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2023年11月8日

レースのストールから何を作る?日本女子大学の学生との共同プロジェクトで栄レースとのコラボ授業が行われました。

8月7日に滝澤 愛准教授(生活科学部生活環境学科)による栄レース株式会社(以下、栄レース)とのコラボレーションプロジェクトが行われました。栄レース株式会社とは、1958年から日本でリバーレース生産を開始し、現在では世界シェアNo.1のメーカーです。世界で唯一、デザイン・企画から製品化までを一貫して対応しており、レースデザイナーが日々デザインを考え、革新的なリバーレースを送り出し続けています。その洗練された最高峰の織機で仕上げられたリバーレースは、多くのオートクチュールメゾンや高級ランジェリーから熱い支持を受けております。今回は本学の学生だけでなく、日本女子大学・家政学部被服学科(以下、日本女子大)の学生も参加する共同プロジェクトです。この日はストールから別商品を作り出し、各々が自作した商品案を実際に見せながら特徴をプレゼンテーションしました。

レースを活かして洋服にも和服にも合うものを

4月から取り組んできたレースのストールから別の商品を生み出す課題の最終発表です。学生たちは実際にストールから商品を自作し、提示しながら良さをアピールしました。また作業の工程や時間から、希望商品価格まで考え発表しました。

最初の発表は実践女子大の学生から。
和服の羽織を考案しました。コロナ禍も開けはじめ観光需要も戻っている現状に合わせ、訪日外国人向けの商品として考えました。
レースの模様は和服だけでなく洋服にも合うため、和服を持っていなくても幅広い需要があると話しました。制電糸を使い、静電気を抑えながら水色とベージュの2色のストールを組み合わせて作成。秋などの肌寒い季節に販売することを想定し、袖口の透け感がきれいになるように工夫しています。希望価格は、裁断を工夫したり作業に慣れたりすれば4万円を切れるのではと伝えました。

次の日本女子大の学生は3点発表。
レースをアクリルファイルと紙で補強して作成したアクリルバッグは、洋服にも和服にも合うデザインです。アクリルバッグなので雨でも活用できるのも利点です。ポンチョと作り帯も考案しプレゼンしました。

若者にもミセス世代にも使いやすいものは?

次の実践女子大の学生は、黒いレースを活かしたビスチェを作成しました。
ビスチェは若い世代で流行っていますが、落ち着いた柄で年齢問わず使いやすく、ミセスの方でも手に取りやすい上品な作品になりました。
前開きができ、着やすい工夫も。値段は1万5千円前後で考えていると発表しました。

日本女子大の学生はアームカバーとポーチを発表。
1枚のストールから複数作成することができるため、ひとつの販売価格を3千円前後と手に取りやすい金額で提供できるものを考えました。

次の実践女子大の学生もアームカバーを考案しました。
黒やベージュ、ピンクと色、そして長さもさまざまなものを作成。。主に日焼け用として使われているアームカバーには、レースを利用した商品展開は少ないと分析し、需要があると考えました。ミセス向けには二の腕まである日除け用の長いもの、若者向けにはおしゃれ用にも利用できる肘までの短いものを提案。レースの種類によって透け感もさまざまで一点ものとしての面白さもあると伝えました。
ストール1枚から3セット作れることもあり、4千円前後のお手頃価格で販売できるのではと発表しました。

トートバッグやポーチにも

次の日本女子大の学生はトートバッグを作成。キャンバス地の布地にレースを貼り、しっかりと自立する実用性のあるトートバッグです。もう1点はレースの巻きスカートを考案。デパートや百貨店での販売を想定したため、クラシックバレエをされている方向けの商品を考えました。

次の日本女子大の学生もトートバッグを提案しました。
ピンクでカジュアルテイストなものを作成し、スマートフォンも入れられるポケットやリボンのチャームなど若者向けのデザインに。サイズが大きめのもので、1万5千円ほどの価格帯で考えています。

実践女子大の学生は、旅行の時に利用できるランジェリーポーチを発表。
内側にファスナー付きのポケットが付いていて、ランジェリーを2セット入れられます。折りたたんでポーチ型にすることで持ち運びやすく、旅行時にも利用しやすいものを提案しました。価格帯は8千円前後を考えています。

日本女子大の学生は他にも着物の付け襟や、トートバッグ、ビスチェ、手袋などをそれぞれ考え、発表されました。

商品はどこで売る?価格の決め方は?

発表後には栄レースの皆さんから総評をいただきました。

澤村氏は
「社内でもいろんな商品開発をしているが、先入観があったなと気付かされました。サンプルを預かって具体的な方向で、社内で検討したいです」と商品化に前向きなコメントを下さいました。

坂本氏は
「今回私たちも学生とのコラボは初めて」と話し、「授業もあるなかで大変だったんじゃないかと思います」と学生たちをねぎらいました。

後期は第二弾が始まります。Z世代向けと母親世代向けそれぞれターゲットを定めたレースを使った商品を考えます。学生たちからは、価格の決め方について改めて質問がありました。「どこで作ってどう売りたいのかも考えてほしいです」と坂本氏。地方の工場で作るのか、東京で職人が手縫いするのか、海外で販売するかなども含めプレゼンテーションしてほしいと要望がありました。
「アイデアは、こんなものでもいいのかな、などは考えなくていいです。楽しんで作ってください」と話し、今までとは違ったものや、レースを使った新しいものを考えてほしいと話しました。

後期に参加する学生はレースを受け取り、次回に向け作戦を練っていました。

滝澤先生からのメッセージ

栄レース株式会社様からのお声掛けで、商品企画を学生にさせて頂くことになりました。学生自らが最高級リバーレースという素材に向き合い、市場を鑑みながらそれを用いた商品のデザイン、アイディアを考え、練り、手を動かして形にしてプレゼンテーションをしていく、その一連のプロセスを通して、大学の学びを踏まえて応用的な実学を経験しています。
このような産学連携で、実際に百貨店などで販売を予定している商品案を、原価を基にした価格決定や顧客層も考えながらデザインしていくことは、学生にとっては得難い、非常に貴重な機会となっています。この商品企画は第3段まで続きますので、学生の成長がとても楽しみです。実際にアイディアが採用され商品化されるのはこれからですが、もし販売に至りましたら、店頭で是非ともお手に取って頂けましたら幸いです。

2023年10月24日

問いを立てる力を養おう!高校生を対象にした探究学習サポートイベント「ナレッジ・スクランブル」が開催されました。

8月9日に高校生向け探究学習サポートイベント「ナレッジ・スクランブル」が開催されました。株式会社トモノカイ(以下、トモノカイ)のサポートを得て大学での学び方のヒントを伝えるワークショップや、講義形式の学部セッションが行われました。さらには日本航空株式会社(JAL)による特別コラボセッションも。高校生たちは学びの先に自分のやりたいことや関心ごとを結び付け、「問いを立てる」主体的な学習法を体験しました。

「どこ」に着目して「どのように」見る?

最初はトモノカイによるスタートワークショップから。「高校までの学びは答えのあるものでしたが、大学からは問いを作ることが重要になってくる。今回は問いを作る練習をしてみましょう」と始まりました。高校生たちは数人のグループに分かれ緊張した面持ち。本学学生も各グループに2名ほどが付き、サポートします。

大学の学部は自分が関心をもっている事柄の中の問題に対して「どこ」に着目して「どのように」見るかが大きな違いです。例えばゴミ問題を例にしてもゴミそのもの、収集する人、収集車のCO2排出など、何に着目するかで変わります。また、それを科学的に見る、文学的に研究するなどどのように分析するかで全く違った切り口での見方になります。自分なりにどういう見方をしたいかを知ることが、学部を選ぶときのヒントです。高校生たちは、さっそく問いを広げる練習ワークに挑戦しました。

国際学部セッション:AIを活用し英語学習を深めよう

ここからは希望の学部ごとに分かれ、それぞれ学部と企業の講義を体験します。

来年新設される国際学部からは三田薫教授が登壇し、英語学習にAIを取り入れることを提案しました。話題の文章生成AIであるChatGPTを実際に利用しながら講義は行われました。受験勉強としても必須である英語学習ですが「翻訳なら機械のほうが優秀な時代です」と三田教授。それでも英語を学ぶ理由はなにか、と問いかけました。必要なのは専門的な内容を話せて交渉できる英語力だと話します。学習にはインプットが重要と、リーディング量を大幅に増やすことが大切だと伝えました。

そこで活用できるのが生成AIです。自分の興味のあるテーマを打ち込めば、関連する文章を作成してくれ専門用語や知識も同時に身に付く質の高い教材が出来上がると紹介されました。専門用語だらけで難しいと感じた際は、易しい英文に直すことも可能。一語を切り取ってより詳しく深堀することもできます。

おすすめのテーマはSDGs。世界中の関心事のため、国内外どこでも話せる話題になります。今回は「航空燃料」を例に取って実際に三田教授が生成AIを使っていきました。自分専用のリーディング教材を作成し、音読することで、英語学習の幅や深さがレベルアップすると勧めました。

国際学部の企業セッション:航空会社の環境への取組とは

次はJALによる企業セッションです。JAL産学連携部人材開発グループの塩崎雅子氏による、JALのSDGsへの取組についての紹介がありました。最初に地球温暖化についての説明から。現在地球はCO2をはじめとする温室効果ガスにより、大気から熱が逃げにくい状態になり猛暑日の多発や台風、森林火災など多くの異常気象が起こっています。この問題に航空業界も真剣に取り組んでいるのです。

航空機のCO2排出量は全世界の2%を占めます。JALでは、燃費の良い高性能の機材に更新したり、エンジンの洗浄を定期的にして燃焼効率を高めたり、水の積載量を調節して機体重量を軽くしたりと様々な取り組みを行っています。
そのなかで特に重要なのが「SAF」の活用です。SAFとは持続可能な航空燃料のことで、原料は都市ごみや使用済の食用油、木材、海藻など。従来の燃料では、採掘する際にもCO2を出してしまいます。地上にある原料を使うSAFを活用することでCO2排出の総量を減らすことが目的です。しかしSAFはまだまだ供給量が少なく高価。国産で安定的にSAFを供給できるような体制をつくることを目指しています。2030年までに全体の10%をSAFに置き換える目標をかかげ、ライバル社である全日本空輸株式会社(ANA)とも協力し、共同で研究しています。

「周りを海に囲まれている日本にとって、飛行機は世界を身近に感じるためになくてはならない乗り物です。これからは未来の燃料を使い、人にも環境にも優しい旅の実現を目指します」と塩崎氏は講義を締めくくりました。

人間社会学部セッション:時間軸・空間軸で地域を見て課題を考えよう

人間社会学部からは原田謙教授が登壇し、社会学の視点から考える探究のコツを伝授しました。社会学とは地域をはじめとする社会の変化や課題を探究する学問です。社会を見るための方法の一つ目は時間軸で同じ地域や社会を考えるやり方です。今現在の東京と、50年前の課題は当然違います。もう一つは空間軸で考えること。都心エリアと郊外ではどう違うかを見ます。

ここで原田教授は高校生たちにQRコードを利用したアンケートを実施。「今の東京における地域の課題とはなんでしょうか?」学生たちはゴミのポイ捨て、ホームレス、満員電車、治安、猛暑などさまざまな課題を次々に挙げていきました。

原田教授は現在の課題のひとつとして都心の人口増加を上げました。しかし50年前は地方から来た人に対する住宅不足が問題でした。そのため1970年代には多摩地域など郊外のニュータウン開発が盛んになり、いったん都心人口は減りますが1990年代から再度人口が増え始めました。「この現象をジェントリフィケーション(都心回帰)と言います」と原田教授。時間軸で考えることで都心が常に人口増加しているわけではないことが分かります。

社会学の研究は「自分自身で社会を観察、アンケートやインタビューで調査して一次データを取ることが強み」と原田教授。統計を見る量的調査だけでなく、フィールドワークを通しデータを集める質的調査を行うことで、より自身が探究したい課題に取り組めると話しました。高校生たちは社会学のエッセンスを感じられる講義となりました。

人間社会学部企業セッション:航空会社が行う地域活性化の取組って?

続いてJAL産学連携部人材開発グループの田中優子氏が登壇され、地域活性化のためにJALが行っている取組についてお話しされました。JALは航空運送業で、各地に空港や支店、グループ会社があるため、日本中にネットワークがあります。それらを活かして、なにかJALも地域活性化に貢献できないか、と取組を行っているのです。なぜJALが地域活性化に取り組むかと言えば、背景に「ESG経営」があります。現在企業経営の在り方として重要視されている考えで「皆さんはまだ高校生ですが、今後、就活をされる際、企業の考え方を知るのに役立つと思います」と田中氏は解説しました。

JALグループの取組のひとつに「JALふるさとプロジェクト」があります。その一環として、地域産業を支援し特産物の商品開発やプロモーションを行っています。商品はふるさと納税やJALグループのネットワークを通じて販売し、販路・物流の活性化も促しています。CAが地域に移住し、より地域の課題に寄り添えるJALふるさとアンバサダーという制度も。他にも多くの取組が紹介されました。「地域との交流は以前からありました。繋がりの大切さを感じるプロジェクトです」と田中氏は講演を締めくくりました。

問いを立てることはやりたい仕事の選択につながる

2つのセッションを終えた高校生たちは再度一番最初のグループへ戻り、それぞれの学部や企業のセッションで学んだ視点を、自分が関心のある社会問題に組み合わせて問いを立ててみることを試みました。「どこ」を「どのように」扱うかを考えるということは、自分が何を目指すのか、なぜそう思うのかを考えることにつながり大学での学びや、ひいては企業や仕事の選択にもつながります。

最後にグループ内で発表し合い、それぞれの考えを聞いていた高校生たちは真剣ながらも笑顔を見せつつ、体験学習を楽しんでいました。

2023年10月6日

就活する時どんな服装がいい?「演習IIA」で青山商事とこれからの就活生の服装を考えるプレゼンテーションが行われました。

2年生対象の「演習IIA」(担当:人間社会学部人間社会学科 広井多鶴子教授)の授業で、青山商事株式会社(以下、青山商事)の皆さんとのコラボ授業が7月12日に行われました。就活生の服装の悩みに向き合う「#きがえよう就活」プロジェクトとの産学連携授業として、「就活生の服装の現在地と未来」についてプレゼンテーションを行いました。この日のプレゼンテーションにはテレビの取材も入り、学生たちはそれぞれ自分が思う就活にふさわしい恰好で臨みました。

服装自由は本当に自由?

1グループはCMでは黒スーツで就活生を表現されていることを取り上げ、就活生=黒スーツのイメージは根深いと分析。
そこで就活生ももっと個性を出していいとCMやSNSでアピールすることを提案しました。CMは企業間でコラボなども行い、社会全体の共通理解とします。また各企業の基準や、参考を検索できるような就活服装アプリを作り、服装から行きたい会社も選べるようにすることを考えました。

発表後の講評では
「服装から行きたい会社も選べるのは面白い視点」
「社風は入ってみないと分からないですが、アプリで知れるのは良い案」
と着眼点が評価されました。

2グループは、服装自由と言っているのに本当の自由ではないことに言及。
TPOをわきまえていれば普段着でも良いのではと提起し、清潔感があり相手を不快にさせないラインを考えました。露出も下品ではないものであれば可、アクセサリーも数を制限することでOKとするなど基準を提案。就活の服装も日常生活と変わりないものにし、本当の意味での服装自由を選べるよう提案をしました。

講評では
「OKとNGのラインを明確にしたのはいい着眼。自分が着たい服装を選ぶだけではなく、面接官がどう思うかという視点を基準としたのも良い」
という評価がありました。

オフィスカジュアルってどんな恰好?

3グループのテーマは「オフィスカジュアルを知り自分に似合う服装で印象UPへ」。
スーツでは決まった色、形があり自身に似合わない服を仕方なく着ている就活生もいるとして、パーソナルカラーや骨格診断などで自分のスタイルを最大限に活かせる服装を考えました。
しかし、オフィスカジュアルは基準が分かりにくく失敗も多いもの。
失敗をなくし、オフィスカジュアルの認知度を広げるために、就活生向けにカタログを作成することを提案しました。

発表後の講評では
「働くにふさわしいというより似合うものという考えは面白い」
というコメントがありました。

4グループはリクルートスーツとオフィスカジュアルを選択できることを提案。
アンケートを取ったところ6割以上の学生は、季節に適した格好をしたいと回答。オフィスカジュアルであれば季節に合わせた格好ができ、低価格なのでお金がない学生にもメリットがあります。
ただ、リクルートスーツにも悩まなくていい・面接の内容で勝負ができるといったメリットもあります。
そこで、どちらも選べる方がより良い就活の未来であるとまとめました。

発表後には
「スーツもオフィスカジュアルもどちらが悪いということはないという視点を持ってもらえたことは嬉しかったです」
とコメントをいただきました。

スーツでも個性を出せる方法は?

5グループは採用における男女差に注目。
女子学生は4人に1人が、男子学生も1割が男女差を感じたというデータを紹介しました。この差の一端には男女別のスーツの存在やスーツによる没個性化があるのではと考えました。ただ、スーツを着用するとやる気が出ると答えた学生もいます。そこで就活用にさまざまな色、柄のスーツを展開するブランドを立ち上げることを提案。メンズレディースの枠組みを撤廃し、リーズナブルな価格で展開することにより、就活後も利用できるスーツという発想を伝えました。

発表後、
「ジェンダーの視点で課題に取り組んでくれた。働くそのままの姿で就活できるのがいい」
とコメントがありました。

6グループは「就活に彩りを」として、個性を出せる服装を提案しました。
アメリカでも面接時はスーツを着用しているが、シャツは自由なため、カラーやストライプ柄などシャツで個性を出していると紹介しました。また、グループの学生それぞれが、カラースーツやシャツなどどのような格好で就活したいか具体例を出し、人によって着たい服装は違うと伝えました。

そこでSNSで#きがえよう就活を広く認知してもらうよう、芸能人やインフルエンサーに依頼する案を提案しました。

講評では
「スーツ自体や、シャツのカラーを変えるのは面白い視点。皆さんが着たい服が少しずつ違ったのも実例としてよい」
と、具体的に提案したことが評価されました。

「就活」をきがえるために

各グループのプレゼンテーションが終わり、最後に優秀賞の発表です。
「#きがえよう就活賞」はジェンダー視点で解決策を探った5グループ。
「具体的なアイデアがあり、特に就活後も着られるスーツを販売したいという意見にはとても共感しました。実現に向けて取り組んでいきたい」と社員の方からも納得の講評をいただきました。

「青山商事賞」はオフィスカジュアルの基準を考えた3グループでした。
「今すぐにでもできそうな提案をたくさんもらった」と青山商事でも取り組めそうな提案だったことが評価されました。
授業の終わりには、青山商事の皆様から学生たちにプレゼントもあり、写真撮影も行われ和やかに終了しました。

担当教員からのメッセージ

ビジネスウェア専門店である青山商事が「#きがえよう就活」という取り組みを行っていると知り、驚くとともに、ぜひコラボしたいと思いました。今の学生たちは、入学式も就活も黒一色のリクルートスーツ。その画一さが「不自由さ」や「萎縮」を表しているように思えて、気になっていたからです。学生たちには就活の服装を通して、就活のあり方、ひいては社会のあり方を考えてもらいたいと思いました。

授業のはじめ、学生たちは「どうしたらいいのか」「どこまで言っていいのか」と、少々戸惑っている様子でした。
黒のリクルートスーツが当たり前だと思っていたからでしょう。ですが、そうした常識を問い直し、グループで議論を重ねるうちに、様々なアイディアが出てきました。学生たちは、自ら就活服を着替えることで、若者に黒のリクルートスーツの着用を求める社会を少し変えることができると、実感できたのではないかと思います。

2023年9月5日

新人研修でどんな力を身に付ける?「実践プロジェクトa」でサントリーの新人研修企画を発表するプレゼンテーションが行われました。

1年生対象の「実践プロジェクトa」(担当:文学部国文学科 深澤晶久教授)で、サントリーホールディングス株式会社(以下、サントリー)とのコラボ授業が行われました。会社を取り巻く環境を踏まえ、企業人・社会人に求められるものは何かを考えます。またそれを踏まえ、サントリーの新入社員に対する具体的な研修計画を提案します。中間発表では、ピープル&カルチャー本部の斎藤氏と長政氏、下間氏から厳しい意見もいただきました。各班は議論を深め内容をさらに練り直し、7月14日に最終提案に臨みました。

中間プレゼンでは厳しいフィードバックも

6月末の中間発表では、グローバル力を身に付けるために英語でのプレゼンテーションやスポーツ大会、コミュニケーション能力を養うため商品企画やチームプレゼンなどが提案されていました。その際、斎藤氏から総評として「皆さんがサントリーという企業に接するのは商品と広告だけだと思います。そのため商品企画やプレゼンが案に盛り込まれていたように思います。しかしそれはあらゆる仕事の中のほんの一部です」と話されました。

「企画」を担当する人がいるわけではなく、すべての仕事に「企画」があり、業務改善のフレームワークである「PDCAサイクル」を回す必要があることを語りました。「皆さんの両親や先輩などはどんな仕事をしているのか、身の回りの生の情報を活かしてほしい。頑張ってください」と伝え、最終提案に期待をかけられました。
学生たちはそれぞれいただいたフィードバックを元にさらに検討し、内容を見直していました。

人材育成にはなにが大切?

トップバッターは4班。
中間発表では「スキルではなく個性」としていた内容をさらに深めました。PDCAのフレームワークをシートで導入し、毎日課題を設定。達成できているか、何に取り組むべきかを明確にします。

企画は講座式とフィールドワーク式の2種類を考え、講義形式で社会人としての基礎知識としてのマナーを学びます。フィールドワーク形式では、飲料水を得るための方法を考案するプレゼンテーションを最終地点とし、目標をやり遂げる経験をすることで、社会人に必要な総合的な能力を身に付けられるとしました。

発表後の講評では、下間氏は
「中間プレゼンからブラッシュアップされ、新人は何を身に付けるといいかがよく練られていた」
と評価されました。

人材育成にはなにが大切?

続いての5班は中間発表で
「Wantsからneedsを引き出す力」が大事と発表し、さらに深堀しました。
主体性、想像力、創造力、柔軟性を身に付けることで会社を取り巻く環境に対応できる人材になるとしました。

企画は、サントリーの企業理念を伝える「水育」を中心に考えました。国内・国外での水を育む森の大切さを伝える活動を通し、グローバルな視点を持つ人材を育成するとしました。また、国連によって定められたWorldWaterDay(3月22日)のイベントの企画を考える企画案を提案しました。

下間氏は
「会社に必要な能力が整理されていました。その分なぜその能力を紐づけたのか理由があればさらに良かったです」
と感想を述べられました。

斎藤氏も
「Wantsからneedsを引き出す力に注目したことが良かったですが、これは他の力の総合力でもありますね」
とコメントされました。

新人が身に付けるべきものとは

6班は
中間発表で出したサントリーの理念「グローカル」を深めた研修を考えました。

グローカルとは、地球規模の広い視点と地域規模の深い視点を両立すること。今社会人に求められるのはグローカルな人材として研修を計画しました。期間は2か月半と設定し、はじめはマナー講座を行います。日本にとどまらず世界のマナーを学ぶことで、世界で恥ずかしくない人材に。その後、中国やヨーロッパなど海外のグループ会社へ研修に行き、日本とは異なる環境の中で仕事に取組み、やりぬく力を身に付けます。

発表後は斎藤氏から
「グローカルに注目したのは素晴らしい。ただ、海外に行って具体的に何をして何が身に付くのかをもっと絞り込んでいたら良い発表になったと思います」
と感想をいただきました。

次の3班は
中間発表で指摘されていた「会社愛」の項目は思い切って削除。
AIやIoTを活用できる能力や、コミュニケーション能力が必要と結論づけました。

コミュニケーション能力の中でも対人調和力、意思伝達能力が大切とし、聞く力と伝える力を養う研修を考えました。課題を設定しプレゼンテーションを行うことで、個人で積極的に動きチーム力を高めることにもつながるとしました。それぞれの課題ごとにPDCAサイクルを回し、考えることで自分が何をすべきか、何ができるかを考える主体性を育てるとしました。

斎藤氏からは
「中間発表からかなり考えられていました」
と感嘆の言葉が。

下間氏も
「コミュニケーション能力が深堀して考えられているのが素晴らしかったです。その後の業務につながる研修内容で良かったと思います」
と話されました。

グローバルな人材とは?コミュニケーション能力とは?

2班はコミュニケーション能力を中心に企画。
中間発表で若者が身に付けたい力とした「営業で通用する力」をさらに深堀しました。社会人ではコミュニケーション能力に関係調整力が追加されるとし、リーダーシップが必要と提案。目標を設定しその目標を成し遂げるために行動できる人材が必要としました。

企画は「SUNSUNプロジェクト研修」と名付け、SUNSUNガーデンで花や野菜を育てたり地域住民を来場してもらい社会貢献を学んだりします。
研修を通し、リーダーシップや必要な柔軟性を身に付けるとしました。

下間氏からは
「前回の発表からコミュニケーション能力について深堀されていて良かったです」
と評価がありました。

斎藤氏は
「研修はイベントにせず、地味で地道でいいのでは」
とアイデア先行にならないよう視点をしっかりと持って欲しいとアドバイスされました。

最後の1班は
「グローバルな人材とは」を、中間発表からさらに考えて企画しました。
グローバルな人材とは視野を広く持ち、多様性に対応できる能力がある人と定義付けました。研修で育てたい力を主体性、実行力、多様性を受け入れる力として、自分の目標を立てる大切さを伝える研修を目指します。さらにサントリーが求める人材として、環境に配慮できるということも重視。

「私たちができる社会貢献とは」をテーマにグループでプレゼンテーションをし、社会貢献活動中心の企画を提案しました。

下間氏は
「社会貢献はサントリーも大事にしていることなのでフォーカスされていたのは良かったです」とコメント。その上で「研修から何が身に付くのかが見えづらかった」と指摘されました。

斎藤氏は
「何が必要なのかが中間プレゼン以降、しっかり議論されたことが良く伝わってきました」
と話されました。

時間ぎりぎりまで細かいフィードバックがあり、学生たちにとって社会人に必要なものを考える、特別な授業となりました。

授業の最後には社員の皆様からアイスクリーム券のプレゼントが。
難解な課題の取組をねぎらわれた学生たちからは歓声があがっていました。

担当教員からのメッセージ

実践プロジェクトaは今年で4年目、コロナ禍の2020年を除き、サントリーホールディングス様には毎年ご支援いただいています。大学生なったばかりの1年生が、社会人に求められているものを調べあげ、サントリーホールディングス様の新人研修を考えるというのはかなりハードルの高い課題ではありますが、このお題を提示いただいている大きな理由は、この講座が「1年生に対して大学での学び方を学ぶ」という目的があるからです。言い換えれば、この授業で考え、調べ抜いた社会人に求められることを理解し、これからの大学生活を送ることが、素晴らしいキャリア形成に繋がるからです。今のレベルと社会人に求められるレベルとのギャップを埋めていく事が大学での真の学びなのです。毎年、ご支援いただいているサントリーホールディングス様に心から感謝申し上げます。

2023年9月4日

環境の取組を広めるには?「実践プロジェクトa」の授業でカルビーの課題を解決するプレゼンテーションが行われました。

「実践プロジェクトa」(担当:髙橋 裕樹特任教授)で、7月10日にカルビー株式会社(以下、カルビー)とのコラボ授業が行われました。この日はカルビーのSDGsへの取組の認知度アップのためにできる施策について、プレゼンテーションを行いました。三者三様の特色のあるプレゼンとなりました。

折りパケ運動を広めよう

チームじゃるびーは「折りパケ運動」に注目。
折パケ運動とは、折りパケ運動とは食べた後の空きパッケージを小さく折りたたんで捨てることで、ゴミの嵩を減らし、ご家庭のゴミ袋の量を削減しよう!という運動です。

しかし、学生たちが行ったアンケートによると、折パケ運動について知っている人は8%ほど。カルビー公式チャンネルYouTubeの中でも折パケ運動関連の再生回数は少なく、認知度は低い状態です。
ただ、取り組んでみたいと回答した人の割合は80%以上と高く、潜在的に環境問題に関心があることを示しています。

そこで、コンビニとコラボして、折パケの回収ボックス設置を提案。ボックスは好きな味や新商品への投票などと連動させます。また新商品プレゼントなどの特典を付けることで回収促進も目指します。

プレゼン後にはカルビーの荒木氏から質疑応答があり、折りパケ運動に注目された理由を確認されました。学生たちは「子どもでも簡単にできるのに知られていないことが惜しいと思った」と述べ、実際に折パケをやってみた学生は「これをきっかけに続けられたらと思います」と話しました。

荒木氏は「コンビニなど他の企業を巻き込むのは面白い。環境問題は利害関係が生まれてはいけないと思うのでいっそ競合社と手を組むなども考えたい」と、考えが広がったことを話されました。

環境問題に関心ある若者に訴求するには?

チーム推ししか勝たんのターゲットは未就学児から小学生と、大学生。
学生は9割が環境問題を自分事と捉え関心があり、拡散力もあると説明しました。学生の一人は子ども食堂のボランティア体験から小学生も拡散力があると実感していると話しました。

若い世代に訴求するために新パッケージの提案。主力商品のポテトチップスの表面にSDGsのロゴを付け、環境配慮しているとわかるようなナチュラルな色合いにすることを考えました。

また、体験型フェスの提案も。お祭りの屋台のように各人気商品でブースを設置し、できたてを提供できる形で、使っている油など環境に配慮していることを伝えます。そしてZ世代の情報収集時に使うSNSの一つであるインスタグラムにも、環境への取組についての投稿をすることを勧めました。

荒木氏は「ターゲットがしっかり決められていて、構成が分かりやすくまとまっていたと思います」と話しました。「カルビーの内部では新パッケージの提案はなかなか出てこない発想だったので新鮮」と感心され、環境週間など期間限定で行うのは良いかもしれないと、「ポテトチップス担当部門にも伝えようと思いました」と案の面白さを評価されました。

学食でアピール!

最後のモノクロチームは、大学生がターゲット。アンケート結果などから、大学生の環境への意識は高く解決に向け関わりたいと思っているものの、日常生活がエネルギーや環境問題につながらず実感がないと分析しました。

そこで、学食とコラボしたイベントを提案。学食で限定デザインのポテトチップスを販売し、袋はリサイクルボックスに回収することで、学食の割引券がもらえるなどのメリットを提案しました。パッケージも大学生にも手に取ってもらいやすいカラーやイラストを考えました。SNSの活用方法として学食コラボのポテトチップスを投稿すると、抽選で割引券などがもらえる仕組みも考えました。

発表後、荒木氏は「学食というのは学生ならではの提案。非常にいい提案だと思いました。全国の大学でできたら力になりそう」と学生のアイデアに感嘆。一点、割引券などのメリットがないと環境への取組は難しいのかと問いかけ、学生たちは「興味がない人が環境問題に関心を持つきっかけにはメリットがあることが一番だと思う」と回答しました。

学びの多かったプレゼン

授業の最後には、学生一人ひとりずつ感想を話しました。
「この授業を受けるまで、例えば折パケ運動も知らなかった。他にも環境に対する取り組みは自分にもできることがあるのではないかと思った」
「皆のプレゼンを聞く中で、環境への意識はあるけど、なかなかアクションにうつせていなかった自分もいることに気付いた」
と、環境問題について考え直す機会になった学生も。

プレゼンについても、
「同じ課題なのに各チームで方向性も規模も対象も全く違い面白いなと思った。楽しみながらみんなの発表も聞けました」
「アイデアはパッと出てきても、なぜそれにしたかの根拠を見つけるのが難しいと実感した」
「皆で話し合うことの楽しさが知れた。皆違う意見を持っていて自分の考えも広げられた貴重な体験でした」
と、自分たちの力になったことを実感した学生が多くいました。

最後に荒木氏から総評をいただきました。
「カルビーの内部でも難しい課題でした。3チームとも違いがあって気付きがたくさんありました。真剣に取り組んでいただけて嬉しかったです」と話し、「楽しかったと言ってくれたのが非常に嬉しい。商品を作るときも自分たちが楽しまないと良い商品はできなかったりする」と語り、積極的に取り組む姿勢の大事さを伝え、授業は終了しました。

2023年7月10日

新しいミュージアムグッズを考えよう!「実践キャリアプランニング」の授業で印刷博物館とのコラボ授業が行われました。

5月26日に国文学科「実践キャリアプランニング」(担当:文学部国文学科 深澤晶久教授)の授業で、印刷博物館の皆さまをお迎えしてコラボ授業が行われました。印刷の歴史や文化の価値を伝える企業博物館。さらに多くの人に知ってもらえるよう、学生たちは新しいミュージアムグッズを考える課題に取り組みます。

印刷博物館ってどんなところ?

印刷博物館は凸版印刷株式会社が運営する企業博物館です。
2000年に開館。100周年事業の一環として設立されました。本社ビルのミュージアム棟にあります。
企業博物館と言えば社歴や代表的な商品を紹介するのが一般的。ただ印刷博物館は「企業博物館でありながら企業色をかなり薄めています」と式氏。
印刷産業というものが文化の形成にどう貢献してきたのか、印刷の歴史を紹介する公共文化施設の役割を持っています。

奈良時代のものから最新の印刷技術のものまで、さまざまな種類の印刷物を7万点ほど所蔵し、印刷の日本史や世界史、技術の進化などを紹介。
また、活版印刷を体験できる印刷工房も併設され、カードやレターセットなどを作れるワークショップも開催されています。

式氏は「デジタル化の時代の中、印刷業界は斜陽と言われていますが、社会や文化の発展に大きく貢献してきた印刷の役割や意義を、次世代に伝えていくことがミッションです」と語りました。

企画展は博物館の花形

企画展の開催時は来館者が一番増える時期。全体の来場者数の50%が企画展来場者です。
年1回、3ヵ月ほど毎年趣向を凝らし、さまざまな側面から印刷文化を深堀する企画を展開しています。
ヴァチカン教皇庁図書館の貴重な写本の展覧会や地図と印刷の歴史、武士と印刷の関わりなども。2018年に行った「天文学と印刷」の企画展は話題を呼びました。

来館者の多くは20~40代の女性が多く、歴史やデザインを学ぶ大学生が多いのも特徴です。
また企業博物館という特徴からビジネスマンもコンスタントに来館します。ただ、企画展の期間は客層も一変。
「地図と印刷」の企画展では40~50代男性が圧倒的に多く、遠方からの人も。
企画展の特徴により来場者層は変わるのです。来館のきっかけは、やはりSNSやWebサイトで企画や印刷博物館に興味を持つ人が多く、式氏は「重要な窓口になっています」と話しました。

ミュージアムショップの商品開発に挑戦!

いよいよ石橋氏から今回の課題の発表です。
課題は、印刷博物館の「新しいミュージアムショップグッズの開発」です。
「普通お店では『ヒット商品を考えてください』というものが多いと思いますが、ミュージアムショップではちょっと違う」と石橋氏。
印刷博物館は展示品を通じて印刷の価値を伝えることがミッション。ミュージアムショップの商品も、印刷のエッセンスや面白さが伝わるものが重要になります。

博物館は場所が固定されており、来ていただくことが前提になります。遠方で来場できない人やそもそも印刷に興味がない人への訴求が課題です。
そこでミュージアムグッズをお土産として未来場者に渡すことで認知が広がったり、商品の話題性によって興味関心を集めたりということが求められるのです。

ミュージアムグッズについて知ろう

次に前原氏から印刷博物館ではどんなミュージアムグッズがあったかの紹介がありました。
定番のポストカードやクリアファイルの他、収蔵物や展示関連の書籍などがスタンダード。収蔵物の一部がプリントされたTシャツやマスキングテープや、活版の活字を再現したコーヒーシュガーなどオリジナルグッズも多数あります。
最近ではガチャガチャで販売したアクリルキーホルダーも人気を博しました。
さらには紙や活字を厳選し、職員が手作りで作るレターセットやカードも。
時間はかかりますが、名入れレターセットなどは贈り物として人気です。

グッズの売り上げも企画展関連商品が50%を占めます。
しかし、SNSで話題を呼んだ商品は企画展期間以外でも継続して売れることも。「天文学と印刷」の企画展の図録はSNSで話題になり、重版されました。
石橋氏は「商品自体が話題性を呼びさえすれば、博物館を飛び越えて人々に伝えることができる」と話しました。

実際に商品化も夢じゃない!?

「とはいえ何かを作るということは非常に難しいです」と石橋氏。
そこで3つの視点を紹介されました。

誰のためにつくるのか「Whom」、
何をつくるのか「What」、
どこで売るか「Where」です。

石橋氏は「売る場所は印刷博物館に限らなくてもいいと思う」と言い、「なぜその商品が必要なのか、その商品があることでどういった人たちにどういった形で印刷文化を伝えることができるのかを、考えていただきたいと思います」と話しました。

最後に式氏から、昨年の同授業について言及がありました。
昨年は、来館者を増やす施策という課題に学生たちが挑みました。中で提案があった近隣施設とのコラボレーション案と館内撮影解禁の案は、実際に実現しています。
「架空のグッズを考えてくださいということではありません。素敵な案は採用される可能性がありますよということをお伝えしておきます」と、学生たちの企画に期待を寄せました。

講演後、学生たちは早速グループディスカッションを開始。6月末に最終プレゼンに臨みます。

担当教員からのメッセージ

本学と包括連携協定を締結させていただいたことをきっかけに、昨年からこのコラボ講座のご支援をいただいています。今年もグループの代表者や有志が、印刷博物館を見学。印刷博物館の皆様に、とても丁寧にご説明をいただき、印刷博物館の意義などについてレクチャーを受けさせていただきました。今年のお題はグッズ開発、これから2週間のグループワークを経て、プレゼンテーションに臨みます。学生たちの豊かな発想、そしてチームワークに期待したいと思います。今年度も、お題の構築、視察などにご尽力いただいた印刷博物館の皆さんには、心から感謝申し上げます。

2023年7月7日

オンラインで留学体験!「国際理解とキャリア形成」の授業でアンジェラス留学とのコラボ授業が行われました。

6月6日に共通教育科目「国際理解とキャリア形成」(担当:文学部国文学科 深澤晶久教授)の授業で株式会社アンジェラス留学(以下、アンジェラス留学)の中根なゆた氏をお迎えしてのコラボセッションが行われました。中根氏のお話のほか、フィリピン・セブ島とオンラインでつないで、実際に留学の授業も体験。また留学を経験された本学卒業生の斎藤遙紀さんのお話や、学生総合支援センターの内田雄介次長の「ミドル世代の留学」のお話も伺いました。たくさんの国際交流の経験を聞く体験型授業。学生も興味深々で参加していました。

留学が人生のターニングポイントに

学生は2グループに分かれ留学体験と、中根氏のお話を交互に伺いました。
中根氏はフェンシングをやっていたことをきっかけに、大学時代にフランスに1年留学。大学時代はいつか海外で働きたいと思っていたと言います。
株式会社資生堂に入社して6年後パリの事業所に配属になりました。このチャンスは大学時代にフランスに留学していたから巡ってきたと言います。「留学が私のターニングポイントになりました」と中根氏は話します。
その後、中根氏の父が創業されたアンジェラス留学へ入社。「私の一番の思いは、悩める大学生を応援したい」と中根氏。大学時代に留学することが大事だと痛感したと言い、大学生のキャリア形成を応援したいと話します。

留学と旅行の違いは、学校に行くか行かないか。1週間でも2週間でも現地の学校に通って勉強すれば立派に履歴書に書ける「留学」です。
留学時期も毎週月曜開始で出来るため、個人留学にも柔軟に対応が可能と言います。

卒業生による生の留学体験

続いて齋藤さんも交えて留学についての経験が話されました。
斎藤さんは2018年にセブ島に留学し、2019年に本学を卒業。現在はカナダのアパレル会社に就職しバンクーバーで活躍しています。
なぜ留学したかと問われると「大学3年生の時にグローバルキャリアデザインというキャリア科目を履修していた時、ゲストとしてお越しいただいた中根さんのお話しをお聞きしたことがきっかけで留学に興味を持ちました。CAにも興味があり、英語力を伸ばしたかった」と話されました。
現在のカナダでの仕事について聞かれると「職場にはいろんな人種の方がいて、バックグラウンドや考え方が違うので意見の衝突も多い」と言います。
「皆主張が強いので大変だけれど、だからこそ皆で思いやりをもって協力しています」と多様な価値観のなかで働く大変さと楽しさを語ってくれました。

「セブ島に留学した時は全く英語がしゃべれずに悔しかった」と話す齋藤さん。「勉強してカナダに行ってから、英語で通じ合えるとこんなに嬉しいんだなと思いました」と体験を語ります。
「日本から外に出てみるといろんな考えや価値観に触れられる。やりたいことがまだ見つからない人は、ぜひ留学していろんな経験をして欲しいと思います」と話しました。

オンラインでセブ島へ留学!

別室のパソコンはセブ島の講師の方とつながっています。学生たちは3~4人に分かれてそれぞれオンライン留学を体験しました。
つながると講師の方が「Hi!How are you?」と気さくに話しかけてきてくれます。学生たちは緊張しながらも自己紹介をしていきました。
挨拶を終えると、英語の模擬授業が始まります。

画像が表していることを英文で説明したり、英単語の意味を問われたり。
恐る恐る答えていた学生も「good!」と褒められると、笑顔で返事をしていました。
講師の方は、学生が分からないときはゆっくり問題を言ってくれたり発音を直されたり、学生たちが答えられるまで丁寧に受け答えしてくださいました。

半年間の「ミドル世代の留学」

再び教室に全員がそろうと、最後に本学の職員である内田次長にマイクが渡されました。
2022年10月から2023年3月まで半年間、東南アジアに留学していた経験を語ってくれました。自分の仕事の枠や価値観を広げようと考えた内田次長は大学職員を辞めてでも海外に出ようと考えていましたが、そのことを話すとなんと大学側から海外研修を勧められたと言います。
そこで英語力の獲得と、東南アジアに海外インターンシップ先の企業を開拓するミッションが託されました。

最初は英語ができなかったので、必死に勉強したといいます。
TOEICの点数向上を指標として学習した結果、半年間で300点UPを実現したそうです。ただ、英語学習では「はじめの1か月で簡単な英語でコミュニケーションが取れるようになると、他の単語を覚えなくなり英語力が伸びなくなった」と歳を取ってからの勉強の難しさも語りました。
そこで他国の生徒や先生と旅行に行ったり、地元の人と友人になったりと、教室外で英語を学習する機会を確保。「留学先では日本人同士で行動するのではなく、英語を話す機会を自らが作っていくかが大事」と話します。

英語力の向上を実現した後には、最後の1か月間を利用し、タイやカンボジア、ベトナム、韓国で27の企業等を周り、海外インターンシップ先候補の団体とネットワークづくりを行いました。

内田次長は「これからのグローバル人材、必要な要素は語学力ではなくマインド」と話します。
東南アジアでの企業の交渉は、どちらも英語がノンネイティブでの会話でした。言葉ではなく、目の前の課題や相手に真摯に向き合い、お互いに理解しあおうとする力が大切だと感じたと言います。
「まずは結果を考えず、一歩を踏み出してみるマインドが重要。皆さんには何事にもチャレンジして活躍していってもらいたいと思います」と語りました。

盛りだくさんの内容だった授業はこれにて終了。
学生たちは、留学や海外生活を身近に体験する貴重な機会となりました。

担当教員からのメッセージ

私が株式会社資生堂の人事部で、採用の責任者であった時に、中根さんをお迎えしました。その後、中根さんが父上の会社に転職された後は、私が担当しているキャリア教育科目に毎年ゲストとしてお越しいただき、留学を中心にキャリア形成のお話しをしていただいています。親身に相談に乗っていただくことがきっかけで、中根さんにお世話になって海外留学に出かけた学生は、約50人を数えます。長いご縁には、本当に感謝です。
この国際理解とキャリア形成の授業においては、特に留学や海外での業務の夢を持つ学生も多く、中根さんのお話しには、とても関心深く授業に参加してくれています。昨年からは、セブ島とオンラインで結んでの模擬体験までアレンジしていただいています。そして、今年は、キャリアの授業において中根さんのお話しがきっかけで、なんと海外で仕事をされている齋藤さんや、内田さんの経験談まで含めて、盛りだくさんの内容となりました。様々な準備をして下さった中根さんに心から感謝申し上げます。

2023年6月30日

カルビーの環境への取組って知ってた?「実践プロジェクトa」でカルビーの環境対策の認知度アップを考えるコラボ授業が行われました。

「実践プロジェクトa」(担当:髙橋 裕樹特任教授)の授業で、6月5日にカルビー株式会社(以下、カルビー)の荒木友紀氏をお招きしたコラボ授業が行われました。カルビーのSDGsへの取組を伺い、その認知度アップできる施策を考えます。学生たちはグループワークを重ね、後日プレゼンテーションに臨みます。

健康への思いから設立されたカルビー

実は荒木氏は中学・高校からの実践女子の卒業生。大学では生活科学部で学び、10年間実践女子で学んだ先輩です。1999年に卒業し、食に関する企業に興味を持ったところからブルドッグソース株式会社に入社。2004年にカルビー株式会社に入社されました。マーケティングに携わり、主にスナック菓子のブランディングや商品設計を行っています。

カルビーの社名の由来は「カルシウム+ビタミンB1」。健康食品づくりへの思いが託されています。最初のヒット商品はかっぱえびせん。来年60周年を迎えるロングセラーです。誕生当初はアメリカ産の小麦粉が大変安い時代で、未利用だった小エビと共に活かしてできた商品です。「自然の恵みを活かすこと」を大切にしており、原料は自然素材を使い、農工一体で取り組んでいることが特徴。特に主力商品であるポテトチップスの原料となるじゃがいもは、加工用の国産じゃがいもの約60%をカルビーが使用しています。
商品作りだけでなく土づくりから品種改良まで、じゃがいもに関わるすべてのプロセスに関わり、徹底した品質管理を行っています。

地球の未来のためにできること

カルビーの環境への取組として、2030年までにプラスチック容器を50%環境に配慮した素材にすることを目標にしています。
2050年には100%を目指しており、「大変な目標だと思いましたが、ここまでしないと貢献ができないと考え、全社で取り組んでいます」と荒木氏。
パッケージのインクを植物性由来のバイオマスインキを利用したり、包材の研究を進め薄膜化したりとCO2削減に取り組んでいます。

またカルビーでは国内全体のパーム油の使用量の約5%を占めており、大変多くの油を使っています。パーム油はアブラヤシからとれる油でインドネシアやマレーシアで産出されますが、森林伐採や児童労働が問題になっています。カルビーは、こうした社会問題に配慮した認証パーム油への切り替えを進めており、パッケージにも認証マークを表示しています。
【認証パーム油に関する動画】
https://www.calbee.co.jp/sustainability/

認知度が低いのが課題…

荒木氏は「SDGsの認知者の2人に1人が、SDGsに取り組む企業を応援したいという結果がでています」と話します。そのためカルビーも環境ラベルで取組への消費者の納得を得たい反面、まだまだ認知度が低いのが課題です。
店頭やCM、Webサイトなどでアピールしていますが、なかなか浸透していません。学生たちに知っているかを問いかけても、認証マークを知らなかった学生も多くいました。
「入社前にいろいろ調べているだろう内定者からも、知らなかったという声がたくさん聞かれました」と荒木氏。

認証マークを得られる原料は、通常のものよりも値段が高いのがネック。「原料のコストは上がっているんですが、なかなかそれを知られておらず、価値が伝わっていないということが課題」と荒木氏は話します。

環境への取組を知ってもらうには?

ここで課題の発表です。
テーマは「カルビーの環境への取組をお客様へ伝えるコミュニケーションを考える」。
考えるコツとして
「誰が(Who)」
「何を(What)」
「どのようにして(How)」
を土台に考えていくことが紹介されました。

このなかで特に大切なのは「誰が(Who)」。ポテトチップスの主な購買層はファミリー層です。学生世代の若者はあまり買わなくなっているそうです。あえて若い層の方々をメインにご購入いただけるようにするのか、現状の購買層に向けて発信するのか、ターゲットを決めることは重要です。

実は同様の課題は、昨年カルビー社内の若手社員にも出されたといい、「なかなか社内の人間でも難しい課題です」と荒木氏。「ぜひ自由な発想で取り組んでください」と学生の発表に期待を寄せました。

誰にどうやって認知度を上げる?

学生たちは早速3つのグループに分かれディスカッションを始めました。
「若者をターゲットにするならショート動画がいい」
「インフルエンサーは?」
などSNSを活用することを考えるグループや、
「興味があることは自分で調べるけど、関心がなければ見て終わるだけになりがち」
「興味を持ってもらうには向こうから知ってる?とアピールしてくれるといい」と方法を考えるグループも。

最後に3グループそれぞれの方向性を発表しました。
1グループのターゲットは若者。SNSやQRコードを利用してアピール。
購入者も環境取り組んだのだ、と参加が分かる仕掛けを考えます。

2グループは小学生を対象にします。
カルビー主催でコンクールを行い作文などで広く伝える案が出ていました。ゲーム配信などのイベントのスポンサーとなり、ポスターやCMで若者にも訴求。
若者の中でも健康意識が高い層に訴えることを提案しました。

3グループは中学生以上のスマートフォンを使う学生をターゲットに設定しました。
SNSなどで短い動画を流します。キャラクターを作りキャッチーな内容を流して認知度アップを狙います。

学生たちはグループワークを経て案を練り上げ、1ヵ月後に最終プレゼンに臨みます。

2023年6月26日

未来の就活生の服装は?「演習IIA」で青山商事と就活時の服装の課題解決に取り組むコラボ授業が行われました。

2年生対象の「演習IIA」(担当:人間社会学部人間社会学科 広井多鶴子教授)の授業で、5月31日に青山商事株式会社(以下、青山商事)の皆さんとのコラボ授業が行われました。就活生の服装の悩みに向き合う「#きがえよう就活」プロジェクトの一環として、学生たちは未来の就活生の服装を考える課題に取り組みます。

紳士服大手の青山商事の課題とは?

最初に平松氏から青山商事の紹介がありました。
青山商事は「洋服の青山」「THE SUIT COMPANY」などビジネスウェア事業を中心に展開する企業です。店舗は全都道府県にあり、紳士服業界では現在シェアトップを誇ります。また、カード事業や飲食店などを展開するフランチャイジー事業、販売代理店契約をしている100円ショップ「ダイソー」も展開しています。とはいえ売上高の約7割をビジネスウェア事業が占め、青山と言えばスーツの印象が強いのも事実。しかし、実はスーツ以外にも、カジュアルなジャケットやレディスの服も取り扱っています。

ビジネスウェアのカジュアル化はコロナ禍を機に加速しており、ビジネスパーソンの服装は変化しています。また青山商事の顧客層は50代以上が中心で、働く人のボリュームゾーンである20~40代に必要とされる企業であり続けなければいけないというのが青山商事の課題です。

そこで誕生したのが「シン・シゴト服ラボ」という共創コミュニティ。
学生やビジネスパーソンと一緒に社会課題の解決に取り組み、これまでにテレワーク用の商品開発などを行いました。

「#きがえよう就活」プロジェクトって?

今回の「#きがえよう就活」もシン・シゴト服ラボのプロジェクトのひとつ。
ここからは岡本氏から「#きがえよう就活」についての説明が始まりました。
きっかけはコミュニティメンバーの一人が就活で服装選びに悩んだという言葉だったと言います。岡本氏は「それを聞いてビビッときました」と話しました。店舗の店長時代に、「服装自由」に悩んでいた就活生を接客していたこともあり、このコミュニティで課題を解決するべきではないかと思ったと言います。

近年では面接に「服装自由で」「私服で」など指定する企業も多いですが、アンケートを取ったところ服選びに困った学生は9割近く。課題として、会社がなぜ「服装自由」や「私服」と指定するのか意図が分からないこと、また、「自由」と言われても例えばデニムでもいいのか、企業の社風が分からないことが挙げられました。

就活生の服装の悩みを解決したい!

「#きがえよう」就活PJは、就活の暗黙のルールやマナーなどに悩むより自分の未来を考える時間にしてほしいという想いのもと活動しています。そのアクションとして、開設したのが「#きがえよう就活」の特設サイトです。
賛同企業は現在25社あり、選考時の服装指定の意図や理由も合わせて記載されています。新卒生が実際に着て行った服装を見える化し、グラフなどで示しました。特に実際に内定者がどんな服装だったかも記載し、内定にどの程度影響しているかもわかるようにしています。

リリース後はSNSなどで大きな反響を呼び、メディアにも取り上げられました。また、洋服の青山の店舗でも、就活生への対応マニュアルを刷新。
学生向けのパンフレットも新しくしています。

就活市場の現状は…

次に本学卒業生の澤田氏から就活市場の現状についても話がありました。
コロナ禍により面接のオンライン化も進みましたが、現状は対面とオンラインをどちらも行う企業も増えてきています。
「対面になると服装はスーツ率が高い」と澤田氏。また、「青山商事は本当に服装自由でデニムなどでも大丈夫ですが、自由の幅は企業によります」と言います。どうすればいいか悩んだときは、説明会などで対応した社員の恰好を参考にすると良いとアドバイスがありました。また、「服装自由と指定した理由を人事担当に聞いてもいい」と話しました。

就活生の服装の未来について考える

ここで、いよいよテーマの発表です。
今回学生たちには、「就活生の服装の未来」について考えるようお題が出されました。
課題の分析からデータ収集、調査まで学生たちが行います。

就活の暗黙のルールに悩まされずに自分を表現するにはどうすればいい?
理想と現実のギャップは?何を解決するべき?
考えることは数多くあります。

平松氏は
「世の中に実現できないことはありません。ぜひ自由な発想で考えてください。ワクワクする提案を楽しみにしています」と、
学生たちのプレゼンに期待を寄せました。

スーツ?カジュアル?就活にはどんな服装がいい?

学生たちは残りの時間を使ってさっそくグループディスカッションを始めました。
ある学生は「落ち着いた色ってどこまでだろう」と問いかけ、
「オフィスカジュアルを基準にと言われても、女性は服の幅が広く迷う」と話すと、周りの学生も共感していました。
「リクルートスーツは就活でしか着ないため、サステナブルではない」との指摘も出ていました。

「私服、自由とする理由は気になるしお手本も知りたいけど、それを企業に提示されたら結局自由ではないのでは」と矛盾を指摘する学生も。
「就活はスーツが多いのに、入社したら自由になるのはなぜ?」と根本的な疑問を出す学生もいました。

学生たちはグループワークを重ね、7月に最終プレゼンテーションに臨みます。

2023年6月19日

学生たちが渋谷のスローなツアーを提案!原田ゼミ(都市と地域の社会学)で博報堂とJR東日本のコラボ授業が行われました。

人間社会学科 原田謙教授のゼミで、5月29日に株式会社博報堂(以下、博報堂) ミライの事業室と東日本旅客鉄道株式会社(以下、JR東日本) 東京感動線とのコラボ授業が行われました。渋谷でスローに過ごす体験ツアーを学生たちが提案し、実際に開催することを目標にしています。今回は土台となる案出しを行い、企業のみなさんと質疑応答でブラッシュアップしていきました。

渋谷のスローな過ごし方をツアーにしよう

JR東日本の「東京感動線」は、山手線を起点に心豊かな生活を提案するプロジェクトです。街の個性を引き出し、人と人の繋がりを作る「エキとマチをつなげる」をコンセプトに、地域と連携し街を探索したくなる仕掛けづくりを行っています。タッグを組んだのが博報堂 ミライの事業室。渋谷の街づくりサービス「shibuya good pass」を開発している繋がりから、「Slow Platform 渋谷駅0番線」という駅構内のスペースを活用したプロジェクトを共同で行っています。

2022年度後期の原田先生の「フィールドワーク論」の授業では、渋谷駅0番線プロジェクトとコラボし、渋谷で一息つけるスローな場所を紹介した「渋谷スローマップ」が作成されました。今回はその発展版として、「渋谷をスローに過ごすツアー」を学生たちが考案します。

現在、東京感動線は、体験シェアサービス「aini」と連携し、山手線の暮らしをより楽しめる体験ツアーを提供しています。ツアーの内容は地域によって多種多様。
上野駅の歴史を知る構内ツアーや、東京駅は鉄道古物を使ったアクセサリー作り等があります。

朝はのんびり&夜はご褒美

学生たちはainiのツアーを参考に、各チーム2つずつ案を考えてきました。

Aチームは、忙しい朝の時間をのんびりするモーニングツアーと、日々の疲れを癒すご褒美ツアーを考案しました。

モーニングツアーでは、朝8時にカフェでゆっくりと朝食を取り、その後代々木公園でサイクリング。最後は美術館で美術鑑賞するツアーを提案しました。午前中を活用することで充実した一日を過ごすことができ、ゆったりとした時間を過ごすことで心豊かになるとプレゼンしました。

夜のご褒美ツアーは金曜日の19時にレストランでディナーを楽しみ、足湯カフェでリラックス。その後はシーシャカフェで過ごしたり、夜景を見たりを選べる贅沢な時間を過ごすツアーです。働く女性をターゲットに、一週間頑張った自分にご褒美を用意しました。

デジタルデトックスで有意義な時間を

Bチームはスローな時間を過ごすために、デジタルデトックスというコンセプトを決め2つの案を考えました。

1つめは親子で参加するツアー。
スマホの電源を切ってもらい、使い捨てカメラを配布。喫茶店や明治神宮でゆっくり過ごし、お弁当を買って食事を楽しみます。その様子はフィルムカメラで撮影し、思い出に残してもらうというツアーです。

もう1つはおひとり様専用で、金曜日の夜に読書をするためのツアーです。
アナログレコードなどを聞けるカフェで静かに読書を行い、最後にはツアー参加者同士で本についての感想などを話し合います。
デジタルを離れ、人と人の対話を楽しめるとプレゼンしました。

価格はどうする?人数は?

発表のあとには、学生から質問もありました。
特に価格設定はどのくらいが妥当なのか、という質問は両班とも気になるところ。

JR東日本の方は
「正直ピンキリです。金額に見合った内容で、お客様が納得される値段であることが大事」と回答。ただ、今回は学生考案のツアーとして打ち出す予定のため、「値段が高すぎるとお客様にどう思われるかというところはあります。価格の一つの決め方として、催行人数が半分でも成立するように決めるということがあります」とアドバイス。ツアーは必ず定員が埋まるとは限りません。定員に届かなくても、赤字が出ないようにするのは大切な考えです。

その他にも、
人数は?サイクリングやピクニックなど外で行うイベントは、雨の時はどうしたらいい?飲食の場合、席は一緒?移動の時間はどう過ごす?など細かい確認や決定すべき事項がいくつか出ていました。

学生ならではのツアー体験で付加価値を

発表後は企業の皆さまから講評もいただきました。

モーニング&ナイトツアーについては、JR東日本の方から
「時間帯で区切るという発想がなかったので面白いと思いました。レストランやカフェも、自分では踏み込みにくいところもツアーなら行きやすいというのは良い案」と感想を話されました。

デジタルデトックスの案にも、博報堂の方から
「デジタルデトックスというコンセプトは、都会に住んでいる人向けならではと思いました」という感想が。
また、「私も本が好きなので、カフェの前に本屋巡りなども良いかも」と提案もありました。

ただ共通して伝えられたのは
「大事なのは、わざわざツアーに参加したくなる付加価値を考えること」。

どのツアー案も、個々でやろうと思えばできることです。それでもツアーに参加する価値や特別感を考えてほしいと話されました。
例えば、美術館で作品の案内が聞ける、レストランではツアー限定のメニューがある、など。学生ならではの目線で、体験の提案を考えてほしいと期待を寄せました。

学生たちは今回の案を練り直し、夏休み前を目安に提案予定。秋には実際にツアーの開催を目指します。