社会連携プログラム
SOCIAL COOPERATION PROGRAM
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2023年7月20日

現代の社会人に求められるものって?「実践プロジェクトa」でサントリーの新人研修を考えるコラボ授業が行われました。

6月16日に1年生対象の「実践プロジェクトa」(担当:文学部国文学科 深澤晶久教授)で、サントリーホールディングス株式会社(以下、サントリー)とのコラボ授業が行われました。ピープル&カルチャー本部の斎藤誠二氏と下間智美氏から「サントリーの新入社員に行う研修計画の提案」という課題が出され、グループワークを行います。ミッションを正確に理解し、社会人に求められるものを考える難しい課題に、学生たちは早速活発に議論していました。

やってみなはれ!サントリーの企業理念

サントリーは学生にもなじみ深い総合食品メーカー。主力の清涼飲料水や酒類のほか、サプリメントなどの健康食品、外食業や化粧品など幅広く展開しています。
現在売り上げの約半分が海外によるもので、世界に約4万人の従業員がいるグローバルな企業です。

下間氏は「サントリーは創業者の思いを継承し挑戦し続ける企業です」と話します。
「やってみなはれ」という創業者の口癖は今やサントリーのDNAとなっており、失敗を恐れずに未知の領域に挑戦し続ける、あきらめずに最後までやりきる、ということを大事にしています。下間氏は「サントリーはさまざまな挑戦の歴史があります」と語り、現在のペットボトルコーヒーの開発を例に挙げました。これまで缶がメインだったコーヒーを、現代の働き方に合ったスタイルで提案。新たな市場を開拓しました。
下間氏は「ただ売上を出したいということではなく、新しい生活文化を提供して生活を豊かにして欲しいという思いで開発しています」と語りました。

もう1つ大切にしている価値観が「利益三分主義」。
得た利益を事業への投資だけに回すのではなく、お客様へのサービスや社会への貢献にも活用することです。クラシックコンサートを行うサントリーホールや、サントリー美術館など芸術文化に触れる施設の運営を行ったり、スポーツチームやイベントへの出資をしたり。
また環境を守る「天然水の森」という森林活動や、子どもたちへ水の大切さを教える「水育」もその一環です。

人材育成に大切なこと

今回の課題は人事部門に関わる課題ということで、人材育成についても説明がありました。人材育成の役割は経営側と社員のそれぞれの考え・方向性を一致させることが第一です。
サントリーが求める社員は、グローバルな視野と開拓者精神を持った人。変化をチャンスと捉え、自ら一歩踏み出しチャレンジすることができる人材です。
「サントリーの中だけで活躍するのではなく、企業を飛び出して世の中でも通用する人材であって欲しいと思います」と下間氏は言います。

人の成長を決める要素とは7:2:1の割合で「経験:育成:研修」と言われます。
今回の課題は研修の部分。
下間氏は「たった1割かと思われるかもしれませんが、新人研修は社会人になって最初の、基礎になる重要な研修です」と話しました。

サントリーの新人研修を考えよう!

ここで改めて課題の発表が。「皆さんはサントリーの人事部の新入社員です」と下間氏。
課題は大きく2つです。
企業を取り巻く環境をふまえて、今の社会人に求められるものを考えること。
その上でサントリーに入社する社員に対する具体的な研修計画を提案することです。

「サントリーがどんな新人研修をしているのかという情報は、あえて提供しません」と下間氏。
提案された研修が、実際に行われている研修と合っているかということを問うている課題ではなく、学生たちの視点で自由にオリジナリティ豊かにに考えてほしいと話しました。

課題をどう進めていくかを、下間氏は3つのステップで伝えました。

ステップ1は「ニーズを把握する」。
どんな人材が企業から求められているのか、さまざまな情報を集めることが大切です。
ステップ2は「ニーズの背景を知り本質的な課題の考察をする」。
なぜそのニーズが求められるのか、その理由まで深堀すること。
ステップ3でようやく「具体的な研修計画を提案」です。

下間氏は「重要なのはステップ1と2をきちんと考えることです」と念押ししました。
研修計画を立てると「こんなことしたら楽しそう」とステップ3から考えたくなってしまいます。
しかし、いきなりステップ3から考えてしまうとなぜその研修が必要なのか、本質を見失い中身のないものになりかねません。ニーズを把握し、背景や課題を整理した上で「本質的な課題解決を前提にした、地に足のついた提案をまとめてもらえればと思います」と、学生たちの提案に期待を寄せました。

なにが本質?ロジカルに考えてみよう

早速学生たちはグループに分かれ作戦会議。
期間は?規模は?求められる人材は「自分で考える力じゃない?」「企業は個性を育てたいのかも」などさまざまな意見が飛び交っていました。
斎藤氏と下間氏に質問をしたり、昨年同じ課題に挑戦した先輩にアドバイスを受けたり、少しずつ案を固めていきました。

課題の評価基準はロジカルかどうか。
斎藤氏は「仕事はアイデア勝負ではない」と話し、筋道が立っていて納得できるものが大事と語ります。「今回の課題は何が正しいというわけではありません。世の中の情報に正解を探しに行かないでください」とアドバイス。
自分なりに考えて議論する大切さを伝えました。

学生たちはグループワークで提案を深め、中間発表を経て1か月後にプレゼンテーションに臨みます。

担当教員からのメッセージ

本授業について、サントリーホールディングス様にご支援いただくのは3回目となります。「大学での学び方を学ぶ」という本講座の狙いを実現する大切なテーマへの挑戦です。言い換えれば、このお題を通して、今社会は、どのような人材を求めているのか、そしてサントリー様ではどのような人材を育成しようとしているのかを考えることになりますが、このことを議論することは、1年生にとっては、ここからの4年間何を学ぶべきかを考えることに繋がるのです。果敢に挑戦してくれることを期待しています。この場を借りて、サントリーホールディングス様の斎藤様、下間様に心から感謝申し上げます。

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