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2024年3月5日

「『学び』から考えるウェルビーイング」JWP(実践ウェルビーイング・プロジェクト)のメンバーが参加

2月10日(土)、実践ウェルビーイングプロジェクト(JWP)の1年生から3年生のメンバー9人が、ユームテクノロジージャパン株式会社を訪問し、「『学び』から考えるウェルビーイング」と題したワークショップに参加しました。

――最新のラーニングプラットフォームを活用したワークショップ

文学部国文学科の深澤晶久教授が2021年に立ち上げた正課外のプログラム「実践ウェルビーイングプロジェクト(以下、JWP)」。有志の学生たちがさまざまな活動を通してウェルビーイングについて学んでおり、2月10日(土)は2023年度の活動の締めくくりとして、ユームテクノロジージャパン株式会社を訪問。「『学び』から考えるウェルビーイング」と題したワークショップに参加しました。

講師を務めてくださったのは、最新のテクノロジーを駆使したオンライン学習プラットフォームを展開するユームテクノロジージャパン株式会社のラーニングエバンジェリストで、人材開発コンサルティング事業や学習の研究を手掛ける株式会社ラーニングシフトの代表でもある小仁聡氏。ワークショップは、ユームテクノロジージャパンが提供するラーニングプラットフォーム「UMU」を活用して進められました。

――学ぶことの重要性と、ウェルビーイングとの関係を考察

最初に学生たちが向き合ったテーマは「なぜ学ぶことが⼤切か?」。学生たちが事前に答えたアンケートの結果を共有しつつ、「学び」をどう捉えるか、小仁氏はさまざまな視点を提示していきます。日本でも大ヒットしたビジネス書「LIFE SHIFT(ライフ・シフト)―100年時代の人生戦略」を紹介すると、人生戦略は「教育・仕事・引退」といった3つのステージから、マルチステージへとシフトしていると説明。「⽣産性資産」「活⼒資産」「変⾝資産」を意識的に身につけることの意義や、予測不可能な事態が起きる社会が「VUCA(Volatility、Uncertainty、Complexity、Ambiguity)」から「BANI(Brittle、Anxious、Non-Linear、Incomprehensible)」へと変化していることに触れ、創造的なリスキリングの重要性を指摘しました。

続くテーマは、「何を学習するとよいのか?」。「ウェルビーイング」という言葉はWHO(世界保健機関)や、2015年の国連サミットで採択されたSDGs、OECD(経済協⼒開発機構)のEducation2030プロジェクトが提⽰した「ラーニング‧コンパス2030」で取り上げられています。小仁氏はそのうちの「ラーニング‧コンパス2030」に注目。⾃律的学習⼒を磨くことが⼤切だとし、リフレクションにより学びの動機の源となるビジョンを明確にすることで、現状とのギャップを埋めようとする内発的動機、いわゆるクリエイティブ‧テンションを高められると語りました。

さらに小仁氏は、学びに意欲的な割合が幸せな活躍層に多いという調査結果を引用。幸せな活躍につながる5つの学びの特性についても解説しました。

なお学生には、その都度気付いたこと、その気づきから次に起こすアクションを並べて書き込める「ブリッジングシート」が配られ、このシートに書き込み行う時間も適宜設けられました。書き込んだ内容は、いくつかのグループに分かれてお互いに共有。これがさらなる気づきを喚起している様子でした。

また、講義の合間にはグループワークも。「学びとウェルビーイングの関係を考える」というテーマの議論では、「学びはウェルビーイングを目指すためのツールである」「学びはウェルビーイングに向かうまでのプロセスである」「学びとウェルビーイングは豊かな生活を築く両輪である」など、ウェルビーイングを考察するにあたり有用な意見が各グループから出されました。

――学びとウェルビーイングからつながるキャリア形成の道

最後のテーマは「どのようにして学びキャリアを形成するか?」。ラーニングコンパスでも提唱されている⾏動モデル「AAR(Anticipation、Action、Reflection)」や、意志的キャリア形成の4要素「VITM(Vector、Image、Trial、Meaning)」の説示に、熱心に耳を傾ける学生たち。最後に、今回のワークショップを通して自分の思考がどのように変化したのか、それぞれが自分の言葉で言語化することにチャレンジしました。

「学びは勉強であり、面白くないものだと考えていたが、人と関わり自分を高めて人生を豊かにするための行為すべてが学びだと考えるようになった。学び続けることが生き続けることだと知り、今後は自身の強みを見つけながら積極的に多くの活動に取り組みたいと思うようになった」「学びは単なる興味の探究だと考えていたが、探究の過程にもさまざまな手段があると考えられるようになった。今後はAARサイクルや自律的学習を日常で実践していきたい」などと今回のワークショップを振り返った学生たち。学びという視点からウェルビーイングを考えることを通して、今後のキャリア形成における重要なヒントも持ち帰りました。

2024年度もJWPは新たな取り組みを続けていきます。

◆参加学生のコメント

  • 小仁さんのお話から、学びとはそもそも何を指すのか、ウェルビーイングとの関係性も含め、幅広く「学び」を捉え直すことができました。AARサイクルや自律的学習など具体的な取り組み方も知ることができたので、ぜひ実践したいと思います。
  • ウェルビーイングを「社会的に心も体も健康で生きがいがある状態」と捉えると、学びはウェルビーイングの手段なのだと感じました。また、JWPの活動を通して、体験を言語化して人と話すといった社会的な経験、さらにはそれを継続することも学びだと理解できました。
  • 日々の気づきをそのままで終わらせず、そこからアクションを起こすことが大切だと知りました。特に印象的だったのが、幸せな活躍につながる5つの学びです。その中の一つであるソーシャル・ラーニングは、これまでの経験から私自身もその重要性を実感しています。だからこそ、今一度自分の周りにはどのような人がいるかまとめてみたいと思いました。
  • 「学び」を実践し続けてきた小仁さんだからこそ語れる内容だと感じました。私ももっと自身の学びを深め、いつか小仁さんのように堂々と学びについて語れるようになりたいです。
  • 現代社会に参戦できる人材を育成するために必要なのは、ひたすら問題を解く学習だけではないと知りました。今回のワークショップで学んだことを、日常生活に活かしていこうと思います。
  • 自分の気づきを他者と共有することがさらなる学びにつながるというのは、新しい発見でした。また、その学びからアクションを起こすことを習慣化することが、自分自身の成長につながると知りました。また、ウェルビーイングを実現するためのプロセスが学びであるという考えも印象に残りました。自分がなりたい姿を描いてこそ、やりたいことが明確になるということを学べました。
  • 今回のワークショップを通して、「学習」というものの捉え方がガラッと変わりました。自分が成し遂げたい姿を想像して行動することで学びの視野は格段に広がり、小さな気づきや関心を大切にすることが豊かな生活につながるのだと気づきました。これまで「学習」とウェルビーイングのつながりを考えることはありませんでしたが、ウェルビーイングな人生に「学習」というプロセスが密接に関わっていることを実感しました。
  • 大学で受講した教員採用試験対策講座で教育時事を学んだ際、教育とウェルビーイングの関連性が注目されているということはさらっと学びましたが、今回、小仁さんのお話を伺い、あらためて教育とウェルビーイングについて考える一歩を踏み出せたと感じています。「人間は寝ている間以外は常に学んでいる」という言葉をお聞きして、目標をもって常日頃から生活したいと考えるようになりました。

◆ユームテクノロジージャパン株式会社/株式会社ラーニングシフト 小仁聡氏のコメント

経済産業省が提唱する「社会人基礎力」、それを養うための「リフレクション」を軸に、小学校から社会人までさまざまな層のリーダーシッププログラムで使用しているメソッドを取り入れながら、「『学び』から考えるウェルビーイング」という新たな視点で企画したのがこのワークショップです。

今回、実践女子大学の学生の皆さんとお会いして驚いたのは、その意欲の高さです。ワークショップ内では、気づきとそこから得られる次のアクションを「ブリッジングシート」に書き込んでいただきましたが、皆さん、びっしりとたくさん書き込みをされていて大変驚きました。これまで、ほかのキャリア講座などでもこのブリッジングシートを導入してきましたが、これほどたくさん書き込んでいる例はあまり見受けられません。正課外であるJWPの活動に自主的に取り組んでいるだけあり、考える力を身につけている学生さんが多いと感じました。

OECDの「ラーニング‧コンパス2030」でもウェルビーイングという目標を目指す姿が描かれているように、学びとウェルビーイングは切り離せない関係にあります。学びは人生を豊かにしてくれるもの――。今回のワークショップでお伝えしたこと、すべてを実践する必要はありませんが、どれも試して損のないことばかりです。どれか一つでも、学生の皆さんの新たなアクションにつながれば幸いです。

担当教員からのメッセージ

2023年度のJWP(実践ウェルビーイングプロジェクト)の締めくくりとして、私が企業時代にお世話になったユームテクノロジー社の小仁さんにお願いして最先端の学びを実感できるワークショップを実施いただきました。

「学び」そのものがウェルビーイングである。「学び」は、日々の授業は勿論、あらゆる体験・経験などが学びであり、どれだけ主体的に取り組めるかで、ウェルビーイングの質やレベルが変わってくる。そんな思いから、今年度のファイナルプログラムにいたしました。

小仁様には、本当に素晴らしいプログラムを構築いただき、心から感謝申し上げます。
この学びを、2024年度のJWP(実践ウェルビーイングプロジェクト)の活動に繋げていきたいと思います。

文学部国文学科 深澤晶久教授

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