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2024年10月30日

お化粧は心を満たすもの。「国文学マーケティングプロジェクト」の授業で資生堂企業資料館の貴重な資料を拝見する講義が行われました。 

10月3日に「国文学マーケティングプロジェクト」(担当:文学部国文学科 深澤晶久教授)の授業で、株式会社資生堂の企業資料館の大畑昌弘氏による特別講義が行われました。資料をたどることで、企業の歴史とともに日本の近代史を肌で感じることができる貴重な時間となりました。

貴重な資料を一か所に集約

資生堂の企業資料館は静岡県掛川市にあります。
1、2階が展示スペース、3、4階が保管庫になっています。資料館は1992年に開館。
きっかけは「創業100年に社史を創ろうとしたこと」と大畑氏。
創業当時からの資料を全国から収集したことでした。現在21万点収蔵され、現在も販売されている新商品を集め続けているため年々増えていると言います。

ここで大畑氏は「資生堂はどんな会社だと思っていますか」と学生たちに問い掛けました。
「一言で表すのは難しいですが、私たちは『変わらないために変わり続けてきた会社』だと考えています」と話しました。大切にしているこだわりを守り続けるために、時代に合わせてさまざまな変化をしてきた資生堂。
その歴史を資料とともに紹介してくださいました。

本物を志向し新しいものを生み出す

資生堂は1872年創業。
創業者は医者の家に生まれた福原有信です。
現在の東京大学医学部にあたる幕府医学所にて、当時最先端の西洋薬学に出会います。当時、日本で使われていた薬と言えば漢方でした。
福原は西洋薬学を浸透させたいと、民間では日本初となる西洋薬学の調剤薬局を始めました。
それが資生堂です。

資生堂の名は中国の古典である易経の一節、「万物資生」から採られました。全てのものは大地から生まれるという言葉です。
「ここから考察出来るのは、新しい価値を生み出していくというフロンティアスピリッツです」と大畑氏。
それまでなかった西洋薬学の薬局という新しいものを生み出した福原。
「この新しい価値を生み出すことで、より良い世界にしていくという考えは現在のミッションにもつながる」と話しました。

1888年には日本初の練り歯磨きを発売。
かなり高価でしたが大ヒットしました。陶器に入ったラグジュアリー感もあり、本物を志向する資生堂を象徴する商品となりました。
1897年発売の化粧水「オイデルミン」も、資生堂を代表するヒット商品。当時最先端の技術により作られましたが、現在も改良が重ねられ販売され続けています。

文化発信の役割も担った

資生堂の少し変わったビジネスに飲食業があります。
「資生堂パーラー」は資生堂が運営するレストラン。創業者の福原有信がアメリカのドラッグストアでソーダ水を販売していることをヒントに、ソーダ水製造機を輸入して店内にソーダファウンテンをつくったことから始まりました。
本物志向はしっかり受け継がれ、息子である福原信三が、ソーダファウンテンをレストラン「資生堂パーラー」に発展させ、オーケストラの演奏や銀食器の使用などにより、高級なレストランとして浸透しました。「ものごとはすべてリッチでなければならない」とは息子信三の哲学です。
「資生堂は高級なもの、間違いのないものを扱っているというブランドイメージを醸成した」と大畑氏は説明しました。

1934年のミス・シセイドウが美容部員の起源です。
採用された女性たちは、化粧品の知識やメイク方法などはもちろん、着付けやテーブルマナー、歩き方など教養やマナーをしっかりと叩き込まれました。資生堂を代表する一流の女性として育てたのです。
彼女たちはミスシセイドウとしてスター的な人気を得て、女性たちの憧れの存在になっていきました。

女性文化情報誌「花椿」の発刊もこの頃です。
商品の宣伝のほか、海外の映画情報や献立のレシピなども載せていました。生活の欧米化が進みつつもテレビもない時代、文化の発信も担いました。

化粧は生活に必要なもの

とはいえ、資生堂もすべてが順風満帆だったわけではありません。
1923年の関東大震災や戦争の時代は商品を作ることも売ることも難しいときも。

最近では、2011年の東日本大震災も大きなダメージがありました。
資生堂はすぐ支援のために動きます。物資の輸送はもちろん、社員が現地に赴き化粧品がなくてもできるお手入れ方法を伝える活動も行いました。
現地で被災者の方と交流を重ねる中で、化粧品とは何か、ということと向き合っていったと大畑氏は語ります。
当時の経験から大畑氏は、「化粧は心を満たすものです。化粧品は食料品などと違って、生きることに必要なものではないかもしれませんが、明日を信じることや、前向きになるために重要なものであると知りました」と話しました。

コロナ禍では、手肌が荒れにくいアルコール消毒液を開発。
医療関係者に無償提供しただけでなく、さまざまな企業で作れるよう処方も公開。利益だけを追うのではなく、世の中を良くするために行動し続けています。
「資生堂は今年で152年目を迎えます。これからも想像もつかないような変化がうまれていくことでしょう。それでも変わらないために、変わり続けていくのです」と大畑氏は話しました。

前向きになるために必要なもの

講演後には学生から「お化粧をする日としない日では気分が違う。お化粧をすると気分が上がるので、震災のときの話はとても共感しました」という感想が。
大畑氏は、「化粧品がほしいと思えることは、社会に出る、つながるという感覚がある。生活必需品ではないと思われがちですが、一番大事なものになることがあるんです」と熱意を込めて語られました。

授業の最後には、資料館から持ってきた貴重な資料を実際に鑑賞。
学生たちは美しい化粧水や香水、ヘアトニックの瓶などを真剣に見入っていました。

担当教員のメッセージ

国文学の学びと企業活動を結び付けて考えることをコンセプトにした本講座も5年目を迎えました。
本講座には、資生堂と叶匠寿庵の2社にご協力をいただいて授業が進行していきます。
まずは、資生堂企業資料館の大畑館長からの講話をいただきました。和魂洋才をベースにおく資生堂、
近代文学の中にも数多く登場する資生堂パーラーなど、国文学の学びが、企業の歴史の中に
散りばめられていることを改めて学びました。大畑館長には、この場を借りて心から感謝申し上げます。

2024年4月3日

ターゲットが是非挙げたいと思う結婚式を考えよう!「実践キャリアプランニング」の授業でゼクシィとの特別コラボが始まりました。 

12月4日に共通教育科目「実践キャリアプランニング」(担当:髙橋裕樹特任教授)の授業で、株式会社リクルートのゼクシィ編集部(以下、ゼクシィ)との特別コラボが始まりました。初回のこの日はオリエンテーションが行われ、マーケティングについてと、そもそも結婚式とはどういうものなのかについて学びました。文学部美学美術史学科2年生の学生たちがグループワークで結婚式の企画を考え、1月にプレゼンテーションに挑戦します。

一緒に生きていく瞬間を応援する

ゼクシィ編集長の森氏やデスクの吉松氏、全国で結婚式場を運営する株式会社エスクリ(エスクリ)の竹野氏など企業の方を多数お招きし、授業は始まりました。
今回の授業で、学生たちは実際に企業で行われているマーケティングの手法を使い、ターゲットの気持ちを捕らえた新しい結婚式の企画を考えます。

まず森氏からゼクシィについての紹介がありました。
森氏が「ゼクシィを知っていますか」と問いかけると、学生のほとんどが手を挙げました。
ゼクシィは今年30周年を迎える結婚情報誌で、結婚式場やウエディング関連の情報を発信しています。

ただ、現代は結婚と結婚式は当たり前ではない時代。結婚式を挙げない、結婚自体もしないという選択をするカップルも多いのが現状です。
森氏は「今は結婚に限らず多様なパートナーシップがある。私たちは結婚に限らず、誰かと一緒に生きていく瞬間を応援していく仕事です」と話しました。

多様化する結婚のかたち

では、そもそも結婚式とどのようなものでしょうか。
基本的に結婚式とは、挙式と披露宴のセットです。
挙式は二人が誓い合う儀式を行うもので、チャペルなどで行うキリスト教式や神前式が一般的ですが、ゲストに誓う人前式などもあります。
披露宴は二人のお披露目の場で、感謝を伝え祝福を受けます。両親への感謝の手紙や、お色直しなど一般的な流れはありますが、最近ではその基本的なセットを行なわない、行なっても自分達なりにアレンジをするカップルも多いです。

「当たり前やこうしなくてはいけないということがなくなり、2人らしさを求められている」と森氏。
ではどのような結婚式なら挙げたいと思うのか、を考えていくことが求められます。

どんなコンセプトの式にする?

ここで学生たちに課題が出されました。
お題は「ターゲットカスタマーがクライアントの結婚式場で、やりたいと思うようなセレモニー・パーティ演出を考える」。
ターゲットと、式場はあらかじめ定められていますが、どのような内容の結婚式にするのかは一から学生たちが考えます。

ここからは吉松氏からマーケティングについての簡単な説明があり、その中で「コンセプト」についての話がされました。
コンセプトとは企画のぶれない方向性を定めたもの。「企業や商品など、どんなものにもコンセプトがある」と吉松氏は話します。
例えば本学、渋谷キャンパスの3階にある図書館は「人と情報が触発し合うオープンスペース」がコンセプトです。

そのコンセプトを考えるためにはターゲットのニーズを知ることが大切。そのために必要なことが調査やインタビューです。
しかし直接「何を求めているか」を聞いてもすぐに答えられる人は少ないもの。何が好きか、どんなことが苦手かなどを深堀することで、潜在的なニーズを見つけていきます。
「求めているものを引き出すために沢山回り道をして質問をしている」と言い、「大学卒業後も必要になるノウハウだと思うので頭の片隅に覚えておくと良いかなと思います」と話されました。

式場に合った結婚式を

そして今回のクライアントは式場です。
思いついた結婚式のアイディアが実際にできるかどうかは、式場に確かめる必要があります。
そのためにクライアントの式場を取材することも大事な過程です。「取材を通して、そのクライアントのことを何でも知っている状態になることが大事」と話されました。

本課題のクライアントであるエスクリの竹野氏から、エスクリについての紹介がありました。
エスクリは結婚式場運営会社。2003年に創業し、それまでなかった大都市の駅チカに式場を作り、業界にインパクトを与えました。
それまで結婚式場と言えば、郊外の広い場所や非日常感のある建物が一般的でしたが、ゲストが集まりやすい場所として商業施設の最上階などビルの中に式場を構えたのです。そのスタイルは受け入れられ、現在は全国27の式場を運営しています。

どんな結婚式ならやりたいか考えよう

今回の課題の設定会場は渋谷にある「ラグナヴェールアトリエ」。
竹野氏は「渋谷は文化の発信地。結婚式も同様に従来のやり方だけではなく、2人らしい結婚式を描けるように」とアトリエという名前、空間にしたと説明しました。なるべく創造性を発揮できるようあえて華やかなものは取り除き、装飾やデザインなどは控えめな空間になっております。

ただ、ターゲットであるカップルは建物の雰囲気やデザインだけで会場を決定する訳ではありません。どんな演出やプログラムが出来るのか、その演出を通してどんな時間を過ごせるのか、どんな感情を得られるのかを考えて企画を考える必要があります。
竹野氏は「皆様の企画で私たちもヒントを得られたら嬉しいなと思っています」と学生たちのプレゼンに期待を寄せました。

講義が終わると早速グループワークが開始されました。
森氏や竹野氏もグループを回って、学生からの質問を受けたりアイディアの相談に乗っていたりしました。
今回のアイディアは今後、実際に結婚式のパッケージとして使われる可能性もあります。学生たちはプレゼンテーションに向け真剣に話し合っていました。

 ※学生たちによる結婚式の企画プレゼンテーションの様子はこちら

2024年2月27日

生活環境学科:『STAFF START』を展開するバニッシュ・スタンダードによる特別講義を実施!

1月15日に、1年生対象の「ファッションビジネスの世界」(担当:生活科学部生活環境学科 大川知子教授)の授業で、株式会社バニッシュ・スタンダード/カスタマーサクセス担当の今野俊氏による特別講義が行われました。同社が手掛ける『STAFF START』とは?それは普段、学生たちが利用しているサービスの舞台裏でした。

授業概要

 「アパレル」「建築」「プロダクト」を複合的に学ぶことのできる生活環境学科の、1年生向けの科目『ファッションビジネスの世界』の最終講義で、現在、注目を集める『STAFF START』を展開する(株)バニッシュ・スタンダード/カスタマーサクセス担当の今野 俊氏による特別講義が実施されました。『ファッションビジネスの世界』は、ファッション産業の概観を繊維・テキスタイル(川上)・アパレル(川中)・小売(川下)の形成過程を歴史に学びながら、これからの産業の在り方を考える授業です。

 その最終講義の今回のテーマは、「ECとOMOの現在」。ECはElectric Commerce(電子商取引)の略で、インターネットを介して商品の売買をすること。学生のみなさんには「ネットショッピング」として身近にあります。現在ではOMO(Online Merges with Offline)という考え方が主流になり、生活者は実店舗とオンライン(ECやSNS)をシームレスに行き来しながら商品を購入します。特にコロナ禍以降、自宅に居ながら買い物が可能なEC市場が拡大しており、このような現状の中で、今回登壇いただいた(株)バニッシュ・スタンダードが提供する『STAFF START』は、主に小売において画期的なサービスを提供しています。

 授業の冒頭、今野氏の自己紹介からスタート。これまでにアパレル企業での販売やマーチャンダイザー(MD)としてのご経験を経て、現在は同社の「カスタマーサクセス」という職種で活躍されています。講義は、バニッシュ・スタンダードの概要から始まりました。バニッシュ・スタンダードという社名には、「常識を革める」という意味が込められており、同社が提供するスタッフDXサービス『STAFF START』は、ECの台頭により、実店舗への来店顧客の減少や、それに伴う売上の減少、また、現在の日本においてあらゆる小売業で抱えている報酬の魅力度の低下といった課題を、専用アプリを通じて、店舗に所属するスタッフをDX(デジタルトランスフォーメーション)化し、自社のECサイトやSNS上でのオンライン接客を可能にすることによって解決しています。

 『STAFF START』は、サービス開始から7周年。2023年現在での利用者(アカウント)数は23.3万人にも上ります。2018年の利用者数は25,000人程でしたので、コロナ禍を契機に、ほんの5年間で10倍にも急増しています。また、導入ブランドは2,600を超えています。現代のOMOを下支えするのは、正にこの仕組みで、学生たちは最新事例に触れ、学びを深めることが出来ました。

 『STAFF START』は、EC上に投稿出来るアプリです。店頭スタッフは、ECそのものや、EC上の自身のコンテンツへの誘客としてSNSを活用しており、このアプリでは、その可視化が可能です。例えば、店舗スタッフが商品コーディネートなどの情報をSNSにアップすると、そこからオンラインショッピングへのアクセス数、売上金額等、全てのプロセスが可視化され、そのスタッフの貢献度が報酬となって評価に加算されます。従来は、投稿内容の売上貢献度は不明瞭でしたが、それを明らかにすることで、働く方たちのインセンティブにもなっています。彼らの販売力を、実店舗は勿論のこと、EC上の接客でも活かすことで、月間500万円以上売上げる人は840名にも上り、また、月間の最高売上は2億6,000万円と驚異的な数字となっています。また、画像を通して、顧客との関係づくりにも役立っています。

 また、このサービスにより、大都市にある店舗が必ずしも高い売上を誇る訳ではなく、実際、都道府県別一人当たりの売上の1位富山、次いで石川、栃木と続き、東京は10位となっており、立地による不利益をも凌駕しています。今回の事例は、接客サービス、ひいては働くことそのもの価値の変換が起こっていることを示す事例となり、学生達からも大きな反響を得ました。

学生の主なコメント

・店舗スタッフが活躍できるチャンスがあるということが、印象に残りました。個人の売上成績をしっかりと評価し、
 首都圏のみならず、地方にいる優秀なスタッフも活躍できるようにしているのは、とても良い取り組みだと感じました。

・私自身、ネットで服を買う時に、スタッフの方の着画を参考にしていたので、知らず知らずの内に、このサービスを
 使っていたのだと気づきました。将来、ショップ店員になりたいと考えていましたが、低賃金が心配ごとのひとつでした。
 ですが、『STAFF STRAT』を知り、更にこの夢に向き立っていきたいという気持ちが強くなりました。
 今回の講義を、今後の糧にして、もっと勉強を頑張りたいと思います。

・「ECサイトに、店舗スタッフを立てる」という斬新なアイディアに、はじめは果たして意味があるのか、寧ろ、
 人手の無駄遣いになるのではないかと疑問を抱きましたが、その考えは直ぐに覆されました。
 自分が想像していたよりも可能性は広がっており、この仕事自体を前向きに捉えてみる機会になりました。

  ※バニッシュ・スタンダードのウェブサイト

   企業情報|株式会社バニッシュ・スタンダード (v-standard.com)

  ※『STAFF START』のウェブサイト

   STAFF START(スタッフスタート)とは|スタッフDXサービス (staff-start.com)

大川先生からのメッセージ

 

 常に社会の動きと連動するファッション産業は、変化のスピードがとても速いです。この産業について学ぶことは、結果的に、他産業を考える際にも応用出来ることが面白さです。今年度は、最近頻繁に『繊研新聞』等の業界紙でも取り上げられている『STAFF START』を運営するバニッシュ・スタンダードの今野様にご登壇いただくことが叶いました。

 店舗スタッフは、私たちが商品を購入する際に、助けになって下さる方たちで、魅力のある仕事ですが、収入面を含めて、長年改善出来ない様々な課題にも直面していました。そのような中、誕生した『STAFF START』は、コロナ禍により急速に進んだSNS経由のECとの連携も強めながら、オンラインの強みである物理的な距離も軽々と飛び越え、また、店舗スタッフの方たちの可能性を最大限に引き出すことの出来るアプリです。

 学生のみなさんの感想を読むと、実は普段からコーディネートをチェックしている人がほとんどでした。ビジネスは、その基礎となる原理原則を学ぶことがとても大切ですが、一方で、時代の流れに即した事例研究も重要で、学生のみなさんの興味を喚起する、良き学びとなりました。このような機会を与えて下さったバニッシュ・スタンダード様に、心から御礼を申し上げます。

2024年2月2日

原材料から育てるこだわりを知る。「国文学マーケティングプロジェクト」の授業で叶 匠壽庵とのコラボ授業が行われました。~前編~

11月2日に、文学部国文学科「国文学マーケティングプロジェクト」(担当:文学部国文学科 深澤晶久教授)の授業で、和菓子屋の株式会社 叶 匠寿庵(以下、叶 匠壽庵)との特別コラボが行われました。学生たちは翌週に滋賀県大津市にある本社『寿長生の郷(すないのさと)』を来訪し、陶器づくりなど様々なことを体験します。角田徹氏の軽快な語り口に、学生たちは期待に胸を膨らませていました。

手作りにこだわる

角田氏はまず学生たちに「和菓子食べますか?」と問いかけました。
ほとんどの学生が食べると手を挙げます。
「水ようかん」「どら焼き」「大福」などの答えの中、「練り切り」と答えた学生も。茶道をたしなんでいる彼女に角田氏も感心された様子でした。
「では、和菓子屋はどのくらいあるでしょうか」と再度問いかけに今度は「100…1000…」と、学生たちは自信なさ気です。「定かではないですが、13000社くらい」と角田氏が言うと、驚きの声が聞かれました。
ただ上場している大きな企業は少なく、町中の小さな和菓子店や和菓子を卸売りしている企業も含めての数だといいます。「その多くの和菓子屋と叶匠壽庵との違いを紹介します」と講義は始まりました。

叶匠壽庵で一番人気の和菓子は「銘菓あも」。
「あも」とは昔の宮中の女性の言葉で「おもち」を意味する語で、おもちの周りに小豆をまとった上品かつ、いたってシンプルなお菓子です。
一番の決め手の小豆は、職人さんが毎日釜で炊いています。
機械化せず手作業にこだわり、「創業からずっとこれだけは変えずに毎日作り続けています」と角田氏は話しました。

原材料にこだわる

続いて「皆さんに来週来ていただくところです」と『寿長生の郷』についての話に。
『寿長生の郷』は滋賀県大津市にある自然豊かな丘陵地です。山を登っていくと、和菓子の販売はもちろん、茶屋や食事処、パン屋や陶器作り体験ができるなど見どころもたくさん。

春は梅の花が咲き誇り、一番にぎわう時期と言います。
この梅は6月に梅の実を収穫し漬けます。
1年後に出来た梅酒の実を原材料にしたお菓子「標野」。
収穫から2年がかりで作られるお菓子は鮮やかな赤色。
角田氏は「原材料から育てているお菓子屋は多分他にないでしょう」と話され、学生たちにも配られました。

場所にこだわる

叶匠壽庵は町なかの和菓子屋として始まりました。
しかし和菓子作りに大切な季節感が感じられないことや、地元のきれいな美味しい水を使いたいことから、自分たちの手で原材料から育ててお菓子を作ろうと『寿長生の郷』に移りました。

里山を守る取り組みも徹底しています。
工場排水も浄化槽でろ過してから流し、小豆の皮などは堆肥にしています。地域の方々と一緒に水路の掃除や山の間伐も。
伐材は炭にして茶屋で利用するなど、寿長生の郷の土地の中で循環するシステムを作っています。「動植物の多様性は50年後、100年後をイメージして育まれます」と角田氏。
自分がもう生きていない未来のことを考えて間伐や植林をするのです。

その取り組みが「生物多様性の保全が図られている区域」として環境省に認められ、『寿長生の郷』は国の定める「自然共生サイト」に認定されました。
自然共生サイトとは、COP15で採択された環境への取り組みのひとつで、2030年までに陸・海の30%ずつは自然環境を目指すという考えを実行している場所です。
角田氏は「自分たちは当たり前のことをしてきただけですが、取り組みや認定されたことをお客様にも宣伝し関心を持ってもらうことが必要」と話しました。

従業員も納得できる仕事

角田氏は「私たちは沢山売りたいとかあまり思っていません」とあっさり。
流通するには量が必要でコストもかかります。原材料にこだわり売り方を工夫してコストを下げ、納得できる仕事を目指しています。
「標野」は1つ200円で販売。「200円なんだけれども、販売までに携わった人たちの思いがつまったお菓子です」と話しました。

そして、これから就活に向かう学生たちに「どんな会社でもサービスを提供していますが、自分たちが幸せでなければお客様に対してもてなしはできません」と語りました。
従業員も幸せな働きができる会社との出会いの大切さを伝えました。

いよいよ寿長生の郷へ

最後に本授業の1期生にあたるOG田中さんが紹介されました。田中さんは来年から叶匠壽庵へ入社が決まっています。
4年前。本授業で『寿長生の郷』を訪れた田中さんは「最初は旅行気分でした」と話します。
「『寿長生の郷』では従業員の皆さんが生き生きとしていたことが印象的でした。自分たちで育てて加工することに愛着も誇りもあり、お互いをリスペクトしていました」と感想を話しました。
「私は新卒では別の企業に就職しましたが、就活の時にも『寿長生の郷』で聞いた話が自分の軸になりましたし、とても共感したので今回入社を決めました」と語り、学生たちも『寿長生の郷』で良い気付きがあることを期待しました。

学生たちは実際に『寿長生の郷』を訪れ、陶器作り体験をしたり和菓子作りのお話を聞いたりする予定です。
その後の授業では、人事部の立場になり叶匠壽庵の新卒向けの企業案内を作る課題に挑戦します。

深澤教授は「せっかく行くのですからそこでしか得られない情報を盛り込み、皆さんならではのものを作成してください」と伝えました。

~後編へ続く~

2024年1月12日

他大学連携:『藤巻百貨店』とクリスマス商戦を考える「産学プロジェクト」を実施!


2023年12月28日付 繊研新聞掲載
「実践、大妻、跡見3女子大と藤巻百貨店
  魅力的提案へ知恵絞る
 混成チームで親世代が喜ぶギフト」


本学と大妻女子大学、跡見学園女子大学の3校が
藤巻百貨店と行ったプロジェクトの最終発表会について
繊研新聞で紹介されました。

繊研新聞社WEBサイトリンクhttps://senken.co.jp/

三女子大学による産学プロジェクト「藤巻百貨店×A.O.J」の最終報告会が、11月30日に行われました。実践女子大学と大妻女子大学、跡見学園女子大学の三女子大学を横断した共同のプロジェクトで、本学からは大川知子教授(生活科学部 生活環境学科)の研究室の学生7名が参加。大学間を越えてチームを作り、選りすぐりの日本の逸品をセレクトするECサイト『藤巻百貨店』とコラボレーションし、「大切な人に贈る」をテーマに「商品の魅力的な提案」という課題に取り組み、その集大成として発表に臨みました。

大切な人に贈るクリスマス・プレゼントとは?

この日は、大妻女子大学千代田キャンパスの教室をお借りしての最終報告会。各大学の参加学生は23人で全員3年生。プロジェクトは10月から開始し、4チームに分かれ、課題に向き合いました。この日は対面でしたが、これまでは、主にオンラインを活用してのグループワーク。2ヶ月かけてブラッシュアップしてきました。

課題は「『藤巻百貨店』の商品を、大切な人にプレゼントする際の魅力的な提案を考える」。
「大切な人とは?」「どんなプレゼントが喜ばれる?」などストーリーを考え、商品を選び、どのように訴求するかを検討しました。『藤巻百貨店』の中心顧客は40~60代と、学生たちの親世代にあたります。学生たちは、普段の自分たちとは異なる購買行動を考えることが求められます。

当日は、『藤巻百貨店』を運営する株式会社caramoの中村亮社長、バイヤーの市山さやか氏も同席し発表を見守り、講評を下さいました。

イチゴのお酒で初めてのプレゼント

最初のチームは、「女子大学生が、両親に初めてクリスマス・プレゼントを贈るストーリー」を提案。20歳になり初めて両親とお酒を飲む状況を設定し、飲みやすい「イチゴの日本酒スパークリング」と「ワイングラスのセット」をセレクト。若年層により訴求する方法としてインスタグラムのリールを作成。「ストーリー重視」と「季節感重視」の2パターンの投稿を披露しました。

中村氏は「『初めて』という特別感が伝わる発表。商品も、まさにこのような使い方をしてもらいたいお酒だった」とストーリーに感心されました。市山氏も「『藤巻百貨店』の商品ラインナップがもっとあると、選択肢が広がると気付かされるプレゼンだった」とコメントされました。

願いを交わすブレスレット

2チーム目は、「クリスマス・プレゼント」というもの自体に、「カップルで贈り合うもの」というイメージが強いことから、あえて30代前後の若いカップルを想定。最近すれ違いがちな婚約者カップルが、思いを交わすストーリーを考えました。「交わす」と「革」を掛けて革のブレスレットをセレクト。アクセントの宝石は、自分でカスタマイズできるようにして、ギフトボックスにもこだわりました。訴求方法は、こちらのチームもインスタグラムのリールを提案しました。

中村氏は「つい販売重視で考えてしまうが、ストーリー重視で商品を考える良さに気付いた」と構成を高く評価されました。市山氏は「若い世代はインスタグラムで情報を得るのだと、改めて教えてもらった」とSNSの活用方法に興味を持たれていました。

親孝行大作戦!

次の3チーム目は「親孝行」をコンセプトに。「大切な人」を考えた時、チーム全員から「両親」という意見が出たと言い、共働きの両親に「ボディケア商品」を贈るストーリーを考案。若い世代も予算等に合わせて簡単に商品を選べるよう、フローチャート式での販売方法を提案しました。

発表後、中村氏は「フローチャート式は、ECサイトでは技術的には難しい面もあるが、良い着眼点だと思った」とコメントされました。市山氏は「ペルソナの深掘りに、リアリティがあって良かった」と感心されていました。

クリスマス・ギフトを診断で選ぼう

最後の4チーム目も、プレゼントを贈る大切な人に「両親」を設定しました。そして、若い世代への訴求方法として「クリスマス・ギフト診断」を考案。質問に答えていくと、回答にピッタリな商品が紹介される仕組みです。インスタグラムで宣伝をし、手軽に選んでもらえるように工夫しました。また、ECサイトでは、購入商品に合わせた別商品のレコメンド機能を提案。お酒に合う「チョコレート」や「グラス」など、一緒に紹介したい商品を掲載できるとプレゼンしました。

中村氏は「診断は面白い視点で、選びやすい」と発想の豊かさを賞賛。市山氏は「若い世代はレコメンドがあると嬉しいのだと分かりました」と理解を深めていました。

「正解を探す」のではなく、「仮説を立てる」

全チームの発表後、中村氏から総評をいただきました。

中村氏は「皆さん、正解を探しに行ったのではないですか?」と語り始めました。「これなら大丈夫なのでは?」と無難なものを選ばなかったかと学生たちに問いかけ、「社会に出ると正解・不正解はない」と続けました。「皆さんに取り組んでもらった課題は、やってみないと分からないので、うまくいくのではという仮説を立ててもらった状態です」と、どれが良かったということはないということを強調されました。

また、中村氏は教員を目指していた時期もあったことを話され、「皆さんとのプロジェクトに参加できたことに感謝します」と、充実した時間だったことが伝えられました。そして、「皆さんが関わった時間を価値に変えます」と、今回のプレゼンテーションの提案内容を企業に持ち帰り、検討することを約束されました。

・『藤巻百貨店』について:https://fujimaki-select.com/ext/about.html

大川先生からのメッセージ

 『藤巻百貨店』様には、過去数年に亘り、1年生を対象とした「ファッションビジネスの世界」の授業の最終回に特別講義をしていただいていました。『藤巻百貨店』様で扱っておられる商品は、日本の伝統技術であったり、ユーザーの使い勝手が吟味された逸品ばかり。素晴らしい商品を取り揃えておられます。

 そのような商品価値の分かる年齢層の方々が主たる顧客でいらっしゃるので、多くの学生のみなさんは、このサイトのことを知り得ませんでしたが、講義の感想を読むと、皆、その提供価値に感動し、そういった逸品の数々に対する理解も深まり、視野が広がる様子が分かりました。今回のプロジェクトは、改めて、自分たちが大切にしている方たちを想い、それをどのように訴求していくのかを、他大学のみなさんと力を合わせて考える貴重な機会となりました。

 限られた時間の中で、考えに考え抜かれた4つの提案の中には、彼女たちならではのアイディアが詰まっており、手前味噌ながら、改めて学生のみなさんの発想力には深い感動を覚えています。このような貴重な機会を与えて下さった株式会社caramoの中村社長、市山バイヤーに、心から感謝を申し上げます。

2023年10月27日

「国文学マーケティングプロジェクト」の授業で資生堂企業資料館の館長による「本物」の美意識を知る講演が行われました。

9月28日に国文学科「国文学マーケティングプロジェクト」(担当:文学部国文学科 深澤晶久教授)の授業で、資生堂企業資料館の館長・大木敏行氏による特別講義が行われました。講義後には登場した戦前の化粧品現物を見る貴重な機会も。学生たちは株式会社資生堂(以下、資生堂)の歴史を通じ、本物へのこだわりや誠実さ、変革力と自立などの精神を学びました。

歴史にはそれを動かしてきた人のドラマがあります

館長の大木氏は1980年に資生堂に入社されました。深澤教授と同期です。
主に医薬品・ヘルスケア事業部で勤務し、2013年から資生堂企業資料館に携わっています。

資料館は静岡県掛川市にあります。この日も新幹線で久しぶりに上京されての講義となりました。
資料館は1992年に開設。今年創業151年を迎える資生堂の長い歴史の中で生み出された、貴重な商品や宣伝製作物などを一元的に収集・保存し、その一部を一般公開しています。

大木氏は、資生堂を一言で表すならば
「変わらないために変わり続けてきた会社」だと言います。
いつの時代も本物をお客様に届けたいという想いを持ち、変化を恐れず挑戦を続けてきました。
「歴史にはそれを動かしてきた人のドラマがあります。自分自身に置き換えて思いを巡らせながら聞いてください」と大木氏は話を始められました。

今も受け継がれる「本物」へのこだわり

資生堂は1872年に薬局として誕生しました。
1888年には日本初の練り歯磨きを発売。それまで流通していた粉歯磨きの10倍近い価格と非常に高価なものでしたが、大ヒットしました。その当時の最先端の科学に加え、陶器に入った高級感、原料の厳選など、本物志向が人々に受け入れられたのです。品質、パッケージともに最新の技術や材料、美的感覚全てにわたり最高なものを作り上げること。
この「本物」へのこだわりが資生堂のエッセンスとなりました。

初代社長は「ものごとはすべてリッチでなければならない」という哲学を持っていました。リッチなものは心を豊かにする、という美意識に基づき、資生堂は次々と商品を開発します。
1897年発売の化粧水「オイデルミン」は「資生堂の赤い水」と今も親しまれていました。1917年には当時おしろいと言えば白が主流の時代に七色のおしろいを発売。
また香水を芸術品まで高めることを目標に、日本的な美意識の詰まった香水も発売しました。目指したのは「美しい生活文化の創造」です。
「美」でこの世界をよりよくしたい、という想いは今も「BEAUTY INNOVATIONS FOR A BETTER WORLD」というミッションとして掲げられています。

世界で活躍する女性像へ

大木氏は1960年代から表れた「反資生堂スタイル」について説明されました。
それまでの資生堂のポスターなどは繊細で優美なイメージの女性が多く採用されていました。そこに1966年キャンペーンディレクターとなった石岡瑛子氏は違和感を覚えます。その時発表したのが太陽のもと小麦色に焼けた肌で健康美を訴求した女性のポスター。従来の静かにたたずむ女性とは真逆な、画期的なデザインでした。

ポスターはたちまち話題となり大人気に。これは単に伝統と反対のことをしたのではなく、時代に応える最善を尽くし自分の感覚を信じ、もがいた結果だと大木氏は言います。
「大切なのはいつの時代も伝統の上に挑戦と革新をしていくこと」、「データに基づく発想はもちろん重要ですが、世の中の動きを正確にキャッチし自分の直観力を合わせることが新たなイノベーションを生み出すことにつながる」と話しました。

さらに資生堂を代表する女性として永嶋久子氏が紹介されました。
1962年から、美容部員として世界各国で活躍した人物です。

ハワイのパイナップル畑で働く女性に美容講習会を行い、生まれて初めて肌をお手入れしてもらった現地女性は感動し「あなたから買いたかった」とすぐに商品を買いに来た話など、さまざまなエピソードが紹介されました。
日本人に対し今よりも偏見や差別が大きかった時代に、「肌に触れ、心に触れる」を信条に国や文化の違いを越えてお客様に向き合い続けた姿勢は、まさに資生堂の美意識を体現された人でした。

目の前のことを自分事として真摯に対応する

「資生堂は、変わらないために、時代や社会に合わせ様々な変化に挑んできた歴史があります」と大木氏。「そしてそれは皆さんにも言えることです」と語りました。
いつも真摯に行動し、現状に満足することなく失敗を恐れずチャレンジする精神。
「大事なことはやりっぱなしにせず、責任を持ち自分事として捉えることです」と話しました。

講演の終わりには、資料館からお持ちいただいた貴重な品々を間近で見る機会があり、ガラス瓶や陶器の繊細なデザインに、学生たちも見入っていました。

授業の最後に学生たちが一人ずつ感想を述べました。
「七色のおしろいが印象的で、当時から個人の悩みに向き合っていたんだなと感じました」と商品へのこだわりを感じた学生や、「企業として利益だけでなく社会に寄り添う理念に触れ、自分もそのような信念を持って働きたいと思った」と美意識に共感した学生も。

特に永嶋氏のエピソードは多くの学生の印象に残ったようでした。
「永嶋さんの目の前の人に真剣に向き合う姿に感動しました」というものや
「今より外国で女性が働くことが難しい時代の、貴重なお話を聞けてよかった」といった感想がありました。
資生堂のカウンターで化粧品を買ったことのある学生は「いつも美容部員さんの対応が気持ち良く、その根本が分かった」と話しました。

大木氏も「永嶋さんの話に伝わるものがあったようで良かった。最後は人間力が社会を変えるんです」と話され、
最後は学生たちとともに笑顔で写真撮影に臨まれました。

担当教員からのメッセージ

資生堂の大木さんには、この授業が始まって以来、毎年、ご講演をいただいています。大木さんとは、会社時代の同期であり、大変ありがたいご縁をいただいています。その間、資生堂は150周年を迎えましたが、大木さんはまさに生き字引と言える社員であり、毎年、素晴らしいお話しをいただいています。日本文化や、言葉など、一つ一つにこだわりを持つ資生堂ならではのエピソードも沢山ご披露いただきました。この場を借りて心から感謝申し上げます。

2023年7月3日

ベトナムフェスに証券会社が出展!学生たちが内容やプロモーションを考えイベントに参加しました。

現代社会学科の篠﨑香織教授のゼミ(演習ⅡA・Jクラス)でアイザワ証券株式会社(以下、アイザワ証券)とコラボし、学生たちがベトナムフェスティバルへの出展内容を考案しました。ベトナム株や証券会社の認知度アップのためターゲティングから始まり、プロモーションや運営まで体験。学生たちは授業を通し、マーケティングだけでなく投資やベトナムについても身近に感じる機会になりました。

ベトナムってどんなところ?

授業は4月から始まりました。まずはベトナムを知るところから。ベトナムはどこにあるか、文化や料理は、人口は、著名な企業は、などベトナムの基礎知識を知りイメージを広げていきます。ベトナムのGDP成長率は東南アジア諸国の中でも高く、いま勢いのある国のひとつです。国際化も進み日本企業も多く進出しています。輸出拠点として発展し、所得も向上し国内消費も拡大中です。ただ世界で見るとベトナムはまだまだ小さいマーケット。今後の成長が期待されている市場なのです。

証券会社がなぜベトナムフェスに?

今年は日越外交関係樹立50周年。記念事業として6月にベトナムフェスティバルが開催されます。そのベトナムフェスにアイザワ証券が出展します。アイザワ証券は日本株だけでなくアジア株や投資信託など豊富な商品を取り扱う証券会社です。特に強みなのがベトナム株。長期で資産形成できる投資先としてベトナム株を知ってもらいたいものの、認知度アップはまだ道半ばです。

そこでベトナムフェスに出展し、アイザワ証券とベトナム株の認知拡大を狙います。投資家が参加するのではなく、ベトナムに興味がある人たちへのアピールが目的です。実はアイザワ証券も、投資目的ではない一般的なイベントに出展するのは初めて。学生たちは、社員の方と一丸になり、ブースにより多くの人に足を運んでもらえる施策を考えました。

告知は、Twitterのアイザワ証券公式アカウントから学生が発信しプロモーション。ベトナムの魅力やイベント出展情報など、グループごとにそれぞれターゲットを決めて作成しました。ブース内の催しものは、サイコロを振って出た目に応じて当たりのプレゼントを考案。どんなプレゼントや雰囲気であれば参加したいと思えるか、ブースに興味を持ってもらえるかを考えました。

フェスティバルを通してアイザワ証券を身近に

いよいよフェスティバル当日の6月3日。天気も心配されましたが雨はやみ、会場は多くの人でにぎわっていました。学生たちはブースの前で声を出して集客をしたりプレゼントを渡したり、社員の皆さんと協力して運営していました。

3グループの学生たちは「ターゲットは30代のビジネスマン。アイザワ証券の顧客層を意識して、当たりにはベトナムコーヒーを用意しました」「お子さん連れのプレゼントはお菓子。子どもたちに配る風船には、アイザワ証券のロゴをプリントして宣伝してもらうようにしました」と工夫した点を教えてくれました。

5グループではサイコロのデザインを担当。「ブースに集客するためにサイコロは大きく、カラフルに。来てもらえるだけでなく、もっと知ってもらいたいと思ってもらえるためにどうすればいいか考えました」と、QRコードのシールを配ることを提案。こちらは読み取るとアイザワ証券のデジタルパンフレットが表示されます。

ベトナムについても、学生たちは元々詳しくない状態からのスタートでした。「最初はベトナムについてほとんど知らなくて、どんなイメージと聞かれてもイメージすらないような状態でした。今回の授業を経て身近に感じられるようになりました」「ベトナムはバイクのイメージが強かったですが、地下鉄がたくさん利用されているというのを知れたのが驚きでした」と授業を通じ、だいぶ距離が縮まった様子でした。

証券会社をより身近に

証券会社や投資も遠い存在でしたが、今回で関心を持ったという学生が多数。「将来は投資をやったほうがいいのかなと興味を持ちました」という声が多く聞かれました。「証券会社も日本国内だけの取引のイメージでしたが、海外にも多く市場があってベトナムにもあるんだなと知りました」「投資は自分には関係ない難しいことだと思ってたけど、初心者でも意外と始めやすいんだと知りました」と、情報を知ったことで身近に感じた学生も多くいます。

5グループのある学生は「母が銀行員で、株などについての話も聞いていたので私は身近に感じていたところもありました。若い人に証券や投資について知ってもらうには、触れる機会や学ぶ機会をもっと増やすといいと思います」と話し、親しむことの大切さを話してくれました。

アイザワ証券の社員の方も「おかげ様でたくさんの人に来ていただきました」と仰います。「Twitterでのプロモーションも反響は大きく、一番多いものだと100件ほどいいねがつきました。いままでの当社のツイートではそこまでの反応はなかったので」と学生の考えたプロモーションに感心していました。

授業としてはイベント出展がゴールではありません。篠崎先生から「どんなお店にお客がきているのか、どのようにお客を呼び寄せているかなど会場の市場調査もしてもらっています」と課題も出ていました。今回のイベントも、学生たちが実地でマーケティングを学べる、貴重な経験となりました。

担当教員からのメッセージ

 これまで4年生の就職活動先をみてきて金融というと銀行系が多かったので、2年生の段階で証券会社と社会連携ができるのはとても良い機会になると思いました。
 今回の集客企画では、ゼミ生は自分たちの考えをかたちにしてその効果を検証することができ、その過程で、ひとくちに「顧客」といっても、取引き前の潜在顧客からリピーターまでいることを実感することができました。そして、それぞれの顧客に異なる対応が必要であるという気づきを得ることができました。
 プロジェクト中は、毎週アイザワ証券の社員さんがグループごとに1名ついてフォローをしてくださったので、スムーズにグループワークができました。学生の証券会社や金融商品に対する心理的距離がかなり縮まったと思います。二カ月間大変お世話になりました。

2023年2月21日

「実践キャリアプランニング」の授業でロレアル パリとのコラボが行われ学生たちは「人権問題に配慮したCM」について発表しました。

共通科目「実践キャリアプランニング」(担当:文学部国文学科 深澤晶久教授)の授業で、食生活科学科の学生と、ロレアル パリとのコラボが行われました。学生たちは出された課題「人権問題を意識し配慮の足りた広告を作るために大切なこと」をプレゼンしました。プレゼンでは実際に使用されたCMを例にとり、発表後には菊池氏や山下氏からフィードバックがありました。プレゼンは2週にわたって行われ、この日は後半の9グループが発表を行いました。

人権問題についての意識とは

トップバッターの1班は肌色問題から人種について考えました。
大手食品会社のアニメCMでは選手の肌が実際より白いことが問題になりました。
クレヨンなどの「肌色」は2000年頃から、多人種の肌色の固定概念をなくすため「うすだいだい」と呼ばれています。肌の色の固定概念をなくすことが大切であるとまとめました。


菊池氏は
「肌色という固定概念を植え付けられていたなと気付かされました」と話しました。

次の14班は、飲料と異業種のコラボCMを紹介。
さまざまな人種が出演しており、家政夫が男性です。対して脱毛の車内広告は若い女性のみが起用されていることを指摘。性別や年齢にとらわれない広告を作成するためには、第三者からの視点も必要と提案しました。


山下氏は
「脱毛のモデルが若い女性ばかりと気付かされました。脱毛は恥ずかしくないという意識改革も必要」と共感しました。

洗濯洗剤のCMにおける男女差を取り上げた8班は、悪臭の原因は男性から、主婦が洗濯という偏見に言及しました。
対してあるブランドのCMは男性俳優を起用し、固定概念を覆していると評価。男女差別がなくならないのは受け手が無知だからとし、視野を広げて自分から関心を持つことが大切と訴えました。

菊池氏も
「(評価されたCMは)男性も共感を呼びやすい作り。男性の家事需要に合わせている」と着眼点の良さを褒めていました。

性差別をどう解消するか

15班は大手化粧品会社のCMを紹介。
結婚や若く見られるなど、年齢で女性の価値を決めてしまっていると取れるCM例をだし、「メイクは人の価値ではなく自分の個性を作るもの」と伝えました。
女性はメイクをしなくてはならないという固定概念を覆すために男性を広告に起用するなど、異なる価値観を取り入れることが大切だとしました。


山下氏は
「時代として可愛いという価値観ではなく、自分に似合うものはなにかという方向に進んでいる」と共感を示されました。

16班は昔と今のおむつのCMを比較。
40年前は女性が家事と育児の対象となっていましたが、最近のあるCMでは男性が起用され育児する姿を見せています。男女の固定概念にとらわれず、家事や育児も女性だけではなく両者に向けることを伝えました。


菊池氏は
「赤ちゃんのために男性がおむつを選んでもいいという発信をしている例。素敵な例を見つけてくれた」と感心されました。

5班もおむつCMを取り上げました。
母親のワンオペ育児を連想させるCMを批判を受けた例として提示。経済力の差を感じてしまうため有名タレントは使われづらい育児関連商品のCMには女性が起用されることが多いのですが、ある製品では男性タレントを起用しイメージを変えたことにも言及しました。


山下氏も
「タレントも含めどんどん男性を出していくべき」と共感されました。

ジェンダー問題を意識した広告

11班はインフラのCMを取り上げました。
男性が家事や育児を行い、女性が働いている描写があり、性別のイメージで固定しないことが配慮と考察しました。
悪い例として挙げられたCMでは「脱毛をしていないと良くないことが起こる」というネガティブなメッセージングが問題に。「広告で性別に対する偏見を覆すこともできる」とポジティブなメッセージを伝えることが大切と提案しました。

菊池氏は良い例に上がった企業は、大手の優良企業であるとし「就活を考えるなかで、企業がどうマーケティングしているかみるといいと思います」と助言も出ました。

4班は大手百貨店が賛否両論を受けたCMを例に挙げました。
日本での女性の生きづらさを訴えた広告でしたが、食品を顔に投げつけられても笑っているのは我慢させられているように見えるなど批判も浴びたCMです。「人権問題を意識するあまり逆に配慮が足りないと思われてしまうこともある」と広告の難しさを伝えました。


山下氏は
「賛否両論あるCMを挙げたのは勇気あり、考えさせられました」と語りました。

ラストの10班はLGBTQに着目。
マッチングアプリの広告は男女のみを描いており、恋愛=男女という認識が根深いことを伝えました。
また、大手アパレルが作成した女性カップルの日常を描いたCMを紹介。このCMには批判的な意見も多かったと紹介しました。しかし「今以上に大きな声で発信していくことが大切」と偏見をなくすことの重要さを伝えました。

菊池氏は
「やるなら批判があってももっとやるべきという意見はその通りだと思う」と学生たちのまっすぐな気持ちに感嘆しました。

人権問題に取り組んでいける社会人に

2週にわたったプレゼンも終了。
最後にこの日のロレアル パリ賞が発表されました。選ばれたのはLGBTQを取り上げた10班でした。
学生たちも各班に点数を付けており、後日学生間賞も決まります。

最後に菊池氏から総評をいただきました。
「マーケティングのことを考えてもらえればと思っての課題でしたが、どの発表もとても面白かったです。皆さんも、提示された悪い例のようにならないように頑張っていきましょう」とこれからの時代を生きる学生にエールを送りました。

深澤教授の話

ロレアル・パリ様には、今年度、初めてご支援をいただきました。私自身も食物科学専攻のクラスを担当するのも初めてということで、テーマ設定に悩んでいたところ、ロレアル・パリ様とのご縁をいただき、素晴らしい内容を構築いただきました。まずは、Voice Up Japan様にご協力いただいたStand UPにフォーカスした講義をいただき、ジェンダーや平等、社会での活躍の話をいただきつつ、ストリートハラスメントについて学ばせていただきました。その後は、ロレアル・パリの菊池様、山下様にお越しいただき、ジェンダー論×マーケティングについて、昨今のinclusivityに焦点を当て、ジェンダーやセクシュアリティ、人種を意識したマーケティングについての講義とグループディスカッションそしてプレゼンテーションセッションに繋がる内容となりました。食物科学専攻の学生さんの学びとは、一見遠いようで、実際に取り組んでみると、かなり強い結びつきを発見出来たことも事実であり、大変貴重な学びの場となりました。ロレアル・パリ様には、この場を借りて心から感謝申し上げます。

2023年2月21日

ロレアル パリ様をお迎えし、企業の課題を一緒に考える特別コラボセッション。学生達から様々な解決策が発表されました

ビジネスの最前線で活躍する方々をお迎えし、企業が直面する様々な課題を知り、その解決策を探る特別コラボセッション。ロレアル パリ様をお迎えした授業のまとめは、学生達のプレゼンテーションです。ジェンダーや人種などの人権意識が高まる中で、これからの広告はどうあるべきなのでしょうか。その未来像を考えました。

前半9グループのプレゼンテーションでは、様々な広告表現に注目

まとめの授業では、グループごとに前半と後半に分かれてプレゼンテーションを行いました。ロレアル パリからは、菊池氏と山下氏が同席。それぞれのグループの発表に対して、様々な角度から評価コメントがありました。

①グループ7
おもちゃ業界が育む“ジェンダーフリー”

子供用玩具を通して小さい頃からジェンダーの刷り込みが行われている事例を紹介。
自由にカスタマイズできる着せ替え人形を例に、ジェンダーにとらわれずに自由に遊べる世界の重要性を指摘。

菊池氏
「おもちゃという着眼点はおもしろいですね。買う人(親)と使う人(子ども)が違うおもちゃはジェンダーの刷り込みが起こりやすいですが、おもちゃから変えることで新しい循環が創れそうです」

②グループ6
化粧品でみる人権問題

メイク=女性という縛りを改善した、近年の化粧品広告事例を紹介。
人権問題を意識した広告は「~らしさ」などの固定概念を取り入れない、商品の特徴や良さを伝えるキャッチフレーズが大切。

菊池氏
「メイク≠女性という社会の意識は広がっています。化粧品ブランドの取り組みに、今後も注目するとおもしろいと思いますよ」

③グループ12
ジェンダーバイアスに目を向ける

家事=母親という表現になっているTVCMをいくつか紹介。
性別や年齢に関係なく、家族が家事を分担することの大切さを強調。

菊池氏
「広告には必ず意味がある。企業の視点で『なぜこの広告を創ったのか』と考えると、また違ったことがみえてくると思います」

④グループ3
人権問題を意識した配慮の足りる広告とは

洗剤とハンドクリームの広告に注目。
webサイト上のアンケートの対象が女性のみという商品と、性別や年齢を問わない広告に変えた商品を対比。広告は性別や年齢ではなく、使用するタイミングや季節感の訴求が大切。

山下氏
「アンケートの対象に注目したのがすごいですね。昔からある製品は、過去から現在までの広告の変遷をたどると新たな発見がありますよ」

⑤グループ18
洗濯・柔軟剤広告

最近は洗濯≠女性という広告が増えているが、柔軟剤はまだ女性の商品というイメージが強い。韓国のブランドを例に挙げ、男性=消臭、女性=フローラルではない広告の可能性を紹介。

山下氏
「韓国の事例への着眼点は素晴らしい。洗剤のCMに若いイケメンばかり登場するのは主婦層に訴求するためなのかなど、広告の意図も考えるとおもしろいですよ」

⑥グループ2
人権意識ない広告

肌の色の扱い方で炎上した中国の洗剤の広告を紹介。
具体的な改善点を通じて、差別につながらない広告に大切なことを検討。

山下氏
「人種以外にも、不美人を美人にするなどの容姿の差別もありますよね。差別とはなにか、深く考えることが大切だと思います」

⑦グループ17
人種差別について

米国大手アパレルメーカーを中心に、これまで炎上した広告を例に人種差別にならない表現を考えた。広告に多様な人が登場する重要性を指摘。

菊池氏
「国内の大手アパレルメーカーには、時代の流れに合わせてビジネスと倫理の両輪を上手く回しているところがあるので、広告表現に注目するといろいろな学びに出会えます」

⑧グループ13
人権問題と広告

男性もメイクをすることを前提にした韓国化粧品の広告と、母親が料理をする食品メーカーの広告を対比し、世の中に浸透しているジェンダーのイメージの改善が必要なことを強調。

菊池氏
「韓国では男性の20%がBBクリームを使用していますが、日本はまだ一桁。男性メイクをどう伸ばすかが課題になっています」

⑨グループ9
人権問題について考える

1970年代の美容広告のモデルを様々な人種のLGBTQ+に入れ替え、現代風に再現する広告を例に、先入観を失くして多様性を意識することを指摘。

山下氏
「先入観を無くすのは難しいことですよね。育児は夫婦がやるものでも『旦那がオムツを変えて“くれた”』と言ってしまう。先入観にとらわれず、自信を持って生きられる社会が大切ですね」

ロレアル パリ賞が発表され、受賞グループには素敵なプレゼントが

前半9グループのプレゼンテーションが終わり、ロレアル パリのお二人はロレアルパリ賞の選定へ。
栄えある受賞に輝いたのは、グループ3でした。
お二人によれば、評価のポイントは家事の先にあるハンドクリームに注目したことと、webサイトのアンケートデータという細かい部分に気づいたこと。グループの5人には、ロレアル パリ製品のヘアオイルとウォータートリートメントのセットが贈られ、歓声が上りました。

2023年2月21日

「実践キャリアプランニング」でロレアル パリによるエシカルマーケティングについて学ぶコラボ授業が行われました。

共通科目「実践キャリアプランニング」(担当:文学部国文学科 深澤晶久教授)の授業で、食生活科学科の学生が、先週に引き続きロレアル パリの菊池氏による講義を受けました。先週はストリートハラスメントに立ち向かう5Dの講義でしたが、今回のテーマはマーケティング。学生たちはマーケティングの流れを学び、エシカルマーケティングに大切な要素について考え、後日プレゼンに挑戦します。

マーケティングってどんな仕事?

菊池氏は「マーケティングとはなんでしょう」とまずは学生たちに問いかけました。
辞書を引くとマーケティングとは、製品、サービス、流通、お客様に届けるための一連の体系的な市場活動のこと。「つまり、全部ですね」と菊池氏。
製品を作るところから届けるところまで、すべての活動がマーケティングです。

マーケティングの流れとしては、
1.市場の分析をする
 ↓
2.消費者の分析をする
 ↓
3.コミュニケーションの立案をする
 ↓
4.販売戦略を立案する
 ↓
5.販売し反応をもとに再度1に戻る、といったサイクルです。

なかでも3の過程での「消費者インサイト」の深堀が特に大切。
製品を届けるターゲットを定め、どういうコンセプトなどで広告を作るかを考える上で、消費者の「やりたいこと」と「やりたいけどできないこと」を明らかにすることは重要です。これが分かれば消費者の悩みを解決する、より消費者に響く広告が作ることができるからです。

広告を作って終わりなのではなく、その後販売時期や店舗、SNSやメディアの展開方法などを考えるのもマーケティングの仕事。それには競合他社の動きも見つつ、できるだけ良い時期や方法を見極めなくてはなりません。さらに発売したあとには消費者の反応などを蓄積し、次の市場分析につなげていくのです。

現代におけるエシカルマーケティングの重要さ

「最近では倫理的に広告を作るということがキーワードになっています」と菊池氏は言います。「エシカルマーケティング」とも言われ、社会的責任や環境問題などに対する価値観に基づいたマーケティング方法のことです。いくつか企業名も挙げ実例が示されました。

環境問題に力を入れているアパレル企業では、リサイクル素材の製品を製造したり買い物袋を廃止したりしており、またあるバス用品メーカーでは動物実験反対のメッセージが入ったショッパーの提供などを行いました。

人種問題では、BLMをきっかけに「白=美しい」という潜在的な刷り込みをやめようという運動が始まっており日本でも現在「美白」という文句は使われなくなってきています。
スポーツ用品メーカーもBLMに共鳴した選手を広告に起用し、大きなムーブメントになりました。このほか、セクシャリティに関する広告の実例なども紹介されました。

エシカルマーケティングに大切な要素ってなんだろう?

「ただ、よく考えてみるとこれはどうなんだろうと思う、配慮できていない広告もたくさんあります」と菊池氏。
ここでいよいよ課題発表です。

課題は
「人権問題を意識し、配慮の足りる広告を作るために大切なことを理解する」。

学生たちはグループワークで人権問題に配慮した広告、できていない広告を集め、人権問題を意識した広告を作るために大切な要素を探します。
その上で、配慮が足りていない広告をどうすればよくなるのかを考え、プレゼンします。
難しい課題ですが「自分が最近買った製品など身近なところから考えていってみてください」と菊池氏からアドバイスがありました。
学生たちはこれからグループワークを経て、12月に最終プレゼンに臨みます。