレゼンに、参加した学生はさらに集中。お店を訪れる多くのお客様が、ブライダルジュエリーには「キュービックジルコニアではなくダイヤ」「金やプラチナ」という本物を選ぶ理由は何なのか。そこにビジネスチャンスを見出している企業姿勢を語りました。

1981年に創業したケイ・ウノのモットーは、「お客様にNoと言わない」。想いをかたちにするジュエリーを生み出すために多くの職人を抱え、日本人ならではの技術力の高さでお客様のニーズにオーダーメイドで応え続けてきました。オーダーメイドが世の中をよくしていくという信念のもと、順調に事業を拡大。SDGsの観点から大量生産や大量消費に疑問が呈される中で、現在は60億円を誇る企業に成長しています。

誰にでも備わっている創造性を拓き、そこから社会問題解決に役立つデザインを具体化する力を引き出す

下山教授は、この授業を通して、学生の創造性を拓くことを目指しています。

「美術を専攻していない学生は、アート・デザインは目に見える絵やモノをつくることだと思い込み、苦手意識を感じていることが多いんです。でも本来、創造性は私たち全員に備わっているもの。小さい頃、自由にお絵描きや折り紙をした経験って誰にでもありますよね。そのときのワクワクする気持ちを思い出し、この授業を通して改めてアート・デザインのおもしろさを感じてほしいと考えています。

今回初めての企画となる授業なので、最終的にどういうアウトプットが出てくるのか、まだわかりません。授業は学生の自主性を重んじ、ゴールに自由度を持たせながら進めていく予定です。目に見えるモノではない社会課題解決のヒントとなるデザインとはどういうものなのか、それをつくり上げる行動力や問題解決能力を身に付けることを狙っています」

クラスには様々な学科の学生が集まっていますが、それによる相乗効果も下山教授は意識しています。

「社会人になる前に実社会に慣れておきたいという気持ちから、社会とつながる授業を求めている学生は多いんです。その貴重な場で行う共同作業では、誰1人欠けても実現できなかったデザインが生まれてほしいですね。リーダーだけが頑張るのではなく、各自が必要なところでリーダシップを発揮し、全員が全員をフォローするような授業の進行を目指しています」

長岡造形大学とはLINEのnoteなどを活用しながら、学生同士の連携を深めていく予定とのこと。新しい試みの数々は、企業だけでなく他大学とのつながりも新たな学びを発掘していく授業になりそうです。

2022年3月4日

ルイ・ヴィトンのビジネスパーソンに、キャリア形成のヒントを学びました!(12/10)

高級ブランド「ルイ・ヴィトン」日本法人で人事を担当するビジネスパーソンに、キャリア形成のヒントを学ぶ授業が12月10日(金)、渋谷キャンパスで行われました。同社と本学の社会連携授業として実施され、今年度で4回目となります。同社コーポレートHRマネージャーの真名垣喬氏が講師として登壇。真名垣氏は「挑戦は必ず挫折を伴う。痛い失敗をすればするほど、その後の人生がより豊かになる」などと、学生たちにエールを送りました。

ルイ・ヴィトンと社会連携授業

講師の真名垣氏は、現在、LVMHグループの日本法人「ルイ・ヴィトンジャパン」に在籍。同社の人事を担当しています。LVMHグループは、ラグジュアリー・ビジネスにおける世界的リーダーとして知られ、ルイ・ヴィトンとモエ・ヘネシー販売の両社が合併して1987年に誕生しました。仏パリにグローバル本部があり、ルイ・ヴィトンほかセリーヌ、ジバンシィ、ヘネシーなど70を超える高級ブランドを世界で展開しています。

皆さんのMissionは?

真名垣氏は、授業を通して「皆さんのMission(ミッション)=使命は何ですか?」と繰り返し学生たちに問い掛けました。例えば、「大学を卒業したら就職するというのが日本の常識というものだ。だから自分も就職するというのは、それでいいのですか?」。根源的な問いを何度も提起しながら、「卒業したら、どんな仕事(What)をしたいのですか?」「どうやって(How)、仕事選びをしますか?」「なぜ(Why)、そう思うのですか?」などと学生たちのキャリア観を質しました。思わぬ質問の連続に学生たちも戸惑い気味でしたが、真名垣氏は「一番大事なのは自己分析」と強調。「まずは自分に向き合うことから始めてはどうか」とアドバイスを送りました。

翻って、真名垣氏自身のキャリア観はどうなのでしょう。それによると、同氏にとりミッションとは「自分らしく、美しく幸せに生きる人を増やすことで世界を豊かにしたい」。そのための手段として仕事があり、同氏にとり仕事とは「人に関わる仕事(人事)全般で、仕事を通じて充実感を得られる人を増やすこと」と意義付けています。この結果、今携わっている人事という仕事について「やっぱり自分がやるべきことは人事だなと強く思う」「その仕事が楽しくできるようにルイ・ヴィトンという会社を選んだ」などと語り、人事という仕事に対するやりがいや誇りを強く滲ませました。

私のミッション

楽しかった名古屋支社の営業

講義をする真名垣氏

もっとも、人事という仕事に対する同氏の情熱は、就職後すぐに形成されたものではありませんでした。今日に至るまでの同氏のキャリア観は、転職を経てルイ・ヴィトンに入社したという真名垣氏の経歴と深く関わっています。

真名垣氏は、大学を卒業して2002年4月に資生堂に入社。ほどなく名古屋支社に配属され、営業職としてのキャリアをスタートさせました。資生堂を就職先に選んだ理由は「ファッション的な仕事がしたかった。金融とかいろいろと考えてみたが今一つ自分の姿と合致しなかった。一番しっくりくるのが化粧品業界だった」と明かします。また、職種も「今は人事の仕事をしているが、当時は人事の仕事にあまり興味はなかった。営業とか商品開発、マーケティングをやるつもりで化粧品会社に入った」と述懐しました。

名古屋時代は、後に「無茶苦茶、楽しかった」と懐かしがるほどの充実した日々を重ねました。化粧品を売るための提案をしたり、化粧品の売り場を巡りお店と交渉をしたり…。「自分がやりたかった仕事に携われた」という満足感があったからでしょうか。本人が「名古屋時代は、結構、頑張った。業績も上げた」と自負するぐらい、頑張りが際立つ新人時代でした。

3年目に人事部に異動

転機は入社3年目に訪れました。東京・汐留にある本社人事部への転勤辞令です。2週間前には、支社が管轄する店舗の事業計画(3年間)をつくり、支社長に意見具申したばかり。真名垣氏にとり、「さあ、これから名古屋でもっと頑張るぞ」と思った矢先の異動命令でした。

名古屋時代、真名垣氏の本社人事部に対する印象がどうだったかというと、「正直、嫌いだった。なんとなく人のことをチェックする仕事だなと。そんなイメージがあった」。それどころか「人事部?何も分かっていないじゃないか」と事あるごとに文句ばかり繰り返していたと言います。なのに、人事部に呼ばれてしまい異動。職務命令である以上、従わなければなりません。他の会社に転職し、同じ営業の仕事を続けるという選択肢もありましたが、真名垣氏はしませんでした。「この時は、資生堂という会社が大好きだったので。人事部の仕事もやってもいいかなと思ったから」だそうです。

学生の意見は?
ファッションは大好き?

人事部では、新入社員の研修やリーダーシップのトレーニングなどを担当。中国やシンガポールにある資生堂の現地法人の窓口の仕事などグローバルな業務にも携わりました。いきおい英語を使う機会が増え、自費で英語を英会話学校に通うなど猛勉強。その流れで米国の現地法人にも短期研修で赴任しました。

ルイ・ヴィトンに転職

2017年、真名垣氏は、意を決して資生堂を退職、ルイ・ヴィトンに転職しました。37歳の時でした。

真名垣氏によると、その理由は次のようなものだったそうです。「自分のやりたいことと、会社が自分にやらせたいことの間のずれが、転職の一番大きな理由だった。資生堂のことは嫌いじゃないが、価値観にずれを感じていた。一生のうち、ずうっと同じ会社と付き合っていくのにも、疑問があった」。

ちなみに、「転職それ自体は、30歳の頃から考えていた」とか。この間は、「自分の人生のミッションは何か」という自問自答を悶々と繰り返す日々。その答えが「最終的にバチっと来た」というのが、37歳の時というわけです。

他方、真名垣氏は転職先を選ぶに当たり「企業の価値観を大事に考えた」と語りました。同氏が考えるルイ・ヴィトンが大事にする価値観とは、「クリエイティビティやイノベーションを探求する会社」「起業家精神を大事にしており、失敗を恐れず初めにやってみようと提唱している会社」。多くの企業の価値観を調べるなか、真名垣氏はこの価値観に惹かれ、ルイ・ヴィトンに入社を決めました。

ルイ・ヴィトン

「どんな仕事をするか」が重要

転職もあり、真名垣氏にとり、仕事の価値は「どこで働くか」が重要ではなくて、「どんな仕事をするか」に変容しました。つまり、ミッションにいう「人に関わる仕事、つまり人事の仕事を通して充実感が味わえる人々を、いかに増やしていくか」。化粧品というコンシューマー系の会社からラグジュアリ系のビジネスに転じても、人事という仕事に携わっていきたいことに変わりはありません。資生堂には「資生堂で働きたい」と入社しましたが、ルイ・ヴィトンには「人事の仕事がしたい」「その仕事が楽しくできるように」と転職。かつて新卒の際「正直、名前で会社を選んだり、何となく知っている会社を選んだりしていた」と振り返る会社選びの基準は、いつしか「社名は変わってもいいと思う」「どんな仕事をしたいかということで会社を選んだ方が、満足度が高い」に変化していました。

「自分自身と向き合おう」とエール

真名垣氏から餞の言葉

「あなたは、自分の命(時間)をどのように使いますか?」。授業の最終盤、真名垣氏は学生たちに、こう呼び掛けました。その上で、「皆さんは、これからの貴重な時間をどう使っていくか。(この講義を)きっかけとしていただければ。皆さんが、価値観や理想・パッションを感じ続けていくことを、皆さん自身が向き合う中で感じていただきたい」と続け、「Make your career a beautiful journey」という言葉で講義を結びました。

3年生の「グローバル・キャリアデザイン」で実現

真名垣喬氏の特別授業は、学部を問わず3年生を対象とした「グローバル・キャリアデザイン」(毎週金曜日2限)の授業のなかで実現しました。担当は国文学科の深澤晶久教授(キャリア教育担当)です。今年度は37人が同授業を履修しています。

深澤晶久教授の話

真名垣さんとは、私が資生堂勤務時代に、若手社員の育成に奔走した戦士の仲間の一人です。熱い心をもった兄貴分として若手社員の人望は格段に高く、多くの新入社員たちが真名垣さんの教えをもとに、資生堂生活の第一歩を記したことになります。そんな真名垣さんも、新しいフィールドで活躍されていることをお聞きし、4年ほど前から、当授業にお越しいたただき、“あの当時の熱いメッセージ”を再現してもらっています。こうしたロールモデルに接することで、社会の楽しさも厳しさも感じてもらいたいと考えています。真名垣さんにこの場を借りて心から感謝申し上げます。

担当の深澤教授

2021年12月13日

就活サイト最大手のマイナビと連携授業!最新の就活事情を学びました(10/16)

 最新の新卒就活事情を学ぶ特別授業が10月15日(金)、「就活サイト」最大手のマイナビ(東京都千代田区)と本学の社会連携授業として行われました。特別授業は、同社専務取締役の浜田憲尚氏を講師に招いて実現。浜田氏は、これから就職活動が本格化する教室の3年生(2023年度卒業予定者)らに対し、「あなたにとってベストな1社を。私たちマイナビは最後までお手伝いします」などと語り掛けました。

マイナビ東京本社が入居するビル
(グーグルマップから)

 マイナビは、リクナビ(リクルートグループが提供)と並ぶ新卒向けの超有名就職サイト(就活サイト)です。本学の学生も就活シーズン、ほぼ例外なく利用しており、浜田氏はマイナビ保有の膨大なデータ(登録学生73万人以上、掲載企業2万4千社以上など)をもとに、最新の就活事情を解説しました。

インターンシップの重要性を強調

前年の就活戦線を振り返る

 それによると、浜田氏が講義を通じて強調したのは、インターンシップの重要性でした。「企業と学生双方にとってインターンシップの重要性が高まっている」と語り、2023年4月時点で内々定をもらっている学生の特徴として、インターンシップへの取り組み姿勢を見る限り▼参加時期が昨年の7~9月と早い▼参加数が10社以上と多い-などを挙げました。「早期から企業研究や仕事研究を進めたことで、相互理解が深まり、マッチングしやすくなっているのではないか」と解説しています。

 その上で、これから到来する本格的な就活シーズンを踏まえ、教室の3年生には丁寧なアドバイスを送ります。具体的には、2023年度はインターンシップ実施企業、学生のエントリー数いずれも2022年度に比べて増加していると説明。▼インターンシップへ積極的に参加する▼面接で緊張しないため、人事担当者との対話に慣れておく▼企業研究やエントリーをもっと行う-などの心構えを学生に求めました。とりわけ、インターンシップへ積極参加は「これはマスト。もちろん可能ならリアルで」と、ことさらに強調しています。

23年は好転

学生の「のんびりムード」を懸念

企業の採用意欲は上向き!

 もっとも、浜田氏によると、23年度卒の学生の場合、コロナ禍の影響による懸念材料があると言います。それはコロナ禍に伴う企業の採用抑制ではなく、むしろ学生の「のんびりムード」だとか。というのも、企業の採用意欲は「確実に上向く」と予測されるからです。

 このうち、のんびりムードは、別言すると「就職に関する意識の立ち上がりが遅い人がいる」ということです。コロナ禍で授業がオンラインとなり、リアルなガイダンス・就職イベントも減少。また、友人間の就職の話題も減少した結果、「刺激が少なくなり、就活本格化前の準備段階でもう、学生間格差の二極化が進んでいる」と浜田氏は心配します。

「今すべきこと」がある

 では、今3年生がすべきことは何でしょうか。浜田氏は改めて教室の学生に呼び掛けます。▼オンライン、リアルを問わず、インターンシップへの参加▼年内の段階で志望業界・志望職種を整理。最低限100社程度はリストアップ▼マイナビ2023の検討リスト機能で、事前に関心ある企業を登録▼WEBセミナーの活用-を…、そして大切にしなくてはいけないのが、学内のセミナーへの参加です。浜田氏は、最後にこう教室の学生に語り掛け、この日の特別授業を締め括りました。

浜田氏の提案「今すべきこと」

3~4年生40人が履修

いよいよ私たちの就活の季節!

 授業の指導教授は、文学部国文学科の深澤晶久教授(キャリア教育担当)です。今回の特別授業は、深澤教授と浜田氏の縁がきっかけで、3年生以上対象の共通科目「グローバル・キャリアデザイン」の中で実現しました。今年度3年生と4年生40人が履修しています。

浜田憲尚・マイナビ専務取締役の話

 この授業は、私にとって直接学生の皆さんに語りかけることのできる貴重な機会ですので、毎年非常に楽しみにしております。今年の授業では、ご自身のキャリアについて真剣に考えている方が多く、熱心に私の講義に耳を傾けているのを実感いたしました。23卒の新卒採用意欲は確実に高まりますが、就職環境がどうあれ、自分らしい納得感のある就職を目指して、これからの就職活動を頑張ってもらいたいと思っています。

マイナビ専務取締役 浜田氏
本学OGの中島さん

 同授業には、本学卒業生のマイナビ社員も駆け付けてくれました。本学2020年度生活科学部現代生活学科卒の中島みゆさんです。中島さんは、マイナビに入社2年目。営業職として転職を扱うセクションに所属しており、企業から求人を集める営業が今の仕事とか。今の仕事に「すごくやりがいと楽しさを感じる」と語り、学生に向け「皆さん、就活頑張ってください」とエールを送ってくれました。

深澤晶久教授の話

 マイナビの浜田専務とは、もう15年来、大変にお世話になっています。毎年、この授業にお越しいただいていますが、マイナビのサイトの説明にとどまらず、ご自身の就職活動を含めたキャリアの興味深いエピソードや、マイナビという会社の社会的意義など、学生にとっては、毎年、本当に多くの学びの機会をいただいています。

 “就活の本質”という、浜田専務でしかお聞き出来ない内容であり、これから就職活動に臨む学生にとって、貴重な時間となりました。浜田専務にはこの場を借りて、厚く御礼申し上げます。

深澤教授