社会連携プログラム
SOCIAL COOPERATION PROGRAM
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2024年2月15日

働き続けたい企業の条件とは?「実践キャリアプランニング」の授業でホテルマリオットとのコラボ授業が行われました。

共通教育科目「実践キャリアプランニング」(担当:文学部国文学科 深澤晶久教授)の授業で、世界的ホテルチェーンのマリオットとのコラボ授業が行われました。学生たちはグループワークを経て、12月に2週に渡りプレゼンテーションに臨みました。テーマは「働きたい、定着したいと思えるホテルとは?」です。授業を通し自分たちが働きたい企業を考える機会ともなりました。

女性も若者も活躍できる職場とは?

トップバッターはグループ3。
働きたいと思える企業の条件として、復職後に前のポジションに戻ることができたり、本人の働きやすい役職に移るなど臨機応変な対応をしてもらえることを挙げました。
ホテルは24時間のシフト勤務が多いため、女性が働きやすいよう子どもを預けられるベビーシッターサービスなどのアイディアも出しました。
また多様性を重視し、制服の男女差をなくすことを提案。女性が管理職を目指せる体制を整えることも重要だとしました。

発表後はマリオットの大野裕子氏から「改善策の目安や、具体的な施策が出ていて想像しやすかったです」と講評がありました。

2番手はグループ8です。
働きたいと思う企業として「柔軟性があること」を重要視。
管理職が高齢化し、若い人の意見が通りにくく昔からのルールが多いことを課題に挙げました。昇給や昇進の機会を明確にするため、3年など一定期間働いたら昇進するなどキャリアアップがしやすい体制が大事だとしました。

大野氏は「若い人の気持ちが分かりやすかった。ただ、ご高齢の方は知識もあるので、排除するのではなく一緒に作っていけるような施策もあればより良かったです」と話しました。

効率的に働くことが重要

続いてのグループ10は、「働く時間」に着目しました。
残業が多い企業では長く働くことができないことをデータで示しました。
有給消化のしやすい環境作りとして計画的な付与制度などを提案。定着したい企業の条件としてワークライフバランスを大切にすることを挙げました。
大野氏は「資料をエビデンスとして出していて説得力がありました。若い人にとって有給の取得は大事なんだと感じました」と納得された様子でした。

次はグループ1。
「効率化」に注目して、無駄を省きトラブルを減らすための施策を考えました。スキルマップを作るなど社員の得意不得意を把握することや、若い人は異動にいいイメージがないため異動を少なくすることなどを提案。
また、髪色の自由や社員の副業を認めるなど、様々な案を考えました。
大野氏も「具体的に何をすればいいかが明確で分かりやすかったです」とコメントされました。

ホテル業界の現状は?

グループ7は、ホテル業界の現状を改めて分析しました。
学生の知り合いにホテル勤務の方がおり、インタビューで「休みが少ない」「汚れる仕事やクレームが大変」など不満や改善点を確認。
また「福利厚生がしっかりしている」など良い所も紹介していました。業界全体として人手不足が課題であるとして、外国籍労働者を雇ったり、AI導入に力を入れたりすることを提案しました。
大野氏からは「ホテルの内情を良く調べている。外国籍労働者をどう取り入れるかなど、時代を先取りした提案でした」と感心の言葉が聞かれました。

前半最後のグループ5は、女性が産休や育休を取りやすい環境作りが重要だと考えました。
男性の取得率も上げることや、取得時のマニュアル作りなどを提案。
また、労働時間の把握やメンタルケアの窓口を設けるなど、働きやすい環境を具体的に提示しました。
大野氏は「パワーポイントもストーリーに合わせて作られていて、完成度が高く聞きやすかったです」とコメントされました。

人手不足を解消する施策は

翌週の後半はグループ4から。
ホテル業界の離職率が高い理由は、人手不足と長時間労働にあると課題を立てました。グループの中にホテルでアルバイトをしている学生がおり、実感として人手不足を感じていると伝えていました。
そこで、契約社員など非正規雇用や、隙間時間で働けるアルバイト制度を導入することを提案しました。
大野氏は「デメリットをどうやったら補えるのかよく考えられていました」と感想を述べました。

グループ12は、離職率を下げるには、従業員が不安に思うことを言い合えて改善できる環境を整えることが大切と発表。従業員同士良い所を褒め合うサンキューカードをポイント制にして導入し、モチベーションを上げる案を提案しました。また女性が働きやすいようリモートワークできる環境や、託児所や復帰支援を整備することが大切と話しました。
大野氏は「具体的な施策があった」と感心。「子どもを産んでから復帰したい人はどのくらいいますか?」と学生たちに聞く場面も。1/4ほどの学生たちが手を挙げていました。

福利厚生や評価を明確にする

次のグループ11も、ホテル業界の人手不足に注目しました。AIを利用した予約システムやサービスの導入、服装の規定を緩めること、福利厚生の充実が大切だと発表。服装はブランドを保つためにも必要ですが作業しやすいものに緩めたり、福利厚生は従業員それぞれが利用したいサービスを選べたりする案を考えました。
大野氏からは「プレゼンが分かりやすく見やすかったです。他社の事例なども合わせて可視化していた」と評価しました。

続いてのグループ2は、互いに評価し合える、助け合える環境作りを提案しました。ホテルは、調べただけでも20種類以上の仕事がありますが、お客様からしたら全員「ホテルのスタッフ」であるとして、違う分野でもある程度の共通認識を把握することを上げました。また、成果が残りにくいサービス業の従業員も平等に評価することで仕事にやりがいを持たせることを提案しました。
大野氏は「ホテル特有の表と裏の仕事の働き方の平等性に着目したのはすごい。おっしゃる通りだと思いました」と納得のコメントをされました。

AIを上手に導入する

グループ6は、20代の学生は、福利厚生や自分の生活を大切にできる企業で働きたいと考えていると発表。ホテル業界は休みが取得しづらいことや夜勤など従業員の負担が多いと分析しました。AIを導入し人手不足の改善と、繁忙期と閑散期の差を調整するなど提案しました。
大野氏は「ホテルでは接客することでサービスが向上する場面もあり、機械化はまだ難しいところもありますが、自分の時間を大切にするZ世代の考え方などが分かりました」と感想を話しました。

最後はグループ9。
職場の雰囲気が良く、モチベーションを保てるところで働きたいとしました。
1on1ミーティングを行い部下の成長を支援したり、オフィスなどバックヤードも綺麗にするなどの案が出ました。
また、就活前から学生が知りたい情報を共有することなども提案していました。
大野氏も「バックヤードから少しでもテンションを上げるのは普段からやっています」と案に納得していました。

自分がどんな企業で働きたいかを考えよう

授業の最後には、前半後半それぞれのプレゼンの中から優秀賞が選ばれました。
前半はグループ5、後半はグループ11が選ばれ、学生たちには賞品にウェスティンホテルのお菓子がプレゼントされました。
学生たちからは「賞をもらえると思っていなかったので嬉しいです」とほっとしたコメントが聞かれました。

大野氏は総評として
「どのグループも短い時間の中で精度の高い発表にまとめていて、甲乙つけがたいものでした。これから就活の時に、自分がどういう企業に属していきたいのかを考える棚おろしができたのではないでしょうか」と話し、
「今の若者たちがどんなことを考えているか、どういう職場が働きやすいと思っているかを知れたので、持ち帰って共有したい」と大野氏も刺激になったと話しました。
また、「ホテル業界はとても魅力的です。大変な仕事ですが、365日一度も同じ日はありません」とホテル業界の素晴らしさも語られ授業は終了しました。

担当教員からのメッセージ

初めてのマリオット・インターナショナル様とのコラボ講座、大野様から業界や業種についてとても丁寧にご説明をいただいた上で、今回の課題解決に向けての取り組みを進めました。これから就職活動を始めるメンバーにとっては、非常に身近なテーマではありましたが、すでにマリオット・インターナショナル様は、相当高いレベルでの制度面やしくみが完成されており、学生独自の視点で新しいテーマ設定に辿り着けるかが心配でしたが、学生たちは短い時間をハードルにせず、新たな視点から、数多くの斬新なアイデアを提案してくれました。今後の企業研究に向けて、貴重な経験になったものと思います。この場を借りてマリオット・インターナショナルの大野裕子様には、心から感謝申し上げます。

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