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2023年5月22日

「国際理解とキャリア形成」の授業で「未来のオリンピックの姿を考える」講義が行われました。プレゼンはスポニチに掲載!

共通科目「国際理解とキャリア形成」(担当:文学部国文学科 深澤晶久教授)の授業で、4月18日にスポーツニッポン新聞社の皆さまをお迎えし「未来のオリンピックの姿を考える」講義が行われました。この日はオリエンテーションとして藤山健二編集委員から現在のオリンピックの形や問題点が提示されました。後日学生たちはプレゼンテーションに臨み、その様子はスポニチに掲載される予定です。

スポニチってどんな新聞?

最初にスポーツニッポン新聞社の池田氏からスポニチに関して説明がありました。
スポニチは来年75周年を迎える老舗のスポーツ新聞社です。新聞発行だけでなく、マラソン大会や将棋の王将戦、映画コンクールなど年間250件以上のイベントの主催や後援も行っています。

「スポニチを読んだことはありますか?」と池田氏が学生たちに問いかけると3,4人が手を挙げました。女子大生にはあまり身近ではない新聞です。
スポーツ新聞とは、野球やサッカー、オリンピックなどのスポーツを中心に、芸能やレジャーなどのニュースを伝える大衆紙です。駅やコンビニで売っているイメージが強いですが、定期購読者の割合は65%と多く、女性読者も約1/4いると言います。

「皆さんWBCは観ましたか?」と聞かれるとほとんどの学生が手を挙げました。スポニチが配った優勝記事の号外も、ものの数分で1万部がなくなったと言います。大きな盛り上がりに、池田氏も「やっぱりスポーツには国をひとつにする力があると感じたイベントでした」と語りました。
webニュースは自分から興味があることを拾いに行きますが、新聞は記事が目に入ってくるためさまざまな情報を知れるのがメリットだと言い、
「幅広い情報を知っていると、いろんな人と話もはずみ信頼も得やすいです。皆さんも新聞を読んでもらえればと思います」と話しました。

オリンピックの理念とは

続いて藤山氏からオリンピックに関する話が始まりました。
藤山氏はスポーツ記者歴40年。
世界陸上やゴルフのマスターズ、サッカーW杯などさまざまな大会を取材するなか、オリンピックは夏冬合わせ7度担当されています。

2021年に行われた東京大会では、日本は58個のメダルを獲得、そのうち金メダルは27個と史上最多でした。多くの選手の活躍があった反面、オリンピック終了後に汚職が明らかになり、元理事が逮捕されるなど問題も残りました。
「残念ながら毎回多くのどの大会でも出てくる話です」と藤山氏。このイメージからも若者のオリンピック離れが進んでいると言われています。

また、2022年の冬の北京大会中には、ロシアがウクライナに侵攻。オリンピックが「平和の祭典」と呼ばれるのは理由があります。オリンピックは「スポーツを通じて平和な世界の実現に寄与する」ことを目的にしており、オリンピック開幕7日前からパラリンピック閉幕7日後までは休戦とすると国連に定められています。IOCはロシアの五輪休戦決議違反を強く非難し、現在ロシアとベラルーシの選手は大会に出場できないという処分もされています。ただ、政治とスポーツは別ではないかという議論も。オリンピック憲章にも「個人の競技者間の競争である」と明記されており、国家間の競争ではないということが、オリンピックの理念でもあります。

これからのオリンピックの女性参加とは

「皆さんは女子大生ということで、オリンピックと女性について考えていきたいと思います」と藤山氏。

オリンピック第一回大会の女性参加は0人。スポーツは男性が行うものでした。しかし反対の声が広がり第2回から22名が参加。東京大会の男女比は男性51.2%、女性は48.8%になり、次のパリ大会では男女50%ずつになる予定です。ただ、数を一緒にすれば平等なのか、という議論もあります。女子選手として出場できる国は先進国ばかりで、女性にスポーツが解放されていない国もまだ多くあります。また、トランスジェンダーを公表している選手がどちらの性で出場するのか、に関しては体格差やホルモンバランスなどの問題も残っています。
「スポーツで大切なことは公平性」と藤山氏は話します。年齢や体重などで階級を分けるのもその一つ。「トランスジェンダーの選手を拒否するのではなく、これから検討必要な問題です」と話しました。

さらにメタバースはオリンピックにどのように活用されるかも、これからの姿を考えるのに大切です。これからはバーチャル空間でオリンピックが行われる可能性も出てくるかもしれません。
「ぜひそういったテクノロジーの面からもオリンピックについて考えてもらえたらいいと思います」と藤山氏は語りました。

プレゼンは記事に!

最後に学生から
「一流の選手に共通する姿勢や言動はありますか」と質問があり、
藤山氏は
「思考がポジティブ。怪我など落ち込むことがあっても前向きにとらえることができる人たち」と回答され、講演を終えました。

今年のお題は
「実践女子大生が考える、新しい五輪の姿」です。

次回は元女子マラソン選手である有森裕子氏もお迎えし、オリンピックについての理解をさらに深めます。その後グループで検討し、プレゼンテーションに臨みます。
プレゼンテーションの様子は、なんと記事になりスポニチに掲載予定。よりよい発表にするため学生たちはグループで早速話しあっていました。

担当教員からのメッセージ

2014年からスタートした本授業では、一貫してオリンピックパラリンピックを学生とともに考えてきました。延期された「東京2020」の1周年イベントが開催されたのが昨年、そして来年は、もうパリ五輪が開催されます。
東京2020のレガシー講座の位置付けで行われているスポーツニッポン新聞社様とのコラボ授業、今年も、どんなアイデアが提案されるのか、とても楽しみです。

2023年2月14日

頭で考えるより手で考える!「グローバルキャリアデザイン」の授業でレゴ®︎シリアスプレイ®︎の体験が行われました。

全学部対象科目「グローバルキャリアデザイン」(担当:文学部国文学科 深澤晶久教授)の授業で、1月17日(火)に「レゴ®︎シリアスプレイ®︎の技法と教材を活用したワークショップ」(以下、LSP)を体験する特別講義が行われました。今回の授業は3・4限の時間を続けてじっくり行われました。蓮沼孝氏をファシリテーターに、学生たちは実際にブロックで手を動かして作品を作り、視点を変えてみることの大切さを学びました。

おもちゃで戦略を考える?LSPとは

「なんで子どものおもちゃを使っているんだと思う人もいるので」と蓮沼氏は自己紹介を始めました。
蓮沼氏は商社の出身。経営人材の育成・ヘッドハントに携わり経営者の育成プログラムの開発をしてきました。コミュニケーション方法や関与の仕方を模索していた際に「LSP」に出会います。

LSPとは、デンマーク発祥のおもちゃブロックを使って行われる人材育成の手法のひとつです。2001年に教育理論に基づいて確立され、2003年にはNASAが導入したことで有名になりました。LSPは「全員が参加できる会議を作る」目的で作られました。
一般的な会議では2割の参加者が場を取り仕切り、8割の人が聞いているだけと言われます。
「でも残りの8割の人たちもちゃんとアイデアも持っており、その場に貢献したいと思っています」と蓮沼氏。その人たちも参加できる会議を行うための手法として、キャリアプランやアイデア創出の場でLSPが使われます。
LSPはファシリテーターの誘導によってレゴブロックを使うことで、人種も性別も年齢、地位も様々な人が関係なく一緒に行える特徴があります。

頭を使うより手を使う!

「今回のワークショップの目的は、視点を変えるということです」と蓮沼氏は話します。
自分を客観的に見たり他の人のことや全体を俯瞰してみたりすること。
同じ作品を見ていても、人はそれぞれ違う点に注目しています。他人が自分の作品を見た感想を聞くことで、新たな自分に気付くことも大切です。

基本の流れは、作品を作り、作品に意味を与え、他者へ語り、聞く。大切なのは「頭で考えず手で考える」ことです。
頭で考えて設計せず、触ったブロックを使って作り始めることが大事なのです。
作品が出来たら対話を行いますが、ここでも大事なことが。「その作品を通して語り、作品を通して問う」ことです。人の反応を見るのではなく、自分の感じたことを素直に伝えることが重要です。

ブロックで作品を作ってみよう

いよいよ演習が始まります。
学生たちに配られたケースのなかには50個のブロックが。
蓮沼氏から「このブロックを使って高いタワーを作ってください」とお題が出ました。

目の高さ、頭の高さを目指して、ブロックをつなげます。ブロックを縦にしたり横につなげたり。5分後には様々な形のタワーが出来上がりました。班でできたタワーを見て、作った人がこだわりを語り他の人が感想を言います。
安定を目指した人、最初に先端を作った人、色にこだわった人、作り方もさまざまです。
感想も「高くてすごい」「かわいい」などが飛び交っていました。

次はブロックを10個選びました。
周りの人と自分の選んだブロックを比べると「みんな違うものを選んでいますよね、これが個性なんです」と蓮沼氏は語りました。
そして、次のお題は選んだブロックで「ふしぎな生物作り」。
ブロックを組み合わせているときは、学生は皆真剣です。
作品ができたらまた班で対話します。
ケンタウルスみたいな神話の生き物、移動する植物などなど。
「どうやって動く?」「これは手?」など質問も活発です。「真ん中が黒いのは腹黒いってこと?」「そうかも」なんてやりとりも。

すると蓮沼氏から
「これは実は皆さんの3年後の自分なんです」と衝撃のお題が。
作った生き物を通じて、自分の将来について語ることに挑戦しました。
「皆に幸せを振りまく存在」「花を咲かせて世界平和を広める」など、不思議な生き物のプラスイメージを取り出し、なりたい自分を投影していました。

続いて蓮沼氏は
「ヒュッゲって知っていますか?」と5枚の写真を見せました。
ヒュッゲとは、レゴ発祥のデンマークの言葉。ハートマーク、暖かそうな部屋、笑顔の家族などが写されました。
「これらは全部、ヒュッゲです。皆さんがつかんだイメージを元に作品にしてください」と、蓮沼氏はヒュッゲとはなにかあえて説明しません。
学生たちが作った作品は「日常の何気ないしあわせ」「居心地の良い部屋」「花が咲いていて安らげるところ」など、ポジティブなイメージのものが多く出来ました。「あったかいイメージから連想して、太陽に近づけるタワー」を作った学生も。自分の思うヒュッゲが1つの班に4つできました。

「その4つのヒュッゲを1つのストーリーにしてください」と蓮沼氏。
異なる視点で作られたものを集合するとどうなるかを体験します。全員が参加し自分の思いや意見も反映されることが大切です。成長の物語や、癒しや尊さに気付くストーリーが作られました。

ウェルビーイングに貢献する事業とは

次はいよいよ大きな課題に挑みます。
テーマは「都心(恵比寿・渋谷・新宿)で生きる人々のウェルビーイングに貢献する新しい事業を作る」。
より充実した生き方ができるような事業を作品にします。ブロックは教室の真ん中に大量に広げられたものをすきなだけ使ってOK。時間は10分です。ブロック選びも頭を使わずに、手元にあるものから作っていきます。

出来た作品は多彩です。具体的なもの、抽象的なもの、大きいもの小さいもの、カラフルなものとさまざま。
「知らない人同士でも悩みを共有できるカフェ」「心に抱える意見を吸い上げられるタワー」などいろいろな作品がありました。
発表が終わると蓮沼氏は「他のメンバーの作品のなかで、あなたは何をしてみたいですか?」と問いかけます。
学生たちはこの人の作品のなから私はこういうことができる、もしくは自分のアイデアと組み合わせたら面白い、ということを話しあいました。

視点を変えることの大切さ

最後に、各班で今日の気付きを話し合い、発表しました。
「当たり前かもしれないけれど、同じパーツを使っても違うものが出来上がった」という気付きや、
「作品はそれぞれ違うけれど、公共性や多様性を大切にしたい思いは共通していた」という感想などが出るなか、
「自分は何がしたいのかを改めて考えるきっかけになりました」や
「就活で不安ななか、やりたいことを話し合える有意義な時間だった」という感想もありました。

蓮沼氏は「自分が持っているアイデアだけでなく、複数の意見を知ることは話し合いだけでは難しい。今まで皆さんが考えていたキャリアというものの見方が、今回で変わっていたらと思います」と語りました。
学生たちは視点を変えることや他者の意見を聞くことの大切さを学び、楽しい授業は終了しました。

深澤教授の話

グローバルキャリアデザインにおいて恒例となった「レゴ®︎シリアスプレイ®︎の技法と教材を活用したワークショップ」この授業のスタートで案内した時、学生の反応の多くは、ブロックを使ってのキャリアの授業が全くイメージ出来ないものでありました。
しかし、実際に講座がスタートすると、その表情が一変します。なかなか可視化出来なかった、これからのキャリアの道が見えてきたり、自分自身の興味関心がを改めて浮き彫りになったり、そしてグループの仲間からのメッセージで自分自身の強みが明確になったりと、このワークショップの深さに驚くことになります。
毎年、多くのサポーターのご配慮をはじめ、格別なるご尽力をいただいている蓮沼孝様に、心から感謝申し上げます。ありがとうございました。

2023年2月8日

「実践キャリアプランニング」の授業で丸山珈琲とのコラボが行われ学生たちがこれからの時代のカフェをプレゼンしました。

2年生が対象の共通科目「実践キャリアプランニング」(担当:文学部国文学科 深澤晶久教授)で英文科の学生が、12月23日(金)に株式会社丸山珈琲とのコラボ授業を行いました。代表の丸山健太郎社長、広報の小林りえ子氏、バリスタの冨岡智恵氏の前でプレゼンを行いました。テーマは「これからの時代に合ったコーヒーを主軸にした飲食店」。プレゼン時間は5分です。優秀賞には丸山珈琲から賞品も。先週の8グループに続き、この日は7グループが発表を行いました。

場所は?ターゲットは?今の時代に合う店舗とは

最初の班は、サービスエリアに出店することを提案。
人が多く行き来する高速道路の中にあることで、家族連れや学生の集団、ペット連れなど様々な旅行者をターゲットに。外見は丸山珈琲の軽井沢店のような自然になじんだウッド調にし、ペット可のテラス席を設営します。またテイクアウトすると少し安くなるようにし、サービスエリアを利用する客層のニーズに合わせた価格設定を提案しました。

続いての班は「ワークカフェ」をプレゼンしました。
コロナ禍で増えたリモートワークに対応できるカフェで、一人個室や複数人個室などを用意します。日本では年代が上がるにつれコーヒーを飲む割合が上がるというデータを示し、ターゲットを社会人に設定したことを説明。場所は丸の内や虎ノ門などのオフィス街としました。丸山珈琲の冷めても美味しいコーヒーの利点を生かした、長時間の作業でも楽しめるカフェを提案しました。

2つの顔を持つカフェ

次の班は「朝から夜まで楽しめるカフェ&バー」を考案しました。
7-11時はコーヒースタンド、日中はカフェ、19-23時はバーと営業形態を変えることで新規顧客の開拓を目指します。朝はテイクアウトのみとし、日中はハンバーガーやパンケーキなどランチ営業します。夜はコーヒーカクテルを出すバーにします。カウンター席多めの、黒や茶色基調の落ち着いた空間にし、居酒屋などとの差別化を図ります。

時間帯で営業形態を変える案は他にも。続いての班は「Masquerade Cafe」と名付け、街に合わせて変化するカフェを提案。
日中は働く会社員に、夜も仕事終わりに利用してもらおうと考えました。場所は恵比寿などオフィス街に設定。日中はワッフルやスコーンなど手軽に食べられるものをだし、夜はアルコールの他デカフェのコーヒーも提供します。座席レイアウトは図を作成し、分かりやすくイメージできるように工夫しました。

若者にもコーヒーを楽しんでもらうには

続いてはキッチンカーという新しい形が提案されました。
平日は丸の内で会社員をターゲットに、休日はファミリー層を狙い代々木公園を設定。電子決済やランチボックスなど手軽に楽しめるサービスを考案し、フードはドーナツやケーキ、そして発表者から「コーヒーに合うと思うので」とクッキーも提案されました。キッチンカーの外見は落ち着いた茶色の色合いで、イラスト化してプレゼンしました。

次の班は「昭和と令和をつなぐ」をコンセプトに純喫茶風の店舗をプレゼン。
コーヒーの関心は低い20代に流行の、昭和レトロの魅力あふれる内装を提案しました。場所は高円寺を設定し、手書きのメニューなど喫茶店の良さを取り入れました。内装にはピアノや本を置くなど、実践女子大学にちなんだ提案も。また、コーヒーの定期便やサブスクで季節ごとのオススメコーヒーを届ける、令和のサービスも入っています。

最後の班は「珈琲と推し」と題して、推し活女子をターゲットにした店を提案しました。
ラテアートや、スプーンに推し色のリボンを付けるなどのサービスを考えました。時間は14-17時限定で、特別感と既存顧客との共存も目指します。場所は表参道で、白い木造の明るい雰囲気に。店内には店側の推しコーヒーなどの展示も。また推し活はSNSへの投稿も多い文化。推し活の投稿が店の宣伝にもなるとアピールしました。

すべての発表が終了!丸山賞は?

すべての班の発表を終え、丸山氏から総評がありました。
丸山氏は発想、作り込み、チャレンジ、実現性、洞察力を5段階で評価。
各班に「実現性が高い」「一人個室は面白いが、プレゼンが短いのが惜しかったです」「コンセプトに惹きつけられました」「デカフェやレイアウトなどよく考えられていました」など細かく講評を下さいました。

そしていよいよ丸山賞の発表。
受賞したのは「昭和レトロのカフェ」を提案した班。
丸山氏は「2つの違う要素を組み合わせ、うまく展開したことが素晴らしい」と絶賛。学生たちは賞品にコーヒーのドリップパックをいただきました。
学生からは「プレゼンを少し失敗してしまったけれど、全員でたくさん考え自信があったので嬉しいです」とコメントがありました。

また、特別賞で「推し活カフェ」を提案した班も受賞。
学生は「賞を頂けると思っていなかったですが、練りこんで考えられて良かった」と感想がありました。

人生はリズム!英語を武器に世界へ

最後に丸山氏は
「高校時代からコロナ禍の影響があり大変な日々だと思うが、これから良くなると思います」と語り始めました。丸山氏は高校卒業卒業にインドやイギリスなど海外を放浪する生活をしていたとのこと。その後結婚し軽井沢で喫茶店を創業して今に至ると話し「人生はストーリーで、必ずアップダウンはある。そのなかで、皆さんには英語という武器があります」と英文科の学生を励ましました。「英語でコミュニケーションができるのは本当にすごいこと。世界とつながることができます。ぜひ英語の力を使って、豊かな人生を送ってください」と力強い言葉を学生たちに贈りました。

深澤教授の話

毎年、大変お世話になっている丸山珈琲様とのコラボ講座、今年も、珈琲のテイスティングから始まり、学生のプレゼン、そして丸山社長からのメッセージをいただき、無事に終えることが出来ました。
「五感で感じるキャリア教育」と銘打った当科目から得られる学びは本当に大きいものがあると感じています。
そして、今年の丸山社長からのメッセージでは、英文学科で学ぶ意義の深さを伝えていただき、学生のモチベーションも大きく上がりました。
改めて、格別なるご支援をいただいた丸山珈琲の皆様にこの場を借りて厚く御礼申し上げます。

2023年2月8日

「実践キャリアプランニング」の丸山珈琲とのコラボ授業が行われ、学生たちは「afterコロナ時代に合ったカフェ」をプレゼンしました。

2年生が対象の共通科目「実践キャリアプランニング」(担当:文学部国文学科 深澤晶久教授)で英文科の学生が、12月16日(金)に株式会社丸山珈琲とのコラボ授業を行いました。この日は11月6日に出された課題「afterコロナ時代におけるコーヒーを主軸にした飲食店」についてのプレゼンです。丸山珈琲からは代表の丸山健太郎社長、広報の小林りえ子氏、バリスタの冨岡智恵氏がいらっしゃり、優秀なものには丸山珈琲賞がいただけます。

誰もがコーヒーを楽しめるお店を考える

最初の4班は「私たちはコーヒーがあんまり得意ではありません」という告白からスタート。しかしコーヒーを楽しみたいという気持ちはあることから「コーヒーが苦手な人も楽しめるカフェ」をコンセプトに考えました。
ミルクや紅茶をブレンドした甘めなメニューを提供。場所は都心から少し離れた静かな場所を設定しました。アンティーク調な内装で、くつろぎながら友達とのコミュニケーションの場となり、買い物やお出かけの合間に立ち寄れるカフェを提案しました。

13班は「afterコロナ時代」に特化したお店を考えました。
換気しやすい広い内装にし、公園などに隣接した景色のいい場所を設定。テラス席で開放的な空間も作り、店内飲食はマグカップで提供、マスクケースも完備。従業員の制服はペットボトル由来の再生繊維から作ります。屋上には太陽光発電を導入し、照明はLEDを使用と環境問題にもしっかり配慮した店舗です。

場所をどこに設定する?ターゲットは?

10班は立地を高田馬場や四谷に設定し、学生や社会人が気楽に立ち寄れて、落ち着いて作業や勉強ができる環境のお店をプレゼン。
軽食には片手で食べられるサンドイッチを用意します。店内はWi-Fi完備で、テーブルの間隔は広めにし、他のお客さんが気にならないよう配慮。1階は会話もできるカフェスペース、2階は作業スペースと目的別に空間を分けました。

次の15班はみなとみらいに設定し、海辺に映えるカフェを提案しました。
横浜に本社がある企業が多いため、会社員をターゲットに設定。白を基調としたさわやかな外装で、店内はワークスペースとリラックススペースで分け、リラックススペースはソファやクッションのある席でゆっくり過ごせます。横浜は観光スポットも多いので、若者にアプローチするためSNSを活用する案を考え、インスタ映えする限定メニューもプレゼンしました。

お客さんにたくさん来てもらうためには?経営面も考えよう

ゆっくりできる空間を提案する班が多い中、コロナ禍を逆手にとって「長居させない回転率の速い店舗」を提案する班も。
5班は狭い店内、席は少なめ、ドアをなくすなどコーヒースタンド風の店内図を作成しプレゼン。渋谷駅近くで、通勤通学前に立ち寄ってもらうことを想定しました。モバイルオーダーで豆の種類も指定可能で、デリバリーにも対応します。

続く11班は美術館や劇場など、文化施設付近に立地を設定。
鑑賞後に感想を語り合える、一息つける場所をコンセプトにしました。劇場などの近くにすることでイベントごとに集客が見込めるのもメリットです。黒や緑を使った外装で、丸山珈琲の上品なイメージも活かします。1階はカフェスペース、2階は2人がけソファでゆったり語り合える空間に。ソファは向かい合わない配置で、横並びに座ることでパーテーションなく感染対策を行えます。

幅広く丸山珈琲を知ってもらうために

3班はキッチンカーをプレゼンしました。
コロナ禍で需要が高まったデリバリーやネット通販にヒントを得て、店舗を持たないスタイルを提案しました。キャッシュレス決済を導入し、価格は店舗より安く、ワンコインでも買える商品も用意。学生や家族連れにも購入してもらいやすくします。平日はオフィス街や大学の近く、休日はショッピングモールなどに出店し、丸山珈琲をたくさんの人に知ってもらえる工夫をします。

最後の2班も幅広い年代に楽しんでもらえる店を考案。
昼はカフェ、夜はレストランを展開します。曜日それぞれに限定で割引や限定メニューを作りました。例えば水曜日に女性はランチ割引、金曜日は学生が500円引き、土日は限定デザートメニューの提供など。さらに夜には曜日限定でシーシャ(水たばこ)の提供を提案しました。実際にシーシャを体験した学生が「コーヒーと甘いシーシャは合う」と実体験を交えプレゼンしました。

丸山珈琲賞発表!「コーヒーを主軸とする」ということ

最後に丸山氏から総評をいただきました。
丸山氏は公平を保つために5つの評価基準を付けたといいます。
それは発想・検討・チャレンジ・実現性・洞察(本質を見る力)。
それぞれ5段階で評価をつけたとのこと。

10班には「2階と1階の分け方は実現性が高い」や11班には「丸山珈琲の冷めても美味しいコーヒーという強みを深堀しているのが嬉しかったです」など、各班に一言ずつコメントもいただきました。
「それぞれチャレンジがあったり、アイデアは堅実でも練りこんでいたりと特徴があり面白かったです」と語りつつ、一点「コーヒーを主軸とした」というテーマであったので「もっとコーヒーについて掘り下げて考えてほしい」とフィードバックもありました。

最後に優秀賞の発表。
丸山珈琲賞には11班が選ばれ賞品にドリップコーヒーをいただきました。

学生からは「みんなで一生懸命考えて準備してきたので、評価していただいて嬉しいです」と話しました。

来週は残り7グループが発表を行います。
各発表後には学生たちも評価を付けました。来週も含め全チームの発表後、学生間賞も選ばれます。

2023年1月31日

「グローバルキャリアデザイン」の授業で高校生と大学生が新しいアイデアを生み出すデザイン思考の体験を行いました。

3年生の選択科目「グローバルキャリアデザイン」(担当:文学部国文学科 深澤晶久教授)で、VISITS Technologies株式会社の野村博之氏が「デザイン思考力」によるアイデア創出の体験授業を行いました。この授業は高大連携で行われ、実践女子学園の高校3年生も参加しました。高校生と大学生で協力し、新しいサービスのアイデア創出のグループワークを行いました。

高大連携!高校生も大学の授業を体験

今回の授業は、実践女子学園高等学校の3年生を交えた高大連携プログラムです。
2023年4月から実践女子大学に進学予定の高校3年生25名前後が参加。
8つの班に分かれ、大学生の「先輩」とともにグループワークを行います。セーラー服に黒いスカーフを結んだ高校生たちは、少し緊張した様子で授業に臨みました。

イノベーションにはデザイン思考力が大事

野村氏の話は「イノベーションとは」というところから始まりました。
イノベーションとは「技術革新」のように思われていますが、「新結合」だと野村氏は言います。これまで組み合わせたことのなかったものを合わせることによって、新しいものを生み出すことです。例えばスマートフォンは、電話とパソコン機能、音楽プレーヤーを合わせたもの。それぞれ独立していたものを合わせたイノベーションによって生まれた製品です。

イノベーションを起こすために最適なのが「デザイン思考」です。
デザイン思考は思考方法のひとつで、「自ら本質的な課題を発見し、解決策を考え出す方法」のことです。「デザイン思考とは、共感から始まります」と野村氏。世の中のデータに基づいて結論を導くロジカルシンキングとは違い、何が求められているかユーザーの「気持ち」を想像・共感して考えていくのです。

高校生はもちろん、大学生もあまりこういう思考法を行ったことはないでしょう。「ただ、誰かにプレゼントをあげるときや、部活やバイトなどで何か困ったときに相手に共感して考えることはありますよね」と野村氏。「そういったところからデザイン思考を使ってみてください」と話しました。

「新しいショッピング体験」をデザイン思考で考えよう!

いよいよ実際に体験です。課題は「未来の『ショッピング体験』を考える」。
大型ショッピングモール、ECサイト、コンビニがテーマに新しいサービスのアイデアを考えます。

まずはそれぞれのいいところをふせんに書き出します。コンビニなら24時間やっている、ECは商品を届けてくれるなど。思いつくことはすべて書き出します。書き出したら、班の中で発表し合い、模造紙にふせんを貼っていき、同じような意見をまとめ整理しました。

次に自分たちが取り組む新しいサービスのコンセプトを決めます。
「どのふせんを取り込むかディスカッションして決めてください」と野村氏。他のサービスのいいところを取り込んで、○○のできる新しいコンビニ、などを考えました。大学生も高校生にうまく促しながら、グループワークが行われました。

コンセプトを決めたら、具体的な新しいサービスのアイデア出し。誰が喜ぶサービスか、どうやって実現するのかを考え、発表できるよう言葉や図などにまとめます。グループワークは活発に行われ、時間ぎりぎりまで話し合いは盛り上がっていました。

どんな新しいサービスがあったらいい?

時間はあっという間に経ち、発表に。

H班は
「衣服を買えるコンビニ」を提案。フィッティングルームがあり、タブレットでネット注文が可能です。
野村氏からは「手軽に服を買いたいというニーズをうまく取り込めている」との感想がありました。

A班は
「スマホでラクラクコンビニ買い物」とし、スマホで商品の口コミを見たり割引を使えたりする店舗をプレゼンしました。
バーコードを読み込み自分で精算できることで店員側の負担も軽減できます。

B班は
「ECサイト系コンビニ」で、限定品を自宅配送出来るサービス。
野村氏から「地方などで喜ばれると思う」と感想がありました。

C班は
「有名人が監修するテーマパーク型ショッピングモール」を考えました。有名人の監修する店舗が並び、いろんなショップを回ることで運動不足の解消にもなるとプレゼンしました。
「ターゲットが限定されているのが良い」と野村氏も感嘆していました。

D班は
「食品ロスをなくそう!コンビニアウトレット」を考え、仕事帰りの人をターゲットに時間ごとに商品をセールするお店を提案しました。

E班は
「口コミと在庫確認できるショッピングモール」をプレゼン。アプリでタグをスキャンすることで口コミや在庫確認が可能です。
「実物も見られて、口コミなども確認できる良さを拡張できるアイデアだと思いました」と野村氏。

F班は
「お出かけの目的になるコンビニ」として1Fは商品予約もできるコンビニで、2Fに24時間利用できるカフェスペースがある店舗を提案しました。
野村氏は「あったら僕は使います」とうまく転換したアイデアを褒めていました。

G班は
「ARで実物が見られて試せるECサイト」で、ARを使うことで衣服や家具、家電だけでなく、香水のにおいも分かるECを提案しました。
野村氏は「IT技術を具体的に取り入れていて素晴らしい」と感想がありました。

短い時間でしたがたくさんのアイデアが出ました。
最後に野村氏は「今日の体験をきっかけに、今後、課題解決するとき今日のような考え方をしてもらえたらと思います」と学生たちに語り掛けました。

2023年1月26日

「グローバルキャリアデザイン」の授業でクレディセゾンにあったら便利なカードを考えるコラボ授業が行われました。

全学部対象の教育科目「グローバルキャリアデザイン」(担当:文学部国文学科 深澤晶久教授)の授業で、12月23日(金)に株式会社クレディセゾンとのコラボ授業が行われました。学生たちは新しいカードの機能やサービスを考えるグループワークを行い、企業の皆さんの前で発表。短い時間で考えをまとめ企画を作る体験をしました。

自由な社風!カード会社ってどんなことをしているの?

今回クレディセゾンから、戦略企画部の荻原氏と金氏、戦略人事部の川崎氏の3名が参加されました。荻原氏からはクレディセゾンの自由な社風の紹介がありました。金氏からは一日の流れが紹介されました。フレックスタイム制を採用しているので11時に出勤。打合せや資料作りをする様子が紹介されました。

戦略企画部は主にセゾンカードがメインカードとして選ばれるためのイベントやプロモーションを考えることが仕事です。「興味や関心を持ってもらえるようにいろいろなカードを出しています」とカードを紹介。ゲームユーザー向けの「ゲーミングカード」は溜まったポイントをゲーム内の課金などに充てられるものです。カードは使う人によって向いているカードが違うため「年代に向けた戦略が違います」と荻原氏。20、30代女性がよく使うインスタグラムでは、カードの情報だけでなく、韓国カルチャーなど女性向けの情報も発信しているそうです。

いよいよグループディスカッション!

続いて川崎氏からグループディスカッションのテーマが発表されました。
「1新しいクレジットカード」
「2新しい決済サービス」
「3新しいカード機能」
の3つです。

1は「女性向け」「ゲームユーザー向け」のようにターゲットを絞った新しい視点のカード。2は、ウォークスルーなどの便利な決済サービスを考えます。3は安心・便利にカードを使えるためにあったらいい追加機能です。

考えるポイントは「どんなサービスだったら利用したくなるか」と「利用者提供者どちらもWIN-WINになるか」。「実現可能性は度外視して大丈夫です。自由にアイディアを出してもらえたらと思います」と川崎氏。学生たちは4つのグループに分かれ、グループごとにテーマを決め、ワークシートに沿いながら45分間で考えます。

さっそくグループで話し合いが開始されました。
「いつカード作った?」「高校生でも使えたらいいよね」「スマホ決済の他に便利な方法ってなにかな」などそれぞれのテーマに沿って欲しい機能やあると便利なカードを考えていきます。

いままでにないカードやサービスとは

あっという間に時間は経ち、発表です。発表は2班ごとに行われました。

2グループは、「OMOTENASHIカード」と題し、海外からの留学生や出張にくる外国人向けのカードを考案。短期滞在ではカードを作りにくいことに注目。英語のサイトを立ち上げオンライン上で申請が完結することを提案しました。再来時はポイント還元率がアップしたりホテルのグレードアップを選べたりとサービスも考えました。留学生向けの学校などで宣伝してもらい新規顧客の開拓を狙います。

荻原氏からは
「外国人向けサービスはいろいろ考えているところですが、面白いアイディアですね」と感心の言葉が。「支払いはコンビニ払いなどができるなど、利便性があるともっといいかも」とアドバイスもありました。

4グループは「JKが便利・親が安心」という女子高生をターゲットにしたカードを考案。
高校生はまだカードを持てないですが、ライブや旅行、ディズニーに遊びに行くなどそれなりにお金も使う機会も増えてきます。そこで、親が契約し利用上限金額を設定できるカードを提案しました。
親は金額の管理ができ安心、JKも高額を使いすぎることがなく安心、カード会社も新規顧客を獲得できるというメリットをあげました。

金氏から
「親と子どちらにもメリットがあるのがいい。皆さんの経験が生きていると思いました」とコメントがありました。

荻原氏からは
「子どもが利用したときに親に通知が行き、承認するシステムなどがあればさらにいいかもしれませんね」とアドバイス。
「いままさに検討しているカードやサービスに近いので、ぜひ参考にさせてもらいます」と感想がありました。

カード会社の企画立案を体験して

発表後に総評をいただきました。
「皆さん難しかったですか?」の問いかけに学生たちは頷き、
「そうですよね」と川崎氏。
「短い時間で検討してまとめるのは難しかったと思いますが、皆さん時間内にしっかり仕上げていて我々も嬉しかったです」
と感想を下さいました。

荻原氏は
「我々も物を作るとき様々な部門の人たちと話し合い企画を作り上げますが、全員の意見をそろえるのが一番難しい。皆がいいと思えるものを作るのは大変ですが、その分良いものができます」
と今回の経験を活かしてほしいと伝えました。

短い時間でしたが、学生たちは実際のカード会社の企画を立案するという貴重な経験をして、未来に向け力を付けることができました。

深澤教授の話

今年もクレディセゾン様にご協力をいただきました。
3人の社員の方と進めた今回の授業は、さながらインターンシップそのものであり、和やかな雰囲気ではあるものの、学生の真剣な表情が印象的でした。
短い時間ではありましたが、クレディセゾン様の企業研究そしてこれから目指されている事業の方向性など、就職活動を目前に控えた学生にとって、とても貴重な時間となりました。
毎年、様々なテーマを構築いただき、ご尽力いただいているクレディセゾン様の皆さまに、心から感謝申し上げます。

2023年1月24日

「実践キャリアプランニング」の授業でロレアル パリによるストリートハラスメントに立ち向かうトレーニング講義が行われました。

共通科目「実践キャリアプランニング」(担当:文学部国文学科 深澤晶久教授)の授業で、食生活科学科の学生が日本ロレアル株式会社のブランドであるロレアル パリとのコラボ授業を受けました。公共の場でのハラスメントに対しどう立ち向かうか、どう被害者に寄り添うべきかというセンシティブな内容に、学生たちも真剣に耳を傾けていました。学生たちは、企業が社会的責任に対しどう取り組んでいるか、企業の幅広い活動について学ぶ機会になりました。

女性を応援し続けるロレアル パリ

菊池裕貴氏は、2014年に日本ロレアルに入社。メイベリン ニューヨークというブランドでネイルやリップ、マスカラなどの開発、マーケティングに携わり2021年からはロレアル パリのブランドディレクターを務めています。ロレアル パリは、1909年発祥のブランドで、髪の毛を染めるヘアカラーから出発しました。日本ロレアルはイヴ・サンローラン・ボーテやシュウ ウエムラ、メイベリン ニューヨークなど数々の人気ブランドを抱えていますが、なかでもロレアル パリは100年以上変わらずヘアカラーやヘアオイルなどを取り扱っています。

掲げているスローガンは「あなたにはその価値があるから」。50年前から変わっていません。ブランドのマニフェストは時代に合わせ10年ほどで変わるのが一般的なところ、ずっと変わらずに女性の価値や自分らしい生き方を応援し続けています。

ストリートハラスメントって?

「日本は、残念ながら女性が生きにくいと正直思っています」と菊池氏。「これをどうにか変えていくために固定観念を打破し、女性の活躍をサポートするブランドになっていきたいと強く思っています」と語りました。

その一環として行われているのが「STAND UPプロジェクト」です。女性をとりまくストリートセクシャルハラスメントに対して立ち向かうためのプロジェクトで、世界各国で行われています。ストリートハラスメントとは公共の場でのハラスメントのこと。電車や飲み会の場、また家族のなかでの会話も該当します。こういった行為に立ち会った「傍観者」の立場に対しトレーニングを行い、ハラスメントを減らしていこうとするトレーニングをロレアルは一般社団法人Voice Up Japanと協力し行っています。

目をそらしてしまいがちなストリートハラスメント

続いてVoice Up Japanの佐野エレナ氏が登壇し「5Dアクション」についての講義が始まりました。ハラスメントを受けた人のなかで、誰かが介入したことで状況が改善したと答えたのは86%に上ります。「どんな形であれ誰かが介入してくれたら状況がよくなったと思えた人の割合は多いので、あまり不安にならずぜひ皆さん実践していただけたら」と佐野氏は語り掛けます。

不自然な身体の接触、お酌の強要、ストーキング行為…直接的な言葉をかけられるだけではなく、じっと見つめられるのもハラスメント行為にあたります。ハラスメントを受けた影響は、その場での不快感だけでなく長期的に残ります。自尊心を傷つけられ、うつやPTSDになったり、被害を受けた場所が怖くて近づけず行動制限を受けたり。日常生活が変えられてしまうのです。

「5Dアクション」を知りどう行動できるか考えよう

そういった場面に立ち会ったときにどう介入するか。学生たちはその方法として「5Dアクション」を学びました。物を落とすなどして気をそらす「Distract」、店員や責任者などに協力を求める「Delegate」、録画や録音して証拠を記録する「Document」、あとから被害者をケアする「Delay」、直接行動する「Direct」。「どんな行為ならできそうだなと思いますか」と佐野氏は学生に問いかけ、「Distract」や「Delay」なら行動できそうと学生も多く手を挙げました。

佐野氏は飲み会での先輩の発言や満員電車などさまざまなシチュエーションを想定し、自分に何ができるか学生たちに考えさせました。「自分の10分で、その人の一生が変わるかもしれません」と佐野氏。声を掛けるなど小さいと思える行動でも介入できると言います。また佐野氏は大切なこととして「ハラスメントは受けた人のせいではない」ということを強調します。自分がハラスメントの被害を受けた場合も「決してあなたのせいではありません」と伝えました。

学生たちも5Dアクションに前向きに

学生たちからは感想や意見がたくさん集まりました。「痴漢され自分も助けてほしいと思ったことがあるので、今後見かけたら見て見ぬふりはしたくない」「自分に何ができるか難しいが、どれかを実践してみたい」「一人では難しいが友達と一緒ならできるかも」といった前向きな意見が多数。実際に助けられた経験がある学生も。ストーカー被害に遭い、いまでも影響を受けていることを打ち明けてくれた学生もいました。

質問も多くありました。「お酒の場では自分もアルコールが入っていて行動は難しいのでは」「満員電車では自分も身動きできない」などの意見には「見てましたよという視線を送るだけでも有効です」と回答がありました。「自分がハラスメントを受けているときに助けてもらう方法は?」という質問には「アピールすることができればベストですが、一番は自分を守ることが最優先。あとから誰かに打ち明けてケアをする方法もあります」と伝えました。

学生たちの心に響く講義

ハラスメントは自分が加害者にもなりえます。例えば友達が誰かに付きまとわれた経験を話したとして「しょうがない」「可愛いからだよ」という言葉はその友達に原因があったことになり、二次加害につながってしまいます。またハラスメントは外見では嫌がっているか分からないことも。介入していいのか判断が難しいこともありますが「ちょっとしたことでも勇気を出してみるということは重要だと思います」と語られ、講義は終了しました。

2023年1月12日

就活の「主体性」と「自育力」を身につける「グローバル・キャリアデザイン」。第10セッションでは、千葉県でテーマパークを運営する株式会社オリエンタルランドで執行役員を務めた、永嶋悦子さんをお迎えしました!

グローバル・キャリアデザインでは、各分野から多彩な講師をお迎えし、キャリアや働くことの本質を探ります。第10回では、千葉県でテーマパークを運営する株式会社オリエンタルランドで執行役員を務めた永嶋さんがご登壇。2年前に退職した永嶋さんは、現在草津に拠点を移し、東京都競馬株式会社の社外取締役として精力的に活動中。最初は1人のキャストだったという永嶋さんのキャリアを通して、日本で初めてのテーマパークが世界に評価されるまでの貴重なストーリーを語っていただきました。

開園時のキャストとして

永嶋さんが株式会社オリエンタルランドに正社員として入社したのは、1982年。千葉県にテーマパークがオープンする1年前になります。
米国以外では初のテーマパークだったため、開演までの1年間は米国からやってきたキャストからトレーニングを受けました。まだ日本=敗戦国というイメージがあったためか、当初米国キャストは「日本人に何ができる」と日本人を馬鹿にしていましたが、教わったことをきっちりこなす日本人を目の当たりにし、1~2カ月後には「お前達、すごいな」と称賛のまなざしを向けるようになったそうです。

シアタータイプのアトラクションでコスチュームを着るキャストの1人だった永嶋さんは、9年間にわたり、施設責任者を務められました。

「20代は習い事や友人と遊ぶ時間がとれないほど忙しかったんですが、仕事は本当に楽しく、毎日充実していました。実は3回ほど救急車で運ばれたことがあります。倒れて初めて、自分の不調に気づくタイプでした(笑)」

管理職試験に合格後は様々な部署を経て、入社25年目に執行役員に就任

1990年代になると、修学旅行や卒業旅行でテーマパークを訪れる学生が増え、ここは楽しい思い出の象徴となっていきました。管理職試験に合格した永嶋さんは、営業部の課長代理として全国でセールス活動へ。
教育委員会や文化庁とつながり、社外の世界を知る貴重な機会となったそうです。

2000年代のテーマパークは、TVCMで「夢が叶う場所」を謳い、学生だけでなく大人も楽しめる場所に変化していきました。
コールセンターマネージャーとCS推進部部長を経た永嶋さんは、2007年にエンターテイメント本部長として執行役員に就任。2019年に理事に就任するまで、執行役員として様々な役割を果たしました。

2010年代に入ると、ゲストだけでなく夢を届ける側のキャストも楽しめる場所を目指します。
2011年3月11日に発生した東日本大震災では、千葉県にあるテーマパークも大きな影響を受けましたが、苦難を乗り越えキャストや会社が大きく成長できたと永嶋さんは当時を振り返ります。

「会社は休園中も社員に給与を保証していたんです。社員は待機中の時間を活用し、ゲストを快適にお迎えするトレーニングを重ね、役に立つ情報をみんなで共有しながら、再開に備えていました」

世界一といわれるキャストのホスピタリティに、マニュアルはない

千葉県にあるテーマパークのホスピタリティは世界一と称されますが、その背景にあるのはキャストの人間力だと永嶋さんは語ります。

「キャストが目指すべきゴールは、ゲストにハピネスをお届けすること。キャストの教育はここからスタートします。みなさん驚くかもしれませんが、そこにはマニュアルはないんです。ゲストに楽しんでもらうために必要なことをキャスト1人ひとりが考え、先輩や仲間と話し合って行動することで、あのホスピタリティが生み出されています。キャストが手を振るとゲストが喜んでくれた。背景にはこうしたフィードバックの共有と積み重ねがあるんです」

大きな責任感の中でも、仲間と仕事を心から楽しめた

終了後、学生から「なぜ倒れるまで仕事をしたんでしょうか」という問いに、「恥ずかしいことですが、私がいないとダメなんだと勝手に思い込んでいました」と答える永嶋さん。
最大400人ほどのキャストを束ねる立場は、大きな責任があったことでしょう。
責任感に押しつぶされることなく、なんでも話し合えて喧嘩もできる仲間と日々挑戦しながら仕事を楽しむことができた、当時の貴重な体験を語ってくださいました。

そこを訪れるゲストだけでなく、夢の世界を運営するキャストの心にもハピネスを届けることを目指す、株式会社オリエンタルランド。
永嶋さんと20年近いお付き合いになるという深澤教授は、
「ぜひ貴社に入社する学生が増えてほしいですね」
と締めくくりました。

深澤教授の話

永嶋様と初めてお会いしてから、やがて四半世紀になります。いつもアクティブで前向きな永嶋様から色々なことを学ばせていただきました。とりわけメンバー一人ひとりのことに気を配りながら、先頭に立って組織を牽引されるリーダーシップについては、私の目標でもありました。今回も、会社生活の中で経験された多くのエピソードから、働くことの楽しさもそして厳しさも教えて下さいました。学生にとっては、極めて貴重な時間になったと思います。この場を借りて、改めて感謝申し上げます。

2023年1月12日

キャリアや働くことを共に考え、議論する「グローバル・キャリアデザイン」。第9セッションでは、CEL英語ソリューションズ最高経営責任者の曽根さんをお迎えしました!

全学部の大学3年生を対象に、就職活動に向けて「主体性」と「自育力」を身につけるグローバル・キャリアデザインでは、各分野から多彩な講師をお迎えし、学生と共にキャリアや働くことの本質を探ります。第9回では「本物の英語力」を身につける英語学校、CEL英語ソリューションズ最高経営責任者の曽根さんがご登壇。学生時代は東大野球部でピッチャーを務め、野球を通じて深澤教授ともつながりがあったという曽根さん。ますますグローバル化が進む社会で、これからキャリアを形成していく学生たちが英語をどうとらえるべきか、大切なヒントを語ってくださいました。

グローバル人材として思い浮かぶ日本人とは?

実践女子大学には毎年講師として訪れている曽根さんが、学生に最初に投げかけたのは「グローバル人材とは?」という問いでした。4人ずつの6つのグループそれぞれが、グローバル人材として思い浮かぶ日本人を3名、壇上のホワイトボートに記入。そこにはイチロー選手、ZOZOTOWN前澤元社長、渡辺直美さんなど、たくさんの名前が挙がりました。

「これをみると、スポーツ選手、芸能人、政治家、経済人など、いろいろな方の名前があります。グローバル人材というのは、ただ単に英語を話すだけではないことがわかるでしょう」

続いて曽根さんは、以前グローバル・キャリアデザインに登壇した3名の講師(指揮者の櫻井先生、レゴの蓮沼先生、スタバの岩田先生)を挙げ、そこに共通するグローバル人材像を探ります。ホワイトボードにはチャレンジ精神、コミュニケーション力、リーダーシップなど、様々な言葉が並びました。

「みなさん素晴らしい観点を持っています。教科書で教わらなくとも、グローバル人材の本質をよく理解しています」

英語の表現は多彩。正解は決してひとつではない

続く授業では、少し視点を変えて英会話での表現へ。
劇場や映画館で「こちらの席、空いていますか?」を英語でどういうか、学生に投げかけました。
「英語にはいろいろな表現があるので、正解はひとつではありません」と励ます中、グループごとに様々な答えが発表されました。

「みなさん素晴らしい。すべて正解です!」と称える曽根さんは、
「4 words(Is this seat taken?)」
「2 words(May I?)」
という短い表現も紹介。さらに言葉を使わないジェスチャーがあることにも触れました。

日本語と同じように「コミュニケーションの道具」である英語は、正解がひとつではないことを曽根さんは強調しました。
英語は正確に話さなければならないと考える学生には、目から鱗だったのではないでしょうか。

英語は「勉強」ではなく「使ってみる」ことが上達への近道

英語の習得には、「英語の富士山」があると語る曽根さん。あたかも山を登るように3段階のフェーズを経て、レベルが向上していくようです。
曽根さんによれば、英語をビジネスでもある程度不自由なく使えるようになるには2000時間必要といわれますが、1日3時間であれば約2年で達成できます。

「実は英語というものは、勉強してはだめなんです。StudyではなくPlayする意識が大切です。みなさんが自転車に乗れるようになったときのことを思い出してみてください。頭であれこれ思い悩むのではなく、とにかく乗ってみたのでは。英語もこれと同様で、『使ってみる』ことが上達につながるんですよ」

美しい英語とは、高い人間性が生み出すもの

最後に「美しい英語とは」という問いを投げかけた曽根さんは、著名人の英語スピーチを例に挙げ、発音や文法の細部にこだわるよりも話す内容が大切だと語りました。

「老若男女、誰がいつ始めても習得できる英語は、ネイティブになる必要はありません。美しい英語とは、経験、知識、教養、人格を含めた高い人間性を持った人が使う英語のことをいいます」

授業のまとめとして、グローバル人材には
①高い専門能力、
②コミュニケーション能力、
③自分を説明する能力、
これら3つの総合力の強化が役に立つと語る曽根さん。

実践女子大学を牽引するトップランナーを育てるこの授業から、美しい英語を使いながら未来を創るグローバル人材が育っていくことを願います。

深澤教授の話

曽根様には、毎年、ご支援をいただいています。
これからの学生が活躍する社会では、どのような企業で、あるいは組織で活動していても、英語でのコミュニケーション能力は求められると考えます。
しかし、ネイティブな英語を話すことよりも、品格のある日本人としての英語が大切であることを、曽根様は学生に語り掛けて下さいます。
「Play English」楽しみながら話すことこそ、上達への道だと考えます。
この場を借りて、曽根様には心から感謝申し上げます。

2022年11月15日

「グローバルキャリアデザイン」の授業で連合の前事務局長の相原康伸氏が「公益」についての講演を行いました。

全学部を対象としたキャリア教育科目である「グローバルキャリアデザイン」(担当:文学部国文学科 深澤晶久教授)で、10月21日(金)に現ILEC(公益社団法人教育文化協会)理事長の相原康伸氏が講演を行いました。労働組合連合の役割や雇用の問題、国際社会での日本の在り方、多様性など幅広く「働くこと」を捉えなおす内容を伺い「公益のためにどう行動変容するか」を考えました。学生たちは、いま起こっていることを違う視点から見る大切さを学びました。

「公益」について考える

相原氏の話は「公益とはなにか」というところから始まりました。
あまり馴染みのない言葉のようですが、実は「皆さん、今日も実践しているんです」。それは、マスク。自分だけでなく他者の健康を守るために着けているマスクは公益にあたります。公益とは自分のみならず、他者や公の利益を考え、行動することです。
「今日一番のメッセージは、公益に対してどう行動を変容していくか」。
私たちが置かれている様々な社会の課題に対し、公益のために日々の行動をわずかにでも変えること。今回の講演のテーマが最初に語られました。

連合の役割とは

相原氏は日本労働組合総連合会(連合)の前事務局長でした。連合とは日本の労働組合の中央組織です。加盟組合員は約700万人。連合および労働組合の役割は、職場の声をまとめて企業に伝えること。企業は、労働組合が話し合いたいときは受けなければならないという法律があります。真正面から向き合って話す。労働者のことを考えた経営を行うように提言していく大事な役割です。

また「働くということは、いつもピカピカな状態じゃないんです」と相原氏。メンタルが弱ったり、人間関係に悩んだり労働条件に困ったり。これらを受け止めるのも連合の大切な役割です。連合には年間1万5千件から2万件の相談が寄せられます。コロナ禍になってから特に増えたのは、女性・フリーランス・非正規雇用の人々からの声。相原氏は「弱い立場の人たちにさらにしわが寄っている」と伝えました。

憲法第28条には労働三権があり、
働く上で尊重されてしかるべきことが定められています。
団結すること、
交渉すること、
行動すること。
これらは労働者がより良い仕事をする上での権利であり労働組合の根拠となる法律です。ただ、労働組合は企業との関係だけでなく「雇用されていない人、例えばフリーランスや未就業者も含めすべての人に利益があるように努めることが大事」と語ります。当事者だけでなく全員が利益につながるかを考える「ソーシャルダイアログ(社会対話)」を覚えていてほしいと相原氏はエピソードを交え、力を込めて語りました。

国際社会の問題に対しどう変容させるか

今の学生が社会に出るとき求められることは、創造性、今までとは違う視点を持つこと、他者とのコラボレーション能力などが挙げられます。さらに大事なことは「異文化の人たちに対する普遍的な敬愛が持てるかどうか」。グローバルな視点を持つことが求められています。現在、国際社会では貧困と分断が深刻で、日本は世界の中でもいち早く労働力人口が減少しています。多様性やジェンダーの問題も立ちはだかります。それらをどのように変容させるべきか、相原氏は課題を改めて確認していきました。

貧困の課題は、日本のひとり親世帯の問題も。ひとり親の子どもの大学進学率は59%。日本は大学卒業後、新卒一括採用のため初職決定率は9割と世界でも極めて高いですが、新卒で正社員になれないとあとで挽回が利かないとも取れる側面を相原氏は話します。
また、ジェンダーギャップについても問題提起。「特に政治・経済の分野で女性の進出が圧倒的に少ない」と言います。その例として「中学生の女子生徒会長は2割」という話が。「組織の上に立つのは男性という思い込みが社会変容を妨げているのではないか」と、この問題が根深いことを話されました。

行動変容するために

相原氏は、主要国のなかでも日本は若者世代の投票率が低いことにも触れました。日本は「シルバー民主主義」と呼ばれ、ボリュームが大きく投票率の高い高齢者に目掛けて政治をします。「皆さんが政治に参加する姿勢を期待したいと思います」と語りました。
そして、「未来を予測することはできないけれど、未来を予測するのに最も効果的なのは自ら行動すること」と言います。
「私たちがどのように行動するかによって、公益を資することができるかを考えてみてください」とメッセージを送りました。

授業の最後には学生たちからの感想も聞かれました。
「初職決定率の高さをいいものと考えていましたが、お話を伺って失敗すると挽回しにくいというリスクの面もあることにも気付きました」
と言った声や、
「ジェンダーギャップや選挙の話などいままで重要視していなかったけれど、将来や公益を考えることの大切さを知りました」
という感想が。
いままで当然だったものを、改めて見つめなおし問い直す姿勢を学びました。

深澤教授の話

相原様には、毎年この授業にお越しいただき、労働組合の役割のみならず、高い視座広い視点から世の中を見つめることの大切さを教えていただいています。刻々と変わる世の中で、時代を敏感に読み、その変化にどう対応していくかが、大学生の今後のキャリア形成に重要になると考えます。今年も、大変に貴重なお話しをいただきありがとうございました。心から感謝申し上げます。