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2023年7月20日

人から好かれる要素は「明・元・素」!「女性とキャリア形成」の授業で日本マナー・プロトコール協会の明石伸子氏が人生とキャリアの選択について講演を行いました。

6月22日に、共通教育科目「女性とキャリア形成」(担当:文学部国文学科 深澤晶久教授)の授業で日本マナー・プロトコール協会の明石伸子理事長をお迎えし、講演いただきました。本授業は、担当グループの学生たちが進行を行います。明石氏はご自身のキャリアと経験から、人生とキャリアの選択について、人とのつながりの大切さまで幅広く語ってくださいました。

大手企業からベンチャー、会社立ち上げまで幅広いキャリア経験

明石氏は1979年に日本航空株式会社(JAL)に就職。
当時は女性の就職は短大卒がほとんどの時代。4年制大学を卒業した明石氏は採用枠が限られていたため、特にCA(客室乗務員)になりたかったわけではないけれど応募したと言います。
当時は「キャリアを考えてバリバリ仕事をしようなんて全く考えていませんでした」と話します。
結婚をして退職し子どもも2人出産するも、その後離婚を経験されます。
その当時、女性の片親はハンディだったと言います。「これからどうしていこうと考えた時に初めて、仕事ができる人になろうと思いました」と語りました。

それまでいわゆるオフィスワークの経験は皆無だった明石氏は、当時ベンチャー企業だった株式会社パソナに入社。
自分で考えて動かなければいけない職場に、「業務は与えられたもの、仕事は自分で作り出すもの」ということを実感し、仕事をする楽しさを知ったと言います。
その後コンサルティング会社に転職し、自分で会社を設立。社会に役立つ仕事に関わりたいと思い、日本マナー・プロトコール協会を立ち上げました。
2015年には内閣府の委員を委嘱され、現在では大手企業の社外取締役も担っています。

企業の種類を知ろう

「みなさんの人生の大きなターニングポイントになりかねないのが就職です」と明石氏。
事前課題でもあった企業の見方や選び方を確認しました。上場企業のなかでもプライム・スタンダードなどレベルが分かれること、非上場の法人、行政も就職先としてありえること。
「何を基準に選ぶかは人それぞれですが、しっかり人を育ててくれるところがいいのではないかなと思います」と話されました。

「皆さんはどんな企業を知っていますか」と問われ、いくつか企業名が挙がりました。その多くは消費者に商品やサービスを提供するBtoC企業です。しかし多くは非上場だったり上場していてもレベルは下であったりします。
「企業規模と知名度があることは別問題」と明石氏。知っている企業が良い企業とは限りません。
BtoBやCtoCの企業など視野を広げることの大事さを伝えました。

自分のキャリア志向を確認する

「みなさん全員が仕事でバリバリ活躍したいわけではないですね。私は専業主婦もとっても素敵だなと思います」と明石氏。「自分を知ることで迷わないようにしてほしいし、いろんな意見に流されず後悔しないで欲しい」と話しました。

ただ「やりたい仕事やなりたい自分への道は遠いかもしれない」とも語ります。
まず与えられた仕事をしっかりやってみることが大事と話しました。渡辺和子氏の「雑用という仕事はありません」という言葉を引用し、どんな仕事も心を込めてやっていれば、それを見てくれる人もいると諭しました。
今はキャリアチェンジがしやすい時代ではありますが、次のチャンスがいいものとも限りません。まずは継続する勇気を持つことが大切です。

人との付き合い方が大切

「会社って何かというと単なる人の集団なんです」と明石氏は話します。ビジネスは人が協働して成果を出すこと。
しかし、人間同士で行うことなのでトラブルも起こります。「でも人がいることで頑張ったり励まされたりすることも確かです」と、明石氏は3つの言葉を紹介されました。
アドバイスや勇気をくれる「メンター」、人生の理想像である「モデラー」、どんなときも支援してくれる「サポーター」です。
この3つに該当する人たちを見つけ大事にすることを勧めました。

コミュニケーションのコツは「明・元・素」と明石氏。
明るい、元気、素直な人のことです。
また、他人のせいにしないこと。「他人のせいにすると何も解決しないのでストレスが溜まるんです」と伝えました。自分でどうしたら解決できるかを考えることが大切だと話しました。

2022年に発表された女性の平均寿命は87.6歳。
明石氏は「就職してからの人生の方が長いんです」と言い「充実した時間を過ごして欲しい」と話します。先が見えなくて不安ということは、どんな可能性もあるということ。
「皆さんは、これからなんです」と力強くエールを送られました。

あなたのキャリアと人生は?

質疑応答の時間では多くの学生から手が挙がりました。
「折れないようにするための心の持ちようは?」という質問には「苦手な人との距離感を知ることじゃないかなと思います。また、メンターに助けてもらうなど自分が立ち直る方法を探すこと。深く折れてしまう前の方法を見つけましょう」と回答。

「他人のせいにする方がストレスは軽くなると思っていたので驚きました。逆だと思ったきっかけはなんですか」という学生には「離婚の経験が大きかった。自分にも理由があったと思ったら変われる。成長のチャンスになりました」と話されました。

最後に進行担当グループの学生から「知っている企業が良い会社とは限らないことなど、事前課題も含めとても良い学びになりました。
明・元・素など、今後の人生の指針となることを教えていただきました」とお礼の言葉があり、大きな拍手が起こりました。

担当教員からのメッセージ

私が企業(資生堂)に勤務していた頃からご縁をいただいていた明石様にご登壇いただきました。とにかく終始笑顔を絶やさずお話しされる姿には、学生とともに感動いたしました。様々なご経験の中から培われたポジション思考は、明石様の生き方そのものだと思います。この場を借りて、明石様に、心から感謝申し上げます。

2023年7月20日

現代の社会人に求められるものって?「実践プロジェクトa」でサントリーの新人研修を考えるコラボ授業が行われました。

6月16日に1年生対象の「実践プロジェクトa」(担当:文学部国文学科 深澤晶久教授)で、サントリーホールディングス株式会社(以下、サントリー)とのコラボ授業が行われました。ピープル&カルチャー本部の斎藤誠二氏と下間智美氏から「サントリーの新入社員に行う研修計画の提案」という課題が出され、グループワークを行います。ミッションを正確に理解し、社会人に求められるものを考える難しい課題に、学生たちは早速活発に議論していました。

やってみなはれ!サントリーの企業理念

サントリーは学生にもなじみ深い総合食品メーカー。主力の清涼飲料水や酒類のほか、サプリメントなどの健康食品、外食業や化粧品など幅広く展開しています。
現在売り上げの約半分が海外によるもので、世界に約4万人の従業員がいるグローバルな企業です。

下間氏は「サントリーは創業者の思いを継承し挑戦し続ける企業です」と話します。
「やってみなはれ」という創業者の口癖は今やサントリーのDNAとなっており、失敗を恐れずに未知の領域に挑戦し続ける、あきらめずに最後までやりきる、ということを大事にしています。下間氏は「サントリーはさまざまな挑戦の歴史があります」と語り、現在のペットボトルコーヒーの開発を例に挙げました。これまで缶がメインだったコーヒーを、現代の働き方に合ったスタイルで提案。新たな市場を開拓しました。
下間氏は「ただ売上を出したいということではなく、新しい生活文化を提供して生活を豊かにして欲しいという思いで開発しています」と語りました。

もう1つ大切にしている価値観が「利益三分主義」。
得た利益を事業への投資だけに回すのではなく、お客様へのサービスや社会への貢献にも活用することです。クラシックコンサートを行うサントリーホールや、サントリー美術館など芸術文化に触れる施設の運営を行ったり、スポーツチームやイベントへの出資をしたり。
また環境を守る「天然水の森」という森林活動や、子どもたちへ水の大切さを教える「水育」もその一環です。

人材育成に大切なこと

今回の課題は人事部門に関わる課題ということで、人材育成についても説明がありました。人材育成の役割は経営側と社員のそれぞれの考え・方向性を一致させることが第一です。
サントリーが求める社員は、グローバルな視野と開拓者精神を持った人。変化をチャンスと捉え、自ら一歩踏み出しチャレンジすることができる人材です。
「サントリーの中だけで活躍するのではなく、企業を飛び出して世の中でも通用する人材であって欲しいと思います」と下間氏は言います。

人の成長を決める要素とは7:2:1の割合で「経験:育成:研修」と言われます。
今回の課題は研修の部分。
下間氏は「たった1割かと思われるかもしれませんが、新人研修は社会人になって最初の、基礎になる重要な研修です」と話しました。

サントリーの新人研修を考えよう!

ここで改めて課題の発表が。「皆さんはサントリーの人事部の新入社員です」と下間氏。
課題は大きく2つです。
企業を取り巻く環境をふまえて、今の社会人に求められるものを考えること。
その上でサントリーに入社する社員に対する具体的な研修計画を提案することです。

「サントリーがどんな新人研修をしているのかという情報は、あえて提供しません」と下間氏。
提案された研修が、実際に行われている研修と合っているかということを問うている課題ではなく、学生たちの視点で自由にオリジナリティ豊かにに考えてほしいと話しました。

課題をどう進めていくかを、下間氏は3つのステップで伝えました。

ステップ1は「ニーズを把握する」。
どんな人材が企業から求められているのか、さまざまな情報を集めることが大切です。
ステップ2は「ニーズの背景を知り本質的な課題の考察をする」。
なぜそのニーズが求められるのか、その理由まで深堀すること。
ステップ3でようやく「具体的な研修計画を提案」です。

下間氏は「重要なのはステップ1と2をきちんと考えることです」と念押ししました。
研修計画を立てると「こんなことしたら楽しそう」とステップ3から考えたくなってしまいます。
しかし、いきなりステップ3から考えてしまうとなぜその研修が必要なのか、本質を見失い中身のないものになりかねません。ニーズを把握し、背景や課題を整理した上で「本質的な課題解決を前提にした、地に足のついた提案をまとめてもらえればと思います」と、学生たちの提案に期待を寄せました。

なにが本質?ロジカルに考えてみよう

早速学生たちはグループに分かれ作戦会議。
期間は?規模は?求められる人材は「自分で考える力じゃない?」「企業は個性を育てたいのかも」などさまざまな意見が飛び交っていました。
斎藤氏と下間氏に質問をしたり、昨年同じ課題に挑戦した先輩にアドバイスを受けたり、少しずつ案を固めていきました。

課題の評価基準はロジカルかどうか。
斎藤氏は「仕事はアイデア勝負ではない」と話し、筋道が立っていて納得できるものが大事と語ります。「今回の課題は何が正しいというわけではありません。世の中の情報に正解を探しに行かないでください」とアドバイス。
自分なりに考えて議論する大切さを伝えました。

学生たちはグループワークで提案を深め、中間発表を経て1か月後にプレゼンテーションに臨みます。

担当教員からのメッセージ

本授業について、サントリーホールディングス様にご支援いただくのは3回目となります。「大学での学び方を学ぶ」という本講座の狙いを実現する大切なテーマへの挑戦です。言い換えれば、このお題を通して、今社会は、どのような人材を求めているのか、そしてサントリー様ではどのような人材を育成しようとしているのかを考えることになりますが、このことを議論することは、1年生にとっては、ここからの4年間何を学ぶべきかを考えることに繋がるのです。果敢に挑戦してくれることを期待しています。この場を借りて、サントリーホールディングス様の斎藤様、下間様に心から感謝申し上げます。

2023年7月20日

「国際理解とキャリア形成」の授業で五輪メダリストの有森裕子氏をお招きしスポーツニッポン新聞社との特別コラボが行われました。

共通教育科目「国際理解とキャリア形成」(担当:文学部国文学科 深澤晶久教授)の授業で、6月27日にスポーツニッポン新聞社との特別コラボセッションが行われました。スペシャルゲストは五輪女子マラソンメダリストの有森裕子氏。藤山健二編集委員との対談という形で、学生たちの前で講演を行って下さいました。世界の第一線で活躍された有森氏の貴重なお話に、学生たちも頷いたりメモを取ったりしながら真剣に耳を傾けていました。

諦めずに陸上部に入部

対談は、藤山氏が有森氏の生涯を振り返っていく形で進んでいきました。
有森氏はバルセロナ五輪で銀メダル、アトランタ五輪で銅メダルを獲得した、押しも押されもせぬオリンピアン。
しかし、子どもの頃は体が弱く、スポーツとは縁遠かったと話します。陸上と出会ったのは中学時代に運動会で800m走に出場したことがきっかけです。
「他の競技は得意な子がやりたがるんですが、800mは誰も出たがらなかったので空きがあったんです」と、有森氏は冗談交じりに話しました。その800m走で3年連続優勝。
「私はできるんだ!」と思った有森氏は高校で陸上をすることを目指します。

有森氏が進学した高校はスポーツ強豪で知られる名門校でした。陸上部の門をたたくも、実績のない有森氏は門前払いに合います。
しかし顧問の先生へ1ヵ月かけしつこく通い詰め直談判。とうとう顧問は折れ、陸上部に入部しました。
なぜそこまでして諦めなかったのかとよく聞かれるという有森氏は「諦める理由がなかった」と力強く仰います。
「できたことができなくなったわけではなく、まだ全部やりつくしていないだけだったので諦める必要がなかったんです」と語りました。

「根拠のないやる気」で小出監督に直談判

念願の陸上部に入部したものの、成績は振るいませんでした。大学でも大きな成績がないまま卒業。実業団を探していたときに、リクルート社にアプローチします。
そこで出会ったのが女子マラソンの名監督として名を馳せていた小出義雄監督でした。ここまできたら、と直談判し思いを伝えます。
すると「あなたは実績もなにも持っていない。けれどそれ以上にやりたいという気持ちを持っている。その根拠のないやる気に興味がある」と入社させてくれたのです。

晴れて入団するも自分は無名。
国体の岡山県大会に出場し最終予選で優勝するも、マネージャーが選手登録をしていなかったミスで失格扱いに。
そのときチームも監督もミスを棚に上げ実績がないからだと言われ、とにかく悔しかったと言います。
「それでも、この場所を選んだのは自分。この中で頑張るしかない」と怒りを自分の力に変えられたことが良かったと語り「今でもあの経験は活きています」と話しました。

人生で一番つらい時期は銀メダル獲得後

徐々に力をつけ、バルセロナ五輪に出場し銀メダルを獲得。その後状況は一変したと言います。
女子マラソンでメダルを取った人は有森氏が初めて。扱いに困られたり変に気を遣われたり。
次の五輪を目指し自分はもっと強くなりたかったのに、やりたいことの希望を出すと天狗になっているとか、わがままを言っているなどとねたまれたと言います。精神的につらくなり、成績も落ち込みます。
そんな時に両足のかかとに痛みも出て「人生で一番きつかった」と話しました。

もんもんとしていた日々を振り切るように有森氏は手術に踏み切ります。
手術は無事成功し再び走る意欲を取り戻しました。アトランタ五輪に出場し、銅メダルを獲得。
そのときのインタビューで出た名言はあまりにも有名です。
「自分で自分をほめたい」。
この言葉は「自分で決めたことを自分でできたことに対して出てきた」と話しました。

スペシャルオリンピックスって?

引退後は、国際オリンピック委員をはじめ、数多くのスポーツ振興に尽力されています。
その中で、今回有森氏が学生たちに知ってもらいたいと紹介したのが「スペシャルオリンピックス」です。
スペシャルオリンピックスは、知的障害のある人たちの自立や社会参加を目的とした競技会のこと。スポーツを通して全都道府県で年間を通して行われています。

「できるの?とつい考えてしまうけれど、知的障害の方は教えてもらえる機会があれば、できます」と有森氏。
今まで機会をもらえなかっただけと強調しました。障害を持った人はできないと思ってしまう固定観念を捨て、社会に出て一緒に生きていけることを知ってもらう機会になっています。
日本では健常者が担うパートナーの人材がなかなかいないのが課題。
「興味があるものがあれば参加してみて欲しいと思います」と学生たちに語り掛けました。

「将来のオリンピックの姿」のヒントになる講演

最後に、事前に学生たちから集めた質問の中からいくつかを、藤山氏が質問してくださいました。
「苦しいときのごほうびは?」という質問には「練習はつらかったが、苦しいのは強くなっている証拠なので、いやではなかったですね」と回答しました。
「アスリートの視点からみて、これからの五輪はどうなると思いますか」という問いには、「今はスポーツを通して自分を表現できるチャンスもある。五輪だけを見ている選手は少ないかも。個人的には、五輪を通じてもっと交流できる”祭典”に戻ってもらいたいです」と話しました。
オリンピアンの貴重な経験談は「将来のオリンピックの姿」を考えるヒントになりました。

担当教員からのメッセージ

有森さんにご登壇いただくのは、今回が4回目となります。最初にお越しいただいた時はオンライン授業の頃、学生はオンラインで授業に参加、教室にいたのは、有森さんと藤山さんと私の3人というシチュエーションでした。以来4年が経過、東京2020も延期がありながら開催され、1周年イベントも終わりましたが、早いもので来年はパリ五輪です。そんなタイミングで、もう一度、これからのオリンピックパラリンピックについて考えてみようという課題に挑戦しています。

有森さんの数々のエピソードからは、決してあきらめない心や、逆境の時にこそ「せっかくだから」という言葉を乗せることで、常に前向きに物事を考えること、そして挑戦する気持ちの大切さなど、数々のお言葉をいただきました。この場を借りて、有森さん、そしてスポニチの藤山様には、心から感謝申し上げます。

2023年7月19日

世界一のホスピタリティの秘訣は?「女性とキャリア形成」の授業で株式会社オリエンタルランドの元執行役員をお迎えし講演が行われました。

6月8日に共通教育科目「女性とキャリア形成」(担当:文学部国文学科 深澤晶久教授)で株式会社オリエンタルランド(以下、オリエンタルランド)の元執行役員の永嶋悦子氏が講演を行いました。テーマパーク開園当初の様子や、初の女性管理職としての奮闘ぶりをざっくばらんにお話くださいました。学生たちは世界に誇れるホスピタリティの秘訣に触れる機会になりました。

テーマパーク開園時の苦労は?

授業の冒頭の出欠確認に、この日は仕掛けがありました。
出欠管理システムで当たりが出た2名の学生には東京ディズニーランドの記念グッズが。学生たちからは歓声が上がり、授業のやる気も高まりました。

今回進行を担当したグループの学生

進行役の学生たちも、ミニーのカチューシャを付けてゲストを紹介いたしました。

永嶋氏は1982年にオリエンタルランドに入社。
オリエンタルランドも当時は男社会。
希望していたグランド・サーキット(アトラクション)には女性を採用できないと言われ、シアター型のアトラクションに配属になったと話します。
「徐々に女性も働けるようになっていきました」と言い、今ではカヌーを漕ぐ力仕事のアトラクションにも、女性が多く採用されていると話します。

東京ディズニーランド開園当時、テーマパークは日本人にとって初体験。
ピクニック気分でお弁当を持参してしまう人も多く、持ち込み禁止が来場者へ浸透するには5年ほどかかったと言います。アトラクションキャストだった永嶋氏も何度もゲストにお願いをしたと笑いを交えて話されました。

男性社会に負けずに管理職に

1998年に管理職研修を受け、管理職試験に最初に受かった女性となりました。
1990年代は修学旅行先として選ばれるようになり、永嶋氏は営業部として教育委員会や文科省の方々との交渉にあたります。
「上層部の方は、テーマパークは遊ぶところというイメージがあり、修学旅行にふさわしくないと思われていました」と、イメージを変えるために奔走されたと語りました。

ここで永嶋氏は一つの言葉を提示。
「オールドボーイズネットワークって知っていますか?」男性中心の組織内の独特の文化や仕事の進め方、人間関係を指す言葉です。
民間企業は変化してきているものの「地方や公共機関などでは、まだ古い体質が蔓延っている」と永嶋氏。
実は永嶋氏も管理職試験を1度落ちていると話します。「自分より年下の男性が受かっていて納得できなかった」と話し、「女性の先駆者がおらず、管理者の経験や知識を聞けませんでした」と苦労を語りました。

ただ、元から執行役員になろうと思っていたわけではないと言います。
永嶋氏は「目の前のことが楽しくて、ただ頑張っていたら周りがさらにいろんな仕事を任せてくれるようになっていきました」と笑って語りました。

ゲストもキャストも楽しいハピネスの循環

2000年代、TVCMで「夢が叶う場所」を謳い、東京ディズニーランドは「夢の国」と呼ばれるように。
2010年代になると、ゲストとキャストが共に楽しむ、魅力のある場所へ成長していきます。エリアに合わせた挨拶や、掃除のキャストが落ち葉などで絵を描くなどのアイデアは、キャストの発案。
「ゲストにハピネスをお届けする」という理念を自発的に行っているのです。

キャスト研修に接客マニュアルはなく、安全第一に行動するという基準のみ。
東京ディズニーリゾートのホスピタリティは世界一と称されますが、その背景には「人間力」があると話します。
丁寧な対応やもてなしにゲストは喜び、その様子を見てキャストは嬉しくなり、モチベーションがさらにあがる。
これを永嶋氏は「ハピネスの循環」と語ります。

当たり前のことをしっかりやる「人間力」

ただ「お褒めの言葉もたくさんもらいますが、実はクレームもたくさんもらいます」。
クレームは賛辞の数よりも2桁ほど多いとのこと。そのなかで最も多いのが、キャストのぞんざいな行動。ゲストの目を見て話さなかった、笑顔がなかったなど、ぞんざいな扱いをされたと感じてしまうのです。
しっかり挨拶をして、ルールを守り、仲間を思いやり自分も楽しめる環境作りをすること。当たり前のことかもしれませんが、この当たり前ができる「人間力」が、世界一のホスピタリティを支えています。

「今の東京ディズニーリゾートを見ているとなんでも最初から成功しているように見えるかもしれませんが、そんなことないんです」と永嶋氏。
いろんな失敗や経験をしながら今の姿が築き上げられていったと話します。
「皆さんがこれから社会に出て、いろんな“はじめて”に遭遇すると思います。これまでの話のいいとこ取りをして、人生の参考にしてください」と講演を終えました。

部下を育てるのが管理職の仕事

講演後に学生はグループで感想を語り合い、質問の時間に。
「営業部のときに考えて成功した仕掛けはありますか」という質問には、「実は自分で考えた作戦はあまりないんです」と意外な回答が。
「部下の考えたことを形にして、世の中に広げていくことが管理職の仕事」と話し、部下のアイデアを工夫した体験を話されました。

授業の最後には進行担当のグループの学生からお礼の言葉がありました。
「東京ディズニーリゾートには小さい頃から行っていて身近でした。キャストの方が自ら行動して楽しませてくれていたのが分かって嬉しかったです。勉強になることがたくさんありました、本日はありがとうございました」。
最後は皆で記念撮影をして和やかに授業は終了し、その後、永嶋氏を囲んでアフタートーク会が開催されました。

担当教員からのメッセージ

永嶋様に初めてお会いしたのは、私が企業時代、しかも労組委員長の時でした。当日からアグレッシブな永嶋さんのお姿は印象的でした。以来、四半世紀、様々な場面でお世話になりました。今回も、私の願いが叶い、本授業のゲストにお招きすることが出来ました。今回の永嶋さまのお話しを聞く学生たちの姿は、真剣そのものです。学生にとっても身近な企業であり、その関心の高さが窺われました。永嶋さんが醸し出される雰囲気と、学生たちの反応、すでに「ハピネスの循環」が起こっていると実感した瞬間でした。永嶋様には、心から感謝申し上げます。

2023年7月10日

ディズニーにもっと行きたくなる!「キャリアデザイン」の授業で東京ディズニーランドのスペシャルイベントを考える夢の課題が出されました。

3年生対象の共通教育科目「キャリアデザイン」(担当:文学部国文学科 深澤晶久教授)の授業で、6月6日に東京ディズニーリゾートの運営を行う株式会社オリエンタルランド(以下、オリエンタルランド)の横山政司氏をお迎えし、コラボセッションが行われました。学生たちは閑散期の集客に有効なイベントを考える課題に挑戦します。学生たちも大好きな東京ディズニーランドのイベントを企画するという夢のような課題に、皆真剣ながらも楽しそうに取り組んでいました。

季節のイベントを開発

「今日の出欠確認は仕掛けがあります」と深澤教授。
出欠管理システムが当たり付きになっていて、当たった2名の学生に東京ディズニーランドのグッズがプレゼントされ、学生たちから歓声が上がりました。


授業もディズニーの魔法にかかり和やかになったところで、本日のゲストである横山氏が登壇されました。

横山氏は1991年オリエンタルランドに入社。
最初は運営部に配属されました。その後、経理部やテーマパーク戦略部、人事部、フード本部などを歴任。2023年からマーケティング本部マーケティング開発部長に就任されました。
「皆さんがイメージしやすいのは、パークでやっているスペシャルイベントです」と横山氏。
クリスマスやハロウィンなど季節ごとに変わるイベントの企画・開発をしています。

現場の声を聴いてまずは試す!

横山氏は仕事のポリシーとして3つのことを大切にしていると話します。
1つ目は「現場のリアリティ」。
現場の声を聴くことが何より重要と言います。「人事部にいたときも、良かれと思って制度を改正しても、実は現場は望んでいないということもありました」と横山氏は語ります。

2つ目は「外から情報を得る」こと。
オリエンタルランドはチームワークがいい会社とした上で「チームワークがいいということは悪いことではないが、関心がチーム内に向きがち」と話します。意識して外の情報を得ることの大事さも話しました。

3つ目は「試してみよう!」。
仕事や企画は完璧に仕上げたくなってしまいますが、完璧にするには時間がかかります。
横山氏は「今は世の中の変化が早いので、完璧を目指して仕上げているとその間に環境が変わってしまっている可能性もあります」と言い、5~6割の出来でも、いったん上司に企画を出したり自分で動いてみたりすることが大事だと話しました。

課題発表!若者が閑散期にも東京ディズニーランドに来たくなるイベントとは?

話はスペシャルイベントについて。東京ディズニーリゾートでは年間を大きく5つの期間に分けてイベントを考えています。
4~6月が「春」。ゴールデンウィークは来園者が多いですが、全体的に集客が落ち着きます。
7~8月の「夏」は夏休みで繁忙期。ただ、最近は猛暑の影響もあり以前よりは落ち着いていると言います。
9~10月の「秋」はハロウィン。仮装してディズニーパークを楽しめるといまや一番人気のイベントです。
11~12月は「クリスマス」。こちらもイベントムードを楽しみに多くのゲストが来園します。
そして1~3月の「冬」は寒さもあり一番集客が弱い時期です。「春と冬の時期の集客をなんとかしたいと思っています」と横山氏。

ここで課題の発表です。
テーマは「ヤングアダルト層(19~34歳)に向けた2026年の冬と春のイベントを考える」です。
「1~3月の冬の時期と4~6月の春の時期に、最低1回ずつ東京ディズニーランドに来てもらえるイベントをそれぞれ提案してください」と提示されました。

コロナ禍以降、徐々に来園者も戻っていますがヤングアダルト層の回復が鈍いというのも現在の課題。
現在東京ディズニーランドのチケット代は1万円近い日もありますが「このイベントを行なっていたら、自分はお金払って絶対に行く!という自信を持った提案をしてください」と横山氏。
「感動する提案を待っています、頑張ってください」と学生たちの提案に期待を寄せました。

自分たちの企画が実現するかも!?

2026年は3年後。
今とどう状況が変わっているのか、顧客はどう行動変容しているか、想定しなくてはなりません。
難しい課題ですが「2025年まではすでに企画が決まっていますが、2026年はまだなので、皆さんの案がパークで実現するかもしれません」と横山氏が話されると、学生たちもやる気満々。
さっそく積極的にグループディスカッションが行われました。

「アトラクションをモチーフにするのは?」「待ち時間が長いのがネックだから、パークを歩き回れるイベントは?」など案が飛び交っていました。
「イベントは女性メインになりがち」や「ヤングアダルト層はディズニーシーへ行くイメージがある。自分や周りもそう」と分析する学生も。
「ランドでもちょっと大人っぽいイベントはどうだろう」「キャラクターに絶対に会えたら私は行きたい」など、まずは自分の興味から発生したイベント案も出ていました。
「ディズニーのどこが好きか改めて調べよう」「ディズニーで何にお金を使う?」など、さまざまな視点からイベントを考え始めていました。
学生たちは中間提案を経て、ひと月後にプレゼンテーションに臨みます。

担当教員からのメッセージ

オリエンタルランドの横山様には、毎年、本授業にご支援をいただいています。履修しているのは3年生が中心、そろそろインターンシップを経て就職活動も本格化していきます。企業分析の視点を一歩掘り下げてみることが出来ればという思いで、毎年様々なテーマをご準備いただいています。学生にとっては、身近な企業ではありますが、企業としての努力は並大抵のものではありません。普段のゲストの立場ではなく、社員目線で企業の戦略を考えて欲しい、そんな思いも込めて今年のテーマもご用意いただきました。今までにない難しさもあると思いますが、この授業を通して一皮むけて欲しい、そんな願いもあります。7月初旬の提案を期待したいと思います。

2023年7月10日

新しいミュージアムグッズを考えよう!「実践キャリアプランニング」の授業で印刷博物館とのコラボ授業が行われました。

5月26日に国文学科「実践キャリアプランニング」(担当:文学部国文学科 深澤晶久教授)の授業で、印刷博物館の皆さまをお迎えしてコラボ授業が行われました。印刷の歴史や文化の価値を伝える企業博物館。さらに多くの人に知ってもらえるよう、学生たちは新しいミュージアムグッズを考える課題に取り組みます。

印刷博物館ってどんなところ?

印刷博物館は凸版印刷株式会社が運営する企業博物館です。
2000年に開館。100周年事業の一環として設立されました。本社ビルのミュージアム棟にあります。
企業博物館と言えば社歴や代表的な商品を紹介するのが一般的。ただ印刷博物館は「企業博物館でありながら企業色をかなり薄めています」と式氏。
印刷産業というものが文化の形成にどう貢献してきたのか、印刷の歴史を紹介する公共文化施設の役割を持っています。

奈良時代のものから最新の印刷技術のものまで、さまざまな種類の印刷物を7万点ほど所蔵し、印刷の日本史や世界史、技術の進化などを紹介。
また、活版印刷を体験できる印刷工房も併設され、カードやレターセットなどを作れるワークショップも開催されています。

式氏は「デジタル化の時代の中、印刷業界は斜陽と言われていますが、社会や文化の発展に大きく貢献してきた印刷の役割や意義を、次世代に伝えていくことがミッションです」と語りました。

企画展は博物館の花形

企画展の開催時は来館者が一番増える時期。全体の来場者数の50%が企画展来場者です。
年1回、3ヵ月ほど毎年趣向を凝らし、さまざまな側面から印刷文化を深堀する企画を展開しています。
ヴァチカン教皇庁図書館の貴重な写本の展覧会や地図と印刷の歴史、武士と印刷の関わりなども。2018年に行った「天文学と印刷」の企画展は話題を呼びました。

来館者の多くは20~40代の女性が多く、歴史やデザインを学ぶ大学生が多いのも特徴です。
また企業博物館という特徴からビジネスマンもコンスタントに来館します。ただ、企画展の期間は客層も一変。
「地図と印刷」の企画展では40~50代男性が圧倒的に多く、遠方からの人も。
企画展の特徴により来場者層は変わるのです。来館のきっかけは、やはりSNSやWebサイトで企画や印刷博物館に興味を持つ人が多く、式氏は「重要な窓口になっています」と話しました。

ミュージアムショップの商品開発に挑戦!

いよいよ石橋氏から今回の課題の発表です。
課題は、印刷博物館の「新しいミュージアムショップグッズの開発」です。
「普通お店では『ヒット商品を考えてください』というものが多いと思いますが、ミュージアムショップではちょっと違う」と石橋氏。
印刷博物館は展示品を通じて印刷の価値を伝えることがミッション。ミュージアムショップの商品も、印刷のエッセンスや面白さが伝わるものが重要になります。

博物館は場所が固定されており、来ていただくことが前提になります。遠方で来場できない人やそもそも印刷に興味がない人への訴求が課題です。
そこでミュージアムグッズをお土産として未来場者に渡すことで認知が広がったり、商品の話題性によって興味関心を集めたりということが求められるのです。

ミュージアムグッズについて知ろう

次に前原氏から印刷博物館ではどんなミュージアムグッズがあったかの紹介がありました。
定番のポストカードやクリアファイルの他、収蔵物や展示関連の書籍などがスタンダード。収蔵物の一部がプリントされたTシャツやマスキングテープや、活版の活字を再現したコーヒーシュガーなどオリジナルグッズも多数あります。
最近ではガチャガチャで販売したアクリルキーホルダーも人気を博しました。
さらには紙や活字を厳選し、職員が手作りで作るレターセットやカードも。
時間はかかりますが、名入れレターセットなどは贈り物として人気です。

グッズの売り上げも企画展関連商品が50%を占めます。
しかし、SNSで話題を呼んだ商品は企画展期間以外でも継続して売れることも。「天文学と印刷」の企画展の図録はSNSで話題になり、重版されました。
石橋氏は「商品自体が話題性を呼びさえすれば、博物館を飛び越えて人々に伝えることができる」と話しました。

実際に商品化も夢じゃない!?

「とはいえ何かを作るということは非常に難しいです」と石橋氏。
そこで3つの視点を紹介されました。

誰のためにつくるのか「Whom」、
何をつくるのか「What」、
どこで売るか「Where」です。

石橋氏は「売る場所は印刷博物館に限らなくてもいいと思う」と言い、「なぜその商品が必要なのか、その商品があることでどういった人たちにどういった形で印刷文化を伝えることができるのかを、考えていただきたいと思います」と話しました。

最後に式氏から、昨年の同授業について言及がありました。
昨年は、来館者を増やす施策という課題に学生たちが挑みました。中で提案があった近隣施設とのコラボレーション案と館内撮影解禁の案は、実際に実現しています。
「架空のグッズを考えてくださいということではありません。素敵な案は採用される可能性がありますよということをお伝えしておきます」と、学生たちの企画に期待を寄せました。

講演後、学生たちは早速グループディスカッションを開始。6月末に最終プレゼンに臨みます。

担当教員からのメッセージ

本学と包括連携協定を締結させていただいたことをきっかけに、昨年からこのコラボ講座のご支援をいただいています。今年もグループの代表者や有志が、印刷博物館を見学。印刷博物館の皆様に、とても丁寧にご説明をいただき、印刷博物館の意義などについてレクチャーを受けさせていただきました。今年のお題はグッズ開発、これから2週間のグループワークを経て、プレゼンテーションに臨みます。学生たちの豊かな発想、そしてチームワークに期待したいと思います。今年度も、お題の構築、視察などにご尽力いただいた印刷博物館の皆さんには、心から感謝申し上げます。

2023年7月10日

東京諸島の“宝”とは?「実践プロジェクトa」の授業で近畿日本ツーリストの課題への最終プレゼンが行われました。

6月2日に1年生対象「実践プロジェクトa」(担当:文学部国文学科 深澤晶久教授)の授業で、近畿日本ツーリスト株式会社の課題へ企画提案をする最終プレゼンが行われました。課題は「東京諸島を、若者が必ず一度は行きたくなる聖地にする」。グループごとに担当する島が割り振られ、30名の1年生が、それぞれの島の魅力を『宝』として探し出します。1年生で、プレゼンテーションが初めての学生も多い中、レベルの高い発表が行われました。

中間プレゼンで練り直し

今回の発表の前に、学生たちは5月19日にプレゼンに臨んでいました。
中間提案を行い、質疑応答やフィードバックをもらって最終プレゼンに向け再考するための機会です。それぞれのグループは、担当の島の宝として名産や景観を紹介、プレゼンしました。若者がどういうときに旅行に行きたくなるかも市場調査し、『癒し』や『SNS映え』をメインにするグループも多くありました。

6グループすべての中間プレゼンが終わった後、小宮氏と橘氏から全体講評がありました。
まず小宮氏からは「本当に担当の島が素敵だなと思っていますか?」と問い掛けが。
「その島でしかできないことや独自の仕掛けが必要」と言い、現在のプレゼンでは観光地の紹介に偏っているのではと厳しい指摘を受けていました。

4つの目で見てみよう!

続いて橘氏はまず、企画の立て方のコツとして、
「全体を見る『鳥の目』、注目する『虫の目』、時流を読む『魚の目』、疑ってみる『コウモリの目』」を紹介しました。

市場調査をしたうえで、ストロングポイントに注目し、トレンドに合っているかをみて、時には逆張りのアイデアをぶつけてみる。良い企画にはすべての視点が大切だと話します。
「6島とも自然があり海がきれいです。その中でその島にしかないものは何かを考えてみてください」と話しました。
「体験する人の感情が分かるような企画を楽しみにしています」と最終プレゼンに期待を寄せました。

講評後はさっそくグループで案を練り直します。
「リピーターを増やすにはどうしたらいいかな」「思い出になるものは?」など再度検討。
授業を見ていた過去にこの講座を受講していた先輩方も駆けつけてくれてアドバイスをします。橘氏と小宮氏も各チームを周り、細かくフィードバックしてくださいました。

“宝”を活かしてアピール!

2週間後の6月2日。
いよいよ最終プレゼンの日です。この日は東京諸島観光連盟の照沼氏もご参加下さいました。

最初の発表は新島グループ。
毎日の仕事に疲れた女性をターゲットに、新島の宝である海とガラスで癒しのツアーをプレゼンしました。
新島の周辺の海はサーフィンやシュノーケリングなどそれぞれに合ったスポットがあり、どの目的でも楽しめます。さらに新島一周クルージングの旅を用意。
船上で足湯なども楽しめ、参加者には新島ガラスのブレスレットをプレゼントし、思い出にしてもらう企画です。
橘氏からも「島一周クルージングはとても面白い、やってみたいですね」と感嘆の言葉がありました。

八丈島グループは人気コーヒーチェーンであるスターバックスコーヒーとのコラボを提案。
ターゲットを流行好きな大学生に定め、空港などで八丈島の特産品を使った新作フラペチーノを販売する企画です。
特産品は八丈レモン、ジャージー牛乳、明日葉、パッションフルーツを用意。SNSに写真を投稿してもらうことで宣伝効果も狙います。
小宮氏も「ツアーではなく企業コラボという提案は面白い切り口」と感心されていました。

本当に行きたくなるプレゼン

伊豆大島グループは、春に開催される「椿まつり」期間中に映画祭を開催することを提案。
屋外でも過ごしやすい伊豆大島の春に、映画を楽しんでもらうと同時に、伝統の祭りにも親しんでもらおうという企画です。
特産品が食べられる屋台なども出店し、地域住民と観光客がつながる仕掛けです。
橘氏は具体的な交流方法について質問。学生は「椿まつりの中に地元の人が紹介や説明する交流イベントがあるので、映画祭きっかけで行った若者も気軽に参加できるようになると思います」と回答しました。

SNSでアンケートを実施したのは三宅島グループです。
若者が旅行先に島を選ばない理由は島自体を知らないこと、魅力が分からないことが理由と考え、知ってもらえるきっかけ作りに企画を特化。若者の目に留まるポスターやSNSでの宣伝方法を考えました。
島の方に直接連絡を取り、おすすめポイントや星空の写真を提供してもらって宣伝動画を作成しました。
小宮氏は実際に島の方に連絡を取った行動力を賞賛。「実際に島に行きたくなりましたか?」と問われた学生たちは、大きく頷いていました。

自分を見つめる旅

デジタルデトックスをテーマに選んだのは神津島グループ。
参加者はスマホの電源を切り、使い捨てのフィルムカメラを渡されます。
癒されたい人は星空保護区に認定された素晴らしい星空の下で星見ピラティスをしたり、アクティブに動きたい人は赤崎遊歩道で透明度の高い海を堪能したり。
思い出を写した写真は旅行後に特設サイトに投稿してもらい、参加者全員でアルバムを作れる仕組みも考えました。
「デジタルデトックスは良い視点。癒しと刺激という相反する価値観があるのも良かったです」と橘氏は感想を話されました。

最後の小笠原諸島グループは「自分探しの旅」と題し、将来に悩んでいる大学生をターゲットに、「遊び×インターンシップ」が融合したツアーを提案しました。
夏休み期間に2週間ほど滞在し、自分の興味を持った仕事を体験できる仕組みです。
ウェルカムイベントでは島内を巡る宝探しを行い、特産品や地元のことを学べる工夫も。
宝探しに必要なクイズは地元の小学生に考えてもらい、地元の人にも積極的に関わってもらう仕掛けを考えました。
小宮氏からも「地元の小学生に参加してもらうというのがいい。ロジックもとてもしっかりしていて聞きやすかったです」と感想をいただきました。

自分自身の“宝”を見つけて

発表後には照沼氏からも感想をいただきました。
「自分もいろいろな企画を作っていますが、頭が固かったなと。とても刺激になりました」と話し、島の魅力を再認識されたことを話しました。「プレゼンをきっかけに興味を持ち、島に行ってくれたら嬉しいです」と語りました。

最後は優秀賞と特別賞の発表です。
「どのグループも良い発表で、予想以上の出来でした。差はわずかです」と橘氏。
そのなかで優秀賞は小笠原諸島グループでした。「地元との交流とインターンというコラボの発想が素晴らしかった。若者がこのツアーに行ってどう変化するかが考えられていました」と授賞理由が述べられました。
特別賞は「企業との掛け算に可能性を感じた」と八丈島グループに贈られました。

橘氏は「今回の発表で、各島の特徴は全然違うんだと分かったと思う」と話し、「島は皆さん自身です」と語りました。
「皆さんの中にもそれぞれ違う宝がある。自分の強みって何だろうと問いかけ、自分自身にいろんな企画をぶつけてみてください」とエールを送りました。

担当教員からのメッセージ

1年生に対象を絞って行われている「実践プロジェクトa」も、今年は4年目を迎えます。コロナ禍で行われた2020年から近畿日本ツーリスト様には継続してご支援いただいています。毎年、テーマも変えていただき、1年生が真剣に取り組んでいる授業です。「大学生の学び方を変える」という狙いに向け、一般社団法人FSP研究会が構築した本プログラムは、全国約20大学で同時進行中の授業です。また、本学の講座には、過去履修してくれた学生たちがSAとして参加してくれており、自身の経験を通じて後輩へのアドバイスも行ってくれています。コラボいただいている企業、先輩、そして履修している学生が一体となって展開している講座は、年々グレードアップされており、本授業を履修している学生の成長には凄まじいものがあります。毎年ご支援いただいている近畿日本ツーリストの橘さん、小宮さんには、心から感謝申し上げます。

2023年7月7日

オンラインで留学体験!「国際理解とキャリア形成」の授業でアンジェラス留学とのコラボ授業が行われました。

6月6日に共通教育科目「国際理解とキャリア形成」(担当:文学部国文学科 深澤晶久教授)の授業で株式会社アンジェラス留学(以下、アンジェラス留学)の中根なゆた氏をお迎えしてのコラボセッションが行われました。中根氏のお話のほか、フィリピン・セブ島とオンラインでつないで、実際に留学の授業も体験。また留学を経験された本学卒業生の斎藤遙紀さんのお話や、学生総合支援センターの内田雄介次長の「ミドル世代の留学」のお話も伺いました。たくさんの国際交流の経験を聞く体験型授業。学生も興味深々で参加していました。

留学が人生のターニングポイントに

学生は2グループに分かれ留学体験と、中根氏のお話を交互に伺いました。
中根氏はフェンシングをやっていたことをきっかけに、大学時代にフランスに1年留学。大学時代はいつか海外で働きたいと思っていたと言います。
株式会社資生堂に入社して6年後パリの事業所に配属になりました。このチャンスは大学時代にフランスに留学していたから巡ってきたと言います。「留学が私のターニングポイントになりました」と中根氏は話します。
その後、中根氏の父が創業されたアンジェラス留学へ入社。「私の一番の思いは、悩める大学生を応援したい」と中根氏。大学時代に留学することが大事だと痛感したと言い、大学生のキャリア形成を応援したいと話します。

留学と旅行の違いは、学校に行くか行かないか。1週間でも2週間でも現地の学校に通って勉強すれば立派に履歴書に書ける「留学」です。
留学時期も毎週月曜開始で出来るため、個人留学にも柔軟に対応が可能と言います。

卒業生による生の留学体験

続いて齋藤さんも交えて留学についての経験が話されました。
斎藤さんは2018年にセブ島に留学し、2019年に本学を卒業。現在はカナダのアパレル会社に就職しバンクーバーで活躍しています。
なぜ留学したかと問われると「大学3年生の時にグローバルキャリアデザインというキャリア科目を履修していた時、ゲストとしてお越しいただいた中根さんのお話しをお聞きしたことがきっかけで留学に興味を持ちました。CAにも興味があり、英語力を伸ばしたかった」と話されました。
現在のカナダでの仕事について聞かれると「職場にはいろんな人種の方がいて、バックグラウンドや考え方が違うので意見の衝突も多い」と言います。
「皆主張が強いので大変だけれど、だからこそ皆で思いやりをもって協力しています」と多様な価値観のなかで働く大変さと楽しさを語ってくれました。

「セブ島に留学した時は全く英語がしゃべれずに悔しかった」と話す齋藤さん。「勉強してカナダに行ってから、英語で通じ合えるとこんなに嬉しいんだなと思いました」と体験を語ります。
「日本から外に出てみるといろんな考えや価値観に触れられる。やりたいことがまだ見つからない人は、ぜひ留学していろんな経験をして欲しいと思います」と話しました。

オンラインでセブ島へ留学!

別室のパソコンはセブ島の講師の方とつながっています。学生たちは3~4人に分かれてそれぞれオンライン留学を体験しました。
つながると講師の方が「Hi!How are you?」と気さくに話しかけてきてくれます。学生たちは緊張しながらも自己紹介をしていきました。
挨拶を終えると、英語の模擬授業が始まります。

画像が表していることを英文で説明したり、英単語の意味を問われたり。
恐る恐る答えていた学生も「good!」と褒められると、笑顔で返事をしていました。
講師の方は、学生が分からないときはゆっくり問題を言ってくれたり発音を直されたり、学生たちが答えられるまで丁寧に受け答えしてくださいました。

半年間の「ミドル世代の留学」

再び教室に全員がそろうと、最後に本学の職員である内田次長にマイクが渡されました。
2022年10月から2023年3月まで半年間、東南アジアに留学していた経験を語ってくれました。自分の仕事の枠や価値観を広げようと考えた内田次長は大学職員を辞めてでも海外に出ようと考えていましたが、そのことを話すとなんと大学側から海外研修を勧められたと言います。
そこで英語力の獲得と、東南アジアに海外インターンシップ先の企業を開拓するミッションが託されました。

最初は英語ができなかったので、必死に勉強したといいます。
TOEICの点数向上を指標として学習した結果、半年間で300点UPを実現したそうです。ただ、英語学習では「はじめの1か月で簡単な英語でコミュニケーションが取れるようになると、他の単語を覚えなくなり英語力が伸びなくなった」と歳を取ってからの勉強の難しさも語りました。
そこで他国の生徒や先生と旅行に行ったり、地元の人と友人になったりと、教室外で英語を学習する機会を確保。「留学先では日本人同士で行動するのではなく、英語を話す機会を自らが作っていくかが大事」と話します。

英語力の向上を実現した後には、最後の1か月間を利用し、タイやカンボジア、ベトナム、韓国で27の企業等を周り、海外インターンシップ先候補の団体とネットワークづくりを行いました。

内田次長は「これからのグローバル人材、必要な要素は語学力ではなくマインド」と話します。
東南アジアでの企業の交渉は、どちらも英語がノンネイティブでの会話でした。言葉ではなく、目の前の課題や相手に真摯に向き合い、お互いに理解しあおうとする力が大切だと感じたと言います。
「まずは結果を考えず、一歩を踏み出してみるマインドが重要。皆さんには何事にもチャレンジして活躍していってもらいたいと思います」と語りました。

盛りだくさんの内容だった授業はこれにて終了。
学生たちは、留学や海外生活を身近に体験する貴重な機会となりました。

担当教員からのメッセージ

私が株式会社資生堂の人事部で、採用の責任者であった時に、中根さんをお迎えしました。その後、中根さんが父上の会社に転職された後は、私が担当しているキャリア教育科目に毎年ゲストとしてお越しいただき、留学を中心にキャリア形成のお話しをしていただいています。親身に相談に乗っていただくことがきっかけで、中根さんにお世話になって海外留学に出かけた学生は、約50人を数えます。長いご縁には、本当に感謝です。
この国際理解とキャリア形成の授業においては、特に留学や海外での業務の夢を持つ学生も多く、中根さんのお話しには、とても関心深く授業に参加してくれています。昨年からは、セブ島とオンラインで結んでの模擬体験までアレンジしていただいています。そして、今年は、キャリアの授業において中根さんのお話しがきっかけで、なんと海外で仕事をされている齋藤さんや、内田さんの経験談まで含めて、盛りだくさんの内容となりました。様々な準備をして下さった中根さんに心から感謝申し上げます。

2023年7月3日

「国際理解とキャリア形成」の授業で資生堂のブランド担当者が人生のテーマを考えるきっかけになる講演を行いました。

5月23日に共通教育科目「国際理解とキャリア形成」(担当:文学部国文学科 深澤晶久教授)の授業に株式会社資生堂(以下、資生堂)の林順子氏をお招きし、グローバルキャリア形成についての講演が行われました。『BAUM』というグローバルブランドの担当者として活躍されている林氏。これまでの軌跡と、人生のテーマについて貴重な経験をお話頂きました。

幅広いマーケティングの仕事

講演は、林氏が手掛けるブランド「BAUM」のルームフレグランスやオーデコロンをグループごとに回し、学生たちは実際に香りを体験しながら、リラックスしたムードで始まりました。

林氏は関西出身。ドラマで見た英語を使う仕事に憧れて関西外国語大学に入学しました。在学中イギリスに短期留学を経験し、2007年に資生堂に入社します。このときの人事部の採用責任者が深澤教授でした。

初めての配属先は行ったこともなかった北海道。3年間営業職を経験しました。2011年、中国へ1年間出向。中国語もまったく話せない状態だったと言い「発音などは気にせずとにかく話して覚えていきました」と言います。
その後日本に戻ってからは中国の専用ブランドの開発に携わり、2020年からはグローバルブランド『BAUM』のローンチから関わっています。

マーケティングの仕事は幅広く、商品開発や、広告素材の開発のみならず、ストアデザイン等ブランドに係る様々な要素があると言います。
「市場の状況やコンシューマーのニーズ、ブランドイメージ等を総合的に考え、コンシューマーにとってより豊かなライフスタイルや価値を届けることが仕事です」と話しました。

あなたの人生のテーマは?

林氏は「人生のテーマを決めている人はいますか?」と問いかけました。

何人かの学生が手を挙げるのを見て、
「テーマがあると人生に深みが出ると思っているので、今回の話を単純に聞くだけではなく、考えるきっかけにしてもらえたらと思います」と語りました。例えば将来について考えるとき「漠然と○○になりたいと思うのではなく、5年後10年後にどうなっていたいのかを考え、書いたり話したり言語化することが大事」と話しました。

林氏自身は、
「やらない後悔よりやる後悔の方が、その後の成長につながる」が信念と話します。
大学時代、堂々と自分を表現できている人たちを目の当たりにし、挫折を味わったと言います。しかし、このままだと後悔だけが残ると思い直し、一念発起。経験ではなく努力でカバーできると思った新しい言語(アラビア語)を授業選択し、絶対にトップの成績を取るという目標を立てました。その結果やればやるほど楽しいと思うようになり、長所を伸ばせば個性になると思うようになったと言います。
「挫折と挑戦を繰り返す、自分の人生の礎になった経験だと思います」と話しました。

「グローバル」とは多様な価値観や文化が形成される世界

BAUMは日本以外の中国でも展開されているブランドです。そのため日本人だけでなく、日々さまざまな国の人とコミュニケーションを取ると言います。
「日本語以外でのコミュニケーションの時には、できる限りシンプルにわかりやすく伝えていくことを心掛けるようにしています」と林氏。

「グローバルというとかっこいいイメージがあるかもしれませんが、多様な価値観や文化が交差するところなんです」と林氏。多種多様な人々とコミュニケーションをとるため、1つのことを説明するにも伝え方に工夫が必要です。これまでの思考プロセスでは通用せず、そこでも理想と現実のギャップを感じたと言います。

まずはやってみる!そのあと内省し言語化する

ただ、「できないこと」が山ほどある中で「半歩先にあるできること」を積み重ねていくことによって、少しずつ変わっていったと話します。
「私自身は高いスキルを持っているわけではなかったですが、できることを少しずつ積み重ねていった結果、振り返ったらキャリアができていました」と話しました。いま自分にスキルが足りないと思っている学生にも、目の前のことを積み重ねることで活躍できる方法もあると語り掛けました。

「自分の短所をカバーするためにどうするのかを、自分自身と対話しながら考えることで、長所を個性に昇華できる」と林氏。
自分の好きなことや興味のあることを見つけてまずはやってみること、見つけられなかったら目の前のことに誰よりも取り組むことの大切さを語りました。そして「取り組んだらそれで終わらせず、言語化することが大事です」と話し、「皆さんの人生が、より豊かにより深くなるお手伝いになる授業になっていればと思います」と講演を終えました。

学生たちも将来を考えるきっかけになった講演

講演後、学生たちはグループで感想を話し合い、林氏に伝えました。
「自分は挫折も挑戦もまだ数が少なく未熟だと思いました。思いを言語化して、自分の軸を持っていきたい」と語った学生には、
「自分の考えを人前で発言することはとても難しいことです。言語化していくことを頑張ってやっていってください」とエールを送りました。

まだどんな仕事がしたいか決まっていないけれど、海外に興味があるという学生は「怖がらずに踏み込んでいきたいと思います」と宣言。林氏は「夢を実現するためには今日から何が出来るか、明日はどうするかアクションプランを考えてみると良いですよ」と具体的なアドバイスをされました。

学生たちにとって、これからの人生を良くしていくためのテーマを考えてみる授業となりました。

担当教員からのメッセージ

林さんに初めてお会いしたのは、彼女がまだ大学生の頃でした。以来15年の歳月が流れたことになりますが、毎年お会いするたびにその輝きを増しているお姿には、感動します。目の前のことに精一杯挑戦してきたそのキャリアが物語っています。ご自身の軸をしっかりと持ち、卓越した行動力をいかんなく発揮されて、さらなるご活躍を心から期待したいと思います。人生のテーマを有し、とにかく恐れることなく行動することの大切さは、学生にとって、本当に大切なメッセージとなりました。来年も、楽しみにお待ちしています。ありがとうございました。

2023年6月26日

未来の就活生の服装は?「演習IIA」で青山商事と就活時の服装の課題解決に取り組むコラボ授業が行われました。

2年生対象の「演習IIA」(担当:人間社会学部人間社会学科 広井多鶴子教授)の授業で、5月31日に青山商事株式会社(以下、青山商事)の皆さんとのコラボ授業が行われました。就活生の服装の悩みに向き合う「#きがえよう就活」プロジェクトの一環として、学生たちは未来の就活生の服装を考える課題に取り組みます。

紳士服大手の青山商事の課題とは?

最初に平松氏から青山商事の紹介がありました。
青山商事は「洋服の青山」「THE SUIT COMPANY」などビジネスウェア事業を中心に展開する企業です。店舗は全都道府県にあり、紳士服業界では現在シェアトップを誇ります。また、カード事業や飲食店などを展開するフランチャイジー事業、販売代理店契約をしている100円ショップ「ダイソー」も展開しています。とはいえ売上高の約7割をビジネスウェア事業が占め、青山と言えばスーツの印象が強いのも事実。しかし、実はスーツ以外にも、カジュアルなジャケットやレディスの服も取り扱っています。

ビジネスウェアのカジュアル化はコロナ禍を機に加速しており、ビジネスパーソンの服装は変化しています。また青山商事の顧客層は50代以上が中心で、働く人のボリュームゾーンである20~40代に必要とされる企業であり続けなければいけないというのが青山商事の課題です。

そこで誕生したのが「シン・シゴト服ラボ」という共創コミュニティ。
学生やビジネスパーソンと一緒に社会課題の解決に取り組み、これまでにテレワーク用の商品開発などを行いました。

「#きがえよう就活」プロジェクトって?

今回の「#きがえよう就活」もシン・シゴト服ラボのプロジェクトのひとつ。
ここからは岡本氏から「#きがえよう就活」についての説明が始まりました。
きっかけはコミュニティメンバーの一人が就活で服装選びに悩んだという言葉だったと言います。岡本氏は「それを聞いてビビッときました」と話しました。店舗の店長時代に、「服装自由」に悩んでいた就活生を接客していたこともあり、このコミュニティで課題を解決するべきではないかと思ったと言います。

近年では面接に「服装自由で」「私服で」など指定する企業も多いですが、アンケートを取ったところ服選びに困った学生は9割近く。課題として、会社がなぜ「服装自由」や「私服」と指定するのか意図が分からないこと、また、「自由」と言われても例えばデニムでもいいのか、企業の社風が分からないことが挙げられました。

就活生の服装の悩みを解決したい!

「#きがえよう」就活PJは、就活の暗黙のルールやマナーなどに悩むより自分の未来を考える時間にしてほしいという想いのもと活動しています。そのアクションとして、開設したのが「#きがえよう就活」の特設サイトです。
賛同企業は現在25社あり、選考時の服装指定の意図や理由も合わせて記載されています。新卒生が実際に着て行った服装を見える化し、グラフなどで示しました。特に実際に内定者がどんな服装だったかも記載し、内定にどの程度影響しているかもわかるようにしています。

リリース後はSNSなどで大きな反響を呼び、メディアにも取り上げられました。また、洋服の青山の店舗でも、就活生への対応マニュアルを刷新。
学生向けのパンフレットも新しくしています。

就活市場の現状は…

次に本学卒業生の澤田氏から就活市場の現状についても話がありました。
コロナ禍により面接のオンライン化も進みましたが、現状は対面とオンラインをどちらも行う企業も増えてきています。
「対面になると服装はスーツ率が高い」と澤田氏。また、「青山商事は本当に服装自由でデニムなどでも大丈夫ですが、自由の幅は企業によります」と言います。どうすればいいか悩んだときは、説明会などで対応した社員の恰好を参考にすると良いとアドバイスがありました。また、「服装自由と指定した理由を人事担当に聞いてもいい」と話しました。

就活生の服装の未来について考える

ここで、いよいよテーマの発表です。
今回学生たちには、「就活生の服装の未来」について考えるようお題が出されました。
課題の分析からデータ収集、調査まで学生たちが行います。

就活の暗黙のルールに悩まされずに自分を表現するにはどうすればいい?
理想と現実のギャップは?何を解決するべき?
考えることは数多くあります。

平松氏は
「世の中に実現できないことはありません。ぜひ自由な発想で考えてください。ワクワクする提案を楽しみにしています」と、
学生たちのプレゼンに期待を寄せました。

スーツ?カジュアル?就活にはどんな服装がいい?

学生たちは残りの時間を使ってさっそくグループディスカッションを始めました。
ある学生は「落ち着いた色ってどこまでだろう」と問いかけ、
「オフィスカジュアルを基準にと言われても、女性は服の幅が広く迷う」と話すと、周りの学生も共感していました。
「リクルートスーツは就活でしか着ないため、サステナブルではない」との指摘も出ていました。

「私服、自由とする理由は気になるしお手本も知りたいけど、それを企業に提示されたら結局自由ではないのでは」と矛盾を指摘する学生も。
「就活はスーツが多いのに、入社したら自由になるのはなぜ?」と根本的な疑問を出す学生もいました。

学生たちはグループワークを重ね、7月に最終プレゼンテーションに臨みます。