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2024年4月5日

”服装自由”の時は何を着る?「演習IIB」で青山商事とコラボ授業!
就活生の服装の悩みを解決するプレゼンテーションに挑戦しました。

2年生対象の「演習IIB」(担当:人間社会学部人間社会学科 広井多鶴子教授)の授業で、12月19日に青山商事株式会社(以下、青山商事)とのコラボ授業が行われました。11月に、就活生の服装の悩みに向き合う「#きがえよう就活」プロジェクトの一環として「就活服の悩みをどう解決するか」というテーマが出されており、学生たちは6グループに分かれ、課題解決法を考案。この日は、青山商事から6名、株式会社ニューズピックスから1名の方々が来校され、学生たちは皆様の前でプレゼンに臨みました。

自分らしさをどう表現する?

最初のグループ①は「オフィスカジュアルのサブスクリプション」と題して発表を行いました。
オフィスカジュアルとはどのような格好をしたらいいのか分からないという就活生の悩みに注目。女性に人気のファッションサブスクを参考にして、青山商事が就活生向けサブスクを展開することを提案しました。
若者向けのトレンドを抑えたオフィスカジュアルが、月に2回届く仕組みです。
青山商事の方からは「まさに若者たちが着たいと思う服を社内でブラッシュアップしているところなので、背中を押された気持ちになりました」というコメントがありました。

グループ②は、就活で結局黒スーツを選んでしまうのは、悪目立ちしたくないなどの保守的な意見が多いからと分析し、「就活は学生が企業を選ぶ側でもある」という自信を持つべきだと考えました。そこで、服装自由な企業にプロジェクトのロゴマークを提示してもらうことを提案。
就活生がロゴマークを見て企業を選び、安心して個性の出せる服装ができるようにします。
青山商事の方からは「自分が企業を選んでいくんだという意識を作っていく案になっている」と評価されました。

オフィスカジュアルって難しい!

続くグループ③は、SNSを利用する案を考えました。就活生の多くは、企業がどのような意図で服装自由にしているのか分からずに不安を感じていることに着目しました。
服装で評価が変わると思っている学生と、服装はそれほど重視していない企業の意識の隔たりをなくすため、大学生の約8割が利用しているInstagramを活用し、「#きがえよう就活」のタグを広めることを提案しました。
「服装の例として画像を上げるのに、Instagramは相性がいい。ぜひ検討させていただきたい」と青山商事の方から前向きなコメントをいただきました。

グループ④は、メンバー全員が黒スーツで就活をするつもりでいたことを告白。スーツ以外を選ぶためには、オフィスカジュアルを気軽に購入できることが必要だと考えました。
そこでアパレル企業等に協力してもらい、サンプルとして載っている服装の中から購入できるサイトを考案。
また服装についての疑問やレビューを書いたり投票できたりする機能を付け、就活生と企業との双方向のコミュニケーションが取れるようにしました。
講評では「レビューや質問で学生からもアクションできるのがいい。みんなが知りたいことがわかる仕組みになっている」と着眼点について高く評価していただきました。

服装の基準を分かりやすく

グループ⑤はクールビズにフォーカスしました。
就活生は夏の面接やインターンでスーツを着用しなければならないことに不満を持っていることに着目。クールビズに明確な定義がないことが原因と分析しました。提案は服装のピクトグラムを作成すること。
企業の採用ページにピクトグラムを提示してもらいます。
青山商事の方からは「悩みの解決方法が分かりやすく、最後まで筋の通った良いプレゼンでした」「賛同企業を増やすためにも、ピクトグラムは取り入れやすくて良いと思いました」というコメントをいただきました。

最後のグループ⑥は、服装自由が言われる一方でスーツで来てほしい企業もあることが就活生を悩ませている原因と分析。企業から就活の服装の例を挙げてもらうことを提案。採用ページに面接時の服装や、面接官の服装を載せてもらうようにします。
また、Instagramで「#インスタ就活プロジェクト」のタグを作り、各企業に就活向けの情報や服装を発信してもらいます。
青山商事の方からは「認知を広げるにはInstagramは相性がいい」「面接官の服装は確かに就活生が気になるポイントだ」という感想が寄せられました。

これからの就活が楽しくなるように

全発表終了後、優秀なプレゼンのグループが表彰されました。
「#きがえよう就活」賞に選ばれたのはグループ④。
受賞した学生からは「中間発表の後、一から考え直しましたが、賞をいただけてよかったです」「内容は難しかったがみんながそれぞれ自分の役割を果たしました」と喜びのコメントがありました。

「#きがえよう就活」賞を受賞したグループ④

もう一つの青山商事賞は、グループ⑤でした。
受賞した学生は「途中企画倒れになりかけてどうなるかと思いましたが、形になって良かったと思います」「スーツ以外で就活してみたくなりました」などとコメントしました。

青山商事賞を受賞したグループ⑤

最後に青山商事の平松氏から「みなさん、まじめに課題と向き合ってくれました」、「SNSなど学生目線の提案が、大変参考になりました」というコメントがありました。
そして、「今回の課題を通して、就活が少しでも楽しくなったらいいなと思います」ということばで、授業を締めくくってくださいました。

担当教員からのメッセージ

人間社会学科 広井多鶴子

当初、学生たちは、就活は黒のスーツが当たり前と思っていましたが、調べ、考え、話し合う中で、自分たち自身の固定観念に気づき、新たな考えをまとめていきました。そして、「自分たちは企業に選ばれるだけの存在ではなく、自分たちが企業を選ぶ存在だ」というように発想を転換!! 当たり前だと思っていることを問い直すことのおもしろさと重要性を実感できたのではないかと思います。

最終のプレゼンテーションは、中間発表よりもかくだんに完成度が高くなっていました。学生たちは、ほんの数週間でみちがえるように視野を広げ、根拠と説得力のあるプレゼンへと作り替えました。

それは、青山商事のみなさんの仕事への熱意と真摯さが学生たちに伝わったからだと思います。

学生からは、「本格的な産学連携授業は初めてで、実践的な学びが得られた」「企業の方から直接アドバイスをもらえる貴重な機会だった」といった感想が寄せられました。
何度も大学に足を運び、丁寧で的確なアドバイスをしてくださった青山商事のみなさんに、心より感謝いたします。

2024年4月3日

障がいのある方たちが活躍するには?「福祉社会学」の授業でアイエスエフネット社長によるダイバーイン雇用についての講演が行われました。

11月9日に「福祉社会学」(担当:人間社会学科 山根純佳教授)の授業で、株式会社アイエスエフネット(以下、アイエスエフネット)代表取締役の渡邉幸義氏による「ダイバーイン雇用」についての特別講義が行われました。多様化する社会において、すべての人が働けるとはどういうことか、実際の取組紹介などを通して学ぶ貴重な機会となりました。

20歳の時に起業を決意

アイエスエフネットは2000年に創設。
クラウドサービスやネットワークを整備するITインフラ企業です。渡邉氏は「20歳のときに2000年に起業するぞと決めました」と言います。そこから逆算して計画を立て、宣言通りに起業したのです。
「自分は何もできないと考えている人がいるかもしれませんが、一歩踏み出さないと何も起こりません」と行動することの大切さを、まず学生たちに伝えました。

渡邉氏は「『タイパ(タイムパフォーマンス)』と言う言葉が流行っていますが、考えていただきたい言葉です」と言います。
なぜなら、時間で管理していると効率が優先されてしまうのでダイバーイン雇用の推進が進まないのではないか、と講演が始まりました。

マイノリティは本当に少ない?

日本の障がい者の割合は7.6%。およそ15人に1人が何らかの障がいを有している計算です。
そして「その障がい者には親や家族がいます」と渡邉氏。
単純計算で全人口の5人に1人は障がいと共に生活している人たちなのです。
またセクシュアリティマイノリティを意味する「LGBTQIA」の当事者層は9.7%。ここ数年でセクシュアリティマイノリティの存在は急速に認知されていますが、企業では依然男性・女性の考えしかなく、知らずに相手を傷つけてしまうことも多くあります。

こういったマイノリティの人々と共に働くというひとつの形が、アイエスエフネットでの「ダイバーイン雇用」です。
ダイバーインとは、多様性を意味するダイバーシティと、受け入れるという意味のインクルージョンを掛け合わせた造語とのこと。多様な個性を受け入れることを目指した言葉です。

なぜダイバーイン雇用をするの?

ダイバーイン雇用を始めたきっかけは、会社を立ち上げたときに「無知識・未経験者の採用から始めたこと」と言います。
IT知識がなくても応募できるため、多くの応募があり人柄で選ぶことが出来たと話します。
しかし、採用した社員が決まった時間通りに出勤をしなかったり、勤務中にずっと寝ていたり…人柄は真面目で良い人ばかりなのに何故だろう、と渡邉氏は不思議に思い、根気強くヒアリングをしたり病院に通うよう促したそうです。
すると問題行動のあった人たちの9割に病気など何らかの原因が判明したと言います。
その人自身の意識の問題ではなかったのです。

障がいのある人たちに配慮し、働きやすい環境を整えることは簡単ではありません。
しかし「そういった方々は環境を整えたら、上手くパフォーマンスを発揮することができる」と渡邉氏は言います。
「人材」から「人財」へ変わったのです。
現在では、場合によっては専門医師と協力し、原因を突き止める体制が取られていることを紹介されました。

さらにアイエスエフネットでは、多くの女性社員も活躍しており幹部クラスもたくさんいます。
女性は、家庭と仕事の両立が難しく、出産や介護などのライフイベントにより仕事を辞めパートになる方が多いです。
「(学生たちに)就活をするにあたって、育休制度などは必ず確認してください」と渡邉氏は言います。
一定の基準を満たした子育てサポートに取り組んでいる企業に対して、国が認定した「くるみん」マークがあるかなどを調べたり、採用担当の人事に聞いてみるのもよいとコツを伝えました。「給料の良い企業に入社しても、辞めてしまっては意味がない」と生涯年収を考えることの大切さを伝えました。

渡邉氏は「根気強く傾聴し相手を知れば、どんな方でも問題なく仕事ができます」と力強く言い、「皆さんがこれから社会人として経験される中で、マイノリティとマジョリティという壁を取っ払って色んな方に目を向けていくことが大事です」と学生たちに語り掛けました。

学生たちによる質疑応答

講演後には、質疑応答の時間があり、学生たちから手が挙がりました。
「会社の施設で合理的配慮をしている例を教えてください」という問いには、渡邉氏が「群馬県沼津市では身体障害者用の車を3台購入し、トイレをバリアフリーにしました。東京では配慮されているところも多いですが、地方ではまだであることが多いです」と回答されました。
マイノリティとマジョリティ、障がいがある方との付き合い方など学生たちにも気付きの多い講演となりました。

2024年3月5日

「『学び』から考えるウェルビーイング」JWP(実践ウェルビーイング・プロジェクト)のメンバーが参加

2月10日(土)、実践ウェルビーイングプロジェクト(JWP)の1年生から3年生のメンバー9人が、ユームテクノロジージャパン株式会社を訪問し、「『学び』から考えるウェルビーイング」と題したワークショップに参加しました。

――最新のラーニングプラットフォームを活用したワークショップ

文学部国文学科の深澤晶久教授が2021年に立ち上げた正課外のプログラム「実践ウェルビーイングプロジェクト(以下、JWP)」。有志の学生たちがさまざまな活動を通してウェルビーイングについて学んでおり、2月10日(土)は2023年度の活動の締めくくりとして、ユームテクノロジージャパン株式会社を訪問。「『学び』から考えるウェルビーイング」と題したワークショップに参加しました。

講師を務めてくださったのは、最新のテクノロジーを駆使したオンライン学習プラットフォームを展開するユームテクノロジージャパン株式会社のラーニングエバンジェリストで、人材開発コンサルティング事業や学習の研究を手掛ける株式会社ラーニングシフトの代表でもある小仁聡氏。ワークショップは、ユームテクノロジージャパンが提供するラーニングプラットフォーム「UMU」を活用して進められました。

――学ぶことの重要性と、ウェルビーイングとの関係を考察

最初に学生たちが向き合ったテーマは「なぜ学ぶことが⼤切か?」。学生たちが事前に答えたアンケートの結果を共有しつつ、「学び」をどう捉えるか、小仁氏はさまざまな視点を提示していきます。日本でも大ヒットしたビジネス書「LIFE SHIFT(ライフ・シフト)―100年時代の人生戦略」を紹介すると、人生戦略は「教育・仕事・引退」といった3つのステージから、マルチステージへとシフトしていると説明。「⽣産性資産」「活⼒資産」「変⾝資産」を意識的に身につけることの意義や、予測不可能な事態が起きる社会が「VUCA(Volatility、Uncertainty、Complexity、Ambiguity)」から「BANI(Brittle、Anxious、Non-Linear、Incomprehensible)」へと変化していることに触れ、創造的なリスキリングの重要性を指摘しました。

続くテーマは、「何を学習するとよいのか?」。「ウェルビーイング」という言葉はWHO(世界保健機関)や、2015年の国連サミットで採択されたSDGs、OECD(経済協⼒開発機構)のEducation2030プロジェクトが提⽰した「ラーニング‧コンパス2030」で取り上げられています。小仁氏はそのうちの「ラーニング‧コンパス2030」に注目。⾃律的学習⼒を磨くことが⼤切だとし、リフレクションにより学びの動機の源となるビジョンを明確にすることで、現状とのギャップを埋めようとする内発的動機、いわゆるクリエイティブ‧テンションを高められると語りました。

さらに小仁氏は、学びに意欲的な割合が幸せな活躍層に多いという調査結果を引用。幸せな活躍につながる5つの学びの特性についても解説しました。

なお学生には、その都度気付いたこと、その気づきから次に起こすアクションを並べて書き込める「ブリッジングシート」が配られ、このシートに書き込み行う時間も適宜設けられました。書き込んだ内容は、いくつかのグループに分かれてお互いに共有。これがさらなる気づきを喚起している様子でした。

また、講義の合間にはグループワークも。「学びとウェルビーイングの関係を考える」というテーマの議論では、「学びはウェルビーイングを目指すためのツールである」「学びはウェルビーイングに向かうまでのプロセスである」「学びとウェルビーイングは豊かな生活を築く両輪である」など、ウェルビーイングを考察するにあたり有用な意見が各グループから出されました。

――学びとウェルビーイングからつながるキャリア形成の道

最後のテーマは「どのようにして学びキャリアを形成するか?」。ラーニングコンパスでも提唱されている⾏動モデル「AAR(Anticipation、Action、Reflection)」や、意志的キャリア形成の4要素「VITM(Vector、Image、Trial、Meaning)」の説示に、熱心に耳を傾ける学生たち。最後に、今回のワークショップを通して自分の思考がどのように変化したのか、それぞれが自分の言葉で言語化することにチャレンジしました。

「学びは勉強であり、面白くないものだと考えていたが、人と関わり自分を高めて人生を豊かにするための行為すべてが学びだと考えるようになった。学び続けることが生き続けることだと知り、今後は自身の強みを見つけながら積極的に多くの活動に取り組みたいと思うようになった」「学びは単なる興味の探究だと考えていたが、探究の過程にもさまざまな手段があると考えられるようになった。今後はAARサイクルや自律的学習を日常で実践していきたい」などと今回のワークショップを振り返った学生たち。学びという視点からウェルビーイングを考えることを通して、今後のキャリア形成における重要なヒントも持ち帰りました。

2024年度もJWPは新たな取り組みを続けていきます。

◆参加学生のコメント

  • 小仁さんのお話から、学びとはそもそも何を指すのか、ウェルビーイングとの関係性も含め、幅広く「学び」を捉え直すことができました。AARサイクルや自律的学習など具体的な取り組み方も知ることができたので、ぜひ実践したいと思います。
  • ウェルビーイングを「社会的に心も体も健康で生きがいがある状態」と捉えると、学びはウェルビーイングの手段なのだと感じました。また、JWPの活動を通して、体験を言語化して人と話すといった社会的な経験、さらにはそれを継続することも学びだと理解できました。
  • 日々の気づきをそのままで終わらせず、そこからアクションを起こすことが大切だと知りました。特に印象的だったのが、幸せな活躍につながる5つの学びです。その中の一つであるソーシャル・ラーニングは、これまでの経験から私自身もその重要性を実感しています。だからこそ、今一度自分の周りにはどのような人がいるかまとめてみたいと思いました。
  • 「学び」を実践し続けてきた小仁さんだからこそ語れる内容だと感じました。私ももっと自身の学びを深め、いつか小仁さんのように堂々と学びについて語れるようになりたいです。
  • 現代社会に参戦できる人材を育成するために必要なのは、ひたすら問題を解く学習だけではないと知りました。今回のワークショップで学んだことを、日常生活に活かしていこうと思います。
  • 自分の気づきを他者と共有することがさらなる学びにつながるというのは、新しい発見でした。また、その学びからアクションを起こすことを習慣化することが、自分自身の成長につながると知りました。また、ウェルビーイングを実現するためのプロセスが学びであるという考えも印象に残りました。自分がなりたい姿を描いてこそ、やりたいことが明確になるということを学べました。
  • 今回のワークショップを通して、「学習」というものの捉え方がガラッと変わりました。自分が成し遂げたい姿を想像して行動することで学びの視野は格段に広がり、小さな気づきや関心を大切にすることが豊かな生活につながるのだと気づきました。これまで「学習」とウェルビーイングのつながりを考えることはありませんでしたが、ウェルビーイングな人生に「学習」というプロセスが密接に関わっていることを実感しました。
  • 大学で受講した教員採用試験対策講座で教育時事を学んだ際、教育とウェルビーイングの関連性が注目されているということはさらっと学びましたが、今回、小仁さんのお話を伺い、あらためて教育とウェルビーイングについて考える一歩を踏み出せたと感じています。「人間は寝ている間以外は常に学んでいる」という言葉をお聞きして、目標をもって常日頃から生活したいと考えるようになりました。

◆ユームテクノロジージャパン株式会社/株式会社ラーニングシフト 小仁聡氏のコメント

経済産業省が提唱する「社会人基礎力」、それを養うための「リフレクション」を軸に、小学校から社会人までさまざまな層のリーダーシッププログラムで使用しているメソッドを取り入れながら、「『学び』から考えるウェルビーイング」という新たな視点で企画したのがこのワークショップです。

今回、実践女子大学の学生の皆さんとお会いして驚いたのは、その意欲の高さです。ワークショップ内では、気づきとそこから得られる次のアクションを「ブリッジングシート」に書き込んでいただきましたが、皆さん、びっしりとたくさん書き込みをされていて大変驚きました。これまで、ほかのキャリア講座などでもこのブリッジングシートを導入してきましたが、これほどたくさん書き込んでいる例はあまり見受けられません。正課外であるJWPの活動に自主的に取り組んでいるだけあり、考える力を身につけている学生さんが多いと感じました。

OECDの「ラーニング‧コンパス2030」でもウェルビーイングという目標を目指す姿が描かれているように、学びとウェルビーイングは切り離せない関係にあります。学びは人生を豊かにしてくれるもの――。今回のワークショップでお伝えしたこと、すべてを実践する必要はありませんが、どれも試して損のないことばかりです。どれか一つでも、学生の皆さんの新たなアクションにつながれば幸いです。

担当教員からのメッセージ

2023年度のJWP(実践ウェルビーイングプロジェクト)の締めくくりとして、私が企業時代にお世話になったユームテクノロジー社の小仁さんにお願いして最先端の学びを実感できるワークショップを実施いただきました。

「学び」そのものがウェルビーイングである。「学び」は、日々の授業は勿論、あらゆる体験・経験などが学びであり、どれだけ主体的に取り組めるかで、ウェルビーイングの質やレベルが変わってくる。そんな思いから、今年度のファイナルプログラムにいたしました。

小仁様には、本当に素晴らしいプログラムを構築いただき、心から感謝申し上げます。
この学びを、2024年度のJWP(実践ウェルビーイングプロジェクト)の活動に繋げていきたいと思います。

文学部国文学科 深澤晶久教授

2024年3月5日

JWP(実践ウェルビーイング・プロジェクト)の4年生メンバーが資生堂グローバルイノベーションセンターを訪問(1/30)

1月30日(火)、実践ウェルビーイングプロジェクト(JWP)のメンバーが深澤晶久教授とともに株式会社資生堂の複合体験施設「資生堂グローバルイノベーションセンター(以下、S/PARK)」を訪問。資生堂のウェルビーイングへの取り組みについてレクチャーを受け、施設を見学しました。JWPの活動の一環として資生堂グローバルイノベーションセンターに訪れるのは、昨年10月に続いて2回目となります。

 ※前回の資生堂グローバルイノベーションセンターへの訪問記事はこちら

――ウェルビーイングという言葉が生まれる以前から、ウェルネス領域に取り組んできた資生堂

2021年、文学部国文学科の深澤晶久教授が立ち上げた正課外のプログラム「実践ウェルビーイングプロジェクト(以下、JWP)」。有志の学生たちがさまざまな活動を通してウェルビーイングについて学んでおり、S/PARKの訪問は昨年10月に続いて2回目。今回は、JWP発足時からのメンバーでプロジェクトの中心的な役割を担ってきた4年生5名が参加しました。

まずは、資生堂の中田美奈子さんによるレクチャーからスタート。資生堂が2019年にオープンしたS/PARKのコンセプトやウェルビーイングへの取り組みについて解説いただきました。かねてより、日本発のビューティカンパニーとしてウェルネスへの展開を推し進めてきた資生堂。ウェルビーイングという言葉が一般化する前から、ウェルネスという合言葉のもとウェルビーイングを体現してきたという説明に、学生たちは大いに感銘を受けた様子でした。

「S/PARKは、“美のひらめきと出会う場所”。『都市型オープンラボ』として多くの研究員が勤務する資生堂最先端の研究施設であると同時に、お客さまと研究員のコミュニケーションを通じて、ビューティイノベーションや新たな価値を創造する場でもあります」と中田さん。社員しか立ち入ることができない一般開放エリア以外のワークプレイスも動画でご紹介いただき、学生たちは最先端のウェルネスオフィスの設備に驚きの声を挙げていました。

――「S/PARK Cafe」でランチ。「S/PARK Beauty Bar」や「S/PARK Museum」も見学

レクチャーの後は、毎日の気分や体調に合わせておいしくて健康的な食事を楽しめる「S/PARK Cafe」でランチタイム。“野菜中心の”という意味の“ベジセントリック”をコンセプトにしたこのカフェにも、ウェルビーイングを実践する資生堂ならではの考え方が生かされています。学生たちは旬の食材がふんだんに使われた彩り鮮やかなランチプレートを味わい、体の内側から“美”をサポートしたいという資生堂の思いに触れました。

さらに、ランチのあとは、パーソナライズスキンケアサービスや貴重な化粧体験が楽しめる「S/PARK Beauty Bar」、入場無料の体験型ミュージアム「S/PARK Museum」などを見学。視覚や嗅覚、触覚といった五感を通して、あらためて資生堂が考えるウェルビーイングについて考察を深めました。

◆参加学生のコメント

「ウェルビーイングには確固たる定義がないからこそ、“美”というウェルビーイングの新たな視点が得られて多くの学びがありました」(人間社会学部人間社会学科4年 竹川 歩)

「S/PARKの3階、4階には、他社の方々とのコラボレーションする際に利用できるホールやラボを備えていると伺い、企業間には競争だけでなく、お互いに技術を持ち寄ってより良い製品を作るという姿勢も必要だと感じました」(人間社会学部人間社会学科4年 福田 悠乃)

「ウェルビーイングという言葉が一般的になる前から、気付けばウェルビーイングを実践していたというお話をお聞きし、大変感銘を受けました。資生堂とのご縁をつないでくださった深澤先生にも感謝申し上げます」(人間社会学部現代社会学科4年 牛尾 恋々)

「S/PARKはとてもきれいな施設で驚きました。ワークプレイスにはジャングルジムや、居住区間を再現したスペースもあると動画でご紹介いただき、一つの製品を作り上げるには研究はもちろんのこと、環境も重要なのだと感じました」(人間社会学部現代社会学科4年 遠藤 美和)

「研究所というと堅いイメージがありますが、S/PARKは低層階が一般の方々にも開放されていて、社会とのつながりを大切にしているところが素晴らしいと思いました。」(人間社会学部現代社会学科4年 齋藤 由佳)

2024年2月9日

スポーツを通じたウェルビーイングとは?JWP研究会がパラ卓球選手をお迎えし、イベントを開催しました。 

2023年度のJWP(実践ウェルビーイング・プロジェクト)活動(担当:文学部国文学科 深澤晶久教授)の第ニ弾として、12月9日(土)に、2024年にパリで開催されるパラリンピック出場を目指している卓球の舟山真弘選手をお迎えして、スポーツを通じたウェルビーイングについて、みんなで考えました。

今回のテーマは、「スポーツを通じたウェルビーイング」。舟山選手より対談形式でお話を伺い、スポーツと健康や、幸せについて考える機会となりました。

ゲスト:舟山 真弘(ふなやま まひろ)氏

現在、大学1年生。埼玉県さいたま市出身。 4歳で小児がんの一種である「右上腕骨 骨肉腫」に罹患。1年2か月間入院し、手術と抗がん剤治療を受けました。手術では、利き手であった右腕の肩関節と上腕骨を切除し、足の細い骨を移植しました。右腕は上がらなくなり、細い骨の骨折に細心の注意が必要となりました。

 今回、舟山選手は早稲田大学1年ということで、同世代の大学生をゲストに招きイベントを行うという珍しい機会でした。
イベント前半では、舟山選手ご自身についてのお話を聞かせて頂きました。現在、早稲田大学で卓球部に所属している舟山選手。実は幼少期から卓球をしていたわけではなく、家族と行った熱海旅行で初めて卓球と出会い、小学5、6年生から本格的に卓球を始めパラリンピック出場を目指しています。小学生から大学生まで卓球を続けていますが、今でも試合前はとても緊張すると言います。試合の前半は足や身体全体を動かし、後半は頭を動かすといった様々な工夫されています。相手に点を取られてしまってもぼーっとすると危険、取り敢えず何かを考えよう、「何かを考えようっていうことを考えよう」と頭をフル回転させ試合に挑んでいる舟山選手。
そんな舟山選手について、卓球についてだけでなく、気になる私生活についてもイベント参加者の方々から沢山質問して頂き丁寧に答えてくださいました。

◆当日の質問より

Q、強いメンタルを保つ方法は?

A、今は、モチベーションを変わらずに維持することが出来ています。次に出場する試合があるとそこに向けて頑張ることが出来るため、維持出来ます。しかしコロナの時期は、試合数が少なくモチベーションを保つことが難しかったです。今年は試合が多くあり、保つことが出来ています。

Q、1番思い出に残っている国は?

A、中国がとても良かった印象です。卓球が国技であるため、演出が豪華で観客が多かったです。敵国でしたが会場の盛り上がりがあると、自分も盛り上がることが出来ます。

Q、時間の管理の仕方で工夫していることは?

A、中学生の頃は、勉学とスポーツを両立していました。定期テストの期間はスパッと卓球をやめ、勉強に専念していました。高校、大学では卓球が中心の生活をしています。大学生になると勉強する分野が絞られるため、卓球の時間を多く取ることが出来ています。

Q、今までで1番辛かったこと、それを乗り越えた方法は?

個人戦のため孤独を感じることが多くあります。勝っている時は心が満たされますが、負けが続くと寂しさに襲われます。しかし、必ず次の目標があるため、負けても取り敢えず考えないようにして次に向けて行動しています。

Q、大学生活で楽しみたいことは?

今までは勉学と卓球中心の生活でしたが、大学生になってからは様々なことに挑戦するようになりました。特に服をよく見るようになりました。最近では、パーマをかけてみたり、スキンケア用品に興味を持ち始めたりと美容に対して意識するようになりました。他には、アニメを見ることや本を読むことが好きです。いつか、お洒落なカフェに行ってみたいです。

これらのようにNGの質問はなしで卓球のことから、自分自身のこと、大学生活のことなど、1問1問丁寧に答えてくださいました。

次に舟山選手には卓球の魅力について教えて頂きました。

卓球は体格に左右されるスポーツではなく(背が高いとか低いとか関係ない)、その人その人という個人に対してフォーカスされることが1番の魅力です。実際に自分自身は、右手が使えず、右足の力が少し弱いですが、自分なりに考え右足を中心にトレーニングしています。卓球選手にはその人その人に生い立ちがあり、〜があったから今〜の考え方を持っているのだろうなどの目線で観客の皆さんには見て欲しいです。

イベントの後半では、舟山選手に意気込みを聞いてみました。

一つ一つの試合を大切にし、目の前の課題をクリアし、最高の成績を収められるように頑張りたいです。そして、パリパラリンピックの出場権を獲得し、金メダルを取りたいです。欲を言えばそれ以上上に行きたいです。と目標を教えて頂きました。

最後に、舟山選手にとってのウェルビーイングについて、そしてご自身にとっての幸せでいる条件をお話しして頂きました。

ウェルビーイングについては、大学生になってから考えるようになりました。プロの卓球選手の道を歩んでいきたいと考えていますが、競技に集中するということはプライベートを犠牲にするということです。

いずれか引退の時は来ますが、卓球だけをやっていて何が残るのかは自分でも分かっていないため、大学生のうちに様々なことを体験しておきたいです。例えば、部活後のメンバーとだらだら話す時間は、コーチから「早く帰るように」と注意されてしまいますが、無駄ではないと思います。逆にそれこそが大切なのではないかと思います。日常が送れていることが幸せなのだと考えています。

学生たちは、1日1日を大切に生きることの重要さ、自分自身の生き方に関して向き合うきっかけになったイベントでした。

参加学生の声

・今回、自分と同い年で、世界で活躍している方の話を聞けるという貴重な経験をすることができ、とても学びのある時間にすることが出来ました。スポーツを通したウェルビーイングということで、精神だけではなく、心や体に実際に選手に深く関わっていることを学ぶことが出来ました。どんな質問に対しても丁寧に答えてくださり、同い年にも関わらず選手と自分の生き方の差に驚きました。このイベントを通して、何事にも一生懸命頑張ろうと思いました。

・私も選手と同じくスポーツ中心の生活を送っているため、日々のモチベーションの保ち方や時間の使い方を直接知ることが出来て、とても勉強になりました。自分に何か弱い部分があっても、決してそれを言い訳にせず、弱い部分を補うようにオリジナルの練習方法を考えるなどスポーツに対しての熱い気持ちを生で体感することが出来ました。選手の日々はとても多忙とお聞きしましたが、その中でもウェルビーイングについて日々を当たり前に送れていることが幸せだと答えていたのがとても印象的でした。多忙の日々の中でも当たり前の大切さを重要視しているところが選手としての強みなのではないかと感じました。

深澤先生からのお話

今年3年目を迎えたJWP(実践ウェルビーイングプロジェクト)の活動の一環として、
「アスリートと考えるウェルビーイング」と題し、舟山選手にお越しいただきました。

全ての企画をプロジェクトメンバーの有志が行い、和気あいあいとした雰囲気の中で行われたイベントは、とても印象に残る内容となりました。常に世界と戦わなくてはならない厳しい世界でご自身を鍛え続けている舟山選手ですが、当日は大学生の日常らしい面も随所に見せていただき、本学学生と交流されている姿に、思わず感動していました。 2024パリパラリンピックの卓球日本代表として活躍される事を心からお祈りし、また、この企画を成功に導いてくれた幹事の皆さんに感謝いたします。

2024年2月2日

新入社員が意識するべきことは?「グローバルキャリアデザイン」の授業でビデオリサーチの採用担当者による特別講義が行われました。 

12月8日に、3年生対象の共通教育科目「グローバルキャリアデザイン」(担当:文学部国文学科 深澤晶久教授)の授業で、株式会社ビデオリサーチ(以下、ビデオリサーチ)の滝口昌輝氏による特別講義が行われました。滝口氏は新入社員のときに意識していたことや、社会人としての心構えなどを自分の経験を交えて話してくださり、これから就活に向かう学生たちにとって良い刺激となった講義でした。

就活に活かしてもらいたい転職経験

深澤教授から紹介があり、ビデオリサーチの人事グループリーダーである滝口昌輝氏が登壇されました。
転職も経験した滝口氏は「これから就活をするにあたり、役立てていただければ」と講義を始められました。

滝口氏は2回の転職をされ、現職で活躍されています。
「元々テレビや雑誌が好きで、学生の頃からずっとマスコミやメディア業界で働きたいという思いがありました」と話しました。
しかし就活当時は思うようにいかず、携帯電話会社の営業からスタート。その間もメディア業界で働きたいという思いは強く出版社に転職し、2018年にビデオリサーチ社に入社しました。
昨年まで営業部門で活躍しており、15年間営業一筋だったと言います。

ビデオリサーチってどんな仕事をする会社?

「皆さんの中でビデオリサーチって会社を聞いたことがある人はいますか?」という質問に半数ほどの学生が手を挙げました。
「一言でいうと、テレビの視聴率を測定している会社です」と滝口氏。視聴率1%でいくらという指標が決まっており、それを元に広告主とテレビ局が広告取引をします。
ビデオリサーチは60年以上前から、国内で唯一広告指標になる視聴率を調査しています。テレビだけでなく、ラジオやデジタルコンテンツ、雑誌などのデータを多く調査しており、広告会社が求めるターゲット層に合わせてデータを提供しています。

広告会社が求めるデータは、例えば「アルコール飲料のCMに出ていない20代女性に人気の高いタレントは?」など細かい注文が。
その後商品をプロモーションする時も、北陸エリアで展開するなら車文化なのでラジオが効果的、など地域やそれぞれの属性に合わせて最適な提案をしています。

なぜ働くのか?

「自分が社会人になった時に何のために働くのか、ちょっと考えてみてください」と滝口氏は学生たちに問いかけました。
学生から「生活のため」「成長したい」などの回答があり、滝口氏は頷いて「人それぞれ違うと思います」と話しました。「自分は何のために働くのか考えておくと軸ができるので、今の内に考えておくと良いかもしれません」と学生たちにアドバイスしました。

普段から意識していることは「明日会社がなくなったら自分に何が残るのかということ」と言います。
肩書きがなくなったらと考えると、その仕事は本当に楽しいか、なぜやっているのか、今後どうなりたいかを考えることにつながり「会社から給料をもらうことが当たり前ではないと思える」と話しました。

新入社員のうちに失敗しよう

「新入社員のときに意識していたことは、沢山あります」と言う通り、スライドには沢山の言葉が並びました。
その中でも、「聞いたことがあるかもしれませんが、若いうちの苦労は買ってでもした方が良いと思っています」と滝口氏。
新入社員は間違えるのは当たり前の時期。「むしろ40、50代になって出来ませんはかっこ悪いと思います」と、若いうちに失敗し、成長をしていくべきと話しました。

他にも「出来るか出来ないかではなく、やるかやらないか。分からなかったら質問をする」や「体調管理とモチベーションの維持は大事」、「依頼された仕事にプラスアルファして、期待された以上の結果を返す」ことなど多くのことを意識していたと伝えました。

就活に向けて伝えたいこと

就活をする上で大切な事として滝口氏は自分と向き合う自己分析を勧めました。
コツは「なぜ?を3回繰り返すこと」と言い、自分は何が好きで何が嫌いか、得意な事などを書き出し、理由を深堀していくことが大事だと話します。「自分は何がしたいのかが分かっていれば、業界や会社も定まってきます」と語りました。

最後に、採用担当が見ているポイントもアドバイス。
「エントリーシートは写真の第一印象は大事。また文字数ギリギリまで書いてあると、熱意が感じられます」など、採用者ならではのチェックポイントを教えていただけました。
「就活に費やす時間は人生の1%。人生の半分の時間は社会人として過ごします。1%の過ごし方で人生の半分が変わる可能性があるので、つらい、きついと思うかもしれないけれど頑張ってみたらいいと思います。応援しています」と講義を締めくくりました。

就活でアピールするには?

授業の終わりには質疑応答の時間が設けられました。
ガクチカに悩んでいるという学生からは「日常的なエピソードでどうインパクトを残せますか?」という質問が。
滝口氏は「インパクトはなくてもいい。その人がどんな人でどうしてその会社を志望したのかを見られています。内容より熱意や志望動機に力を注ぐといいと思います」と回答しました。
「モチベーションの維持はどうしていますか?」との質問には、「休日を自分の好きなことに充てること。人生は仕事だけではないのでうまく息抜きする。好きなことをすることが原動力にもなります」と話されました。


就活に対しての心構えや、どのようにキャリアを積むかを考える貴重な講義となりました。

 ・ビデオリサーチ新卒採用HP:https://www.videor.co.jp/rc/

担当教員からのメッセージ

滝口様と初めてお目にかかったのは、もう15年以上も前、日本学生経済ゼミナール連合会主催の「インナー大会」の本選会場でした。滝口様は運営サイドのスタッフとして、私は審査委員でした。その頃の滝口さんの学生に対する接し方に感動し、それ以来長年にわたってお付き合いさせていただいています。今回は、初めて私の授業のゲストでお招きいたしました。
「できるかできないかではなく、やるかやらないか」という言葉は、私が企業時代の新入社員研修の時以来、今も時々学生にも伝えている言葉です。
就活にむけて、とても貴重なお話しをいただいた滝口昌輝様には、心から感謝申し上げます。

2024年2月2日

原材料から育てるこだわりを知る。「国文学マーケティングプロジェクト」の授業で叶 匠壽庵とのコラボ授業が行われました。~後編~ 

2023年11月に、文学部国文学科「国文学マーケティングプロジェクト」(担当:文学部国文学科 深澤晶久教授)の授業の一環として、連携企業である株式会社 叶匠寿庵(以下、叶匠庵)の本社がある滋賀県大津市の『寿長生の郷』を訪問しました。 当日は、角田人事部長からのオリエンテーションに続き、西垣執行役員からの講話、社員による施設視察、そして陶器づくりなど、約5時間の滞在期間をフルに活用し、企業の理解に繋げる内容を体験しました。その後、舞台は再び渋谷キャンパスに戻り、学生たちは課題として出されていた叶匠庵の「企業案内」を制作しプレゼンに挑みました。
 ~前編はこちら~

『寿長生の郷』訪問

国文学科の学びとビジネスを結び付けるという全く新しい視点でスタートした「国文学マーケティングプロジェクト」の最大の山場に位置付けた視察研修、4回目を迎えた本年は、新型コロナウイルスの状況も落ち着いており、また、昨年に続き最高の天候にも恵まれ、履修学生9名とともに素晴らしい体験をさせていただきました。叶匠壽庵様は、本年も本学への対応について、芝田社長をはじめ多くの社員の方からは最大限のご配慮とおもてなしをいただき、意義ある時間となりました。

商品名、広報誌、そして包装紙など、様々な部分に万葉集とのつながりがあるなど、国文学と現代企業に極めて深い関係性を再認識するなど、この授業で目指した学びへの進化に繋がったものと考えています。 学生たちは、この視察研修で得た知見や学びを生かし、それぞれの感性や美意識を生かした「企業案内」の制作に取組みます。

学生の声

 お菓子に使用する梅、柚子、蓬などを自社で作り、良い素材から良い商品を作っている様子を実際に見ることができました。また、自然や昔からある建物、道具をできる限りそのままの形で残していくための取り組みを肌で感じ、今社会に求められている持続可能性が如何に当たり前にしなければならないことなのかを改めて考えました。

 今回の訪問を通して、企業理念から伝統文化まで幅広く学ぶことができました。とくに農作物を育てたり、動物を飼ったりと、全て自らの手で取り組んでいることを知り、意識の高さを痛感しました。また、社内の人と連携をとりそれぞれが個性や強みを活かして働ける場所であると感じました。このように、今回感じたことを就活にも活かして行きたいと思います。

 視察を通し、現地では里山に残る自然だけでなく、社会の未来についても考え実践する企業の姿に感動しました。また今回数多くお会いした社員の方々の仕事への真摯な姿勢を拝見したことで、自分の考える社会人像がより明確に固まりました。

最終プレゼンテーション

1月11日の授業では、叶匠壽庵の角田人事部長、伝統工芸士の吉田様に、オンラインでご参加いただき、8名の学生が作成した「企業案内」のプレゼンテーションを行いました。バラエティー豊かなそれぞれの作品に対し、両氏から温かいフィードバックをいただきました。

そしてこの授業のフィナーレは、吉田氏のご指導のもと、『寿長生の郷』で制作に取り組んだ陶器の披露でした。2か月にわたり、心を込めて焼き上げていただき完成した陶器をみて学生も感動の声を挙げていました。
世界に一つのオリジナル陶器を手元に、角田部長と吉田様を囲んでの記念撮影を行い、授業は終了しました。

学生の感想

今回この授業を受けて、国文学をマーケティングに活かしている企業があることを知ることができたことがまず私にとっては大きかったです。専門性を活かすのはとても難しいし、ほとんどの国文学生は一般企業に就職しますし、おそらく私もそうだろうと思っていました。しかし、一般企業に入っても大学で学んだ国文学の専門知識が活かせるかもしれないと知ることができて、企業選びの一つの基準にもなりました。また、国文学がマーケティングを学ぶきっかけにもなりました。マーケティングと聞くと身構えてしまい、今後のために必要な知識だとは分かっていながら積極的に学ぼうとはしてきませんでした。しかし今回、資生堂や叶匠壽庵の国文学を活かしたマーケティングの講義を聞き、また『寿長生の郷』を訪れて興味を持ちました。持続可能で長く愛される場所・商品・企業や、従業員の方同士のコミュニケーション、お客様との交流を間近でみることができました。教室での座学やインターネットで調べるだけでは分からないよりリアルな姿を知ることができたのが良かったです。

近年ではインターネット上に様々な情報が溢れ、その影響を無意識のうちに受けていたのか就職活動を進める程、どこか自分の軸ではなく、他人から見てどこがいいのかと考え、経済的・時間的ゆとりのある人間になりたいような、自信がないからこそ人に決めてもらいたい気持ちが増えてきていました。しかし、叶匠壽庵様に伺った際に改めて自分軸で幸せな人生を作る大切さ、角田部長の言われた「自分らしく働ける場所」の大切さを考えさせられました。就職活動を行う中で大企業、専門職など働いている人が凄く特別な人に自分にはなりえないような大人だと感じられますが、その人も普通の人で自分と同じように悩み考えている人間だと認識でき、そのことから「自分を変に着飾らなくていい」と言われているように思いました。

本講義を受けて、「自分らしく働ける場所」「無理のない背伸び」「自分の本当の軸」を大切に着飾らなくていいような業界や業種を見つけていきたいと思いました。また深澤先生自身も何十年もたって教師として大学に勤めているということを聞き、焦らず「今」の納得内定先を見つけていきたいと思います。

担当教員からのメッセージ

この講座も今年で4回目、資生堂の大木企業資料館長、叶匠壽庵の角田人事部長をはじめ、本当に多くの方に支えられていることを改めて深く感じています。これも、資生堂様や叶匠壽庵様が、人を大切にする経営を実践されているからであり、その温かさは年々増していることすら感じています。

そのような中、今年も9名の国文学科3年生が履修してくれました。渋谷キャンパスでの講義、『寿長生の郷』の訪問など、多くの経験を通じて学びを深めてくれたものと感じます。普段学んでいる国文学というものの大切さを、企業活動を通して実感することが出来れば、今の学びの深みや重要性に対する理解がより高まるものと考えています。

本講座に関わって下さった全ての方と、真摯な姿勢で授業に臨んでくれた学生に感謝いたします。

2024年1月19日

やりたいと思ったらすぐチャレンジしてみよう!「実践キャリアプランニング」の授業で英文学科OGによる社会人1年目の経験を伺いました。 

11月17日に共通教育科目「実践キャリアプランニング」(担当:文学部国文学科 深澤晶久教授)の授業で英文学科の卒業生である徳山瑠奈さんが講演を行いました。今年の4月に株式会社エービーシー商会(以下、ABC商会)に入社してからのやりがいや苦労、学生時代の活動など、学生たちの身近な先輩として経験を話されました。授業の最後には質疑応答も行われ、これから就活に向かう学生たちにとって参考になる授業となりました。

ABC商会ってなんの会社?

徳山さんは2023年3月に文学部英文学科を卒業したばかり。
趣味は一人旅で「最近は中国地方に行き瀬戸内海を一周したり、カメラ片手に全国を回るのが好きです」と話しました。
「皆さんに近い存在の社会人かなと思いますので、参考にしていただけたら嬉しいです」と講演が始まりました。

徳山さんは今年4月にABC商会に入社しました。
「ウソみたいな名前ってよく言われるんですが、ABC商会が本当の名前です」と徳山さん。建材を扱う専門商社です。
建材とは、床や壁、天井など建物の内装・外装に使われる建築資材のこと。トイレのカウンターなど備え付けの資材も含まれます。

キャッチフレーズは「ABC商会の商品の上を歩いたことのない人はいない」。
商品幅が広く、誰もが一度は利用したことがあるような主要な駅や商業施設、テーマパーク、有名なカフェなど多くの場所にABC商会の建材が使われています。意外なところでは仮設の通路の壁などにも。
徳山さんは「地震に耐えうる金属素材として、こんなところにも使われたりしています」と紹介しました。

宣伝部で奮闘中!

徳山さんが配属されたのは宣伝部。
広く一般に向けたCMではなく、建築関係の企業向けの宣伝を行っています。建築雑誌や総合カタログの広告、ショールームや展示会の企画を考えています。

また、施工例の写真や動画を作成し、営業が取引先の企業に見せる資料なども製作。
浅草駅での撮影に同行したときは、電車と施工品が同時に写るよう、電車の来る時間を確認したり通行人に配慮したりといった対応を行ったと話しました。
「屋外の撮影の場合は天候も関係するので、全国の天気を確認することも私の仕事の一つです」と語りました。

とにかく何でもチャレンジしよう

徳山さんの大学生活はコロナ禍真っただ中。
あまり外部で活動できない中、インパクトのあるエピソードとなったのが岩手県久慈市の闘牛大会にボランティアで参加したこと。
その他にも、深澤教授の授業の繋がりでラジオニッポンの番組に出演したり、オリンピックで視覚障害の方をサポートしたりなど多くのことに挑戦しました。また、半月ほど一人で沖永良部島に有償ボランティアも経験。

「自分が決めて取り組んだ経験は自分を形作る糧となる」と徳山さんは話します。
「自分でやってみようと思ってチャレンジした経験は、成功失敗に関わらずその行動自体が立派な起承転結のエピソードになるのかなと思います」と、自分は何が好きか、何が得意かといったプラスのことだけでなく、自分の苦手なことなども分かったと語りました。
「大学時代はあっという間なので、やりたいと思ったことはすぐに行動に移していって欲しいなと思います」とアドバイスしました。

就活も納得いくまでやりきって

そんな徳山さんがABC商会に入社したきっかけは風景写真でした。カメラで撮影するうちに、背景や空間に写る素材に興味を持つようになったと言います。
人々や地域に寄り添った空間を提供したい、と考えABC商会に入社。社会人として半年ほどが経ちました。

「似たような仕事はあっても同じものはないので正解がない。年代や経験も違う人たちの意見のすり合わせが難しいです」と苦労も語ります。自分が今求められているのは、新しい視点や意見を伝えていく力だと痛感していると話しました。
ただ、「携わった仕事が目に見えるカタチとなるとやってよかったと思います」とやりがいも語りました。

就活に向かう学生たちに向けてのメッセージは、何を重視するかを明確にすること。自分の納得のいく結果まで諦めず、最後までやりきって欲しいと話しました。
「就活は苦しいイメージがあると思うけど、自分を知れるいいチャンスです」とエールを送りました。

就活についての質問がたくさん

各グループでディスカッションをした後、質疑応答の時間が取られました。アンケート機能を使って、学生達から沢山の質問や感想を送られました。
「就活で資格は役に立ちましたか?」という質問には、徳山さんは「マナープロトコール検定はホスピタリティ業界を目指すには良いと思うし、意外と休憩中の姿勢や身なりも見られています。マナーの第一ステップは身に付けるべき」と回答。

「入社の決め手は?」という質問には、「社内の雰囲気。面接のときに実務に関わっている方の話を直接聞けたことによりイメージが出来た」と話します。「自分が学生の時、雰囲気で決めたという回答には疑問があったんですが、直感や雰囲気もやっぱり大事です」と続けました。

「コロナ禍じゃなかったら何をしていた?」との質問には「留学していたかも」と話し、「自分は大学生活やり切ったと思っていたけれど、今考えるともっとできたこともあったかもと思うし、人生の過ごし方は違う選択肢もあるかもしれないと思って過ごしてください」と語りました。

学生たちにとって、非常に参考になった実りある講演となりました。

担当教員からのメッセージ

徳山さんのことを漢字一文字で表すとしたら「動」だと思います。とにかく、興味があっても、それほどなくても、まずは一歩踏み出して行動すること、このことの大切さを教えてくれた学生さんでした。ちょうどコロナの時に入学された世代、辛いことも沢山あったと思いますが、そのことを乗り越えて、充実した学生生活を過ごされ、社会でも、順調に一歩一歩成長されている姿には、頼もしさすら感じられました。これからも後輩の良きロールモデルとして、さらなる飛躍を期待したいと思います。ありがとうございました。

2024年1月17日

ウェルビーイングについて学ぶ! JWP研究会が女子大生フォーラム「What is Well-Being~自分を輝かせるキャリアの描き方2023~」を開催しました。 

12月25日(月)に実践Well-Beingプロジェクト研究会(以下、JWP研究会)によるウェルビーイングフォーラム「What is Well-Being~自分を輝かせるキャリアの描き方2023~」が開催されました。本フォーラムはJWP研究会の有志の学生が企画・運営を行い、実践女子大学のほか聖心女子大学や明治学院大学の女子学生、実践女子学園高等学校と京都市立日吉ケ丘高等学校のメンバー総勢40名が参加。ゲスト講師にEVOL株式会社代表の前野マドカ氏をお迎えし、ウェルビーイングについての理解を深めました。また、講演やグループワークの内容をアウトプットするために参加者一人一人に自分がどういった際にウェルビーイングな状態になるか考えてもらいました。最後には、ビンゴ大会を行って大盛り上がりで計3時間のフォーラムを終えることができました。

JWP研究会の活動は?

はじめに今回の企画運営を行う7名の学生たちから、本フォーラムの説明がありました。

JWP研究会も今年は3年目。女性がキャリアを築き自信をもって人生を歩んでいくために、より自分自身に目を向けることが大切と考え、様々な角度からウェルビーイングへの学びを深めることを重点に活動してきました。

「本フォーラムでは、大学生と高校生が交流を図りつつ、一人一人の参加者が自分自身にとってのウェルビーイングを深く考える機会にしたいと考えています」と開催の主旨を伝えました。 そして、早速、ゲストの前野マドカ様の講座がスタートしました。

自分を輝かせるキャリアの描き方とは

JWP研究会では発足当初に、ウェルビーイング研究の第一人者である前野隆司氏にお話を伺う機会があり、そのご縁でパートナーである前野マドカ氏に2023年2月に引き続き講演をお願いしました。マドカ氏も隆司氏に感化され幸せの研究を始め、現在では幸せを広めるワークショップやプログラムを開発されています。

前向きな人は創造力や生産性も高く、周りに良い影響を与えるという研究結果があります。「幸せは移ります。皆さん覚えておいてくださいね」と前野氏。では幸せな人とはどんな人でしょう。それは夢や目標を持ち、多様な人とつながりを大切にして前向きに自分らしく生きる人のこと。

「やってみよう」「ありがとう」「なんとかなる」「ありのままに」が幸せの4つの因子です。

人間は、ないもの・苦手なもの・できないことに目が向いてしまう生き物。しかしそれでは幸せになれません。自分にあるもの、得意なもの、できていることに目を向けることが大切と言います。

「自分の良さや強みは意外と自分では分からないので友達や家族に聞いてみましょう」前野氏はアドバイスを送りました。

ハーブティーを味わう

今回の初めての試みは、前野マドカ様にご用意いただいたハーブティーを楽しむことです。オリジナルブレンドのハーブティーを、本当にゆっくりと味わいながらいただく、まさに五感を研ぎ澄ましながらということになります。
日頃、時間に追われながら過ごしている我々にとって、味、香り、音など、静かに味わうことの大切さを感じる瞬間でした。

「Well-Beingダイアログカード」使った幸福度を高めるワークショップ

ここで、前野氏がグループに1セットずつWell-Beingダイアログカードを配りました。幸福度研究に基づいて作られたカードにはそれぞれ問が書かれています。

例えば「自分にありがとうと言いたいことは?」「本気で取り組んでいることは?」「人生をかけて成し遂げたいことは?」など。

答えを考えることで自分自身の大切なことや軸について知ることができるカードです。グループごとで話し、他の意見を聞くことで幸福度を高めていきます。

対話は盛り上がり、自然と拍手が出るグループも。それぞれグループで対話したあと、感想を発表しました。

Well-Being宣言!

フォーラムの最後には参加者全員が「Well-Being宣言」を行いました。

自分自身にとってのウェルビーイングを考え、言語化できるようにします。

開催日がちょうどクリスマスでもあったため、幹事グループのメンバーが用意したのは、クリスマスツリーを彩るオーナメント型の用紙、それぞれの思うウェルビーイングを宣言。グループ内で発表し合います。全員分の「Well-Being宣言」は幹事作成のオリジナルクリスマスツリーに貼り付け、可愛らしく飾られました。

最後に参加者から、

チームのメンバーがみんな明るくてグループワークの会話が弾んで楽しかったです。4つのマークのカードを使って自分の意見を共有するワークでは、みんな自分と違う考えを持っていたのが印象的で面白いと思いました。また、最初の1口を味わうマインドフルテイスティングは、食べることが大好きな私にピッタリだと思い、これからも取り組んでみたいと思いました。(大学生)

長続きする幸せと、すぐに消えてしまう幸せがあるというお話がとても印象に残りました。また、周りの目を気にしすぎてしまうところがあるので気にしないように自分を優先して行動するようにしていたのですが、自分の性格が悪くなったような気がしていました。「ありのまま」でいるだけでなく、繋がりに感謝する心も持たなければいけないと気づくことができたのは、大きな発見だったと思います。それから、やってみよう!と頑張る時間と、今の幸せに浸る時間のバランスが大事だというお話も興味深かったです。私はどちらかに傾いてしまうことが多かったので、バランスを意識してみようと思いました。普段関わる機会のない高校生の方と話すこともできて、とても刺激的で楽しい時間でした。(大学生)

1日の中で自分と向き合う時間を取ることはとても大切な事だと思った。どれだけ忙しくても落ち着く時間を10分くらいは取る事で心に余裕が生まれやるべき事の生産性も上がると思う。(高校生)

今回のワークショップで、日々の生活をよりプラスで豊かにする方法を学ぶことができて良かったです。個人的にはなんとかなるの精神を持つことが苦手なので、今回の質問を自分にも投げかけ、少しずついい意味で柔らかい思考を持てるようになりたいなと思いました。(大学生)

普段の日常生活と幸せとの繋がりや普段からできる自分との向き合い方を楽しく自分から学ぶことができました。班の皆さんとの交流がとても楽しくていい人たちばかりだったのでいい経験ができました。(高校生)

交流会

最後には、ビンゴ大会でのクリスマスプレゼント、お菓子を食べながらのビンゴ大会は盛り上がりました。

前野氏は「自分をいい状態にすることを、しっかり考えてくれてとても嬉しいです。全員に応援メッセージを送りたい」と語り、ウェルビーイングフォーラムは終了しました。

企画・運営した学生たちの話

私は去年、参加者側として参加して、今年は企画・運営から携わってみたいと考えて運営メンバーに応募しました。事前の打ち合わせから当日まで時間がない中で、メンバー全員と話し合いながらコツコツ準備を進めていきました。今年は高校生がいる中で、どうやったら参加者全員が楽しめて学びになるフォーラムになるか何度も考えて創りあげていきました。当日は緊張しながらも、司会進行を務めてフォーラムをスムーズに進められるよう努めました。自分達が企画したフォーラムが形になっていく様子を肌で感じ、自分自身も楽しく、感動したのを覚えています。
フォーラムの最後には、参加者の方から「とても楽しかった」と言ってもらい嬉しかったです。貴重な経験をさせていただき、ありがとうございました!(人間社会学部人間社会学科)

ウェルビーイングフォーラム初参加という中で、運営メンバーのリーダーという、重要な役割を務めさせていただきました。講師の前野様とも直接連絡をとらせていただき、サポートいただきながら企画してまいりました。私は去年のウェルビーイングフォーラムに参加していなかったので、不安もありましたが、去年参加したメンバーから意見をもらいつつ、メンバー全員で工夫しながら企画や運営を進め、最終的に参加者の方から「楽しかった」と言ってもらうことができ、大変うれしく思いました。また、ウェルビーイングの考え方が注目されている中、大学生のうちから理解を深めるだけでなく、このようなフォーラムの企画や運営に携わることができ、貴重な経験をさせていただきました。(生活科学部現代生活学科)

深澤晶久教授の話

2021年度に立ち上げた「JWP(実践ウェルビーイングプロジェクト)研究会」も3年目を迎えました。

2020年責任世代である私自身が、2050年責任世代である学生たちに、少しでも良い形でバトンを渡したい、そんな想いから辿り着いたのが「Well-Being」でした。なかでもメンバー自らが企画立案に携わり、一つの形に仕上げる。いわばプロジェクト・マネジメントの経験が今回の「ウェルビーイングフォーラム」でした。企画から運営まで、まさにプロジェクト・マネジメントをやり遂げてくれた学生たちの姿に、大きな成長を感じるとともに、頼もしさまで身に着けてくれました。

この企画にお力添えいただいた前野マドカ様に、この場を借りて心から感謝申し上げます。そして、参加してくれた学生・生徒の皆さんにとって、さらにウェルビーイングな時間が沢山訪れることを祈ります。

2023年12月4日

なんとなく就職しないために!「グローバルキャリアデザイン」の授業で資生堂人事担当者による自分自身を考える講演が行われました。

10月27日に、3年生対象の共通教育科目「グローバルキャリアデザイン」(担当:文学部国文学科 深澤晶久教授)の授業で、株式会社資生堂(以下、資生堂)の真名垣喬氏による講演が行われました。アグレッシブにキャリアを積み重ねている真名垣氏のお話は、学生たちにとって「自分」について考えるまたとない機会となりました。

自分自身について考える

はじめに「今日は私の話を聞く時間ではありません」と、真名垣氏。
「皆さんが自分自身について考えられる、メリットのある時間にしたいと思います。話を聞いて終わりでなく、自分でどう活かすか行動するかが大事です。」と語り、講演を始められました。

まず真名垣氏は「皆さんは卒業後何をしますか?」と問いかけました。
就職の他にも留学など様々な道があります。「その道は、自分自身で選んでいますか」と、さらに重ねて問います。
「なぜ就職するのですか?」。周りが就職するからと自分もなんとなく就活しようとしていないか、確認しました。どうして就職したいのか、自分にとってどんな意味があるのかを考え、自分自身の言葉で語れるようにしようと促します。
しかし「とはいえ私自身、皆が就職したから就職したうちの一人です」と言い、今すぐに言語化できなくても大丈夫だと語りました。

仕事に答えはない

真名垣氏は新卒で資生堂に入社。最初は名古屋で営業の仕事を経験しました。
その後人事部に移ります。人事部では若い社員を育成し仕事を教える機会があり「彼らが成長し変化していくのが嬉しかった」と人事の面白さに目覚めます。
そこから今まで資生堂一筋…というわけではなく実は37歳のとき、人事としての専門性を深めることを目的に、高級ブランドを扱う外資系企業に転職をされています。
今までと違う環境で数年を過ごし、新しい価値観に触れ、経験の幅を広げた後「今の自分だったら以前とは違う形で楽しめるかもしれない」と考え、資生堂に再就職したと話しました。

「社会人になると何が変わるでしょう?」という真名垣氏の問いかけに、学生たちからは「環境が変わる」「自分以外のことも考えなくてはいけない」「責任」「お金がもらえる」などという回答が。
真名垣氏は頷き、社会人になると組織の一員になることや、給料をもらう以上成果を出さなくてはならないことなどを説明。また、学生の頃は答えのあるものが多くあり、卒業というゴールがありますが、仕事には答えがなく常に成長し続けなくてはなりません。
そのため「自分がどう考えてどう行動するかが大事になります」と話しました。

企業が出している情報の見方は?

「皆さんはどんな仕事がしたいですか」と再度問いかけ、企業を選ぶヒントを伝えていきました。
まずは企業が行っているビジネスや業界に興味があるか。そして企業が出しているステートメントに共感できるか。
「掲げている宣言は企業が目指している方向や大事にしている価値観なので、そこに共感できなければ働いていて違和感を覚えてしまうと思います」と、企業理念を確認することの大事さを伝えました。

次は「数字」です。
企業はさまざまな数字を公表していますが「その数字を良いと思うか悪いと思うかは、見る人の価値観によります」と真名垣氏。
例えば資生堂は1872年創業ですが、長く続いている企業で安心と思うか、古い体制かもと不安になるかはその人次第。数字を自分なりの価値観で解釈することが大事だと話しました。

人生の時間をどう使う?

では就職先は何を基準に選択するのが良いでしょうか。
「場所」「やりがい」「休みの取りやすさ」などが学生たちから挙がりました。「繰り返しになりますが、こうでなくてはならないという正解はないので、皆さんがどう考えるかです」と真名垣氏。
すぐに答えを出さなくてもいいと強調します。「ただ、ぜひ考える努力をしていただき、アップデートをしていって欲しいなと思います」と語りました。

その際おすすめの方法として、いきなり何をやりたいかを考えるよりも「なぜやりたいか、何を大切にしているのか(Why)」を考えることを紹介。
「就活の面接では、何が出来るかより、どんな価値観でどんな考えを持っている人かを見ています」と話し、「社会人になると多くの時間を仕事に費やします。自分の人生の時間をどのように過ごしていきたいか、それを実現するための手段としてどのようなことをしたいのかを考えていこう」と促しました。

いろんなことを吸収して軸を作っていこう

学生たちはグループで感想を話し合い、最後に質疑応答の時間が持たれました。
「自分の軸を見つけた背景やきっかけは何ですか」という質問に、真名垣氏は「就活のときには全然なかったです」と答え、「沢山勉強をして、いろんな人に会い人生経験を聞いて価値観を作っていきました。
最初は完全オリジナルじゃなくてもいい」と吸収していくうちに自分の軸が出来ていくとアドバイスしました。

学生たちは企業選びの考え方や、自分のやりたいことに関して向き合うきっかけになった講演でした。

担当教員からのメッセージ

真名垣さんと一緒に資生堂の新入社員研修を担当していた頃から15年が経過したことになります。しかし、真名垣さんのアグレッシブなスタイルは、全く色褪せることはありません。むしろ、彼らしさに磨きがかかっていると感じるほどでした。仕事にもプライベートにも全力投球、こうした先輩たちが企業で活躍することで、きっと会社は変わっていくのだということを学びました。この場を借りて心から感謝申し上げたいと思います。