社会連携プログラム
SOCIAL COOPERATION PROGRAM
TOPICS
2023年3月1日

「実践キャリアプランニング」の授業で学生たちはJALグループにおける障がいのある社員が活躍できる新たなビジネスを提案しました。

共通科目「実践キャリアプランニング」(担当:文学部国文学科 深澤晶久教授)の授業で、12月13日に現代生活学科の学生が日本航空株式会社(JAL)とのコラボ授業が行われました。1か月前に出された課題「障がいのある社員が活躍できる新たなフィールドやビジネス」のプレゼンで、週にわたって行われこの日は後半7グループが発表しました。優秀なプレゼンにはJAL賞が与えられます。

才能を活かしてインテリアデザインを

最初の12班は
「芸術的才能を活かしたインテリアデザイナー」を提案。
精神障がい者の色彩感覚、芸術的才能を活かし、JALグループにあるマンション建設事業のモデルルームのインテリアや部屋に飾るフラワーアレンジメントを行う事業を考えました。
またこの課題に向き合い「障がいのある方の特性を知り活かすことが大切と気付いた」とまとめました。

発表後には企業の皆様からフィードバックが行われ、
JAL産学連携部の田中氏からは
「バリアフリーだけにこだわるのではなく夢のある仕事だと思いました」
と感想がありました。

発達障がいの方も介護で活躍

次の8班は、
近年増えている発達障がいのある社員の雇用を提案。
発達障がいは会話のやりとりや社会性に障がいがありますが、ルールを守る真面目な人柄が多いとも言われています。
そこで丁寧な対応が求められる高齢者介護の仕事を提案しました。
最後にはこの企画は健常者目線の提案であることに触れ、障がい者に寄り添った企画に練り上げる必要があることに言及しました。

JAL産学連携部の與口氏は、
「当事者に寄り添った企画に練り上げる必要があるという最後のコメントに誠実さを感じました」
と感嘆されました。

安心、安全な修学旅行

行事に着目したのは5班です。
多くの学生にとって思い出の行事となる修学旅行は、特別支援学校ではクリアするべき条件が多くとても大変。
そこで特別支援学校の修学旅行プランをJALサンライト社員が考案することを提案しました。
障がいのある社員ならではの目線で、支援学校の学生や先生、家族の不安を取り除き、安心、安全な修学旅行を強調しました。

JALサンライトの田中氏から
「安全・安心というJALのビジョンを掲げていることにぐっときました」
と心をつかまれたことを伝えました。

KAKUNOU-CONしよう

4班は「格納コン」を提案。
飛行機の格納庫で行うコンサートのことで、実際にアイドルや芸能人が行っています。
運営にはすべての障がいのある方と健常者が関わります。
会場内はバリアフリーで手話通訳なども対応し、関わる方すべてが楽しめる案をプレゼンしました。

JAL産学連携部の猪田氏は
「わくわくする内容で、具体的なところまでイメージできました」
とすべての人がコンサートを楽しめるという案に共感していました。

やりたい!できる!を仕事に

7班は機内の軽食の製造を提案しました。
いちから新規事業の開拓は難しいと考え、既存の形態を利用する案です。
黙々と作業し続けられる特性のある精神障がい者の雇用を増やします。
サンドイッチ製造やラッピング、盛り付けなど工程を分け、障がい者がこれならできると思わせる環境を整えることが大切と伝えました。

JALサンライトの田中氏は
「既存のものを進化させる着目がいい」
と話されました。

空のお菓子プロジェクト

11班は機内のお菓子の製造についてプレゼンしました。
障がい者雇用の課題は、障がい特性によって携わる業務の種類が偏りがちであることだと考え、どんな障がいのひとでも関われる事業を考えました。
クッキーやマフィン、パウンドケーキなどのお菓子の考案、作成、梱包、運搬まで対応。
すべて障がい者とともに一般の社員も関わり、交流の場を作ることの大切さを伝えました。

JAL産学連携部の與口氏は、
「オーソドックスな提案だと思いましたが、一般の社員も含め全員で行うことの大切さ、交流すべきというメッセージが伝わりました」
と話されました。

空飛ぶ絵画

最後の10班は、
まず精神障がい者の描いた絵画を提示し、色彩感覚が豊かなことを視覚的に伝えました。
ドリンクカップのデザインを募集し、選ばれたデザインは商品化を提案。
デザインした人にはインセンティブ報酬があり、モチベーションアップにつなげます。
学生たちはこの課題を調べるうち障がい者と健常者と棲み分けされていると感じ、一緒に働ける案を考えたとまとめました。

JAL産学連携部の田中氏は、
「インセンティブ報酬に加え、会社に貢献したという実感もやりがいに繋がりますね」
と話されました。

障がい者も活躍できる社会を想像する大切さ

発表後、企業の皆さまが話し合って本日のJAL賞を決定。
受賞したのは「安心、安全」の修学旅行をプレゼンした5班でした。

JALサンライトの田中氏から
「障がいのある学生や家族、学校の先生などいろんな視点が入っている点や、安心、安全というJALの強みも生かせる点が良かったです」と評価ポイントを挙げました。
学生からは
「賞をもらえると思っていませんでしたが、障がいについての理解が深まり良い機会になりました。ありがとうございました」と感想がありました。

最後に企業の皆さまから全体の講評をいただきました。
JALサンライトの田中氏は
「JALサンライトの職場を見学などしていない中想像して考えるのは大変だったと思いますが、この経験は今後の人生にも生かされるはずです」と相手の立場に立つという想像力の大切さを伝えました。

JAL産学連携部の田中氏も
「日頃接することの少ない障がい者のフィールドを考えることは難しかったと思います」と、D&Iを考えることが必要と伝えました。
最後に「本当に楽しくワクワクするプレゼンテーションを聞けました。
これからも頑張ってください」とエールを送りました。

深澤教授の話

昨年度からご支援をいただいている日本航空様からの今年のお題は障がい者の方の更なる活躍を考えるという内容でした。多様性がさらに重要となり、注目が増す中で、JALグループ様の取り組みは社会からも高く評価されており、ダイバーシティ&インクルージョンを学びの軸においている中、極めて貴重な機会となりました。日野キャンパスまでたびたび足をお運びいただいた日本航空様、そしてJALサンライト様の社員の方に、心から感謝申し上げます。

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