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2024年8月23日

1年生対象の企業連携講座「実践プロジェクトa」を実施しました!

1年生対象の企業連携講座「実践プロジェクトa」をキャリア教育科目として展開いたしました。本年は5回目の実施となり、近畿日本ツーリスト様とサントリーホールディングス様の2社にご協力いただき、今年は、過去最高の36名の1年生が履修致しました。本講座は、フューチャースキルズプロジェクト研究会(FSP研究会)が構築しているプログラムであり、全国約30大学で展開されている講座です。狙いは、「大学での学び方を学ぶこと」と「主体性を引き出し、身につけること」です。14コマに2つの企業様からお題をいただき、中間、最終と2回のプレゼンテーションを含めての議論が続きます。しかも、テーマは、実際に企業様が取り組んでいる課題てあり、1年生にとっては、極めて高いハードルです。

近畿日本ツーリスト様からの課題

近畿日本ツーリスト様からの課題は、

あなたは地域活性化・課題解決を担う旅行会社の社員として、地域の本質を見極めて、地域の課題をデザインの力で解決し、その土地に元気を与え、より豊かに暮らせるような価値を生み出すことに挑戦。
今回は、伊豆諸島の個性豊かな6島の“土地の力”を引き出して『東京諸島の未来』をデザイン!
「ぜひ島に行ってみたいなぁ」「わたしもこんな風を島で感じてみたいな」と、心が動かされるような新たな企画をプレゼンせよ!です。
日本のZ世代+海外インバウンドに向けて、日本語と英語で島のキャッチコピーや島のオリジナルロゴマークをデザインし、それを活用して企業・商品・サービスと島と連携させて効果的な地域プロモーション案を企画する課題が出されました。かなり難しい課題に、グループのみんなで力を結集し、各島の斬新なデザインや企画を発表してくれました。


サントリーホールディングス様からの課題

サントリーホールディングス様からの課題は、あなたはサントリーホールディングスの社員です。2024年6月、ピープル本部から「人材育成革新プロジェクト」のメンバーとして指名されました。具体的な課題は二つあります。
①会社を取り巻く環境を踏まえ、企業人・社会人に求められるものは何なのか、結論を発表して下さい。
②それを踏まえ、これからサントリーに入社してくる社員に対する具体的な研修計画を提案してください。
今年のメンバーも、必死に取り組み、最後までやり遂げてくれました。

<学生のコメント>
◆実践に入学したら絶対に受けたいと思っていた授業でした。辛かったけれど、近畿日本ツーリスト様のお題を
いただいた頃とサントリーホールディングス様の提案を終えた今では、明らかに自分自身に変化がありました。
◆社会人と学生のギャップもかなり衝撃的なものがありました。これからの学びに変化をもたらせてくれました。

担当教員からのメッセージ

入学直後の1年生、自ら選択したとは言え、相当難しい課題に頭を悩ませながらも、真摯に前向きに諦めることなく取り組んでくれました。この授業を履修してくれた学生のその後の成長が著しいことは言うまでもありません。さらなる成長に向けてサポートを続けていきたいと思います。ご協力いただいた近畿日本ツーリスト様、サントリーホールディングス様にこの場を借りて御礼申し上げます。

2024年8月7日

柔道五輪で7大会に帯同した木村昌彦横浜国立大学副学長が、日野キャンパスで特別授業!示唆に富んだ言葉に学生が熱心に聞き入る

 「栄養学」はスポーツの分野でも大きな役割を果たしているー。そんな新しい視点も学んでもらおうと、世界トップクラスの柔道選手の育成に携わった横浜国立大学の木村昌彦副学長の特別授業が7月10日(水)、日野キャンパスで行われました。「常識を疑え」などと訴え、学生の意識改革を促した木村副学長。目から鱗の話に出席した約50人の学生は、メモを取るなど真剣な表情で聞き入っていました。

五輪で栄養指導した奈良准教授の要請に快諾して実現

 木村副学長は、92年のバルセロナから16年のリオデジャネイロまで7大会のオリンピックに、全日本女子柔道のコーチなどとして選手に帯同しました。また、アトランタ・シドニー・アテネ・北京オリンピック大会をはじめ多数の海外遠征に帯同し女子柔道の栄養指導を担当してきたキャリアを持つ食生活科学科の奈良典子准教授とは、競技のパフォーマンス向上のため体調管理の一環としての栄養の大切さを柔道の日本選手団に根付かせるため、苦楽を共にした間柄です。奈良准教授から「学生に他の領域での学びの機会を与えたいスポーツ指導論を通して是非お願いしたい」との要望を受け、木村副学長が快諾、「スポーツと健康科学a」の科目を履修する学生のための特別授業が実現しました。

パフォーマンスに影響する栄養の重要性

 木村副学長によると、柔道は他の競技より先駆的に「スポーツ科学」を導入。その中でもいち早く取り入れたのが適切な栄養指導や海外遠征での食事提供だったといいます。選手がパフォーマンスを十分に発揮するためには、運動能力に加え、あがりなどの心理的状態が大きく結果を左右すると強調。「心技体の中でも心はプラスとマイナスの振れ幅が大きい。心が萎えるとできるものもできなくなります」と指摘しました。意外だったのが、栄養と心の関係です。「栄養は心の問題に大きく関わり、海外でも日常と同様の食事ができると選手の落ち着きにつながります」と話しました。

「常識を疑え」

 また、木村副学長が野球部に所属していた中学時代は、運動中の水の摂取は禁止だったこと、漫画「巨人の星」で、主人公の星飛雄馬が着用した運動器具の「大リーグ養成ギブス」も、筋肉を付けるためには効果がないことを挙げ、「常識を疑い、思い込みを捨てることが大事」と力説しました。五輪選手がインタビューを受ける際にしっかりした言葉で受け答えをしていることについては、「自分の言葉で話すことが大切です。自分を変える時には言葉にすることが必要です。マイナスに解釈すると挫折だが、ポジティブに解釈すると次へのステップに変わることもあります。第三者に論理的に話していくとは自分が変わることにもつながります」と言葉の重要性も説きました。

日本柔道復活の立役者、井上元監督の指導法とは

 話は、木村副学長だから知っているオリンピックの裏側にも及びました。柔道男子日本代表が52年ぶりに全階級でメダル獲得という快挙を成し遂げたリオ五輪の時には、木村副学長は、柔道日本代表チームのチームリーダーを務め、立役者となった当時の井上康生監督の指導法を間近に見ていたといいます。井上元監督は「コーチングよりもマネジメントを重視し、期待しているのではなく、選手を信じている」とのスタンスだったといいます。決して、勝利至上主義ではなかったといい、「高い目標に向かっていく過程が大事。それが次につながるのです」とも。さらに、スポーツ選手が本番に臨む際に良く使う「(試合を)楽しむ」という言葉についても、うんちくを披露。「『楽しむ』と『楽(らく)する』は違う。楽しむは、自分が決めた高い目標に向かっていくために試行錯誤すること。ここが充実しているのが楽しいことなのです」と示唆に富んだ言葉を学生にかけました。

真剣だと知恵がでる

 最後に、試合中に膝に大けがをした柔道女子の新谷翠選手がその後、世界選手権で金メダルを獲得したエピソードを紹介し、「絶望からの脱出だった」と振り返りました。「モチベーションを高めるのに大事なことはビジョン、ミッション、パッション、そして、アクションです」と語り、今後の人生において、学生にも奮起を促しました。

 そして、授業の最後に、「真剣だと知恵が出る 中途半端だと愚痴が出る いい加減だと言い訳ばかり」という言葉を送りました。戦国武将の武田信玄が残した木村副学長の「一番好きな言葉」だそうです。

奈良典子准教授の話

 「スポーツと健康科学」の科目は、健康運動実践指導者の資格を目指す授業科目ですが、資格を取るための知識習得にとどまらず、スポーツ指導論を通して広い視野で物事を見てほしいと思い、木村副学長の特別授業を開催しました。学生には受け身ではなく、自分の考えで行動できる人になってほしい。知識を習得してわかっただけでなく、1回やってみて、さらにいろんなシーンで使えるような、「わかる」、「できる」、「使える」人になってほしい。学生生活にも慣れてくる2年以降は、入学当初よりもモチベーションを維持するのが難しい学生も散見されます。そんな時期だからこそ、スポーツ現場の指導経験もあり、さまざまな角度から問いかけてくださる木村副学長の講話は、間違いなく学生の気持ちを高揚させてくださると思っていました。今回はスケジュールの関係で2年生を中心としましたが、学生らの真剣な受講姿勢に、より多くの学生らに刺激を与えていければと改めて感じました。木村副学長には感謝の気持ちでいっぱいです。心より感謝申し上げます。

2024年8月7日

高速道路で使用した横断幕をアップサイクルしよう!中日本高速道路株式会社とのコラボ授業が行われました。 

人間社会学部の「演習Ⅱ・Iクラス」(担当:ビジネス社会学科 篠﨑香織教授)で中日本高速道路株式会社(以下、NEXCO中日本)とのコラボ授業が行われました。5月から準備を始め、様々な学びを通して、工事の情報を知らせる役割を果たしこれまでは廃棄されていた横断幕の別の利用を考える、アップサイクル案を検討しました。そして、7月3日に八王子支社の皆様の前で最終プレゼンテーションに臨みました。

高速道路の安全を守るNEXCO中日本

NEXCO中日本は、関東甲信から東海、北陸エリア(東京都、神奈川県、富山県、石川県、福井県、山梨県、長野県、岐阜県、静岡県、愛知県、三重県、滋賀県)の高速道路の管理をおこなっています。

大切な仕事のひとつが高速道路の工事です。工事は渋滞などの原因にもなるためドライバーにとって大切な情報。電光掲示板に場所や期間などの情報が表示されますが、電光掲示版に載る情報は、事故や渋滞、天候状況などもあり、工事の情報だけを表示し続けることは難しいそうです。そのために用意されているのが横断幕です。本線を横断する跨道橋に横断幕を設置して、今後の工事の予定やこの先で工事があることなどを知らせます。

そこで学生に出された課題は「ターポリン樹脂の特性を活かした横断幕のアップサイクル案」を考えること。NEXCO中日本の事業内容を踏まえて、社会的課題の解決や地域貢献につながるアイデアにするようにという指示も担当教員から出ました。

当初はグループでアイデアを出して発表する予定になっていました。しかし、最初に個人でアイデア出しを始めたところ、面白いアイデアがいくつも出てきたことから、グループごとに意見を集約するのはやめて、最後まで個人で取り組むという方向転換をしました。

NEXCO中日本が使用している横断幕の素材は、ターポリンと反射ターポリンです。前者はポリエステル製の布を軟質の合成樹脂で挟んだビニール素材の生地で、防水性、耐久性に優れ、色褪せしにくいというという特徴があります。後者は、ターポリンの表面に反射材を加工しているのでやや厚みがあります。車のヘッドライトや街灯の光を反射するのが特徴で、夜間でもはっきりと文字が見えるため、照明が少ない中央道などで使用されています。

学生は、それぞれの特性を生かしたアイデアを検討しました。

防犯グッズにアップサイクル

この授業では、中間発表のときから挙手制を採っていて、準備ができた学生から次々に発表を行いました。

 

多くの学生から出たのは、ランドセルカバーにするアイデアです。

反射ターポリン特性をうまく使った案で、地域の交通安全啓発も行っているNEXCO中日本の活動と関連性があります。実際にターポリン樹脂を購入して自作してきたという学生もいました。すぐ作れるように型紙を持参し、交通安全教室などの中でワークショップをすることも提案しました。

自転車に関連するグッズのアイデアもたくさん出ました。

防水性に着目した学生は、自転車やバイクの保護カバーを提案しました。防犯用のかごカバーを提案した学生は新聞記事を示して、「自分の居住地域をはじめ、同じ日に複数の地域でひったくりが頻発しており、かごカバーは警察も推奨しています」と地域の防犯に貢献できる点を強調しました。そのほか、自転車の鍵につけるキーホルダーや、自転車の前後に貼れる反射シールを提案した学生もいました。シールは杖や帽子などにも貼れるため、夜道の安全につながると、汎用性の高さをアピールしました。

日常品として使えるものを

日常品として使えるものを提案した学生から出てきたアイデアは、パソコンカバーとブックケースです。「バッグやコインケースなどのアップサイクル品はすでに出ていますが、若者向けは少ない印象」、「雨の日に濡れて欲しくないものを守りたい」というのが考案理由でした。

ビニール傘が年間8000万本も捨てられていることを問題視し、世界に一つしかないものであるならば、みんなが大切にするのではと傘を提案した学生もいました。このアイデアは、丈夫で遮光性に優れたターポリン樹脂の特性を活用したものです。

幼稚園や小学校など砂場の雨除けにしたらどうかという地域貢献につながるアイデアも出ました。さらに、植木鉢の代わりになるプランターカバーやシートベルトカバーなどの制作を、SA(サービスエリア)やPA(パーキングエリア)で行い、自分たちで作ることで、NEXCO中日本の取り組みを知ってもらうのはどうかという企画も出てきました。

ユニークな案では、ライブで使える「ファンサービスうちわ」がありました。

うちわに文字を貼り付け「推し」にアピールするもので、光に反射する特性を活かすことができます。この発表をした学生は、「NEXCO中日本がこれまで関わりの薄かったエンターテイメント業界とつながることで、新しい可能性が拓けるのでは」と提案しました。

 

これから実物化を検討!

他にも、レジャーシートやフリスビー、交通安全のお守り、避難所に使えるカーテン状の仕切りなど多くの案が出てきました。

全員の発表が終わると、八王子支社 総務企画部の高取部長と宮部課長から総評をいただきました。

高取様からは、これまで学生が積み重ねてきた準備への労いと多様なアイデアに対するお褒めの言葉をいただきました。これまで社内でも色々なアイデアを検討してきたが、ファンサービスのうちわのような発想はなかなかなく、大変面白いとのことでした。

宮部様からは、「色々な情報を調べて、検討してくれてありがとうございました。アップサイクルについてしっかり調べ、素材の特徴を活かしたものを考えてくれました。社員に社用のノートパソコンを貸与していますが、併せてパソコンカバーを作って配るのもいいかもと思いました」という感想をいただきました。「安全を何よりも優先するという、NEXCO中日本の理念を大事にしてくれて、交通安全に関連付けたものが多かったのも嬉しかったです」とも話されました。

発表中に学生は、①ターポリン樹脂の特性を生かしたアイデアか、②NEXCO中日本社の活動とアイデアにつながりがみえるか、③実現可能か、この3点についてお互いのアイデアを評価しており、最後にどのアイデアを実物化すると良いかの投票を行いました。学生から高評価を得たアイデアとNEXCO中日本の皆さんから好評だったアイデアが実物化される予定です。最後にNEXCO中日本の中村様から、NEXCO中日本の企画で進めているワークショップの案内があり、ぜひ遊びに来てくださいとお声がけをいただきました。

一つの役割を果たしたものに、新たな価値を与えることでまた社会に役立てていくという循環を、自分たちの手で実現していくという得難い機会に恵まれ、学生も担当教員も非常に多くのことを学ぶことができました。

NEXCO中日本八王子支社の皆さま、ありがとうございました。

なお、2024年9月8日(土)に本学日野キャンパスで開催予定の“JISSENマルシェ”の企業・自治体ブースにて、NEXCO中日本社によるワークショップがございます。上記学生のアイデアも製作する企画になっております。ぜひ、おいでください。

詳細はこちらをご覧ください。
https://www.jissen.ac.jp/125th/marche.html

2024年8月1日

渋谷にホテルを作るなら?「実践キャリアプランニング」で湘南レーベルとのコラボ授業を行われ学生たちがプレゼンテーションを体験しました。 

大学共通教育科目「実践キャリアプランニング」(担当:髙橋裕樹特任教授)で、湘南レーベル株式会社との特別コラボが行われました。本学のある渋谷に新たにホテルを建てるならどんなところがいいのか。学生たちはそれぞれの顧客像を作成し、リサーチ。6月28日の授業では、最終プレゼンテーションに臨みました。

1週間が8日あったらホテルでどう過ごす?

湘南レーベルは、湘南のビーチカルチャーをベースにホテルやカフェ、シェアハウスなどを展開しています。
松山竜造氏は有名ホテルのレストラン勤務などを経て2020年に入社。現在はホテル事業部長として活躍されています。「8HOTEL CHIGASAKIの立ち上げに関わり、開業時は支配人も兼任されました。

8HOTELのコンセプトは、「1週間が8日あったとするならば、人はどのようなインスピレーションを抱くのだろう」というもの。湘南というビーチカルチャーと、ホテルで過ごす非日常を織り交ぜて作られています。
コンセプトに沿った体験価値として、8HOTELが提供しているもののうち特徴と言えるのがサウナとプール。サウナ好きの男性一人客にも多く利用されています。
また、毎週日曜にはヨガイベントも開催しており、プールでは水に浮かべたボードの上で行うサップヨガが若い女性やカップルから人気を集めています。

ペルソナに合ったサービスを考えよう!

コラボ授業は3週間にわたって行われました。
1回目では湘南レーベルのホテル事業について学び、どのようにホテル探しをしているかグループワーク。
2回目ではマーケティングのやり方を習い、最終課題に挑みます。
マーケティングでは商品やサービスを作る前に「ペルソナ」と呼ばれる理想の顧客像を立ち上げます。その顧客のニーズに合致したサービスなどを考え、企画を考えます。

松山氏から出された課題は「渋谷に8HOTELを作るなら?」。
「日帰り観光客」「ビジネス利用一人客」「記念日利用カップル客」の3つのターゲットが提示。その3組が楽しめる8HOTELを渋谷に作るなら、どんな体験価値を提供するかを考えます。
渋谷のどこに作る?どんな施設やサービスが必要?などディスカッションを通してグループで資料を作成。
3回目の授業で発表に臨みました。

渋谷のホテルでどんな体験価値を提供するか

学生は17グループに分かれ、発表を行いました。
それぞれのグループからさまざまな企画が発表されました。

場所は裏渋や代々木公園付近など、渋谷といえども静かで緑が多い地域が人気。
代官山や広尾などの高級住宅街の落ち着いた地域を提案するグループもありました。
また、本学のある六本木通り付近も「アクセスも良く静かなので良いと考えました」とするグループも。
逆に表参道やパルコ付近など渋谷ならではのアクセスと賑わいのある付近を選ぶグループもありました。

ほとんどのグループに共通していた施設はサウナです。
サウナは8HOTELも特徴のひとつでもあるため外せないと考えたグループが多かったようでした。
屋上にリラクゼーションスペースやプールを備え、非日常の空間を提供するとしたグループもありました。

ペルソナで違いが出たのは、日帰り観光客の設定です。
羽を伸ばしに来たバリキャリ女子、外国人男性、地方からプチ贅沢をしにきた女子大生、などなど。
それぞれのグループで想定されたターゲットに沿ってサービスもさまざまなものが提案されました。
例えば外国人向けに和室を完備。「渋谷で和室は珍しいのでは」と提案されました。
都心にいながら非日常が味わえるよう岩盤浴や足湯を提案したグループも。
また交通の良さを生かし、タクシーの手配やお迎えサービスを出したグループもありました。

イベントではヨガなど運動だけではなく、陶芸体験や和菓子作成体験なども。
近くのカフェなど飲食店と連携し無料券を付けるという案や、スマホをしまえるタイムロックボックスを完備しデジタルデトックスを促す案も。
これには松山氏も「なかなかない発想」と感嘆されました。

これからのホテルを考えてみよう

松山氏も「いろんな視点があっておもしろかったです。社内でもこういう考えはなかったという感想もたくさんありました」とコメントされました。「行きたいなと思えるホテルがいくつもありました」と話し、優秀グループを発表しました。

表彰されたのは、明治神宮外苑に隣接したエリアに作り、自然を感じられるホテルを提案したグループ。
屋上には芝生を敷いて自然との一体感を目指しました。
松山氏からは「課題解決感があり、プレゼンも分かりやすくまとまりがありました」と授賞理由が伝えられました。グループの学生からも「資料作りも工夫したので受賞出来て嬉しい」と喜びの声が聞かれました。

「これをきっかけにホテルというものを身近に感じてもらえたかなと思います」と授業の最後に松山氏は語り掛けました。
「ホテルも旅行でしか行かないものというイメージから、日常使いのできるものに変化しています。泊まるだけのホテルはこれから淘汰されていくと思っています。ホテルが何を残せるか、皆さんもホテルに遊びに来て考えてみてほしいと思います」と話し、「皆さんからいただくものが多い機会でした」と授業を締めくくられました。

2024年7月26日

ディズニーのファンをもっと増やそう!「キャリアデザイン」の授業でオリエンタルランドとの特別コラボが始まりました。 

3年生対象の大学共通教育科目「キャリアデザイン」(担当:文学部国文学科 深澤晶久教授)において、6月11日に東京ディズニーリゾートの経営・運営を行う株式会社オリエンタルランド(以下、オリエンタルランド)のマーケティング開発部長である横山政司氏をお迎えして、特別コラボ授業が行われました。学生たちは、憧れのオリエンタルランドの社員となった気持ちで、実際に企業が現在進行形で考えているリアルな課題解決に挑みます。

海を埋め立てて造られた「東洋一のレジャーランド」

はじめに横山氏は「ディズニーリゾートは世界にいくつあるでしょうか」と学生たちに質問しました。「5つ」「7つ」と答えが出る中で、正解は6つ。
そのうち東京ディズニーランドは3番目に誕生しました。アメリカの国外に初めて出来たディズニーリゾートです。

オリエンタルランドは1960年に設立しました。社名には「東洋一のレジャーランドを作る」という思いが込められています。
創業者がアメリカに視察に行った際、現地のディズニーランドに衝撃を受け「日本の子どもたちにもぜひ体験させたい!」と夢を抱いたところから始まりました。
現在東京ディズニーリゾートのある浦安市は、当時は漁師町。
一帯を埋め立てるため、漁師と粘り強く交渉が行われました。漁業権を放棄してもらうとき、創業者たちは「絶対にあなたたちの海は無駄にはしない」と漁師たちに素晴らしいテーマパークにすることを誓ったそうです。

『本物』にこだわりハピネスを提供する

1964年から埋め立て工事は始まり、1970年に完了。工事が始まって、東京ディズニーランドが開業したのは1983年。
「皆さんが生きてきた時間より長い年月をかけて東京ディズニーランドはできたんです」と横山氏は言います。1981年の当時の社長は「どれだけ時間と費用がかかってもいい」「作る以上はアメリカにあるディズニーランドに勝るものを」という信念があったと横山氏は語りました。

オリエンタルランドの企業使命は「夢、感動、喜び、やすらぎを提供する」。
横山氏は「東京ディズニーリゾートでは、お客様にハピネスを提供することが企業使命の実現に繋がります」と言います。
テーマパークのビジネスモデルは利益を投資に回すスタイル。
利益をさらにアトラクションやイベントなどに投資し、「ハピネスという新たな価値を提供することでまた売上を上げる」というモデルだと説明しました。

どうしたら人口減少しても利益を出せる?

ここで問題になるのが、日本の人口減少です。
テーマパークはお客様に遊びに来てもらわなければいけません。「どうしたら人口が減っても利益を産み、それを投資に循環させてハピネスを提供し続けられるでしょうか」と横山氏は学生たちに問い掛けました。

学生は班でディスカッションをしてそれぞれ案を考えます。
「海外からの集客を増やす」「遠方に住んでいる人へアプローチする」「AIの導入」などさまざまな答えが出ました。
横山氏は「どれも間違いではないです」と言い、他にリピート回数を増やしたり、離脱者を減らしたりという観点を話しました。
そして「これらを実現させるためには、ファンを増やすことが大事です」と言います。

ディズニーファンクラブ会員を増やす施策を考えよう!

横山氏は「東京ディズニーリゾートにファンクラブがあるのを知っていますか?」と質問。
手を挙げたのは数人でした。オフィシャルパークファンクラブである「ファンダフル・ディズニー」は2004年から始まり、現在会員数は約10万人。メンバー限定のグッズがもらえたり、ファンイベントなどに参加出来たりとさまざまな特典がついています。
ただ、若者の会員は多くありません。

そこで、今回の課題は「Z世代のファンダフル・ディズニー会員を獲得する施策を提案する」こと。
「本当にこれは、私の部署で大事な課題になっています」と横山氏。
学生たちは「マーケティング開発部に配属された新入社員となって」課題解決に挑みます。提案資料は、Z世代に会員が少ない原因について仮説をたて、成功すると思える根拠を示す、という実際の企業さながらのものを作成します。

横山氏が「ファンダフル・ディズニーは今年20周年。スペシャル企画をやりたいと考えているので、良い施策があったら採用されるかもしれません」と話すと、学生たちもやる気充分でさっそくグループで話し合っていました。
グループワークを経て約1か月後、最終発表に臨みます。

2024年7月26日

Z世代の会員を増やすには?「キャリアデザイン」の授業でオリエンタルランドとの特別コラボが行われ学生たちはプレゼンテーションに臨みました。

3年生対象の大学共通教育科目「キャリアデザイン」(担当:文学部国文学科 深澤晶久教授)の授業で、7月2日に株式会社オリエンタルランドの横山政司氏をお迎えしたコラボセッションが行われました。マーケティング開発部長の横山氏の部下になり、学生たちは課題に挑戦。9班に分かれグループワークを行い、若者がディズニー公式ファンクラブ「ファンダフル・ディズニー」の会員になる施策を約1か月かけて考えます。この日の最終プレゼンテーションで、想いのこもった提案が発表されました。

若者はどうしてファンクラブに入る?

この日はファンダフル・ディズニー担当のマネージャーである東氏も来校。まさに上司に提案するプレゼンテーションの状況となり緊張感も高まりました。

最初の発表は1班から。
Z世代がよく見るSNSにはファンダフル・ディズニーの情報が少なく、フィルターバブル現象により、積極的に検索しない限り情報を得られないことを指摘。
そこでZ世代が魅力に感じる特典を付けることを提案しました。予約確保できる権利のほか、会員限定のイベントやパーティを開催。その様子をSNSへ投稿することで、拡散も促します。
横山氏からは「フィルターバブルへの着眼点は良いですね」とコメントがありました。

次の8班は、なぜファンクラブに入るのかを調査。
先行特典やライブの当選確率が上がるからという人が多く、チケット争いには手段をいとわないという実態をつかみました。
そこで、ディズニー以外のアイドルやアーティストなど多くのファンを持つ「推し」のショーを、ファンダフル・ディズニー会員限定で行うことを提案しました。

キャスト体験や限定フードで訴求する

2班は体験価値を重視。
会員限定でパーク内外の清掃を担当するカストーディアルキャスト体験を考えました。SNSのショート動画などで宣伝し、口コミ増加を見込みます。

横山氏はターゲットがSNSでどう広告を見つけるか質問。
学生たちは「若者たちは、年1回はディズニーに行きたいと思っている。行こうと思う時期に情報を検索するため、そのときに見ると思います」と回答しました。

9班は季節ごとの限定フードに着目し、人気のあったメニューを会員限定で復刻することを提案しました。

7班は、Z世代は映え思考であることに注目して、プロのカメラマンに写真を撮ってもらえるディズニーフォトサービスを挙げました。
さらに会報にランダムトレーディングカードを付けることを提案。
トレーディングカードは若者に人気であり、スマホケースに挟むことが流行っていることを伝えました。

次の4班はパーク内で使う東京ディズニーリゾート・アプリに広告を展開することを提案しました。
待ち時間などにアプリを開くことで目に付き認知度向上を目指します。
また、会員が友人を紹介するとアトラクションの優待券をもらえる案を出しました。

横山氏が「東京ディズニーリゾート・アプリはパークで楽しむためのアプリなので、なかなか広告は難しい」と内情を伝えるなど、本物さながらのフィードバックもありました。

グッズのサブスクや限定イベントで惹き付ける!

3班は若者に人気のカチューシャにクローズアップ。
会員限定のサブスクリプション制を導入し、入園したときに借りられるシステムを提案しました。
「問題になっているグッズの転売対策にもなる」と強調。さらにファンダフル・ディズニー専用アプリを立ち上げ、ファン同士の交流の場を作る案を出しました。

横山氏からも「サブスクは面白いですね」と感嘆の声が聞かれました。

5班は若い女性に人気のアフタヌーンティーを会員限定で行うことをプレゼンしました。
SNSで「#アフタヌーンティー」というタグの投稿が多いことを説明し、ディズニーキャラクターをイメージしたメニューを出すことを提案。
SNSに投稿してもらうことで拡散に期待するとしました。

最後は6班です。
若者がパークに行く目的をアンケート調査。
アトラクションに乗ることが目的の人が多いことを説明し、アトラクションの優待券の販売を提案しました。

優秀賞には表彰も

全班の発表が終わると、横山氏と東氏が話し合い、2チームの受賞を決定されました。

準優勝は2班でした。
「知名度を上げる施策が良かった」と横山氏からコメントがありました。
そして優秀賞は7班。
学生からは「最初は全く違う案を考えていてうまくいかず不安でしたが、何が欲しいか考えてトレーディングカードで全員一致して頑張れた。結果につながってよかったです」と感想がありました。
横山氏からも「トレーディングカードは、なかなか自分たちからは出ない切り口。このまま採用とはいかないが、確かに可能性はあると思いました」と評価を頂きました。

2チームには商品としてディズニーのグッズをいただき、学生たちからは笑顔がこぼれていました。

企画を考えるにはストーリーが大切

授業の最後には、東氏、横山氏から総評も頂きました。

東氏からは「いくつか私たちが検討している案もあり、認知率などの数字なども私たちの認識と合っていました」と評価が。
その上で、広告費に見合うか、より効果的にどうやってロイヤリティにつなげるかという「労力対効果」の視点は少し足りなかったと指摘。
また、体験サービスが多く提案されたことに触れ、「遠方にも住む会員に体験を届けるというのは難しいんです。グッズは全員に届けられる」と難しさを伝えました。
「さらに施策を考えるのは楽しいですが、それをやる必然性やストーリーが、仕事の上で重要です」と企画を考える根底の考えを伝えました。
横山氏も「ストーリーをつなげること、顧客の立場に徹底的に立つことが、なるほどという説得力につながります」と話しました。

全班に共通していた調査結果として、若者のファンダフル・ディズニーの知名度が低いこと、入会しようと思うまでの魅力が少ないことが挙げられていました。
「ここまで認知度が低い、魅力がないと言われ続けることもなかなかない」と笑いを交えながら横山氏は言います。
「まだまだ課題があるんだなと分かりました」と話し、「みなさんお疲れさまでした」と学生の頑張りをねぎらいました。

担当教員からのメッセージ

今年も、学生にとって極めて関心の高いオリエンタルランド社との連携授業が行われました。本年度は、昨年以上にリアルなテーマを出題いただき、学生にとってのハードルは相当上がったものの、深く企業や、仕事のことを考察する時間となりました。

横山様には、中間段階でのフィードバックを含め、プレゼンテーション当日まで、ご丁寧に、しかも社会人レベルでのアドバイスをいただき、学生にとっては、仕事の厳しさも学ばせていただきました。この場を借りて厚く御礼申し上げます。就職活動を目前に控えた学生にとって、働くこととは、仕事とは、そして企業とは、一人一人が自らと向き合い、どこまで深く考えられるかが重要であることに気づいて貰えればと考えています。横山様、東様には、改めて感謝申し上げます。

2024年7月16日

新しいSNSを広めるには?「実践キャリアプランニング」で広告マーケティングを実践する体験授業が行われました。 

大学共通教育科目の「実践キャリアプランニング」(担当:髙橋裕樹特任教授)で、元株式会社電通の鈴木宣彦氏をお迎えしての広告ビジネスを体験する授業が行われました。商品やサービスを売るために、リサーチしたり広告チラシを考えたり。実際にワークを通して体験することで、マーケティングとはどんな仕事かを実践的に学ぶ機会になりました。

広告代理店は「なんでもやる」会社

鈴木氏は大学卒業後、新卒で電通に入社しました。
広告代理店とは何をする会社かと言えば、CMを製作したり広告を打って宣伝したり、ということを思い浮かべますが、それだけにとどまりません。
YouTubeの動画作成やグッズの製作まで、「依頼した企業の成長や課題解決のためならなんでもやる」と言います。
鈴木氏もまた、多くの企業のCMや中吊り広告の作成から、イベントなど幅広い仕事に携わってきました。コピー作成やCM製作をするクリエイティブ部門を経て、マーケティング、プロデュース部門などさまざまな仕事を経験しました。

「誰かの作ったメディアや仕組みを売るのではなく、自分が欲しいサービスを作って世の中を変えたい」と思うようになり、2022年に起業。
株式会社NOBU Planningを立ち上げました。グルメ動画SNS「Popdish」を開発・リリースしています。

Z世代向けの新しいグルメSNSを立ち上げ

授業は3週にわたって行われ、最初の授業では、広告コピーの作り方の基本的な考え方を学びました。
2回目からはグループワークです。
2回目はPopdishのチラシを作成し、3回目は改善点についてのプレゼンテーションを行いました。

PopdishはZ世代を中心とした若年層向けのグルメ動画SNSです。
Popdishのキャッチコピーは『「今食べたい」が、すぐに見つかる。』。
動画と地図が一緒になっており、行きたい飲食店を発見でき予約も可能なSNSです。従来のグルメサイトでは写真の投稿などはできるものの、「写真を盛る」ことによる実際のお店とのギャップに対する不信感もありました。
Popdishでは動画で閲覧できることで、実際の店内の様子や食事を想像しやすいというメリットがあります。
動画の一つ一つに正確な地図情報や飲食店情報が紐づいているため、予約もワンクリックで進めるのも特徴。さらに動画を投稿することで、ギフト券などに交換できるオリジナルポイントもたまります。

Popdishの改善点をプレゼン!

3回目のプレゼンテーションでは、競合他社のグルメアプリを利用している人へのヒアリングを行います。
実際にPopdishを使ってもらい、使い心地を確認。それをもとに改善案を作成しました。
学生は17チームに分かれ、パワーポイントで資料を作成。4分間のプレゼンテーションを行いました。

SNSでグルメ情報を得ている人からは流行りの店が分かるというメリットを発表したチームは、Popdishはまだ動画投稿の数が少ないためインフルエンサーなどに投稿してもらい、投稿数を増やすことを提案。
グルメ専用サイトを利用している人を調査したチームは、PopdishはInstagramやTiktokなどのZ世代向けSNSに慣れていない人は使いづらいという意見をピックアップしました。
そこで、検索機能をもっと充実させ、写真も投稿できるようにするなどを提案しました。

地図アプリでお店を探す人を調査した意見では、目的地近くの飲食店が分かるメリットを挙げ、Popdishの地図でも飲食店だけでなくランドマークやチェーン店が検索できるようにすると良いなどの意見がでました。
その他、17チームそれぞれの視点で、Popdishの良さ、改善点などをプレゼンしました。

マーケティングを実践的に学んだ授業

全チームの発表が終わると、鈴木氏による講評が行われました。
鈴木氏は「全体的にしっかりして結果をまとめて提案していたと思います」と学生たちの頑張りをねぎらいました。
全チームのなかから、特に素晴らしかった3つのチームには表彰もありました。評価ポイントは内容だけでなく、パワーポイントの画面の見やすさや、アプリへの使い込みについても言及。
1位になったチームには「提案してもらった追加機能は、まさに社内で改修しようとしていたポイントをしっかり網羅していた」とリサーチ力を絶賛されました。

「広告業界で実際にやっていることを皆さんにやってもらいました」と鈴木氏。
「広告の考え方や、ターゲティングやメッセージなど、さわりの部分だけですが、形はつかめたかと思います」と話しました。
今回のプレゼンテーションは、「人から聞いたことや調べたことを、自分のなかで咀嚼して分かりやすく伝える訓練になったと思います」と話しました。
学生にとっても実践的にマーケティングを学ぶ機会となりました。

2024年4月25日

ライトノベルを書こう!「ライティングゼミB」の授業で学生が執筆した作品の夕霧文庫への掲載が実現しました。

「ライティングゼミB」(担当:短期大学部日本語コミュニケーション学科 髙瀬真理子教授)の授業で、電子書籍出版社である夕霧文庫の協力のもと、実際にライトノベルを書く特別コラボが実現しました。優秀な作品は実際に夕霧文庫から出版された「女子大生、授業でライトノベルを書く。①」に掲載しております。今回は髙瀬教授と夕霧文庫の藤原氏に授業の目的や背景、そして学生たちに実際に作品を執筆した感想をインタビューしました。

髙瀬教授「ライトノベルは自由度が高い。大成功の授業」

―この授業が行われた背景を教えてください。

「私の近年の研究対象のひとつが、ライトノベルの持つ物語の技法とその時代性であり、最近のライトノベルの傾向などを分析した論文を書いていました。その際、ライトノベルはかなり表現の自由度が高く、恋愛はもちろん、現代社会の抱える問題、ジェンダーなどについても触れていることが分かりました。そこで学生たちに物語を書かせてみようと考えたんです。本学の卒業生で教え子だった藤原さんが、ライトノベルのレーベルを立ち上げていることは知っていたので特別講師として依頼しました。当初藤原さんは講義だけの予定でしたが、学生たちの作品に毎週目を通してコメントを入れて返してくださいました。物語の元となるプロットづくりを経て、学生それぞれのペースで執筆していきました」

―どのようなことに気を付けて授業を進めましたか?

「学生たちそれぞれが書きたいことを書いてもらえないと意味がないので、世界観や個性を伸ばすことを意識してアドバイスしました。どうしたらもっと良くなるか、牧羊犬のように見守りつつ方向を示す役目です。すると本人も隠している部分がぽろっと作品に表れてくる。力がある作品がいくつも出てきて、夕霧文庫への掲載まで話が進みました。全員が作品を書き上げられたことも大事な成果だと思います。本授業は今年が初めてだったのですが、大成功でした。来年も同じように夕霧文庫さんにご協力いただきたいと考えています」

夕霧文庫・藤原氏「自分で気付いていない魅力がまだまだある」

―自己紹介をお願いします。

「夕霧文庫の藤原です。実践女子大学を卒業後、ライトノベル作家として活躍していましたが、約10年前に電子書籍出版社の夕霧文庫を立ち上げました。作家として活動していた時はどうしても恋愛モノを要求されることが多かったのですが、私はもっと違うことを表現したかったんです。そこで自由に書ける場所を自分で作ってしまおうと」

―この授業に参加された感想を教えてください。

「授業前に、髙瀬先生が分析されたライトノベルのテンプレートを拝見し、この形を使えば実践女子の学生たちなら良い物語を書けるだろうと確信しました。実際、学生さんたちの作品を拝見した初回か2回目で夕霧文庫に掲載できる、と思いました。業界用語で『化ける』というのですが、あっという間に良くなっていきました」

―学生たちの作品はいかがでしたか?

「皆さん優秀で、新鮮で斬新なアイディアが沢山ありました。すごい勢いで技術も吸収していって、育っていく過程を見られたことがとても嬉しかったです。学生たちは、これまで表現する機会がなかっただけなんじゃないかなと。自分自身も気付いていない得意なことや魅力が、まだまだありそうだと感じました。とにかく学生たちに書く楽しさを知って欲しいと考えていたので、これからも表現していってもらえればと思います」

こんな授業他にない!

続いて授業を受けた実践女子大学短期大学部2年の鈴木さんと大津さんに話を伺いました。2人の作品は実際に夕霧文庫から出版されるライトノベルに掲載されております。

―なぜこの授業を選択したのですか?

鈴木「授業の概要欄に『ライトノベルを書こう!』と書いてあって、こんな授業は他にないんじゃないかと思い、選択しました」

大津「私はもともと髙瀬先生が担任のクラスだったので、先生の授業に興味を持ちました」

―それまで物語を書いたことはありましたか?ライトノベルは読んでいましたか?

鈴木「まったく書いたことはなく、今回初めてです。ライトノベルはいくつか読んではいました」

大津「ライトノベルはあまり読みませんが小説はよく読んでいます。物語は、中学生のときにパソコンに慣れる目的で、1本だけ短篇を書いたことがありました。とはいえ誰にも見せていませんし、それ以来書いていませんでした」

作品は夕霧文庫に掲載!表現する力がついた

―実際に作品を書いた感想を教えてください。

大津「始めは何も浮かびませんでした。書いて気づいたんですが、私はファンタジーが舞台だと書けなくて。先生方のアドバイスなどから、自分の日常をヒントにしました。自分が主人公になったつもりで書いていくと先を知りたいと思うようになり、書くのが楽しくなりました」

鈴木「私は逆にファンタジーを書くことが楽しかったです。ただ、プロット通りに書くのが難しかったです。書くのは苦ではなかったので、どんどん量が増えてしまって。物語の構成や何をテーマにするか悩みました。書いているうちに『家族』についての話だと気付いてきました」

―夕霧文庫に掲載されると聞いたときはどう感じましたか?また今回の授業で自身にどんな力が付いたと思いますか?

大津「まさか授業からこんなことになるとは。最初は書き上げられると思っていなかったので、まずは完成したことに満足しています。頑張った証ですし、作品を作る楽しさを知りました。また、何度も読み返して推敲することで、客観的に文章を読む力も付いたと思います。私は来年度から新社会人となり、校閲の仕事に就くので、今後に活かせると思っています」

鈴木「私も書き上げられた達成感と自信を得られました。自分が何を伝えたいのか考え、自分の思いを表現することが出来て良かったです。読んで面白いと思ってもらえたら、嬉しいです」

2024年4月8日

ポイ捨てをなくすためには?渋谷区と渋谷モディと連携し啓発動画を作成するJミッションの最終発表会が行われました。

本学、キャリアサポート部の低学年向けキャリア支援プログラム「Jミッション」で、渋谷区と渋谷モディとの特別連携企画が開催されました。学生たちは渋谷区のポイ捨てをなくすための啓発動画作成に挑戦。2月27日には、1ヵ月の成果を発表しました。

実際の企業からの「ミッション」に挑戦

「Jミッション」とは大学1・2年生が対象のプロジェクトです。企業からのミッション(課題)について、学生だけで構成されたチームで約1ヶ月間グループワークを行い、最終日に成果発表を行うというもの。有志で参加した学生10名は学年も学部もバラバラです。3つのグループに分かれ、それぞれディスカッションを重ねてきました。この日はいよいよ最終発表会が行われました。

今回ご協力いただいたのは、渋谷区と渋谷モディの皆さんです。1月31日のキックオフミーティング時に、学生たちに出された課題は、『渋谷の街のポイ捨てを解決する動画を作成すること』。15秒と30秒の動画をそれぞれ作成しました。中間発表を経て、さらに内容をブラッシュアップしました。優秀作品は、渋谷モディの店頭と館内のデジタルサイネージに実際に流されるということで、学生たちは渾身の作品を作成して最終発表に臨みました。

きれいな渋谷は「当たり前じゃない」

1グループは、清掃員の方にインタビューをし、「その背中は当たり前じゃない」と啓発する動画を作成しました。
ターゲットは渋谷モディの前を通る大学生たちで、ごみ問題に関心を持ってもらうため毎日清掃している人たちがいる事実を伝えました。
「掃除をしている人達の努力に気付いた」と、街中で自分たちが実際に見たことを主軸に動画を作成し、きれいな渋谷を作る人を見える化。気持ちのいい毎日を迎えられることは誰かの努力に支えられている、当たり前のことではないと伝えることで、ポイ捨てをなくすことに繋げようと考えました。

あなたの力できれいな渋谷を

2グループも渋谷にくる若者がターゲット。
ポイ捨てされたごみや、ごみが溢れているごみ箱などを映し、「きれいな渋谷にしたくない?」「きれいな渋谷をみんなで創ろう」とメッセージを伝えました。見て見ぬ振りをしたくなるようなポイ捨ての現状をリアルに伝え、このままの渋谷ではいけないと思ってもらえるよう共感性の高いフレーズを使って訴えることにこだわりました。

文化の違いを越えてポイ捨てをなくすには

3グループは、外国人観光客をターゲットに据えました。
文化の違いにより、ポイ捨てが当たり前だったり、ごみが気にならなかったりする外国人観光客にどう訴えるかを考えました。そこで粘土で作った人形を動かすクレイアニメで、ポイ捨てに悲しむハチ公を表現。観光客に人気のあるハチ公の目線にすることで関心を持ってもらおうと考えました。
またクレイアニメは可愛らしく見やすいことから、観光客だけでなく幅広い世代に興味を抱いてもらうことも目的に作成しました。

学生たちの成長が見えた発表

すべての発表が終わり、審査員の方々が別室で真剣に話し合い、今回の優秀作が決定されました。優秀賞は3グループが受賞しました。
渋谷区、渋谷モディの方から総評もいただきました。『企業側』の立場から表現の仕方などアドバイスを頂いた一方、中間発表を受けての伸びしろやストーリー性など、どのグループも好評いただきました。
そして、最後に「春休みの貴重な時間を割いていただいてありがとうございました。1ヵ月間という短い期間でしたが、皆さんの成長を感じられ楽しい機会でした」と学生たちの頑張りをねぎらいました。

参加学生は、1ヶ月間という短い期間の中で、グループワークを重ね、『啓発動画』というそれぞれの個性が光る作品を完成させました。
今回のJミッションを通して、学内、学外とのつながりをつくり、グループ一丸となってミッションに取り組んだことで、個々の成長に寄与することができました。

楽しんで全員で意見を出し合えた

優秀賞の3グループの学生たちには授業後にインタビューを行いました。

「私は2年生なのですが、Jミッションは1、2年でしか参加できないということで最後の機会だと思い、思い切って参加しました。ミーティングはWeb会議ソフトを使って進めました。私は動画を作ることがは苦手なのでどうなるかと思ったのですが、意見の言いやすいメンバーでとても楽しかったです。就活としても、学内の企画なのでインターンシップをいきなり受けるより安心して取り組めました」

「美学美術史学科の1年です。今回のJミッションには、『動画を作成する』との記載があったのを見て参加しました。もともと動画を作ってみたいと考えていたので、チャンスだと思いました。私が粘土でキャラクターを作ってきたことで、クレイアニメで動画を作ることになりました。採用されて嬉しかったです。動画の作成は何日もかかりましたが工程も楽しかったですし、先輩たちと繋がりができたこともとても嬉しいです」

1位の作品は渋谷区役所と渋谷モディのデジタルサイネージで、さらに2位の作品は渋谷区役所のサイネージで、実際に今回作成した動画が流れる予定です。(※4/15まで全作品放映中です。)

 ※下記動画は学生が制作した作品です。

2024年4月5日

”服装自由”の時は何を着る?「演習IIB」で青山商事とコラボ授業!
就活生の服装の悩みを解決するプレゼンテーションに挑戦しました。

2年生対象の「演習IIB」(担当:人間社会学部人間社会学科 広井多鶴子教授)の授業で、12月19日に青山商事株式会社(以下、青山商事)とのコラボ授業が行われました。11月に、就活生の服装の悩みに向き合う「#きがえよう就活」プロジェクトの一環として「就活服の悩みをどう解決するか」というテーマが出されており、学生たちは6グループに分かれ、課題解決法を考案。この日は、青山商事から6名、株式会社ニューズピックスから1名の方々が来校され、学生たちは皆様の前でプレゼンに臨みました。

自分らしさをどう表現する?

最初のグループ①は「オフィスカジュアルのサブスクリプション」と題して発表を行いました。
オフィスカジュアルとはどのような格好をしたらいいのか分からないという就活生の悩みに注目。女性に人気のファッションサブスクを参考にして、青山商事が就活生向けサブスクを展開することを提案しました。
若者向けのトレンドを抑えたオフィスカジュアルが、月に2回届く仕組みです。
青山商事の方からは「まさに若者たちが着たいと思う服を社内でブラッシュアップしているところなので、背中を押された気持ちになりました」というコメントがありました。

グループ②は、就活で結局黒スーツを選んでしまうのは、悪目立ちしたくないなどの保守的な意見が多いからと分析し、「就活は学生が企業を選ぶ側でもある」という自信を持つべきだと考えました。そこで、服装自由な企業にプロジェクトのロゴマークを提示してもらうことを提案。
就活生がロゴマークを見て企業を選び、安心して個性の出せる服装ができるようにします。
青山商事の方からは「自分が企業を選んでいくんだという意識を作っていく案になっている」と評価されました。

オフィスカジュアルって難しい!

続くグループ③は、SNSを利用する案を考えました。就活生の多くは、企業がどのような意図で服装自由にしているのか分からずに不安を感じていることに着目しました。
服装で評価が変わると思っている学生と、服装はそれほど重視していない企業の意識の隔たりをなくすため、大学生の約8割が利用しているInstagramを活用し、「#きがえよう就活」のタグを広めることを提案しました。
「服装の例として画像を上げるのに、Instagramは相性がいい。ぜひ検討させていただきたい」と青山商事の方から前向きなコメントをいただきました。

グループ④は、メンバー全員が黒スーツで就活をするつもりでいたことを告白。スーツ以外を選ぶためには、オフィスカジュアルを気軽に購入できることが必要だと考えました。
そこでアパレル企業等に協力してもらい、サンプルとして載っている服装の中から購入できるサイトを考案。
また服装についての疑問やレビューを書いたり投票できたりする機能を付け、就活生と企業との双方向のコミュニケーションが取れるようにしました。
講評では「レビューや質問で学生からもアクションできるのがいい。みんなが知りたいことがわかる仕組みになっている」と着眼点について高く評価していただきました。

服装の基準を分かりやすく

グループ⑤はクールビズにフォーカスしました。
就活生は夏の面接やインターンでスーツを着用しなければならないことに不満を持っていることに着目。クールビズに明確な定義がないことが原因と分析しました。提案は服装のピクトグラムを作成すること。
企業の採用ページにピクトグラムを提示してもらいます。
青山商事の方からは「悩みの解決方法が分かりやすく、最後まで筋の通った良いプレゼンでした」「賛同企業を増やすためにも、ピクトグラムは取り入れやすくて良いと思いました」というコメントをいただきました。

最後のグループ⑥は、服装自由が言われる一方でスーツで来てほしい企業もあることが就活生を悩ませている原因と分析。企業から就活の服装の例を挙げてもらうことを提案。採用ページに面接時の服装や、面接官の服装を載せてもらうようにします。
また、Instagramで「#インスタ就活プロジェクト」のタグを作り、各企業に就活向けの情報や服装を発信してもらいます。
青山商事の方からは「認知を広げるにはInstagramは相性がいい」「面接官の服装は確かに就活生が気になるポイントだ」という感想が寄せられました。

これからの就活が楽しくなるように

全発表終了後、優秀なプレゼンのグループが表彰されました。
「#きがえよう就活」賞に選ばれたのはグループ④。
受賞した学生からは「中間発表の後、一から考え直しましたが、賞をいただけてよかったです」「内容は難しかったがみんながそれぞれ自分の役割を果たしました」と喜びのコメントがありました。

「#きがえよう就活」賞を受賞したグループ④

もう一つの青山商事賞は、グループ⑤でした。
受賞した学生は「途中企画倒れになりかけてどうなるかと思いましたが、形になって良かったと思います」「スーツ以外で就活してみたくなりました」などとコメントしました。

青山商事賞を受賞したグループ⑤

最後に青山商事の平松氏から「みなさん、まじめに課題と向き合ってくれました」、「SNSなど学生目線の提案が、大変参考になりました」というコメントがありました。
そして、「今回の課題を通して、就活が少しでも楽しくなったらいいなと思います」ということばで、授業を締めくくってくださいました。

担当教員からのメッセージ

人間社会学科 広井多鶴子

当初、学生たちは、就活は黒のスーツが当たり前と思っていましたが、調べ、考え、話し合う中で、自分たち自身の固定観念に気づき、新たな考えをまとめていきました。そして、「自分たちは企業に選ばれるだけの存在ではなく、自分たちが企業を選ぶ存在だ」というように発想を転換!! 当たり前だと思っていることを問い直すことのおもしろさと重要性を実感できたのではないかと思います。

最終のプレゼンテーションは、中間発表よりもかくだんに完成度が高くなっていました。学生たちは、ほんの数週間でみちがえるように視野を広げ、根拠と説得力のあるプレゼンへと作り替えました。

それは、青山商事のみなさんの仕事への熱意と真摯さが学生たちに伝わったからだと思います。

学生からは、「本格的な産学連携授業は初めてで、実践的な学びが得られた」「企業の方から直接アドバイスをもらえる貴重な機会だった」といった感想が寄せられました。
何度も大学に足を運び、丁寧で的確なアドバイスをしてくださった青山商事のみなさんに、心より感謝いたします。