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2025年3月31日

『博報堂Gravity』×三女子大学連携での産学連携プロジェクトを実施しました!

〈プロジェクト概要〉
 ファッション・アパレル・コスメなどライフスタイル領域のブランドマーケティングを得意とする『博報堂Gravity』と、三女子大学(跡見学園女子大学・大妻女子大学・実践女子大学)は、12月からのひと月半の間、「産学プロジェクト」を実施いたしました。今回、初の試みで、同社の若手社員の方々9名と共に、現在20歳の大学生が、「30歳になる2035年に、社会は、そして、自分たちを取り巻く環境はどのように変化しているのか」、その上で、「自分たちはどう考え、どう行動していくのか」を考えるプロジェクトに取り組みました。
 大学の垣根を取り払い、女子大学が連携して行う本プロジェクトは、2018年にスタート。今年で7年目を迎えます。従来はPBL(問題解決)型でしたが、今回は初めての「課題発見型」。まだ顕在化していない潜在的な課題を発見して、より早く社会的課題を解決するという、一歩進んだ内容です。
 2035年の社会を、「衣」「食」「住」「職」という4つの切り口で考えていく為に、初回は顔合わせを含めて、『博報堂Gravity』の方々が取り組んだ『Life Shift-100年時代の人生戦略』(リンダ・グラットン/2016年)をレクチャーいただき、これからの社会がどのように変化していくのかを、学生達に共有いただいた上で、冬休みの間に課題図書として『2030年:すべてが「加速」する社会に備えよ』(ピーター・ディアマンディス&スティーブン・コトラー/2020年)を章毎に分担し、更に議論を深める材料として活用しました。

 33名の学生を大学横断的に「衣」「食」「住」「職」の4つのグループに分け、そこに『博報堂Gravity』の社員9名が2~3名ずつ、各グループのメンターとして、共にワークをしていただきました。今回も、ZOOMを活用してのグループワークを実施。学生全員が揃うミーティングを週に一回、その他、こまめな情報交換を行った上で、発表会場は日比谷の本社。学生達は緊張した面持ちで発表に臨みました。

冒頭のご挨拶:田上 洋平氏(取締役副社長執行役員COO)

 広告会社で働く上で、心掛けているマインドを共有したい。発表する側は、この議論には「正解は無い」ということをしっかり認識すること。逆に言えば「不正解は無い」。その中で大切なことは、自分自身が「こんな未来が来たら、ワクワクするよね」という想いを持つこと。そして、周囲の人達にもそんな風に思って貰うために熱意を持って話をすることが大切。今日は、緊張していると思うが、「不正解は無い」というマインドで、考えたことに自信を持って、話をして欲しい。同時に、聴く側のマインドも重要。それはYES ANDの精神。「こうしたらもっと良い未来が作れそうだ」とアイデアを発展させる姿勢で聞いて貰いたい。

2035年の「衣」:「『衣』10年後の未来」

 「衣」に及ぼす影響を、①AIの力を借りて、健康と環境に配慮した素材のファッションを楽しむこと、 ②雇用については、AIでの需要予測により適正生産を可能にし、環境に良いプロセスを生成していく、 ③今後、更なる外国人増加により、ファッションの多様化が進むことへの対応という内容で発表しました。

2035年の「食」:AI化と長寿化がもたらす意識や行動の変化

 2035年には、AIにより個人に最適化された「食」を提供する時代AI化と、健康寿命の伸長による変化をベースに、10年後の自分達の「食」に対する意識として、①健康 ②美 ③時短思考を挙げ、それぞれのライフスタイルに寄り添い、パーソナライズかされた食事管理、提案が行われると述べました。

2035年の「住」:地方活性化と今後の住まいの形

 技術の進化による生活・仕事・コミュニケーション方法の変化がもたらす地方の活性化について、移住者の声などを収集しつつ、メリット・デメリットを整理し、また、加速する市街地再開発による複合型マンションの増加により、起こる住まいの変化について、発表しました。しかし、大切なことは「ここなら自分のやりたいこと、願った環境が叶う」と思える住まいとサービスの提供だと結論づけました。

2035年の「職」:各業界の未来と、個人としてどうありたいか

 「職」の未来について、いくつかの業界を事例に、どのように進化していくかを検討した上で、今後は更にパーソナライズ化が進み、本を読み、よりテクノロジーが進化して行くことを理解した上で、技術の進化による生活・仕事・コミュニケーション方法の変化がもたらす地方の活性化について、移住者の声などを収集しつつ、メリット・デメリットを整理し、また、加速する市街地再開発による複合型マンションの増加により、起こる住まいの変化について、発表しました。しかし、大切なことは「ここなら自分のやりたいこと、願った環境が叶う」と思える

全体の総括:黒原 康之氏(代表取締役社長)

 今日は、自分の学生時代のことなども思い返しながら聞いていた。裏付けのデータなどもしっかり調べられており、素晴らしい発表だった。一方で、自分自身が「どんな未来を作りたいのか」という意思や意見が入ると、このプロジェクトが、もっとみなさんの糧になっていくと思う。10年後の未来が、「環境意識」「効率化」「不老長寿」「パーソナライズ化」といった物質的な欲望が満たされる発表が多いように感じたが、自分に置き換えてみた時に、もっとテンションが上がるような未来を思い描くことが大切なんじゃないか。
 『博報堂Gravity』は、「ブランドに憧れを着せる」という、「そのブランドを身に纏ったら、今日も一日テンションが上がるな」という、そのような生活者の未来に一役買いたいという想いでビジネスをやっている。それは、どんな職業も同様だと思うので、是非、みなさんには「上がる未来」を作っていただきたい。今回、一緒にワークした当社のメンバーも新たな視点を手に入れることが出来た。みなさんに感謝したい。

学生からのコメント(終了後のアンケートから)

・「課題発見型」は、ゴールが無く難しかった。でも、だからこし、より協力し合って発表迄辿り着けたと思う。

・メンターの方々が、いつも的確なアドバイスをしてくれた。フレンドリーであり、また、真摯なサポートをいただいた。

・クオリティを上げる為に、話し合いを定期的にしていたが、「これがいいね!」とみんなで納得出来た時は楽しかった。

・「10年後」を考えることは無かったが、いろんな視点から想像することで、今の自分がどう行動し、何を意識する必要があるか等、改めて考えることが出来た。

・自分の考えを言語化する力を得られた。周りを巻き込み、協力してひとつのものを作り上げる力が付いた。

・最後まで諦めずに考える力が付いた。

【他大学 原稿記事はこちらから】
<跡見学園女子大学>
 https://www2.mmc.atomi.ac.jp/~life-environment/

<大妻女子大学>
 https://www.otsuma.ac.jp/news_academic/info/121772/

大川先生からのメッセージ

 今回初めて「課題発見型」プロジェクトに挑戦し、また、実際に企業の方々がメンターとして学生達を伴走して下さるという貴重な経験をさせていただきました。従来の「課題解決型」から、これからの社会を見据えながらの、想像力を必要とする難しい内容でしたが、メンバーで議論を重ねた発表は、「あぁ、こういう社会になって行くのだろう」、そう思えるものばかりでした。
 社会人の方々との初めてのワーク。『博報堂Gravity』のみなさんと接する中で、数年後の自分たちの姿を重ねたのではないかと思います。学生生活も、あと1年。最終学年に向けて、多くの刺激をいただきました。関係者の皆様を始め、二大学の先生方に、心から感謝を申し上げます。

2025年1月14日

『生活の木』×三女子大学連携:「フェムケア市場」に向けた提案 

実践女子大学と大妻女子大学、跡見学園女子大学の三女子大学の3年生による株式会社生活の木(以下、『生活の木』)との「産学連携プロジェクト」の最終発表会が、12月5日、大妻女子大学を会場に行われました。日本におけるハーブやアロマのパイオニアである『生活の木』との取り組みは、昨年度に引き続き2回目です。

秋の本格的な開始に先立ち、7月31日に同社の望月佳子氏(ブランディング本部・リーダー)から、二つの課題が提示されました。一つ目は、「フェムケア市場とアロマ・ハーブの可能性を考える」、二つ目は「ジョホリズムの訴求方法:『生活の木』のフェムケアを多くの人に」という内容です。現在の『生活の木』の顧客は、40~50代の女性が中心。望月氏は、「『生活の木』の現状を分析し、どのようにすれば、20代にもフェムケアの重要性を周知し、その認知を高めることが出来るのか、忌憚のない自由な発想のアイディアを期待したい」とコメントされました。

※ジョホリズム(Joho-Rhythm):『生活の木』が展開するフェムケア商品のシリーズ。全ての女性が心地良いリズムで毎日過ごせるようにという願いが込められている。

今回、学生達が考えなければならない「フェムケア」については、その言葉の認知も進んでおらず、とても難しいテーマでしたが、実際に『生活の木』から提供いただいた商品を試したり、店舗視察の他、10月に開催された「Fem+:女性の健康と活躍を支援する展示会」を視察する等して、この領域の商品の特徴を理解し、市場の現状を把握した上で、二か月間のグループワークを進めました。

三女子大学の参加学生33名を、大学横断的に4つのグループに分け、ZOOMを活用してのグループワークを実施。学生全員が揃うミーティングを週に一回、その他、グループ毎のミーティングを週に一回と2ケ月の間に、こまめな情報交換を行いました。最終発表会には、望月氏の他、重永創氏(ブランディング本部・ゼネラルマネージャー)も同席されました。

グループ1:『ジョホリズム』ってなに?フェムケアを届けよう

提供商品の感想に始まり、「Fem+」の視察では、この市場の盛り上がりを実感する一方で、差別化の難しさや価格の高さを課題として挙げました。83名へのアンケートからも認知度の低さや、気軽に手を出しづらい価格に多くの声が集まりました。このことから、「どうしたら「フェムケア」アイテムを身近に感じてもらえるのか」を念頭に、「フェムケア」や『ジョホリズム』への関心を高めることを目標に据え、その訴求方法として、20代が利用する場所での様々な「試供品」提供案を提案しました。



<講評>
弊社だけでは、これだけの数の学生の方のアンケートの実施は難しいので貴重。率直な意見に加え、具体的な調査、アイディアの提案で大変参考になる。20代のみなさんに訴求しようと考える時に、企業側の視点として欠けていると感じたのが、「価格」。手に届き易い価格のサイズ、容量の見直し等、もう少しハードルを低くする努力も必要だと感じた。また、みなさんが一から考えたリーフレットは、素晴らしかったので、参考にさせていただきたい。

グループ2:私たちの「フェムケア」―10代からはじめよう―

47名へのアンケート結果から、少数の購入者の回答では、母親や友人等の身近な人に勧められた経験がある人がいましたが、興味があっても、知識の少なさや価格が理由で諦めた人もいるのではないかと推測。そこで『生活の木』のInstagramでも紹介されている「映える」取り入れ方を、もっと積極的に紹介すべきだと考え、ハーブティーで作るものの形をいくつか考案。また、販路として、敢えて業界大手ではない欧米型ドラッグストアを目指す企業を提案した上で、最後に、日常の一コマに商品を取り入れるようなリール動画を使った訴求も提案しました。



<講評>
「水出しハーブティー」という夏限定のアイテムに着目してもらったが、見た目にも可愛いいレシピが作れるので、現状でも若い方々の購入も多く、この発表からも、これは更に広げていけると感じた。販路のひとつとしてのドラッグストアについても、各社の戦略の違いを含めて、弊社にフィットする企業をよく調べていただいている。全体を通してキーになるポイントは、「映える」「日常に取り入れる」、そして、『生活の木』、及び商品を知らない方に、いかに「信頼」を以って情報を届ける、広げるかということが軸になると感じた。

グループ3:「フェムケア」を日常に―わがままに生きよう―

提供商品の感想、183名へのアンケート結果から提案を行ないます。購入のきっかけ作りが難しいですが、プレゼントしたくなる「フェムケア・グッズ」のNo.1を目指し、持ち運びやすい容量と、より高級感のあるパッケージ変更、また、季節限定「デリケートゾーン・シート」では、季節毎に異なる香りや個包装を提案します。訴求方法としては、ギフト用品選びに活用しているショップでの販売や、ファッション・フード・ミュージック・アート等と合わせて、ショッピングや体験ができる「クリスマスマーケット」の開催を通して、より多くの人に『ジョホリズム』と『生活の木』を知ってもらえる機会となると考えます。

<講評>
商品の企画案まで考えてもらい、社内のプレゼンを聴いているようだった。プレゼン資料のデザインが素晴らしいと感じた。完成度の高い資料だった。また、「わがままに生きよう」というコンセプトを、きちんと打ち出せているところもターゲットが明確で良かった。改めて自分たちも、そのような打ち出し方の大切さを実感した。また、商品を知る入口としての「プレゼント」として、パッケージや容量変更の提案や、「フェムケア」商品と季節を掛け合わせる発想は、持ち帰って商品開発の担当とも共有したい。「フェムケア」商品は自分用と考えていたが、「ギフト」で贈りたくなる仕様提案という新しい視点が良かった。

グループ4:はじめの一歩

「フェムケア」のことを知らない若者に広める、その「はじめの一歩」を、『生活の木』が担えたら良いと考え、『Fem+』での視察、アンケート結果を通して「カフェ」「試供品」「SNS」を切り口としました。食品は手軽に取り入れ易い為、「カフェ」ではハーブティーを始め、体の内側を気遣うことができる商品を提供し、「試供品」ではカフェや店舗利用者に日常でも取り入れ易い「ファブリックミスト」を配布。また、若年層向けの新たなSNS アカウント作成を行い、として、ライフスタイルに溶け込むお洒落な写真や統一感のあるデザインが効果的だと考えます。これからは「フェムケア」と意識せずに、気軽に使えるような未来を期待します。



<講評>
みなさんに指摘いただいたように、いろいろあり過ぎて分からないといった課題があり、その中で「カフェ業態」による訴求提案をいただき、内装の雰囲気、実際のメニュー、出店場所までよく検討いただいた。ただ、飲食は競争が激しい為、他社との差別化は課題だ。弊社でもSNSには取り組んでいるが、説明的で長い動画の為、媒体やアカウントを変えて短い動画の配信に取り組むのも一案だと思う。提案全体が、「フェムケア」の展開範囲を広く捉えていたのが印象的だった。また、「フェムケア」商品だと分からないパッケージに対する指摘等、改めてセンシティブな商品であることの認識を新たにした。

<全体の講評>

重永氏:『Fem+』や『生活の木』の店舗にも足を運んでいただいたり、大変だったと思うが、みなさんにいただいた貴重な意見を参考にして、『生活の木』のブランディングを進めていきたい。本課題に取り組んでいただく中で、「フェムケア」を日常に取り入れることをイメージしていただけたらと思う。今回みなさんが取ったアンケートは、大変貴重な生の情報の為、社内でも共有したい。全体のプレゼンのクオリティが高く、企業内で行われているものと変わらぬ内容で大変驚いた。今後の研究、及び進路でも今回の経験を活かしてもらえたらと思う。






望月氏:様々なリサーチ結果がとても参考になった。2020年が「フェムテック元年」とも呼ばれたが、そこから時間の経過と共に、「フェムテック」から「フェムケア」に変わりつつある。それは、女性の繊細な身体は、テクノロジーだけでは解決し切れないものだからだ。今回の課題が無ければ、みなさん、「フェムケア」について考えなかったかも知れない。今後もこのマーケットは変化し続ける為、今回の経験をきっかけに、引き続き広い視野で、いろいろなことを吸収していって欲しい。自分たちの揺れ動く心や、身体というフェミニンな部分というものを、大切に向き合っていっていただきたい。

『生活の木』が提供する商品群と、女性の集合体である「女子大学」の親和性が高く、確かに、今回の課題は大変難易度が高いものでしたが、課題を通して、先ず、学生のみなさんひとりひとりが、「女性としての自分を、大切に思う気持ち」に、改めて気づくことが出来ました。この2ケ月で様々な経験をし、また、議論に議論を重ねました。当初はチームビルディングに苦慮していましたが、最終的に何れのチームのレベルも高く、素晴らしい評価をいただくことが出来ました。この三女子大学連携は、この後、残りの2ケ月を掛けて、また、新たな課題に取り組みます。

<参加メンバー>
女子大学に在籍する3年生33名。
・跡見学園女子大学/深町 浩祥准教授(ファッションビジネス研究室)と学生12名
・大妻女子大学/須藤 良子准教授(プロダクトデザイン研究室)と学生12名
・実践女子大学/大川 知子教授「ファッションビジネス研究室」学生9名

株式会社生活の木について

私たち生活の木は、1976年より「自然」「健康」「楽しさ」のある生活を日本に提案・普及し続けてきた、原宿・表参道の地で生まれたライフスタイルカンパニーです。創業以来、40年以上もの歳月をかけ、国内外の提携農園(パートナーファーム)から、厳選したハーブや精油、植物油など、世界中の自然の恵みを調達。それら素材をもとに商品開発・製造・販売を行い、全国の直営ショップや、カルチャースクールなどを通じて、ハーブやアロマテラピーを普及・啓発してきました。

そして今、これまで培ってきたノウハウを活かし、ハーブやアロマテラピーのみならず、より多くの自然の恵みを採り入れることで、心身ともに健康で美しくあるためのWellness(ウェルネス)&Well-being(ウェルビーイング)なライフスタイルを提案していきます。

代表者:代表取締役 重永 忠
所在地:〒150-0001 東京都渋谷区神宮前 6丁目3番8号
URL:https://corp.treeoflife.co.jp/

2024年12月23日付 繊研新聞に掲載されました

2024年12月23日付 繊研新聞掲載
 3女子大が問題解決型産学プロジェクト
 「生活の木のフェムケア製品の20代向け訴求法を提案」

本学と大妻女子大学、跡見学園女子大学の3校が
生活の木と行ったプロジェクトの最終発表会について
繊研新聞で紹介されました。

繊研新聞社WEBサイトリンクhttps://senken.co.jp/

大川先生からのメッセージ

今年度のテーマは、女性にとってはとても大切なテーマでありながら、まだ余り認知の進んでいない新しい領域。最初はどのように進められるか、伴走する我々教員も手探りの状態でしたが、全員で足を運んだ「Fem+」の展示会で、この市場の盛り上がりを実感し、そこから話し合いも進み出しました。皆で協力しながらアンケートを集めたり、学生のみなさんの実感から発想した数々のアイディア。今後の商品開発にも活用出来る内容が多数あったと、重永様、望月様からも高い評価をいただきました。ほんの2ケ月の成果とは思えない説得力ある提案は、最終学年に向けて、彼女達の更なる成長を予感させる素晴らしい内容でした。

【昨年の記事はこちらからご覧ください】
https://socialcooperation.jissen.ac.jp/topics/6587/

2024年9月9日

2024年度「キャリア開発実践論」が行われました。(8/24~26)

先行きが益々不透明になる時代にあっても、社会で活躍し、リーダーシップが発揮できる人財に成長して欲しいと願い実施してきたキャリア教育科目「キャリア開発実践論」がクロスウェーブ府中において行われました。本学のキャリア教育科目を代表する授業として、企業の管理職レベルの内容を大学の正課科目として行う特別な講座も今年は9年目を迎え、16名の精鋭たちが参加しました。これまで180名の学生が飛び立ってくれています。

<熱い仲間16名が集結>

今年も、3年生14名、4年生2名の合計16名が、本講座に臨みました。事前課題として提示されたのは、書籍2冊の熟読に加え、自らを分析すること、かなりの時間を費やして課題に取り組んだことが、提出物から読み取れました。
そして、本講座の最大の魅力は、リーダーシップコンサルティング代表の岩田松雄氏(元スターバックスコーヒージャパンCEO)と同社共同代表の鷲見健司氏、そして受講生同士が徹底的に、自分に向き合い、グループで議論することです。

<チームビルディングからスタート>

学年も学部も学科も異なるグループに分かれた学生たち。まずはチームビルディングとして自分たちの共通点を元にチーム名を決め、この講座で得たいこと、そしてチームに対してどういう貢献ができるかを発表しました。その後、岩田氏より「ミッション」についての講義を受けます。「ミッション」を考えることは、これからの人生でとても大切な軸となります。とことん自らと向き合い、ミッションを考える学生の姿は真剣そのものでした。

<今年も20名の先輩社会人を迎えた交流セッションを開催>

本講座のもう一つの特色は、過去の本講座履修生をゲストに迎えて行う先輩交流会が行われることです。今年も第1期生から8期生まで20名がクロスウェーブ府中に集まりました。実際に働いている先輩方の話が聞けるということで、学生からは就職活動についての相談や、現在の仕事のやりがいなどの質問をして盛り上がりました。また、社会で活躍されている卒業生にとっても、鷲見氏・岩田氏や卒業生同士が交流できる機会となっています。卒業生たちのキャリアも様々ではあるものの、この授業で学んだこと、経験したことが社会に入って役に立っていることを後輩に熱く語ってくれていました。後半はクイズ大会が開かれ、2時間半の交流会はあっという間に終了しました。

<ケーススタディでのファシリテーターの体験>

2日目は再び岩田氏より「リーダーシップ」を学んだ後、鷲見氏より「ファシリテーション」について実践を用いて学びました。まず、学生たちはグループ毎に“ミーティングルール”を決めます。そのルールを共通認識として、必ずファシリテーターの役割を含め、役割を変えながら、チームディスカッションを合計5回行いました。自身のファシリテーション力を発揮するだけでなく、チーム全員がそれぞれの役割を全うしながら、難しい課題に対しても積極的に意見を出し合い、話し合いを進めていく様子が印象的でした。学生からは、「普段は聞き役に回ることが多かったが、グループの仲間が支えてくれたことでリーダーシップも発揮出来て、ファシリテーターとは何かについて考えることが出来た。」、「相手の立場に寄り添う大切さも実感したが、一方、遠慮することなく自分の意見を言葉にして伝えることの大切さを学べたのが良かった」など、実践したからこその感想が出ました。

<ミッション作成と宣言を実施して後期期間での実践を約束>

最終日は、「リーダーシップ」と「ファシリテーション」を具体的にどう発揮するかを踏まえて考えた一人一人の「ミッションステートメント」をチームで共有しました。3日間という短い時間の間に自身と向き合い、ミッションを考えた学生たちからは、「好きなことと得意なことは比較的良く考えられたが、人のためになることを考えるのが難しかった」という意見や、「行動宣言を言語化する際には、どうしても抽象的な表現や内容になってしまい、具体的な行動をいれることが難しかった」など、多くの感想が出されました。これに対し岩田氏より、「見ていると、ミッションよりも行動指針(バリュー)に近いものがありました。そういったものについては、これからどのような場面で活かしていきたいのかをイメージできるとより具体性が出るので、ミッションにすることができると思います。ミッションは常に変化し進化するものですので、是非これからどんどんブラッシュアップしていってください」というフィードバックが送られました。そして、学生たちは3日間の学びや気づきから作った「アクション宣言」を行い、終了となりました。

最後に深澤教授より、「縁を大切にしてほしい」というお話しがありました。講師の岩田氏・鷲見氏はもちろん、卒業生や、チームのメンバーと共に過ごした3日間とそのご縁を胸に、今後の学生生活を送ってほしいというメッセージが送られました。

岩田松雄氏より

今年度も学生の皆様には、真摯に課題に取り組んでいただきました。「ミッション」・「リーダーシップ」・「ファシリテーション」・「プレゼンテーション」等の授業は大企業の部長研修とほぼ同じレベルの内容です。しかしながら受講生の皆さんは、自己を見つめ直し、自分の頭で考え、チーム内で討議をして、3日間で多くのことを学ばれておられるようです。合宿での様々なグループ討議を通じ、チームメンバー同士が日を追って強い絆で結ばれ、一生の財産になっているのではと感じます。最終日、自己のミッションなどの決意表明をするのですが、内容が素晴らしくとても感動します。我々講師陣も毎回多くの刺激をいただいています。

鷲見健司氏より

本講座の過去8年全年代の卒業生21名が今年もクロスウエーブ府中を訪れてくれました。本講座の学びや精神を共有する先輩との触れあいとつながりは、就活や卒業を控えた受講生にとって得難い貴重なものです。それは日本中のどの大学にもない本講座の素晴らしい価値です。
「社会を変える、世界を変える」若きフューチャーリーダーたちとの3日間は、毎年私に社会や世界の未来への希望を感じさせてくれます。数か月間の実践を経て更に成長した受講生との1月の再会が楽しみです。

学生からのコメント

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今振り返って、客観的に見て3日間あの環境の中で過ごしていたと思うと、すごく集中して学んでいたんだなと感じました。本当に濃い3日間で、あっという間だったように感じます。この講座を通して、自分の中でのリーダー像が明確になりましたし、今まで悩んでいたことが急にすっきりした感じがしています。
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この2泊3日という時間の中で自分が成長するぞという強い信念があったので、申し込みを決めました。実際に講座が始まってから家に帰るまでの間、リーダーとは、自分のミッションとは、自分のやりたいことは何か、優れたファシリテーターになるにはをずっと真剣に考えていました。どれも答えがあるわけではないからこそ、自分の価値判断だけは忘れてはいけないと強く感じられました。自分と向き合うきっかけになり、将来どんなことを成し遂げるためにどんな仕事をしていきたいかの方向性も見えてきて参加できて本当に良かったです。アクションはみんなに宣言したからこそ絶対やって自分に磨きをかけていきたいです。
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3日間、社会のトップを走るお二方からの貴重な授業を受けることができて非常に良かったと思います。自分のミッションを考えるために、自分の好きなこと・得意なこと・人のためになることを他者を巻き込みながら考えられる機会はなかなかないため有意義でした。
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3日間自己分析をし自分と向き合いながらリーダーシップやファシリテーションについて実践的に考えることができました。最初に私は3日間で、自分に自信を持てるようになりたいと目標を立てていました。グループワークをしていくなかで、発表をすることもあり、参加前よりも自分に自信が持てるようになったと思います。ミッションステートメントを考えるのが一番大変でした。しかし、好きなこと、得意なこと、人のためになることの3つを考えられたことで、自分を知ることができました。最後にグループのメンバーからメッセージカードをもらって、普段はなかなか言ってもらう機会のないフィードバックをもらうべき点を3日間一緒に頑張ってきたメンバーに言ってもらうことができて、よかったです。
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深澤晶久教授より

キャリア開発実践論は9年目、今年8月での閉館が決まっているクロスウェーブ府中での最後の開催となりました。
岩田様、鷲見様からは、社会人、しかも管理職レベルの数々のご示唆をいただき、また、熱心なアドバイスもあり、3日間で大きく成長した姿には、頼もしさすら感じました。
20名の先輩との交流も含めて、まさに「大学の価値は卒業生が決める」を体現するその活躍は、現役学生にとっては、貴重なロールモデルとの出会いになったことと思います。

毎年、絶大なるご支援をいただいている岩田様、鷲見様には、この場を借りて厚く御礼申し上げます。

2024年3月5日

「『学び』から考えるウェルビーイング」JWP(実践ウェルビーイング・プロジェクト)のメンバーが参加

2月10日(土)、実践ウェルビーイングプロジェクト(JWP)の1年生から3年生のメンバー9人が、ユームテクノロジージャパン株式会社を訪問し、「『学び』から考えるウェルビーイング」と題したワークショップに参加しました。

――最新のラーニングプラットフォームを活用したワークショップ

文学部国文学科の深澤晶久教授が2021年に立ち上げた正課外のプログラム「実践ウェルビーイングプロジェクト(以下、JWP)」。有志の学生たちがさまざまな活動を通してウェルビーイングについて学んでおり、2月10日(土)は2023年度の活動の締めくくりとして、ユームテクノロジージャパン株式会社を訪問。「『学び』から考えるウェルビーイング」と題したワークショップに参加しました。

講師を務めてくださったのは、最新のテクノロジーを駆使したオンライン学習プラットフォームを展開するユームテクノロジージャパン株式会社のラーニングエバンジェリストで、人材開発コンサルティング事業や学習の研究を手掛ける株式会社ラーニングシフトの代表でもある小仁聡氏。ワークショップは、ユームテクノロジージャパンが提供するラーニングプラットフォーム「UMU」を活用して進められました。

――学ぶことの重要性と、ウェルビーイングとの関係を考察

最初に学生たちが向き合ったテーマは「なぜ学ぶことが⼤切か?」。学生たちが事前に答えたアンケートの結果を共有しつつ、「学び」をどう捉えるか、小仁氏はさまざまな視点を提示していきます。日本でも大ヒットしたビジネス書「LIFE SHIFT(ライフ・シフト)―100年時代の人生戦略」を紹介すると、人生戦略は「教育・仕事・引退」といった3つのステージから、マルチステージへとシフトしていると説明。「⽣産性資産」「活⼒資産」「変⾝資産」を意識的に身につけることの意義や、予測不可能な事態が起きる社会が「VUCA(Volatility、Uncertainty、Complexity、Ambiguity)」から「BANI(Brittle、Anxious、Non-Linear、Incomprehensible)」へと変化していることに触れ、創造的なリスキリングの重要性を指摘しました。

続くテーマは、「何を学習するとよいのか?」。「ウェルビーイング」という言葉はWHO(世界保健機関)や、2015年の国連サミットで採択されたSDGs、OECD(経済協⼒開発機構)のEducation2030プロジェクトが提⽰した「ラーニング‧コンパス2030」で取り上げられています。小仁氏はそのうちの「ラーニング‧コンパス2030」に注目。⾃律的学習⼒を磨くことが⼤切だとし、リフレクションにより学びの動機の源となるビジョンを明確にすることで、現状とのギャップを埋めようとする内発的動機、いわゆるクリエイティブ‧テンションを高められると語りました。

さらに小仁氏は、学びに意欲的な割合が幸せな活躍層に多いという調査結果を引用。幸せな活躍につながる5つの学びの特性についても解説しました。

なお学生には、その都度気付いたこと、その気づきから次に起こすアクションを並べて書き込める「ブリッジングシート」が配られ、このシートに書き込み行う時間も適宜設けられました。書き込んだ内容は、いくつかのグループに分かれてお互いに共有。これがさらなる気づきを喚起している様子でした。

また、講義の合間にはグループワークも。「学びとウェルビーイングの関係を考える」というテーマの議論では、「学びはウェルビーイングを目指すためのツールである」「学びはウェルビーイングに向かうまでのプロセスである」「学びとウェルビーイングは豊かな生活を築く両輪である」など、ウェルビーイングを考察するにあたり有用な意見が各グループから出されました。

――学びとウェルビーイングからつながるキャリア形成の道

最後のテーマは「どのようにして学びキャリアを形成するか?」。ラーニングコンパスでも提唱されている⾏動モデル「AAR(Anticipation、Action、Reflection)」や、意志的キャリア形成の4要素「VITM(Vector、Image、Trial、Meaning)」の説示に、熱心に耳を傾ける学生たち。最後に、今回のワークショップを通して自分の思考がどのように変化したのか、それぞれが自分の言葉で言語化することにチャレンジしました。

「学びは勉強であり、面白くないものだと考えていたが、人と関わり自分を高めて人生を豊かにするための行為すべてが学びだと考えるようになった。学び続けることが生き続けることだと知り、今後は自身の強みを見つけながら積極的に多くの活動に取り組みたいと思うようになった」「学びは単なる興味の探究だと考えていたが、探究の過程にもさまざまな手段があると考えられるようになった。今後はAARサイクルや自律的学習を日常で実践していきたい」などと今回のワークショップを振り返った学生たち。学びという視点からウェルビーイングを考えることを通して、今後のキャリア形成における重要なヒントも持ち帰りました。

2024年度もJWPは新たな取り組みを続けていきます。

◆参加学生のコメント

  • 小仁さんのお話から、学びとはそもそも何を指すのか、ウェルビーイングとの関係性も含め、幅広く「学び」を捉え直すことができました。AARサイクルや自律的学習など具体的な取り組み方も知ることができたので、ぜひ実践したいと思います。
  • ウェルビーイングを「社会的に心も体も健康で生きがいがある状態」と捉えると、学びはウェルビーイングの手段なのだと感じました。また、JWPの活動を通して、体験を言語化して人と話すといった社会的な経験、さらにはそれを継続することも学びだと理解できました。
  • 日々の気づきをそのままで終わらせず、そこからアクションを起こすことが大切だと知りました。特に印象的だったのが、幸せな活躍につながる5つの学びです。その中の一つであるソーシャル・ラーニングは、これまでの経験から私自身もその重要性を実感しています。だからこそ、今一度自分の周りにはどのような人がいるかまとめてみたいと思いました。
  • 「学び」を実践し続けてきた小仁さんだからこそ語れる内容だと感じました。私ももっと自身の学びを深め、いつか小仁さんのように堂々と学びについて語れるようになりたいです。
  • 現代社会に参戦できる人材を育成するために必要なのは、ひたすら問題を解く学習だけではないと知りました。今回のワークショップで学んだことを、日常生活に活かしていこうと思います。
  • 自分の気づきを他者と共有することがさらなる学びにつながるというのは、新しい発見でした。また、その学びからアクションを起こすことを習慣化することが、自分自身の成長につながると知りました。また、ウェルビーイングを実現するためのプロセスが学びであるという考えも印象に残りました。自分がなりたい姿を描いてこそ、やりたいことが明確になるということを学べました。
  • 今回のワークショップを通して、「学習」というものの捉え方がガラッと変わりました。自分が成し遂げたい姿を想像して行動することで学びの視野は格段に広がり、小さな気づきや関心を大切にすることが豊かな生活につながるのだと気づきました。これまで「学習」とウェルビーイングのつながりを考えることはありませんでしたが、ウェルビーイングな人生に「学習」というプロセスが密接に関わっていることを実感しました。
  • 大学で受講した教員採用試験対策講座で教育時事を学んだ際、教育とウェルビーイングの関連性が注目されているということはさらっと学びましたが、今回、小仁さんのお話を伺い、あらためて教育とウェルビーイングについて考える一歩を踏み出せたと感じています。「人間は寝ている間以外は常に学んでいる」という言葉をお聞きして、目標をもって常日頃から生活したいと考えるようになりました。

◆ユームテクノロジージャパン株式会社/株式会社ラーニングシフト 小仁聡氏のコメント

経済産業省が提唱する「社会人基礎力」、それを養うための「リフレクション」を軸に、小学校から社会人までさまざまな層のリーダーシッププログラムで使用しているメソッドを取り入れながら、「『学び』から考えるウェルビーイング」という新たな視点で企画したのがこのワークショップです。

今回、実践女子大学の学生の皆さんとお会いして驚いたのは、その意欲の高さです。ワークショップ内では、気づきとそこから得られる次のアクションを「ブリッジングシート」に書き込んでいただきましたが、皆さん、びっしりとたくさん書き込みをされていて大変驚きました。これまで、ほかのキャリア講座などでもこのブリッジングシートを導入してきましたが、これほどたくさん書き込んでいる例はあまり見受けられません。正課外であるJWPの活動に自主的に取り組んでいるだけあり、考える力を身につけている学生さんが多いと感じました。

OECDの「ラーニング‧コンパス2030」でもウェルビーイングという目標を目指す姿が描かれているように、学びとウェルビーイングは切り離せない関係にあります。学びは人生を豊かにしてくれるもの――。今回のワークショップでお伝えしたこと、すべてを実践する必要はありませんが、どれも試して損のないことばかりです。どれか一つでも、学生の皆さんの新たなアクションにつながれば幸いです。

担当教員からのメッセージ

2023年度のJWP(実践ウェルビーイングプロジェクト)の締めくくりとして、私が企業時代にお世話になったユームテクノロジー社の小仁さんにお願いして最先端の学びを実感できるワークショップを実施いただきました。

「学び」そのものがウェルビーイングである。「学び」は、日々の授業は勿論、あらゆる体験・経験などが学びであり、どれだけ主体的に取り組めるかで、ウェルビーイングの質やレベルが変わってくる。そんな思いから、今年度のファイナルプログラムにいたしました。

小仁様には、本当に素晴らしいプログラムを構築いただき、心から感謝申し上げます。
この学びを、2024年度のJWP(実践ウェルビーイングプロジェクト)の活動に繋げていきたいと思います。

文学部国文学科 深澤晶久教授

2024年3月5日

JWP(実践ウェルビーイング・プロジェクト)の4年生メンバーが資生堂グローバルイノベーションセンターを訪問(1/30)

1月30日(火)、実践ウェルビーイングプロジェクト(JWP)のメンバーが深澤晶久教授とともに株式会社資生堂の複合体験施設「資生堂グローバルイノベーションセンター(以下、S/PARK)」を訪問。資生堂のウェルビーイングへの取り組みについてレクチャーを受け、施設を見学しました。JWPの活動の一環として資生堂グローバルイノベーションセンターに訪れるのは、昨年10月に続いて2回目となります。

 ※前回の資生堂グローバルイノベーションセンターへの訪問記事はこちら

――ウェルビーイングという言葉が生まれる以前から、ウェルネス領域に取り組んできた資生堂

2021年、文学部国文学科の深澤晶久教授が立ち上げた正課外のプログラム「実践ウェルビーイングプロジェクト(以下、JWP)」。有志の学生たちがさまざまな活動を通してウェルビーイングについて学んでおり、S/PARKの訪問は昨年10月に続いて2回目。今回は、JWP発足時からのメンバーでプロジェクトの中心的な役割を担ってきた4年生5名が参加しました。

まずは、資生堂の中田美奈子さんによるレクチャーからスタート。資生堂が2019年にオープンしたS/PARKのコンセプトやウェルビーイングへの取り組みについて解説いただきました。かねてより、日本発のビューティカンパニーとしてウェルネスへの展開を推し進めてきた資生堂。ウェルビーイングという言葉が一般化する前から、ウェルネスという合言葉のもとウェルビーイングを体現してきたという説明に、学生たちは大いに感銘を受けた様子でした。

「S/PARKは、“美のひらめきと出会う場所”。『都市型オープンラボ』として多くの研究員が勤務する資生堂最先端の研究施設であると同時に、お客さまと研究員のコミュニケーションを通じて、ビューティイノベーションや新たな価値を創造する場でもあります」と中田さん。社員しか立ち入ることができない一般開放エリア以外のワークプレイスも動画でご紹介いただき、学生たちは最先端のウェルネスオフィスの設備に驚きの声を挙げていました。

――「S/PARK Cafe」でランチ。「S/PARK Beauty Bar」や「S/PARK Museum」も見学

レクチャーの後は、毎日の気分や体調に合わせておいしくて健康的な食事を楽しめる「S/PARK Cafe」でランチタイム。“野菜中心の”という意味の“ベジセントリック”をコンセプトにしたこのカフェにも、ウェルビーイングを実践する資生堂ならではの考え方が生かされています。学生たちは旬の食材がふんだんに使われた彩り鮮やかなランチプレートを味わい、体の内側から“美”をサポートしたいという資生堂の思いに触れました。

さらに、ランチのあとは、パーソナライズスキンケアサービスや貴重な化粧体験が楽しめる「S/PARK Beauty Bar」、入場無料の体験型ミュージアム「S/PARK Museum」などを見学。視覚や嗅覚、触覚といった五感を通して、あらためて資生堂が考えるウェルビーイングについて考察を深めました。

◆参加学生のコメント

「ウェルビーイングには確固たる定義がないからこそ、“美”というウェルビーイングの新たな視点が得られて多くの学びがありました」(人間社会学部人間社会学科4年 竹川 歩)

「S/PARKの3階、4階には、他社の方々とのコラボレーションする際に利用できるホールやラボを備えていると伺い、企業間には競争だけでなく、お互いに技術を持ち寄ってより良い製品を作るという姿勢も必要だと感じました」(人間社会学部人間社会学科4年 福田 悠乃)

「ウェルビーイングという言葉が一般的になる前から、気付けばウェルビーイングを実践していたというお話をお聞きし、大変感銘を受けました。資生堂とのご縁をつないでくださった深澤先生にも感謝申し上げます」(人間社会学部現代社会学科4年 牛尾 恋々)

「S/PARKはとてもきれいな施設で驚きました。ワークプレイスにはジャングルジムや、居住区間を再現したスペースもあると動画でご紹介いただき、一つの製品を作り上げるには研究はもちろんのこと、環境も重要なのだと感じました」(人間社会学部現代社会学科4年 遠藤 美和)

「研究所というと堅いイメージがありますが、S/PARKは低層階が一般の方々にも開放されていて、社会とのつながりを大切にしているところが素晴らしいと思いました。」(人間社会学部現代社会学科4年 齋藤 由佳)

2023年11月6日

JWP(実践ウェルビーイング・プロジェクト) 資生堂グローバルイノベーションセンター視察研修を行いました。

2023年度のJWP(実践ウェルビーイング・プロジェクト)活動(担当:文学部国文学科 深澤晶久教授)の第一弾として、10月28日(土)に、1~4年生のメンバー18名とともに、横浜みなとみらいエリアにある「資生堂グローバルイノベーションセンター」を視察してきました。

◆美から考えるウェルビーイング

今回のテーマは「美から考えるウェルビーイング」とし、株式会社資生堂の中田美奈子さん、山名淳さんから「資生堂の目指すウェルネス・ビューティー」と題して特別講義をいただいた後、資生堂グローバルイノベーションセンター内にあるS/PARK Museum、S/PARK Studioなどを見学させていただきました。

たまたまハロウィンの季節限定特別イベントである「セカンドスキンメイク」の体験にも参加させていただき、最後は
資生堂パーラーの S/PARK Cafeでのランチと、盛りだくさんのプログラムを体験してきました。

爽やかな秋晴れの土曜日の午前中、まさに「ウェルビーイングなひととき」を過ごすことが出来、ビューティーという視点からウェルビーイングを考える大切な機会となりました。

今年度のJWP活動には、「美」「幸福学」「デザイン思考」そして「学びの型」の4つの視点からウェルビーイングを考えるプログラムが組み込まれています。

◆参加した学生のアンケートより

本日S/PARKを視察させていただき、資生堂さんのこれまでと、今後どんな方向を向いているのかを学ぶことが出来ました。私たちの親世代が使う化粧品のイメージで、手の届かない存在と考えていましたが、私たちが今考えているwell-beingをBeautyと心の健康の面から考えていて、繋がる部分を感じることができて嬉しかったです。また、環境との共存の為の活動も行っており、well-beingに向けた活動がとても進んでいる素晴らしい企業だと感じました。私も、生活における様々な面からwell-beingを考えていきたいです。
今回見学や資料で見せていただいたS/PARK内もとても印象的でした。常に新しいアイデアが浮かびそうな心が弾んだりリラックス出来る環境が創られていて、仕事を全力で楽しむことができる素敵な場所でした。私は理系でも無ければ「美」の知識はまだほぼ0なのですが、それでもここで働きたいと思うような素敵な体験をすることが出来ました。素晴らしい機会とお話をありがとうございました。(人間社会学部2年)

美から考えるウェルビーイングに繋げることができました。資生堂は、常に時代にあった「美」「ビューティー」を追求しているのだと分かりました。そこから時代や環境によって「美のあり方」が変わるのだと考えました。また、ハロウィンイベントでは女性だけでなく男性もメイクをしていて、すごく印象に残りました。その関係もあるのか、体験してる子供の中に男の子もいたので、化粧=女(性、の子)という印象は徐々に変わっていくと思いました。そうすることで美からのウェルビーイングの可能性はより広がると思います。
見学では、たくさんの化粧品をみてとても心躍りました。メイク初心者の私は化粧品を買い物中に眺めるだけの時間も好きで、なぜ好きなのかが「遊び心を忘れてないから」だということが見学してわかり、その展示がとても印象に残りました。
化粧品だけでなく、人からの意見を取り入れるための部屋(環境)づくり、バランスを考えた食事など資生堂が考え、取り組んでいる美について学ぶことができてよかったです。はじめは美と聞くと女性の印象が強かったですが、今回の視察から新たな発見ができました。貴重な経験ができて本当によかったです。(人間社会学部1年)

担当教員からのメッセージ

約15名でスタートしたJWP(実践ウェルビーイング・プロジェクト)の活動も、3年目の今年は、1~4年生あわせて40名の学生が参加してくれる大型プロジェクトへと成長してきました。授業でもゼミ活動でもない、あくまでも有志の学生から構成される取り組みであるので、参加している学生は、主体性に溢れ、好奇心旺盛で、そしてキャリアデザインに前向きな学生ばかりです。

今回は、私自身が所属していた資生堂の新しい研究施設、世界に開かれた、まさにオープンイノベーションな環境の中で、歴史の大切さと新しい時代に立ち向かう企業の姿勢を限りなく感じられる空間での視察は、まさにウェルビーイングを考えるのに相応しいスペースでした。

この活動を通じ、一人ひとりの学生がウェルビーイングを考えるきっかけを掴み、21世紀を先導する人間として飽くなき成長を続けてくれることを期待したいと思います。

最後になりましたが、我々を快く受け入れて下さった、資生堂の中田美奈子さんと山名淳さんに、この場を借りて厚く御礼申し上げます。

文学部国文学科 深澤晶久教授

※頬には、当日実施していた「セカンドスキンメイク™」で
 ハロウィンのイラストを体験しました。

2023年9月13日

2023年度「キャリア開発実践論」が行われました(8/26~28)

どんな時代にあっても社会で活躍し、リーダーシップを発揮できる人材に成長して欲しいと願い実施してきたキャリア教育科目「キャリア開発実践論」が、クロスウェーブ府中において行われました。本学のキャリア教育科目を代表する授業として、企業の管理職レベルの内容を大学の正規科目にアレンジした特別な講座は今年度8年目を迎え、過去最多である27名の学生が参加しました。これまで、140名を超える学生が巣立っています。

◆過去最多の27名が参加

8年目となる今年は、大学3年生23名、大学4年生4名の合わせて27名が履修し、過去最多となりました。やはりこの授業の醍醐味は、リーダーシップコンサルティング代表の岩田松雄氏(元スターバックスコーヒージャパンCEO)と同社共同代表の鷲見健司氏とともに、とことん議論を尽くすことに最大の意義を見出すことであり、今年も講師と学生、学生と学生の熱い議論が3日間続きました。

本講座は事前に課題図書が3冊提示されており、学生たちは夏休み期間に相当な事前学習に取り組んだ上で講座当日に臨んでいます。

◆自分自身と向き合う

学部・学科・学年の異なるグループに分かれた学生たち。まずはチームビルディングとして自分たちの共通点を元にチーム名を決め、この講座で得たいことを発表しました。その後、岩田氏より「ミッション」についての講義を受けます。「ミッション」を考えることは、これからの人生でとても大切な軸となります。とことん自らと向き合い、ミッションを考える学生の姿は真剣そのものでした。

◆先輩交流会

初日の夜には、過去の本講座履修生をゲストに行う先輩交流会が行われ、今年も第1期生から7期生まで20名がクロスウェーブ府中に集まりました。
実際に働いている先輩方の話が聞けるということで、学生からは就職活動についての相談や、現在の仕事のやりがいなどの質問をして盛り上がりました。また、社会で活躍されている卒業生にとっても、鷲見氏・岩田氏や卒業生同士が交流できる機会となっています。後半はクイズ大会が開かれ、2時間半の交流会はあっという間に終了しました。

◆実践を用いて学びをアウトプット

2日目は再び岩田氏より「リーダーシップ」を学んだ後、鷲見氏より「ファシリテーション」について実践を用いて学びました。まず、学生たちはグループ毎に“ミーティングルール”を決めます。そのルールを共通認識として、それぞれ役割を変えながら、チームディスカッションを合計5回行いました。自身のファシリテーション力を発揮するだけでなく、チーム全員がそれぞれの役割を全うしながら、難しい課題に対しても積極的に意見を出し合い、話し合いを進めていく様子が印象的でした。学生からは、「普段はファシリテーターよりもサポートに回ることが多かったが、実際にやってみたら自信がついた」、「ついつい自分が仕切りがちになってしまうが、いろいろな役割を経験してみて、それぞれのふるまい方が学べたので良かった」など、実践したからこその感想が出ました。

◆ミッションステートメントとアクション宣言

最終日は、「リーダーシップ」と「ファシリテーション」を具体的にどう発揮するかを踏まえて考えた一人一人の「ミッションステートメント」をチームで共有しました。3日間という短い時間の間に自身と向き合い、ミッションを考えた学生たちからは、「考えたミッションに対して他者からコメントをもらい、自信を持つことができた」という気付きを得た半面、「具体的な行動をいれることが難しかった」という感想が出ました。これに対し岩田氏より、「見ていると、ミッションよりも行動指針(バリュー)に近いものがありました。そういったものについては、これからどのような場面で活かしていきたいのかをイメージできるとより具体性が出るので、ミッションにすることができると思います。是非これからどんどんブラッシュアップしていってください」というフィードバックが送られました。そして、学生たちは3日間の学びや気づきから作った「アクション宣言」を行い、終了となりました。

最後に深澤教授より、「出会いを大切にしてほしい」というお話しがありました。講師の岩田氏・鷲見氏はもちろん、卒業生や、チームのメンバーと共に過ごした3日間とそのご縁を胸に、今後の学生生活を送ってほしいというメッセージが送られました。

岩田松雄氏より

今年度も希望者が多く、通常より多くの受講生が参加していただきました。「ミッション」・「リーダーシップ」・「ファシリテーション」・「プレゼンテーション」等の授業は大企業の部長研修とほぼ同じ内容です。しかしながら受講生の皆さんは、しっかり自分の頭で考え、チーム内で討議をして、3日間で多くのことを学ばれておられるようです。合宿での様々なグループ討議を通じ、チームメンバー同士が日を追って強い絆で結ばれ、一生の財産になっているのではと感じます。最終日、自己のミッションなどの決意表明を発表するのですが、例年のことながら、とても内容が素晴らしくいつも感動します。我々講師も毎回多くの刺激を受けています。

鷲見健司氏より

合宿形式に戻った去年から2回で、のべ45名の先輩が講座に足を運び、受講者と触れ合ってくださいました。有難い限りです。「大学の価値は卒業生が決める」という深澤先生の言葉に倣えば、先輩方こそが本講座の価値を教えてくれています。そしてまた、今年も受講者27名の若い力が、私に未来への希望を感じさせてくれました。
「社会を変える、世界を変える」フューチャーリーダーたちの成長に少しでも関わらせていただくことができたことを大変嬉しく、光栄に思います。

深澤晶久教授より

キャリア開発実践論は8年目、今年は過去最高の27名の精鋭たちが、クロスウェーブ府中に集結しました。
岩田様、鷲見様からの数々のご示唆をいただき、また、熱心なアドバイスもあり、3日間で大きく成長した姿には、頼もしさすら感じました。
そして、今年も、過去履修して下さった先輩も20名が駆けつけて下さり、懇親会まで開催することが出来ました。

2022年11月8日

社会連携授業「JAL社員と考えるSDGs」3チームの最終発表が行われました!

日本航空株式会社産学連携部の方々をお招きし、「SDGsの観点から考える新しい機内食サービス」を考え提案する全3回の授業が、いよいよ最終回を迎えました。これまでチームで取り組んできたグループワークを企画にまとめ、JAL社員の皆様にプレゼンテーションしフィードバックを頂くという貴重な場。3チームはどんな企画を提案したのでしょうか? 緊張しながらのプレゼンテーション、Q&A、JAL社員の方々からのフィードバックで盛り上がる、貴重なまとめの授業となりました。

食品ロスをなくす機内食を提案(チーム3年生)

最初のプレゼンは、チーム3年生でした。
食品ロスを減らすことを目的とし、国際線のビジネスクラス以上をターゲットとした絞り込んだ提案内容に、教室に集まった全員が引き込まれました。

現在、日本航空株式会社の中でどれだけの食品ロスが生まれているのか、JALグループ国際線輸送実績のデータをわかりやすく提示した上で、
①完全に事前予約制にする、
②食材の地産地消、郷土料理提供、
③機内食を体験できるレストラン
という3つの企画が示されました。

③のレストランには機内食で余った食材を利用し、コロナ禍でも飛行機の旅を食で楽しむことができ、それは将来の飛行機の利用につながるというシナジーが盛り込まれていました。

発表後、他チームの学生からは、「完全予約制のフローが具体的でわかりやすい」という感想が。
またJAL社員からのフィードバックでは、「レストランの場所はどこを想定しているかなど、企画を具体化することでよりいろいろなものが見えてくる」おもしろさを語っていただきました。

各都道府県の食材を活用しよう!~目指せ地産地消~(チームAの4乗)

続いて発表したのは、 1、3年生混合のチームAの4乗。
JALグループの最重要課題として掲げられている環境、人、地域社会に注目し、その具体的な解決策として規格外野菜の活用と食品廃棄の削減(余った機内食の有効活用)を取り上げました。

それをまとめる形で提案された企画は、47都道府県の特産品を使用したメニューです。北海道、関西、九州、海外など、テーマにあわせて具体的なメニューがおいしそうなイラストとともに視覚化され、他チームの学生からは「食べてみたい」という率直な感想が寄せられました。企画の最後には、現場のスタッフのモチベーションとなる「ジャパンSDGsアワード獲得」という具体的な目標も。
フィードバックでは、日本の課題解決につなげたいという意志を乗客に伝えることが必要であること、パンフレットなどでストーリーを語る方法についてご紹介いただきました。

『目指せ!世界一のサステナブル』現代~将来のニーズに合わせた機内食の提案(チームにんじん)

最後は1年生と4年生混合のチームにんじんが登壇。
提案の目標を「JALグループの ESG 経営 の取り組みをもとに、廃棄量削減、地域活性によりSDGs 達成に貢献する」と掲げ、食品ロスとプラスチックごみ削減を具体的な目標に定めました。

JALの機内食に対する乗客の口コミや現在提供中のメニューを分析した上で提案したのは、
①完全予約制、
②1プレート和食、
③容器をBPM(竹パルプモールド容器)にする
という3つの企画でした。

特に機内食のチョイスを入力しないとチケット予約ができない新しい仕組みや、食材調達で『JALふるさとプロジェクト』と協業する点には、JAL社員の皆様も関心を示していました。
フィードバックでは、近年外国人に日本のお弁当が注目されていることや、過去の機内食で外国人におふくろの味が人気だった事例が紹介され、1プレート和食への期待が膨らみました。

チームのがんばりを称え、JALの皆様から表彰状が進呈されました

3チームの提案が無事終わり、塩崎さんより「みなさん、ここまでがんばってくれて本当に嬉しいです」という心のこもった講評が。
「この嬉しい気持ちを示すために、みなさんに表彰状をお贈りしたいと思います」という言葉に、学生達に驚きの表情が浮かびました。
各チームの賞はこちらです。

3年生チーム:グッドチャレンジ賞
「難しい課題に、果敢に挑戦したことを称えます」

1年生チーム:JAL想い賞
「JALによりよい会社になってほしいという気持ちが伝わりました」

チームにんじん:サステナビリティ賞
「未来志向で持続可能な機内食という企画を強く感じました」

チームごとに表彰を行い、賞状とプレゼントを手渡すひとときに学生達の笑顔がこぼれました。
こうしたあたたかいねぎらいの前には、緊張したプレゼンテーションや大変だった準備も昇華されそうです。
たくさんの情報を集め、それを吟味し、課題を解決する企画にまとめあげ、クライアントの前で発表したこの授業は、これから社会で活躍する際に役立つ大切な経験になったことでしょう。

2022年9月29日

実践プロジェクトb「人と社会の活性化を促すアート・デザイン」学生達が練り上げた企画の数々が発表されました

実践女子大学と長岡造形大学の2大学が連携し、産学協同で社会をよりよい方向へ進めるアート・デザインを探求する「実践プロジェクトb」。K.UNOさんとリクルートさんにご協力を頂き、「新しい時代のブライダルジュエリー」を考える授業も、いよいよ最終発表を迎えました。学生達はブライダルジュエリーを取り巻く課題を様々な角度から考え、魅力的な企画にまとめあげました。

長岡造形大学では、パッケージなどの実物を制作して持参する学生も

最終発表はこれまでの授業と同様に両大学をリモートでつないで行われ、離れていてもオンライン上で共通のテーマについて考え、一緒に歩んできた仲間達が集合しました。発表を前に学生達が緊張した表情を浮かべる中、K.UNOの青木氏、リクルートの米田氏の「みなさんの発表を楽しみにしていました」というあたたかい言葉で始まりました。

プレゼンテーションの口火を切ったのは、長岡造形大学です。約10分の持ち時間で、全14のチームが順番に壇上へ。8枚の花びらをリフォームしなくともパートナーや子と分けて絆を受け継ぐことができるジュエリーや、結婚記念日を食べられるパンで祝うリングパンなど、次々と個性的な企画が発表されました。家族から譲り受けたパールのネックレスをリメイクするジュエリーは、夫婦だけでなく親子の絆も大切にする視点が盛り込まれていました。

中には企画のパッケージや絵本、ウェルカムボードなどを、実際に造って持参した学生も。画面越しに実物をみた学生達から、歓声が上りました。ブランド名やロゴ、スライドに添えられたイラストなども細部までしっかりデザインされ、完成度の高さを感じさせました。

実践女子大学では、課題の解決にフォーカスした様々な切り口の企画を発表

続いて登場したのは、実践女子大学の5チームです。インテリアチームからは、ジュエリーBOXをインテリアと組み合わせる画期的な企画が発表されました。リビング、ダイニング、ベッドルームそれぞれで、夫婦の絆の象徴であるブライダルジュエリーを活かす新しいインテリアが印象的でした。ツアーチームは夫婦旅行とジュエリーを組み合わせた企画を発表。夫婦で採取した砂金でつくるブライダルジュエリーなど、結婚数年後に設定した旅行を夫婦の絆につなげる工夫が各所に詰め込まれていました。

このほかにも夫婦の記念日の星座が天井に映し出される「ジュエリープラネタリウム」、シングルでも推しと結婚できる「ヲタ活ジュエリー」、指輪をつけられない人でも夫婦が過ごした時間を可視化するインテリアアイテム「シャドウラグストーン」、ブライダルジュエリーを中心に「夫婦のエピソードを描いた絵本」など、次々と魅力的な企画が披露されました。

いずれのチームも企業が直面する課題をどう捉え、その解決には何が必要かというロジックをグラフなどの図表をまじえてしっかり説明し、企画の説得力を強化していたのが印象的でした。

今回の取り組みをどう

すべての発表が終了し、最後にご協力いただいた2つの企業からコメントをいただきました。今回の取り組みを仕事に活かすヒントも合わせて紹介されました。

青木氏:「近年『モノからコトへ』と価値の転換が謳われますが、私たちのオーダーメイドジュエリーの世界では、コト(想い)をモノに込めて表現することが一般的です。ところが今日はそういった観点だけではない、ブライダルジュエリーの幅や可能性を広げる企画が多く、みなさんの発表を通してたくさんの気づきがありました。結婚やブライダルジュエリーに初めて触れる学生ならではの、新鮮な視点を感じることができました。

みなさんの企画に『幸せの時間をより長く楽しむ』、結婚を点ではなく線でとらえる発想が多かった点もその一つです。今日プレゼンテーションいただいた提案や考え方を、今後の商品開発にうまく活かしていきたいと考えています」

米田氏:「今日ここで発表していただいた企画を、みなさんが社会人になった時、自分はどう実現するか改めて考えていただけたらうれしいです。そこに学生のときには気づかなかった、新たな学びが生まれることでしょう。
ビジネスの企画には、再現性・汎用性・新規性という3つの要素が必要です。また魅力ある企画にするためには、①対象を変える、②付加価値をつける、③価値を変えずに伝えることを変えるという視点が役に立ちます。ぜひ会社で企画の仕事をする際は、ぜひ思い出してみてください。
現代の日本では、結婚式や披露宴も減っています。婚姻届けを出したご夫婦の40%しか結婚式を挙げないという調査データもあります。ブライダルジュエリーや結婚式は『夫婦が立ち戻れる場所』という価値を持っています。ゼクシイに携わる者として、できれば多くの人にその価値を再確認してほしいと思います」

4月からスタートし、約半年間に渡ってまとめあげた企画は、どれもブライダルジュエリーの本質を探究した姿勢が現れていました。今回の取り組みは、学生達にとってビジネスの課題を解決する企画の在り方を、深く考えるきっかけになったことでしょう。

2022年9月28日

スポーツニッポン新聞社との社会連携でこれからのオリンピック・パラリンピックの在り方を学生たちがプレゼンする授業が行われました。

2021年に行われた東京オリンピック・パラリンピック2020大会から一年。これからのオリンピックはどうなるかを考える授業が7月19日(火)に渋谷キャンパスにて行われました。ひと月前には有森裕子氏の講演を聞き、改めてオリンピックのレガシーについて考えました。この日は全6班が「オリンピックの明日」についてプレゼンします。開催規模や時期、参加国やジェンダー問題など、これからのオリンピックはどうあるべきかを発表しました。こちらは共通科目「国際理解とキャリア形成」(担当:文学部国文学科 深澤晶久教授)の、スポーツニッポン新聞社との社会連携授業です。この授業の様子は7月27日付のスポーツニッポン本紙にも掲載されました。

ジェンダー平等を実現するには?

1班目のテーマは「スポーツにおける男女平等」です。現在のオリンピックは男女にこだわりすぎているのではないかと指摘。東京大会では競泳や卓球など男女混合種目が増えました。ただ、サッカーなど混合が難しい競技もあることを問題点として挙げました。また女性のスポーツは先進国しか進んでいないことも懸念点として着目。宗教や国の経済事情など女性選手がうまれにくい環境も多くあります。そこで、 IOCが各国を指導することを提案。政治的な思惑とは外れたIOCであれば、男女平等の理念を広められるのではと期待をかけました。

発表の終わりにはスポーツニッポン新聞社の藤山健二編集委員からの講評がありました。藤山氏は、東京大会で混合種目が増えた点に着目したことに感心されていました。唯一男女の区別がない競技として馬術を紹介し、「これから混合種目はさらに増えるだろう」と述べました。IOCが今後様々な種目にプッシュしていくべきだという考えにも賛成していました。

開催時期はスポーツの秋に!

次の班は開催時期や規模、開催地の決定の仕方について提案。時期は気候が良くスポーツがしやすい秋に据えます。開催地は、一般投票をするシステムをプラスすることを提案しました。各国のプレゼンのあとに、全世界の人がネット投票できる仕組みです。決定から参加することでさらに興味を持ってもらえる効果を狙います。参加国は、貧困地域も含めすべての国から参加できるように働きかけます。2016年から導入された難民選手団の人数や出場種目を拡大するなどを提案しました。

藤山氏は「具体的な例が出てきて面白かった」と感想を伝えました。その上で、秋開催の難しさには現在のオリンピックの問題があることを教えてくれました。現在のオリンピックの最大のスポンサーはアメリカのメディアです。視聴率を取るために、他にスポーツの大会のない夏に行うことが、オリンピック憲章にも記載されているのです。スポーツそのものより利権が重視されている大きな問題です。ただ、全世界的に気温が高くなっている昨今「改善していかなくてはいけない」と藤山氏は語りました。

国対抗の意識を減らしてより自由なオリンピックに

3班目は、有森裕子氏の講演を聞き学んだ「オリンピックは国対抗ではなく個人戦である」という点にフォーカスしました。入場を国ごとではなく競技ごとにしたり、国旗や国歌の使い方を改めたりするなどの案が出ました。また、現在の報道は自国選手のメダルの数や国旗を背負った写真など、観客が国対抗だと思ってしまう在り方であるという点を指摘。「ガンバレニッポン」など国を背負わせるメディアの伝え方を改め、選手個人の戦いにフォーカスしたものにすることを提案しました。そうすることで選手のプレッシャーを減らし、LGBTQなども公表しやすくなる効果があると繋げました。

藤山氏も「おっしゃる通り変えていかないといけない」と大きく頷きました。IOCはむしろ国ごとで競わせようとする風潮があるため、それに流されないよう「メディアに携わるものとして、叱られた気分です」と笑いを交えながら述べました。

SNSで選手もみんなも発信しよう!

4班目は、大会が終わった後の振り返りが少ないのではないかという問題点に着目。解決方法として、大会後もSNSを利用し選手や著名人などに積極的に投稿してもらうことを提案しました。2つ目の問題として、特に日本人選手の自己肯定感が低いことを挙げました。選手に国を背負わせるような報道を改め、選手自身も楽しみ良心を感じてもらえる発信をすることが大事だと述べました。さらに、オリンピックの初心である「五輪休戦決議」を思い出し、競技以外のところでも国や選手同士が交流を深めることを提案。争いの多い現代だからこそ、異文化理解やジェンダーなど多様性を受け入れるきっかけになる大会にすることを目指すことを提案しました。

藤山氏からは「SNSでの発信は今後盛り上がっていくと思います」との同意の意見が。これまで選手個人の発信はあまり望ましく思われていませんでしたが、これからはどんどん選手も発信していくべきだと語りました。「そのためには、選手の意識を変えなくてはいけない、オリンピックは個人の戦いなのだということを選手にも共有していく必要がある」と述べました。

もっと多くの人が参加できるオリンピックへ

5班は、オリンピックのモットーに注目。「より速く、より高く、より強く」は男性寄りの考えではないか?と問題提起しました。現代に合わせて「より美しく、共に感動を」と加えることで、女性や後進国も参加することの意味を与えると提案。一人ひとりが目に見えない壁をなくす意識付けが大事であると述べました。性別で試技の場を分けることを廃止し、ホルモン測定値で出場可能とすることで、トランスジェンダーの選手も葛藤なく参加できるようにします。また、オリンピックとパラリンピックは同時開催を提案。別々だとパラリンピックの時期に薄れてしまう関心を集めたままにします。さらに開催地の負担を減らすため、複数国で同時開催という案も出しました。競技ごとに適した場所で行えるため、選手の負担も減るとプレゼンしました。

藤山氏も「男性中心の時代のモットーだったので、変更は良い案ですね」と感想を述べました。オリパラの同時開催や、開催国を分けることもとても具体的で面白かったと語りました。また、経済的にも環境的にも、近い将来複数国での開催は実現するのではないかとも述べました。

一点集中をやめて地方も活性化

6班目は開催地の問題に注目し、一都市で開催することの問題点を取り上げました。全世界から人が集まることで街は混雑し交通は混乱します。そこで開催を国全体で行うことを提案。競技ごとに分散することで、人の集中を防ぎ混乱を防ぎます。また、地方でも競技を行うことで、地方住民も親近感を持って楽しむことができ、観光客も増えるため地域活性化につなげることができます。会場は新設せず、すでにある施設をオリンピック用に改修し利用。費用を抑えられるだけでなく、地方の会場のバリアフリー化を進め、老朽化の防止にもなると提案しました。

藤山氏からは「中身があってとても良い案」と感心の言葉が。東京大会で利用された国立競技場は、1600億円かけ新設され、維持費に年間24億円かかると言われています。現状は大きな赤字であるためどう運営していくかが注目されています。このような事態を避けるため、2030年に誘致中の冬季オリンピック札幌大会は、札幌だけでなく北海道全域で行われる予定であることを教えてくれました。

今回をきっかけにもっとオリンピックについて知ってほしい

6組の班のプレゼンを終えて、藤山氏からの総評をいただきました。「すべての班を聞いて、皆さんの関心はジェンダーの公平性のことなのだなと感じました」と感想を述べました。そして、オリンピック憲章に個人の戦いであると記載されていることが学生たちにとって衝撃であったように、この事実をもっと広めるべきだと語りました。「そのためには、まず選手の意識改革も大事。選手がまだオリンピックを国対抗と思っている」と問題点も述べました。こういった考えを広めるためにも「みなさんがSNSで発信してもらえればいいと思います」と伝えました。そして「せっかくオリンピックについてここまで考えたのだから、より深く知るきっかけにしてください」と語りました。

また、プレゼンの様子を撮影してくれていた亀山氏にもコメントをいただきました。亀山氏はスポーツが大好きで、スポーツニッポン新聞社へ入社。しかし大学卒業からコロナ禍が始まり、コロナ禍ではスポーツは不要不急と言われ苦しい思いをしたと言います。「皆が好きな娯楽についても、今後どういった付き合い方をしていくかという観点を持つのも面白いと思います」とメッセージを伝えました。また、就活にあたり自分の意見を持ち、周りの人たちの意見を取り入れる柔軟性を持つようエールを送りました。

東京大会の残した<レガシー>とは

最後に深澤教授の総括がありました。深澤教授は東京大会の準備・運営を行う組織委員会の「文化・教育委員」の一員でした。前回の東京大会は、戦後の復興の象徴として、建物などハード面を強化した大会でした。今回の東京2020大会は、未来を担う若者たちの心に残るソフト面を重視した大会を目指していました。そのため全国810の大学・短大と連携協定を締結し、オリンピック・パラリンピック教育の推進や醸成に取り組みました。しかし、大会後に組織委員会に報告書を提出したのは実践女子大学を入れてわずか数校。「開催の延期や無観客開催など、各大学で盛り上げることが難しかったことが窺われます。」と深澤教授は語ります。東京2020大会が終わってから1年。新型コロナウイルスという思いもよらない感染症の影響を受けた異例の大会でしたが、次の世代に何をつなぐか、何が残ったのか考えることが大事だと述べました。なぜなら、「きっとまた東京でオリンピックは行われます」。今回の大会について授業を行ったことや、大学で取り組んだことをレガシーとして受け継ぎ、その時に改めて考えるきっかけにしてほしいと語り授業は終了しました。