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SOCIAL COOPERATION PROGRAM
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2022年7月4日

2022年共通教育科目「女性とキャリア形成」第三回に、元スターバックスコーヒージャパン(株)CEOの岩田さんをお迎えしました!

多くの人が知る大企業で確かな実績を残してきた講師の方をお招きするリレー講座の第三回は、元スターバックスコーヒージャパン(株)CEOの岩田松雄さんです。現在は株式会社リーダーシップコンサルティング代表として、未来の日本を創るリーダーを育成している岩田さんに、不透明な時代に女性がキャリアを形成するために、役立つヒントを語っていただきました。

女性の活躍は、1人ひとりの能力が発揮されること

1982年に日産自動車に入社し生産管理に携わった岩田さんは、社内留学先のUCLAビジネススクールにて経営理論を学びました。その後外資系コンサルティング会社やコカ・コーラを経て、2000年にはゲーム会社の(株)アトラスで代表取締役社長を努め、赤字を克服しました。その後、タカラで常務取締役、イオンフォレストで代表取締役社長を務め、2009年にスターバックスコーヒージャパン(株)CEOに就任し、それぞれV字回復させました。2013年に現在の株式会社リーダーシップコンサルティングを設立し、今に至ります。多くのリーダーを育成している岩田さんは、今の時代をどうみているのでしょうか。

「多様性が尊重される時代に、ジェンダーの扱いは慎重になっています。私は男女にはもって生まれた物理的な差があり、それぞれのよさがあると考えています。社会で大切なのは男女の関係なくその人が持つ能力を最大限発揮して活躍することです。
1980年代の米国では、黒人や少数民族といったマイノリティを過度に優遇するアファーマティブアクションが社会に混乱をもたらし、公平についての深い議論につながりました。女性だからといって差別されるのはもってのほかですが、個人を見ずに『女性である』という理由だけで優遇されるのは、女性とひとくくりにした乱暴な扱いであり、女性にとって失礼なことではないでしょうか。

マスメディアやネットでは情報が氾濫していますが、情報に翻弄されることなく自分の頭で考え、情報を取捨選択することが、これからの時代を生き抜く力につながっていくと思います」

企業は世の中をよくするために存在している

岩田さんによれば、企業は世の中をよくするためにある。企業は利益を挙げなければ存続できませんが、利益はあくまでも手段であることを忘れてはならないと強調します。

「みなさん就活では気になった企業を研究すると思いますが、その際はその企業のミッションをぜひチェックしてみてください。企業によって掲げているミッションは様々だと思いますが、共通しているのは『世の中をよくするためにやること』です。商品やサービスを通じて企業は世の中を良くするために存在しているのです。利益は決して目的ではなく、ミッションを実現するための手段です。その企業はなんのために存在しているのか、それを考えることが深い企業理解につながっていきます」

どの企業にも、経営理念、ミッション、ビジョン、バリューなど、が必ずあります。この明文化されたミッションに共感した人達が集まり、ミッションの実現に向かって邁進することで、企業は成長していきます。

自分のミッションも考えてみよう

ミッションは企業だけでなく、私たち1人ひとりにも大切なものだと岩田氏は語ります。個人のミッションは、「自分はなんのために存在しているのか」ということになります。

「私たち1人ひとりにも、ミッション(使命)を持つべきです。企業と同様に、個人のミッションは自分の存在理由といってもいいでしょう。使命とは自分の命をどう使うかと書きます。『自分が生きた証』にもなるミッションは、どうやって考えればよいのでしょうか。それは自分が好きなこと、得意なこと、人のためになることの三つが重なるところがヒントになります。(詳しくは拙著「ミッション」(アスコム)を参照してください)

自分の成長や環境変化とともに、ミッションは変わっていくものですし、変わってもいい。一度決めたからといって変えないのではなく、常に自分のミッションを考え、進化させることが大切です」
岩田さんは、仕事は「志事」、働くは「傍を楽に」と表現します。仕事は志をもって取り組む事、働くのは傍(まわり)を楽にさせるためという視点は、個人や組織の利益の追求だけでなく真に豊かな未来を目指す、いま注目される持続可能性にもつながるものでした。

質疑応答の後、花束のプレゼントが

報酬を得る手段に留まらない、幅広い視点で仕事を考える授業が終わった後、学生から様々な質問が寄せられました。「岩田さんのミッションは?」という問いに、「想定していた質問です(笑)」とジョークで返した岩田さん。現在のミッションは、「日本をよくするためにリーダーを育てることです」と笑顔で答えていました。

このほかにも「社長になりたいと思ったきっかけは?」という質問には、「社長だった父の姿を見て育ち、サラリーマンをやるからには頂点を目指したいと思ったから」と回答。また「挫折への対処法は?」には、「普段本を読んで出会ったいい言葉をノートに書き留め、悩んだときに読み返すようにしています」と答えました。「たくさん挫折をしてきました」と苦笑する岩田さんの手元には、自分を支えるこうしたノートが何冊もあるそうです。
この日は偶然にも岩田さんの誕生日とのことで、最後に学生から素敵な花束が贈呈されました。企業や自分が「なんのために存在するのか」という深いテーマを考えるきっかけになった今回の授業は、学生達の未来の支えになっていくことでしょう。

深澤教授の話

今年の前期は、「キャリアデザイン」に加えて、「女性とキャリア形成」にもご登壇いただきました。新入社員時代の志、懸命に努力された英語力向上のためのお取り組み、そして社長という立場でなくては見えない景色やご苦労など、豊富なご経験を通し、まさに「生き方」について示唆に富んだお話しをいただきました、さらには、岩田様の軸と言えるリーダーシップとミッションについても触れていただき、大変大きな勇気をいただくご高話でした。この場をお借りして心から感謝申し上げます。

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