地域活性化の施策を考えよう!「実践キャリアプランニング」の授業でJALとコラボし、学生たちがプレゼンテーションを行いました。
「実践キャリアプランニング」(担当:文学部国文学科 深澤晶久教授)で、日本航空株式会社(以下、JAL)との特別授業が行われました。JALから課題が出され学生たちは10班に分かれてグループワークに取り組みました。テーマは「地方が地域活性化する施策を考える」です。学生たちは、地域選びから自分たちで行い調査し施策を考案。12月に2週に渡り臨んだプレゼンテーションの様子をご紹介します。
JALの強みを生かして若者を呼ぼう
発表はJAL 産学連携担当の田中氏、細野氏、白川氏の皆様を前に行われ、学生たちは緊張した面持ちで発表を始めました。
トップバッターは10班。
北海道旭川市をピックアップしました。
教育機関が少なく就職先が限られるため若者の流出が起きていることを課題に上げ、JALの航空学校の設立を提案。専門知識を学びたいと考える若者を呼び込むことを狙います。
各班の発表のあとには、別班の学生が感想を発表。
「学校を作ることにより、実際に若者が増えるのではと思いました」と話しました。
また、JALの皆様からもフィードバックをいただきました。
田中氏は「教育現場の不足と過疎の問題は密接につながっています、発想として良い」と着眼点の良さを褒められました。
次の4班は秋田県にある鶴の湯温泉の旅行プランを考案。
自然好きな若者をメインターゲットとして、田沢湖やかまくら体験、地元の食材やきりたんぽを楽しむツアーを紹介しました。また秋田出身の芸能人にツアー動画を撮影依頼しSNSで訴求します。
細野氏から「ツアーの紹介で終わってしまった印象なので、地域活性化として持続可能であるようにどうするかをもっと知りたかったです」とアドバイスされました。
特産品を推す!
5班は和歌山県北山村に注目。
メンバーの祖母の家がある地域で調べることに。
北山村でしか育てられていない柑橘類「じゃばら」を押し出し、じゃばらジャムを挟んだクッキーを機内で配り、空港で販売することを提案しました。
白川氏は「よくこの特産を見つけてくれました。身近な人からの課題にアプローチしていました」と現地の魅力を発見したことに感心されました。
続いて1班は沖縄県を選びました。
すでに観光地として有名ですが、人気の地域に観光地が集中しているという課題があります。
知られていない地域へ誘導するため、現地の人のおすすめの場所や店を載せたパンフレットを作成。空港などで配ります。
また機内でルートビアを販売したり、座席モニターで方言クイズなどを流したり現地への関心を高める案です。
田中氏は「方言に目を付けたのが良いですね。歴史も学べ、現地の人と交流の機会も増える案です」とコメントしました。
前半最後は9班。
北海道帯広市のツアープランを考えました。
女子旅、家族向け、ペット連れツアープランをそれぞれ作成。食や歴史、ばんえい競馬などの文化も楽しめるルートを多数考えました。
またプランに含まれる店で買い物をすることでポイントを貯められる施策で経済効果アップを見込みます。
別の班の学生からは「マイルに焦点をあてているのが新しい視点と思った」と感想が。
白川氏からは「プレゼンテーションの組み立てが上手。それぞれターゲットを設定していていい」と感想がありました。
特産品で新しい商品を
後半は6班から。
島根県出雲市の名物出雲そばに注目しました。そばは抗酸化作用、保湿効果があることに注目し、そば粉を使った歯磨き粉やコスメを作る施策を提案。
JAL提携のホテルにアメニティとして置き、訴求します。
細野氏は「出雲ならではの他の環境資源と結び付けてもらえるとさらによかったです」と話されました。
8班は静岡県。
静岡に行くには新幹線を利用するイメージが強いため、飛行機を使ってもらうことを考え、空港で対象商品のお茶を買うと県内で使えるクーポン券配布する施策を提案しました。
お茶菓子も取りそろえ機内で販売します。
白川氏からは「新幹線ではなく飛行機で行くというところからわくわく感がある。全体的に良く構成されていました」とプレゼンテーションの良さも感心されました。
デジタルデトックスで若者にアピール
3班は山口県を取り上げました。
若者を呼び込むためインターンを提案。
ホテルや旅館でインターンを行い、ホスピタリティの仕事を学べると訴求しました。街の活性化や人手の確保にもつながります。
学生の感想も「インターンというアイデアは今までになく良いと思った」と好感触。
白川氏も「持続可能としてインターンはとてもいい」と話されました。
次の7班も山口県で勝負。
瓦そばやふぐなど魅力的な食べ物を食べられる格安ツアーを考案しました。
観光協会と共同運営でPRを行い、SNSで若い世代にアピールします。
田中氏からは「ただの格安旅行ではなく、体験型ワークショップなど次もまた来ようと思える工夫があると良かったです」とアドバイスがありました。
最後の2班は北海道を舞台にデジタルデトックスツアーを考案。
スマホを預かり、自然やアクティビティを堪能してもらうツアーです。スマホで写真が撮れない代わりに、チェキを配布し思い出作りもばっちり。
また、それぞれのアクティビティや観光地でチェキを撮るミッションを設置します。クリアするとさらにチェキのフィルムをもらえる、というシステムで楽しんで特産物や観光地に親しんでもらえるとしました。
学生からも「ミッションという発想が面白い」と感想がありました。
細野氏も「ミッションがあるというゲーム性があるのは面白く、デジタルデトックスというのも現代に特化した悩みにアプローチしています」と話されました。
持続的に地方活性化を考えていこう
それぞれの週で、優秀な発表された班にはJAL賞が与えられました。
前半は北山村を紹介した5班。
田中氏は評価ポイントとして「地域の魅力を掘り起こし、どう活性化するかを考える持続可能な観点がありました」とコメントがありました。
5班の学生は「メンバーがコロナになってしまって大変でしたが賞をいただけて良かったです」と話しました。
後半は静岡県を取り上げた8班でした。
田中氏からは「非常に練られていた。プレゼンテーションも明るく聞いていて興味を持てました」と表現力も評価ポイントだったと話されました。
「地方を調べるという機会がなかったのでたいへんでしたが、自分たちが面白いなと思ったことを盛り込めた」と8班の学生も安心したように話しました。
それぞれの班には賞状とクリアファイル、ステッカーセットが贈呈されました。
授業の最後には総評として田中氏からコメントをいただきました。
「難しいお題だったと思うけれど、どのチームも個性豊かでした。素晴らしい発表ありがとうございました」と学生たちの努力をねぎらいます。
「少子高齢化、人口減少とは言葉では知っていたと思いますが、実際に地域を調べて理解が深まったと思います。同時に地方それぞれに魅力があることも知ることができたでしょう。社会に出てから、自分になにができるのか考えていくきっかけになっていれば嬉しいです」と、地方の課題を自分事にして考えることの大切さを伝えられました。
学生たちにとって、より広い視野を持つことの大切さを実地で学ぶ授業となりました。
担当教員よりメッセージ
毎年、大変お世話になっている日本航空様とのコラボ講座、今年からは1年生科目となった英文学科の「実践キャリアプランニング」にて実施させていただきました。今年のテーマは、「地域の魅力を掘り起こし、新しい企画(商品開発や新規事業など)を提案してください。〜JALとして6次産業化を支援しよう〜」でした。大変ハードルの高いテーマでしたが、日本航空の社員の皆様が、とても丁寧にご説明、そしてご指導をいただいたおかげで、素晴らしい提案に漕ぎつけることができたと振り返っています。学生のレポートからも、このお題に取り組ませていただいたおかげで、企業のことを知れたり、グループワークの大切さを感じたり、プレゼンテーションの重要性を認識したり、多くの学びに繋がったことを実感しております。この場を借りて、3回にわたってご支援いただいた日本航空様に、心から御礼申し上げます。