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2023年2月8日

「実践キャリアプランニング」の丸山珈琲とのコラボ授業が行われ、学生たちは「afterコロナ時代に合ったカフェ」をプレゼンしました。

2年生が対象の共通科目「実践キャリアプランニング」(担当:文学部国文学科 深澤晶久教授)で英文科の学生が、12月16日(金)に株式会社丸山珈琲とのコラボ授業を行いました。この日は11月6日に出された課題「afterコロナ時代におけるコーヒーを主軸にした飲食店」についてのプレゼンです。丸山珈琲からは代表の丸山健太郎社長、広報の小林りえ子氏、バリスタの冨岡智恵氏がいらっしゃり、優秀なものには丸山珈琲賞がいただけます。

誰もがコーヒーを楽しめるお店を考える

最初の4班は「私たちはコーヒーがあんまり得意ではありません」という告白からスタート。しかしコーヒーを楽しみたいという気持ちはあることから「コーヒーが苦手な人も楽しめるカフェ」をコンセプトに考えました。
ミルクや紅茶をブレンドした甘めなメニューを提供。場所は都心から少し離れた静かな場所を設定しました。アンティーク調な内装で、くつろぎながら友達とのコミュニケーションの場となり、買い物やお出かけの合間に立ち寄れるカフェを提案しました。

13班は「afterコロナ時代」に特化したお店を考えました。
換気しやすい広い内装にし、公園などに隣接した景色のいい場所を設定。テラス席で開放的な空間も作り、店内飲食はマグカップで提供、マスクケースも完備。従業員の制服はペットボトル由来の再生繊維から作ります。屋上には太陽光発電を導入し、照明はLEDを使用と環境問題にもしっかり配慮した店舗です。

場所をどこに設定する?ターゲットは?

10班は立地を高田馬場や四谷に設定し、学生や社会人が気楽に立ち寄れて、落ち着いて作業や勉強ができる環境のお店をプレゼン。
軽食には片手で食べられるサンドイッチを用意します。店内はWi-Fi完備で、テーブルの間隔は広めにし、他のお客さんが気にならないよう配慮。1階は会話もできるカフェスペース、2階は作業スペースと目的別に空間を分けました。

次の15班はみなとみらいに設定し、海辺に映えるカフェを提案しました。
横浜に本社がある企業が多いため、会社員をターゲットに設定。白を基調としたさわやかな外装で、店内はワークスペースとリラックススペースで分け、リラックススペースはソファやクッションのある席でゆっくり過ごせます。横浜は観光スポットも多いので、若者にアプローチするためSNSを活用する案を考え、インスタ映えする限定メニューもプレゼンしました。

お客さんにたくさん来てもらうためには?経営面も考えよう

ゆっくりできる空間を提案する班が多い中、コロナ禍を逆手にとって「長居させない回転率の速い店舗」を提案する班も。
5班は狭い店内、席は少なめ、ドアをなくすなどコーヒースタンド風の店内図を作成しプレゼン。渋谷駅近くで、通勤通学前に立ち寄ってもらうことを想定しました。モバイルオーダーで豆の種類も指定可能で、デリバリーにも対応します。

続く11班は美術館や劇場など、文化施設付近に立地を設定。
鑑賞後に感想を語り合える、一息つける場所をコンセプトにしました。劇場などの近くにすることでイベントごとに集客が見込めるのもメリットです。黒や緑を使った外装で、丸山珈琲の上品なイメージも活かします。1階はカフェスペース、2階は2人がけソファでゆったり語り合える空間に。ソファは向かい合わない配置で、横並びに座ることでパーテーションなく感染対策を行えます。

幅広く丸山珈琲を知ってもらうために

3班はキッチンカーをプレゼンしました。
コロナ禍で需要が高まったデリバリーやネット通販にヒントを得て、店舗を持たないスタイルを提案しました。キャッシュレス決済を導入し、価格は店舗より安く、ワンコインでも買える商品も用意。学生や家族連れにも購入してもらいやすくします。平日はオフィス街や大学の近く、休日はショッピングモールなどに出店し、丸山珈琲をたくさんの人に知ってもらえる工夫をします。

最後の2班も幅広い年代に楽しんでもらえる店を考案。
昼はカフェ、夜はレストランを展開します。曜日それぞれに限定で割引や限定メニューを作りました。例えば水曜日に女性はランチ割引、金曜日は学生が500円引き、土日は限定デザートメニューの提供など。さらに夜には曜日限定でシーシャ(水たばこ)の提供を提案しました。実際にシーシャを体験した学生が「コーヒーと甘いシーシャは合う」と実体験を交えプレゼンしました。

丸山珈琲賞発表!「コーヒーを主軸とする」ということ

最後に丸山氏から総評をいただきました。
丸山氏は公平を保つために5つの評価基準を付けたといいます。
それは発想・検討・チャレンジ・実現性・洞察(本質を見る力)。
それぞれ5段階で評価をつけたとのこと。

10班には「2階と1階の分け方は実現性が高い」や11班には「丸山珈琲の冷めても美味しいコーヒーという強みを深堀しているのが嬉しかったです」など、各班に一言ずつコメントもいただきました。
「それぞれチャレンジがあったり、アイデアは堅実でも練りこんでいたりと特徴があり面白かったです」と語りつつ、一点「コーヒーを主軸とした」というテーマであったので「もっとコーヒーについて掘り下げて考えてほしい」とフィードバックもありました。

最後に優秀賞の発表。
丸山珈琲賞には11班が選ばれ賞品にドリップコーヒーをいただきました。

学生からは「みんなで一生懸命考えて準備してきたので、評価していただいて嬉しいです」と話しました。

来週は残り7グループが発表を行います。
各発表後には学生たちも評価を付けました。来週も含め全チームの発表後、学生間賞も選ばれます。

2023年1月31日

「グローバルキャリアデザイン」の授業で高校生と大学生が新しいアイデアを生み出すデザイン思考の体験を行いました。

3年生の選択科目「グローバルキャリアデザイン」(担当:文学部国文学科 深澤晶久教授)で、VISITS Technologies株式会社の野村博之氏が「デザイン思考力」によるアイデア創出の体験授業を行いました。この授業は高大連携で行われ、実践女子学園の高校3年生も参加しました。高校生と大学生で協力し、新しいサービスのアイデア創出のグループワークを行いました。

高大連携!高校生も大学の授業を体験

今回の授業は、実践女子学園高等学校の3年生を交えた高大連携プログラムです。
2023年4月から実践女子大学に進学予定の高校3年生25名前後が参加。
8つの班に分かれ、大学生の「先輩」とともにグループワークを行います。セーラー服に黒いスカーフを結んだ高校生たちは、少し緊張した様子で授業に臨みました。

イノベーションにはデザイン思考力が大事

野村氏の話は「イノベーションとは」というところから始まりました。
イノベーションとは「技術革新」のように思われていますが、「新結合」だと野村氏は言います。これまで組み合わせたことのなかったものを合わせることによって、新しいものを生み出すことです。例えばスマートフォンは、電話とパソコン機能、音楽プレーヤーを合わせたもの。それぞれ独立していたものを合わせたイノベーションによって生まれた製品です。

イノベーションを起こすために最適なのが「デザイン思考」です。
デザイン思考は思考方法のひとつで、「自ら本質的な課題を発見し、解決策を考え出す方法」のことです。「デザイン思考とは、共感から始まります」と野村氏。世の中のデータに基づいて結論を導くロジカルシンキングとは違い、何が求められているかユーザーの「気持ち」を想像・共感して考えていくのです。

高校生はもちろん、大学生もあまりこういう思考法を行ったことはないでしょう。「ただ、誰かにプレゼントをあげるときや、部活やバイトなどで何か困ったときに相手に共感して考えることはありますよね」と野村氏。「そういったところからデザイン思考を使ってみてください」と話しました。

「新しいショッピング体験」をデザイン思考で考えよう!

いよいよ実際に体験です。課題は「未来の『ショッピング体験』を考える」。
大型ショッピングモール、ECサイト、コンビニがテーマに新しいサービスのアイデアを考えます。

まずはそれぞれのいいところをふせんに書き出します。コンビニなら24時間やっている、ECは商品を届けてくれるなど。思いつくことはすべて書き出します。書き出したら、班の中で発表し合い、模造紙にふせんを貼っていき、同じような意見をまとめ整理しました。

次に自分たちが取り組む新しいサービスのコンセプトを決めます。
「どのふせんを取り込むかディスカッションして決めてください」と野村氏。他のサービスのいいところを取り込んで、○○のできる新しいコンビニ、などを考えました。大学生も高校生にうまく促しながら、グループワークが行われました。

コンセプトを決めたら、具体的な新しいサービスのアイデア出し。誰が喜ぶサービスか、どうやって実現するのかを考え、発表できるよう言葉や図などにまとめます。グループワークは活発に行われ、時間ぎりぎりまで話し合いは盛り上がっていました。

どんな新しいサービスがあったらいい?

時間はあっという間に経ち、発表に。

H班は
「衣服を買えるコンビニ」を提案。フィッティングルームがあり、タブレットでネット注文が可能です。
野村氏からは「手軽に服を買いたいというニーズをうまく取り込めている」との感想がありました。

A班は
「スマホでラクラクコンビニ買い物」とし、スマホで商品の口コミを見たり割引を使えたりする店舗をプレゼンしました。
バーコードを読み込み自分で精算できることで店員側の負担も軽減できます。

B班は
「ECサイト系コンビニ」で、限定品を自宅配送出来るサービス。
野村氏から「地方などで喜ばれると思う」と感想がありました。

C班は
「有名人が監修するテーマパーク型ショッピングモール」を考えました。有名人の監修する店舗が並び、いろんなショップを回ることで運動不足の解消にもなるとプレゼンしました。
「ターゲットが限定されているのが良い」と野村氏も感嘆していました。

D班は
「食品ロスをなくそう!コンビニアウトレット」を考え、仕事帰りの人をターゲットに時間ごとに商品をセールするお店を提案しました。

E班は
「口コミと在庫確認できるショッピングモール」をプレゼン。アプリでタグをスキャンすることで口コミや在庫確認が可能です。
「実物も見られて、口コミなども確認できる良さを拡張できるアイデアだと思いました」と野村氏。

F班は
「お出かけの目的になるコンビニ」として1Fは商品予約もできるコンビニで、2Fに24時間利用できるカフェスペースがある店舗を提案しました。
野村氏は「あったら僕は使います」とうまく転換したアイデアを褒めていました。

G班は
「ARで実物が見られて試せるECサイト」で、ARを使うことで衣服や家具、家電だけでなく、香水のにおいも分かるECを提案しました。
野村氏は「IT技術を具体的に取り入れていて素晴らしい」と感想がありました。

短い時間でしたがたくさんのアイデアが出ました。
最後に野村氏は「今日の体験をきっかけに、今後、課題解決するとき今日のような考え方をしてもらえたらと思います」と学生たちに語り掛けました。

2023年1月26日

「グローバルキャリアデザイン」の授業でクレディセゾンにあったら便利なカードを考えるコラボ授業が行われました。

全学部対象の教育科目「グローバルキャリアデザイン」(担当:文学部国文学科 深澤晶久教授)の授業で、12月23日(金)に株式会社クレディセゾンとのコラボ授業が行われました。学生たちは新しいカードの機能やサービスを考えるグループワークを行い、企業の皆さんの前で発表。短い時間で考えをまとめ企画を作る体験をしました。

自由な社風!カード会社ってどんなことをしているの?

今回クレディセゾンから、戦略企画部の荻原氏と金氏、戦略人事部の川崎氏の3名が参加されました。荻原氏からはクレディセゾンの自由な社風の紹介がありました。金氏からは一日の流れが紹介されました。フレックスタイム制を採用しているので11時に出勤。打合せや資料作りをする様子が紹介されました。

戦略企画部は主にセゾンカードがメインカードとして選ばれるためのイベントやプロモーションを考えることが仕事です。「興味や関心を持ってもらえるようにいろいろなカードを出しています」とカードを紹介。ゲームユーザー向けの「ゲーミングカード」は溜まったポイントをゲーム内の課金などに充てられるものです。カードは使う人によって向いているカードが違うため「年代に向けた戦略が違います」と荻原氏。20、30代女性がよく使うインスタグラムでは、カードの情報だけでなく、韓国カルチャーなど女性向けの情報も発信しているそうです。

いよいよグループディスカッション!

続いて川崎氏からグループディスカッションのテーマが発表されました。
「1新しいクレジットカード」
「2新しい決済サービス」
「3新しいカード機能」
の3つです。

1は「女性向け」「ゲームユーザー向け」のようにターゲットを絞った新しい視点のカード。2は、ウォークスルーなどの便利な決済サービスを考えます。3は安心・便利にカードを使えるためにあったらいい追加機能です。

考えるポイントは「どんなサービスだったら利用したくなるか」と「利用者提供者どちらもWIN-WINになるか」。「実現可能性は度外視して大丈夫です。自由にアイディアを出してもらえたらと思います」と川崎氏。学生たちは4つのグループに分かれ、グループごとにテーマを決め、ワークシートに沿いながら45分間で考えます。

さっそくグループで話し合いが開始されました。
「いつカード作った?」「高校生でも使えたらいいよね」「スマホ決済の他に便利な方法ってなにかな」などそれぞれのテーマに沿って欲しい機能やあると便利なカードを考えていきます。

いままでにないカードやサービスとは

あっという間に時間は経ち、発表です。発表は2班ごとに行われました。

2グループは、「OMOTENASHIカード」と題し、海外からの留学生や出張にくる外国人向けのカードを考案。短期滞在ではカードを作りにくいことに注目。英語のサイトを立ち上げオンライン上で申請が完結することを提案しました。再来時はポイント還元率がアップしたりホテルのグレードアップを選べたりとサービスも考えました。留学生向けの学校などで宣伝してもらい新規顧客の開拓を狙います。

荻原氏からは
「外国人向けサービスはいろいろ考えているところですが、面白いアイディアですね」と感心の言葉が。「支払いはコンビニ払いなどができるなど、利便性があるともっといいかも」とアドバイスもありました。

4グループは「JKが便利・親が安心」という女子高生をターゲットにしたカードを考案。
高校生はまだカードを持てないですが、ライブや旅行、ディズニーに遊びに行くなどそれなりにお金も使う機会も増えてきます。そこで、親が契約し利用上限金額を設定できるカードを提案しました。
親は金額の管理ができ安心、JKも高額を使いすぎることがなく安心、カード会社も新規顧客を獲得できるというメリットをあげました。

金氏から
「親と子どちらにもメリットがあるのがいい。皆さんの経験が生きていると思いました」とコメントがありました。

荻原氏からは
「子どもが利用したときに親に通知が行き、承認するシステムなどがあればさらにいいかもしれませんね」とアドバイス。
「いままさに検討しているカードやサービスに近いので、ぜひ参考にさせてもらいます」と感想がありました。

カード会社の企画立案を体験して

発表後に総評をいただきました。
「皆さん難しかったですか?」の問いかけに学生たちは頷き、
「そうですよね」と川崎氏。
「短い時間で検討してまとめるのは難しかったと思いますが、皆さん時間内にしっかり仕上げていて我々も嬉しかったです」
と感想を下さいました。

荻原氏は
「我々も物を作るとき様々な部門の人たちと話し合い企画を作り上げますが、全員の意見をそろえるのが一番難しい。皆がいいと思えるものを作るのは大変ですが、その分良いものができます」
と今回の経験を活かしてほしいと伝えました。

短い時間でしたが、学生たちは実際のカード会社の企画を立案するという貴重な経験をして、未来に向け力を付けることができました。

深澤教授の話

今年もクレディセゾン様にご協力をいただきました。
3人の社員の方と進めた今回の授業は、さながらインターンシップそのものであり、和やかな雰囲気ではあるものの、学生の真剣な表情が印象的でした。
短い時間ではありましたが、クレディセゾン様の企業研究そしてこれから目指されている事業の方向性など、就職活動を目前に控えた学生にとって、とても貴重な時間となりました。
毎年、様々なテーマを構築いただき、ご尽力いただいているクレディセゾン様の皆さまに、心から感謝申し上げます。

2023年1月24日

「実践キャリアプランニング」の授業でロレアル パリによるストリートハラスメントに立ち向かうトレーニング講義が行われました。

共通科目「実践キャリアプランニング」(担当:文学部国文学科 深澤晶久教授)の授業で、食生活科学科の学生が日本ロレアル株式会社のブランドであるロレアル パリとのコラボ授業を受けました。公共の場でのハラスメントに対しどう立ち向かうか、どう被害者に寄り添うべきかというセンシティブな内容に、学生たちも真剣に耳を傾けていました。学生たちは、企業が社会的責任に対しどう取り組んでいるか、企業の幅広い活動について学ぶ機会になりました。

女性を応援し続けるロレアル パリ

菊池裕貴氏は、2014年に日本ロレアルに入社。メイベリン ニューヨークというブランドでネイルやリップ、マスカラなどの開発、マーケティングに携わり2021年からはロレアル パリのブランドディレクターを務めています。ロレアル パリは、1909年発祥のブランドで、髪の毛を染めるヘアカラーから出発しました。日本ロレアルはイヴ・サンローラン・ボーテやシュウ ウエムラ、メイベリン ニューヨークなど数々の人気ブランドを抱えていますが、なかでもロレアル パリは100年以上変わらずヘアカラーやヘアオイルなどを取り扱っています。

掲げているスローガンは「あなたにはその価値があるから」。50年前から変わっていません。ブランドのマニフェストは時代に合わせ10年ほどで変わるのが一般的なところ、ずっと変わらずに女性の価値や自分らしい生き方を応援し続けています。

ストリートハラスメントって?

「日本は、残念ながら女性が生きにくいと正直思っています」と菊池氏。「これをどうにか変えていくために固定観念を打破し、女性の活躍をサポートするブランドになっていきたいと強く思っています」と語りました。

その一環として行われているのが「STAND UPプロジェクト」です。女性をとりまくストリートセクシャルハラスメントに対して立ち向かうためのプロジェクトで、世界各国で行われています。ストリートハラスメントとは公共の場でのハラスメントのこと。電車や飲み会の場、また家族のなかでの会話も該当します。こういった行為に立ち会った「傍観者」の立場に対しトレーニングを行い、ハラスメントを減らしていこうとするトレーニングをロレアルは一般社団法人Voice Up Japanと協力し行っています。

目をそらしてしまいがちなストリートハラスメント

続いてVoice Up Japanの佐野エレナ氏が登壇し「5Dアクション」についての講義が始まりました。ハラスメントを受けた人のなかで、誰かが介入したことで状況が改善したと答えたのは86%に上ります。「どんな形であれ誰かが介入してくれたら状況がよくなったと思えた人の割合は多いので、あまり不安にならずぜひ皆さん実践していただけたら」と佐野氏は語り掛けます。

不自然な身体の接触、お酌の強要、ストーキング行為…直接的な言葉をかけられるだけではなく、じっと見つめられるのもハラスメント行為にあたります。ハラスメントを受けた影響は、その場での不快感だけでなく長期的に残ります。自尊心を傷つけられ、うつやPTSDになったり、被害を受けた場所が怖くて近づけず行動制限を受けたり。日常生活が変えられてしまうのです。

「5Dアクション」を知りどう行動できるか考えよう

そういった場面に立ち会ったときにどう介入するか。学生たちはその方法として「5Dアクション」を学びました。物を落とすなどして気をそらす「Distract」、店員や責任者などに協力を求める「Delegate」、録画や録音して証拠を記録する「Document」、あとから被害者をケアする「Delay」、直接行動する「Direct」。「どんな行為ならできそうだなと思いますか」と佐野氏は学生に問いかけ、「Distract」や「Delay」なら行動できそうと学生も多く手を挙げました。

佐野氏は飲み会での先輩の発言や満員電車などさまざまなシチュエーションを想定し、自分に何ができるか学生たちに考えさせました。「自分の10分で、その人の一生が変わるかもしれません」と佐野氏。声を掛けるなど小さいと思える行動でも介入できると言います。また佐野氏は大切なこととして「ハラスメントは受けた人のせいではない」ということを強調します。自分がハラスメントの被害を受けた場合も「決してあなたのせいではありません」と伝えました。

学生たちも5Dアクションに前向きに

学生たちからは感想や意見がたくさん集まりました。「痴漢され自分も助けてほしいと思ったことがあるので、今後見かけたら見て見ぬふりはしたくない」「自分に何ができるか難しいが、どれかを実践してみたい」「一人では難しいが友達と一緒ならできるかも」といった前向きな意見が多数。実際に助けられた経験がある学生も。ストーカー被害に遭い、いまでも影響を受けていることを打ち明けてくれた学生もいました。

質問も多くありました。「お酒の場では自分もアルコールが入っていて行動は難しいのでは」「満員電車では自分も身動きできない」などの意見には「見てましたよという視線を送るだけでも有効です」と回答がありました。「自分がハラスメントを受けているときに助けてもらう方法は?」という質問には「アピールすることができればベストですが、一番は自分を守ることが最優先。あとから誰かに打ち明けてケアをする方法もあります」と伝えました。

学生たちの心に響く講義

ハラスメントは自分が加害者にもなりえます。例えば友達が誰かに付きまとわれた経験を話したとして「しょうがない」「可愛いからだよ」という言葉はその友達に原因があったことになり、二次加害につながってしまいます。またハラスメントは外見では嫌がっているか分からないことも。介入していいのか判断が難しいこともありますが「ちょっとしたことでも勇気を出してみるということは重要だと思います」と語られ、講義は終了しました。

2023年1月12日

就活の「主体性」と「自育力」を身につける「グローバル・キャリアデザイン」。第10セッションでは、千葉県でテーマパークを運営する株式会社オリエンタルランドで執行役員を務めた、永嶋悦子さんをお迎えしました!

グローバル・キャリアデザインでは、各分野から多彩な講師をお迎えし、キャリアや働くことの本質を探ります。第10回では、千葉県でテーマパークを運営する株式会社オリエンタルランドで執行役員を務めた永嶋さんがご登壇。2年前に退職した永嶋さんは、現在草津に拠点を移し、東京都競馬株式会社の社外取締役として精力的に活動中。最初は1人のキャストだったという永嶋さんのキャリアを通して、日本で初めてのテーマパークが世界に評価されるまでの貴重なストーリーを語っていただきました。

開園時のキャストとして

永嶋さんが株式会社オリエンタルランドに正社員として入社したのは、1982年。千葉県にテーマパークがオープンする1年前になります。
米国以外では初のテーマパークだったため、開演までの1年間は米国からやってきたキャストからトレーニングを受けました。まだ日本=敗戦国というイメージがあったためか、当初米国キャストは「日本人に何ができる」と日本人を馬鹿にしていましたが、教わったことをきっちりこなす日本人を目の当たりにし、1~2カ月後には「お前達、すごいな」と称賛のまなざしを向けるようになったそうです。

シアタータイプのアトラクションでコスチュームを着るキャストの1人だった永嶋さんは、9年間にわたり、施設責任者を務められました。

「20代は習い事や友人と遊ぶ時間がとれないほど忙しかったんですが、仕事は本当に楽しく、毎日充実していました。実は3回ほど救急車で運ばれたことがあります。倒れて初めて、自分の不調に気づくタイプでした(笑)」

管理職試験に合格後は様々な部署を経て、入社25年目に執行役員に就任

1990年代になると、修学旅行や卒業旅行でテーマパークを訪れる学生が増え、ここは楽しい思い出の象徴となっていきました。管理職試験に合格した永嶋さんは、営業部の課長代理として全国でセールス活動へ。
教育委員会や文化庁とつながり、社外の世界を知る貴重な機会となったそうです。

2000年代のテーマパークは、TVCMで「夢が叶う場所」を謳い、学生だけでなく大人も楽しめる場所に変化していきました。
コールセンターマネージャーとCS推進部部長を経た永嶋さんは、2007年にエンターテイメント本部長として執行役員に就任。2019年に理事に就任するまで、執行役員として様々な役割を果たしました。

2010年代に入ると、ゲストだけでなく夢を届ける側のキャストも楽しめる場所を目指します。
2011年3月11日に発生した東日本大震災では、千葉県にあるテーマパークも大きな影響を受けましたが、苦難を乗り越えキャストや会社が大きく成長できたと永嶋さんは当時を振り返ります。

「会社は休園中も社員に給与を保証していたんです。社員は待機中の時間を活用し、ゲストを快適にお迎えするトレーニングを重ね、役に立つ情報をみんなで共有しながら、再開に備えていました」

世界一といわれるキャストのホスピタリティに、マニュアルはない

千葉県にあるテーマパークのホスピタリティは世界一と称されますが、その背景にあるのはキャストの人間力だと永嶋さんは語ります。

「キャストが目指すべきゴールは、ゲストにハピネスをお届けすること。キャストの教育はここからスタートします。みなさん驚くかもしれませんが、そこにはマニュアルはないんです。ゲストに楽しんでもらうために必要なことをキャスト1人ひとりが考え、先輩や仲間と話し合って行動することで、あのホスピタリティが生み出されています。キャストが手を振るとゲストが喜んでくれた。背景にはこうしたフィードバックの共有と積み重ねがあるんです」

大きな責任感の中でも、仲間と仕事を心から楽しめた

終了後、学生から「なぜ倒れるまで仕事をしたんでしょうか」という問いに、「恥ずかしいことですが、私がいないとダメなんだと勝手に思い込んでいました」と答える永嶋さん。
最大400人ほどのキャストを束ねる立場は、大きな責任があったことでしょう。
責任感に押しつぶされることなく、なんでも話し合えて喧嘩もできる仲間と日々挑戦しながら仕事を楽しむことができた、当時の貴重な体験を語ってくださいました。

そこを訪れるゲストだけでなく、夢の世界を運営するキャストの心にもハピネスを届けることを目指す、株式会社オリエンタルランド。
永嶋さんと20年近いお付き合いになるという深澤教授は、
「ぜひ貴社に入社する学生が増えてほしいですね」
と締めくくりました。

深澤教授の話

永嶋様と初めてお会いしてから、やがて四半世紀になります。いつもアクティブで前向きな永嶋様から色々なことを学ばせていただきました。とりわけメンバー一人ひとりのことに気を配りながら、先頭に立って組織を牽引されるリーダーシップについては、私の目標でもありました。今回も、会社生活の中で経験された多くのエピソードから、働くことの楽しさもそして厳しさも教えて下さいました。学生にとっては、極めて貴重な時間になったと思います。この場を借りて、改めて感謝申し上げます。

2023年1月12日

キャリアや働くことを共に考え、議論する「グローバル・キャリアデザイン」。第9セッションでは、CEL英語ソリューションズ最高経営責任者の曽根さんをお迎えしました!

全学部の大学3年生を対象に、就職活動に向けて「主体性」と「自育力」を身につけるグローバル・キャリアデザインでは、各分野から多彩な講師をお迎えし、学生と共にキャリアや働くことの本質を探ります。第9回では「本物の英語力」を身につける英語学校、CEL英語ソリューションズ最高経営責任者の曽根さんがご登壇。学生時代は東大野球部でピッチャーを務め、野球を通じて深澤教授ともつながりがあったという曽根さん。ますますグローバル化が進む社会で、これからキャリアを形成していく学生たちが英語をどうとらえるべきか、大切なヒントを語ってくださいました。

グローバル人材として思い浮かぶ日本人とは?

実践女子大学には毎年講師として訪れている曽根さんが、学生に最初に投げかけたのは「グローバル人材とは?」という問いでした。4人ずつの6つのグループそれぞれが、グローバル人材として思い浮かぶ日本人を3名、壇上のホワイトボートに記入。そこにはイチロー選手、ZOZOTOWN前澤元社長、渡辺直美さんなど、たくさんの名前が挙がりました。

「これをみると、スポーツ選手、芸能人、政治家、経済人など、いろいろな方の名前があります。グローバル人材というのは、ただ単に英語を話すだけではないことがわかるでしょう」

続いて曽根さんは、以前グローバル・キャリアデザインに登壇した3名の講師(指揮者の櫻井先生、レゴの蓮沼先生、スタバの岩田先生)を挙げ、そこに共通するグローバル人材像を探ります。ホワイトボードにはチャレンジ精神、コミュニケーション力、リーダーシップなど、様々な言葉が並びました。

「みなさん素晴らしい観点を持っています。教科書で教わらなくとも、グローバル人材の本質をよく理解しています」

英語の表現は多彩。正解は決してひとつではない

続く授業では、少し視点を変えて英会話での表現へ。
劇場や映画館で「こちらの席、空いていますか?」を英語でどういうか、学生に投げかけました。
「英語にはいろいろな表現があるので、正解はひとつではありません」と励ます中、グループごとに様々な答えが発表されました。

「みなさん素晴らしい。すべて正解です!」と称える曽根さんは、
「4 words(Is this seat taken?)」
「2 words(May I?)」
という短い表現も紹介。さらに言葉を使わないジェスチャーがあることにも触れました。

日本語と同じように「コミュニケーションの道具」である英語は、正解がひとつではないことを曽根さんは強調しました。
英語は正確に話さなければならないと考える学生には、目から鱗だったのではないでしょうか。

英語は「勉強」ではなく「使ってみる」ことが上達への近道

英語の習得には、「英語の富士山」があると語る曽根さん。あたかも山を登るように3段階のフェーズを経て、レベルが向上していくようです。
曽根さんによれば、英語をビジネスでもある程度不自由なく使えるようになるには2000時間必要といわれますが、1日3時間であれば約2年で達成できます。

「実は英語というものは、勉強してはだめなんです。StudyではなくPlayする意識が大切です。みなさんが自転車に乗れるようになったときのことを思い出してみてください。頭であれこれ思い悩むのではなく、とにかく乗ってみたのでは。英語もこれと同様で、『使ってみる』ことが上達につながるんですよ」

美しい英語とは、高い人間性が生み出すもの

最後に「美しい英語とは」という問いを投げかけた曽根さんは、著名人の英語スピーチを例に挙げ、発音や文法の細部にこだわるよりも話す内容が大切だと語りました。

「老若男女、誰がいつ始めても習得できる英語は、ネイティブになる必要はありません。美しい英語とは、経験、知識、教養、人格を含めた高い人間性を持った人が使う英語のことをいいます」

授業のまとめとして、グローバル人材には
①高い専門能力、
②コミュニケーション能力、
③自分を説明する能力、
これら3つの総合力の強化が役に立つと語る曽根さん。

実践女子大学を牽引するトップランナーを育てるこの授業から、美しい英語を使いながら未来を創るグローバル人材が育っていくことを願います。

深澤教授の話

曽根様には、毎年、ご支援をいただいています。
これからの学生が活躍する社会では、どのような企業で、あるいは組織で活動していても、英語でのコミュニケーション能力は求められると考えます。
しかし、ネイティブな英語を話すことよりも、品格のある日本人としての英語が大切であることを、曽根様は学生に語り掛けて下さいます。
「Play English」楽しみながら話すことこそ、上達への道だと考えます。
この場を借りて、曽根様には心から感謝申し上げます。

2022年11月15日

「グローバルキャリアデザイン」の授業で連合の前事務局長の相原康伸氏が「公益」についての講演を行いました。

全学部を対象としたキャリア教育科目である「グローバルキャリアデザイン」(担当:文学部国文学科 深澤晶久教授)で、10月21日(金)に現ILEC(公益社団法人教育文化協会)理事長の相原康伸氏が講演を行いました。労働組合連合の役割や雇用の問題、国際社会での日本の在り方、多様性など幅広く「働くこと」を捉えなおす内容を伺い「公益のためにどう行動変容するか」を考えました。学生たちは、いま起こっていることを違う視点から見る大切さを学びました。

「公益」について考える

相原氏の話は「公益とはなにか」というところから始まりました。
あまり馴染みのない言葉のようですが、実は「皆さん、今日も実践しているんです」。それは、マスク。自分だけでなく他者の健康を守るために着けているマスクは公益にあたります。公益とは自分のみならず、他者や公の利益を考え、行動することです。
「今日一番のメッセージは、公益に対してどう行動を変容していくか」。
私たちが置かれている様々な社会の課題に対し、公益のために日々の行動をわずかにでも変えること。今回の講演のテーマが最初に語られました。

連合の役割とは

相原氏は日本労働組合総連合会(連合)の前事務局長でした。連合とは日本の労働組合の中央組織です。加盟組合員は約700万人。連合および労働組合の役割は、職場の声をまとめて企業に伝えること。企業は、労働組合が話し合いたいときは受けなければならないという法律があります。真正面から向き合って話す。労働者のことを考えた経営を行うように提言していく大事な役割です。

また「働くということは、いつもピカピカな状態じゃないんです」と相原氏。メンタルが弱ったり、人間関係に悩んだり労働条件に困ったり。これらを受け止めるのも連合の大切な役割です。連合には年間1万5千件から2万件の相談が寄せられます。コロナ禍になってから特に増えたのは、女性・フリーランス・非正規雇用の人々からの声。相原氏は「弱い立場の人たちにさらにしわが寄っている」と伝えました。

憲法第28条には労働三権があり、
働く上で尊重されてしかるべきことが定められています。
団結すること、
交渉すること、
行動すること。
これらは労働者がより良い仕事をする上での権利であり労働組合の根拠となる法律です。ただ、労働組合は企業との関係だけでなく「雇用されていない人、例えばフリーランスや未就業者も含めすべての人に利益があるように努めることが大事」と語ります。当事者だけでなく全員が利益につながるかを考える「ソーシャルダイアログ(社会対話)」を覚えていてほしいと相原氏はエピソードを交え、力を込めて語りました。

国際社会の問題に対しどう変容させるか

今の学生が社会に出るとき求められることは、創造性、今までとは違う視点を持つこと、他者とのコラボレーション能力などが挙げられます。さらに大事なことは「異文化の人たちに対する普遍的な敬愛が持てるかどうか」。グローバルな視点を持つことが求められています。現在、国際社会では貧困と分断が深刻で、日本は世界の中でもいち早く労働力人口が減少しています。多様性やジェンダーの問題も立ちはだかります。それらをどのように変容させるべきか、相原氏は課題を改めて確認していきました。

貧困の課題は、日本のひとり親世帯の問題も。ひとり親の子どもの大学進学率は59%。日本は大学卒業後、新卒一括採用のため初職決定率は9割と世界でも極めて高いですが、新卒で正社員になれないとあとで挽回が利かないとも取れる側面を相原氏は話します。
また、ジェンダーギャップについても問題提起。「特に政治・経済の分野で女性の進出が圧倒的に少ない」と言います。その例として「中学生の女子生徒会長は2割」という話が。「組織の上に立つのは男性という思い込みが社会変容を妨げているのではないか」と、この問題が根深いことを話されました。

行動変容するために

相原氏は、主要国のなかでも日本は若者世代の投票率が低いことにも触れました。日本は「シルバー民主主義」と呼ばれ、ボリュームが大きく投票率の高い高齢者に目掛けて政治をします。「皆さんが政治に参加する姿勢を期待したいと思います」と語りました。
そして、「未来を予測することはできないけれど、未来を予測するのに最も効果的なのは自ら行動すること」と言います。
「私たちがどのように行動するかによって、公益を資することができるかを考えてみてください」とメッセージを送りました。

授業の最後には学生たちからの感想も聞かれました。
「初職決定率の高さをいいものと考えていましたが、お話を伺って失敗すると挽回しにくいというリスクの面もあることにも気付きました」
と言った声や、
「ジェンダーギャップや選挙の話などいままで重要視していなかったけれど、将来や公益を考えることの大切さを知りました」
という感想が。
いままで当然だったものを、改めて見つめなおし問い直す姿勢を学びました。

深澤教授の話

相原様には、毎年この授業にお越しいただき、労働組合の役割のみならず、高い視座広い視点から世の中を見つめることの大切さを教えていただいています。刻々と変わる世の中で、時代を敏感に読み、その変化にどう対応していくかが、大学生の今後のキャリア形成に重要になると考えます。今年も、大変に貴重なお話しをいただきありがとうございました。心から感謝申し上げます。

2022年11月15日

多彩な講師の方々をお迎えした「女性とキャリア形成」。最終回は学生のアンケート結果に今注目されるデータサイエンスを活用し、6回の講義を振り返りました。

様々な分野で活躍している講師の方々をお招きした2022年共通教育科目「女性とキャリア形成」も、いよいよ最終回となりました。まとめの授業ではこれまでの6回の講義で学生のみなさんがどんなことを感じ、学んだのかをデータサイエンスの視点から分析しました。社会のあらゆる場面で情報のデジタル化が進む中で、データから何を読み取るかはますます重要になっています。授業の後に寄せられた学生の意見を統合し、それぞれの講義がみなさんの心にどのように刺さったのか、様々な側面から講義を振り返りました。

データを分析した数字だけでは、真のデータ活用とはいえない?

深澤教授の紹介で登壇したのは、VISITS Technologies株式会社の野村さんです。VISITS Technologies株式会社では、AIを活用したアンケートツール「VISITS forms」を提供しています。「VISITS forms」は、アンケートで寄せられた意見をAIがとりまとめ、傾向を可視化するツールです。これまでにトヨタ、パナソニック、住友商事などの大企業が社員から集めた意見をVISITS formsで分析し、業務改善や新たなミッションの策定につなげています。

データサイエンスの第一線にいる立場として、野村さんは語ります。

「みなさんが社会人になると遭遇すると思いますが、会社ではデータを分析し、結果の数字を発表して終わりというケースが少なくありません。数字をみるとなんとなくわかった気になりがちですが、その数字がいったい何なのか、数字が示す意味を掘り下げることが真のデータ活用なんです」

共感や納得を可視化することは、ビジネスや社会を動かす大きな武器になる

今回VISITS formsが分析したのは、アンケートで集まった学生達の意見に対する反響です。野村さんは総合点・新規性・有効性という3つの観点で反響が多かった学生の意見を9つ抽出し、匿名で紹介しました。全文を読み上げながら、どのポイントが支持を集めたのか、学生と一緒に探りました。

「注意したいのは、今回反響が多かった意見が正しいということではないということです。多様性を求める社会では、意見の多様性も大切です。いろいろな人がいて、いろいろな意見がある中で、そこから生まれる共感や納得を可視化することは、ビジネスや社会を動かす大きな武器になると思います。今回の授業を通じて、みなさんが他人との違いを知り、それをおもしろいと感じる学びになるとうれしいです」

授業の最後に、深澤教授のメッセージが詰まったカードのプレゼント

後半では、深澤教授から授業の振り返りがありました。
今年で2年目となった「女性とキャリア形成」で深澤教授が目指したことのひとつは、学生の1人ひとりが「6人の講義を自分のキャリアにどう活かすか」という視点を持つことでした。アンケート結果からも、気づきと学びに溢れた6回の講義は、さまざまなポイントで学生達の心を動かしたことがわかりました。

CUBEという4~5人のグループに分かれて進んだ授業は、学年や学科が異なる学生の間にコミュニケーションを増やしました。授業の進行も各CUBEの持ち回り制でしたが、どの会もしっかりと役割を果たしたことが、大きな拍手で称えられました。

授業の最後には、深澤教授から学生全員にハピネスカードの贈呈がありました。
カードの裏側には、

「実践女子大学で学んだ誇りを持ち、トップランナーとして活躍してほしい」

という教授の想いが込められたメッセージがいくつも書き込まれています。カードを受け取る学生達に、笑顔が浮かびました。

授業を通じて得た自信を、社会人としての活躍に役立ててほしい

今回「college student first」として、生徒の主体性と能動性を引き出すことを意識したという深澤教授は、6回の授業を見事にやりきった学生達を誇らしく語ります。

「今回は昨年よりも、さらに学生達が前のめりになってくれたと思います。今年から始めた試みである、講義を聞いた後に全メンバーをシャッフルして議論する『ワールドカフェ』という取り組みもよかったですね。他のCUBEで異なる意見に触れることで、同じ実践の大学生であっても、様々な意見があることに気づき、自分の意見を自由に言ってもいいという安心感や自信につながったようです。

講義にお招きした講師の方たちのように、学生達が社会で活躍しキャリアを積み重ねていくには、自己肯定感が必要です。今回の授業で得た様々な経験が、学生1人ひとりの自己肯定感を強くし、社会で勝負していく力につながっていってほしいと強く願っています。自分達で授業を創り上げたという自信が、リーダーシップのきっかけになってくれると嬉しいですね」

学年も学科も異なる学生が一堂に会し、ひとつのテーマについて語り合った「女性とキャリア形成」。貴重な講義と自由な議論の経験は、わくわくする未来を創る魅力的な人材を実践女子大学からたくさん送り出していくことでしょう。

2022年11月7日

「実践キャリアプランニング」の授業で実践女子大学OGの千葉美那弓氏が人生とお金の関わりを考える講演を行いました。

「実践キャリアプランニング」の授業で、10月14日(金)に実践女子大学OGの千葉美那弓氏が人生とお金の関わりや、ライフプランについての講演を行いました。専攻とはまったく異なる職種についた千葉氏は、人生を逆算して考える「ライフプラン」の大切さを伝えてくれました。

別ジャンルに飛び込み勉強の日々

今回の講師の千葉氏は実践女子OG。今年3月卒業したばかりの、学生たちに身近な先輩です。学部は日野キャンパスにある生活科学部食生活科学科。健康栄養を専攻していました。在学中に栄養士の資格が取得できる学科です。しかし、千葉氏が選んだ会社は証券会社。その理由は「栄養士の仕事は年を取ってからでもできるかなと思った」からだと言います。そのまま栄養士になることに疑問を持ち「お金の勉強をした方が、これからの人生に対して良いのではと思ったんです」と言います。インターンシップに積極的に参加し「様々な業界・企業の話をきいて、栄養士にならなきゃという固定観念を捨てられた」と話しました。

専攻と全く違う職種にあえて飛び込んだ千葉氏は、毎日勉強の日々。6時に起床し、経済ニュース番組を見ながら朝ご飯を食べたら出社。始業までの1時間でまた新聞やニュースを読み、その日の経済動向をチェックします。今の仕事は営業。研修を終え、7月にデビューしたばかりです。新しく資産運用をしたい方や、運用がしばらくない方にテレアポを取り訪問しています。

お金を考えるにはライフプランを考えよう

アイザワ証券は創業104年の老舗証券会社。17都府県48店舗展開しており、千葉氏は静岡県の三島支店に配属されています。証券会社とは株や証券などの金融商品を取り扱う会社です。お金は人生においてかかせないものです。お金と人生の関わりを考えるには、どんな人生を送りたいか考える「ライフデザイン」と人生の具体的な計画「ライフプラン」を決めることが大事だと言います。特に、人生の三大費用と呼ばれる「教育資金」「住宅購入費」「老後の費用」にどれくらいかかるのか考えるのに、ライフプランは大切です。三大費用は、合わせてなんと1億ほどかかると言われています。

今回の講義を聞く学生たちは2年生で、まだ人生に関わるお金をきちんと考えたことはないかもしれません。そこで、まず考えてほしいのが「家計管理」だと言います。自分の今の生活を営むための収入と支出を管理することで、きちんとお金の動きを把握することができます。また、お金の動きは収入と支出の他に、「貯蓄」が大事。お金が入ったら使う前に貯蓄に回す、先取貯蓄をしておくことが大事だと千葉氏は言います。

人生100年時代!お金に働いてもらう考え方

これからの日本は人生100年時代が到来し、2007年生まれの2人に1人は100歳になると言われています。そこで大切になってくるのは、お金を貯めるだけではなく「資産運用」です。超低金利時代の今、銀行の利子は0.001%。「この金利で、預けたお金を倍にするには何年かかると思いますか?」千葉氏の問いかけに、1,000年くらいという選択肢で手を挙げる学生が多い中、答えはなんと72,000年。気が遠くなる時間が必要なのです。預けているだけではお金は増えません。そこで資産を運用し、自分でお金を増やすことが求められています。

資産を使って株や債券を買うことを投資と言います。投資をすることはその企業の株を買うことで、自分のお金が直接企業のために使われるということになります。国の国債を買えばそのお金は公共サービスについて利用され、自分のお金が直接社会貢献に使われることが説明されました。

また、今注目されているのが「つみたてNISA」です。長期積み立て、分散投資が可能で20年間非課税のため資産運用の方法として国も推進しています。18歳以上が対象のため、学生たちも口座を作ることができます。「つみたてNISAをやっている人いますか?」と聞かれると、2、3名の学生が手を挙げました。学生たちがしっかり資産形成を考えていることに千葉氏も感心していました。

投資に「絶対」はない!

良いことに思われる投資ですが、リスクもあります。お金を運用することは必ず利益が得られるわけではありません。世界情勢や景気などにより損失が出ることも。金融商品は自分の意思で選ぶので、利益・損失は自己責任ということを覚えておかなければいけません。

投資は怖いイメージがあるのも確かです。投資詐欺が増えており、被害者の多くが20代30代の若い世代です。「「必ず」「絶対」という言葉に騙されず、自分でしっかりお金の流れを確認することが大事です」と千葉氏からの言葉がありました。

いろいろな企業の話を聞いて柔軟な考えを持とう

早めに就職先を決めて、4年生の間自由に過ごしたかったという千葉氏は、2年生の終わりからインターンシップの参加を申し込むなど積極的に就職活動を行いました。いつまでに何をしたいか逆算して考えることはライフプランと同じです。

また、就職した今だから思うこととして、「就職先は意外と決まります」と言います。「不安や焦りはあると思うけど、妥協せずあきらめずに就活に取り組んでほしいです」と、これから就活を迎える学生たちにエールを送りました。

2022年11月7日

「グローバルキャリアデザイン」の授業で元マイナビ専務・浜田憲尚氏が就職活動の本質に迫る講演を行いました。

現代生活学科の授業「グローバルキャリアデザイン」(担当:文学部国文学科 深澤晶久教授)で、10月14日(金)に元マイナビ専務の浜田憲尚氏による講演が行われました。これからまさに就職活動が控えている学生たちに、就職活動の本質やなぜ働くのかなど、全体を俯瞰する視点の大切さを語って下さいました。

偶然出会った自分が打ち込める仕事

マイナビのロゴは、「M」の字をウェーブに見立てた一人の人生を描いているといいます。一人ひとりの可能性と向き合い、成長させる「きっかけ」でありたいというのが企業理念です。マイナビは1973年設立。現在全国70か所、海外8拠点を持つ大きな企業です。「マイナビという会社は、一言でいえば皆さんと企業をつなげる仕事をしています」と浜田氏。アルバイトからフリーランス、アスリートたちの支援やウェディング事業まで幅広く扱っています。新卒生が企業に就職することももちろんそのひとつ。「日本は新卒一括採用のため、たくさんの企業が待ち構えています。活かさない手はない」と力強く仰いました。

それから浜田氏の異例の入社の経緯を教えてくれました。大学で哲学を専攻していた浜田氏は院へ進みたかったのですが、親に説得され就職することに。就職活動に乗り気でなかったため、偶然DMを見たマイナビの面接に応募。当日向かってみると誰もいません。開始時間と終了時間を間違えていたのです。そこにいたある社員の方が気にかけてくれ、少し話すと「今度会おう」と時間と場所を指定されました。後日行ってみると、なんとそれは最終面接。話した社員の方は当時の人事部長だったというのです。

そのままマイナビに入社し、営業を経て、京都拠点の立ち上げや新卒向けの就職情報サービス開発に携わり、常任理事顧問に。まさにマイナビをNo.1就職情報サービス会社に育てた第一人者です。昨年退社し、現在はマイナビの海外展開の事業サポートをなさっています。「就職活動せずに入社した僕が就職を語るのも変な話なのですが」と前置きしつつ、長く勤めた理由を「打ち込める仕事に出会ったから」だと話します。会社が大切に育ててくれ、若くても仕事を任せてもらえたことや、自分たちでサービスを作り利益を得る楽しみ、クライアントの期待。そして人や企業の運命を左右する仕事であるという責任感があったからだと言います。

就職活動の前に考えてほしいこと

今回の講義を聞くのは就職活動前の3年生。今の心境は?と浜田氏に問われ、不安な心境を打ち明けました。「採用してくれる企業があるだろうか」「今の段階であまり動けていない」「行きたい会社が見つかるか…」わくわくしている学生たちは少ないようです。そこで浜田氏は「なぜ働くのか」ともう一つの問いかけをしました。「まずはお金を稼ぎたいから」「働いていない自分は想像つかないから」と、学生たちから回答が。では、自分にとってベストな就職には何が重要か、再度浜田氏は問いかけます。学生からは「自分の希望する職につくこと」「自分が大切にしていることを大事にしてくれる環境」などの回答が出ました。

浜田氏は「働くことは糧(かて)を得ること」と言います。そして「どんな職につき、糧を得るかは方法論です」と続けました。また人生で最も悲しいことは、何のために生きているのか分からないことだと言い、反対に存在価値が認められると自分に意味があると思えると話します。これらは生きがいや仕事のやりがいにつながることです。人は必要とされている、自分が活かされていると感じるとそこで働く意味があると思います。「人は誰しもいきいきと働くべき」と浜田氏は続けます。そのためにはそもそもどう生きたいか、自分を見つめることが大事です。就職すること自体を目的にせず、「なぜ働くのか」を考えることが大切だと語りました。

企業と学生、お互いがベストな就職を目指して

そして「皆さんがいきいきと働くことは企業にとっても良いこと」と浜田氏。企業とは、物やサービスなど「価値」を提供して対価をもらいます。その企業の価値を最大化するものが「人材」です。自分の力を活かして活躍すれば、企業の価値も上がっていくということ。そのため、企業側も「ベストな就職」を求めています。マイナビは企業と学生両者にとってベストな就職をする手助けをしています。質の高い情報や、たくさんの選択肢を提供し、精度の高いマッチングを目指しています。

最後に、学生たちに向けこれからの就職活動についてアドバイス。現在の採用基準は「量より質」。人数を採りたい時でも、基準を下げてまで採用する企業は少ないと言います。そのためインターンシップなど、早めの企業研究をしてほしいと助言しました。また「これまで、学生さんたちのたくさんの意見や期待をもらってマイナビも成長しました。もっといいサービスにしていきたいので、積極的に利用して頑張ってください」と応援しました。

縁がつながり就職先に!OGも応援

「深澤教授が資生堂在籍時に人事で関わったときのご縁で、年に1回学生たちの前で話す機会をいただきました」と浜田さん。
縁はさらに続き、なんとこの授業がきっかけで、2名の学生がマイナビに入社しています。
OGである中島さんと渡辺さんも最後に挨拶されました。
「この授業でマイナビに興味を持ち入社しました」
「自分たちも就活のとき先輩にいろいろ話を聞いてもらいました。良かったら相談してください」
と先輩らしい優しい言葉も。
就活に対し不安もある学生たちですが、将来のことを考える良い機会となりました。

深澤教授の話

マイナビの浜田様とは、もう15年来、私の企業人事時代から大変にお世話になっています。
そして毎年この授業にお越しいただいていますが、ご自身の就職活動を含めたキャリアの興味深いエピソードや、マイナビという会社の社会的意義など、学生にとっては、毎年、本当に多くの学びの機会をいただいています。
“就活の本質”という、浜田様でしかお聞き出来ない内容であり、これから就職活動に臨む学生にとって、貴重な時間となりました。
浜田様にはこの場を借りて、厚く御礼申し上げます。