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2023年7月10日

新しいミュージアムグッズを考えよう!「実践キャリアプランニング」の授業で印刷博物館とのコラボ授業が行われました。

5月26日に国文学科「実践キャリアプランニング」(担当:文学部国文学科 深澤晶久教授)の授業で、印刷博物館の皆さまをお迎えしてコラボ授業が行われました。印刷の歴史や文化の価値を伝える企業博物館。さらに多くの人に知ってもらえるよう、学生たちは新しいミュージアムグッズを考える課題に取り組みます。

印刷博物館ってどんなところ?

印刷博物館は凸版印刷株式会社が運営する企業博物館です。
2000年に開館。100周年事業の一環として設立されました。本社ビルのミュージアム棟にあります。
企業博物館と言えば社歴や代表的な商品を紹介するのが一般的。ただ印刷博物館は「企業博物館でありながら企業色をかなり薄めています」と式氏。
印刷産業というものが文化の形成にどう貢献してきたのか、印刷の歴史を紹介する公共文化施設の役割を持っています。

奈良時代のものから最新の印刷技術のものまで、さまざまな種類の印刷物を7万点ほど所蔵し、印刷の日本史や世界史、技術の進化などを紹介。
また、活版印刷を体験できる印刷工房も併設され、カードやレターセットなどを作れるワークショップも開催されています。

式氏は「デジタル化の時代の中、印刷業界は斜陽と言われていますが、社会や文化の発展に大きく貢献してきた印刷の役割や意義を、次世代に伝えていくことがミッションです」と語りました。

企画展は博物館の花形

企画展の開催時は来館者が一番増える時期。全体の来場者数の50%が企画展来場者です。
年1回、3ヵ月ほど毎年趣向を凝らし、さまざまな側面から印刷文化を深堀する企画を展開しています。
ヴァチカン教皇庁図書館の貴重な写本の展覧会や地図と印刷の歴史、武士と印刷の関わりなども。2018年に行った「天文学と印刷」の企画展は話題を呼びました。

来館者の多くは20~40代の女性が多く、歴史やデザインを学ぶ大学生が多いのも特徴です。
また企業博物館という特徴からビジネスマンもコンスタントに来館します。ただ、企画展の期間は客層も一変。
「地図と印刷」の企画展では40~50代男性が圧倒的に多く、遠方からの人も。
企画展の特徴により来場者層は変わるのです。来館のきっかけは、やはりSNSやWebサイトで企画や印刷博物館に興味を持つ人が多く、式氏は「重要な窓口になっています」と話しました。

ミュージアムショップの商品開発に挑戦!

いよいよ石橋氏から今回の課題の発表です。
課題は、印刷博物館の「新しいミュージアムショップグッズの開発」です。
「普通お店では『ヒット商品を考えてください』というものが多いと思いますが、ミュージアムショップではちょっと違う」と石橋氏。
印刷博物館は展示品を通じて印刷の価値を伝えることがミッション。ミュージアムショップの商品も、印刷のエッセンスや面白さが伝わるものが重要になります。

博物館は場所が固定されており、来ていただくことが前提になります。遠方で来場できない人やそもそも印刷に興味がない人への訴求が課題です。
そこでミュージアムグッズをお土産として未来場者に渡すことで認知が広がったり、商品の話題性によって興味関心を集めたりということが求められるのです。

ミュージアムグッズについて知ろう

次に前原氏から印刷博物館ではどんなミュージアムグッズがあったかの紹介がありました。
定番のポストカードやクリアファイルの他、収蔵物や展示関連の書籍などがスタンダード。収蔵物の一部がプリントされたTシャツやマスキングテープや、活版の活字を再現したコーヒーシュガーなどオリジナルグッズも多数あります。
最近ではガチャガチャで販売したアクリルキーホルダーも人気を博しました。
さらには紙や活字を厳選し、職員が手作りで作るレターセットやカードも。
時間はかかりますが、名入れレターセットなどは贈り物として人気です。

グッズの売り上げも企画展関連商品が50%を占めます。
しかし、SNSで話題を呼んだ商品は企画展期間以外でも継続して売れることも。「天文学と印刷」の企画展の図録はSNSで話題になり、重版されました。
石橋氏は「商品自体が話題性を呼びさえすれば、博物館を飛び越えて人々に伝えることができる」と話しました。

実際に商品化も夢じゃない!?

「とはいえ何かを作るということは非常に難しいです」と石橋氏。
そこで3つの視点を紹介されました。

誰のためにつくるのか「Whom」、
何をつくるのか「What」、
どこで売るか「Where」です。

石橋氏は「売る場所は印刷博物館に限らなくてもいいと思う」と言い、「なぜその商品が必要なのか、その商品があることでどういった人たちにどういった形で印刷文化を伝えることができるのかを、考えていただきたいと思います」と話しました。

最後に式氏から、昨年の同授業について言及がありました。
昨年は、来館者を増やす施策という課題に学生たちが挑みました。中で提案があった近隣施設とのコラボレーション案と館内撮影解禁の案は、実際に実現しています。
「架空のグッズを考えてくださいということではありません。素敵な案は採用される可能性がありますよということをお伝えしておきます」と、学生たちの企画に期待を寄せました。

講演後、学生たちは早速グループディスカッションを開始。6月末に最終プレゼンに臨みます。

担当教員からのメッセージ

本学と包括連携協定を締結させていただいたことをきっかけに、昨年からこのコラボ講座のご支援をいただいています。今年もグループの代表者や有志が、印刷博物館を見学。印刷博物館の皆様に、とても丁寧にご説明をいただき、印刷博物館の意義などについてレクチャーを受けさせていただきました。今年のお題はグッズ開発、これから2週間のグループワークを経て、プレゼンテーションに臨みます。学生たちの豊かな発想、そしてチームワークに期待したいと思います。今年度も、お題の構築、視察などにご尽力いただいた印刷博物館の皆さんには、心から感謝申し上げます。

2023年7月7日

オンラインで留学体験!「国際理解とキャリア形成」の授業でアンジェラス留学とのコラボ授業が行われました。

6月6日に共通教育科目「国際理解とキャリア形成」(担当:文学部国文学科 深澤晶久教授)の授業で株式会社アンジェラス留学(以下、アンジェラス留学)の中根なゆた氏をお迎えしてのコラボセッションが行われました。中根氏のお話のほか、フィリピン・セブ島とオンラインでつないで、実際に留学の授業も体験。また留学を経験された本学卒業生の斎藤遙紀さんのお話や、学生総合支援センターの内田雄介次長の「ミドル世代の留学」のお話も伺いました。たくさんの国際交流の経験を聞く体験型授業。学生も興味深々で参加していました。

留学が人生のターニングポイントに

学生は2グループに分かれ留学体験と、中根氏のお話を交互に伺いました。
中根氏はフェンシングをやっていたことをきっかけに、大学時代にフランスに1年留学。大学時代はいつか海外で働きたいと思っていたと言います。
株式会社資生堂に入社して6年後パリの事業所に配属になりました。このチャンスは大学時代にフランスに留学していたから巡ってきたと言います。「留学が私のターニングポイントになりました」と中根氏は話します。
その後、中根氏の父が創業されたアンジェラス留学へ入社。「私の一番の思いは、悩める大学生を応援したい」と中根氏。大学時代に留学することが大事だと痛感したと言い、大学生のキャリア形成を応援したいと話します。

留学と旅行の違いは、学校に行くか行かないか。1週間でも2週間でも現地の学校に通って勉強すれば立派に履歴書に書ける「留学」です。
留学時期も毎週月曜開始で出来るため、個人留学にも柔軟に対応が可能と言います。

卒業生による生の留学体験

続いて齋藤さんも交えて留学についての経験が話されました。
斎藤さんは2018年にセブ島に留学し、2019年に本学を卒業。現在はカナダのアパレル会社に就職しバンクーバーで活躍しています。
なぜ留学したかと問われると「大学3年生の時にグローバルキャリアデザインというキャリア科目を履修していた時、ゲストとしてお越しいただいた中根さんのお話しをお聞きしたことがきっかけで留学に興味を持ちました。CAにも興味があり、英語力を伸ばしたかった」と話されました。
現在のカナダでの仕事について聞かれると「職場にはいろんな人種の方がいて、バックグラウンドや考え方が違うので意見の衝突も多い」と言います。
「皆主張が強いので大変だけれど、だからこそ皆で思いやりをもって協力しています」と多様な価値観のなかで働く大変さと楽しさを語ってくれました。

「セブ島に留学した時は全く英語がしゃべれずに悔しかった」と話す齋藤さん。「勉強してカナダに行ってから、英語で通じ合えるとこんなに嬉しいんだなと思いました」と体験を語ります。
「日本から外に出てみるといろんな考えや価値観に触れられる。やりたいことがまだ見つからない人は、ぜひ留学していろんな経験をして欲しいと思います」と話しました。

オンラインでセブ島へ留学!

別室のパソコンはセブ島の講師の方とつながっています。学生たちは3~4人に分かれてそれぞれオンライン留学を体験しました。
つながると講師の方が「Hi!How are you?」と気さくに話しかけてきてくれます。学生たちは緊張しながらも自己紹介をしていきました。
挨拶を終えると、英語の模擬授業が始まります。

画像が表していることを英文で説明したり、英単語の意味を問われたり。
恐る恐る答えていた学生も「good!」と褒められると、笑顔で返事をしていました。
講師の方は、学生が分からないときはゆっくり問題を言ってくれたり発音を直されたり、学生たちが答えられるまで丁寧に受け答えしてくださいました。

半年間の「ミドル世代の留学」

再び教室に全員がそろうと、最後に本学の職員である内田次長にマイクが渡されました。
2022年10月から2023年3月まで半年間、東南アジアに留学していた経験を語ってくれました。自分の仕事の枠や価値観を広げようと考えた内田次長は大学職員を辞めてでも海外に出ようと考えていましたが、そのことを話すとなんと大学側から海外研修を勧められたと言います。
そこで英語力の獲得と、東南アジアに海外インターンシップ先の企業を開拓するミッションが託されました。

最初は英語ができなかったので、必死に勉強したといいます。
TOEICの点数向上を指標として学習した結果、半年間で300点UPを実現したそうです。ただ、英語学習では「はじめの1か月で簡単な英語でコミュニケーションが取れるようになると、他の単語を覚えなくなり英語力が伸びなくなった」と歳を取ってからの勉強の難しさも語りました。
そこで他国の生徒や先生と旅行に行ったり、地元の人と友人になったりと、教室外で英語を学習する機会を確保。「留学先では日本人同士で行動するのではなく、英語を話す機会を自らが作っていくかが大事」と話します。

英語力の向上を実現した後には、最後の1か月間を利用し、タイやカンボジア、ベトナム、韓国で27の企業等を周り、海外インターンシップ先候補の団体とネットワークづくりを行いました。

内田次長は「これからのグローバル人材、必要な要素は語学力ではなくマインド」と話します。
東南アジアでの企業の交渉は、どちらも英語がノンネイティブでの会話でした。言葉ではなく、目の前の課題や相手に真摯に向き合い、お互いに理解しあおうとする力が大切だと感じたと言います。
「まずは結果を考えず、一歩を踏み出してみるマインドが重要。皆さんには何事にもチャレンジして活躍していってもらいたいと思います」と語りました。

盛りだくさんの内容だった授業はこれにて終了。
学生たちは、留学や海外生活を身近に体験する貴重な機会となりました。

担当教員からのメッセージ

私が株式会社資生堂の人事部で、採用の責任者であった時に、中根さんをお迎えしました。その後、中根さんが父上の会社に転職された後は、私が担当しているキャリア教育科目に毎年ゲストとしてお越しいただき、留学を中心にキャリア形成のお話しをしていただいています。親身に相談に乗っていただくことがきっかけで、中根さんにお世話になって海外留学に出かけた学生は、約50人を数えます。長いご縁には、本当に感謝です。
この国際理解とキャリア形成の授業においては、特に留学や海外での業務の夢を持つ学生も多く、中根さんのお話しには、とても関心深く授業に参加してくれています。昨年からは、セブ島とオンラインで結んでの模擬体験までアレンジしていただいています。そして、今年は、キャリアの授業において中根さんのお話しがきっかけで、なんと海外で仕事をされている齋藤さんや、内田さんの経験談まで含めて、盛りだくさんの内容となりました。様々な準備をして下さった中根さんに心から感謝申し上げます。

2023年6月30日

カルビーの環境への取組って知ってた?「実践プロジェクトa」でカルビーの環境対策の認知度アップを考えるコラボ授業が行われました。

「実践プロジェクトa」(担当:髙橋 裕樹特任教授)の授業で、6月5日にカルビー株式会社(以下、カルビー)の荒木友紀氏をお招きしたコラボ授業が行われました。カルビーのSDGsへの取組を伺い、その認知度アップできる施策を考えます。学生たちはグループワークを重ね、後日プレゼンテーションに臨みます。

健康への思いから設立されたカルビー

実は荒木氏は中学・高校からの実践女子の卒業生。大学では生活科学部で学び、10年間実践女子で学んだ先輩です。1999年に卒業し、食に関する企業に興味を持ったところからブルドッグソース株式会社に入社。2004年にカルビー株式会社に入社されました。マーケティングに携わり、主にスナック菓子のブランディングや商品設計を行っています。

カルビーの社名の由来は「カルシウム+ビタミンB1」。健康食品づくりへの思いが託されています。最初のヒット商品はかっぱえびせん。来年60周年を迎えるロングセラーです。誕生当初はアメリカ産の小麦粉が大変安い時代で、未利用だった小エビと共に活かしてできた商品です。「自然の恵みを活かすこと」を大切にしており、原料は自然素材を使い、農工一体で取り組んでいることが特徴。特に主力商品であるポテトチップスの原料となるじゃがいもは、加工用の国産じゃがいもの約60%をカルビーが使用しています。
商品作りだけでなく土づくりから品種改良まで、じゃがいもに関わるすべてのプロセスに関わり、徹底した品質管理を行っています。

地球の未来のためにできること

カルビーの環境への取組として、2030年までにプラスチック容器を50%環境に配慮した素材にすることを目標にしています。
2050年には100%を目指しており、「大変な目標だと思いましたが、ここまでしないと貢献ができないと考え、全社で取り組んでいます」と荒木氏。
パッケージのインクを植物性由来のバイオマスインキを利用したり、包材の研究を進め薄膜化したりとCO2削減に取り組んでいます。

またカルビーでは国内全体のパーム油の使用量の約5%を占めており、大変多くの油を使っています。パーム油はアブラヤシからとれる油でインドネシアやマレーシアで産出されますが、森林伐採や児童労働が問題になっています。カルビーは、こうした社会問題に配慮した認証パーム油への切り替えを進めており、パッケージにも認証マークを表示しています。
【認証パーム油に関する動画】
https://www.calbee.co.jp/sustainability/

認知度が低いのが課題…

荒木氏は「SDGsの認知者の2人に1人が、SDGsに取り組む企業を応援したいという結果がでています」と話します。そのためカルビーも環境ラベルで取組への消費者の納得を得たい反面、まだまだ認知度が低いのが課題です。
店頭やCM、Webサイトなどでアピールしていますが、なかなか浸透していません。学生たちに知っているかを問いかけても、認証マークを知らなかった学生も多くいました。
「入社前にいろいろ調べているだろう内定者からも、知らなかったという声がたくさん聞かれました」と荒木氏。

認証マークを得られる原料は、通常のものよりも値段が高いのがネック。「原料のコストは上がっているんですが、なかなかそれを知られておらず、価値が伝わっていないということが課題」と荒木氏は話します。

環境への取組を知ってもらうには?

ここで課題の発表です。
テーマは「カルビーの環境への取組をお客様へ伝えるコミュニケーションを考える」。
考えるコツとして
「誰が(Who)」
「何を(What)」
「どのようにして(How)」
を土台に考えていくことが紹介されました。

このなかで特に大切なのは「誰が(Who)」。ポテトチップスの主な購買層はファミリー層です。学生世代の若者はあまり買わなくなっているそうです。あえて若い層の方々をメインにご購入いただけるようにするのか、現状の購買層に向けて発信するのか、ターゲットを決めることは重要です。

実は同様の課題は、昨年カルビー社内の若手社員にも出されたといい、「なかなか社内の人間でも難しい課題です」と荒木氏。「ぜひ自由な発想で取り組んでください」と学生の発表に期待を寄せました。

誰にどうやって認知度を上げる?

学生たちは早速3つのグループに分かれディスカッションを始めました。
「若者をターゲットにするならショート動画がいい」
「インフルエンサーは?」
などSNSを活用することを考えるグループや、
「興味があることは自分で調べるけど、関心がなければ見て終わるだけになりがち」
「興味を持ってもらうには向こうから知ってる?とアピールしてくれるといい」と方法を考えるグループも。

最後に3グループそれぞれの方向性を発表しました。
1グループのターゲットは若者。SNSやQRコードを利用してアピール。
購入者も環境取り組んだのだ、と参加が分かる仕掛けを考えます。

2グループは小学生を対象にします。
カルビー主催でコンクールを行い作文などで広く伝える案が出ていました。ゲーム配信などのイベントのスポンサーとなり、ポスターやCMで若者にも訴求。
若者の中でも健康意識が高い層に訴えることを提案しました。

3グループは中学生以上のスマートフォンを使う学生をターゲットに設定しました。
SNSなどで短い動画を流します。キャラクターを作りキャッチーな内容を流して認知度アップを狙います。

学生たちはグループワークを経て案を練り上げ、1ヵ月後に最終プレゼンに臨みます。

2023年6月26日

未来の就活生の服装は?「演習IIA」で青山商事と就活時の服装の課題解決に取り組むコラボ授業が行われました。

2年生対象の「演習IIA」(担当:人間社会学部人間社会学科 広井多鶴子教授)の授業で、5月31日に青山商事株式会社(以下、青山商事)の皆さんとのコラボ授業が行われました。就活生の服装の悩みに向き合う「#きがえよう就活」プロジェクトの一環として、学生たちは未来の就活生の服装を考える課題に取り組みます。

紳士服大手の青山商事の課題とは?

最初に平松氏から青山商事の紹介がありました。
青山商事は「洋服の青山」「THE SUIT COMPANY」などビジネスウェア事業を中心に展開する企業です。店舗は全都道府県にあり、紳士服業界では現在シェアトップを誇ります。また、カード事業や飲食店などを展開するフランチャイジー事業、販売代理店契約をしている100円ショップ「ダイソー」も展開しています。とはいえ売上高の約7割をビジネスウェア事業が占め、青山と言えばスーツの印象が強いのも事実。しかし、実はスーツ以外にも、カジュアルなジャケットやレディスの服も取り扱っています。

ビジネスウェアのカジュアル化はコロナ禍を機に加速しており、ビジネスパーソンの服装は変化しています。また青山商事の顧客層は50代以上が中心で、働く人のボリュームゾーンである20~40代に必要とされる企業であり続けなければいけないというのが青山商事の課題です。

そこで誕生したのが「シン・シゴト服ラボ」という共創コミュニティ。
学生やビジネスパーソンと一緒に社会課題の解決に取り組み、これまでにテレワーク用の商品開発などを行いました。

「#きがえよう就活」プロジェクトって?

今回の「#きがえよう就活」もシン・シゴト服ラボのプロジェクトのひとつ。
ここからは岡本氏から「#きがえよう就活」についての説明が始まりました。
きっかけはコミュニティメンバーの一人が就活で服装選びに悩んだという言葉だったと言います。岡本氏は「それを聞いてビビッときました」と話しました。店舗の店長時代に、「服装自由」に悩んでいた就活生を接客していたこともあり、このコミュニティで課題を解決するべきではないかと思ったと言います。

近年では面接に「服装自由で」「私服で」など指定する企業も多いですが、アンケートを取ったところ服選びに困った学生は9割近く。課題として、会社がなぜ「服装自由」や「私服」と指定するのか意図が分からないこと、また、「自由」と言われても例えばデニムでもいいのか、企業の社風が分からないことが挙げられました。

就活生の服装の悩みを解決したい!

「#きがえよう」就活PJは、就活の暗黙のルールやマナーなどに悩むより自分の未来を考える時間にしてほしいという想いのもと活動しています。そのアクションとして、開設したのが「#きがえよう就活」の特設サイトです。
賛同企業は現在25社あり、選考時の服装指定の意図や理由も合わせて記載されています。新卒生が実際に着て行った服装を見える化し、グラフなどで示しました。特に実際に内定者がどんな服装だったかも記載し、内定にどの程度影響しているかもわかるようにしています。

リリース後はSNSなどで大きな反響を呼び、メディアにも取り上げられました。また、洋服の青山の店舗でも、就活生への対応マニュアルを刷新。
学生向けのパンフレットも新しくしています。

就活市場の現状は…

次に本学卒業生の澤田氏から就活市場の現状についても話がありました。
コロナ禍により面接のオンライン化も進みましたが、現状は対面とオンラインをどちらも行う企業も増えてきています。
「対面になると服装はスーツ率が高い」と澤田氏。また、「青山商事は本当に服装自由でデニムなどでも大丈夫ですが、自由の幅は企業によります」と言います。どうすればいいか悩んだときは、説明会などで対応した社員の恰好を参考にすると良いとアドバイスがありました。また、「服装自由と指定した理由を人事担当に聞いてもいい」と話しました。

就活生の服装の未来について考える

ここで、いよいよテーマの発表です。
今回学生たちには、「就活生の服装の未来」について考えるようお題が出されました。
課題の分析からデータ収集、調査まで学生たちが行います。

就活の暗黙のルールに悩まされずに自分を表現するにはどうすればいい?
理想と現実のギャップは?何を解決するべき?
考えることは数多くあります。

平松氏は
「世の中に実現できないことはありません。ぜひ自由な発想で考えてください。ワクワクする提案を楽しみにしています」と、
学生たちのプレゼンに期待を寄せました。

スーツ?カジュアル?就活にはどんな服装がいい?

学生たちは残りの時間を使ってさっそくグループディスカッションを始めました。
ある学生は「落ち着いた色ってどこまでだろう」と問いかけ、
「オフィスカジュアルを基準にと言われても、女性は服の幅が広く迷う」と話すと、周りの学生も共感していました。
「リクルートスーツは就活でしか着ないため、サステナブルではない」との指摘も出ていました。

「私服、自由とする理由は気になるしお手本も知りたいけど、それを企業に提示されたら結局自由ではないのでは」と矛盾を指摘する学生も。
「就活はスーツが多いのに、入社したら自由になるのはなぜ?」と根本的な疑問を出す学生もいました。

学生たちはグループワークを重ね、7月に最終プレゼンテーションに臨みます。

2023年6月19日

学生たちが渋谷のスローなツアーを提案!原田ゼミ(都市と地域の社会学)で博報堂とJR東日本のコラボ授業が行われました。

人間社会学科 原田謙教授のゼミで、5月29日に株式会社博報堂(以下、博報堂) ミライの事業室と東日本旅客鉄道株式会社(以下、JR東日本) 東京感動線とのコラボ授業が行われました。渋谷でスローに過ごす体験ツアーを学生たちが提案し、実際に開催することを目標にしています。今回は土台となる案出しを行い、企業のみなさんと質疑応答でブラッシュアップしていきました。

渋谷のスローな過ごし方をツアーにしよう

JR東日本の「東京感動線」は、山手線を起点に心豊かな生活を提案するプロジェクトです。街の個性を引き出し、人と人の繋がりを作る「エキとマチをつなげる」をコンセプトに、地域と連携し街を探索したくなる仕掛けづくりを行っています。タッグを組んだのが博報堂 ミライの事業室。渋谷の街づくりサービス「shibuya good pass」を開発している繋がりから、「Slow Platform 渋谷駅0番線」という駅構内のスペースを活用したプロジェクトを共同で行っています。

2022年度後期の原田先生の「フィールドワーク論」の授業では、渋谷駅0番線プロジェクトとコラボし、渋谷で一息つけるスローな場所を紹介した「渋谷スローマップ」が作成されました。今回はその発展版として、「渋谷をスローに過ごすツアー」を学生たちが考案します。

現在、東京感動線は、体験シェアサービス「aini」と連携し、山手線の暮らしをより楽しめる体験ツアーを提供しています。ツアーの内容は地域によって多種多様。
上野駅の歴史を知る構内ツアーや、東京駅は鉄道古物を使ったアクセサリー作り等があります。

朝はのんびり&夜はご褒美

学生たちはainiのツアーを参考に、各チーム2つずつ案を考えてきました。

Aチームは、忙しい朝の時間をのんびりするモーニングツアーと、日々の疲れを癒すご褒美ツアーを考案しました。

モーニングツアーでは、朝8時にカフェでゆっくりと朝食を取り、その後代々木公園でサイクリング。最後は美術館で美術鑑賞するツアーを提案しました。午前中を活用することで充実した一日を過ごすことができ、ゆったりとした時間を過ごすことで心豊かになるとプレゼンしました。

夜のご褒美ツアーは金曜日の19時にレストランでディナーを楽しみ、足湯カフェでリラックス。その後はシーシャカフェで過ごしたり、夜景を見たりを選べる贅沢な時間を過ごすツアーです。働く女性をターゲットに、一週間頑張った自分にご褒美を用意しました。

デジタルデトックスで有意義な時間を

Bチームはスローな時間を過ごすために、デジタルデトックスというコンセプトを決め2つの案を考えました。

1つめは親子で参加するツアー。
スマホの電源を切ってもらい、使い捨てカメラを配布。喫茶店や明治神宮でゆっくり過ごし、お弁当を買って食事を楽しみます。その様子はフィルムカメラで撮影し、思い出に残してもらうというツアーです。

もう1つはおひとり様専用で、金曜日の夜に読書をするためのツアーです。
アナログレコードなどを聞けるカフェで静かに読書を行い、最後にはツアー参加者同士で本についての感想などを話し合います。
デジタルを離れ、人と人の対話を楽しめるとプレゼンしました。

価格はどうする?人数は?

発表のあとには、学生から質問もありました。
特に価格設定はどのくらいが妥当なのか、という質問は両班とも気になるところ。

JR東日本の方は
「正直ピンキリです。金額に見合った内容で、お客様が納得される値段であることが大事」と回答。ただ、今回は学生考案のツアーとして打ち出す予定のため、「値段が高すぎるとお客様にどう思われるかというところはあります。価格の一つの決め方として、催行人数が半分でも成立するように決めるということがあります」とアドバイス。ツアーは必ず定員が埋まるとは限りません。定員に届かなくても、赤字が出ないようにするのは大切な考えです。

その他にも、
人数は?サイクリングやピクニックなど外で行うイベントは、雨の時はどうしたらいい?飲食の場合、席は一緒?移動の時間はどう過ごす?など細かい確認や決定すべき事項がいくつか出ていました。

学生ならではのツアー体験で付加価値を

発表後は企業の皆さまから講評もいただきました。

モーニング&ナイトツアーについては、JR東日本の方から
「時間帯で区切るという発想がなかったので面白いと思いました。レストランやカフェも、自分では踏み込みにくいところもツアーなら行きやすいというのは良い案」と感想を話されました。

デジタルデトックスの案にも、博報堂の方から
「デジタルデトックスというコンセプトは、都会に住んでいる人向けならではと思いました」という感想が。
また、「私も本が好きなので、カフェの前に本屋巡りなども良いかも」と提案もありました。

ただ共通して伝えられたのは
「大事なのは、わざわざツアーに参加したくなる付加価値を考えること」。

どのツアー案も、個々でやろうと思えばできることです。それでもツアーに参加する価値や特別感を考えてほしいと話されました。
例えば、美術館で作品の案内が聞ける、レストランではツアー限定のメニューがある、など。学生ならではの目線で、体験の提案を考えてほしいと期待を寄せました。

学生たちは今回の案を練り直し、夏休み前を目安に提案予定。秋には実際にツアーの開催を目指します。

2023年3月30日

東洋製罐とのコラボ授業で「受験生の悩みを解消する缶」というアイディアの詰まったプレゼンが行われました。

人間社会学部の「演習Ⅰ」の授業(篠﨑香織教授と金津謙専任講師の担当クラス)で、12月12日(月)に東洋製罐株式会社とのコラボ授業が行われました。テーマは「受験生のお悩みを解消する缶の提案」。学生は4-5人ずつ12チームに分かれ、それぞれ知恵を絞りオリジナルの缶とキャッチコピーを考えてきました。この日は企業の皆さまの前で5分間のプレゼンを行いました。従来の缶の使い方にとらわれない、アイディアの詰まった缶が次々に発表され、レベルの高いプレゼンとなりました。

受験生の悩みを解消する缶とは?

トップバッターのゴールドチームは「缶から幸運を」をキャッチコピーに、おみくじのついたフォーチュンクッキーを提案。
おみくじには先輩たちの手書き文字の応援メッセージも印刷し、受験生の当日の緊張を和らげます。コスト計算や、クッキーが割れないよう緩衝材を入れることなどまで考えました。

りこみゆチームは受験生の必需品・赤本が重いことに着目。
過去問一回分だけ缶に入れ、持ち運びや勉強するハードルを下げるというアイディアを出しました。
発表後は東洋製罐の方から「課題の目の付け所がいい。皆さんの経験が生きていると思いました」と感想をいただきました。

三番手のチームポチャッコは勉強の疲れを癒すアロマ缶を提案。
倒れても周りを汚しにくいビーズ素材のアロマディフューザーを入れ、勉強中に手軽に癒しを取り入れられるよう工夫しました。

缶に入れるのは食べ物だけとは限らない!

シルバーチームは「一緒に成長できる仲間がほしい」という観点から、缶で育てる植物栽培セットを提案しました。
机の上でローズマリーやタイムなどのハーブを育てることで、緑の癒し効果と視覚的に成長を感じられると説明しました。
企業の方からも「非日常のワクワク感がいいし、私も欲しいです」という感想も。

JJっこチームは「学習力も女子力もUP!」をテーマに缶の中を分割してミントタブレットと単語帳・ヘアゴムを入れることを提案。
受験勉強の集中力が続きづらい悩みをデータで提示し、集中力を高めるミントに注目しました。
発表後にも「データできちんと示してくれて説得力がありました」とコメントがありました。

プラチナチームは、受験時はスマホが見られないため時間が分からない不安を解決する「ビーズウォッチ」を提案しました。
ストラップはビーズで、自分で作ることができ試作品も作りアピールしました。
コメントでも「実際に作ることで分かることもあるので、とても良いプレゼンでした」と感心の言葉がありました。

香りで癒し&やる気を導く!

ラベンダーチームは、受験生のプレッシャーを和らげるアロマディフューザーを提案しました。
香りが人に及ぼす効果が高いデータも示し、繰り返し使えるアロマストーンとオイルを缶に入れることを提案。
香りに着目したチームは複数ありました。

フラワーチームは缶を2段構造にして、1段目に花びら型の入浴剤を、2段目にアロマキャンドルを入れることをプレゼンしました。
湯船に浸かることは疲労回復になること、火のゆらぎは癒し効果があることも説明しました。
コメントも「視覚と香りの両面から癒しを取り入れているのが良い」と着眼点に感心されました。

続くチームぼむも入浴剤を提案しました。
入浴剤の効果や缶のデザイン、コストも細かく計算しプレゼン資料を作りました。

ストレス以外にも悩みはある

当日の不安を解消する缶を考えたのはおこめチームです。
鉛筆、消しゴム、鉛筆削りなど実用的なものを詰め込み、缶を持ち運べば受験の際に困らないようにしました。
缶はコーヒー缶タイプの細長いもので、ペン立てにもなります。
「缶を持ち運ぶというのは新しい発想」と東洋製罐の皆さんもびっくりのアイディアです。

チームココアは大学に行く自分を想像できないという悩みを解消する缶を。
大学の情報や在学生の実際の声を、写真も入れ分かりやすくまとめることを提案しました。
自分もやりたいことを書き込め、モチベーション維持につなげます。
サンプルを作って分かりやすくプレゼンしました。

チームlight!は目の疲れにフォーカスし「can pass light」というLEDライトを提案。
缶に穴をあけランプシェードにして楽しみます。
コメントでは「名称がいい」や、「缶に穴を開ける発想は面白い」という感想がありました。

包装も進化!東洋製罐とはどんな会社?

発表後に、東洋製罐テクニカルセンターの永井信彦氏から企業の説明がありました。東洋製罐は主に金属缶やPETボトル、プラスチック容器を製造販売する会社で、金属、プラスチック、ガラス、紙の4大包装資材の容器を様々な分野に提供している東洋製罐グループホールディングス傘下の企業です。金属缶は飲料、食品、生活用品などあらゆる用途に利用されています。安心安全はもちろん、環境問題にも配慮されています。「缶が自然分解されるには50〜200年という時間がかかります」と永井氏。現在日本ではアルミ・スチール缶は94%がリサイクルされていると語り、学生たちにも分別を促しました。

東洋製罐は企業相手に製品を売る会社ですが、最終的に使うのは一般の人たち。「皆さんの意見も聞いて作っています」と、カレーのレトルトパウチを紹介。個食化が進み、レトルトの消費が増えてきた現代に合わせ、技術革新により電子レンジ可の環境配慮型レトルトパウチが開発されたことを話されました。

最後に「どのチームもプレゼンがとても上手で資料もきれいでした」と、プレゼンが初めての1年生とは思えない質の高さにお褒めのコメントもいただきました。各発表に対して参加学生はリアルタイム投票機能で評価を行い、この結果に基づき企業の皆さまと先生方で協議し1位を決定。
1位のチームのアイデアは、東洋製罐のご協力のもと実物作製され、オープンキャンパスなどで受験生に向けて提供される予定です。

2023年3月1日

「実践キャリアプランニング」の授業で学生たちはJALグループにおける障がいのある社員が活躍できる新たなビジネスを提案しました。

共通科目「実践キャリアプランニング」(担当:文学部国文学科 深澤晶久教授)の授業で、12月13日に現代生活学科の学生が日本航空株式会社(JAL)とのコラボ授業が行われました。1か月前に出された課題「障がいのある社員が活躍できる新たなフィールドやビジネス」のプレゼンで、週にわたって行われこの日は後半7グループが発表しました。優秀なプレゼンにはJAL賞が与えられます。

才能を活かしてインテリアデザインを

最初の12班は
「芸術的才能を活かしたインテリアデザイナー」を提案。
精神障がい者の色彩感覚、芸術的才能を活かし、JALグループにあるマンション建設事業のモデルルームのインテリアや部屋に飾るフラワーアレンジメントを行う事業を考えました。
またこの課題に向き合い「障がいのある方の特性を知り活かすことが大切と気付いた」とまとめました。

発表後には企業の皆様からフィードバックが行われ、
JAL産学連携部の田中氏からは
「バリアフリーだけにこだわるのではなく夢のある仕事だと思いました」
と感想がありました。

発達障がいの方も介護で活躍

次の8班は、
近年増えている発達障がいのある社員の雇用を提案。
発達障がいは会話のやりとりや社会性に障がいがありますが、ルールを守る真面目な人柄が多いとも言われています。
そこで丁寧な対応が求められる高齢者介護の仕事を提案しました。
最後にはこの企画は健常者目線の提案であることに触れ、障がい者に寄り添った企画に練り上げる必要があることに言及しました。

JAL産学連携部の與口氏は、
「当事者に寄り添った企画に練り上げる必要があるという最後のコメントに誠実さを感じました」
と感嘆されました。

安心、安全な修学旅行

行事に着目したのは5班です。
多くの学生にとって思い出の行事となる修学旅行は、特別支援学校ではクリアするべき条件が多くとても大変。
そこで特別支援学校の修学旅行プランをJALサンライト社員が考案することを提案しました。
障がいのある社員ならではの目線で、支援学校の学生や先生、家族の不安を取り除き、安心、安全な修学旅行を強調しました。

JALサンライトの田中氏から
「安全・安心というJALのビジョンを掲げていることにぐっときました」
と心をつかまれたことを伝えました。

KAKUNOU-CONしよう

4班は「格納コン」を提案。
飛行機の格納庫で行うコンサートのことで、実際にアイドルや芸能人が行っています。
運営にはすべての障がいのある方と健常者が関わります。
会場内はバリアフリーで手話通訳なども対応し、関わる方すべてが楽しめる案をプレゼンしました。

JAL産学連携部の猪田氏は
「わくわくする内容で、具体的なところまでイメージできました」
とすべての人がコンサートを楽しめるという案に共感していました。

やりたい!できる!を仕事に

7班は機内の軽食の製造を提案しました。
いちから新規事業の開拓は難しいと考え、既存の形態を利用する案です。
黙々と作業し続けられる特性のある精神障がい者の雇用を増やします。
サンドイッチ製造やラッピング、盛り付けなど工程を分け、障がい者がこれならできると思わせる環境を整えることが大切と伝えました。

JALサンライトの田中氏は
「既存のものを進化させる着目がいい」
と話されました。

空のお菓子プロジェクト

11班は機内のお菓子の製造についてプレゼンしました。
障がい者雇用の課題は、障がい特性によって携わる業務の種類が偏りがちであることだと考え、どんな障がいのひとでも関われる事業を考えました。
クッキーやマフィン、パウンドケーキなどのお菓子の考案、作成、梱包、運搬まで対応。
すべて障がい者とともに一般の社員も関わり、交流の場を作ることの大切さを伝えました。

JAL産学連携部の與口氏は、
「オーソドックスな提案だと思いましたが、一般の社員も含め全員で行うことの大切さ、交流すべきというメッセージが伝わりました」
と話されました。

空飛ぶ絵画

最後の10班は、
まず精神障がい者の描いた絵画を提示し、色彩感覚が豊かなことを視覚的に伝えました。
ドリンクカップのデザインを募集し、選ばれたデザインは商品化を提案。
デザインした人にはインセンティブ報酬があり、モチベーションアップにつなげます。
学生たちはこの課題を調べるうち障がい者と健常者と棲み分けされていると感じ、一緒に働ける案を考えたとまとめました。

JAL産学連携部の田中氏は、
「インセンティブ報酬に加え、会社に貢献したという実感もやりがいに繋がりますね」
と話されました。

障がい者も活躍できる社会を想像する大切さ

発表後、企業の皆さまが話し合って本日のJAL賞を決定。
受賞したのは「安心、安全」の修学旅行をプレゼンした5班でした。

JALサンライトの田中氏から
「障がいのある学生や家族、学校の先生などいろんな視点が入っている点や、安心、安全というJALの強みも生かせる点が良かったです」と評価ポイントを挙げました。
学生からは
「賞をもらえると思っていませんでしたが、障がいについての理解が深まり良い機会になりました。ありがとうございました」と感想がありました。

最後に企業の皆さまから全体の講評をいただきました。
JALサンライトの田中氏は
「JALサンライトの職場を見学などしていない中想像して考えるのは大変だったと思いますが、この経験は今後の人生にも生かされるはずです」と相手の立場に立つという想像力の大切さを伝えました。

JAL産学連携部の田中氏も
「日頃接することの少ない障がい者のフィールドを考えることは難しかったと思います」と、D&Iを考えることが必要と伝えました。
最後に「本当に楽しくワクワクするプレゼンテーションを聞けました。
これからも頑張ってください」とエールを送りました。

深澤教授の話

昨年度からご支援をいただいている日本航空様からの今年のお題は障がい者の方の更なる活躍を考えるという内容でした。多様性がさらに重要となり、注目が増す中で、JALグループ様の取り組みは社会からも高く評価されており、ダイバーシティ&インクルージョンを学びの軸においている中、極めて貴重な機会となりました。日野キャンパスまでたびたび足をお運びいただいた日本航空様、そしてJALサンライト様の社員の方に、心から感謝申し上げます。

2023年3月1日

「実践キャリアプランニング」の授業でJALグループの社員の立場に立って障がいのある社員が活躍できる新たなビジネスを考える課題に取り組みました。 

共通科目「実践キャリアプランニング」(担当:文学部国文学科 深澤晶久教授)の授業で、現代生活学科の学生が日本航空株式会社(JAL)とのコラボ授業を受けました。学生たちはD&Iの考え方を学び、JALグループの社員の立場に立って、企業がいままさに取り組んでいる課題に挑戦します。

JALが掲げる企業理念とESG戦略とは

講師を務めてくださる田中優子氏は、1982年から客室乗務員としてデビュー。2007年からは管理職となり、2017年からは名古屋外国語大学に出向し、特任教授として教鞭も取っていました。現在は産学連携部で人財育成に携わっています。

JALは1951年に設立。旅客輸送および貨物輸送事業において国内線・国際線ともに日本の空のインフラを担っています。JAL単体の従業員は12,000人以上、グループ会社は131社ある誰もが知る大企業です。
JALが2030年に向けたあるべき姿として掲げるJAL Vision 2030は、
「確かな安全といつも心地よい安心を感じられる社会を創ります」と、
「誰もが豊かさと希望を感じられる未来を創ります」。
この2つを実現するために「ESG戦略を経営の軸とする」という社長の表明が紹介されました。「ESG」とは環境(E: Environment)、地域社会(S: Social)、ガバナンス(G: Governance)の頭文字で、企業の長期的成長に重要な3つの観点です。

「皆さんが就職活動をしていくなかで企業のどんなところをポイントにされますか」と田中氏は問いかけました。業績のいい企業を選ぶのは当然としつつ「これからは業績だけではなく、ESGの観点がしっかり入って社会貢献しているかということが、重要な評価ポイントになってくると思います」と言います。

D&Iの実現のために

JALグループはESGの「S」の重点領域のひとつとして「人」に関する取り組みに力を入れています。その重要な項目のひとつとして「D&I」を推進するということが挙げられます。「Diversity&Inclusion」の略で「多様性と包括」などと訳されます。現在ダイバーシティの考えは浸透しつつありますが、単に組織のなかにさまざまな人がいるだけでは十分に個々の能力が活かされているとは言えません。お互いが関係しあい、能力を活かすことで新しい発想や活躍に結び付けるのがD&Iの考え方です。

JALグループでは2019年から人権方針を制定し、D&Iを推進していくという目標を掲げました。グローバル人財や女性リーダーの育成、障がい者の活躍推進、LGBTQへの理解促進などさまざまな活動を行っています。
今回はなかでも、障がい者の活躍推進にフォーカスして、学生たちも課題を考えていきます。まずJALグループの中でその取り組みを担う「JALサンライト」が紹介されました。

JALサンライトの活動を知る

JALサンライトとはJALグループの特例子会社です。
特例子会社とは、障がい者の雇用を促進するため、障がい特性に配慮し就業環境を整えている会社のこと。JALサンライトは障がい者と健常者の割合は約半々で、障がい者が多数を占める特例子会社が多いなか珍しい社員構成です。障がいの有無に関わらず社員全員が活躍できる環境作りが行われています。航空券にかかわる事務業務や客室乗務員のスケジュール作成のほか、JALグループ社員向けのカフェや靴磨き、ネイルサービスの運営もしています。

靴磨きサービス「シューシャイン」は社内で新規事業の提案を募ったなかから生まれた事業です。軽度な知的障がいのある社員の、集中力があり細かい作業が得意な特性を活かすことができるサービスです。靴磨きの世界チャンピオンに直接指導も受け、社員も誇りを持って靴磨きの技術を向上させています。

また車椅子で生活するJALサンライト社員とともに、JALは車椅子でいくツアーの企画を立案。車椅子で必要なサービスや視点を確認し、沖縄3泊4日のツアーを企画しました。車椅子だと遠方への旅行にどうしても踏み出しにくいため、車椅子利用者の背中を押すことを目的に立案されました。

企業のリアルな課題にチャレンジ!

いよいよグループワークの課題が発表されました。
課題は「障がいのある社員が活躍できる新たなフィールドやビジネスを提案する」。学生たちはJALサンライトの社員の立場に立って課題に取り組みます。ポイントは、人財の多様さが活かされて相互に機能しているか。障がい者がその仕事をすることで、他の社員にとってもメリットはあるかを考えます。社内向けのサービスでも、一般の方向けのビジネス案でも構いません。ただアイディアを出すだけではなく、実際に行うときにどんなハードルがあるか、持続可能であるかも考えなければいけません。

「そして、そのプロジェクトを自分自身が楽しめるか、やりがいを感じるか。この観点もとても大事です」と田中氏は話します。
田中氏は「うまく発表するだけでなく、グループワークでどんなプロセスがあったかがとても大事」と言い、プレゼンではどんなグループワークだったかプロセスや感想を加えるようにとのことでした。

「知らないを知る」ことで課題を解決する

最後に田中氏は、「障がいのある人は何が出来て何ができないのか、伝えるのが難しいことがあることを忘れないでほしい」と話します。
「障がいについて知らないことが多いという認識を持って、知ろうとすることが重要です」と課題への視点を語りました。

大変難しい課題ですが、田中氏は「例えばアルバイト先でこんなサービスがあったらいいな、というところから発想してみるのもいいと思います」とアドバイス。「新鮮で斬新で、楽しいアイディアが出ることを楽しみにしています」と期待をかけました。

学生はグループワークを経て、12月に最終プレゼンテーションに臨みます。

深澤先生の話

昨年度からご支援をいただいている日本航空様からの今年のお題は障がい者の方の更なる活躍を考えるという内容でした。多様性がさらに重要となり、注目が増す中で、JALグループ様の取り組みは社会からも高く評価されており、ダイバーシティ&インクルージョンを学びの軸においている中、極めて貴重な機会となりました。日野キャンパスまでたびたび足をお運びいただいた日本航空様、そしてJALサンライト様の社員の方に、心から感謝申し上げます。

2023年3月1日

JAL様をお迎えした特別コラボセッション。障がいのある方々が活躍できる未来の職場を考えました

ビジネスの最前線で活躍する方々をお迎えし、企業が直面する様々な課題を知り、その解決策を探る特別コラボセッション。「障がいのある社員とともにJALの翼を支えている」JALサンライト様をお迎えした授業のまとめは、学生達のプレゼンテーションです。学生達は障がいのある方々が活躍できる仕事や職場を探りました。

前半8グループのプレゼンテーションでは、多彩なアイデアが登場

まとめの授業では、グループがごとに前半と後半に分かれてプレゼンテーションを披露しました。
それぞれの発表を聞いたJALサンライトの取締役の池田氏とJALの方々から、あたたかいコメントがありました。

①グループ14

座席シートを芸術的に
「障がいのある方々の集中力や芸術性」と「航空機」というキーワードから、座席シートのデザインを提案。
廃棄となる座席シートは、コースターやキーホルダーにアップサイクルさせる。

池田氏
「シートを取り上げたのはおもしろいですね。航空機やシートの数をデータで裏付けすると、ビジネスの広がりを伝えられそうです。障がい者の才能については、根拠があるとさらに説得力が増すと思います」

②グループ6

ビジネスホテルの新たな価値創造
障がいの種類に関係なく活躍できる職場として、JALと提携したビジネスホテルに注目。
カフェ、宿泊、管理・営業という3つのカテゴリに、そこで働く人々をマッピング。

田中氏
「目的と狙いを深めた分析がいいですね。それぞれの職場ではどんな仕事をするのか、深掘りするとさらに具体性が増すと思います」

③グループ3

誰にとっても居心地のいいレストラン
障がい者を対象とした調査を取り上げ、保護者が亡くなった後の仕事の不安を解消する場としてレストランを提案。
障がい者と健常者が互いを理解し、交流する場を創る。

猪田氏
「調査結果で根拠を示した導入がいいですね。コンセプトもわかりやすいと思います。交流の内容をもう少し肉付けするといいですね。個人的にぜひ行ってみたいです」

④グループ9

輝くためのヘアセット
障がい者雇用の現状を紹介した上で、障がい者の手先の器用さと集中力が活きる、新人CAさんのヘアセットの仕事を提案。

田中氏
「目指すものがしっかりと伝わるタイトルになっています。ヘアだけでなく、CAさんのリラックスとしてもいいかもしれませんね。月額5000円というサブスクなのが今風だと思いました」

⑤グループ2

写真でGO!
JALで働く障がいのある方々が、観光地の写真を撮りPRする。障がいのある社員の視点で観光地の魅力をアピールする。

池田氏
「ターゲット整理もまとめ方もいい。明日から着手可能な企画です。障がいのある方には健常者と同じことをしたいというニーズがあります。自治体を巻き込み、障がいを考慮した施設に発展させることもできそうです」

⑥グループ2

ペットカフェ
動物とのふれあいが癒しになるペットカフェを提案。カフェ、キッチン、接客という3つのカテゴリで、障がいのある方が自身の個性を活かせる環境を創る。

田中氏
「環境や心に配慮した企画ですね。障がいの特性と本人の好き嫌いは、仕事のアサインにおいて考慮すべきポイントになると思います。なぜペットなのかについて、もう少し補足があるといいと思います」

⑦グループ15

機内食
障がいのある社員の集中力を活かす、機内食の盛り付けを提案。社員が同乗し、機内で盛り付けることを想定。

池田氏
「共生社会を考えた企画ですね。機内食は工場でセットしているので、工場での盛り付けなら可能だと思います。集中力を活かすという意味では、フライト準備にもいろいろな作業があります」

⑧グループ13

学校訪問
障がいのある社員を保育園、幼稚園、小中学校に派遣。
子どもたちに障がいのある方々との共生を考えるきっかけを創ると同時に、社員が社会での目的意識を高める場とする。

田中氏
「課題のキーワードがしっかり盛り込まれていました。子ども、社員、会社という全方位で考えられている企画ですね。タイトルがシンプルなのがちょっともったいないかも(笑)」

前半すべてのプレゼンが終了し、栄えあるJAL賞の発表へ

前半8グループのプレゼンテーションが終わり、JALの方々は別室に移動し、JAL賞の検討に入りました。
東京オリンピックの表彰式のテーマが流れる中で発表された栄えある受賞は、グループ13「学校訪問」。
JALから、メンバー1人ひとりに賞状と記念品の贈呈がありました。

池田さん
「こちらの企画は、JALサンライトにとって刺激のあるヒントになりました。2年生でここまで検討できるのは素晴らしい。ぜひこの力を将来に役立ててください」

学生達の緊張したプレゼンテーションは、企業の方々からのねぎらいのコメントで締めくくられました。

深澤教授の話

昨年度からご支援をいただいている日本航空様からの今年のお題は障がい者の方の更なる活躍を考えるという内容でした。多様性がさらに重要となり、注目が増す中で、JALグループ様の取り組みは社会からも高く評価されており、ダイバーシティ&インクルージョンを学びの軸においている中、極めて貴重な機会となりました。日野キャンパスまでたびたび足をお運びいただいた日本航空様、そしてJALサンライト様の社員の方に、心から感謝申し上げます。

2023年2月21日

「実践キャリアプランニング」でロレアル パリによるエシカルマーケティングについて学ぶコラボ授業が行われました。

共通科目「実践キャリアプランニング」(担当:文学部国文学科 深澤晶久教授)の授業で、食生活科学科の学生が、先週に引き続きロレアル パリの菊池氏による講義を受けました。先週はストリートハラスメントに立ち向かう5Dの講義でしたが、今回のテーマはマーケティング。学生たちはマーケティングの流れを学び、エシカルマーケティングに大切な要素について考え、後日プレゼンに挑戦します。

マーケティングってどんな仕事?

菊池氏は「マーケティングとはなんでしょう」とまずは学生たちに問いかけました。
辞書を引くとマーケティングとは、製品、サービス、流通、お客様に届けるための一連の体系的な市場活動のこと。「つまり、全部ですね」と菊池氏。
製品を作るところから届けるところまで、すべての活動がマーケティングです。

マーケティングの流れとしては、
1.市場の分析をする
 ↓
2.消費者の分析をする
 ↓
3.コミュニケーションの立案をする
 ↓
4.販売戦略を立案する
 ↓
5.販売し反応をもとに再度1に戻る、といったサイクルです。

なかでも3の過程での「消費者インサイト」の深堀が特に大切。
製品を届けるターゲットを定め、どういうコンセプトなどで広告を作るかを考える上で、消費者の「やりたいこと」と「やりたいけどできないこと」を明らかにすることは重要です。これが分かれば消費者の悩みを解決する、より消費者に響く広告が作ることができるからです。

広告を作って終わりなのではなく、その後販売時期や店舗、SNSやメディアの展開方法などを考えるのもマーケティングの仕事。それには競合他社の動きも見つつ、できるだけ良い時期や方法を見極めなくてはなりません。さらに発売したあとには消費者の反応などを蓄積し、次の市場分析につなげていくのです。

現代におけるエシカルマーケティングの重要さ

「最近では倫理的に広告を作るということがキーワードになっています」と菊池氏は言います。「エシカルマーケティング」とも言われ、社会的責任や環境問題などに対する価値観に基づいたマーケティング方法のことです。いくつか企業名も挙げ実例が示されました。

環境問題に力を入れているアパレル企業では、リサイクル素材の製品を製造したり買い物袋を廃止したりしており、またあるバス用品メーカーでは動物実験反対のメッセージが入ったショッパーの提供などを行いました。

人種問題では、BLMをきっかけに「白=美しい」という潜在的な刷り込みをやめようという運動が始まっており日本でも現在「美白」という文句は使われなくなってきています。
スポーツ用品メーカーもBLMに共鳴した選手を広告に起用し、大きなムーブメントになりました。このほか、セクシャリティに関する広告の実例なども紹介されました。

エシカルマーケティングに大切な要素ってなんだろう?

「ただ、よく考えてみるとこれはどうなんだろうと思う、配慮できていない広告もたくさんあります」と菊池氏。
ここでいよいよ課題発表です。

課題は
「人権問題を意識し、配慮の足りる広告を作るために大切なことを理解する」。

学生たちはグループワークで人権問題に配慮した広告、できていない広告を集め、人権問題を意識した広告を作るために大切な要素を探します。
その上で、配慮が足りていない広告をどうすればよくなるのかを考え、プレゼンします。
難しい課題ですが「自分が最近買った製品など身近なところから考えていってみてください」と菊池氏からアドバイスがありました。
学生たちはこれからグループワークを経て、12月に最終プレゼンに臨みます。