2021年6月18日

渋谷区との連携授業!「スタートアップ」をテーマに渋谷区グローバル拠点都市推進室の田坂氏が講演(5/26)

共通教育科目「キャリアデザイン(担当:文学部国文学科 深澤晶久教授)」では、2021年5月26日、渋谷区役所でスタートアップ支援事業を担当する渋谷区グローバル拠点都市推進室の田坂克郎さんをお迎えし、講演を実施しました。アメリカのサンフランシスコ州立大学大学院への留学をきっかけに、サンフランシスコ日本総領事館での勤務などを含め、長年にわたって「スタートアップの聖地」ともいわれるシリコンバレーを見続けてきた田坂さんから、ベンチャービジネス(起業)に関するお話をうかがいました。

渋谷区 グローバル拠点都市推進室
田坂 克郎 氏

学生たちにも身近な渋谷というエリアが
将来、世界的なスタートアップの街になる

 この日の講演では、最初に「スタートアップ」について解説が行われました。田坂さんによると「新しいテクノロジー、アイデアをもつ企業で、単年での事業拡大が事業計画に組み込まれている」ことを意味する言葉で、1990年代~2000年代にシリコンバレーで誕生。以来、世界のスタートアップの中心地となったシリコンバレーには、アメリカのベンチャー投資総額の40%にあたる600億ドル(約6兆円)が集まり、毎年3~4万社が起業されているそうです。

 そして、1990年代から日本を代表するベンチャー企業を生んできた渋谷区は、日本で最もシリコンバレーに近い文化をもつエリアとされています。そこで田坂さんは、将来的に渋谷区を世界的なスタートアップの街にするため、国内外のスタートアップビジネスを誘致、その活動を支援する「SHIBUYA STARTUP SUPPORT(SSS)」に取り組んでいるとのことでした。

「スタートアップ」について解説

「違和感」を大切にすることが
起業へとつながっていく

 講演中には「暮らしの中にある違和感」というテーマで、田坂さんが学生たちに質問。すると、「みんな同じでなければいけないという雰囲気」「就活は黒髪じゃないといけない」「男性が家事育児を『手伝う』ということ」「独身が下に見られがち」など、活発な意見が出されました。

 これに対して田坂さんが紹介したのが、日本初の更年期に特化したオンライン相談サービス『TRULY』を立ち上げた、女性起業家の二宮未摩子さん。二宮さんが起業に至るきかっけが、「女性のライフステージに寄り添うソリューションがない」という違和感だったということから、起業家(アントレプレナー)にとって「自分らしさの探究」、つまり自分の内側から出る違和感を大切にすることは、非常に大切であることが語られました。

学生たちから活発な意見が出されました

起業家を育成するために
渋谷区が行っている支援活動を紹介

女性起業家の堀江愛莉さんのコメントを紹介
起業家を育成するオンライン学校「SHIBUYA STARTUP UNIVERSITY(SSU)」

 ほかにも、シリコンバレーでの活躍からCNN「10 Visionary Women(10人のビジョナリーウーマン)」に選ばれた、女性起業家の堀江愛莉さんの「『自分らしい』をベースにしたリーダーシップがあってこそ、世界に通用するリーダーになれる」というコメントを紹介。起業家になるだけなく、企業などでキャリアを築いていくためには、「外側(社会)からの期待によって形成する自分」ではなく、「こうしたい、こうありたいで形成する自分」を大事にすべきであることが語られました。

 講演の終盤には、渋谷区が行っている起業家への支援活動も紹介されました。ひとつは、渋谷区と野村不動産、meeTalkが共同し、H1O神南に開設された起業家支援拠点。もうひとつが、起業家を育成するオンライン学校「SHIBUYA STARTUP UNIVERSITY(SSU)」です。いずれの活動にも、インターンやプログラムへの参加などをとおして、本学の学生たちも学びの機会を得ることが可能で、今後の展望が期待されます。

学生たちが自身のキャリアを考える
ひとつのきっかけとなった刺激的な講演

 講演が終了すると、田坂さんの興味深いお話に感銘を受けた学生たちから、たくさんの拍手が送られました。学生たちのアンケートからも、「渋谷区でスタートアップが生まれやすい環境をつくっていることをはじめて知りました」「起業することは自分に縁のない話だと思っていましたが、起業はしなくとも、自分が本当にやりたいことをやるチャレンジ精神は非常に参考になりました」「ベンチャーという選択肢があることを今の段階で知ることができてよかったです」「H1OとSSU。ぜひ機会があるならば参加させて頂きたいです」など、非常にポジティブな姿勢が感じられ、就活前に学生たちが自身のキャリアを考えるうえで、大きな刺激を得られる機会となりました。

講演終了後、興味深いお話に感銘を受けた学生たちから、田坂氏にたくさんの拍手が送られました

学生の可能性は無限!
社会のリアルを学生に伝えることで成長の機会に!

Zoom授業を進行する深澤教授

担当教員の深澤教授から授業後、以下のお話がありました。
「この授業では、様々な分野からのゲストをお招きし、社会のリアルな姿を学生に伝えることで学生の視野を広げ、視座を高めることを目指しています。しかし、スタートアップ企業に関わる分野のお話しは初めてでした。学生がどのような反応をしてくれるか不安もありましたが、かなり多くの学生が、田坂様からの今後のプロジェクトに参加したいと回答してくれており、本学学生の新たなる可能性を見いだせたというのが実感です。学生のポテンシャルは無限です。貴重なご講演をいただきました田坂様に、心から感謝申し上げます。」