社会連携プログラム
SOCIAL COOPERATION PROGRAM
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2022年4月21日

2022年共通教育科目「女性とキャリア形成」第一回に、OGのアフラック生命保険株式会社取締役専務執行役員の木島さんをお迎えしました!

本学卒業生を含む企業トップをお招きし、ご自身のキャリアや仕事で人生を充実させるために必要なことを語っていただく全6回のリレー講座がスタートしました。記念すべき第一回は、アフラック生命保険株式会社取締役専務執行役員の木島葉子さんです。「まだ校舎が古かった」という1986年に本学を卒業した木島さんは、女性の社会進出が今ほど叫ばれていなかった時代にどうキャリアを形成していったのでしょうか。

参加者全員の集合写真

1986年に家政学部食物学科を卒業し、アフラックに入社

学生時代の話をする木島氏

本学の卒業生である木島さんは、学生時代は趣味のスキーに熱中し、お花屋さんでアルバイトに励む、アクティブな学生でした。卒業論文のテーマは「高血圧予防に関する主婦の意識と健康管理状況の調査」。この時代はまだパソコンやインターネットがなかったため、卒業論文はすべて手書きで清書が大変だったそうです。

新卒の木島さんがアフラックに入社した1986年は男女雇用機会均等法が施行され、企業が女性の採用に本腰を入れ始めた年でした。多様性や女性の活用がごく当たり前のこととなっている現代と異なり、「4年制の女子大卒が入れる会社は少なかった」と木島さんは当時を振り返ります。

仕事で初めてのことやわからないことに遭遇したとき、どう対処するか

「大学ではあまり勉強しませんでした(笑)」と謙遜する木島さんは、アフラックの新人時代はバイトの延長のような意識しかなく、目の前の書類を処理する日々でした。そんな木島さんに転機が訪れたのは入社3年目にメンバー10人を束ねるチームリーダーになったときでした。

「事務処理ではない新しい仕事を担当することになり、会社にはいろんな仕事があることを実感しました。営業出身の女性上司だったんですが、出張同行や代理店研修の講師など、多くのことにチャレンジする場を与えてもらいました。上司は厳しかったですが、幅広い仕事を経験できて、いまでも感謝しています」

入社13年目には、当時まだ企業では少なかったコールセンターの立ち上げを担当。お客様からの電話にマニュアル通りに応えるだけでなく、お客様の声をもとに自社のサービスを設計していく仕事だと気付き、大きな感動を覚えたそうです。そして入社15年目の2001年に課長に昇進。その翌年、課長として実務経験がない部署に異動しました。 「部下に相談にこられても、その部署の業務がわからないから答えられないんです。二か月間、悶々と過ごしました。でもある時、わからないなら聞こうと思ったんです。上司、部下、他部署など、上下横斜めあらゆる方向の社員に質問し、部署の業務を理解していったんです。この経験で初めての仕事も、恐くなくなりました」

目の前の危機に対応することが、自分を成長させキャリアを上げていく

アフラックでの仕事を振り返るとき、木島さんの印象に残っているのは危機への対応です。そのひとつは2011年に発生した東日本大震災です。このとき木島さんが在籍していた調布オフィスは、計画停電でコールセンターの電話やPCが使えず、業務ができない状態になっていました。そこで大阪オフィスと提携し、なんとか業務を復旧。保険契約者の安否確認とお見舞いという、それまで体験したことがないボリュームの仕事に直面することになりましたが、無事乗り越えることができました。

「危機に対応する火事場の馬鹿力って、それまでの自分の集大成だと思うんです。想定外の大変なことに直面すると不安ですが、以前危機を乗り越えた経験が少しでもあれば、たとえ前例がないことでも『今回も何とかなる』と思えるんです。アフラックで長年勤める中で、震災をはじめとしたいくつかの危機に対応することで、自分が変わり自信がつきました。困難に積極的に取り組むようになったと思います」

どんなにすごいキャリアでも、それは日々の積み重ねの先にある

入社以来、遭遇したハードルを1つひとつ乗り越えることで着実にキャリアを形成し、今では取締役と専務執行役員という重責を務めるようになった木島さん。次は社長を目指し、自分にプレッシャーをかけていると語ります。木島さんは、キャリアをこう考えています。

「キャリアを上げるということは、日々の積み重ねだと思います。組織において責任あるポジションは、一足飛びに得られるものではありません。いま自分がいる場所で、目の前にある課題に真摯に取り組むことが、キャリアになっていくと私はとらえています。

経験がない新しい仕事に直面すると、自信を喪失しがちですよね。でも必要な情報や能力は、集めればいいんです。自分が完璧を目指すのではなく、得意な人を集めてチームで取り組むという視点も組織では重要です。大きな仕事こそ、自分1人だけではできません。人をまとめて動かす、チームビルディングが必要なんです」

会社で誰かと衝突しても、コミュニケーションを諦めない「対話」の積み重ねが解決につながる

学生からの質問

木島さんの講演後は、5人のグループ(CUBE)から1つずつ質問が寄せられました。真剣に聞いていた学生ばかりだったこともあり、たくさんの学生が手を挙げ、それに木島さんが丁寧に、時にユーモアを交えて答えていました。

「チームで誰かとぶつかったときは、どうすればいいでしょうか?」という質問には、木島さんが過去に仕事仲間と衝突した体験がユーモアを交えて披露され、教室に笑いが巻き起こりました。「どんな組織にも、嫌な人はいる」「いくら嫌でも仕事は一緒にやらなければならない」「その人から逃げるのは時間の無駄」という木島さんによれば、相手の意見をしっかり聞き、その背景を理解する「対話」を重ねることで、対立を解決する答えが見えてくるといいます。

また「女性の社会進出のために、学生である私たちがいまやっておくべきことは?」という問いの答えは、意外にも「自然体であること」。社会でいろいろな人に会う中で、時には女性だからといって差別されることもありますが、そういう時こそ「自分はどうしたいか」を考え続けることが大切だと強調しました。

このほかにも「自信を失いそうになったときはどうすれば?」「社長の次は何を目指しますか?」など、学生から次々と手が挙がりました。OGという共通点を持つ木島さんの言葉は、これから社会で活躍する学生達の支えになっていくことでしょう。

深澤晶久教授の話

昨年度から始まった本授業も2年目に入りました。今年は62名の学生が履修、学部も学科も学年も異なるメンバーが集まり、まさにダイバーシティクラスの様相を呈しています。今年の最初のゲストが本学卒業生の木島様ということもあり、クラスの雰囲気も柔らかく、学生たちの真剣な表情も印象的でした。木島様が醸し出される温和の雰囲気と、一方常にアグレッシブに生きてこられたそのお姿から、学生たちは沢山のことを学ばせていただきました。そして驚いたのがご講演の後のインタラクティブセッションです。時間内に全ての質問にお答えいただけない数の手が挙がりました。初回の授業から主体性を大いに感じる学生たち、これからの授業が楽しみです。最後に、今年もご講演いただいたアフラック生命保険株式会社の木島専務に、この場を借りて厚く御礼申し上げます。

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