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2023年6月19日

学生たちが渋谷のスローなツアーを提案!原田ゼミ(都市と地域の社会学)で博報堂とJR東日本のコラボ授業が行われました。

人間社会学科 原田謙教授のゼミで、5月29日に株式会社博報堂(以下、博報堂) ミライの事業室と東日本旅客鉄道株式会社(以下、JR東日本) 東京感動線とのコラボ授業が行われました。渋谷でスローに過ごす体験ツアーを学生たちが提案し、実際に開催することを目標にしています。今回は土台となる案出しを行い、企業のみなさんと質疑応答でブラッシュアップしていきました。

渋谷のスローな過ごし方をツアーにしよう

JR東日本の「東京感動線」は、山手線を起点に心豊かな生活を提案するプロジェクトです。街の個性を引き出し、人と人の繋がりを作る「エキとマチをつなげる」をコンセプトに、地域と連携し街を探索したくなる仕掛けづくりを行っています。タッグを組んだのが博報堂 ミライの事業室。渋谷の街づくりサービス「shibuya good pass」を開発している繋がりから、「Slow Platform 渋谷駅0番線」という駅構内のスペースを活用したプロジェクトを共同で行っています。

2022年度後期の原田先生の「フィールドワーク論」の授業では、渋谷駅0番線プロジェクトとコラボし、渋谷で一息つけるスローな場所を紹介した「渋谷スローマップ」が作成されました。今回はその発展版として、「渋谷をスローに過ごすツアー」を学生たちが考案します。

現在、東京感動線は、体験シェアサービス「aini」と連携し、山手線の暮らしをより楽しめる体験ツアーを提供しています。ツアーの内容は地域によって多種多様。
上野駅の歴史を知る構内ツアーや、東京駅は鉄道古物を使ったアクセサリー作り等があります。

朝はのんびり&夜はご褒美

学生たちはainiのツアーを参考に、各チーム2つずつ案を考えてきました。

Aチームは、忙しい朝の時間をのんびりするモーニングツアーと、日々の疲れを癒すご褒美ツアーを考案しました。

モーニングツアーでは、朝8時にカフェでゆっくりと朝食を取り、その後代々木公園でサイクリング。最後は美術館で美術鑑賞するツアーを提案しました。午前中を活用することで充実した一日を過ごすことができ、ゆったりとした時間を過ごすことで心豊かになるとプレゼンしました。

夜のご褒美ツアーは金曜日の19時にレストランでディナーを楽しみ、足湯カフェでリラックス。その後はシーシャカフェで過ごしたり、夜景を見たりを選べる贅沢な時間を過ごすツアーです。働く女性をターゲットに、一週間頑張った自分にご褒美を用意しました。

デジタルデトックスで有意義な時間を

Bチームはスローな時間を過ごすために、デジタルデトックスというコンセプトを決め2つの案を考えました。

1つめは親子で参加するツアー。
スマホの電源を切ってもらい、使い捨てカメラを配布。喫茶店や明治神宮でゆっくり過ごし、お弁当を買って食事を楽しみます。その様子はフィルムカメラで撮影し、思い出に残してもらうというツアーです。

もう1つはおひとり様専用で、金曜日の夜に読書をするためのツアーです。
アナログレコードなどを聞けるカフェで静かに読書を行い、最後にはツアー参加者同士で本についての感想などを話し合います。
デジタルを離れ、人と人の対話を楽しめるとプレゼンしました。

価格はどうする?人数は?

発表のあとには、学生から質問もありました。
特に価格設定はどのくらいが妥当なのか、という質問は両班とも気になるところ。

JR東日本の方は
「正直ピンキリです。金額に見合った内容で、お客様が納得される値段であることが大事」と回答。ただ、今回は学生考案のツアーとして打ち出す予定のため、「値段が高すぎるとお客様にどう思われるかというところはあります。価格の一つの決め方として、催行人数が半分でも成立するように決めるということがあります」とアドバイス。ツアーは必ず定員が埋まるとは限りません。定員に届かなくても、赤字が出ないようにするのは大切な考えです。

その他にも、
人数は?サイクリングやピクニックなど外で行うイベントは、雨の時はどうしたらいい?飲食の場合、席は一緒?移動の時間はどう過ごす?など細かい確認や決定すべき事項がいくつか出ていました。

学生ならではのツアー体験で付加価値を

発表後は企業の皆さまから講評もいただきました。

モーニング&ナイトツアーについては、JR東日本の方から
「時間帯で区切るという発想がなかったので面白いと思いました。レストランやカフェも、自分では踏み込みにくいところもツアーなら行きやすいというのは良い案」と感想を話されました。

デジタルデトックスの案にも、博報堂の方から
「デジタルデトックスというコンセプトは、都会に住んでいる人向けならではと思いました」という感想が。
また、「私も本が好きなので、カフェの前に本屋巡りなども良いかも」と提案もありました。

ただ共通して伝えられたのは
「大事なのは、わざわざツアーに参加したくなる付加価値を考えること」。

どのツアー案も、個々でやろうと思えばできることです。それでもツアーに参加する価値や特別感を考えてほしいと話されました。
例えば、美術館で作品の案内が聞ける、レストランではツアー限定のメニューがある、など。学生ならではの目線で、体験の提案を考えてほしいと期待を寄せました。

学生たちは今回の案を練り直し、夏休み前を目安に提案予定。秋には実際にツアーの開催を目指します。

2023年3月30日

東洋製罐とのコラボ授業で「受験生の悩みを解消する缶」というアイディアの詰まったプレゼンが行われました。

人間社会学部の「演習Ⅰ」の授業(篠﨑香織教授と金津謙専任講師の担当クラス)で、12月12日(月)に東洋製罐株式会社とのコラボ授業が行われました。テーマは「受験生のお悩みを解消する缶の提案」。学生は4-5人ずつ12チームに分かれ、それぞれ知恵を絞りオリジナルの缶とキャッチコピーを考えてきました。この日は企業の皆さまの前で5分間のプレゼンを行いました。従来の缶の使い方にとらわれない、アイディアの詰まった缶が次々に発表され、レベルの高いプレゼンとなりました。

受験生の悩みを解消する缶とは?

トップバッターのゴールドチームは「缶から幸運を」をキャッチコピーに、おみくじのついたフォーチュンクッキーを提案。
おみくじには先輩たちの手書き文字の応援メッセージも印刷し、受験生の当日の緊張を和らげます。コスト計算や、クッキーが割れないよう緩衝材を入れることなどまで考えました。

りこみゆチームは受験生の必需品・赤本が重いことに着目。
過去問一回分だけ缶に入れ、持ち運びや勉強するハードルを下げるというアイディアを出しました。
発表後は東洋製罐の方から「課題の目の付け所がいい。皆さんの経験が生きていると思いました」と感想をいただきました。

三番手のチームポチャッコは勉強の疲れを癒すアロマ缶を提案。
倒れても周りを汚しにくいビーズ素材のアロマディフューザーを入れ、勉強中に手軽に癒しを取り入れられるよう工夫しました。

缶に入れるのは食べ物だけとは限らない!

シルバーチームは「一緒に成長できる仲間がほしい」という観点から、缶で育てる植物栽培セットを提案しました。
机の上でローズマリーやタイムなどのハーブを育てることで、緑の癒し効果と視覚的に成長を感じられると説明しました。
企業の方からも「非日常のワクワク感がいいし、私も欲しいです」という感想も。

JJっこチームは「学習力も女子力もUP!」をテーマに缶の中を分割してミントタブレットと単語帳・ヘアゴムを入れることを提案。
受験勉強の集中力が続きづらい悩みをデータで提示し、集中力を高めるミントに注目しました。
発表後にも「データできちんと示してくれて説得力がありました」とコメントがありました。

プラチナチームは、受験時はスマホが見られないため時間が分からない不安を解決する「ビーズウォッチ」を提案しました。
ストラップはビーズで、自分で作ることができ試作品も作りアピールしました。
コメントでも「実際に作ることで分かることもあるので、とても良いプレゼンでした」と感心の言葉がありました。

香りで癒し&やる気を導く!

ラベンダーチームは、受験生のプレッシャーを和らげるアロマディフューザーを提案しました。
香りが人に及ぼす効果が高いデータも示し、繰り返し使えるアロマストーンとオイルを缶に入れることを提案。
香りに着目したチームは複数ありました。

フラワーチームは缶を2段構造にして、1段目に花びら型の入浴剤を、2段目にアロマキャンドルを入れることをプレゼンしました。
湯船に浸かることは疲労回復になること、火のゆらぎは癒し効果があることも説明しました。
コメントも「視覚と香りの両面から癒しを取り入れているのが良い」と着眼点に感心されました。

続くチームぼむも入浴剤を提案しました。
入浴剤の効果や缶のデザイン、コストも細かく計算しプレゼン資料を作りました。

ストレス以外にも悩みはある

当日の不安を解消する缶を考えたのはおこめチームです。
鉛筆、消しゴム、鉛筆削りなど実用的なものを詰め込み、缶を持ち運べば受験の際に困らないようにしました。
缶はコーヒー缶タイプの細長いもので、ペン立てにもなります。
「缶を持ち運ぶというのは新しい発想」と東洋製罐の皆さんもびっくりのアイディアです。

チームココアは大学に行く自分を想像できないという悩みを解消する缶を。
大学の情報や在学生の実際の声を、写真も入れ分かりやすくまとめることを提案しました。
自分もやりたいことを書き込め、モチベーション維持につなげます。
サンプルを作って分かりやすくプレゼンしました。

チームlight!は目の疲れにフォーカスし「can pass light」というLEDライトを提案。
缶に穴をあけランプシェードにして楽しみます。
コメントでは「名称がいい」や、「缶に穴を開ける発想は面白い」という感想がありました。

包装も進化!東洋製罐とはどんな会社?

発表後に、東洋製罐テクニカルセンターの永井信彦氏から企業の説明がありました。東洋製罐は主に金属缶やPETボトル、プラスチック容器を製造販売する会社で、金属、プラスチック、ガラス、紙の4大包装資材の容器を様々な分野に提供している東洋製罐グループホールディングス傘下の企業です。金属缶は飲料、食品、生活用品などあらゆる用途に利用されています。安心安全はもちろん、環境問題にも配慮されています。「缶が自然分解されるには50〜200年という時間がかかります」と永井氏。現在日本ではアルミ・スチール缶は94%がリサイクルされていると語り、学生たちにも分別を促しました。

東洋製罐は企業相手に製品を売る会社ですが、最終的に使うのは一般の人たち。「皆さんの意見も聞いて作っています」と、カレーのレトルトパウチを紹介。個食化が進み、レトルトの消費が増えてきた現代に合わせ、技術革新により電子レンジ可の環境配慮型レトルトパウチが開発されたことを話されました。

最後に「どのチームもプレゼンがとても上手で資料もきれいでした」と、プレゼンが初めての1年生とは思えない質の高さにお褒めのコメントもいただきました。各発表に対して参加学生はリアルタイム投票機能で評価を行い、この結果に基づき企業の皆さまと先生方で協議し1位を決定。
1位のチームのアイデアは、東洋製罐のご協力のもと実物作製され、オープンキャンパスなどで受験生に向けて提供される予定です。

2023年3月1日

「実践キャリアプランニング」の授業で学生たちはJALグループにおける障がいのある社員が活躍できる新たなビジネスを提案しました。

共通科目「実践キャリアプランニング」(担当:文学部国文学科 深澤晶久教授)の授業で、12月13日に現代生活学科の学生が日本航空株式会社(JAL)とのコラボ授業が行われました。1か月前に出された課題「障がいのある社員が活躍できる新たなフィールドやビジネス」のプレゼンで、週にわたって行われこの日は後半7グループが発表しました。優秀なプレゼンにはJAL賞が与えられます。

才能を活かしてインテリアデザインを

最初の12班は
「芸術的才能を活かしたインテリアデザイナー」を提案。
精神障がい者の色彩感覚、芸術的才能を活かし、JALグループにあるマンション建設事業のモデルルームのインテリアや部屋に飾るフラワーアレンジメントを行う事業を考えました。
またこの課題に向き合い「障がいのある方の特性を知り活かすことが大切と気付いた」とまとめました。

発表後には企業の皆様からフィードバックが行われ、
JAL産学連携部の田中氏からは
「バリアフリーだけにこだわるのではなく夢のある仕事だと思いました」
と感想がありました。

発達障がいの方も介護で活躍

次の8班は、
近年増えている発達障がいのある社員の雇用を提案。
発達障がいは会話のやりとりや社会性に障がいがありますが、ルールを守る真面目な人柄が多いとも言われています。
そこで丁寧な対応が求められる高齢者介護の仕事を提案しました。
最後にはこの企画は健常者目線の提案であることに触れ、障がい者に寄り添った企画に練り上げる必要があることに言及しました。

JAL産学連携部の與口氏は、
「当事者に寄り添った企画に練り上げる必要があるという最後のコメントに誠実さを感じました」
と感嘆されました。

安心、安全な修学旅行

行事に着目したのは5班です。
多くの学生にとって思い出の行事となる修学旅行は、特別支援学校ではクリアするべき条件が多くとても大変。
そこで特別支援学校の修学旅行プランをJALサンライト社員が考案することを提案しました。
障がいのある社員ならではの目線で、支援学校の学生や先生、家族の不安を取り除き、安心、安全な修学旅行を強調しました。

JALサンライトの田中氏から
「安全・安心というJALのビジョンを掲げていることにぐっときました」
と心をつかまれたことを伝えました。

KAKUNOU-CONしよう

4班は「格納コン」を提案。
飛行機の格納庫で行うコンサートのことで、実際にアイドルや芸能人が行っています。
運営にはすべての障がいのある方と健常者が関わります。
会場内はバリアフリーで手話通訳なども対応し、関わる方すべてが楽しめる案をプレゼンしました。

JAL産学連携部の猪田氏は
「わくわくする内容で、具体的なところまでイメージできました」
とすべての人がコンサートを楽しめるという案に共感していました。

やりたい!できる!を仕事に

7班は機内の軽食の製造を提案しました。
いちから新規事業の開拓は難しいと考え、既存の形態を利用する案です。
黙々と作業し続けられる特性のある精神障がい者の雇用を増やします。
サンドイッチ製造やラッピング、盛り付けなど工程を分け、障がい者がこれならできると思わせる環境を整えることが大切と伝えました。

JALサンライトの田中氏は
「既存のものを進化させる着目がいい」
と話されました。

空のお菓子プロジェクト

11班は機内のお菓子の製造についてプレゼンしました。
障がい者雇用の課題は、障がい特性によって携わる業務の種類が偏りがちであることだと考え、どんな障がいのひとでも関われる事業を考えました。
クッキーやマフィン、パウンドケーキなどのお菓子の考案、作成、梱包、運搬まで対応。
すべて障がい者とともに一般の社員も関わり、交流の場を作ることの大切さを伝えました。

JAL産学連携部の與口氏は、
「オーソドックスな提案だと思いましたが、一般の社員も含め全員で行うことの大切さ、交流すべきというメッセージが伝わりました」
と話されました。

空飛ぶ絵画

最後の10班は、
まず精神障がい者の描いた絵画を提示し、色彩感覚が豊かなことを視覚的に伝えました。
ドリンクカップのデザインを募集し、選ばれたデザインは商品化を提案。
デザインした人にはインセンティブ報酬があり、モチベーションアップにつなげます。
学生たちはこの課題を調べるうち障がい者と健常者と棲み分けされていると感じ、一緒に働ける案を考えたとまとめました。

JAL産学連携部の田中氏は、
「インセンティブ報酬に加え、会社に貢献したという実感もやりがいに繋がりますね」
と話されました。

障がい者も活躍できる社会を想像する大切さ

発表後、企業の皆さまが話し合って本日のJAL賞を決定。
受賞したのは「安心、安全」の修学旅行をプレゼンした5班でした。

JALサンライトの田中氏から
「障がいのある学生や家族、学校の先生などいろんな視点が入っている点や、安心、安全というJALの強みも生かせる点が良かったです」と評価ポイントを挙げました。
学生からは
「賞をもらえると思っていませんでしたが、障がいについての理解が深まり良い機会になりました。ありがとうございました」と感想がありました。

最後に企業の皆さまから全体の講評をいただきました。
JALサンライトの田中氏は
「JALサンライトの職場を見学などしていない中想像して考えるのは大変だったと思いますが、この経験は今後の人生にも生かされるはずです」と相手の立場に立つという想像力の大切さを伝えました。

JAL産学連携部の田中氏も
「日頃接することの少ない障がい者のフィールドを考えることは難しかったと思います」と、D&Iを考えることが必要と伝えました。
最後に「本当に楽しくワクワクするプレゼンテーションを聞けました。
これからも頑張ってください」とエールを送りました。

深澤教授の話

昨年度からご支援をいただいている日本航空様からの今年のお題は障がい者の方の更なる活躍を考えるという内容でした。多様性がさらに重要となり、注目が増す中で、JALグループ様の取り組みは社会からも高く評価されており、ダイバーシティ&インクルージョンを学びの軸においている中、極めて貴重な機会となりました。日野キャンパスまでたびたび足をお運びいただいた日本航空様、そしてJALサンライト様の社員の方に、心から感謝申し上げます。

2023年3月1日

「実践キャリアプランニング」の授業でJALグループの社員の立場に立って障がいのある社員が活躍できる新たなビジネスを考える課題に取り組みました。 

共通科目「実践キャリアプランニング」(担当:文学部国文学科 深澤晶久教授)の授業で、現代生活学科の学生が日本航空株式会社(JAL)とのコラボ授業を受けました。学生たちはD&Iの考え方を学び、JALグループの社員の立場に立って、企業がいままさに取り組んでいる課題に挑戦します。

JALが掲げる企業理念とESG戦略とは

講師を務めてくださる田中優子氏は、1982年から客室乗務員としてデビュー。2007年からは管理職となり、2017年からは名古屋外国語大学に出向し、特任教授として教鞭も取っていました。現在は産学連携部で人財育成に携わっています。

JALは1951年に設立。旅客輸送および貨物輸送事業において国内線・国際線ともに日本の空のインフラを担っています。JAL単体の従業員は12,000人以上、グループ会社は131社ある誰もが知る大企業です。
JALが2030年に向けたあるべき姿として掲げるJAL Vision 2030は、
「確かな安全といつも心地よい安心を感じられる社会を創ります」と、
「誰もが豊かさと希望を感じられる未来を創ります」。
この2つを実現するために「ESG戦略を経営の軸とする」という社長の表明が紹介されました。「ESG」とは環境(E: Environment)、地域社会(S: Social)、ガバナンス(G: Governance)の頭文字で、企業の長期的成長に重要な3つの観点です。

「皆さんが就職活動をしていくなかで企業のどんなところをポイントにされますか」と田中氏は問いかけました。業績のいい企業を選ぶのは当然としつつ「これからは業績だけではなく、ESGの観点がしっかり入って社会貢献しているかということが、重要な評価ポイントになってくると思います」と言います。

D&Iの実現のために

JALグループはESGの「S」の重点領域のひとつとして「人」に関する取り組みに力を入れています。その重要な項目のひとつとして「D&I」を推進するということが挙げられます。「Diversity&Inclusion」の略で「多様性と包括」などと訳されます。現在ダイバーシティの考えは浸透しつつありますが、単に組織のなかにさまざまな人がいるだけでは十分に個々の能力が活かされているとは言えません。お互いが関係しあい、能力を活かすことで新しい発想や活躍に結び付けるのがD&Iの考え方です。

JALグループでは2019年から人権方針を制定し、D&Iを推進していくという目標を掲げました。グローバル人財や女性リーダーの育成、障がい者の活躍推進、LGBTQへの理解促進などさまざまな活動を行っています。
今回はなかでも、障がい者の活躍推進にフォーカスして、学生たちも課題を考えていきます。まずJALグループの中でその取り組みを担う「JALサンライト」が紹介されました。

JALサンライトの活動を知る

JALサンライトとはJALグループの特例子会社です。
特例子会社とは、障がい者の雇用を促進するため、障がい特性に配慮し就業環境を整えている会社のこと。JALサンライトは障がい者と健常者の割合は約半々で、障がい者が多数を占める特例子会社が多いなか珍しい社員構成です。障がいの有無に関わらず社員全員が活躍できる環境作りが行われています。航空券にかかわる事務業務や客室乗務員のスケジュール作成のほか、JALグループ社員向けのカフェや靴磨き、ネイルサービスの運営もしています。

靴磨きサービス「シューシャイン」は社内で新規事業の提案を募ったなかから生まれた事業です。軽度な知的障がいのある社員の、集中力があり細かい作業が得意な特性を活かすことができるサービスです。靴磨きの世界チャンピオンに直接指導も受け、社員も誇りを持って靴磨きの技術を向上させています。

また車椅子で生活するJALサンライト社員とともに、JALは車椅子でいくツアーの企画を立案。車椅子で必要なサービスや視点を確認し、沖縄3泊4日のツアーを企画しました。車椅子だと遠方への旅行にどうしても踏み出しにくいため、車椅子利用者の背中を押すことを目的に立案されました。

企業のリアルな課題にチャレンジ!

いよいよグループワークの課題が発表されました。
課題は「障がいのある社員が活躍できる新たなフィールドやビジネスを提案する」。学生たちはJALサンライトの社員の立場に立って課題に取り組みます。ポイントは、人財の多様さが活かされて相互に機能しているか。障がい者がその仕事をすることで、他の社員にとってもメリットはあるかを考えます。社内向けのサービスでも、一般の方向けのビジネス案でも構いません。ただアイディアを出すだけではなく、実際に行うときにどんなハードルがあるか、持続可能であるかも考えなければいけません。

「そして、そのプロジェクトを自分自身が楽しめるか、やりがいを感じるか。この観点もとても大事です」と田中氏は話します。
田中氏は「うまく発表するだけでなく、グループワークでどんなプロセスがあったかがとても大事」と言い、プレゼンではどんなグループワークだったかプロセスや感想を加えるようにとのことでした。

「知らないを知る」ことで課題を解決する

最後に田中氏は、「障がいのある人は何が出来て何ができないのか、伝えるのが難しいことがあることを忘れないでほしい」と話します。
「障がいについて知らないことが多いという認識を持って、知ろうとすることが重要です」と課題への視点を語りました。

大変難しい課題ですが、田中氏は「例えばアルバイト先でこんなサービスがあったらいいな、というところから発想してみるのもいいと思います」とアドバイス。「新鮮で斬新で、楽しいアイディアが出ることを楽しみにしています」と期待をかけました。

学生はグループワークを経て、12月に最終プレゼンテーションに臨みます。

深澤先生の話

昨年度からご支援をいただいている日本航空様からの今年のお題は障がい者の方の更なる活躍を考えるという内容でした。多様性がさらに重要となり、注目が増す中で、JALグループ様の取り組みは社会からも高く評価されており、ダイバーシティ&インクルージョンを学びの軸においている中、極めて貴重な機会となりました。日野キャンパスまでたびたび足をお運びいただいた日本航空様、そしてJALサンライト様の社員の方に、心から感謝申し上げます。

2023年3月1日

JAL様をお迎えした特別コラボセッション。障がいのある方々が活躍できる未来の職場を考えました

ビジネスの最前線で活躍する方々をお迎えし、企業が直面する様々な課題を知り、その解決策を探る特別コラボセッション。「障がいのある社員とともにJALの翼を支えている」JALサンライト様をお迎えした授業のまとめは、学生達のプレゼンテーションです。学生達は障がいのある方々が活躍できる仕事や職場を探りました。

前半8グループのプレゼンテーションでは、多彩なアイデアが登場

まとめの授業では、グループがごとに前半と後半に分かれてプレゼンテーションを披露しました。
それぞれの発表を聞いたJALサンライトの取締役の池田氏とJALの方々から、あたたかいコメントがありました。

①グループ14

座席シートを芸術的に
「障がいのある方々の集中力や芸術性」と「航空機」というキーワードから、座席シートのデザインを提案。
廃棄となる座席シートは、コースターやキーホルダーにアップサイクルさせる。

池田氏
「シートを取り上げたのはおもしろいですね。航空機やシートの数をデータで裏付けすると、ビジネスの広がりを伝えられそうです。障がい者の才能については、根拠があるとさらに説得力が増すと思います」

②グループ6

ビジネスホテルの新たな価値創造
障がいの種類に関係なく活躍できる職場として、JALと提携したビジネスホテルに注目。
カフェ、宿泊、管理・営業という3つのカテゴリに、そこで働く人々をマッピング。

田中氏
「目的と狙いを深めた分析がいいですね。それぞれの職場ではどんな仕事をするのか、深掘りするとさらに具体性が増すと思います」

③グループ3

誰にとっても居心地のいいレストラン
障がい者を対象とした調査を取り上げ、保護者が亡くなった後の仕事の不安を解消する場としてレストランを提案。
障がい者と健常者が互いを理解し、交流する場を創る。

猪田氏
「調査結果で根拠を示した導入がいいですね。コンセプトもわかりやすいと思います。交流の内容をもう少し肉付けするといいですね。個人的にぜひ行ってみたいです」

④グループ9

輝くためのヘアセット
障がい者雇用の現状を紹介した上で、障がい者の手先の器用さと集中力が活きる、新人CAさんのヘアセットの仕事を提案。

田中氏
「目指すものがしっかりと伝わるタイトルになっています。ヘアだけでなく、CAさんのリラックスとしてもいいかもしれませんね。月額5000円というサブスクなのが今風だと思いました」

⑤グループ2

写真でGO!
JALで働く障がいのある方々が、観光地の写真を撮りPRする。障がいのある社員の視点で観光地の魅力をアピールする。

池田氏
「ターゲット整理もまとめ方もいい。明日から着手可能な企画です。障がいのある方には健常者と同じことをしたいというニーズがあります。自治体を巻き込み、障がいを考慮した施設に発展させることもできそうです」

⑥グループ2

ペットカフェ
動物とのふれあいが癒しになるペットカフェを提案。カフェ、キッチン、接客という3つのカテゴリで、障がいのある方が自身の個性を活かせる環境を創る。

田中氏
「環境や心に配慮した企画ですね。障がいの特性と本人の好き嫌いは、仕事のアサインにおいて考慮すべきポイントになると思います。なぜペットなのかについて、もう少し補足があるといいと思います」

⑦グループ15

機内食
障がいのある社員の集中力を活かす、機内食の盛り付けを提案。社員が同乗し、機内で盛り付けることを想定。

池田氏
「共生社会を考えた企画ですね。機内食は工場でセットしているので、工場での盛り付けなら可能だと思います。集中力を活かすという意味では、フライト準備にもいろいろな作業があります」

⑧グループ13

学校訪問
障がいのある社員を保育園、幼稚園、小中学校に派遣。
子どもたちに障がいのある方々との共生を考えるきっかけを創ると同時に、社員が社会での目的意識を高める場とする。

田中氏
「課題のキーワードがしっかり盛り込まれていました。子ども、社員、会社という全方位で考えられている企画ですね。タイトルがシンプルなのがちょっともったいないかも(笑)」

前半すべてのプレゼンが終了し、栄えあるJAL賞の発表へ

前半8グループのプレゼンテーションが終わり、JALの方々は別室に移動し、JAL賞の検討に入りました。
東京オリンピックの表彰式のテーマが流れる中で発表された栄えある受賞は、グループ13「学校訪問」。
JALから、メンバー1人ひとりに賞状と記念品の贈呈がありました。

池田さん
「こちらの企画は、JALサンライトにとって刺激のあるヒントになりました。2年生でここまで検討できるのは素晴らしい。ぜひこの力を将来に役立ててください」

学生達の緊張したプレゼンテーションは、企業の方々からのねぎらいのコメントで締めくくられました。

深澤教授の話

昨年度からご支援をいただいている日本航空様からの今年のお題は障がい者の方の更なる活躍を考えるという内容でした。多様性がさらに重要となり、注目が増す中で、JALグループ様の取り組みは社会からも高く評価されており、ダイバーシティ&インクルージョンを学びの軸においている中、極めて貴重な機会となりました。日野キャンパスまでたびたび足をお運びいただいた日本航空様、そしてJALサンライト様の社員の方に、心から感謝申し上げます。

2023年2月21日

「実践キャリアプランニング」でロレアル パリによるエシカルマーケティングについて学ぶコラボ授業が行われました。

共通科目「実践キャリアプランニング」(担当:文学部国文学科 深澤晶久教授)の授業で、食生活科学科の学生が、先週に引き続きロレアル パリの菊池氏による講義を受けました。先週はストリートハラスメントに立ち向かう5Dの講義でしたが、今回のテーマはマーケティング。学生たちはマーケティングの流れを学び、エシカルマーケティングに大切な要素について考え、後日プレゼンに挑戦します。

マーケティングってどんな仕事?

菊池氏は「マーケティングとはなんでしょう」とまずは学生たちに問いかけました。
辞書を引くとマーケティングとは、製品、サービス、流通、お客様に届けるための一連の体系的な市場活動のこと。「つまり、全部ですね」と菊池氏。
製品を作るところから届けるところまで、すべての活動がマーケティングです。

マーケティングの流れとしては、
1.市場の分析をする
 ↓
2.消費者の分析をする
 ↓
3.コミュニケーションの立案をする
 ↓
4.販売戦略を立案する
 ↓
5.販売し反応をもとに再度1に戻る、といったサイクルです。

なかでも3の過程での「消費者インサイト」の深堀が特に大切。
製品を届けるターゲットを定め、どういうコンセプトなどで広告を作るかを考える上で、消費者の「やりたいこと」と「やりたいけどできないこと」を明らかにすることは重要です。これが分かれば消費者の悩みを解決する、より消費者に響く広告が作ることができるからです。

広告を作って終わりなのではなく、その後販売時期や店舗、SNSやメディアの展開方法などを考えるのもマーケティングの仕事。それには競合他社の動きも見つつ、できるだけ良い時期や方法を見極めなくてはなりません。さらに発売したあとには消費者の反応などを蓄積し、次の市場分析につなげていくのです。

現代におけるエシカルマーケティングの重要さ

「最近では倫理的に広告を作るということがキーワードになっています」と菊池氏は言います。「エシカルマーケティング」とも言われ、社会的責任や環境問題などに対する価値観に基づいたマーケティング方法のことです。いくつか企業名も挙げ実例が示されました。

環境問題に力を入れているアパレル企業では、リサイクル素材の製品を製造したり買い物袋を廃止したりしており、またあるバス用品メーカーでは動物実験反対のメッセージが入ったショッパーの提供などを行いました。

人種問題では、BLMをきっかけに「白=美しい」という潜在的な刷り込みをやめようという運動が始まっており日本でも現在「美白」という文句は使われなくなってきています。
スポーツ用品メーカーもBLMに共鳴した選手を広告に起用し、大きなムーブメントになりました。このほか、セクシャリティに関する広告の実例なども紹介されました。

エシカルマーケティングに大切な要素ってなんだろう?

「ただ、よく考えてみるとこれはどうなんだろうと思う、配慮できていない広告もたくさんあります」と菊池氏。
ここでいよいよ課題発表です。

課題は
「人権問題を意識し、配慮の足りる広告を作るために大切なことを理解する」。

学生たちはグループワークで人権問題に配慮した広告、できていない広告を集め、人権問題を意識した広告を作るために大切な要素を探します。
その上で、配慮が足りていない広告をどうすればよくなるのかを考え、プレゼンします。
難しい課題ですが「自分が最近買った製品など身近なところから考えていってみてください」と菊池氏からアドバイスがありました。
学生たちはこれからグループワークを経て、12月に最終プレゼンに臨みます。

2023年2月8日

「実践キャリアプランニング」の授業で丸山珈琲とのコラボが行われ学生たちがこれからの時代のカフェをプレゼンしました。

2年生が対象の共通科目「実践キャリアプランニング」(担当:文学部国文学科 深澤晶久教授)で英文科の学生が、12月23日(金)に株式会社丸山珈琲とのコラボ授業を行いました。代表の丸山健太郎社長、広報の小林りえ子氏、バリスタの冨岡智恵氏の前でプレゼンを行いました。テーマは「これからの時代に合ったコーヒーを主軸にした飲食店」。プレゼン時間は5分です。優秀賞には丸山珈琲から賞品も。先週の8グループに続き、この日は7グループが発表を行いました。

場所は?ターゲットは?今の時代に合う店舗とは

最初の班は、サービスエリアに出店することを提案。
人が多く行き来する高速道路の中にあることで、家族連れや学生の集団、ペット連れなど様々な旅行者をターゲットに。外見は丸山珈琲の軽井沢店のような自然になじんだウッド調にし、ペット可のテラス席を設営します。またテイクアウトすると少し安くなるようにし、サービスエリアを利用する客層のニーズに合わせた価格設定を提案しました。

続いての班は「ワークカフェ」をプレゼンしました。
コロナ禍で増えたリモートワークに対応できるカフェで、一人個室や複数人個室などを用意します。日本では年代が上がるにつれコーヒーを飲む割合が上がるというデータを示し、ターゲットを社会人に設定したことを説明。場所は丸の内や虎ノ門などのオフィス街としました。丸山珈琲の冷めても美味しいコーヒーの利点を生かした、長時間の作業でも楽しめるカフェを提案しました。

2つの顔を持つカフェ

次の班は「朝から夜まで楽しめるカフェ&バー」を考案しました。
7-11時はコーヒースタンド、日中はカフェ、19-23時はバーと営業形態を変えることで新規顧客の開拓を目指します。朝はテイクアウトのみとし、日中はハンバーガーやパンケーキなどランチ営業します。夜はコーヒーカクテルを出すバーにします。カウンター席多めの、黒や茶色基調の落ち着いた空間にし、居酒屋などとの差別化を図ります。

時間帯で営業形態を変える案は他にも。続いての班は「Masquerade Cafe」と名付け、街に合わせて変化するカフェを提案。
日中は働く会社員に、夜も仕事終わりに利用してもらおうと考えました。場所は恵比寿などオフィス街に設定。日中はワッフルやスコーンなど手軽に食べられるものをだし、夜はアルコールの他デカフェのコーヒーも提供します。座席レイアウトは図を作成し、分かりやすくイメージできるように工夫しました。

若者にもコーヒーを楽しんでもらうには

続いてはキッチンカーという新しい形が提案されました。
平日は丸の内で会社員をターゲットに、休日はファミリー層を狙い代々木公園を設定。電子決済やランチボックスなど手軽に楽しめるサービスを考案し、フードはドーナツやケーキ、そして発表者から「コーヒーに合うと思うので」とクッキーも提案されました。キッチンカーの外見は落ち着いた茶色の色合いで、イラスト化してプレゼンしました。

次の班は「昭和と令和をつなぐ」をコンセプトに純喫茶風の店舗をプレゼン。
コーヒーの関心は低い20代に流行の、昭和レトロの魅力あふれる内装を提案しました。場所は高円寺を設定し、手書きのメニューなど喫茶店の良さを取り入れました。内装にはピアノや本を置くなど、実践女子大学にちなんだ提案も。また、コーヒーの定期便やサブスクで季節ごとのオススメコーヒーを届ける、令和のサービスも入っています。

最後の班は「珈琲と推し」と題して、推し活女子をターゲットにした店を提案しました。
ラテアートや、スプーンに推し色のリボンを付けるなどのサービスを考えました。時間は14-17時限定で、特別感と既存顧客との共存も目指します。場所は表参道で、白い木造の明るい雰囲気に。店内には店側の推しコーヒーなどの展示も。また推し活はSNSへの投稿も多い文化。推し活の投稿が店の宣伝にもなるとアピールしました。

すべての発表が終了!丸山賞は?

すべての班の発表を終え、丸山氏から総評がありました。
丸山氏は発想、作り込み、チャレンジ、実現性、洞察力を5段階で評価。
各班に「実現性が高い」「一人個室は面白いが、プレゼンが短いのが惜しかったです」「コンセプトに惹きつけられました」「デカフェやレイアウトなどよく考えられていました」など細かく講評を下さいました。

そしていよいよ丸山賞の発表。
受賞したのは「昭和レトロのカフェ」を提案した班。
丸山氏は「2つの違う要素を組み合わせ、うまく展開したことが素晴らしい」と絶賛。学生たちは賞品にコーヒーのドリップパックをいただきました。
学生からは「プレゼンを少し失敗してしまったけれど、全員でたくさん考え自信があったので嬉しいです」とコメントがありました。

また、特別賞で「推し活カフェ」を提案した班も受賞。
学生は「賞を頂けると思っていなかったですが、練りこんで考えられて良かった」と感想がありました。

人生はリズム!英語を武器に世界へ

最後に丸山氏は
「高校時代からコロナ禍の影響があり大変な日々だと思うが、これから良くなると思います」と語り始めました。丸山氏は高校卒業卒業にインドやイギリスなど海外を放浪する生活をしていたとのこと。その後結婚し軽井沢で喫茶店を創業して今に至ると話し「人生はストーリーで、必ずアップダウンはある。そのなかで、皆さんには英語という武器があります」と英文科の学生を励ましました。「英語でコミュニケーションができるのは本当にすごいこと。世界とつながることができます。ぜひ英語の力を使って、豊かな人生を送ってください」と力強い言葉を学生たちに贈りました。

深澤教授の話

毎年、大変お世話になっている丸山珈琲様とのコラボ講座、今年も、珈琲のテイスティングから始まり、学生のプレゼン、そして丸山社長からのメッセージをいただき、無事に終えることが出来ました。
「五感で感じるキャリア教育」と銘打った当科目から得られる学びは本当に大きいものがあると感じています。
そして、今年の丸山社長からのメッセージでは、英文学科で学ぶ意義の深さを伝えていただき、学生のモチベーションも大きく上がりました。
改めて、格別なるご支援をいただいた丸山珈琲の皆様にこの場を借りて厚く御礼申し上げます。

2023年2月8日

「実践キャリアプランニング」の丸山珈琲とのコラボ授業が行われ、学生たちは「afterコロナ時代に合ったカフェ」をプレゼンしました。

2年生が対象の共通科目「実践キャリアプランニング」(担当:文学部国文学科 深澤晶久教授)で英文科の学生が、12月16日(金)に株式会社丸山珈琲とのコラボ授業を行いました。この日は11月6日に出された課題「afterコロナ時代におけるコーヒーを主軸にした飲食店」についてのプレゼンです。丸山珈琲からは代表の丸山健太郎社長、広報の小林りえ子氏、バリスタの冨岡智恵氏がいらっしゃり、優秀なものには丸山珈琲賞がいただけます。

誰もがコーヒーを楽しめるお店を考える

最初の4班は「私たちはコーヒーがあんまり得意ではありません」という告白からスタート。しかしコーヒーを楽しみたいという気持ちはあることから「コーヒーが苦手な人も楽しめるカフェ」をコンセプトに考えました。
ミルクや紅茶をブレンドした甘めなメニューを提供。場所は都心から少し離れた静かな場所を設定しました。アンティーク調な内装で、くつろぎながら友達とのコミュニケーションの場となり、買い物やお出かけの合間に立ち寄れるカフェを提案しました。

13班は「afterコロナ時代」に特化したお店を考えました。
換気しやすい広い内装にし、公園などに隣接した景色のいい場所を設定。テラス席で開放的な空間も作り、店内飲食はマグカップで提供、マスクケースも完備。従業員の制服はペットボトル由来の再生繊維から作ります。屋上には太陽光発電を導入し、照明はLEDを使用と環境問題にもしっかり配慮した店舗です。

場所をどこに設定する?ターゲットは?

10班は立地を高田馬場や四谷に設定し、学生や社会人が気楽に立ち寄れて、落ち着いて作業や勉強ができる環境のお店をプレゼン。
軽食には片手で食べられるサンドイッチを用意します。店内はWi-Fi完備で、テーブルの間隔は広めにし、他のお客さんが気にならないよう配慮。1階は会話もできるカフェスペース、2階は作業スペースと目的別に空間を分けました。

次の15班はみなとみらいに設定し、海辺に映えるカフェを提案しました。
横浜に本社がある企業が多いため、会社員をターゲットに設定。白を基調としたさわやかな外装で、店内はワークスペースとリラックススペースで分け、リラックススペースはソファやクッションのある席でゆっくり過ごせます。横浜は観光スポットも多いので、若者にアプローチするためSNSを活用する案を考え、インスタ映えする限定メニューもプレゼンしました。

お客さんにたくさん来てもらうためには?経営面も考えよう

ゆっくりできる空間を提案する班が多い中、コロナ禍を逆手にとって「長居させない回転率の速い店舗」を提案する班も。
5班は狭い店内、席は少なめ、ドアをなくすなどコーヒースタンド風の店内図を作成しプレゼン。渋谷駅近くで、通勤通学前に立ち寄ってもらうことを想定しました。モバイルオーダーで豆の種類も指定可能で、デリバリーにも対応します。

続く11班は美術館や劇場など、文化施設付近に立地を設定。
鑑賞後に感想を語り合える、一息つける場所をコンセプトにしました。劇場などの近くにすることでイベントごとに集客が見込めるのもメリットです。黒や緑を使った外装で、丸山珈琲の上品なイメージも活かします。1階はカフェスペース、2階は2人がけソファでゆったり語り合える空間に。ソファは向かい合わない配置で、横並びに座ることでパーテーションなく感染対策を行えます。

幅広く丸山珈琲を知ってもらうために

3班はキッチンカーをプレゼンしました。
コロナ禍で需要が高まったデリバリーやネット通販にヒントを得て、店舗を持たないスタイルを提案しました。キャッシュレス決済を導入し、価格は店舗より安く、ワンコインでも買える商品も用意。学生や家族連れにも購入してもらいやすくします。平日はオフィス街や大学の近く、休日はショッピングモールなどに出店し、丸山珈琲をたくさんの人に知ってもらえる工夫をします。

最後の2班も幅広い年代に楽しんでもらえる店を考案。
昼はカフェ、夜はレストランを展開します。曜日それぞれに限定で割引や限定メニューを作りました。例えば水曜日に女性はランチ割引、金曜日は学生が500円引き、土日は限定デザートメニューの提供など。さらに夜には曜日限定でシーシャ(水たばこ)の提供を提案しました。実際にシーシャを体験した学生が「コーヒーと甘いシーシャは合う」と実体験を交えプレゼンしました。

丸山珈琲賞発表!「コーヒーを主軸とする」ということ

最後に丸山氏から総評をいただきました。
丸山氏は公平を保つために5つの評価基準を付けたといいます。
それは発想・検討・チャレンジ・実現性・洞察(本質を見る力)。
それぞれ5段階で評価をつけたとのこと。

10班には「2階と1階の分け方は実現性が高い」や11班には「丸山珈琲の冷めても美味しいコーヒーという強みを深堀しているのが嬉しかったです」など、各班に一言ずつコメントもいただきました。
「それぞれチャレンジがあったり、アイデアは堅実でも練りこんでいたりと特徴があり面白かったです」と語りつつ、一点「コーヒーを主軸とした」というテーマであったので「もっとコーヒーについて掘り下げて考えてほしい」とフィードバックもありました。

最後に優秀賞の発表。
丸山珈琲賞には11班が選ばれ賞品にドリップコーヒーをいただきました。

学生からは「みんなで一生懸命考えて準備してきたので、評価していただいて嬉しいです」と話しました。

来週は残り7グループが発表を行います。
各発表後には学生たちも評価を付けました。来週も含め全チームの発表後、学生間賞も選ばれます。

2023年2月3日

博報堂とJR東日本とのコラボ授業で、学生たちが見つけた「スローな渋谷」のプレゼンが行われました。

人間社会学科「フィールドワーク論」(担当:原田 謙教授)の授業で、12月7日(水)に株式会社博報堂 ミライの事業室とJR東日本 東京感動線によるプロジェクト「Slow Platform 渋谷駅0番線」とのコラボ授業が行われました。企業の皆さんを前に、学生たちはフィールドワークを通して見つけた「スローな渋谷」の発表を行い、新たに発見した渋谷の魅力をプレゼンしました。

渋谷が隠し持つのどかな側面

Aチームはいつもにぎわっている渋谷だからこそ、ほっとできる場所も多くある意外性に着目。人が集中する渋谷は休息できない場所というイメージが強くありますが、一方で風通しがよく緑の多いところも。ゆっくりでき雰囲気がよく落ち着く場所として、「代々木公園」「金王八幡宮」「茶亭 羽當」などが挙げられました。そのなかで、実践女子大学の最上階から見る夜景も紹介。渋谷キャンパスの周りには超高層の建物が少ないため、夜には東京タワーなどの美しい夜景を眺めることができます。

学生ならではの視点に、質疑応答では「ネオンはビジーな印象だけど、夜景になるとスローになるのが面白い」という感想が。発表した学生は「友達と一緒にきれいだねという会話があって、その会話自体がスローな時間だなと思った」という、実体験を話してくれました。まさに日常に寄り添うスローな渋谷の発見です。

ふとした瞬間の癒しを渋谷で

Bチームは派手な広告や、夜でも明るいネオンなど「見て感じる」ストレスを取り上げました。映え重視の食事も、食べにくかったり価格は高いのに量が少なかったりとストレスに感じるためビジーだと捉えました。ただ、子どもたちの元気な姿や、ふと見えた夕陽など見て感じる癒しもあると考えました。心安らぐ場所としてレトロな蕎麦屋「朝日屋」や「鍋島松濤公園」などが挙げられました。面白い視点としてマンションの壁画も。落書き防止目的の壁画ですが、まるで幼稚園のような明るい色調は安心感があり「見て感じる癒し」としてスローに挙げられました。

博報堂の方からは
「映え重視も窮屈に感じるという視点が意外でした」や「情報過多な世の中で、発信側はつい映えを意識してしまうけれど、情報の少ないところに魅力を感じるのだなと気付いた」という感想をいただきました。

渋谷の“ほっと”なスペース

Cチームは、満員電車など身体的距離は近くても、みんな無関心で心理的距離の遠いこともストレスに感じるといった視点がありました。ただ、町中で手をつないだ親子など人の温かみを感じる瞬間はスローであることに気付くなどの発見も。そこで渋谷の繁華街から足を伸ばしリラックスできる空間を探しました。「ログロード代官山」やカフェとギャラリーが併設された「Lurf MUSEUM」「zenta coffee」などアートと融合した場所が紹介されました。

質疑応答ではJRの方から「知らない施設ばかりでした。元々知っていたんですか?」という質問が。
学生は歩いていて偶然見つけ、新たな発見であったことを伝えました。
また「アートがあることはどういう心地よさにつながるのか」という質問には「普段あまりアートに触れる機会がないので、知らない世界に気軽に触れられる面白さや楽しさがありました」と回答しました。

原田先生からも「渋谷には多くの美術館がありますが、メジャーなところではないのも面白いですね」とコメントがありました。

渋谷における「ゆったり時間」と「ひとり空間」

Dチームは、自分のペースで歩けない忙しなさや夜の治安の悪さなど緊迫感をビジーとして挙げました。ただ人混みにはネガティブなイメージがありますが、フリーマーケットや街中華など活気があり人とのコミュニケーションを取れるところはスローな時間を過ごせるという発見も。自分のことに集中できる場所をスローと捉え「エビスグリーンガーデン」や「ログロード代官山」などが紹介されました。「猿楽古代住居跡公園」では子どもたちの声が響いていたスローな雰囲気を伝えました。

発表後には「一人の時間でも、子どもの声や人との関わり、人の気配を感じることもスローなのだなと気付かされました」という感想が聞かれました。学生からは「街では子どもの楽しそうな声はなかなか聞かないので、都会であることを忘れられると感じました」と素直な意見がありました。

落ち着ける「幸せな孤独」

Eチームは都会では多くのひとがイヤホンをして音楽を聴き、ひとり空間を作ることに着目。スローには「音楽」も大切な要素として取り入れました。またおいしいものを食べる「食」もリフレッシュすることの一つ。それらを含んだ、一人の時間を自分のために使える場所を探しました。中古レコードショップ「ウルトラシブヤ」、銭湯の「さかえ湯」、「山下伏見稲荷大明神」などレトロで昔から変わらない場所を中心に紹介しました。

質疑応答では「惹きつけるタイトルですね」と「幸せな孤独」という言葉選びに感嘆の声が。また、「レトロなものがスローに感じるのはなぜでしょう」という問いも。
学生は、中古レコードショップにあるジュークボックスに触れ「効率重視の世の中で、手間をかけ自分が選択することは余裕があることと思った」と回答がありました。

渋谷のスローな過ごし方とは

最後に企業の皆さんから総評をいただきました。
博報堂の方からは「場所だけではなく、渋谷をスローに過ごすための知恵を教えてもらいました」との感想をくださいました。
JRの方からは「率直な感想として、紹介された場所に行きたいなと思いました。それぞれ視覚以外にも、聴覚や嗅覚など様々な角度からスローを考えてもらえて、自分の解釈も広がりました」と伝えてくださいました。

今回学生たちが紹介したところは、今後マップなどにまとめられる予定です。

2023年1月31日

1年生が企業担当者に向けて、初めての本格的なプレゼンに挑戦!「ビジネスプランニング」の授業でクロス・マーケティンググループとのコラボ授業が行われました。

1年生対象の「ビジネスプランニング」(担当:現代生活学科 上野亮助教)で、1月11日(水)にクロス・マーケティンググループとのコラボ授業が行われました。「より多くの女子大生に読んでもらえるモラタメビューティーの記事内容」をテーマに、各班がプレゼンしました。クロス・マーケティンググループの皆さまはリモートで参加し、各発表後にはフィードバックをくださいました。

モラタメビューティーの女子大生読者を増やすには?

モラタメビューティーはクロス・マーケティンググループのグループ会社であるドゥ・ハウスが運営する美容・ヘルスケアのメディアサイトです。「知って、タメして、もっとキレイに」をコンセプトに、プレゼント企画に強みがあるのが特徴です。

今回は10~20代の女子大生の読者を増やすための記事を、2本考えてくる課題。学生たちは6班に分かれ、それぞれリサーチを重ねこの日に臨みました。プレゼン時間は10分です。

理想の体型になれる!

1班は「自分の骨格に合った簡単ダイエット」をコンセプトに、骨格診断の記事を提案しました。
自分の持って生まれた特徴を知ることで、似合う服や向いているダイエット方法が分かります。ターゲットはファッションを楽しみたい女子大生。ファッション記事は骨格別におすすめの服のブランドを紹介し、ダイエット記事は、器具を使わず簡単に真似できるものを紹介します。

質疑応答では「骨格別に似合う服のブランドは違うのか」という質問が。
学生は「女の子らしいデザインやストリートファッションなど、ブランドにより特徴が違うので」と根拠を持って回答していました。

新生活応援!これまでもこれからも美しく!

2班はまずライバルサイトを徹底的に比較。
比較サイトにはヘアケアについて幅広く載っています。また若者のトレンドである食材の紹介なども多くありますが、モラタメにはないと分析。そこでターゲットを大学1年生に設定し、初めて髪を染めた人向けのヘアケアアイテムの紹介記事を提案しました。ヘルスケア記事は、食生活の傾向からチャートで足りない栄養素を診断し、サプリなどを紹介します。

発表後ドゥ・ハウスの橋本氏から「初めて髪を染めたときの気持ちを思い出して共感を持って聞けました」と感想がありました。

コロナ禍でも可愛くなろう!

3班はモラタメビューティーのSWOT分析を行いました。
イラストが少ない、1つの記事が長い、サイト内検索ができないなど弱みを分析しました。またコロナ禍で増えた、目元を強調するメイクについての記事がないことに注目。髪色に合わせてカラーコンタクトを紹介します。もう1つは「ながらダイエット」を紹介することで、女子大生でも気軽にできるものを提案しました。

質疑応答では「コロナ禍で女子大生も目元だけのメイクをしていますか?」という質問に、
学生の一人が「自分自身、カラコンを入れて目元を強調しています」と実体験を交えて回答していました。

ディズニーファッションでSNS投稿

4班はファッションやダイエットに対しての与件整理を重点的に行い、インスタグラムの投稿に多いディズニーファッションに注目。
ディズニーでは女子大生の多くはカチューシャを付けて楽しみます。予算別に、カチューシャに合うアイテムやブランドを紹介し、SNS投稿も促します。もう1つは骨格診断別ダイエット方法を提案。プレゼント企画も考え、読んで終わる記事ではなくモラタメならではの強みを生かします。

「プレゼント企画でほしいと思うファッションアイテムはありますか?」という質問に
学生は「ヘアクリップやバケットハットなど使いやすいもの」とニーズを伝えていました。

誰でも可愛くなれる!

5班はモラタメビューティーでは20~30代向けの記事が多く、まず認知度アップが大事と考えました。
ショート動画やインフルエンサーへの提供などを行い、もらって試せるモラタメの良さを訴求します。記事もダイエットや韓国メイク、ヘアケアなど若者が興味のあるものを選びました。なかでもダイエットはアプリと連動し継続してもらえる記事を提案しました。

「女子大生にとってインフルエンサーのPRは重要ですか?」という質問に
「実体験としてアイテムを知るきっかけが、有名人が使っていたり良いと言っていたりするものが多い」と答え、社員の方も納得されていました。

理想の自分になるために

6班は美容意識の高い女子大生をターゲットに設定しました。
若者に注目されている韓国では整形が盛ん。韓国での整形に興味がある人向けに、日本人が利用しやすい病院の紹介記事を提案しました。もう1つはスキンケアの記事で、モラタメの成分分析の強みを生かし、肌質に合わせた栄養や美容成分を分かりやすく伝えます。

発表後は「女子大生にとっても整形は身近ですか?」という質問が。
学生の一人は「自分も興味があります」と実感がある内容であることを伝えました。

初めての本格的なプレゼン!

最後にクロス・マーケティングの日下部氏から総評をいただきました。
「実際に使えそうなものや改善案がたくさんありました」と感嘆され、「ビジネスシーンではターゲット層と違う人にも納得してもらうプレゼンが求められます」と、データの見せ方はしっかり数値を出すことをアドバイスされました。

1年生にとって、企業の方から実際のプレゼンさながらに課題をいただき取り組むのは初めてのことです。レベルが高い課題でしたが、学生たちにとって今後に活かせる貴重な経験となりました。

クロス・マーケティンググループのWEBサイトニュースに本プロジェクトが掲載されました。
 以下URLをご確認ください。

 https://www.cm-group.co.jp/group-news/detail.php?id=498