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2024年2月19日

自販機で社会貢献!「経営学概論」の授業でダイドードリンコとの特別コラボが行われました。 

12月6日、人間社会学部1年生の必修科目の一つである「経営学概論」(担当:人間社会学部現代社会学科 篠﨑香織教授)の授業で、ダイドードリンコ株式会社(以下、ダイドードリンコ)の特別講義が行われました。学生は『自販機でできる社会貢献』という事前課題について考えて授業に参加しており、指名された学生はその発表もしました。企業の経営戦略を直接学ぶ貴重な講義であったと同時に、学生たちのアイディアを企業に評価していただく交流の機会となりました。

自販機は一番顧客に近い!

最初に自販機営業企画部の松本英康氏からご挨拶があったのち、人事総務部の真野祐子氏からダイドードリンコの説明がありました。
ダイドードリンコは、1950年代に栄養剤を販売したことからスタートした大同薬品工業を起源とし、ダイドーグループホールディングスの中の清涼飲料事業を担っています。グループ会社はこの他に、医薬品、医療品事業やゼリーなどの食品事業があります。

本社は大阪府にあり「今回のメンバーは、全員大阪から来ています」と真野氏。
ダイドードリンコの事業は、自動販売機での販売が約8割を占めるのが特徴。競合他社の同事業は約3割のため大きな違いです。また自動販売機に並ぶ商品に占める50%がコーヒー飲料で、主な購買層は男性だそうです。
なぜ自販機での販売がメインなのかと言えば、店舗販売よりも利益率が高いことや、顧客により近い距離で販売できるといったメリットがあるからです。

ダイドードリンコの飲料事業のもうひとつの特徴はファブレス経営であること。
ファブレス経営とは、自社で工場を持たず100%製造委託しているビジネスモデルです。工場にかかる大きなコストを削減できるのがメリットです。

優秀な人材に入社してもらうには

「当社の経営戦略として、優秀な人材を確保することに重きを置いています」と真野氏。
経営戦略を考える上で、持続的な競争優位を確立することが非常に大切です。そのためには優秀な人材を採用し、定着してもらうことを重視しているそうです。
優秀な人材にダイドードリンコに興味を持ってもらうために行っている施策として、フルリモートワークや副業可能、充実した福利厚生制度などが紹介されました。

特に働く女性にとって好評なのが、コアタイムのないスーパーフレックス制度やリモートワーク、法定よりも長い期間利用できる時短勤務制度です。
こういった取組みを行うことで、社員がプライベートと仕事の両立がしやすくなり、直近3年間ではライフイベントを理由にした退職者はなしという成果に繋がっているそうです。
真野氏は「企業の、ヒトに対するアプローチということに焦点を当てて見てみると、商品だけからは見えなかったことが見えてくる」と就活の際に企業サイトなどをよく見てみることを勧めていました。

自販機で女性を助けたい

次にダイバーシティ推進グループの井阪愛歩氏、大植あかね氏、奥川美優氏から、ダイドードリンコが取り組んでいる女性の社会進出についてのお話がありました。
まず「日本のジェンダーギャップ指数の順位を知っていますか?」という質問があり、選択肢の中の一つである「100位以下」に多くの学生の手が挙がりました。
井阪氏の「皆さんさすが知ってらっしゃいますね」との言葉通り、日本の順位は2023年時点で125位。特に女性役員の数が少ないことは国も課題としており、2030年までに女性役員の割合を30%まで上げることを目標としています。

ダイドードリンコでも2023年から自販機営業企画部内にダイバーシティ推進グループを発足。女性の自販機利用を増やそうと女性発案の企画で新たなコンテンツを開発しています。
例えば女性が誰もが経験し、悩みのタネである生理。アンケートで特に多い悩みである「急な生理への対応」として生理用ナプキンを購入できる自販機を開発しました。
誰もが使える自販機で生理用品を販売することで社会の理解促進も図ります。

この他にも赤ちゃんのおむつやお菓子の販売など、さまざまなモノを自販機で販売することに精力的にチャレンジしています。本学の渋谷キャンパス9Fにもダイドードリンコの自販機があり、オープンキャンパスのときに「赤本缶(https://www.jissen.ac.jp/learning/human_sociology/interview/shinozaki.html)」を搬出しました。
「世の中の潜在的な課題を見つけて自販機で解決するお手伝いをすることが私たちの仕事」と奥川氏は語りました。

社会貢献できる自販機って?

事前に学生たちには「自販機でできる社会貢献」を考える課題が出ており、授業の最後にダイドードリンコのメンバーが指名した学生が自分のアイディアを発表しました。
募金をしたら写真が撮れてSNSに投稿できる仕組みを提案した学生のアイディアには、松本氏は「募金ができる自販機は既にあるが、写真が撮れるアイディアは斬新」と高く評価していました。
省エネに着目した学生は、照明を消し、常温の飲料専用の自販機を提案しました。
「常温飲料のニーズがあることが分かりました。省エネの観点から常温の発想になったのもすごい」と着眼点の良さが評価されました。

野菜など無人販売所の役割のある自販機を提案した学生もおり、特産品などの地産地消にもつながるアイディアが出ました。
「モノを売る自販機はあるので、地域と協力すれば可能性がありそう」と松本氏はほかの主体との連携の必要性に言及していました。
他にも秀逸なアイディアが次々飛び出し、企業の皆様から感嘆の声が上がりました。

学生たちは企業がどんな経営戦略を取っているか、また社会貢献活動にどう取り組んでいるかを知る機会となった講義でした。

担当教員からのメッセージ

ダイドードリンコ社とは、赤本缶を自動販売機から搬出する企画を立てたのを機にご縁を得ました。
飲料事業を持つ企業の中でも差別化が際立っていることや、女性の社会進出を後押ししている企業というイメージが強いことから、「経営戦略」の回にぜひお越しいただきたいとお声がけしました。

 当日は、入社3年目、子育て中、転職の経験ありなど、学生にとって数年先から20年ぐらい後までのロールモデルになる社員の方たちからお話を伺う機会になり、「働きたいように働く」ことのイメージが少し掴めたのではないかと期待しています。実際、「ダイドードリンコ社で働いてみたい」という履修者の声が複数ありました。また、「社会貢献につながる自動販売機」の学生のアイディアについて、松本氏より一つひとつ丁寧にコメントをいただき、アイディアの面白さと実現可能性の両立の難しさを実感する機会になりました。

 早朝より大阪からお越しくださいまして、また有意義な授業の実現にご協力いただきまして、本当にありがとうございました。

2024年2月9日

スポーツを通じたウェルビーイングとは?JWP研究会がパラ卓球選手をお迎えし、イベントを開催しました。 

2023年度のJWP(実践ウェルビーイング・プロジェクト)活動(担当:文学部国文学科 深澤晶久教授)の第ニ弾として、12月9日(土)に、2024年にパリで開催されるパラリンピック出場を目指している卓球の舟山真弘選手をお迎えして、スポーツを通じたウェルビーイングについて、みんなで考えました。

今回のテーマは、「スポーツを通じたウェルビーイング」。舟山選手より対談形式でお話を伺い、スポーツと健康や、幸せについて考える機会となりました。

ゲスト:舟山 真弘(ふなやま まひろ)氏

現在、大学1年生。埼玉県さいたま市出身。 4歳で小児がんの一種である「右上腕骨 骨肉腫」に罹患。1年2か月間入院し、手術と抗がん剤治療を受けました。手術では、利き手であった右腕の肩関節と上腕骨を切除し、足の細い骨を移植しました。右腕は上がらなくなり、細い骨の骨折に細心の注意が必要となりました。

 今回、舟山選手は早稲田大学1年ということで、同世代の大学生をゲストに招きイベントを行うという珍しい機会でした。
イベント前半では、舟山選手ご自身についてのお話を聞かせて頂きました。現在、早稲田大学で卓球部に所属している舟山選手。実は幼少期から卓球をしていたわけではなく、家族と行った熱海旅行で初めて卓球と出会い、小学5、6年生から本格的に卓球を始めパラリンピック出場を目指しています。小学生から大学生まで卓球を続けていますが、今でも試合前はとても緊張すると言います。試合の前半は足や身体全体を動かし、後半は頭を動かすといった様々な工夫されています。相手に点を取られてしまってもぼーっとすると危険、取り敢えず何かを考えよう、「何かを考えようっていうことを考えよう」と頭をフル回転させ試合に挑んでいる舟山選手。
そんな舟山選手について、卓球についてだけでなく、気になる私生活についてもイベント参加者の方々から沢山質問して頂き丁寧に答えてくださいました。

◆当日の質問より

Q、強いメンタルを保つ方法は?

A、今は、モチベーションを変わらずに維持することが出来ています。次に出場する試合があるとそこに向けて頑張ることが出来るため、維持出来ます。しかしコロナの時期は、試合数が少なくモチベーションを保つことが難しかったです。今年は試合が多くあり、保つことが出来ています。

Q、1番思い出に残っている国は?

A、中国がとても良かった印象です。卓球が国技であるため、演出が豪華で観客が多かったです。敵国でしたが会場の盛り上がりがあると、自分も盛り上がることが出来ます。

Q、時間の管理の仕方で工夫していることは?

A、中学生の頃は、勉学とスポーツを両立していました。定期テストの期間はスパッと卓球をやめ、勉強に専念していました。高校、大学では卓球が中心の生活をしています。大学生になると勉強する分野が絞られるため、卓球の時間を多く取ることが出来ています。

Q、今までで1番辛かったこと、それを乗り越えた方法は?

個人戦のため孤独を感じることが多くあります。勝っている時は心が満たされますが、負けが続くと寂しさに襲われます。しかし、必ず次の目標があるため、負けても取り敢えず考えないようにして次に向けて行動しています。

Q、大学生活で楽しみたいことは?

今までは勉学と卓球中心の生活でしたが、大学生になってからは様々なことに挑戦するようになりました。特に服をよく見るようになりました。最近では、パーマをかけてみたり、スキンケア用品に興味を持ち始めたりと美容に対して意識するようになりました。他には、アニメを見ることや本を読むことが好きです。いつか、お洒落なカフェに行ってみたいです。

これらのようにNGの質問はなしで卓球のことから、自分自身のこと、大学生活のことなど、1問1問丁寧に答えてくださいました。

次に舟山選手には卓球の魅力について教えて頂きました。

卓球は体格に左右されるスポーツではなく(背が高いとか低いとか関係ない)、その人その人という個人に対してフォーカスされることが1番の魅力です。実際に自分自身は、右手が使えず、右足の力が少し弱いですが、自分なりに考え右足を中心にトレーニングしています。卓球選手にはその人その人に生い立ちがあり、〜があったから今〜の考え方を持っているのだろうなどの目線で観客の皆さんには見て欲しいです。

イベントの後半では、舟山選手に意気込みを聞いてみました。

一つ一つの試合を大切にし、目の前の課題をクリアし、最高の成績を収められるように頑張りたいです。そして、パリパラリンピックの出場権を獲得し、金メダルを取りたいです。欲を言えばそれ以上上に行きたいです。と目標を教えて頂きました。

最後に、舟山選手にとってのウェルビーイングについて、そしてご自身にとっての幸せでいる条件をお話しして頂きました。

ウェルビーイングについては、大学生になってから考えるようになりました。プロの卓球選手の道を歩んでいきたいと考えていますが、競技に集中するということはプライベートを犠牲にするということです。

いずれか引退の時は来ますが、卓球だけをやっていて何が残るのかは自分でも分かっていないため、大学生のうちに様々なことを体験しておきたいです。例えば、部活後のメンバーとだらだら話す時間は、コーチから「早く帰るように」と注意されてしまいますが、無駄ではないと思います。逆にそれこそが大切なのではないかと思います。日常が送れていることが幸せなのだと考えています。

学生たちは、1日1日を大切に生きることの重要さ、自分自身の生き方に関して向き合うきっかけになったイベントでした。

参加学生の声

・今回、自分と同い年で、世界で活躍している方の話を聞けるという貴重な経験をすることができ、とても学びのある時間にすることが出来ました。スポーツを通したウェルビーイングということで、精神だけではなく、心や体に実際に選手に深く関わっていることを学ぶことが出来ました。どんな質問に対しても丁寧に答えてくださり、同い年にも関わらず選手と自分の生き方の差に驚きました。このイベントを通して、何事にも一生懸命頑張ろうと思いました。

・私も選手と同じくスポーツ中心の生活を送っているため、日々のモチベーションの保ち方や時間の使い方を直接知ることが出来て、とても勉強になりました。自分に何か弱い部分があっても、決してそれを言い訳にせず、弱い部分を補うようにオリジナルの練習方法を考えるなどスポーツに対しての熱い気持ちを生で体感することが出来ました。選手の日々はとても多忙とお聞きしましたが、その中でもウェルビーイングについて日々を当たり前に送れていることが幸せだと答えていたのがとても印象的でした。多忙の日々の中でも当たり前の大切さを重要視しているところが選手としての強みなのではないかと感じました。

深澤先生からのお話

今年3年目を迎えたJWP(実践ウェルビーイングプロジェクト)の活動の一環として、
「アスリートと考えるウェルビーイング」と題し、舟山選手にお越しいただきました。

全ての企画をプロジェクトメンバーの有志が行い、和気あいあいとした雰囲気の中で行われたイベントは、とても印象に残る内容となりました。常に世界と戦わなくてはならない厳しい世界でご自身を鍛え続けている舟山選手ですが、当日は大学生の日常らしい面も随所に見せていただき、本学学生と交流されている姿に、思わず感動していました。 2024パリパラリンピックの卓球日本代表として活躍される事を心からお祈りし、また、この企画を成功に導いてくれた幹事の皆さんに感謝いたします。

2024年2月2日

耕作放棄地をどう活用する?英文学科の授業でどろんこ会の課題に対するプレゼンテーションが行われました。 

12月8日に文学部英文学科対象の「実践キャリアプランニング」(担当:髙橋裕樹特任教授)の授業で、社会福祉法人どろんこ会(以下、どろんこ会)との特別授業が行われました。この日は、どろんこ会代表の高堀雄一郎氏の前で、前回の授業で出されていた「耕作放棄地が年々増えている現状に対してどのように対応するべきか考える」という課題について、学生たちは緊張の面持ちで発表に臨みました。
 ~前回の授業はこちら~

 ※耕作放棄地とは:「以前耕作していた土地で、過去1年以上作物を作付け(栽培)せず、この数年の間に再び作付け(栽培)する意思のない土地」と定義されています。

農地バンクやキャンプ場などで活用

最初の発表はグループ6から。
耕作放棄地を農地バンクとソーラーシェアで活用する案を出しました。
農地バンクとは、耕作放棄地を登録し農地のレンタルを支援する制度。並行して農地に太陽光パネルを設置するソーラーシェアを行うことで、災害時に非常用電源にもなると発表しました。

発表後は高堀氏から講評をいただき「話題になっている解決法でよく調べていると思いました」とコメントされました。

次のグループ4は、農業を行いながらできる、少人数でコストがかからないことを条件として案を考え、人気のあるバレルサウナとキャンプ場の経営を提案しました。
人件費など経費も計算し、初期費用が回収できる期間の目安も伝え、実現可能性を伝えました。
またSNSで広告を展開し、宣伝することも計画することを伝えました。

高堀氏は「経費や販売価格などもきちんとよく調べているし、ただ案と考えるだけでなく宣伝するところまでも考えていた」と感嘆のコメントを述べました。

後継者を育てるには?

グループ3は、農業の後継者の確保を課題に定め、耕作放棄地を農業高校や大学の農学部の実習地とすることを提案。
海外での農業トレーニングの取組や、新潟の農業高校で行われている農業キャンパスツアーなどを例に出し、実習の時間を多くとることで、若者が農業により関心を持つとしました。

高堀氏は「農家出身の方がいるのかと思ったくらい、実感がありました」とプレゼンに感心。
「高校生に限らず農業に携わりたい人が学べる場があった方が良いということにハッとしました」と着眼点の良さを褒められました。

続いてグループ7は、近くにコテージを立てリゾートとして貸し出すレンタル菜園や、農場が併設されている福祉施設ケアファームに活用することを提案しました。
また修学旅行に農業体験を取り入れることで、若者に農業に触れてもらう機会を増やすことも提言しました。

高堀氏は「山間部の放棄地は、上下水道や電気などの設備を整えることを考えると現実には難しいかも」と懸念点もあることを伝えました。

提案のデメリットも考えてみよう

グループ9は、若い層に農業の魅力を伝える行事が必要と提案。
若者も楽しめる観光、体験農園を作ることを伝えました。

高堀氏は「観光面では常に人が来るかどうかは難しい」と実際にはハードルが高いことを伝えました。

次のグループ8は、管理の手間が少なく、初期費用も抑えられるトランクルーム経営をプレゼン。
また、今後の目標としては耕作放棄地の現状を広めることが必要と伝えました。

高堀氏は「トランクルームは都市部では人気があるが、地方では土地があるためなかなか需要がない」とデメリットも伝えました。

グループ5は、義務教育の「総合」の授業で農業を取り入れ、都内近郊の耕作放棄地を授業で利用することを提案しました。
山間部の耕作放棄地は大型農具を練習する教習所として活用すること、コンバインなどは練習する場所がないため農業初心者が利用できるようにします。
また、殺処分前の競争馬を引き取り、乗馬教室も併設することで収益も考えました。

高堀氏からは「馬というアイデアは斬新。エコにも配慮されていて、ヤギや馬の活用は大まじめに考えられる方法。プレゼンがうまかった」と褒められました。

どうやって利益を上げるか

グループ2はどろんこ会の取組を考慮し、高齢者介護施設を併設し農業を活用することを提案しました。
高齢者の認知症予防や運動にも利用できるとしました。

高堀氏も「障がい者や高齢者施設との組み合わせはどろんこ会としてもやっていきたいと感じました」と共感しました。

最後のグループ1は、農地バンクなどの複雑なシステムに抵抗感を感じてしまうことが問題と定義。
施設を作るなどの案ではなくまずは若者に耕作放棄地の問題を伝え、農業を身近に感じられるよう魅力を伝えることが大事としました。

高堀氏は「農業で収入をどうやってあげるかが大事。そのポイントをもっと深堀出来ていればさらに良かった」と着眼点の良さを感心されました。

ITや営業力も農業には大切

全グループの発表が終わり、どろんこ会の皆様が各グループを採点。
高堀氏から優秀なアイデアだったグループが発表され、グループ4が選ばれました。
グループ4の発表は「経費や販売価格などもきちんとよく調べていて、うちの事業部にきてほしいと思ったくらい。提案も話題になりそうな内容だった」と絶賛されました。
最優秀賞を受賞したグループ4のメンバーには減農薬の南魚沼産コシヒカリがプレゼントされます。

授業の最後に、高堀氏から「皆さんお疲れさまでした」とねぎらいの言葉がかけられました。
「耕作放棄地に関しては、正解の答えがあるものではない。どろんこ会もやっていることが本当に正しいのかわからないが手探りでやっています」と話され、法人化などをして組織力を向上することの大切さを伝えました。
「そのためには実地で農業する人だけでなく、広報力、営業力、IT技術も必要。そういった分野の人にどんどん農業に参画してもらうことも大事です」と農業を広めるための課題を、学生たちにも共有しました。

学生からのコメント

課題解決型の授業を経験したことがなかったため、現状分析から具体策を提案するまでの工程がいかに大変なものか、深く理解するきっかけへと繋がった。
当日までに満足のいく状態まで準備をすることができたと考えるが、チームで協力をして行うことの難しさを強く実感した。
他の授業でのグループディスカッションやプレゼンテーションにおいても非協力的な人はいるが、全員で協力をすることによってより多種多様な意見が生まれると考える。
したがって今回のプレゼンテーションにおいて、グループメンバーにさらに働きかけることが必要であったと考え、少し反省をした。当然ながら意見を求めることはしたが、新たな意見が出なかったり、担当を申し出てくれる人がいなかったり、今回のプレゼンテーションを通して、私自身のグループをまとめる力や意見を引き出す力がないことが明確になり、少し悲しさを覚えた。
しかし、自分自身で最後までやり遂げられたことで自信が得られ、またグループのリーダーを務めることに今まで以上に抵抗がなくなったため、1位を取ることができなくても得られたものは大きく、良い経験となった。今後は働きかける力を養い、自分の意見も主張しながら、協力をしてプレゼンテーションやディスカッションを遂行していきたい。

担当教員からのメッセージ (大学教育研究センター 特任教授 髙橋裕樹)


後期の英文学科の企業連携プログラムには、全国に子育て支援施設約160カ所運営されているどろんこ会グループの高堀雄一郎様にお越しいただき、「インクルーシブ教育を阻む教育課題」や「耕作放棄地」という社会課題について問題提起していただき、グループに分かれ課題解決プレゼンテーションを実施し、最優秀グループに表彰と賞品をいただきました。
お忙しい中、ご参加いただき感謝申し上げます。

2024年2月2日

保育園のインクルーシブ教育って?英文学科の授業でどろんこ会とのコラボが行われました。 

11月17日に文学部英文学科対象の「実践キャリアプランニング」(担当:髙橋裕樹特任教授)の授業で、社会福祉法人どろんこ会(以下、どろんこ会)との特別コラボが始まりました。代表の高堀雄一郎氏が登壇され、インクルーシブ教育や「福祉×農業で地域や日本をよくするための挑戦」についてお話下さいました。授業の最後には地域、農業について考える課題が出され、学生たちは12月にプレゼンテーションに挑みます。

子どもの成長を高める保育園を

どろんこ会は、3つの法人は保育園運営、2つの法人は農業に関わる法人からなるグループです。
きっかけは高堀氏が大学生の頃に始めた学習塾でした。小中学生を対象に英語や数学を教えていたと言います。中には障害を持った子や不登校の子も。
様々な子に触れ合う中で「偏差値の良い学校に行くことよりも、その子なりに努力し、成長することが素晴らしいのだと気付いた」と言います。
自分自身も成長したいと思い大学を卒業後、塾は後輩に託し高堀氏は就活する道を選びました。

高堀氏は結婚後、子どもを認可外保育園に預け共働きをしていました。
しかし預けられる時間が限られていたり、外で遊ばせてもらえなかったりなど保育園の制度に疑問を抱きます。
子ども・保護者・保育者・地域の4者とも満足度の高い保育園が必要と感じた高堀氏は、25年前に夫妻で認可外保育園を始めたのです。

生きる力を育む保育園

どろんこ会の信条は「本物の体験を通じ生きる力を育む」。
園庭を広く取り、鶏を飼い田んぼもあり日々の生活の中で、子どもたちが多くのことに触れ合えるようにしています。
遊具はなく、子どもたち同士で遊びを作っていくスタイルです。

認可と認可外の大きな違いは補助金が出ること。そのため認可外は経営が厳しいのが現状です。高堀氏も休みなく体を張った運営を行いました。初年度は休日3日。それでも自然と触れ合う教育方針は評判を呼び、定員は徐々に満員に。さらに転機になったのは、待機児童が問題になっていた埼玉県朝霞市から、認可を取って社会福祉法人としてやっていかないかとの打診でした。それが「どろんこ会」誕生のキッカケです。

インクルーシブで子どもを預かる

どろんこ会の大きな特徴が「インクルーシブ教育」です。
障害のある子は別の保育室に分ける分離教育が一般的な中、子どもたちを障害の有無で分離せず 一緒に保育をしています。子どもたちは個性がばらばら。
「子どもたち同士がコミュニケーションを取ることで生きる力が育まれると気付いた」と高堀氏。
自然な触れ合いの中で、発達支援も行っています。

ただ、完全に一緒に運営していくにはいくつも壁がありました。
認可保育園のため、役所から教室を分けるように指導があったのです。最初の施設はやむを得ず分離しましたが、徐々に入り口や事務所を共用にする工夫をしてきたと言います。
高堀氏は、大切なのは「理想実現のため粘り強く戦えるか」と話します。
役所に代わり内閣府規制改革推進室や議員と意見交換を行い、課題を訴えたと話しました。

高堀氏は「子育て保育領域に優秀人財の流入が大事」と語りました。
今まで保育園に勤める人は子どもが好きという人がなるものでした。
ただ、子どもたちは5、6年保育園で過ごします。
高堀氏は子どもが保育園でどう過ごすかで人格形成に大きな影響を与えると考え、「この間に生きる力を育めるかで日本の未来が変わる」と語りました。
そのためには「優秀な人材が参画することで収入も得られる業界であり、循環にしなくてはいけない」という目標も話されました。

農業における課題

どろんこ会では農業経営も行っており、新潟県南魚沼市で農薬をほぼ使わず米の生産を行い、保育園の給食に使われています。
子どもたちに田んぼに触れ合う経験を持たせたい、それも年に1回の収穫だけでなく日常的に関わらせたいという思いから、23年前に農家に直談判したことがきっかけです。
そこから縁が出来て、株式会社南魚沼生産組合の設立に至りました。

ここで学生たちに課題が出されました。
テーマは「農作放棄地が年々増えている現状に対してどのように対応するべきか」。
南魚沼市では、中山間地で耕作放棄地が増加しています。中山間地とは山の斜面のことで平地よりも農業がしづらい地域です。
ただ、手入れされていないと雨水などによる洪水や土砂崩れの危険性も出てきます。
また、最近ではイノシシなど鳥獣被害も。

しかしコメ作りは肥料、燃料、人件費など様々なお金がかかり、時間もかかりますが収入は多いとは言えません。
そのためなり手不足が深刻となっています。耕作放棄地は、売買したり建物を建てたりすることが難しいということもあります。
この課題をどう解決するかを学生たちが考えます。
日本でどこも行なっていなさそうな新規性、仕組み化できる継続性、実現性があるかが評価基準です。

失敗を失敗のままにしない

授業の最後には質疑応答の時間が取られました。
学生たちは掲示板機能で質問を行い、高堀氏に回答いただきました。
「保育園の現状の課題は?」という質問には「インクルーシブを推進しているところが少ない。そのため職員の認知が進まない。どう全国に広めるかが課題」と話しました。
「今まで辛かったことは?」という質問には「サラリーマン時代に頑張りが評価されなかったことは辛かったが、自分でやりはじめたことは、いくら休みが取れなくても辛いと思ったことはない」と話されました。

学生たちはこれまであまり触れることのなかった、インクルーシブ教育や農業について知る貴重な機会となりました。

~12月に行われた、学生のプレゼンの様子はこちら~

2024年2月2日

原材料から育てるこだわりを知る。「国文学マーケティングプロジェクト」の授業で叶 匠壽庵とのコラボ授業が行われました。~後編~ 

2023年11月に、文学部国文学科「国文学マーケティングプロジェクト」(担当:文学部国文学科 深澤晶久教授)の授業の一環として、連携企業である株式会社 叶匠寿庵(以下、叶匠庵)の本社がある滋賀県大津市の『寿長生の郷』を訪問しました。 当日は、角田人事部長からのオリエンテーションに続き、西垣執行役員からの講話、社員による施設視察、そして陶器づくりなど、約5時間の滞在期間をフルに活用し、企業の理解に繋げる内容を体験しました。その後、舞台は再び渋谷キャンパスに戻り、学生たちは課題として出されていた叶匠庵の「企業案内」を制作しプレゼンに挑みました。
 ~前編はこちら~

『寿長生の郷』訪問

国文学科の学びとビジネスを結び付けるという全く新しい視点でスタートした「国文学マーケティングプロジェクト」の最大の山場に位置付けた視察研修、4回目を迎えた本年は、新型コロナウイルスの状況も落ち着いており、また、昨年に続き最高の天候にも恵まれ、履修学生9名とともに素晴らしい体験をさせていただきました。叶匠壽庵様は、本年も本学への対応について、芝田社長をはじめ多くの社員の方からは最大限のご配慮とおもてなしをいただき、意義ある時間となりました。

商品名、広報誌、そして包装紙など、様々な部分に万葉集とのつながりがあるなど、国文学と現代企業に極めて深い関係性を再認識するなど、この授業で目指した学びへの進化に繋がったものと考えています。 学生たちは、この視察研修で得た知見や学びを生かし、それぞれの感性や美意識を生かした「企業案内」の制作に取組みます。

学生の声

 お菓子に使用する梅、柚子、蓬などを自社で作り、良い素材から良い商品を作っている様子を実際に見ることができました。また、自然や昔からある建物、道具をできる限りそのままの形で残していくための取り組みを肌で感じ、今社会に求められている持続可能性が如何に当たり前にしなければならないことなのかを改めて考えました。

 今回の訪問を通して、企業理念から伝統文化まで幅広く学ぶことができました。とくに農作物を育てたり、動物を飼ったりと、全て自らの手で取り組んでいることを知り、意識の高さを痛感しました。また、社内の人と連携をとりそれぞれが個性や強みを活かして働ける場所であると感じました。このように、今回感じたことを就活にも活かして行きたいと思います。

 視察を通し、現地では里山に残る自然だけでなく、社会の未来についても考え実践する企業の姿に感動しました。また今回数多くお会いした社員の方々の仕事への真摯な姿勢を拝見したことで、自分の考える社会人像がより明確に固まりました。

最終プレゼンテーション

1月11日の授業では、叶匠壽庵の角田人事部長、伝統工芸士の吉田様に、オンラインでご参加いただき、8名の学生が作成した「企業案内」のプレゼンテーションを行いました。バラエティー豊かなそれぞれの作品に対し、両氏から温かいフィードバックをいただきました。

そしてこの授業のフィナーレは、吉田氏のご指導のもと、『寿長生の郷』で制作に取り組んだ陶器の披露でした。2か月にわたり、心を込めて焼き上げていただき完成した陶器をみて学生も感動の声を挙げていました。
世界に一つのオリジナル陶器を手元に、角田部長と吉田様を囲んでの記念撮影を行い、授業は終了しました。

学生の感想

今回この授業を受けて、国文学をマーケティングに活かしている企業があることを知ることができたことがまず私にとっては大きかったです。専門性を活かすのはとても難しいし、ほとんどの国文学生は一般企業に就職しますし、おそらく私もそうだろうと思っていました。しかし、一般企業に入っても大学で学んだ国文学の専門知識が活かせるかもしれないと知ることができて、企業選びの一つの基準にもなりました。また、国文学がマーケティングを学ぶきっかけにもなりました。マーケティングと聞くと身構えてしまい、今後のために必要な知識だとは分かっていながら積極的に学ぼうとはしてきませんでした。しかし今回、資生堂や叶匠壽庵の国文学を活かしたマーケティングの講義を聞き、また『寿長生の郷』を訪れて興味を持ちました。持続可能で長く愛される場所・商品・企業や、従業員の方同士のコミュニケーション、お客様との交流を間近でみることができました。教室での座学やインターネットで調べるだけでは分からないよりリアルな姿を知ることができたのが良かったです。

近年ではインターネット上に様々な情報が溢れ、その影響を無意識のうちに受けていたのか就職活動を進める程、どこか自分の軸ではなく、他人から見てどこがいいのかと考え、経済的・時間的ゆとりのある人間になりたいような、自信がないからこそ人に決めてもらいたい気持ちが増えてきていました。しかし、叶匠壽庵様に伺った際に改めて自分軸で幸せな人生を作る大切さ、角田部長の言われた「自分らしく働ける場所」の大切さを考えさせられました。就職活動を行う中で大企業、専門職など働いている人が凄く特別な人に自分にはなりえないような大人だと感じられますが、その人も普通の人で自分と同じように悩み考えている人間だと認識でき、そのことから「自分を変に着飾らなくていい」と言われているように思いました。

本講義を受けて、「自分らしく働ける場所」「無理のない背伸び」「自分の本当の軸」を大切に着飾らなくていいような業界や業種を見つけていきたいと思いました。また深澤先生自身も何十年もたって教師として大学に勤めているということを聞き、焦らず「今」の納得内定先を見つけていきたいと思います。

担当教員からのメッセージ

この講座も今年で4回目、資生堂の大木企業資料館長、叶匠壽庵の角田人事部長をはじめ、本当に多くの方に支えられていることを改めて深く感じています。これも、資生堂様や叶匠壽庵様が、人を大切にする経営を実践されているからであり、その温かさは年々増していることすら感じています。

そのような中、今年も9名の国文学科3年生が履修してくれました。渋谷キャンパスでの講義、『寿長生の郷』の訪問など、多くの経験を通じて学びを深めてくれたものと感じます。普段学んでいる国文学というものの大切さを、企業活動を通して実感することが出来れば、今の学びの深みや重要性に対する理解がより高まるものと考えています。

本講座に関わって下さった全ての方と、真摯な姿勢で授業に臨んでくれた学生に感謝いたします。

2023年11月28日

女性が前向きに生きる秘策とは?「社会学概論」の授業でサニーサイドアップグループ社長の次原悦子氏による特別講演が行われました。

10月11日に、1年生対象の「社会学概論」(担当:人間社会学科 原田謙教授)の授業で、株式会社サニーサイドアップグループ(以下、サニーサイドアップ)の代表取締役社長の次原悦子氏による特別講義が行われました。さまざまなモノやヒトをPRして「たのしいさわぎ」を起こしてきた会社を起業した経緯や、女性が前向きに世の中を生きていくための秘策を明るく話されました。

17歳で起業!

学生たちは予習としてサニーサイドアップグループの企業サイトを見てくる課題が出ていました。
講演の前に原田教授から「サイトを見てどのような会社だと思ったか一言で表現してみよう」とアンケートが。集まったワードは明るい、楽しそう、おしゃれ、自由などポジティブな言葉が並びました。わちゃわちゃ、元気などの表現もあり、学生たちもすでにパワーを感じ取っている様子です。

登壇された次原氏も「今日皆さんに会えるのを楽しみにしてきました。
少しでも役に立てる話が出来たらいいなと思っています」と講演を始められました。

サニーサイドアップは、1985年に次原氏が若干17歳のときに創業されたPR会社です。
当初は朝から晩まで働き詰めでしたが、「自分が社会に参画できることがとても楽しかった」と言います。

マンションの一室で始まった会社は少しずつ大きくなっていき、1995年当時まだ無名だった中田英寿元サッカー選手らトップアスリートと契約。2005年には世界的ムーブメントとなったホワイトバンドプロジェクトを手掛け、最近では商業施設やさまざまな商品・サービスのPRを手掛けています。

   ※「黒子に徹する」という次原悦子氏本人の方針により、顔にめだまやきを載せております。

PR・ブランドコミュニケーションってどういう仕事?

次原氏は「PR・ブランドコミュニケーションという仕事は、世の中にまだ知らないモノやヒトを、付加価値を付けて知らせて話題にしてもらい、最終的には行動してもらう仕事です」と話しました。
伝達するだけでなく、その先の購買などのアクションに繋げてもらうことが目的です。

例えば、今は専門店もたくさんあるパンケーキもその1つ。
ハリウッド俳優が映画撮影の合間に食べにくる小さなカフェに目を付け、「世界一の朝食」と大々的に打ち出しました。

このキャッチコピーは「誰も言っていなかったのですがPRでは言える技です」と次原氏。
それまでパンケーキと言えば、日本では家庭でお母さんが焼くおやつだったものを「カフェのテラスで食べるおしゃれな朝食」というイメージを浸透させました。「PRは日陰の仕事ですが、今では皆が知っていることを仕掛けていたんです」と話しました。

女性が活躍する社会のための企業の在り方

「PRはメディアやニュースを使いますが、その手法を使って社会課題の解決にも取り組んでいます」と次原氏。
話題は女性活躍へ。
日本はまだまだ女性の社会進出が遅れていることが課題です。
ただ次原氏は「女性が活躍することで経済が動きます」と話します。女性が購買を決定する割合は7割と言われています。圧倒的に女性が買うものを決めているのです。
しかし、その売るものを決めるプロセスに女性がいないのはおかしいのでは、と次原氏は訴えました。

日本も2030年には役員に占める女性比率を30%以上にすることを目指しています。
現在は9.1%と、ハードルの高い目標ですが少しずつ頑張っています。
その中でサニーサイドアップは女性が社長であり、グループ全体で取締役の50%が女性とのこと。
全従業員でみても6割が女性と、女性が活躍している企業の筆頭なのです。

世の中をしぶとく生きるために

その中で次原氏は「女性が世の中をしぶとく生きていくための秘策」を12個、教えてくださいました。

1つ目は「自分にできないことを知る」。自分よりもできる人を見つけて頼ることが大切と話します。次の秘策は「忘れよう」で、「自分で思っているほど他人は気にしていません」と、くよくよ思い悩まないことも大事と話しました。
その他にも、「ご縁を作ってくれた人のことを忘れない」や「情報を効率よく入れよう」、「解釈を変えるだけで過去も変えられる」など、人生を前向きに生きていく秘策を惜しげもなく披露してくださいました。

目の前のことを一生懸命やる

講演後は質疑応答が行われました。
スマートフォンを使用した無記名のアンケート形式で「ちょっと直接聞きづらい質問」も募集。たくさんの質問が集まりました。
「ワークライフバランスはどちらを重視していますか」という質問に「どちらがどちらと考えていません。それぞれが必要なことで相互に影響しています」と答えられました。

「なかなか売上が成長しなかったときのターニングポイントは?」という質問には、「当時無名だったアスリートたちが活躍してくれたこと。でもそのアスリートたちへの繋がりも、そこまでに培った人間関係が作ったと思っています」と話されました。

就職に対する質問も。
「どんなスキルを持っていたら採用してもらえる?」には「リーダーシップが大事。小さなことでも自分からアクションできることがこれからの企業に必要」と回答。

「どんな行動をして未来を変えましたか」という質問には「起業した当時は未来の夢や目標はなかった。目の前のことに没頭し一生懸命にやっていたら、だんだん自分の道ができていました」と話しました。

第一線で活躍する女性の貴重な話を聞くことができ、学生たちも未来を考える力になった講演でした。

担当教員からのメッセージ

人間社会学部には、ジェンダー、SDGs、広告・PRにかんする授業がたくさんあります。こうした分野の最前線で活動されている次原さんは、未来をみすえた企業が実際にどのように「行動」に移しているのかについて、とても具体的に説明してくださいました。
また、17歳で起業した次原さんのライフコースから紡ぎだされた「女性が世の中をしぶとく生きていくためのTips」は、これからの学生たちのキャリアデザインにとって参考になるものばかりでした。授業終了後の学生のコメントをみても、とてもポジティブな表現に溢れていました。
ご多忙の中ご講演頂いた次原さん、本当にありがとうございました。この場を借りて厚く御礼申し上げます。

2023年9月5日

自己分析して自分で選ぶ!「実践キャリアプランニング」の授業でホリプロとのコラボによる働くとは何かを考える講演が行われました。

共通教育科目「実践キャリアプランニング」(担当:文学部国文学科 深澤晶久教授)の授業で7月14日に株式会社ホリプロ(以下、ホリプロ)による特別講座が行われました。池橋敬雄氏と和田瑞希氏のお2人がそれぞれユーモラスな語り口で、「働くこととは」「仕事とは」についてお話くださり、学生たちも楽しみながらキャリアについて考える機会になりました。

ホリプロは芸能プロダクションじゃない!

始めは和田氏からホリプロとはどんな会社か、紹介がありました。
「みなさんホリプロと言えば芸能プロダクションのイメージがあると思いますが、総合エンターテインメント企業です」
と和田氏。

人々に楽しみや感動する瞬間を作ることで世の中を良くしていくというミッションのもと、エンターテイメント製作を手掛けています。

「ホリプロは作品と人をプロデュースする会社」
と言い、ドラマやバラエティーにとどまらず、舞台やお笑いライブ、楽曲製作など幅広いエンターテイメントを製作していると話しました。

ただ、ホリプロとしての看板であるのはやはりマネージメント事業。
日本を代表する俳優や女優のほか、バラエティータレントや芸人、アスリートや演出家、アナウンサーにVチューバー、歌手、声優…とさまざまなジャンルのタレントが所属しています。

社員の方の大きな仕事の一つとしてマネージャーとしての業務がありますが、「皆さんにはマネージャーという仕事をきちんとイメージしてもらいたいです」と和田氏。

マネージャーと言えば車での送迎、荷物運びなど身の回りの世話がイメージされがちですが、
「マネージャーとはタレントのプロデュースが仕事です」
と言います。ホリプロではマネージャーの車でタレントの送迎は禁止。付き人ではないと話しました。

自己分析をして自分にフィットする会社を探そう

和田氏は2005年にホリプロへ入社。
入社の動機は「可愛い女の子や流行が好きだった」と話し、自分が好きなものを広めていく仕事がしたいと思ったと語りました。

ただ、学生のときには
「自己分析なんて必要かなと思っていて、なあなあにしてしまった」
と話しました。

現在人事部で新卒採用にも関わっている立場から、
自己分析は「自分にフィットする仕事や会社との出会いのために必要」であると言います。

和田氏の考える「働く」とは「自分の時間や能力を使って社会に(誰かに)貢献する。それによって対価を得ること」と話します。

対価とは仕事を通じて得られるもの。何のために働くか、と問いかけた和田氏は「正直なんでもいいと思います」と語りました。お金、夢、人脈、やりがい…働くことを通じて何を得たいかはそれぞれですが「自分自身が本当に望んでいるものでないと幸せになれない」と強調しました。

仕事の選び方のポイントは「仕事を通じてどんな生き方をしたいか、何を手に入れたいのか」を自己分析することからはじめ、自分の得意なこと(能力)を使ってそれらを実現できる仕事を探すことだと伝えました。

自分で選ぶことの大切さ

続いての登壇はホリプロ・グループ・ホールディングスの取締役で経営管理本部長の池橋氏。
経理や人事を束ねる立場の池橋氏は
「自分がキャリアを語るようになるなんて思ってもみなかった」
と言います。

若いうちにキャリアを考えることは必要ですが、今決めたゴールにひたすら向かっていくのではなく都度考えて行動することの大切さを話されました。

池橋氏はドラマで見た東京に憧れ、大学入学時に上京。就活のときに中国は自転車やバイク社会であることを知り、中国に路面電車を引きたいと強く思います。
企業の情報を得るにも苦労する時代でしたが、車両製造業や商社など手当たり次第にアピール。そこで鉄鋼会社に縁があり就職します。渋谷の再開発事業に関わり、「街を作る」ということに面白さを感じていたところ、工場立ち上げのため中国に赴任。そこで現地の人員と信頼関係を築き、より良く働けるルールを作ることにより、仕事の成果が上がったことで人に関わる仕事がしたいと思うように。

その後ホリプロに入社した理由は「人の価値を極大化するビジネスを行っていると思った」からと話しました。

「仕事は3つに分類できると思っています」と池橋氏。
それは、やらなきゃいけない仕事、やれる仕事、やりたい仕事。やりたいことをやるためにはやらなきゃいけない仕事に一生懸命取り組み、やれることを増やしていくことが大切だと語りました。

そして「今までの転職などもすべて自分で決断してきた」と話し、自分で選んだから今があると思えるように、自身で選択することの重要さを語りました。

自分の能力を見つけるには?

講演後、学生たちはグループで感想を話し合いました。
そして質問をリアルタイムで掲示板に投稿。
深澤教授が読み上げる形で質疑応答が行われました。

「自分の能力を見つけるために、学生のうちにやった方がいいことは?」
という質問には和田氏は
「自分が面白そうと思ったことに首を突っ込む、いろんな人に会いに行く」と話し、

池橋氏は
「興味がないことをあえてやるのもいい。意外と面白いこともある」
と回答しました。

たくさんの質問の中には、池橋氏に対して
「まだ中国に路面電車を引きたい?」というものもあり池橋氏は
「引きたい」と力強く答え、学生たちも笑顔に。
「ただ今では、あの時の気持ちは、自分が役に立ちたいという思いだったと気付きました」と誰かの人生に影響を与えたい一端だったと回答されました。

学生たちは楽しみながら「働くとはどういうことか」を考える知超な機会になりました。

担当教員からのメッセージ

今年初めてお迎えしたホリプロ様、お二人のお話しは、リアルな体験談をふんだんに盛り込んでいただいたこともあり、学生はあっという間に引き込まれてしまいました。お二人に共通する点は、やはりご自身の軸をしっかりと築かれ、変化を恐れずに行動を積み重ねてこられたキャリアデザイン、思うようにいかなくても、決して諦めることなくチャレンジを続けることでした。一見する華やかに見えるエンターテインメントの世界も、それを支える方のご苦労は大変大きいものがあると、改めて感じました。貴重なご講演をいただけたことに心から感謝申し上げます。

2023年5月18日

美学美術史学科の学生が日本紙通商(株)(日本製紙グループ)との協働プロジェクトで防水ダンボールの新商品のプレゼンを行いました。

3月23日(木)に美学美術史学科の学生たちが、日本紙通商㈱(日本製紙グループ)の皆さまの前で防水ダンボールの商品のプレゼンを行いました。3月13日に御茶ノ水にある本社にお邪魔して、アイデア出しをした中から選定しブラッシュアップを重ねました。学生たちは直前まで資料を作りなおし、新たな防水ダンボールの可能性をプレゼンしました。

防水ダンボールを子ども向け商品に

最初の発表は子どもの歯固め「もっしゃー」。歯が生えてくるむずがゆさを解消し噛む練習になるアイテムです。口のなかに入れるものなので衛生面が第一。そのため汚れたらすぐに捨てられるダンボールを使い、外出用など洗わずにすむものを提案。商品名は、学生たちが実際にかじってみた触感から名付けました。
発表後は、企業の皆さまからコメントをいただきました。「防水ダンボールそのものは口に入れられないのですが、食品用のボール紙で作ったら面白いのでは」と感想がありました。

次も子ども向けの商品の提案。「あめるんるん」は子ども用のレインコートです。キリンやウシの動物の模様が印刷されたケープ型レインコートで、動きやすく付け外しも簡単。着ぐるみ的要素もあるため、雨の日も子どもも楽しんで着られます。子どもは成長が早いためすぐサイズが合わなくなり新調する必要がありますが、ダンボールならコストも抑えられます。発表後には「思いつかなかった案で面白い。動物園とのコラボもできるかも」と着眼点に感心されていました。

3番目の「ぱずさりー」は小学生をターゲットにした知育玩具です。形をきりぬいて、ひもでつなげたりシールを貼ったり、ものづくりができるアイテムです。名前はパズルとアクセサリーの造語で、遊び終わったらパズルのようにはめ込んで片付けられるところから。実際に試作品を作ってプレゼンしました。
企業の方からは「商品化できるかも」「レベルアップしたものをつくれば大人用も作れる」などの意見も出ました。

大人の癒しに防水ダンボールを

次の発表は「カプセルトイ」という斬新な案。カプセルトイ市場は拡大しており、植物を育てるキットなども販売されていることに注目。ダンボール製カプセルがそのまま鉢になり、ハーブや雑草を育てるというものです。大きなサイズでは野菜や木の苗を育てられるものを提案しました。
発表後「似たような商品は実は既にあるが、中身をアップデートするのは良い案」とコメントをいただきました。

次の「段ルーム」は簡易サウナになるダンボールハウスです。従来品は大きく保管に場所を取り、高価なことが難点でした。防水ダンボールであれば自宅で手軽にサウナに入れ、リーズナブル。持ち運びも簡単なのでキャンプにも最適です。サウナは睡眠の質を改善するデータを提示し、市場も拡大しているとアピールしました。
コメントでは「防水ダンボールと相性がいいと思う、実現可能性が高い」「サウナに興味があるけれど迷っている人も気軽にできそう」と好感触の感想をいただきました。

「段ルーム」はもう1案あり、子ども向けの秘密基地も提案されました。子どもが自分で組み立てられ、絵を描いたり塗ったりオリジナルでデザインできます。防水ダンボールは丈夫で水にも強いので、子どもが遊んでも安全です。
コメントでは「犬小屋などもいいかも」などの意見が出ました。

既存のものを防水ダンボールで作ると?

次の発表は御茶ノ水本社でのアイデア出しのときも話題となった「棺」です。名前はダンボールに「安らぎ」を加えた「Danboarest」。最初に現在葬儀にかける費用が減少傾向にあることがデータで示されました。防水ダンボールの棺であればエコに配慮し経費も削減できます。また、棺の形をカスタマイズしたり、色やデコレーションパーツで彩ったりも可能です。親族や本人、アーティストのデザインや「推し」を全面に出した「痛棺」も提案されました。用途も人に限らず、ペットやぬいぐるみなど大切なもののお焚き上げという提案もありました。「とても興味深かったです、お焚き上げの案も面白い」とコメントもいただきました。

次は「アイシャドウパレット」。プラスチック製では落としたとき壊れやすいですが、ダンボールでは破損を防ぎます。類似品は海外製ではありましたが、パッケージがシンプル。紙パッケージのものは日本製でもあり、デザイン性や種類も豊富でした。今回はダンボールらしさを追求した、「みかん箱」や「りんご箱」を模したデザインを提案。10~20代がパケ買いしたくなる可愛らしさや面白さをプレゼンしました。「素晴らしい練り具合。コスメ会社も環境配慮に敏感のため実現性がある」と、感嘆の感想もありました。

最後は「花型絵具セット」です。筆洗器のフタにパレットをつけ、持ち運びが簡単なお絵描きセットです。旅行やアウトドアで気軽に絵を描け、思い出作りにも最適です。発表後には「複雑な形状だと水がもれないようにするのが難しいかもしれないが、紙コップなどを転用すればできるかも」といった意見がありました。

春休みの特別プロジェクト

全員の発表が終わり、最後に水田氏から講評をいただきました。「皆さん本当にお疲れさまでした。ここまで短い時間だったのに、想像以上の出来でした。我々も勉強になり刺激になりました」と学生たちの頑張りをねぎらいました。また、「せっかく良い案がたくさん出たので、今後引き続き一緒にやっていけたらと思います」と言葉もいただきました。

授業外の有志の社会連携プロジェクト。学生たちは春休みの時間を使い、アイデア出しから選定、企画を作成しました。市場調査や資料作りも限られた時間のなかで、ぎりぎりまで作成しました。プレゼンは初めての1年生もおり、実際の企業の方に見ていただき意見をいただく貴重な経験となりました。

2023年5月18日

美学美術史学科の学生が日本紙通商(株)(日本製紙グループ)との協働プロジェクトで防水ダンボールの新しいアイデアの創出を行いました。

2023年3月に美学美術史学科の下山肇教授のもと、日本紙通商㈱(日本製紙グループ)協同プロジェクトが行われました。「防水ダンボールの新しい使用方法をデザインする」ため学生たちは、女子大生ならではの考えや感性を活かしてアイデア出しを行いました。3月13日(月)は、なんと本社に伺い、社員の方々にアイデアの卵を見ていただく貴重な機会になりました。今回人気のあったアイデアをまとめ、後日最終プレゼンテーションに臨みます。

アイデアの出発点は自分の好きなもの

場所は御茶ノ水にある、日本紙通商㈱(日本製紙グループ)の本社内。
学生たちは少し緊張しつつも、初めて実際の企業のなかに入る貴重な経験になりました。

まずは下山教授から今までの概要が説明されました。先日、日本紙通商㈱(日本製紙グループ)の皆さまが大学を訪れ、学生たちは防水ダンボールを実際に見せていただきました。
そこで感じたことを活かし、新たなアイデア創出するためこれまでに6回話し合いを行ってきました。
女子大生ならではのアイデアを活かすため、出発点としたのは
①今自分にとってホットなもの、こと ②今ほしいもの ③(防水ダンボールから発想して)水と言えば何?の3つ。

まずは防水ダンボールそのものからは離れ、自分の好きなものなどを挙げていきました。
タコ焼き機、コスメ、ゲームやアニメ、映画、サウナ、一人旅、アウトドア、編み物、ランドセル…。
さまざまなものが提示されました。

③では水彩絵具、お風呂、ペットボトル飲料、洗濯やトイレといった素直な連想から、水害や水ようかんといったものまで。
「そうして抽出したものに、一見かけはなれた印象の防水ダンボールをくっつけたときに、いったいどういうことが考えられるだろうかということをみんなで話し合い、たくさんアイデアを出してきました」
 アイデア出しには3つのポイントが。
 ・発想は中途半端なところで終わらせず、とことん突き詰めること。
 ・一つの価値観を裏返して反対の意味をくっつけたらどうなるか考えてみること。
 ・遠い属性と思われるものをくっつけてみること。
この3つのやり方で、「質より量」とアイデアをとにかくたくさん出しました。

面白いアイデアに投票しよう!

「今までの社会連携のやり方ですと、最後まで提案の検討が終わったあとに連携先企業へプレゼンテーションを行い、その結果に対して企業の方が評価をしてくださることが多かったのですが、今回は案が固まる前にアイデアに対していっしょにディスカッションを行いたく、時間を取っていただきました」と下山教授が今回の意図を説明すると、アイデアが部屋いっぱいに並べられました。机だけでは足りず、床にも所狭しと並べられます。その数は80個以上。こんなものがあったらいいな、面白いなという発想からスタートしたまだ柔らかいアイデアの数々です。

例えば「雨×防水ダンボール」というアイデアでは、「リサイクルできる傘」として、安価でビニール傘の代替品になる「ダンブレラ」が考案されていました。また「楽器×防水ダンボール」ではダンボールを組み立てて作るドラムセットという、面白いアイデアです。

企業の方も含め、学生たちにはシールが配られました。この日行うことは、全てのアイデアを見てそのなかから自分が良いと思ったものにシールを貼ってアイデアを絞り込む作業です。シールの色は3種類。ピンクは「最も成功する可能性が高そうなアイデア」、緑は「最もユーザーを喜ばせると思えるアイデア」、青が「最も画期的なアイデア」にそれぞれ貼っていきます。シールは色ごとに4枚まで貼ることができます。

アイデアはひとつひとつどれも新鮮で興味深く、企業の方々も「どれにしようか本当に悩む」「決めるのが難しい」とうなり、学生たちの発想力に感心していらっしゃいました。

人気を集めたアイデアは?

全員がシールを貼り終えると、シールの数が多いアイデアが発表されました。「衛生的に使える使い捨てまな板」や「子どもに人気なアニメのアイテムを模したしゃぼん玉機」、「自転車のかごカバー」や「子ども向けダンボールハウス」などが挙げられました。「アイシャドウパレット」には、軽くて持ち運びやすく、落としても割れないパッケージという利点あり、多くのシールが貼られていました。

「筋トレできるダンボール」を考案した学生は「成長×ダンボール」から発想。箱型のダンボールを棒の端に2つ付け、水を入れてウェイトトレーニングできる器具を発案しました。「汗をかいてもすぐにお風呂に入れる」などのメリットを挙げていました。

特に人気を集めたアイデアが「棺」。アイデアを出した学生は「自分が参列したお葬式で、棺はシンプルな木製のものしかなく、地味に感じた」といいます。「ダンボールなら印刷もできるし、自分が死んだときに自分の手で描いたものも良いなと思いました」と自分の体験から発想したことを語りました。発展して「ペット用の棺があればいいなと思った」という意見も出ていました。

本当に商品化できる?最終プレゼンへ!

最後に企業の皆さまから感想や気になったアイデアを伺いました。アウトドアがお好きだという方からは「カヌー」案が推されました。「アイシャドウパレット」を推した方は、「実は今、アイシャドウのチップを紙ストローで試作しているんです」と、併せて進められそうと実現可能性を感じていらっしゃいました。

全員が投票し、絞られたアイデアは20個ほど。ここからさらに何案かを選び出し、ブラッシュアップして3月23日(木)の最終プレゼンテーションに臨みます。

2023年2月14日

頭で考えるより手で考える!「グローバルキャリアデザイン」の授業でレゴ®︎シリアスプレイ®︎の体験が行われました。

全学部対象科目「グローバルキャリアデザイン」(担当:文学部国文学科 深澤晶久教授)の授業で、1月17日(火)に「レゴ®︎シリアスプレイ®︎の技法と教材を活用したワークショップ」(以下、LSP)を体験する特別講義が行われました。今回の授業は3・4限の時間を続けてじっくり行われました。蓮沼孝氏をファシリテーターに、学生たちは実際にブロックで手を動かして作品を作り、視点を変えてみることの大切さを学びました。

おもちゃで戦略を考える?LSPとは

「なんで子どものおもちゃを使っているんだと思う人もいるので」と蓮沼氏は自己紹介を始めました。
蓮沼氏は商社の出身。経営人材の育成・ヘッドハントに携わり経営者の育成プログラムの開発をしてきました。コミュニケーション方法や関与の仕方を模索していた際に「LSP」に出会います。

LSPとは、デンマーク発祥のおもちゃブロックを使って行われる人材育成の手法のひとつです。2001年に教育理論に基づいて確立され、2003年にはNASAが導入したことで有名になりました。LSPは「全員が参加できる会議を作る」目的で作られました。
一般的な会議では2割の参加者が場を取り仕切り、8割の人が聞いているだけと言われます。
「でも残りの8割の人たちもちゃんとアイデアも持っており、その場に貢献したいと思っています」と蓮沼氏。その人たちも参加できる会議を行うための手法として、キャリアプランやアイデア創出の場でLSPが使われます。
LSPはファシリテーターの誘導によってレゴブロックを使うことで、人種も性別も年齢、地位も様々な人が関係なく一緒に行える特徴があります。

頭を使うより手を使う!

「今回のワークショップの目的は、視点を変えるということです」と蓮沼氏は話します。
自分を客観的に見たり他の人のことや全体を俯瞰してみたりすること。
同じ作品を見ていても、人はそれぞれ違う点に注目しています。他人が自分の作品を見た感想を聞くことで、新たな自分に気付くことも大切です。

基本の流れは、作品を作り、作品に意味を与え、他者へ語り、聞く。大切なのは「頭で考えず手で考える」ことです。
頭で考えて設計せず、触ったブロックを使って作り始めることが大事なのです。
作品が出来たら対話を行いますが、ここでも大事なことが。「その作品を通して語り、作品を通して問う」ことです。人の反応を見るのではなく、自分の感じたことを素直に伝えることが重要です。

ブロックで作品を作ってみよう

いよいよ演習が始まります。
学生たちに配られたケースのなかには50個のブロックが。
蓮沼氏から「このブロックを使って高いタワーを作ってください」とお題が出ました。

目の高さ、頭の高さを目指して、ブロックをつなげます。ブロックを縦にしたり横につなげたり。5分後には様々な形のタワーが出来上がりました。班でできたタワーを見て、作った人がこだわりを語り他の人が感想を言います。
安定を目指した人、最初に先端を作った人、色にこだわった人、作り方もさまざまです。
感想も「高くてすごい」「かわいい」などが飛び交っていました。

次はブロックを10個選びました。
周りの人と自分の選んだブロックを比べると「みんな違うものを選んでいますよね、これが個性なんです」と蓮沼氏は語りました。
そして、次のお題は選んだブロックで「ふしぎな生物作り」。
ブロックを組み合わせているときは、学生は皆真剣です。
作品ができたらまた班で対話します。
ケンタウルスみたいな神話の生き物、移動する植物などなど。
「どうやって動く?」「これは手?」など質問も活発です。「真ん中が黒いのは腹黒いってこと?」「そうかも」なんてやりとりも。

すると蓮沼氏から
「これは実は皆さんの3年後の自分なんです」と衝撃のお題が。
作った生き物を通じて、自分の将来について語ることに挑戦しました。
「皆に幸せを振りまく存在」「花を咲かせて世界平和を広める」など、不思議な生き物のプラスイメージを取り出し、なりたい自分を投影していました。

続いて蓮沼氏は
「ヒュッゲって知っていますか?」と5枚の写真を見せました。
ヒュッゲとは、レゴ発祥のデンマークの言葉。ハートマーク、暖かそうな部屋、笑顔の家族などが写されました。
「これらは全部、ヒュッゲです。皆さんがつかんだイメージを元に作品にしてください」と、蓮沼氏はヒュッゲとはなにかあえて説明しません。
学生たちが作った作品は「日常の何気ないしあわせ」「居心地の良い部屋」「花が咲いていて安らげるところ」など、ポジティブなイメージのものが多く出来ました。「あったかいイメージから連想して、太陽に近づけるタワー」を作った学生も。自分の思うヒュッゲが1つの班に4つできました。

「その4つのヒュッゲを1つのストーリーにしてください」と蓮沼氏。
異なる視点で作られたものを集合するとどうなるかを体験します。全員が参加し自分の思いや意見も反映されることが大切です。成長の物語や、癒しや尊さに気付くストーリーが作られました。

ウェルビーイングに貢献する事業とは

次はいよいよ大きな課題に挑みます。
テーマは「都心(恵比寿・渋谷・新宿)で生きる人々のウェルビーイングに貢献する新しい事業を作る」。
より充実した生き方ができるような事業を作品にします。ブロックは教室の真ん中に大量に広げられたものをすきなだけ使ってOK。時間は10分です。ブロック選びも頭を使わずに、手元にあるものから作っていきます。

出来た作品は多彩です。具体的なもの、抽象的なもの、大きいもの小さいもの、カラフルなものとさまざま。
「知らない人同士でも悩みを共有できるカフェ」「心に抱える意見を吸い上げられるタワー」などいろいろな作品がありました。
発表が終わると蓮沼氏は「他のメンバーの作品のなかで、あなたは何をしてみたいですか?」と問いかけます。
学生たちはこの人の作品のなから私はこういうことができる、もしくは自分のアイデアと組み合わせたら面白い、ということを話しあいました。

視点を変えることの大切さ

最後に、各班で今日の気付きを話し合い、発表しました。
「当たり前かもしれないけれど、同じパーツを使っても違うものが出来上がった」という気付きや、
「作品はそれぞれ違うけれど、公共性や多様性を大切にしたい思いは共通していた」という感想などが出るなか、
「自分は何がしたいのかを改めて考えるきっかけになりました」や
「就活で不安ななか、やりたいことを話し合える有意義な時間だった」という感想もありました。

蓮沼氏は「自分が持っているアイデアだけでなく、複数の意見を知ることは話し合いだけでは難しい。今まで皆さんが考えていたキャリアというものの見方が、今回で変わっていたらと思います」と語りました。
学生たちは視点を変えることや他者の意見を聞くことの大切さを学び、楽しい授業は終了しました。

深澤教授の話

グローバルキャリアデザインにおいて恒例となった「レゴ®︎シリアスプレイ®︎の技法と教材を活用したワークショップ」この授業のスタートで案内した時、学生の反応の多くは、ブロックを使ってのキャリアの授業が全くイメージ出来ないものでありました。
しかし、実際に講座がスタートすると、その表情が一変します。なかなか可視化出来なかった、これからのキャリアの道が見えてきたり、自分自身の興味関心がを改めて浮き彫りになったり、そしてグループの仲間からのメッセージで自分自身の強みが明確になったりと、このワークショップの深さに驚くことになります。
毎年、多くのサポーターのご配慮をはじめ、格別なるご尽力をいただいている蓮沼孝様に、心から感謝申し上げます。ありがとうございました。