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2023年8月9日

印刷博物館の魅力を伝えるグッズとは?「実践キャリアプランニング」の印刷博物館とのコラボ授業で学生たちが課題発表を行いました。

共通教育科目「実践キャリアプランニング」(担当:文学部国文学科 深澤晶久教授)の授業で、6月30日に印刷博物館とのコラボセッションが行われました。印刷の歴史を伝え、新しい顧客獲得のための新しいミュージアムグッズを考えるという課題に対する提案です。印刷博物館から石橋氏、式氏、前原氏が発表を見届けます。プレゼンの時間は7分です。全12グループ中、この日は前半の6グループがさまざまな視点から考案したグッズの発表を行いました。

若い女性が手に取りやすいものは?

最初の発表はグループ8。
若い女性をターゲットにオタクの間で流行っているグッズであるネームプレートを提案しました。色を選べることで推し活の一つに取り入れやすいことが特徴です。
東京ドームなどの施設に近い立地から、イベントまでの時間つぶしにも利用してもらうことを想定しました。
印刷博物館ならではのデザインやフォントを選べるようにして話題性を持たせました。
発表後の講評では、石橋氏からは「書体を選べるのがいい」と感想があり、式氏は「ネームプレートがどれくらい流行っているのかデータがあればさらに説得力が増した」とアドバイスされました。

続いてのグループ2は、現在販売している商品はお土産としての単価が高く感じると問題点を指摘。
手軽に手に取れる商品として、ステッカー、ハンコケース、お菓子を提案しました。
ハンコケースは、ハンムラビ法典の形がハンコケースに似ているところから発想し、ハンコは印刷にも親和性があるとアピールしました。名入れもできることで、話題性も担保しました。
式氏は「単価の高さや種類の少なさについて分析がしっかりされているんだなと聞いていて分かったので、その点を資料にももっと詳しく載せてもらえたらよかったです。ニッチなものに目を付けたのも面白く感じました」と評されました。

印刷博物館に来ない層にどうアピールする?

グループ1は来場者の中で10代の割合が少ないことに着目。
特に小中学生は電子機器から情報を集めることが当たり前で印刷技術に興味がないと考えました。
そこで若い世代に印刷技術を広められる、夏休みの自由研究キットを提案。
プロローグにあるジオラマを模した立体パズルです。組み立てることで印刷技術も理解でき、研究物として提出できるという商品です。
前原氏は「自由研究は需要がある。夏休みには多くの小学生が来るので着眼点が良いと思いました」と感想を述べました。石橋氏は「10代の中で、中高生に来てもらう需要はあるかもう少し深堀りがあってもよかった」と指摘されました。

グループ7は、来館者に女性が多いことからイニシャルアクセサリーを考案。
聖書で使われている飾り文字をモチーフにして、自分でパーツを選べるネックレスやイヤリングを提案しました。
印刷博物館にはまだアクセサリー商品はないので需要はあるとしました。
また、鍵付き聖書のデザインを模した手帳型スマホケースや、ページごとに異なる紙を使用した紙図鑑を提案。
オンラインでも販売しやすく実用的なものをメインに考えました。
石橋氏は「商品はどういうものなのか画像やイラストで伝えてもらい、分かりやすかったです。なぜこの商品がいいのかという裏付けがあるとさらに良かった」と感想を述べました。

具体的にどう販売すると効果的?

グループ4はガチャガチャで販売するエコバッグを提案。
現在印刷博物館でもエコバッグは販売していますが、少々高価です。
デザインも若者が惹かれるものがないと指摘しました。ターゲットは若者や外国人とし、実用的で安価なものであれば若者も購入しやすいと、ガチャガチャ式で販売することを提案しました。
講評では式氏からは「選んだ柄の理由を知りたかったなと思いましたが、価格設定やデザイン図などが細かく詰められ、具体的なイメージが湧くプレゼンで完成度が高かったです」と感嘆の言葉がありました。

最後のグループ6はZ世代に行ったアンケートで、ステッカーをスマホケースに挟む人が8割という結果をもとに、「活版いんさステッカー」を考案。
話題作りとして人気コンテンツや企業とコラボすることを提案しました。
例えばディズニーや有名映画など、限定のデザインのものを販売し、裏に印刷博物館の説明を記載します。ただデメリットとして、売れたとしても一過性になる可能性があることにも言及。
しかし販売後の展望としてSNSで拡散され印刷博物館の認知度アップになると結論付けました。
石橋氏は「商品名が具体的。デメリットも見せてくれ、販売後の展望も見せてくれたのは他のグループにはなかった視点でした」と感嘆されました。前原氏も「資料が可愛らしく、細かいところまで気が配られていました」と話しました。

分析力、プレゼン力にも優れたチームは?

一週目の最優秀賞はグループ6が受賞。
印刷博物館の皆様から記念品が贈呈されました。
学生たちは「みんなで考えて作ったものを評価してもらえて嬉しいです」と感想を話しました。

最後に式氏が「評価項目は分析力、提案、印刷博物館としてのミッション達成度、スライド、プレゼン力の5つでした。グループ4もかなり拮抗して悩んだのですが、持ち時間いっぱい使いきりアピールしてくれたグループ6を最優秀としました」と授賞理由を話されました。

来週は残りのグループが発表をします。
資料はすでに提出済みですが、今回のプレゼンでいろいろな提案や視点があることに気付いた他のグループの学生たちは、さらに良いものへブラッシュアップして発表に臨みます。

担当教員からのメッセージ

印刷博物館さまにご支援いただくのは昨年に続いて2回目となります。昨年は、来場者を増やすための集客方法が課題でしたが、今年は、具体的なミュージアムグッズの企画というお題をいただきました。しかも、印刷博物館様からは、単なるアイデアフラッシュでは要件を満たさない、なぜなのかをしっかりと分析して欲しいというリクエストがあり、この部分について、学生たちは最も頭を悩ませていました。本日は、前半の6グループの提案でしたが、限られた時間の中て、その「なぜ」について議論したことが伝わってきました。来週も期待したいと思います。

2023年8月8日

ディズニーに若者がたくさん行くには?「キャリアデザイン」の授業で学生たちが東京ディズニーランドのスペシャルイベントをプレゼンしました。

3年生対象の共通教育科目「キャリアデザイン」(担当:文学部国文学科 深澤晶久教授)の授業で、7月4日に株式会社オリエンタルランドの横山政司氏をお迎えし、コラボセッションが行われました。この日は閑散期(冬季・春季)の東京ディズニーランドへ若者たちに来場してもらえる有効なイベントを考える課題のプレゼンテーション。各グループ1ヵ月かけて考えた、想いのこもった提案が発表されました。

冬は温かみを感じられるイベントを

発表はグループ4から始まりました。
冬季は冬の舞踏会をイメージし、若い女性に人気が高いプリンセスキャラクターをモチーフにティアラや王冠のついたカチューシャも販売。春季は来場者も体を動かせるダンスイベントを企画し、梅雨の時期は雨の日限定イベントを提案しました。
横山氏からは「プレゼン資料の作り方や見せ方が上手」と評価がありました。

次のグループ6は寒い冬季に愛情や温かみを感じさせる晩餐会をテーマに、レストラン内でプロジェクションマッピングやキャラクターと会える体験型イベントを企画しました。
春季は写真映えや自然に興味がある若者をターゲットに、キャラクターがフラワートピアリーになるものを考えました。

グループ7は、若者は経済的に余裕がないと、パークに行かない理由を分析し、価値に見合った満足度や新規性が大切と主張しました。
そこで冬季は音楽フェスをモチーフに、ダンサーやキャラクターと一緒に盛り上がれるイベントを考案。派手なキャッスルショーを行い、サイリウムやタオルなどのフェスならではのグッズも販売します。春季は桜まつりで日本の春を押し出しました。
「冒頭の現状分析が良かった」と横山氏も評価されました。

春は出会いの季節!多様性?コスプレも?

グループ5は冬季にバレンタインとホワイトデーをモチーフに、プリンセス&プリンスたちによるイベントを企画しました。
期間中は割引のペアチケットを販売したり、昼と夜でパレードを2部構成としたり、ストーリー性のある内容を提案しました。春季は、2026年にはよりグローバル化が進むことから多様性をテーマにしました。

グループ8は冬季に期間限定で、キャラクターとのグリーティングイベントを提案。春季は映画「スターウォーズ」シリーズをモチーフに男性をターゲットにしたイベントを考えました。
春は出会いの季節。映画の名台詞をもじり「新たな出会いに幸運を」をコンセプトとしました。人型ロボットを導入したリアルショーを行うことも提案しました。
横山氏も「春の季節と映画のコンセプトを結び付けた切り口は面白い」と感想を仰っていました。

次のグループ2は、冬季は初雪のお祝いをテーマに、過去イベントの人気キャラクターの復活を提案。
春季には、参加型の体験にお金を使う若者をターゲットに、秋で人気なコスプレを導入することを提案しました。コスプレできるキャラを限定し、秋季イベントとの差別化を図ります。
横山氏は「若者がパークに戻ってこない一番の理由が分かりにくいので、このイベントで本当に来てくれるかの考察がもう少し欲しかったです」と講評されました。

どうしたら若者が東京ディズニーランドに来たくなる?

次のグループ1は、若者は東京ディズニーランドよりも大人の雰囲気が味わえる東京ディズニーシーを好むという分析から、冬季に悪役たちを中心にした大人向けイベントを考えました。
春季はプリンセスキャラクターたちによるキャッスルショーを開催し、温かみのあるものを提案しました。

グループ9のキーワードは「なつかしさ」と「お一人さま」。
ヤングアダルト層は懐かしいものに「エモさ」を感じるという観点から、冬季は以前あったアトラクション「シンデレラ城のミステリーツアー」をモチーフにしたイベントを開催。春季は祝祭をテーマに一人でもパーク内をゆっくり回って楽しめるイベントを提案しました。また、冬季と春季のイベントはストーリーとしてつながっていて、どちらのイベントにも来ることで満足感の高いものになるものを提案しました。
「終了したアトラクションをモチーフにする着眼点や、仮説の置き方が面白い」と横山氏も感想を述べられました。

最後のグループ3は、冬季は猫や犬のディズニーキャラクターを集めたイベントを提案。
若者に人気の高い動物カフェから発想しました。春季は運動会をテーマに、応援合戦で一体感を味わえるイベントを考えました。お弁当箱型のフードの提供やハチマキのグッズも考案。コロナ禍があけた2026年には体を動かす需要が高まると考えての提案です。

「木を見て森を見ず」にならずに全体を見よう

すべての発表が終わり、最後に横山氏の総評がありました。
「皆さんにお願いしたことは、我々が考えても頭を悩ませる本当に難しいこと」と学生たちをねぎらいました。
ただ、今回の提案の多くが、アンケート分析と提案がうまく結びついていないことを指摘。
「一個一個の分析や提案は良いが、全体を見ることが出来ていなかった」とアンケート結果から分析、提案まで全部が一本でつながっていることを確認する大事さを伝えました。
その上で「良い気付きがたくさんありました」と学生たちのアイデアを褒め、「もしかしたらこれからのイベントに皆さんの案が使われるかも」と話されました。

最優秀賞は「なつかしさ」と「お一人さま」をキーワードにしたグループ9、優秀賞はグループ5が選ばれました。
受賞したグループには東京ディズニーランドのグッズが贈呈され、学生たちから歓声も上がり、和やかに写真撮影が行われました。

担当教員からのメッセージ

オリエンタルランドの横山様は、毎年、様々な切り口から、学生の関心が高いと思われるテーマをお題として提示いただいています。今回は、シーズンイベントの企画提案という壮大なテーマで、日頃から東京ディズニーリゾートをよく訪れている学生たちにとっては、身近でありながら、とても難しいテーマであったと振り返っています。アイデアは沢山浮かぶものの、オリエンタルランドの横山様が求められていることは、背景や環境などのしっかりとした分析であり、実際の仕事でも最も大切な「問いに対する理解度」を求めておられました。
授業時間では、事前の提案に対して、1グループ毎にフィードバックをいただけるなど、横山様には、この場を借りて厚く御礼申し上げます。

2023年8月8日

生き方を輝かせる考え方とは?「女性とキャリア形成」の授業で元資生堂役員がポジティブ思考の大切さを話されました。

共通教育科目「女性とキャリア形成」(担当:文学部国文学科 深澤晶久教授)の授業で、7月6日に株式会社資生堂(以下、資生堂)の元執行役員常務として活躍された関根近子氏をお迎えし講演が行われました。進行は担当グループの学生たちが行います。関根氏は自身の経験とともにポジティブシンキングの大切さを伝えられました。

美しさは見た目だけじゃない

進行担当の学生から紹介を受け、笑顔で「本日は大変楽しみにしてまいりました」とあいさつをされた関根氏。
背筋を伸ばし、ピンヒールを履いて話す姿は学生たちの目にも、美しく感じられたようです。姿勢や見た目の美しさを保つことも関根氏の信念と話します。
「いつか関根さんのようになりたいと思われるように、このような信念も大事だと思います」と講演を始められました。

関根氏が入社した当時から、資生堂は女性社員の比率が高い会社でしたが「バリバリの男性社会だった」と言います。
少ない男性たちが会社の方針を決めていたのです。関根氏が大阪の販売会社の支店長になった際には「女には務まらない」と言われ、役員になった時も女性の数はたった2人でした。
ただ、女性が多い会社だったためにその後役員登用の道が開けたとも言います。
現在は政府も女性役員3割以上とするよう後押しをしており、だんだんと女性の意見は通りやすくなっています。
「一つの基準としてその会社の女性役員の比率を見ておくといい」とアドバイスされました。

自分の強みを生かしたことで仕事に喜びを見出した

関根氏は学生時代、教師になりたいと大学進学を考えていた矢先、家族が事故に遭い就職を選択せざるを得ない状況になりました。生活のために仕事を探し、運よく入社したのが資生堂だったと言います。
最初は美容部員として接客する仕事でしたが、ある日プロモーションチームに配置換えに。仕事内容は、ノルマを与えられ推奨品を売ること。
ノルマはきつく、高い商品を売りつけるだけの仕事に気持ちがなえてしまった関根氏は、先輩に辞めたいと相談に行きました。

そこで言われたのは「あなたの強みは何?」でした。
「お客様の持っていないあなたの強みを、お客様にお届けするのが役目」と言われ、関根氏は一念発起。
美容知識を駆使して、一人ひとりに合わせたアプローチ方法に変更しました。すると、後日お客様が来店して関根氏を指名してくれたり、友人を連れてきてくれたりするように。さらにはお客様に「ありがとう」と言われるようになりました。
関根氏は「今までは商品を買ってくれたお客様に言う言葉だと思っていたのが、お客様から言われたことで、仕事に喜びを見出しました」と語ります。
そのときに「日本一の美容部員になる」というキャリアビジョンを、初めて描いたと言います。
環境は変わらずとも、考え方が変わったことでやりがいを見出すことができた経験だと語りました。

仕事もプライベートも輝くためのウェルビーイング

輝くための必要な生き方として、関根氏は「ウェルビーイング」を紹介しました。
身体的にも精神的にも良好な状態であることを示すウェルビーイング。ハピネスも幸せですが、ウェルビーイングは多面的な幸せを指します。

ウェルビーイングになるためにはポジティブなマインドがベースになります。
ただ、「ネガティブは否定しません」と関根氏。
「ネガティブだからこそ、ポジティブな考え方が必要なんです」と話します。そして「皆さん、自分を好きですか?」と問いかけました。
自分が一生離れられないのは、自分です。「自分のことを嫌いではとてもつらい。自分を好きになることで心底他人のことを愛せるし、喜びを感じることができます」と語りました。

自分の長所を言えますか?

ポジティブマインドのコツとして、関根氏は「毎日少しずつラッキーなこと、喜ぶことを見つけること」だと言います。
楽天家になれということではなく、「なにか問題が起こっても希望や解決策を探そうとする思考が本当のポジティブ思考」と話しました。

さらに関根氏は「自分の長所を10個書けますか」と問いかけます。
日本人は長所を言うことを傲慢だと思う傾向がありますが、「国際社会では負けますよ」と関根氏は断言。
自分を堂々とアピールすることが、国際社会では当たり前です。自分の意見を持ち発言する大切さを伝えました。
「私も役員になったとき、美容部員あがりと言われた。でも私は美容部員の経験は強みと思っています」と話し、誰かと比べるのではなく自分の経験を積み重ねることの大切さを伝えました。

ポジティブ思考でいこう

講演後、学生たちはグループごとに話し合い、質疑応答の時間に移りました。
「忙しい中どのように優先順位や時間を作っていますか」という質問には、「自分のなかで軸を作り、重要度や優先度を決めること。緩めるときは緩めることで、緊張感のある時間もできる。メリハリのある環境に身を置くことが大事です」と回答されました。
「海外で戦える人材として必要なマインドはなんですか」という問いには、「英語ができることが第一ではありません。自分の意見を考え、はっきり言えることが大事です」と回答されました。

最後に進行担当の学生から「これから社会に出て生きていく上で指針になる講演でした。まずはチャレンジし、失敗してもそこから学び成長し続けることが大切だと感じました」とお礼の言葉を述べました。
学生たちにとって、仕事もプライベートも輝いて生きるためのヒントを与えられた講演でした。

担当教員からのメッセージ

私が企業の人事部時代から色々とご指導いただいた関根さん、いつお会いしても凛とされた佇まいには、憧れを感じています。企業時代には、お互いに厳しかった思い出も沢山あります。しかし、関根さんとお会いすると、どんな時も、決して後ろを向かず、ポジティブに前に進むことの大切さを思い出します。学生にとっても、素晴らしいロールモデルとして、心に刻まれることと思います。この場を借りて厚く御礼申し上げます。

2023年8月8日

これからのオリンピックの形は?「国際理解とキャリア形成」の授業でオリンピックの将来についてのプレゼンテーションが行われました。

共通教育科目「国際理解とキャリア形成」(担当:文学部国文学科 深澤晶久教授)で7月11日にスポーツニッポン新聞社とのコラボ授業が行われました。「実践女子大生が考えるこれからのオリンピックの形」について学生たちがプレゼンテーションを行いました。授業の様子は7月12日のスポニチに記事として掲載され、貴重な発信の機会となりました。

メタバースも使って全員参加

最初の発表はグループ3から。
日本では開会式は視聴率がとても高い反面、各競技に対する視聴率は低く、関心がないことに着目。改善に向け、学生を対象にオリンピック関連の授業を実施することを提案しました。歴史や選手の講演を行ったりユニファイドスポーツを知ってもらうきっかけを増やしたりすることを考えました。また、ジェンダー面の解決策として、ユニフォームのデザイン案を選手自身に投票してもらうなども考案しました。

発表後には藤山氏から講評をいただきました。
「全員で参加するという姿勢を感じました。なぜ若者は競技を見ないのか、もう少し深堀してもらえたら更に良かったです」と話されました。

次のグループ1は「全世界に臨場感を届けたい!」をテーマに、メタバース空間を利用した観客参加を提案しました。VR技術を活用し、実際に競技を体験・参加できる場を作ります。エキシビションとして実際にゲームのようにメタバース空間で対戦できることで、親近感がわくシステムを考えました。

藤山氏からも「これからの時代メタバースなどの技術革新は避けては通れないでしょう」と同意のコメントをいただきました。ただ「IOCには厳しい肖像権がある。IOCも時代に合わせ変わって行かなくてはならない」と問題提起も重ねられました。

若者の意見を取り入れるには?

グループ6はオリンピックを現代だけでなく後世に伝えるために「若者に身近であり続ける」ことを目標としました。組織委員会の高齢化を問題点とし、もっと若者の意見を入りやすくするべきと指摘しました。また、スポーツ観戦は時間がかかりタイムパフォーマンスが悪いと若者から嫌煙されている点にも注目。オンラインチケットの販売で、アーカイブ配信をする方法などを提案しました。

藤山氏も「取材していても高齢化は感じていた。オリンピックの組織自体も若返らないと。また、スポーツが生き返るためにも時間の問題は大切だと感じました」と感想を述べられました。

グループ2は多様性に注目。
ユニフォームに自由度がないことを課題に挙げました。ジェンダーや宗教性の違いに配慮するため、それぞれの選手が着たい形状を選択できるようにしたり、選手の意見を取り入れたデザインにしたりすることを提案。また、水泳などの競技では盗撮等の問題があることも挙げ、安心して競技に集中できるユニフォームなどの採用の必要性を伝えました。開会式も競技別の選手入場とするなど、選手が伸び伸びとできる環境へ変わることの大切さを訴えました。

「多様性とスポーツとしての統一性をどう保つかの問題は難しい」と藤山氏。「盗撮の問題も水泳だけでなく深刻。取り上げてもらって良かった」と着眼点の良さを褒められました。

サスティナブルなオリンピックの形

グループ4は「全人類参加型のオリンピック」を掲げました。
ジェンダーに関係ない競技の採用を提案しました。例えばダンスやチアリーディング、アカペラなど、表現力を競うものをあげました。「オリンピックに合わないと思われるかもしれませんが、これくらい大胆に体格差や性別に関係ないものを入れるべき」と主張。その他にもSNSの活用や映画館等でのライブビューイングの活用などを提案しました。

藤山氏は「見出しが良いですね」と感嘆。「全員が納得する条件は難しい。男女の区別がない競技は必要」と共感されました。

最後のグループ5は「持続可能なオリンピック」をテーマにしました。
施設建設時の違法伐採や、終了後の施設の廃墟化、グッズの大量在庫の問題に焦点を当てました。これらの解決策として分散開催を提案しました。アジア・ヨーロッパなどエリア開催や、メタバースを活用することを提案し、地域振興や環境保全と、経済の両立を目指します。

「これからのオリンピックでは分散開催は確実に行われます」と藤山氏。「いままで一つの都市でしか開催できなかったのですが、2019年に改訂されました。少しずつですがオリンピックも変わっています」と話されました。

若者の視点でオリンピックを考える

最後に藤山氏から総評をいただきました。
「ひとつのテーマにも、いろんな切り口がありどれも内容が濃くてびっくりしました。このままオリンピックの委員会に持っていって、若者の意見として伝えても通じるものでした。メタバースやSNSなどはこれからの時代、確実に使われるものだと感じ、オリンピックやオリンピック委員会も変わらないといけないと改めて気付きました」と学生たちの頑張りをねぎらいました。

この授業の模様は、翌日のスポニチに実際に記事として掲載されました。
学生たちにとって貴重な発信の機会となりました。

担当教員からのメッセージ

「東京2020」の開幕前からスポーツニッポン新聞社様にご支援をいただき、6年の歳月が流れたことになります。その間には、開催の延期、無観客開催、そして大会後の様々な問題など、日本社会を大きく揺るがすイベントになりました。一方、実践女子大学では、10,000人を超える学生が、様々な形で東京2020に関わり、きっと彼女たち一人ひとりの心の中には、様々な感情とともに深く刻まれたことと思います。早いもので、来年はパリ五輪が開催されます。平和の祭典として歴史が続くことを祈りたいと思います。この間、様々な形でご支援いただいたスポーツニッポン新聞社の皆様に、改めて感謝申し上げます。

2023年7月20日

人から好かれる要素は「明・元・素」!「女性とキャリア形成」の授業で日本マナー・プロトコール協会の明石伸子氏が人生とキャリアの選択について講演を行いました。

6月22日に、共通教育科目「女性とキャリア形成」(担当:文学部国文学科 深澤晶久教授)の授業で日本マナー・プロトコール協会の明石伸子理事長をお迎えし、講演いただきました。本授業は、担当グループの学生たちが進行を行います。明石氏はご自身のキャリアと経験から、人生とキャリアの選択について、人とのつながりの大切さまで幅広く語ってくださいました。

大手企業からベンチャー、会社立ち上げまで幅広いキャリア経験

明石氏は1979年に日本航空株式会社(JAL)に就職。
当時は女性の就職は短大卒がほとんどの時代。4年制大学を卒業した明石氏は採用枠が限られていたため、特にCA(客室乗務員)になりたかったわけではないけれど応募したと言います。
当時は「キャリアを考えてバリバリ仕事をしようなんて全く考えていませんでした」と話します。
結婚をして退職し子どもも2人出産するも、その後離婚を経験されます。
その当時、女性の片親はハンディだったと言います。「これからどうしていこうと考えた時に初めて、仕事ができる人になろうと思いました」と語りました。

それまでいわゆるオフィスワークの経験は皆無だった明石氏は、当時ベンチャー企業だった株式会社パソナに入社。
自分で考えて動かなければいけない職場に、「業務は与えられたもの、仕事は自分で作り出すもの」ということを実感し、仕事をする楽しさを知ったと言います。
その後コンサルティング会社に転職し、自分で会社を設立。社会に役立つ仕事に関わりたいと思い、日本マナー・プロトコール協会を立ち上げました。
2015年には内閣府の委員を委嘱され、現在では大手企業の社外取締役も担っています。

企業の種類を知ろう

「みなさんの人生の大きなターニングポイントになりかねないのが就職です」と明石氏。
事前課題でもあった企業の見方や選び方を確認しました。上場企業のなかでもプライム・スタンダードなどレベルが分かれること、非上場の法人、行政も就職先としてありえること。
「何を基準に選ぶかは人それぞれですが、しっかり人を育ててくれるところがいいのではないかなと思います」と話されました。

「皆さんはどんな企業を知っていますか」と問われ、いくつか企業名が挙がりました。その多くは消費者に商品やサービスを提供するBtoC企業です。しかし多くは非上場だったり上場していてもレベルは下であったりします。
「企業規模と知名度があることは別問題」と明石氏。知っている企業が良い企業とは限りません。
BtoBやCtoCの企業など視野を広げることの大事さを伝えました。

自分のキャリア志向を確認する

「みなさん全員が仕事でバリバリ活躍したいわけではないですね。私は専業主婦もとっても素敵だなと思います」と明石氏。「自分を知ることで迷わないようにしてほしいし、いろんな意見に流されず後悔しないで欲しい」と話しました。

ただ「やりたい仕事やなりたい自分への道は遠いかもしれない」とも語ります。
まず与えられた仕事をしっかりやってみることが大事と話しました。渡辺和子氏の「雑用という仕事はありません」という言葉を引用し、どんな仕事も心を込めてやっていれば、それを見てくれる人もいると諭しました。
今はキャリアチェンジがしやすい時代ではありますが、次のチャンスがいいものとも限りません。まずは継続する勇気を持つことが大切です。

人との付き合い方が大切

「会社って何かというと単なる人の集団なんです」と明石氏は話します。ビジネスは人が協働して成果を出すこと。
しかし、人間同士で行うことなのでトラブルも起こります。「でも人がいることで頑張ったり励まされたりすることも確かです」と、明石氏は3つの言葉を紹介されました。
アドバイスや勇気をくれる「メンター」、人生の理想像である「モデラー」、どんなときも支援してくれる「サポーター」です。
この3つに該当する人たちを見つけ大事にすることを勧めました。

コミュニケーションのコツは「明・元・素」と明石氏。
明るい、元気、素直な人のことです。
また、他人のせいにしないこと。「他人のせいにすると何も解決しないのでストレスが溜まるんです」と伝えました。自分でどうしたら解決できるかを考えることが大切だと話しました。

2022年に発表された女性の平均寿命は87.6歳。
明石氏は「就職してからの人生の方が長いんです」と言い「充実した時間を過ごして欲しい」と話します。先が見えなくて不安ということは、どんな可能性もあるということ。
「皆さんは、これからなんです」と力強くエールを送られました。

あなたのキャリアと人生は?

質疑応答の時間では多くの学生から手が挙がりました。
「折れないようにするための心の持ちようは?」という質問には「苦手な人との距離感を知ることじゃないかなと思います。また、メンターに助けてもらうなど自分が立ち直る方法を探すこと。深く折れてしまう前の方法を見つけましょう」と回答。

「他人のせいにする方がストレスは軽くなると思っていたので驚きました。逆だと思ったきっかけはなんですか」という学生には「離婚の経験が大きかった。自分にも理由があったと思ったら変われる。成長のチャンスになりました」と話されました。

最後に進行担当グループの学生から「知っている企業が良い会社とは限らないことなど、事前課題も含めとても良い学びになりました。
明・元・素など、今後の人生の指針となることを教えていただきました」とお礼の言葉があり、大きな拍手が起こりました。

担当教員からのメッセージ

私が企業(資生堂)に勤務していた頃からご縁をいただいていた明石様にご登壇いただきました。とにかく終始笑顔を絶やさずお話しされる姿には、学生とともに感動いたしました。様々なご経験の中から培われたポジション思考は、明石様の生き方そのものだと思います。この場を借りて、明石様に、心から感謝申し上げます。

2023年7月20日

現代の社会人に求められるものって?「実践プロジェクトa」でサントリーの新人研修を考えるコラボ授業が行われました。

6月16日に1年生対象の「実践プロジェクトa」(担当:文学部国文学科 深澤晶久教授)で、サントリーホールディングス株式会社(以下、サントリー)とのコラボ授業が行われました。ピープル&カルチャー本部の斎藤誠二氏と下間智美氏から「サントリーの新入社員に行う研修計画の提案」という課題が出され、グループワークを行います。ミッションを正確に理解し、社会人に求められるものを考える難しい課題に、学生たちは早速活発に議論していました。

やってみなはれ!サントリーの企業理念

サントリーは学生にもなじみ深い総合食品メーカー。主力の清涼飲料水や酒類のほか、サプリメントなどの健康食品、外食業や化粧品など幅広く展開しています。
現在売り上げの約半分が海外によるもので、世界に約4万人の従業員がいるグローバルな企業です。

下間氏は「サントリーは創業者の思いを継承し挑戦し続ける企業です」と話します。
「やってみなはれ」という創業者の口癖は今やサントリーのDNAとなっており、失敗を恐れずに未知の領域に挑戦し続ける、あきらめずに最後までやりきる、ということを大事にしています。下間氏は「サントリーはさまざまな挑戦の歴史があります」と語り、現在のペットボトルコーヒーの開発を例に挙げました。これまで缶がメインだったコーヒーを、現代の働き方に合ったスタイルで提案。新たな市場を開拓しました。
下間氏は「ただ売上を出したいということではなく、新しい生活文化を提供して生活を豊かにして欲しいという思いで開発しています」と語りました。

もう1つ大切にしている価値観が「利益三分主義」。
得た利益を事業への投資だけに回すのではなく、お客様へのサービスや社会への貢献にも活用することです。クラシックコンサートを行うサントリーホールや、サントリー美術館など芸術文化に触れる施設の運営を行ったり、スポーツチームやイベントへの出資をしたり。
また環境を守る「天然水の森」という森林活動や、子どもたちへ水の大切さを教える「水育」もその一環です。

人材育成に大切なこと

今回の課題は人事部門に関わる課題ということで、人材育成についても説明がありました。人材育成の役割は経営側と社員のそれぞれの考え・方向性を一致させることが第一です。
サントリーが求める社員は、グローバルな視野と開拓者精神を持った人。変化をチャンスと捉え、自ら一歩踏み出しチャレンジすることができる人材です。
「サントリーの中だけで活躍するのではなく、企業を飛び出して世の中でも通用する人材であって欲しいと思います」と下間氏は言います。

人の成長を決める要素とは7:2:1の割合で「経験:育成:研修」と言われます。
今回の課題は研修の部分。
下間氏は「たった1割かと思われるかもしれませんが、新人研修は社会人になって最初の、基礎になる重要な研修です」と話しました。

サントリーの新人研修を考えよう!

ここで改めて課題の発表が。「皆さんはサントリーの人事部の新入社員です」と下間氏。
課題は大きく2つです。
企業を取り巻く環境をふまえて、今の社会人に求められるものを考えること。
その上でサントリーに入社する社員に対する具体的な研修計画を提案することです。

「サントリーがどんな新人研修をしているのかという情報は、あえて提供しません」と下間氏。
提案された研修が、実際に行われている研修と合っているかということを問うている課題ではなく、学生たちの視点で自由にオリジナリティ豊かにに考えてほしいと話しました。

課題をどう進めていくかを、下間氏は3つのステップで伝えました。

ステップ1は「ニーズを把握する」。
どんな人材が企業から求められているのか、さまざまな情報を集めることが大切です。
ステップ2は「ニーズの背景を知り本質的な課題の考察をする」。
なぜそのニーズが求められるのか、その理由まで深堀すること。
ステップ3でようやく「具体的な研修計画を提案」です。

下間氏は「重要なのはステップ1と2をきちんと考えることです」と念押ししました。
研修計画を立てると「こんなことしたら楽しそう」とステップ3から考えたくなってしまいます。
しかし、いきなりステップ3から考えてしまうとなぜその研修が必要なのか、本質を見失い中身のないものになりかねません。ニーズを把握し、背景や課題を整理した上で「本質的な課題解決を前提にした、地に足のついた提案をまとめてもらえればと思います」と、学生たちの提案に期待を寄せました。

なにが本質?ロジカルに考えてみよう

早速学生たちはグループに分かれ作戦会議。
期間は?規模は?求められる人材は「自分で考える力じゃない?」「企業は個性を育てたいのかも」などさまざまな意見が飛び交っていました。
斎藤氏と下間氏に質問をしたり、昨年同じ課題に挑戦した先輩にアドバイスを受けたり、少しずつ案を固めていきました。

課題の評価基準はロジカルかどうか。
斎藤氏は「仕事はアイデア勝負ではない」と話し、筋道が立っていて納得できるものが大事と語ります。「今回の課題は何が正しいというわけではありません。世の中の情報に正解を探しに行かないでください」とアドバイス。
自分なりに考えて議論する大切さを伝えました。

学生たちはグループワークで提案を深め、中間発表を経て1か月後にプレゼンテーションに臨みます。

担当教員からのメッセージ

本授業について、サントリーホールディングス様にご支援いただくのは3回目となります。「大学での学び方を学ぶ」という本講座の狙いを実現する大切なテーマへの挑戦です。言い換えれば、このお題を通して、今社会は、どのような人材を求めているのか、そしてサントリー様ではどのような人材を育成しようとしているのかを考えることになりますが、このことを議論することは、1年生にとっては、ここからの4年間何を学ぶべきかを考えることに繋がるのです。果敢に挑戦してくれることを期待しています。この場を借りて、サントリーホールディングス様の斎藤様、下間様に心から感謝申し上げます。

2023年7月20日

「国際理解とキャリア形成」の授業で五輪メダリストの有森裕子氏をお招きしスポーツニッポン新聞社との特別コラボが行われました。

共通教育科目「国際理解とキャリア形成」(担当:文学部国文学科 深澤晶久教授)の授業で、6月27日にスポーツニッポン新聞社との特別コラボセッションが行われました。スペシャルゲストは五輪女子マラソンメダリストの有森裕子氏。藤山健二編集委員との対談という形で、学生たちの前で講演を行って下さいました。世界の第一線で活躍された有森氏の貴重なお話に、学生たちも頷いたりメモを取ったりしながら真剣に耳を傾けていました。

諦めずに陸上部に入部

対談は、藤山氏が有森氏の生涯を振り返っていく形で進んでいきました。
有森氏はバルセロナ五輪で銀メダル、アトランタ五輪で銅メダルを獲得した、押しも押されもせぬオリンピアン。
しかし、子どもの頃は体が弱く、スポーツとは縁遠かったと話します。陸上と出会ったのは中学時代に運動会で800m走に出場したことがきっかけです。
「他の競技は得意な子がやりたがるんですが、800mは誰も出たがらなかったので空きがあったんです」と、有森氏は冗談交じりに話しました。その800m走で3年連続優勝。
「私はできるんだ!」と思った有森氏は高校で陸上をすることを目指します。

有森氏が進学した高校はスポーツ強豪で知られる名門校でした。陸上部の門をたたくも、実績のない有森氏は門前払いに合います。
しかし顧問の先生へ1ヵ月かけしつこく通い詰め直談判。とうとう顧問は折れ、陸上部に入部しました。
なぜそこまでして諦めなかったのかとよく聞かれるという有森氏は「諦める理由がなかった」と力強く仰います。
「できたことができなくなったわけではなく、まだ全部やりつくしていないだけだったので諦める必要がなかったんです」と語りました。

「根拠のないやる気」で小出監督に直談判

念願の陸上部に入部したものの、成績は振るいませんでした。大学でも大きな成績がないまま卒業。実業団を探していたときに、リクルート社にアプローチします。
そこで出会ったのが女子マラソンの名監督として名を馳せていた小出義雄監督でした。ここまできたら、と直談判し思いを伝えます。
すると「あなたは実績もなにも持っていない。けれどそれ以上にやりたいという気持ちを持っている。その根拠のないやる気に興味がある」と入社させてくれたのです。

晴れて入団するも自分は無名。
国体の岡山県大会に出場し最終予選で優勝するも、マネージャーが選手登録をしていなかったミスで失格扱いに。
そのときチームも監督もミスを棚に上げ実績がないからだと言われ、とにかく悔しかったと言います。
「それでも、この場所を選んだのは自分。この中で頑張るしかない」と怒りを自分の力に変えられたことが良かったと語り「今でもあの経験は活きています」と話しました。

人生で一番つらい時期は銀メダル獲得後

徐々に力をつけ、バルセロナ五輪に出場し銀メダルを獲得。その後状況は一変したと言います。
女子マラソンでメダルを取った人は有森氏が初めて。扱いに困られたり変に気を遣われたり。
次の五輪を目指し自分はもっと強くなりたかったのに、やりたいことの希望を出すと天狗になっているとか、わがままを言っているなどとねたまれたと言います。精神的につらくなり、成績も落ち込みます。
そんな時に両足のかかとに痛みも出て「人生で一番きつかった」と話しました。

もんもんとしていた日々を振り切るように有森氏は手術に踏み切ります。
手術は無事成功し再び走る意欲を取り戻しました。アトランタ五輪に出場し、銅メダルを獲得。
そのときのインタビューで出た名言はあまりにも有名です。
「自分で自分をほめたい」。
この言葉は「自分で決めたことを自分でできたことに対して出てきた」と話しました。

スペシャルオリンピックスって?

引退後は、国際オリンピック委員をはじめ、数多くのスポーツ振興に尽力されています。
その中で、今回有森氏が学生たちに知ってもらいたいと紹介したのが「スペシャルオリンピックス」です。
スペシャルオリンピックスは、知的障害のある人たちの自立や社会参加を目的とした競技会のこと。スポーツを通して全都道府県で年間を通して行われています。

「できるの?とつい考えてしまうけれど、知的障害の方は教えてもらえる機会があれば、できます」と有森氏。
今まで機会をもらえなかっただけと強調しました。障害を持った人はできないと思ってしまう固定観念を捨て、社会に出て一緒に生きていけることを知ってもらう機会になっています。
日本では健常者が担うパートナーの人材がなかなかいないのが課題。
「興味があるものがあれば参加してみて欲しいと思います」と学生たちに語り掛けました。

「将来のオリンピックの姿」のヒントになる講演

最後に、事前に学生たちから集めた質問の中からいくつかを、藤山氏が質問してくださいました。
「苦しいときのごほうびは?」という質問には「練習はつらかったが、苦しいのは強くなっている証拠なので、いやではなかったですね」と回答しました。
「アスリートの視点からみて、これからの五輪はどうなると思いますか」という問いには、「今はスポーツを通して自分を表現できるチャンスもある。五輪だけを見ている選手は少ないかも。個人的には、五輪を通じてもっと交流できる”祭典”に戻ってもらいたいです」と話しました。
オリンピアンの貴重な経験談は「将来のオリンピックの姿」を考えるヒントになりました。

担当教員からのメッセージ

有森さんにご登壇いただくのは、今回が4回目となります。最初にお越しいただいた時はオンライン授業の頃、学生はオンラインで授業に参加、教室にいたのは、有森さんと藤山さんと私の3人というシチュエーションでした。以来4年が経過、東京2020も延期がありながら開催され、1周年イベントも終わりましたが、早いもので来年はパリ五輪です。そんなタイミングで、もう一度、これからのオリンピックパラリンピックについて考えてみようという課題に挑戦しています。

有森さんの数々のエピソードからは、決してあきらめない心や、逆境の時にこそ「せっかくだから」という言葉を乗せることで、常に前向きに物事を考えること、そして挑戦する気持ちの大切さなど、数々のお言葉をいただきました。この場を借りて、有森さん、そしてスポニチの藤山様には、心から感謝申し上げます。

2023年7月19日

世界一のホスピタリティの秘訣は?「女性とキャリア形成」の授業で株式会社オリエンタルランドの元執行役員をお迎えし講演が行われました。

6月8日に共通教育科目「女性とキャリア形成」(担当:文学部国文学科 深澤晶久教授)で株式会社オリエンタルランド(以下、オリエンタルランド)の元執行役員の永嶋悦子氏が講演を行いました。テーマパーク開園当初の様子や、初の女性管理職としての奮闘ぶりをざっくばらんにお話くださいました。学生たちは世界に誇れるホスピタリティの秘訣に触れる機会になりました。

テーマパーク開園時の苦労は?

授業の冒頭の出欠確認に、この日は仕掛けがありました。
出欠管理システムで当たりが出た2名の学生には東京ディズニーランドの記念グッズが。学生たちからは歓声が上がり、授業のやる気も高まりました。

今回進行を担当したグループの学生

進行役の学生たちも、ミニーのカチューシャを付けてゲストを紹介いたしました。

永嶋氏は1982年にオリエンタルランドに入社。
オリエンタルランドも当時は男社会。
希望していたグランド・サーキット(アトラクション)には女性を採用できないと言われ、シアター型のアトラクションに配属になったと話します。
「徐々に女性も働けるようになっていきました」と言い、今ではカヌーを漕ぐ力仕事のアトラクションにも、女性が多く採用されていると話します。

東京ディズニーランド開園当時、テーマパークは日本人にとって初体験。
ピクニック気分でお弁当を持参してしまう人も多く、持ち込み禁止が来場者へ浸透するには5年ほどかかったと言います。アトラクションキャストだった永嶋氏も何度もゲストにお願いをしたと笑いを交えて話されました。

男性社会に負けずに管理職に

1998年に管理職研修を受け、管理職試験に最初に受かった女性となりました。
1990年代は修学旅行先として選ばれるようになり、永嶋氏は営業部として教育委員会や文科省の方々との交渉にあたります。
「上層部の方は、テーマパークは遊ぶところというイメージがあり、修学旅行にふさわしくないと思われていました」と、イメージを変えるために奔走されたと語りました。

ここで永嶋氏は一つの言葉を提示。
「オールドボーイズネットワークって知っていますか?」男性中心の組織内の独特の文化や仕事の進め方、人間関係を指す言葉です。
民間企業は変化してきているものの「地方や公共機関などでは、まだ古い体質が蔓延っている」と永嶋氏。
実は永嶋氏も管理職試験を1度落ちていると話します。「自分より年下の男性が受かっていて納得できなかった」と話し、「女性の先駆者がおらず、管理者の経験や知識を聞けませんでした」と苦労を語りました。

ただ、元から執行役員になろうと思っていたわけではないと言います。
永嶋氏は「目の前のことが楽しくて、ただ頑張っていたら周りがさらにいろんな仕事を任せてくれるようになっていきました」と笑って語りました。

ゲストもキャストも楽しいハピネスの循環

2000年代、TVCMで「夢が叶う場所」を謳い、東京ディズニーランドは「夢の国」と呼ばれるように。
2010年代になると、ゲストとキャストが共に楽しむ、魅力のある場所へ成長していきます。エリアに合わせた挨拶や、掃除のキャストが落ち葉などで絵を描くなどのアイデアは、キャストの発案。
「ゲストにハピネスをお届けする」という理念を自発的に行っているのです。

キャスト研修に接客マニュアルはなく、安全第一に行動するという基準のみ。
東京ディズニーリゾートのホスピタリティは世界一と称されますが、その背景には「人間力」があると話します。
丁寧な対応やもてなしにゲストは喜び、その様子を見てキャストは嬉しくなり、モチベーションがさらにあがる。
これを永嶋氏は「ハピネスの循環」と語ります。

当たり前のことをしっかりやる「人間力」

ただ「お褒めの言葉もたくさんもらいますが、実はクレームもたくさんもらいます」。
クレームは賛辞の数よりも2桁ほど多いとのこと。そのなかで最も多いのが、キャストのぞんざいな行動。ゲストの目を見て話さなかった、笑顔がなかったなど、ぞんざいな扱いをされたと感じてしまうのです。
しっかり挨拶をして、ルールを守り、仲間を思いやり自分も楽しめる環境作りをすること。当たり前のことかもしれませんが、この当たり前ができる「人間力」が、世界一のホスピタリティを支えています。

「今の東京ディズニーリゾートを見ているとなんでも最初から成功しているように見えるかもしれませんが、そんなことないんです」と永嶋氏。
いろんな失敗や経験をしながら今の姿が築き上げられていったと話します。
「皆さんがこれから社会に出て、いろんな“はじめて”に遭遇すると思います。これまでの話のいいとこ取りをして、人生の参考にしてください」と講演を終えました。

部下を育てるのが管理職の仕事

講演後に学生はグループで感想を語り合い、質問の時間に。
「営業部のときに考えて成功した仕掛けはありますか」という質問には、「実は自分で考えた作戦はあまりないんです」と意外な回答が。
「部下の考えたことを形にして、世の中に広げていくことが管理職の仕事」と話し、部下のアイデアを工夫した体験を話されました。

授業の最後には進行担当のグループの学生からお礼の言葉がありました。
「東京ディズニーリゾートには小さい頃から行っていて身近でした。キャストの方が自ら行動して楽しませてくれていたのが分かって嬉しかったです。勉強になることがたくさんありました、本日はありがとうございました」。
最後は皆で記念撮影をして和やかに授業は終了し、その後、永嶋氏を囲んでアフタートーク会が開催されました。

担当教員からのメッセージ

永嶋様に初めてお会いしたのは、私が企業時代、しかも労組委員長の時でした。当日からアグレッシブな永嶋さんのお姿は印象的でした。以来、四半世紀、様々な場面でお世話になりました。今回も、私の願いが叶い、本授業のゲストにお招きすることが出来ました。今回の永嶋さまのお話しを聞く学生たちの姿は、真剣そのものです。学生にとっても身近な企業であり、その関心の高さが窺われました。永嶋さんが醸し出される雰囲気と、学生たちの反応、すでに「ハピネスの循環」が起こっていると実感した瞬間でした。永嶋様には、心から感謝申し上げます。

2023年7月10日

ディズニーにもっと行きたくなる!「キャリアデザイン」の授業で東京ディズニーランドのスペシャルイベントを考える夢の課題が出されました。

3年生対象の共通教育科目「キャリアデザイン」(担当:文学部国文学科 深澤晶久教授)の授業で、6月6日に東京ディズニーリゾートの運営を行う株式会社オリエンタルランド(以下、オリエンタルランド)の横山政司氏をお迎えし、コラボセッションが行われました。学生たちは閑散期の集客に有効なイベントを考える課題に挑戦します。学生たちも大好きな東京ディズニーランドのイベントを企画するという夢のような課題に、皆真剣ながらも楽しそうに取り組んでいました。

季節のイベントを開発

「今日の出欠確認は仕掛けがあります」と深澤教授。
出欠管理システムが当たり付きになっていて、当たった2名の学生に東京ディズニーランドのグッズがプレゼントされ、学生たちから歓声が上がりました。


授業もディズニーの魔法にかかり和やかになったところで、本日のゲストである横山氏が登壇されました。

横山氏は1991年オリエンタルランドに入社。
最初は運営部に配属されました。その後、経理部やテーマパーク戦略部、人事部、フード本部などを歴任。2023年からマーケティング本部マーケティング開発部長に就任されました。
「皆さんがイメージしやすいのは、パークでやっているスペシャルイベントです」と横山氏。
クリスマスやハロウィンなど季節ごとに変わるイベントの企画・開発をしています。

現場の声を聴いてまずは試す!

横山氏は仕事のポリシーとして3つのことを大切にしていると話します。
1つ目は「現場のリアリティ」。
現場の声を聴くことが何より重要と言います。「人事部にいたときも、良かれと思って制度を改正しても、実は現場は望んでいないということもありました」と横山氏は語ります。

2つ目は「外から情報を得る」こと。
オリエンタルランドはチームワークがいい会社とした上で「チームワークがいいということは悪いことではないが、関心がチーム内に向きがち」と話します。意識して外の情報を得ることの大事さも話しました。

3つ目は「試してみよう!」。
仕事や企画は完璧に仕上げたくなってしまいますが、完璧にするには時間がかかります。
横山氏は「今は世の中の変化が早いので、完璧を目指して仕上げているとその間に環境が変わってしまっている可能性もあります」と言い、5~6割の出来でも、いったん上司に企画を出したり自分で動いてみたりすることが大事だと話しました。

課題発表!若者が閑散期にも東京ディズニーランドに来たくなるイベントとは?

話はスペシャルイベントについて。東京ディズニーリゾートでは年間を大きく5つの期間に分けてイベントを考えています。
4~6月が「春」。ゴールデンウィークは来園者が多いですが、全体的に集客が落ち着きます。
7~8月の「夏」は夏休みで繁忙期。ただ、最近は猛暑の影響もあり以前よりは落ち着いていると言います。
9~10月の「秋」はハロウィン。仮装してディズニーパークを楽しめるといまや一番人気のイベントです。
11~12月は「クリスマス」。こちらもイベントムードを楽しみに多くのゲストが来園します。
そして1~3月の「冬」は寒さもあり一番集客が弱い時期です。「春と冬の時期の集客をなんとかしたいと思っています」と横山氏。

ここで課題の発表です。
テーマは「ヤングアダルト層(19~34歳)に向けた2026年の冬と春のイベントを考える」です。
「1~3月の冬の時期と4~6月の春の時期に、最低1回ずつ東京ディズニーランドに来てもらえるイベントをそれぞれ提案してください」と提示されました。

コロナ禍以降、徐々に来園者も戻っていますがヤングアダルト層の回復が鈍いというのも現在の課題。
現在東京ディズニーランドのチケット代は1万円近い日もありますが「このイベントを行なっていたら、自分はお金払って絶対に行く!という自信を持った提案をしてください」と横山氏。
「感動する提案を待っています、頑張ってください」と学生たちの提案に期待を寄せました。

自分たちの企画が実現するかも!?

2026年は3年後。
今とどう状況が変わっているのか、顧客はどう行動変容しているか、想定しなくてはなりません。
難しい課題ですが「2025年まではすでに企画が決まっていますが、2026年はまだなので、皆さんの案がパークで実現するかもしれません」と横山氏が話されると、学生たちもやる気満々。
さっそく積極的にグループディスカッションが行われました。

「アトラクションをモチーフにするのは?」「待ち時間が長いのがネックだから、パークを歩き回れるイベントは?」など案が飛び交っていました。
「イベントは女性メインになりがち」や「ヤングアダルト層はディズニーシーへ行くイメージがある。自分や周りもそう」と分析する学生も。
「ランドでもちょっと大人っぽいイベントはどうだろう」「キャラクターに絶対に会えたら私は行きたい」など、まずは自分の興味から発生したイベント案も出ていました。
「ディズニーのどこが好きか改めて調べよう」「ディズニーで何にお金を使う?」など、さまざまな視点からイベントを考え始めていました。
学生たちは中間提案を経て、ひと月後にプレゼンテーションに臨みます。

担当教員からのメッセージ

オリエンタルランドの横山様には、毎年、本授業にご支援をいただいています。履修しているのは3年生が中心、そろそろインターンシップを経て就職活動も本格化していきます。企業分析の視点を一歩掘り下げてみることが出来ればという思いで、毎年様々なテーマをご準備いただいています。学生にとっては、身近な企業ではありますが、企業としての努力は並大抵のものではありません。普段のゲストの立場ではなく、社員目線で企業の戦略を考えて欲しい、そんな思いも込めて今年のテーマもご用意いただきました。今までにない難しさもあると思いますが、この授業を通して一皮むけて欲しい、そんな願いもあります。7月初旬の提案を期待したいと思います。

2023年7月10日

新しいミュージアムグッズを考えよう!「実践キャリアプランニング」の授業で印刷博物館とのコラボ授業が行われました。

5月26日に国文学科「実践キャリアプランニング」(担当:文学部国文学科 深澤晶久教授)の授業で、印刷博物館の皆さまをお迎えしてコラボ授業が行われました。印刷の歴史や文化の価値を伝える企業博物館。さらに多くの人に知ってもらえるよう、学生たちは新しいミュージアムグッズを考える課題に取り組みます。

印刷博物館ってどんなところ?

印刷博物館は凸版印刷株式会社が運営する企業博物館です。
2000年に開館。100周年事業の一環として設立されました。本社ビルのミュージアム棟にあります。
企業博物館と言えば社歴や代表的な商品を紹介するのが一般的。ただ印刷博物館は「企業博物館でありながら企業色をかなり薄めています」と式氏。
印刷産業というものが文化の形成にどう貢献してきたのか、印刷の歴史を紹介する公共文化施設の役割を持っています。

奈良時代のものから最新の印刷技術のものまで、さまざまな種類の印刷物を7万点ほど所蔵し、印刷の日本史や世界史、技術の進化などを紹介。
また、活版印刷を体験できる印刷工房も併設され、カードやレターセットなどを作れるワークショップも開催されています。

式氏は「デジタル化の時代の中、印刷業界は斜陽と言われていますが、社会や文化の発展に大きく貢献してきた印刷の役割や意義を、次世代に伝えていくことがミッションです」と語りました。

企画展は博物館の花形

企画展の開催時は来館者が一番増える時期。全体の来場者数の50%が企画展来場者です。
年1回、3ヵ月ほど毎年趣向を凝らし、さまざまな側面から印刷文化を深堀する企画を展開しています。
ヴァチカン教皇庁図書館の貴重な写本の展覧会や地図と印刷の歴史、武士と印刷の関わりなども。2018年に行った「天文学と印刷」の企画展は話題を呼びました。

来館者の多くは20~40代の女性が多く、歴史やデザインを学ぶ大学生が多いのも特徴です。
また企業博物館という特徴からビジネスマンもコンスタントに来館します。ただ、企画展の期間は客層も一変。
「地図と印刷」の企画展では40~50代男性が圧倒的に多く、遠方からの人も。
企画展の特徴により来場者層は変わるのです。来館のきっかけは、やはりSNSやWebサイトで企画や印刷博物館に興味を持つ人が多く、式氏は「重要な窓口になっています」と話しました。

ミュージアムショップの商品開発に挑戦!

いよいよ石橋氏から今回の課題の発表です。
課題は、印刷博物館の「新しいミュージアムショップグッズの開発」です。
「普通お店では『ヒット商品を考えてください』というものが多いと思いますが、ミュージアムショップではちょっと違う」と石橋氏。
印刷博物館は展示品を通じて印刷の価値を伝えることがミッション。ミュージアムショップの商品も、印刷のエッセンスや面白さが伝わるものが重要になります。

博物館は場所が固定されており、来ていただくことが前提になります。遠方で来場できない人やそもそも印刷に興味がない人への訴求が課題です。
そこでミュージアムグッズをお土産として未来場者に渡すことで認知が広がったり、商品の話題性によって興味関心を集めたりということが求められるのです。

ミュージアムグッズについて知ろう

次に前原氏から印刷博物館ではどんなミュージアムグッズがあったかの紹介がありました。
定番のポストカードやクリアファイルの他、収蔵物や展示関連の書籍などがスタンダード。収蔵物の一部がプリントされたTシャツやマスキングテープや、活版の活字を再現したコーヒーシュガーなどオリジナルグッズも多数あります。
最近ではガチャガチャで販売したアクリルキーホルダーも人気を博しました。
さらには紙や活字を厳選し、職員が手作りで作るレターセットやカードも。
時間はかかりますが、名入れレターセットなどは贈り物として人気です。

グッズの売り上げも企画展関連商品が50%を占めます。
しかし、SNSで話題を呼んだ商品は企画展期間以外でも継続して売れることも。「天文学と印刷」の企画展の図録はSNSで話題になり、重版されました。
石橋氏は「商品自体が話題性を呼びさえすれば、博物館を飛び越えて人々に伝えることができる」と話しました。

実際に商品化も夢じゃない!?

「とはいえ何かを作るということは非常に難しいです」と石橋氏。
そこで3つの視点を紹介されました。

誰のためにつくるのか「Whom」、
何をつくるのか「What」、
どこで売るか「Where」です。

石橋氏は「売る場所は印刷博物館に限らなくてもいいと思う」と言い、「なぜその商品が必要なのか、その商品があることでどういった人たちにどういった形で印刷文化を伝えることができるのかを、考えていただきたいと思います」と話しました。

最後に式氏から、昨年の同授業について言及がありました。
昨年は、来館者を増やす施策という課題に学生たちが挑みました。中で提案があった近隣施設とのコラボレーション案と館内撮影解禁の案は、実際に実現しています。
「架空のグッズを考えてくださいということではありません。素敵な案は採用される可能性がありますよということをお伝えしておきます」と、学生たちの企画に期待を寄せました。

講演後、学生たちは早速グループディスカッションを開始。6月末に最終プレゼンに臨みます。

担当教員からのメッセージ

本学と包括連携協定を締結させていただいたことをきっかけに、昨年からこのコラボ講座のご支援をいただいています。今年もグループの代表者や有志が、印刷博物館を見学。印刷博物館の皆様に、とても丁寧にご説明をいただき、印刷博物館の意義などについてレクチャーを受けさせていただきました。今年のお題はグッズ開発、これから2週間のグループワークを経て、プレゼンテーションに臨みます。学生たちの豊かな発想、そしてチームワークに期待したいと思います。今年度も、お題の構築、視察などにご尽力いただいた印刷博物館の皆さんには、心から感謝申し上げます。