タグ: 渋谷区

2024年2月19日

自販機で社会貢献!「経営学概論」の授業でダイドードリンコとの特別コラボが行われました。 

12月6日、人間社会学部1年生の必修科目の一つである「経営学概論」(担当:人間社会学部現代社会学科 篠﨑香織教授)の授業で、ダイドードリンコ株式会社(以下、ダイドードリンコ)の特別講義が行われました。学生は『自販機でできる社会貢献』という事前課題について考えて授業に参加しており、指名された学生はその発表もしました。企業の経営戦略を直接学ぶ貴重な講義であったと同時に、学生たちのアイディアを企業に評価していただく交流の機会となりました。

自販機は一番顧客に近い!

最初に自販機営業企画部の松本英康氏からご挨拶があったのち、人事総務部の真野祐子氏からダイドードリンコの説明がありました。
ダイドードリンコは、1950年代に栄養剤を販売したことからスタートした大同薬品工業を起源とし、ダイドーグループホールディングスの中の清涼飲料事業を担っています。グループ会社はこの他に、医薬品、医療品事業やゼリーなどの食品事業があります。

本社は大阪府にあり「今回のメンバーは、全員大阪から来ています」と真野氏。
ダイドードリンコの事業は、自動販売機での販売が約8割を占めるのが特徴。競合他社の同事業は約3割のため大きな違いです。また自動販売機に並ぶ商品に占める50%がコーヒー飲料で、主な購買層は男性だそうです。
なぜ自販機での販売がメインなのかと言えば、店舗販売よりも利益率が高いことや、顧客により近い距離で販売できるといったメリットがあるからです。

ダイドードリンコの飲料事業のもうひとつの特徴はファブレス経営であること。
ファブレス経営とは、自社で工場を持たず100%製造委託しているビジネスモデルです。工場にかかる大きなコストを削減できるのがメリットです。

優秀な人材に入社してもらうには

「当社の経営戦略として、優秀な人材を確保することに重きを置いています」と真野氏。
経営戦略を考える上で、持続的な競争優位を確立することが非常に大切です。そのためには優秀な人材を採用し、定着してもらうことを重視しているそうです。
優秀な人材にダイドードリンコに興味を持ってもらうために行っている施策として、フルリモートワークや副業可能、充実した福利厚生制度などが紹介されました。

特に働く女性にとって好評なのが、コアタイムのないスーパーフレックス制度やリモートワーク、法定よりも長い期間利用できる時短勤務制度です。
こういった取組みを行うことで、社員がプライベートと仕事の両立がしやすくなり、直近3年間ではライフイベントを理由にした退職者はなしという成果に繋がっているそうです。
真野氏は「企業の、ヒトに対するアプローチということに焦点を当てて見てみると、商品だけからは見えなかったことが見えてくる」と就活の際に企業サイトなどをよく見てみることを勧めていました。

自販機で女性を助けたい

次にダイバーシティ推進グループの井阪愛歩氏、大植あかね氏、奥川美優氏から、ダイドードリンコが取り組んでいる女性の社会進出についてのお話がありました。
まず「日本のジェンダーギャップ指数の順位を知っていますか?」という質問があり、選択肢の中の一つである「100位以下」に多くの学生の手が挙がりました。
井阪氏の「皆さんさすが知ってらっしゃいますね」との言葉通り、日本の順位は2023年時点で125位。特に女性役員の数が少ないことは国も課題としており、2030年までに女性役員の割合を30%まで上げることを目標としています。

ダイドードリンコでも2023年から自販機営業企画部内にダイバーシティ推進グループを発足。女性の自販機利用を増やそうと女性発案の企画で新たなコンテンツを開発しています。
例えば女性が誰もが経験し、悩みのタネである生理。アンケートで特に多い悩みである「急な生理への対応」として生理用ナプキンを購入できる自販機を開発しました。
誰もが使える自販機で生理用品を販売することで社会の理解促進も図ります。

この他にも赤ちゃんのおむつやお菓子の販売など、さまざまなモノを自販機で販売することに精力的にチャレンジしています。本学の渋谷キャンパス9Fにもダイドードリンコの自販機があり、オープンキャンパスのときに「赤本缶(https://www.jissen.ac.jp/learning/human_sociology/interview/shinozaki.html)」を搬出しました。
「世の中の潜在的な課題を見つけて自販機で解決するお手伝いをすることが私たちの仕事」と奥川氏は語りました。

社会貢献できる自販機って?

事前に学生たちには「自販機でできる社会貢献」を考える課題が出ており、授業の最後にダイドードリンコのメンバーが指名した学生が自分のアイディアを発表しました。
募金をしたら写真が撮れてSNSに投稿できる仕組みを提案した学生のアイディアには、松本氏は「募金ができる自販機は既にあるが、写真が撮れるアイディアは斬新」と高く評価していました。
省エネに着目した学生は、照明を消し、常温の飲料専用の自販機を提案しました。
「常温飲料のニーズがあることが分かりました。省エネの観点から常温の発想になったのもすごい」と着眼点の良さが評価されました。

野菜など無人販売所の役割のある自販機を提案した学生もおり、特産品などの地産地消にもつながるアイディアが出ました。
「モノを売る自販機はあるので、地域と協力すれば可能性がありそう」と松本氏はほかの主体との連携の必要性に言及していました。
他にも秀逸なアイディアが次々飛び出し、企業の皆様から感嘆の声が上がりました。

学生たちは企業がどんな経営戦略を取っているか、また社会貢献活動にどう取り組んでいるかを知る機会となった講義でした。

担当教員からのメッセージ

ダイドードリンコ社とは、赤本缶を自動販売機から搬出する企画を立てたのを機にご縁を得ました。
飲料事業を持つ企業の中でも差別化が際立っていることや、女性の社会進出を後押ししている企業というイメージが強いことから、「経営戦略」の回にぜひお越しいただきたいとお声がけしました。

 当日は、入社3年目、子育て中、転職の経験ありなど、学生にとって数年先から20年ぐらい後までのロールモデルになる社員の方たちからお話を伺う機会になり、「働きたいように働く」ことのイメージが少し掴めたのではないかと期待しています。実際、「ダイドードリンコ社で働いてみたい」という履修者の声が複数ありました。また、「社会貢献につながる自動販売機」の学生のアイディアについて、松本氏より一つひとつ丁寧にコメントをいただき、アイディアの面白さと実現可能性の両立の難しさを実感する機会になりました。

 早朝より大阪からお越しくださいまして、また有意義な授業の実現にご協力いただきまして、本当にありがとうございました。

2024年2月15日

働き続けたい企業の条件とは?「実践キャリアプランニング」の授業でホテルマリオットとのコラボ授業が行われました。

共通教育科目「実践キャリアプランニング」(担当:文学部国文学科 深澤晶久教授)の授業で、世界的ホテルチェーンのマリオットとのコラボ授業が行われました。学生たちはグループワークを経て、12月に2週に渡りプレゼンテーションに臨みました。テーマは「働きたい、定着したいと思えるホテルとは?」です。授業を通し自分たちが働きたい企業を考える機会ともなりました。

女性も若者も活躍できる職場とは?

トップバッターはグループ3。
働きたいと思える企業の条件として、復職後に前のポジションに戻ることができたり、本人の働きやすい役職に移るなど臨機応変な対応をしてもらえることを挙げました。
ホテルは24時間のシフト勤務が多いため、女性が働きやすいよう子どもを預けられるベビーシッターサービスなどのアイディアも出しました。
また多様性を重視し、制服の男女差をなくすことを提案。女性が管理職を目指せる体制を整えることも重要だとしました。

発表後はマリオットの大野裕子氏から「改善策の目安や、具体的な施策が出ていて想像しやすかったです」と講評がありました。

2番手はグループ8です。
働きたいと思う企業として「柔軟性があること」を重要視。
管理職が高齢化し、若い人の意見が通りにくく昔からのルールが多いことを課題に挙げました。昇給や昇進の機会を明確にするため、3年など一定期間働いたら昇進するなどキャリアアップがしやすい体制が大事だとしました。

大野氏は「若い人の気持ちが分かりやすかった。ただ、ご高齢の方は知識もあるので、排除するのではなく一緒に作っていけるような施策もあればより良かったです」と話しました。

効率的に働くことが重要

続いてのグループ10は、「働く時間」に着目しました。
残業が多い企業では長く働くことができないことをデータで示しました。
有給消化のしやすい環境作りとして計画的な付与制度などを提案。定着したい企業の条件としてワークライフバランスを大切にすることを挙げました。
大野氏は「資料をエビデンスとして出していて説得力がありました。若い人にとって有給の取得は大事なんだと感じました」と納得された様子でした。

次はグループ1。
「効率化」に注目して、無駄を省きトラブルを減らすための施策を考えました。スキルマップを作るなど社員の得意不得意を把握することや、若い人は異動にいいイメージがないため異動を少なくすることなどを提案。
また、髪色の自由や社員の副業を認めるなど、様々な案を考えました。
大野氏も「具体的に何をすればいいかが明確で分かりやすかったです」とコメントされました。

ホテル業界の現状は?

グループ7は、ホテル業界の現状を改めて分析しました。
学生の知り合いにホテル勤務の方がおり、インタビューで「休みが少ない」「汚れる仕事やクレームが大変」など不満や改善点を確認。
また「福利厚生がしっかりしている」など良い所も紹介していました。業界全体として人手不足が課題であるとして、外国籍労働者を雇ったり、AI導入に力を入れたりすることを提案しました。
大野氏からは「ホテルの内情を良く調べている。外国籍労働者をどう取り入れるかなど、時代を先取りした提案でした」と感心の言葉が聞かれました。

前半最後のグループ5は、女性が産休や育休を取りやすい環境作りが重要だと考えました。
男性の取得率も上げることや、取得時のマニュアル作りなどを提案。
また、労働時間の把握やメンタルケアの窓口を設けるなど、働きやすい環境を具体的に提示しました。
大野氏は「パワーポイントもストーリーに合わせて作られていて、完成度が高く聞きやすかったです」とコメントされました。

人手不足を解消する施策は

翌週の後半はグループ4から。
ホテル業界の離職率が高い理由は、人手不足と長時間労働にあると課題を立てました。グループの中にホテルでアルバイトをしている学生がおり、実感として人手不足を感じていると伝えていました。
そこで、契約社員など非正規雇用や、隙間時間で働けるアルバイト制度を導入することを提案しました。
大野氏は「デメリットをどうやったら補えるのかよく考えられていました」と感想を述べました。

グループ12は、離職率を下げるには、従業員が不安に思うことを言い合えて改善できる環境を整えることが大切と発表。従業員同士良い所を褒め合うサンキューカードをポイント制にして導入し、モチベーションを上げる案を提案しました。また女性が働きやすいようリモートワークできる環境や、託児所や復帰支援を整備することが大切と話しました。
大野氏は「具体的な施策があった」と感心。「子どもを産んでから復帰したい人はどのくらいいますか?」と学生たちに聞く場面も。1/4ほどの学生たちが手を挙げていました。

福利厚生や評価を明確にする

次のグループ11も、ホテル業界の人手不足に注目しました。AIを利用した予約システムやサービスの導入、服装の規定を緩めること、福利厚生の充実が大切だと発表。服装はブランドを保つためにも必要ですが作業しやすいものに緩めたり、福利厚生は従業員それぞれが利用したいサービスを選べたりする案を考えました。
大野氏からは「プレゼンが分かりやすく見やすかったです。他社の事例なども合わせて可視化していた」と評価しました。

続いてのグループ2は、互いに評価し合える、助け合える環境作りを提案しました。ホテルは、調べただけでも20種類以上の仕事がありますが、お客様からしたら全員「ホテルのスタッフ」であるとして、違う分野でもある程度の共通認識を把握することを上げました。また、成果が残りにくいサービス業の従業員も平等に評価することで仕事にやりがいを持たせることを提案しました。
大野氏は「ホテル特有の表と裏の仕事の働き方の平等性に着目したのはすごい。おっしゃる通りだと思いました」と納得のコメントをされました。

AIを上手に導入する

グループ6は、20代の学生は、福利厚生や自分の生活を大切にできる企業で働きたいと考えていると発表。ホテル業界は休みが取得しづらいことや夜勤など従業員の負担が多いと分析しました。AIを導入し人手不足の改善と、繁忙期と閑散期の差を調整するなど提案しました。
大野氏は「ホテルでは接客することでサービスが向上する場面もあり、機械化はまだ難しいところもありますが、自分の時間を大切にするZ世代の考え方などが分かりました」と感想を話しました。

最後はグループ9。
職場の雰囲気が良く、モチベーションを保てるところで働きたいとしました。
1on1ミーティングを行い部下の成長を支援したり、オフィスなどバックヤードも綺麗にするなどの案が出ました。
また、就活前から学生が知りたい情報を共有することなども提案していました。
大野氏も「バックヤードから少しでもテンションを上げるのは普段からやっています」と案に納得していました。

自分がどんな企業で働きたいかを考えよう

授業の最後には、前半後半それぞれのプレゼンの中から優秀賞が選ばれました。
前半はグループ5、後半はグループ11が選ばれ、学生たちには賞品にウェスティンホテルのお菓子がプレゼントされました。
学生たちからは「賞をもらえると思っていなかったので嬉しいです」とほっとしたコメントが聞かれました。

大野氏は総評として
「どのグループも短い時間の中で精度の高い発表にまとめていて、甲乙つけがたいものでした。これから就活の時に、自分がどういう企業に属していきたいのかを考える棚おろしができたのではないでしょうか」と話し、
「今の若者たちがどんなことを考えているか、どういう職場が働きやすいと思っているかを知れたので、持ち帰って共有したい」と大野氏も刺激になったと話しました。
また、「ホテル業界はとても魅力的です。大変な仕事ですが、365日一度も同じ日はありません」とホテル業界の素晴らしさも語られ授業は終了しました。

担当教員からのメッセージ

初めてのマリオット・インターナショナル様とのコラボ講座、大野様から業界や業種についてとても丁寧にご説明をいただいた上で、今回の課題解決に向けての取り組みを進めました。これから就職活動を始めるメンバーにとっては、非常に身近なテーマではありましたが、すでにマリオット・インターナショナル様は、相当高いレベルでの制度面やしくみが完成されており、学生独自の視点で新しいテーマ設定に辿り着けるかが心配でしたが、学生たちは短い時間をハードルにせず、新たな視点から、数多くの斬新なアイデアを提案してくれました。今後の企業研究に向けて、貴重な経験になったものと思います。この場を借りてマリオット・インターナショナルの大野裕子様には、心から感謝申し上げます。

2024年2月9日

スポーツを通じたウェルビーイングとは?JWP研究会がパラ卓球選手をお迎えし、イベントを開催しました。 

2023年度のJWP(実践ウェルビーイング・プロジェクト)活動(担当:文学部国文学科 深澤晶久教授)の第ニ弾として、12月9日(土)に、2024年にパリで開催されるパラリンピック出場を目指している卓球の舟山真弘選手をお迎えして、スポーツを通じたウェルビーイングについて、みんなで考えました。

今回のテーマは、「スポーツを通じたウェルビーイング」。舟山選手より対談形式でお話を伺い、スポーツと健康や、幸せについて考える機会となりました。

ゲスト:舟山 真弘(ふなやま まひろ)氏

現在、大学1年生。埼玉県さいたま市出身。 4歳で小児がんの一種である「右上腕骨 骨肉腫」に罹患。1年2か月間入院し、手術と抗がん剤治療を受けました。手術では、利き手であった右腕の肩関節と上腕骨を切除し、足の細い骨を移植しました。右腕は上がらなくなり、細い骨の骨折に細心の注意が必要となりました。

 今回、舟山選手は早稲田大学1年ということで、同世代の大学生をゲストに招きイベントを行うという珍しい機会でした。
イベント前半では、舟山選手ご自身についてのお話を聞かせて頂きました。現在、早稲田大学で卓球部に所属している舟山選手。実は幼少期から卓球をしていたわけではなく、家族と行った熱海旅行で初めて卓球と出会い、小学5、6年生から本格的に卓球を始めパラリンピック出場を目指しています。小学生から大学生まで卓球を続けていますが、今でも試合前はとても緊張すると言います。試合の前半は足や身体全体を動かし、後半は頭を動かすといった様々な工夫されています。相手に点を取られてしまってもぼーっとすると危険、取り敢えず何かを考えよう、「何かを考えようっていうことを考えよう」と頭をフル回転させ試合に挑んでいる舟山選手。
そんな舟山選手について、卓球についてだけでなく、気になる私生活についてもイベント参加者の方々から沢山質問して頂き丁寧に答えてくださいました。

◆当日の質問より

Q、強いメンタルを保つ方法は?

A、今は、モチベーションを変わらずに維持することが出来ています。次に出場する試合があるとそこに向けて頑張ることが出来るため、維持出来ます。しかしコロナの時期は、試合数が少なくモチベーションを保つことが難しかったです。今年は試合が多くあり、保つことが出来ています。

Q、1番思い出に残っている国は?

A、中国がとても良かった印象です。卓球が国技であるため、演出が豪華で観客が多かったです。敵国でしたが会場の盛り上がりがあると、自分も盛り上がることが出来ます。

Q、時間の管理の仕方で工夫していることは?

A、中学生の頃は、勉学とスポーツを両立していました。定期テストの期間はスパッと卓球をやめ、勉強に専念していました。高校、大学では卓球が中心の生活をしています。大学生になると勉強する分野が絞られるため、卓球の時間を多く取ることが出来ています。

Q、今までで1番辛かったこと、それを乗り越えた方法は?

個人戦のため孤独を感じることが多くあります。勝っている時は心が満たされますが、負けが続くと寂しさに襲われます。しかし、必ず次の目標があるため、負けても取り敢えず考えないようにして次に向けて行動しています。

Q、大学生活で楽しみたいことは?

今までは勉学と卓球中心の生活でしたが、大学生になってからは様々なことに挑戦するようになりました。特に服をよく見るようになりました。最近では、パーマをかけてみたり、スキンケア用品に興味を持ち始めたりと美容に対して意識するようになりました。他には、アニメを見ることや本を読むことが好きです。いつか、お洒落なカフェに行ってみたいです。

これらのようにNGの質問はなしで卓球のことから、自分自身のこと、大学生活のことなど、1問1問丁寧に答えてくださいました。

次に舟山選手には卓球の魅力について教えて頂きました。

卓球は体格に左右されるスポーツではなく(背が高いとか低いとか関係ない)、その人その人という個人に対してフォーカスされることが1番の魅力です。実際に自分自身は、右手が使えず、右足の力が少し弱いですが、自分なりに考え右足を中心にトレーニングしています。卓球選手にはその人その人に生い立ちがあり、〜があったから今〜の考え方を持っているのだろうなどの目線で観客の皆さんには見て欲しいです。

イベントの後半では、舟山選手に意気込みを聞いてみました。

一つ一つの試合を大切にし、目の前の課題をクリアし、最高の成績を収められるように頑張りたいです。そして、パリパラリンピックの出場権を獲得し、金メダルを取りたいです。欲を言えばそれ以上上に行きたいです。と目標を教えて頂きました。

最後に、舟山選手にとってのウェルビーイングについて、そしてご自身にとっての幸せでいる条件をお話しして頂きました。

ウェルビーイングについては、大学生になってから考えるようになりました。プロの卓球選手の道を歩んでいきたいと考えていますが、競技に集中するということはプライベートを犠牲にするということです。

いずれか引退の時は来ますが、卓球だけをやっていて何が残るのかは自分でも分かっていないため、大学生のうちに様々なことを体験しておきたいです。例えば、部活後のメンバーとだらだら話す時間は、コーチから「早く帰るように」と注意されてしまいますが、無駄ではないと思います。逆にそれこそが大切なのではないかと思います。日常が送れていることが幸せなのだと考えています。

学生たちは、1日1日を大切に生きることの重要さ、自分自身の生き方に関して向き合うきっかけになったイベントでした。

参加学生の声

・今回、自分と同い年で、世界で活躍している方の話を聞けるという貴重な経験をすることができ、とても学びのある時間にすることが出来ました。スポーツを通したウェルビーイングということで、精神だけではなく、心や体に実際に選手に深く関わっていることを学ぶことが出来ました。どんな質問に対しても丁寧に答えてくださり、同い年にも関わらず選手と自分の生き方の差に驚きました。このイベントを通して、何事にも一生懸命頑張ろうと思いました。

・私も選手と同じくスポーツ中心の生活を送っているため、日々のモチベーションの保ち方や時間の使い方を直接知ることが出来て、とても勉強になりました。自分に何か弱い部分があっても、決してそれを言い訳にせず、弱い部分を補うようにオリジナルの練習方法を考えるなどスポーツに対しての熱い気持ちを生で体感することが出来ました。選手の日々はとても多忙とお聞きしましたが、その中でもウェルビーイングについて日々を当たり前に送れていることが幸せだと答えていたのがとても印象的でした。多忙の日々の中でも当たり前の大切さを重要視しているところが選手としての強みなのではないかと感じました。

深澤先生からのお話

今年3年目を迎えたJWP(実践ウェルビーイングプロジェクト)の活動の一環として、
「アスリートと考えるウェルビーイング」と題し、舟山選手にお越しいただきました。

全ての企画をプロジェクトメンバーの有志が行い、和気あいあいとした雰囲気の中で行われたイベントは、とても印象に残る内容となりました。常に世界と戦わなくてはならない厳しい世界でご自身を鍛え続けている舟山選手ですが、当日は大学生の日常らしい面も随所に見せていただき、本学学生と交流されている姿に、思わず感動していました。 2024パリパラリンピックの卓球日本代表として活躍される事を心からお祈りし、また、この企画を成功に導いてくれた幹事の皆さんに感謝いたします。

2024年2月2日

新入社員が意識するべきことは?「グローバルキャリアデザイン」の授業でビデオリサーチの採用担当者による特別講義が行われました。 

12月8日に、3年生対象の共通教育科目「グローバルキャリアデザイン」(担当:文学部国文学科 深澤晶久教授)の授業で、株式会社ビデオリサーチ(以下、ビデオリサーチ)の滝口昌輝氏による特別講義が行われました。滝口氏は新入社員のときに意識していたことや、社会人としての心構えなどを自分の経験を交えて話してくださり、これから就活に向かう学生たちにとって良い刺激となった講義でした。

就活に活かしてもらいたい転職経験

深澤教授から紹介があり、ビデオリサーチの人事グループリーダーである滝口昌輝氏が登壇されました。
転職も経験した滝口氏は「これから就活をするにあたり、役立てていただければ」と講義を始められました。

滝口氏は2回の転職をされ、現職で活躍されています。
「元々テレビや雑誌が好きで、学生の頃からずっとマスコミやメディア業界で働きたいという思いがありました」と話しました。
しかし就活当時は思うようにいかず、携帯電話会社の営業からスタート。その間もメディア業界で働きたいという思いは強く出版社に転職し、2018年にビデオリサーチ社に入社しました。
昨年まで営業部門で活躍しており、15年間営業一筋だったと言います。

ビデオリサーチってどんな仕事をする会社?

「皆さんの中でビデオリサーチって会社を聞いたことがある人はいますか?」という質問に半数ほどの学生が手を挙げました。
「一言でいうと、テレビの視聴率を測定している会社です」と滝口氏。視聴率1%でいくらという指標が決まっており、それを元に広告主とテレビ局が広告取引をします。
ビデオリサーチは60年以上前から、国内で唯一広告指標になる視聴率を調査しています。テレビだけでなく、ラジオやデジタルコンテンツ、雑誌などのデータを多く調査しており、広告会社が求めるターゲット層に合わせてデータを提供しています。

広告会社が求めるデータは、例えば「アルコール飲料のCMに出ていない20代女性に人気の高いタレントは?」など細かい注文が。
その後商品をプロモーションする時も、北陸エリアで展開するなら車文化なのでラジオが効果的、など地域やそれぞれの属性に合わせて最適な提案をしています。

なぜ働くのか?

「自分が社会人になった時に何のために働くのか、ちょっと考えてみてください」と滝口氏は学生たちに問いかけました。
学生から「生活のため」「成長したい」などの回答があり、滝口氏は頷いて「人それぞれ違うと思います」と話しました。「自分は何のために働くのか考えておくと軸ができるので、今の内に考えておくと良いかもしれません」と学生たちにアドバイスしました。

普段から意識していることは「明日会社がなくなったら自分に何が残るのかということ」と言います。
肩書きがなくなったらと考えると、その仕事は本当に楽しいか、なぜやっているのか、今後どうなりたいかを考えることにつながり「会社から給料をもらうことが当たり前ではないと思える」と話しました。

新入社員のうちに失敗しよう

「新入社員のときに意識していたことは、沢山あります」と言う通り、スライドには沢山の言葉が並びました。
その中でも、「聞いたことがあるかもしれませんが、若いうちの苦労は買ってでもした方が良いと思っています」と滝口氏。
新入社員は間違えるのは当たり前の時期。「むしろ40、50代になって出来ませんはかっこ悪いと思います」と、若いうちに失敗し、成長をしていくべきと話しました。

他にも「出来るか出来ないかではなく、やるかやらないか。分からなかったら質問をする」や「体調管理とモチベーションの維持は大事」、「依頼された仕事にプラスアルファして、期待された以上の結果を返す」ことなど多くのことを意識していたと伝えました。

就活に向けて伝えたいこと

就活をする上で大切な事として滝口氏は自分と向き合う自己分析を勧めました。
コツは「なぜ?を3回繰り返すこと」と言い、自分は何が好きで何が嫌いか、得意な事などを書き出し、理由を深堀していくことが大事だと話します。「自分は何がしたいのかが分かっていれば、業界や会社も定まってきます」と語りました。

最後に、採用担当が見ているポイントもアドバイス。
「エントリーシートは写真の第一印象は大事。また文字数ギリギリまで書いてあると、熱意が感じられます」など、採用者ならではのチェックポイントを教えていただけました。
「就活に費やす時間は人生の1%。人生の半分の時間は社会人として過ごします。1%の過ごし方で人生の半分が変わる可能性があるので、つらい、きついと思うかもしれないけれど頑張ってみたらいいと思います。応援しています」と講義を締めくくりました。

就活でアピールするには?

授業の終わりには質疑応答の時間が設けられました。
ガクチカに悩んでいるという学生からは「日常的なエピソードでどうインパクトを残せますか?」という質問が。
滝口氏は「インパクトはなくてもいい。その人がどんな人でどうしてその会社を志望したのかを見られています。内容より熱意や志望動機に力を注ぐといいと思います」と回答しました。
「モチベーションの維持はどうしていますか?」との質問には、「休日を自分の好きなことに充てること。人生は仕事だけではないのでうまく息抜きする。好きなことをすることが原動力にもなります」と話されました。


就活に対しての心構えや、どのようにキャリアを積むかを考える貴重な講義となりました。

 ・ビデオリサーチ新卒採用HP:https://www.videor.co.jp/rc/

担当教員からのメッセージ

滝口様と初めてお目にかかったのは、もう15年以上も前、日本学生経済ゼミナール連合会主催の「インナー大会」の本選会場でした。滝口様は運営サイドのスタッフとして、私は審査委員でした。その頃の滝口さんの学生に対する接し方に感動し、それ以来長年にわたってお付き合いさせていただいています。今回は、初めて私の授業のゲストでお招きいたしました。
「できるかできないかではなく、やるかやらないか」という言葉は、私が企業時代の新入社員研修の時以来、今も時々学生にも伝えている言葉です。
就活にむけて、とても貴重なお話しをいただいた滝口昌輝様には、心から感謝申し上げます。

2024年2月2日

耕作放棄地をどう活用する?英文学科の授業でどろんこ会の課題に対するプレゼンテーションが行われました。 

12月8日に文学部英文学科対象の「実践キャリアプランニング」(担当:髙橋裕樹特任教授)の授業で、社会福祉法人どろんこ会(以下、どろんこ会)との特別授業が行われました。この日は、どろんこ会代表の高堀雄一郎氏の前で、前回の授業で出されていた「耕作放棄地が年々増えている現状に対してどのように対応するべきか考える」という課題について、学生たちは緊張の面持ちで発表に臨みました。
 ~前回の授業はこちら~

 ※耕作放棄地とは:「以前耕作していた土地で、過去1年以上作物を作付け(栽培)せず、この数年の間に再び作付け(栽培)する意思のない土地」と定義されています。

農地バンクやキャンプ場などで活用

最初の発表はグループ6から。
耕作放棄地を農地バンクとソーラーシェアで活用する案を出しました。
農地バンクとは、耕作放棄地を登録し農地のレンタルを支援する制度。並行して農地に太陽光パネルを設置するソーラーシェアを行うことで、災害時に非常用電源にもなると発表しました。

発表後は高堀氏から講評をいただき「話題になっている解決法でよく調べていると思いました」とコメントされました。

次のグループ4は、農業を行いながらできる、少人数でコストがかからないことを条件として案を考え、人気のあるバレルサウナとキャンプ場の経営を提案しました。
人件費など経費も計算し、初期費用が回収できる期間の目安も伝え、実現可能性を伝えました。
またSNSで広告を展開し、宣伝することも計画することを伝えました。

高堀氏は「経費や販売価格などもきちんとよく調べているし、ただ案と考えるだけでなく宣伝するところまでも考えていた」と感嘆のコメントを述べました。

後継者を育てるには?

グループ3は、農業の後継者の確保を課題に定め、耕作放棄地を農業高校や大学の農学部の実習地とすることを提案。
海外での農業トレーニングの取組や、新潟の農業高校で行われている農業キャンパスツアーなどを例に出し、実習の時間を多くとることで、若者が農業により関心を持つとしました。

高堀氏は「農家出身の方がいるのかと思ったくらい、実感がありました」とプレゼンに感心。
「高校生に限らず農業に携わりたい人が学べる場があった方が良いということにハッとしました」と着眼点の良さを褒められました。

続いてグループ7は、近くにコテージを立てリゾートとして貸し出すレンタル菜園や、農場が併設されている福祉施設ケアファームに活用することを提案しました。
また修学旅行に農業体験を取り入れることで、若者に農業に触れてもらう機会を増やすことも提言しました。

高堀氏は「山間部の放棄地は、上下水道や電気などの設備を整えることを考えると現実には難しいかも」と懸念点もあることを伝えました。

提案のデメリットも考えてみよう

グループ9は、若い層に農業の魅力を伝える行事が必要と提案。
若者も楽しめる観光、体験農園を作ることを伝えました。

高堀氏は「観光面では常に人が来るかどうかは難しい」と実際にはハードルが高いことを伝えました。

次のグループ8は、管理の手間が少なく、初期費用も抑えられるトランクルーム経営をプレゼン。
また、今後の目標としては耕作放棄地の現状を広めることが必要と伝えました。

高堀氏は「トランクルームは都市部では人気があるが、地方では土地があるためなかなか需要がない」とデメリットも伝えました。

グループ5は、義務教育の「総合」の授業で農業を取り入れ、都内近郊の耕作放棄地を授業で利用することを提案しました。
山間部の耕作放棄地は大型農具を練習する教習所として活用すること、コンバインなどは練習する場所がないため農業初心者が利用できるようにします。
また、殺処分前の競争馬を引き取り、乗馬教室も併設することで収益も考えました。

高堀氏からは「馬というアイデアは斬新。エコにも配慮されていて、ヤギや馬の活用は大まじめに考えられる方法。プレゼンがうまかった」と褒められました。

どうやって利益を上げるか

グループ2はどろんこ会の取組を考慮し、高齢者介護施設を併設し農業を活用することを提案しました。
高齢者の認知症予防や運動にも利用できるとしました。

高堀氏も「障がい者や高齢者施設との組み合わせはどろんこ会としてもやっていきたいと感じました」と共感しました。

最後のグループ1は、農地バンクなどの複雑なシステムに抵抗感を感じてしまうことが問題と定義。
施設を作るなどの案ではなくまずは若者に耕作放棄地の問題を伝え、農業を身近に感じられるよう魅力を伝えることが大事としました。

高堀氏は「農業で収入をどうやってあげるかが大事。そのポイントをもっと深堀出来ていればさらに良かった」と着眼点の良さを感心されました。

ITや営業力も農業には大切

全グループの発表が終わり、どろんこ会の皆様が各グループを採点。
高堀氏から優秀なアイデアだったグループが発表され、グループ4が選ばれました。
グループ4の発表は「経費や販売価格などもきちんとよく調べていて、うちの事業部にきてほしいと思ったくらい。提案も話題になりそうな内容だった」と絶賛されました。
最優秀賞を受賞したグループ4のメンバーには減農薬の南魚沼産コシヒカリがプレゼントされます。

授業の最後に、高堀氏から「皆さんお疲れさまでした」とねぎらいの言葉がかけられました。
「耕作放棄地に関しては、正解の答えがあるものではない。どろんこ会もやっていることが本当に正しいのかわからないが手探りでやっています」と話され、法人化などをして組織力を向上することの大切さを伝えました。
「そのためには実地で農業する人だけでなく、広報力、営業力、IT技術も必要。そういった分野の人にどんどん農業に参画してもらうことも大事です」と農業を広めるための課題を、学生たちにも共有しました。

学生からのコメント

課題解決型の授業を経験したことがなかったため、現状分析から具体策を提案するまでの工程がいかに大変なものか、深く理解するきっかけへと繋がった。
当日までに満足のいく状態まで準備をすることができたと考えるが、チームで協力をして行うことの難しさを強く実感した。
他の授業でのグループディスカッションやプレゼンテーションにおいても非協力的な人はいるが、全員で協力をすることによってより多種多様な意見が生まれると考える。
したがって今回のプレゼンテーションにおいて、グループメンバーにさらに働きかけることが必要であったと考え、少し反省をした。当然ながら意見を求めることはしたが、新たな意見が出なかったり、担当を申し出てくれる人がいなかったり、今回のプレゼンテーションを通して、私自身のグループをまとめる力や意見を引き出す力がないことが明確になり、少し悲しさを覚えた。
しかし、自分自身で最後までやり遂げられたことで自信が得られ、またグループのリーダーを務めることに今まで以上に抵抗がなくなったため、1位を取ることができなくても得られたものは大きく、良い経験となった。今後は働きかける力を養い、自分の意見も主張しながら、協力をしてプレゼンテーションやディスカッションを遂行していきたい。

担当教員からのメッセージ (大学教育研究センター 特任教授 髙橋裕樹)


後期の英文学科の企業連携プログラムには、全国に子育て支援施設約160カ所運営されているどろんこ会グループの高堀雄一郎様にお越しいただき、「インクルーシブ教育を阻む教育課題」や「耕作放棄地」という社会課題について問題提起していただき、グループに分かれ課題解決プレゼンテーションを実施し、最優秀グループに表彰と賞品をいただきました。
お忙しい中、ご参加いただき感謝申し上げます。

2024年2月2日

保育園のインクルーシブ教育って?英文学科の授業でどろんこ会とのコラボが行われました。 

11月17日に文学部英文学科対象の「実践キャリアプランニング」(担当:髙橋裕樹特任教授)の授業で、社会福祉法人どろんこ会(以下、どろんこ会)との特別コラボが始まりました。代表の高堀雄一郎氏が登壇され、インクルーシブ教育や「福祉×農業で地域や日本をよくするための挑戦」についてお話下さいました。授業の最後には地域、農業について考える課題が出され、学生たちは12月にプレゼンテーションに挑みます。

子どもの成長を高める保育園を

どろんこ会は、3つの法人は保育園運営、2つの法人は農業に関わる法人からなるグループです。
きっかけは高堀氏が大学生の頃に始めた学習塾でした。小中学生を対象に英語や数学を教えていたと言います。中には障害を持った子や不登校の子も。
様々な子に触れ合う中で「偏差値の良い学校に行くことよりも、その子なりに努力し、成長することが素晴らしいのだと気付いた」と言います。
自分自身も成長したいと思い大学を卒業後、塾は後輩に託し高堀氏は就活する道を選びました。

高堀氏は結婚後、子どもを認可外保育園に預け共働きをしていました。
しかし預けられる時間が限られていたり、外で遊ばせてもらえなかったりなど保育園の制度に疑問を抱きます。
子ども・保護者・保育者・地域の4者とも満足度の高い保育園が必要と感じた高堀氏は、25年前に夫妻で認可外保育園を始めたのです。

生きる力を育む保育園

どろんこ会の信条は「本物の体験を通じ生きる力を育む」。
園庭を広く取り、鶏を飼い田んぼもあり日々の生活の中で、子どもたちが多くのことに触れ合えるようにしています。
遊具はなく、子どもたち同士で遊びを作っていくスタイルです。

認可と認可外の大きな違いは補助金が出ること。そのため認可外は経営が厳しいのが現状です。高堀氏も休みなく体を張った運営を行いました。初年度は休日3日。それでも自然と触れ合う教育方針は評判を呼び、定員は徐々に満員に。さらに転機になったのは、待機児童が問題になっていた埼玉県朝霞市から、認可を取って社会福祉法人としてやっていかないかとの打診でした。それが「どろんこ会」誕生のキッカケです。

インクルーシブで子どもを預かる

どろんこ会の大きな特徴が「インクルーシブ教育」です。
障害のある子は別の保育室に分ける分離教育が一般的な中、子どもたちを障害の有無で分離せず 一緒に保育をしています。子どもたちは個性がばらばら。
「子どもたち同士がコミュニケーションを取ることで生きる力が育まれると気付いた」と高堀氏。
自然な触れ合いの中で、発達支援も行っています。

ただ、完全に一緒に運営していくにはいくつも壁がありました。
認可保育園のため、役所から教室を分けるように指導があったのです。最初の施設はやむを得ず分離しましたが、徐々に入り口や事務所を共用にする工夫をしてきたと言います。
高堀氏は、大切なのは「理想実現のため粘り強く戦えるか」と話します。
役所に代わり内閣府規制改革推進室や議員と意見交換を行い、課題を訴えたと話しました。

高堀氏は「子育て保育領域に優秀人財の流入が大事」と語りました。
今まで保育園に勤める人は子どもが好きという人がなるものでした。
ただ、子どもたちは5、6年保育園で過ごします。
高堀氏は子どもが保育園でどう過ごすかで人格形成に大きな影響を与えると考え、「この間に生きる力を育めるかで日本の未来が変わる」と語りました。
そのためには「優秀な人材が参画することで収入も得られる業界であり、循環にしなくてはいけない」という目標も話されました。

農業における課題

どろんこ会では農業経営も行っており、新潟県南魚沼市で農薬をほぼ使わず米の生産を行い、保育園の給食に使われています。
子どもたちに田んぼに触れ合う経験を持たせたい、それも年に1回の収穫だけでなく日常的に関わらせたいという思いから、23年前に農家に直談判したことがきっかけです。
そこから縁が出来て、株式会社南魚沼生産組合の設立に至りました。

ここで学生たちに課題が出されました。
テーマは「農作放棄地が年々増えている現状に対してどのように対応するべきか」。
南魚沼市では、中山間地で耕作放棄地が増加しています。中山間地とは山の斜面のことで平地よりも農業がしづらい地域です。
ただ、手入れされていないと雨水などによる洪水や土砂崩れの危険性も出てきます。
また、最近ではイノシシなど鳥獣被害も。

しかしコメ作りは肥料、燃料、人件費など様々なお金がかかり、時間もかかりますが収入は多いとは言えません。
そのためなり手不足が深刻となっています。耕作放棄地は、売買したり建物を建てたりすることが難しいということもあります。
この課題をどう解決するかを学生たちが考えます。
日本でどこも行なっていなさそうな新規性、仕組み化できる継続性、実現性があるかが評価基準です。

失敗を失敗のままにしない

授業の最後には質疑応答の時間が取られました。
学生たちは掲示板機能で質問を行い、高堀氏に回答いただきました。
「保育園の現状の課題は?」という質問には「インクルーシブを推進しているところが少ない。そのため職員の認知が進まない。どう全国に広めるかが課題」と話しました。
「今まで辛かったことは?」という質問には「サラリーマン時代に頑張りが評価されなかったことは辛かったが、自分でやりはじめたことは、いくら休みが取れなくても辛いと思ったことはない」と話されました。

学生たちはこれまであまり触れることのなかった、インクルーシブ教育や農業について知る貴重な機会となりました。

~12月に行われた、学生のプレゼンの様子はこちら~

2024年2月2日

原材料から育てるこだわりを知る。「国文学マーケティングプロジェクト」の授業で叶 匠壽庵とのコラボ授業が行われました。~後編~ 

2023年11月に、文学部国文学科「国文学マーケティングプロジェクト」(担当:文学部国文学科 深澤晶久教授)の授業の一環として、連携企業である株式会社 叶匠寿庵(以下、叶匠庵)の本社がある滋賀県大津市の『寿長生の郷』を訪問しました。 当日は、角田人事部長からのオリエンテーションに続き、西垣執行役員からの講話、社員による施設視察、そして陶器づくりなど、約5時間の滞在期間をフルに活用し、企業の理解に繋げる内容を体験しました。その後、舞台は再び渋谷キャンパスに戻り、学生たちは課題として出されていた叶匠庵の「企業案内」を制作しプレゼンに挑みました。
 ~前編はこちら~

『寿長生の郷』訪問

国文学科の学びとビジネスを結び付けるという全く新しい視点でスタートした「国文学マーケティングプロジェクト」の最大の山場に位置付けた視察研修、4回目を迎えた本年は、新型コロナウイルスの状況も落ち着いており、また、昨年に続き最高の天候にも恵まれ、履修学生9名とともに素晴らしい体験をさせていただきました。叶匠壽庵様は、本年も本学への対応について、芝田社長をはじめ多くの社員の方からは最大限のご配慮とおもてなしをいただき、意義ある時間となりました。

商品名、広報誌、そして包装紙など、様々な部分に万葉集とのつながりがあるなど、国文学と現代企業に極めて深い関係性を再認識するなど、この授業で目指した学びへの進化に繋がったものと考えています。 学生たちは、この視察研修で得た知見や学びを生かし、それぞれの感性や美意識を生かした「企業案内」の制作に取組みます。

学生の声

 お菓子に使用する梅、柚子、蓬などを自社で作り、良い素材から良い商品を作っている様子を実際に見ることができました。また、自然や昔からある建物、道具をできる限りそのままの形で残していくための取り組みを肌で感じ、今社会に求められている持続可能性が如何に当たり前にしなければならないことなのかを改めて考えました。

 今回の訪問を通して、企業理念から伝統文化まで幅広く学ぶことができました。とくに農作物を育てたり、動物を飼ったりと、全て自らの手で取り組んでいることを知り、意識の高さを痛感しました。また、社内の人と連携をとりそれぞれが個性や強みを活かして働ける場所であると感じました。このように、今回感じたことを就活にも活かして行きたいと思います。

 視察を通し、現地では里山に残る自然だけでなく、社会の未来についても考え実践する企業の姿に感動しました。また今回数多くお会いした社員の方々の仕事への真摯な姿勢を拝見したことで、自分の考える社会人像がより明確に固まりました。

最終プレゼンテーション

1月11日の授業では、叶匠壽庵の角田人事部長、伝統工芸士の吉田様に、オンラインでご参加いただき、8名の学生が作成した「企業案内」のプレゼンテーションを行いました。バラエティー豊かなそれぞれの作品に対し、両氏から温かいフィードバックをいただきました。

そしてこの授業のフィナーレは、吉田氏のご指導のもと、『寿長生の郷』で制作に取り組んだ陶器の披露でした。2か月にわたり、心を込めて焼き上げていただき完成した陶器をみて学生も感動の声を挙げていました。
世界に一つのオリジナル陶器を手元に、角田部長と吉田様を囲んでの記念撮影を行い、授業は終了しました。

学生の感想

今回この授業を受けて、国文学をマーケティングに活かしている企業があることを知ることができたことがまず私にとっては大きかったです。専門性を活かすのはとても難しいし、ほとんどの国文学生は一般企業に就職しますし、おそらく私もそうだろうと思っていました。しかし、一般企業に入っても大学で学んだ国文学の専門知識が活かせるかもしれないと知ることができて、企業選びの一つの基準にもなりました。また、国文学がマーケティングを学ぶきっかけにもなりました。マーケティングと聞くと身構えてしまい、今後のために必要な知識だとは分かっていながら積極的に学ぼうとはしてきませんでした。しかし今回、資生堂や叶匠壽庵の国文学を活かしたマーケティングの講義を聞き、また『寿長生の郷』を訪れて興味を持ちました。持続可能で長く愛される場所・商品・企業や、従業員の方同士のコミュニケーション、お客様との交流を間近でみることができました。教室での座学やインターネットで調べるだけでは分からないよりリアルな姿を知ることができたのが良かったです。

近年ではインターネット上に様々な情報が溢れ、その影響を無意識のうちに受けていたのか就職活動を進める程、どこか自分の軸ではなく、他人から見てどこがいいのかと考え、経済的・時間的ゆとりのある人間になりたいような、自信がないからこそ人に決めてもらいたい気持ちが増えてきていました。しかし、叶匠壽庵様に伺った際に改めて自分軸で幸せな人生を作る大切さ、角田部長の言われた「自分らしく働ける場所」の大切さを考えさせられました。就職活動を行う中で大企業、専門職など働いている人が凄く特別な人に自分にはなりえないような大人だと感じられますが、その人も普通の人で自分と同じように悩み考えている人間だと認識でき、そのことから「自分を変に着飾らなくていい」と言われているように思いました。

本講義を受けて、「自分らしく働ける場所」「無理のない背伸び」「自分の本当の軸」を大切に着飾らなくていいような業界や業種を見つけていきたいと思いました。また深澤先生自身も何十年もたって教師として大学に勤めているということを聞き、焦らず「今」の納得内定先を見つけていきたいと思います。

担当教員からのメッセージ

この講座も今年で4回目、資生堂の大木企業資料館長、叶匠壽庵の角田人事部長をはじめ、本当に多くの方に支えられていることを改めて深く感じています。これも、資生堂様や叶匠壽庵様が、人を大切にする経営を実践されているからであり、その温かさは年々増していることすら感じています。

そのような中、今年も9名の国文学科3年生が履修してくれました。渋谷キャンパスでの講義、『寿長生の郷』の訪問など、多くの経験を通じて学びを深めてくれたものと感じます。普段学んでいる国文学というものの大切さを、企業活動を通して実感することが出来れば、今の学びの深みや重要性に対する理解がより高まるものと考えています。

本講座に関わって下さった全ての方と、真摯な姿勢で授業に臨んでくれた学生に感謝いたします。

2024年2月2日

原材料から育てるこだわりを知る。「国文学マーケティングプロジェクト」の授業で叶 匠壽庵とのコラボ授業が行われました。~前編~

11月2日に、文学部国文学科「国文学マーケティングプロジェクト」(担当:文学部国文学科 深澤晶久教授)の授業で、和菓子屋の株式会社 叶 匠寿庵(以下、叶 匠壽庵)との特別コラボが行われました。学生たちは翌週に滋賀県大津市にある本社『寿長生の郷(すないのさと)』を来訪し、陶器づくりなど様々なことを体験します。角田徹氏の軽快な語り口に、学生たちは期待に胸を膨らませていました。

手作りにこだわる

角田氏はまず学生たちに「和菓子食べますか?」と問いかけました。
ほとんどの学生が食べると手を挙げます。
「水ようかん」「どら焼き」「大福」などの答えの中、「練り切り」と答えた学生も。茶道をたしなんでいる彼女に角田氏も感心された様子でした。
「では、和菓子屋はどのくらいあるでしょうか」と再度問いかけに今度は「100…1000…」と、学生たちは自信なさ気です。「定かではないですが、13000社くらい」と角田氏が言うと、驚きの声が聞かれました。
ただ上場している大きな企業は少なく、町中の小さな和菓子店や和菓子を卸売りしている企業も含めての数だといいます。「その多くの和菓子屋と叶匠壽庵との違いを紹介します」と講義は始まりました。

叶匠壽庵で一番人気の和菓子は「銘菓あも」。
「あも」とは昔の宮中の女性の言葉で「おもち」を意味する語で、おもちの周りに小豆をまとった上品かつ、いたってシンプルなお菓子です。
一番の決め手の小豆は、職人さんが毎日釜で炊いています。
機械化せず手作業にこだわり、「創業からずっとこれだけは変えずに毎日作り続けています」と角田氏は話しました。

原材料にこだわる

続いて「皆さんに来週来ていただくところです」と『寿長生の郷』についての話に。
『寿長生の郷』は滋賀県大津市にある自然豊かな丘陵地です。山を登っていくと、和菓子の販売はもちろん、茶屋や食事処、パン屋や陶器作り体験ができるなど見どころもたくさん。

春は梅の花が咲き誇り、一番にぎわう時期と言います。
この梅は6月に梅の実を収穫し漬けます。
1年後に出来た梅酒の実を原材料にしたお菓子「標野」。
収穫から2年がかりで作られるお菓子は鮮やかな赤色。
角田氏は「原材料から育てているお菓子屋は多分他にないでしょう」と話され、学生たちにも配られました。

場所にこだわる

叶匠壽庵は町なかの和菓子屋として始まりました。
しかし和菓子作りに大切な季節感が感じられないことや、地元のきれいな美味しい水を使いたいことから、自分たちの手で原材料から育ててお菓子を作ろうと『寿長生の郷』に移りました。

里山を守る取り組みも徹底しています。
工場排水も浄化槽でろ過してから流し、小豆の皮などは堆肥にしています。地域の方々と一緒に水路の掃除や山の間伐も。
伐材は炭にして茶屋で利用するなど、寿長生の郷の土地の中で循環するシステムを作っています。「動植物の多様性は50年後、100年後をイメージして育まれます」と角田氏。
自分がもう生きていない未来のことを考えて間伐や植林をするのです。

その取り組みが「生物多様性の保全が図られている区域」として環境省に認められ、『寿長生の郷』は国の定める「自然共生サイト」に認定されました。
自然共生サイトとは、COP15で採択された環境への取り組みのひとつで、2030年までに陸・海の30%ずつは自然環境を目指すという考えを実行している場所です。
角田氏は「自分たちは当たり前のことをしてきただけですが、取り組みや認定されたことをお客様にも宣伝し関心を持ってもらうことが必要」と話しました。

従業員も納得できる仕事

角田氏は「私たちは沢山売りたいとかあまり思っていません」とあっさり。
流通するには量が必要でコストもかかります。原材料にこだわり売り方を工夫してコストを下げ、納得できる仕事を目指しています。
「標野」は1つ200円で販売。「200円なんだけれども、販売までに携わった人たちの思いがつまったお菓子です」と話しました。

そして、これから就活に向かう学生たちに「どんな会社でもサービスを提供していますが、自分たちが幸せでなければお客様に対してもてなしはできません」と語りました。
従業員も幸せな働きができる会社との出会いの大切さを伝えました。

いよいよ寿長生の郷へ

最後に本授業の1期生にあたるOG田中さんが紹介されました。田中さんは来年から叶匠壽庵へ入社が決まっています。
4年前。本授業で『寿長生の郷』を訪れた田中さんは「最初は旅行気分でした」と話します。
「『寿長生の郷』では従業員の皆さんが生き生きとしていたことが印象的でした。自分たちで育てて加工することに愛着も誇りもあり、お互いをリスペクトしていました」と感想を話しました。
「私は新卒では別の企業に就職しましたが、就活の時にも『寿長生の郷』で聞いた話が自分の軸になりましたし、とても共感したので今回入社を決めました」と語り、学生たちも『寿長生の郷』で良い気付きがあることを期待しました。

学生たちは実際に『寿長生の郷』を訪れ、陶器作り体験をしたり和菓子作りのお話を聞いたりする予定です。
その後の授業では、人事部の立場になり叶匠壽庵の新卒向けの企業案内を作る課題に挑戦します。

深澤教授は「せっかく行くのですからそこでしか得られない情報を盛り込み、皆さんならではのものを作成してください」と伝えました。

~後編へ続く~

2024年1月19日

やりたいと思ったらすぐチャレンジしてみよう!「実践キャリアプランニング」の授業で英文学科OGによる社会人1年目の経験を伺いました。 

11月17日に共通教育科目「実践キャリアプランニング」(担当:文学部国文学科 深澤晶久教授)の授業で英文学科の卒業生である徳山瑠奈さんが講演を行いました。今年の4月に株式会社エービーシー商会(以下、ABC商会)に入社してからのやりがいや苦労、学生時代の活動など、学生たちの身近な先輩として経験を話されました。授業の最後には質疑応答も行われ、これから就活に向かう学生たちにとって参考になる授業となりました。

ABC商会ってなんの会社?

徳山さんは2023年3月に文学部英文学科を卒業したばかり。
趣味は一人旅で「最近は中国地方に行き瀬戸内海を一周したり、カメラ片手に全国を回るのが好きです」と話しました。
「皆さんに近い存在の社会人かなと思いますので、参考にしていただけたら嬉しいです」と講演が始まりました。

徳山さんは今年4月にABC商会に入社しました。
「ウソみたいな名前ってよく言われるんですが、ABC商会が本当の名前です」と徳山さん。建材を扱う専門商社です。
建材とは、床や壁、天井など建物の内装・外装に使われる建築資材のこと。トイレのカウンターなど備え付けの資材も含まれます。

キャッチフレーズは「ABC商会の商品の上を歩いたことのない人はいない」。
商品幅が広く、誰もが一度は利用したことがあるような主要な駅や商業施設、テーマパーク、有名なカフェなど多くの場所にABC商会の建材が使われています。意外なところでは仮設の通路の壁などにも。
徳山さんは「地震に耐えうる金属素材として、こんなところにも使われたりしています」と紹介しました。

宣伝部で奮闘中!

徳山さんが配属されたのは宣伝部。
広く一般に向けたCMではなく、建築関係の企業向けの宣伝を行っています。建築雑誌や総合カタログの広告、ショールームや展示会の企画を考えています。

また、施工例の写真や動画を作成し、営業が取引先の企業に見せる資料なども製作。
浅草駅での撮影に同行したときは、電車と施工品が同時に写るよう、電車の来る時間を確認したり通行人に配慮したりといった対応を行ったと話しました。
「屋外の撮影の場合は天候も関係するので、全国の天気を確認することも私の仕事の一つです」と語りました。

とにかく何でもチャレンジしよう

徳山さんの大学生活はコロナ禍真っただ中。
あまり外部で活動できない中、インパクトのあるエピソードとなったのが岩手県久慈市の闘牛大会にボランティアで参加したこと。
その他にも、深澤教授の授業の繋がりでラジオニッポンの番組に出演したり、オリンピックで視覚障害の方をサポートしたりなど多くのことに挑戦しました。また、半月ほど一人で沖永良部島に有償ボランティアも経験。

「自分が決めて取り組んだ経験は自分を形作る糧となる」と徳山さんは話します。
「自分でやってみようと思ってチャレンジした経験は、成功失敗に関わらずその行動自体が立派な起承転結のエピソードになるのかなと思います」と、自分は何が好きか、何が得意かといったプラスのことだけでなく、自分の苦手なことなども分かったと語りました。
「大学時代はあっという間なので、やりたいと思ったことはすぐに行動に移していって欲しいなと思います」とアドバイスしました。

就活も納得いくまでやりきって

そんな徳山さんがABC商会に入社したきっかけは風景写真でした。カメラで撮影するうちに、背景や空間に写る素材に興味を持つようになったと言います。
人々や地域に寄り添った空間を提供したい、と考えABC商会に入社。社会人として半年ほどが経ちました。

「似たような仕事はあっても同じものはないので正解がない。年代や経験も違う人たちの意見のすり合わせが難しいです」と苦労も語ります。自分が今求められているのは、新しい視点や意見を伝えていく力だと痛感していると話しました。
ただ、「携わった仕事が目に見えるカタチとなるとやってよかったと思います」とやりがいも語りました。

就活に向かう学生たちに向けてのメッセージは、何を重視するかを明確にすること。自分の納得のいく結果まで諦めず、最後までやりきって欲しいと話しました。
「就活は苦しいイメージがあると思うけど、自分を知れるいいチャンスです」とエールを送りました。

就活についての質問がたくさん

各グループでディスカッションをした後、質疑応答の時間が取られました。アンケート機能を使って、学生達から沢山の質問や感想を送られました。
「就活で資格は役に立ちましたか?」という質問には、徳山さんは「マナープロトコール検定はホスピタリティ業界を目指すには良いと思うし、意外と休憩中の姿勢や身なりも見られています。マナーの第一ステップは身に付けるべき」と回答。

「入社の決め手は?」という質問には、「社内の雰囲気。面接のときに実務に関わっている方の話を直接聞けたことによりイメージが出来た」と話します。「自分が学生の時、雰囲気で決めたという回答には疑問があったんですが、直感や雰囲気もやっぱり大事です」と続けました。

「コロナ禍じゃなかったら何をしていた?」との質問には「留学していたかも」と話し、「自分は大学生活やり切ったと思っていたけれど、今考えるともっとできたこともあったかもと思うし、人生の過ごし方は違う選択肢もあるかもしれないと思って過ごしてください」と語りました。

学生たちにとって、非常に参考になった実りある講演となりました。

担当教員からのメッセージ

徳山さんのことを漢字一文字で表すとしたら「動」だと思います。とにかく、興味があっても、それほどなくても、まずは一歩踏み出して行動すること、このことの大切さを教えてくれた学生さんでした。ちょうどコロナの時に入学された世代、辛いことも沢山あったと思いますが、そのことを乗り越えて、充実した学生生活を過ごされ、社会でも、順調に一歩一歩成長されている姿には、頼もしさすら感じられました。これからも後輩の良きロールモデルとして、さらなる飛躍を期待したいと思います。ありがとうございました。

2024年1月17日

ウェルビーイングについて学ぶ! JWP研究会が女子大生フォーラム「What is Well-Being~自分を輝かせるキャリアの描き方2023~」を開催しました。 

12月25日(月)に実践Well-Beingプロジェクト研究会(以下、JWP研究会)によるウェルビーイングフォーラム「What is Well-Being~自分を輝かせるキャリアの描き方2023~」が開催されました。本フォーラムはJWP研究会の有志の学生が企画・運営を行い、実践女子大学のほか聖心女子大学や明治学院大学の女子学生、実践女子学園高等学校と京都市立日吉ケ丘高等学校のメンバー総勢40名が参加。ゲスト講師にEVOL株式会社代表の前野マドカ氏をお迎えし、ウェルビーイングについての理解を深めました。また、講演やグループワークの内容をアウトプットするために参加者一人一人に自分がどういった際にウェルビーイングな状態になるか考えてもらいました。最後には、ビンゴ大会を行って大盛り上がりで計3時間のフォーラムを終えることができました。

JWP研究会の活動は?

はじめに今回の企画運営を行う7名の学生たちから、本フォーラムの説明がありました。

JWP研究会も今年は3年目。女性がキャリアを築き自信をもって人生を歩んでいくために、より自分自身に目を向けることが大切と考え、様々な角度からウェルビーイングへの学びを深めることを重点に活動してきました。

「本フォーラムでは、大学生と高校生が交流を図りつつ、一人一人の参加者が自分自身にとってのウェルビーイングを深く考える機会にしたいと考えています」と開催の主旨を伝えました。 そして、早速、ゲストの前野マドカ様の講座がスタートしました。

自分を輝かせるキャリアの描き方とは

JWP研究会では発足当初に、ウェルビーイング研究の第一人者である前野隆司氏にお話を伺う機会があり、そのご縁でパートナーである前野マドカ氏に2023年2月に引き続き講演をお願いしました。マドカ氏も隆司氏に感化され幸せの研究を始め、現在では幸せを広めるワークショップやプログラムを開発されています。

前向きな人は創造力や生産性も高く、周りに良い影響を与えるという研究結果があります。「幸せは移ります。皆さん覚えておいてくださいね」と前野氏。では幸せな人とはどんな人でしょう。それは夢や目標を持ち、多様な人とつながりを大切にして前向きに自分らしく生きる人のこと。

「やってみよう」「ありがとう」「なんとかなる」「ありのままに」が幸せの4つの因子です。

人間は、ないもの・苦手なもの・できないことに目が向いてしまう生き物。しかしそれでは幸せになれません。自分にあるもの、得意なもの、できていることに目を向けることが大切と言います。

「自分の良さや強みは意外と自分では分からないので友達や家族に聞いてみましょう」前野氏はアドバイスを送りました。

ハーブティーを味わう

今回の初めての試みは、前野マドカ様にご用意いただいたハーブティーを楽しむことです。オリジナルブレンドのハーブティーを、本当にゆっくりと味わいながらいただく、まさに五感を研ぎ澄ましながらということになります。
日頃、時間に追われながら過ごしている我々にとって、味、香り、音など、静かに味わうことの大切さを感じる瞬間でした。

「Well-Beingダイアログカード」使った幸福度を高めるワークショップ

ここで、前野氏がグループに1セットずつWell-Beingダイアログカードを配りました。幸福度研究に基づいて作られたカードにはそれぞれ問が書かれています。

例えば「自分にありがとうと言いたいことは?」「本気で取り組んでいることは?」「人生をかけて成し遂げたいことは?」など。

答えを考えることで自分自身の大切なことや軸について知ることができるカードです。グループごとで話し、他の意見を聞くことで幸福度を高めていきます。

対話は盛り上がり、自然と拍手が出るグループも。それぞれグループで対話したあと、感想を発表しました。

Well-Being宣言!

フォーラムの最後には参加者全員が「Well-Being宣言」を行いました。

自分自身にとってのウェルビーイングを考え、言語化できるようにします。

開催日がちょうどクリスマスでもあったため、幹事グループのメンバーが用意したのは、クリスマスツリーを彩るオーナメント型の用紙、それぞれの思うウェルビーイングを宣言。グループ内で発表し合います。全員分の「Well-Being宣言」は幹事作成のオリジナルクリスマスツリーに貼り付け、可愛らしく飾られました。

最後に参加者から、

チームのメンバーがみんな明るくてグループワークの会話が弾んで楽しかったです。4つのマークのカードを使って自分の意見を共有するワークでは、みんな自分と違う考えを持っていたのが印象的で面白いと思いました。また、最初の1口を味わうマインドフルテイスティングは、食べることが大好きな私にピッタリだと思い、これからも取り組んでみたいと思いました。(大学生)

長続きする幸せと、すぐに消えてしまう幸せがあるというお話がとても印象に残りました。また、周りの目を気にしすぎてしまうところがあるので気にしないように自分を優先して行動するようにしていたのですが、自分の性格が悪くなったような気がしていました。「ありのまま」でいるだけでなく、繋がりに感謝する心も持たなければいけないと気づくことができたのは、大きな発見だったと思います。それから、やってみよう!と頑張る時間と、今の幸せに浸る時間のバランスが大事だというお話も興味深かったです。私はどちらかに傾いてしまうことが多かったので、バランスを意識してみようと思いました。普段関わる機会のない高校生の方と話すこともできて、とても刺激的で楽しい時間でした。(大学生)

1日の中で自分と向き合う時間を取ることはとても大切な事だと思った。どれだけ忙しくても落ち着く時間を10分くらいは取る事で心に余裕が生まれやるべき事の生産性も上がると思う。(高校生)

今回のワークショップで、日々の生活をよりプラスで豊かにする方法を学ぶことができて良かったです。個人的にはなんとかなるの精神を持つことが苦手なので、今回の質問を自分にも投げかけ、少しずついい意味で柔らかい思考を持てるようになりたいなと思いました。(大学生)

普段の日常生活と幸せとの繋がりや普段からできる自分との向き合い方を楽しく自分から学ぶことができました。班の皆さんとの交流がとても楽しくていい人たちばかりだったのでいい経験ができました。(高校生)

交流会

最後には、ビンゴ大会でのクリスマスプレゼント、お菓子を食べながらのビンゴ大会は盛り上がりました。

前野氏は「自分をいい状態にすることを、しっかり考えてくれてとても嬉しいです。全員に応援メッセージを送りたい」と語り、ウェルビーイングフォーラムは終了しました。

企画・運営した学生たちの話

私は去年、参加者側として参加して、今年は企画・運営から携わってみたいと考えて運営メンバーに応募しました。事前の打ち合わせから当日まで時間がない中で、メンバー全員と話し合いながらコツコツ準備を進めていきました。今年は高校生がいる中で、どうやったら参加者全員が楽しめて学びになるフォーラムになるか何度も考えて創りあげていきました。当日は緊張しながらも、司会進行を務めてフォーラムをスムーズに進められるよう努めました。自分達が企画したフォーラムが形になっていく様子を肌で感じ、自分自身も楽しく、感動したのを覚えています。
フォーラムの最後には、参加者の方から「とても楽しかった」と言ってもらい嬉しかったです。貴重な経験をさせていただき、ありがとうございました!(人間社会学部人間社会学科)

ウェルビーイングフォーラム初参加という中で、運営メンバーのリーダーという、重要な役割を務めさせていただきました。講師の前野様とも直接連絡をとらせていただき、サポートいただきながら企画してまいりました。私は去年のウェルビーイングフォーラムに参加していなかったので、不安もありましたが、去年参加したメンバーから意見をもらいつつ、メンバー全員で工夫しながら企画や運営を進め、最終的に参加者の方から「楽しかった」と言ってもらうことができ、大変うれしく思いました。また、ウェルビーイングの考え方が注目されている中、大学生のうちから理解を深めるだけでなく、このようなフォーラムの企画や運営に携わることができ、貴重な経験をさせていただきました。(生活科学部現代生活学科)

深澤晶久教授の話

2021年度に立ち上げた「JWP(実践ウェルビーイングプロジェクト)研究会」も3年目を迎えました。

2020年責任世代である私自身が、2050年責任世代である学生たちに、少しでも良い形でバトンを渡したい、そんな想いから辿り着いたのが「Well-Being」でした。なかでもメンバー自らが企画立案に携わり、一つの形に仕上げる。いわばプロジェクト・マネジメントの経験が今回の「ウェルビーイングフォーラム」でした。企画から運営まで、まさにプロジェクト・マネジメントをやり遂げてくれた学生たちの姿に、大きな成長を感じるとともに、頼もしさまで身に着けてくれました。

この企画にお力添えいただいた前野マドカ様に、この場を借りて心から感謝申し上げます。そして、参加してくれた学生・生徒の皆さんにとって、さらにウェルビーイングな時間が沢山訪れることを祈ります。