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2024年2月2日

原材料から育てるこだわりを知る。「国文学マーケティングプロジェクト」の授業で叶 匠壽庵とのコラボ授業が行われました。~後編~ 

2023年11月に、文学部国文学科「国文学マーケティングプロジェクト」(担当:文学部国文学科 深澤晶久教授)の授業の一環として、連携企業である株式会社 叶匠寿庵(以下、叶匠庵)の本社がある滋賀県大津市の『寿長生の郷』を訪問しました。 当日は、角田人事部長からのオリエンテーションに続き、西垣執行役員からの講話、社員による施設視察、そして陶器づくりなど、約5時間の滞在期間をフルに活用し、企業の理解に繋げる内容を体験しました。その後、舞台は再び渋谷キャンパスに戻り、学生たちは課題として出されていた叶匠庵の「企業案内」を制作しプレゼンに挑みました。
 ~前編はこちら~

『寿長生の郷』訪問

国文学科の学びとビジネスを結び付けるという全く新しい視点でスタートした「国文学マーケティングプロジェクト」の最大の山場に位置付けた視察研修、4回目を迎えた本年は、新型コロナウイルスの状況も落ち着いており、また、昨年に続き最高の天候にも恵まれ、履修学生9名とともに素晴らしい体験をさせていただきました。叶匠壽庵様は、本年も本学への対応について、芝田社長をはじめ多くの社員の方からは最大限のご配慮とおもてなしをいただき、意義ある時間となりました。

商品名、広報誌、そして包装紙など、様々な部分に万葉集とのつながりがあるなど、国文学と現代企業に極めて深い関係性を再認識するなど、この授業で目指した学びへの進化に繋がったものと考えています。 学生たちは、この視察研修で得た知見や学びを生かし、それぞれの感性や美意識を生かした「企業案内」の制作に取組みます。

学生の声

 お菓子に使用する梅、柚子、蓬などを自社で作り、良い素材から良い商品を作っている様子を実際に見ることができました。また、自然や昔からある建物、道具をできる限りそのままの形で残していくための取り組みを肌で感じ、今社会に求められている持続可能性が如何に当たり前にしなければならないことなのかを改めて考えました。

 今回の訪問を通して、企業理念から伝統文化まで幅広く学ぶことができました。とくに農作物を育てたり、動物を飼ったりと、全て自らの手で取り組んでいることを知り、意識の高さを痛感しました。また、社内の人と連携をとりそれぞれが個性や強みを活かして働ける場所であると感じました。このように、今回感じたことを就活にも活かして行きたいと思います。

 視察を通し、現地では里山に残る自然だけでなく、社会の未来についても考え実践する企業の姿に感動しました。また今回数多くお会いした社員の方々の仕事への真摯な姿勢を拝見したことで、自分の考える社会人像がより明確に固まりました。

最終プレゼンテーション

1月11日の授業では、叶匠壽庵の角田人事部長、伝統工芸士の吉田様に、オンラインでご参加いただき、8名の学生が作成した「企業案内」のプレゼンテーションを行いました。バラエティー豊かなそれぞれの作品に対し、両氏から温かいフィードバックをいただきました。

そしてこの授業のフィナーレは、吉田氏のご指導のもと、『寿長生の郷』で制作に取り組んだ陶器の披露でした。2か月にわたり、心を込めて焼き上げていただき完成した陶器をみて学生も感動の声を挙げていました。
世界に一つのオリジナル陶器を手元に、角田部長と吉田様を囲んでの記念撮影を行い、授業は終了しました。

学生の感想

今回この授業を受けて、国文学をマーケティングに活かしている企業があることを知ることができたことがまず私にとっては大きかったです。専門性を活かすのはとても難しいし、ほとんどの国文学生は一般企業に就職しますし、おそらく私もそうだろうと思っていました。しかし、一般企業に入っても大学で学んだ国文学の専門知識が活かせるかもしれないと知ることができて、企業選びの一つの基準にもなりました。また、国文学がマーケティングを学ぶきっかけにもなりました。マーケティングと聞くと身構えてしまい、今後のために必要な知識だとは分かっていながら積極的に学ぼうとはしてきませんでした。しかし今回、資生堂や叶匠壽庵の国文学を活かしたマーケティングの講義を聞き、また『寿長生の郷』を訪れて興味を持ちました。持続可能で長く愛される場所・商品・企業や、従業員の方同士のコミュニケーション、お客様との交流を間近でみることができました。教室での座学やインターネットで調べるだけでは分からないよりリアルな姿を知ることができたのが良かったです。

近年ではインターネット上に様々な情報が溢れ、その影響を無意識のうちに受けていたのか就職活動を進める程、どこか自分の軸ではなく、他人から見てどこがいいのかと考え、経済的・時間的ゆとりのある人間になりたいような、自信がないからこそ人に決めてもらいたい気持ちが増えてきていました。しかし、叶匠壽庵様に伺った際に改めて自分軸で幸せな人生を作る大切さ、角田部長の言われた「自分らしく働ける場所」の大切さを考えさせられました。就職活動を行う中で大企業、専門職など働いている人が凄く特別な人に自分にはなりえないような大人だと感じられますが、その人も普通の人で自分と同じように悩み考えている人間だと認識でき、そのことから「自分を変に着飾らなくていい」と言われているように思いました。

本講義を受けて、「自分らしく働ける場所」「無理のない背伸び」「自分の本当の軸」を大切に着飾らなくていいような業界や業種を見つけていきたいと思いました。また深澤先生自身も何十年もたって教師として大学に勤めているということを聞き、焦らず「今」の納得内定先を見つけていきたいと思います。

担当教員からのメッセージ

この講座も今年で4回目、資生堂の大木企業資料館長、叶匠壽庵の角田人事部長をはじめ、本当に多くの方に支えられていることを改めて深く感じています。これも、資生堂様や叶匠壽庵様が、人を大切にする経営を実践されているからであり、その温かさは年々増していることすら感じています。

そのような中、今年も9名の国文学科3年生が履修してくれました。渋谷キャンパスでの講義、『寿長生の郷』の訪問など、多くの経験を通じて学びを深めてくれたものと感じます。普段学んでいる国文学というものの大切さを、企業活動を通して実感することが出来れば、今の学びの深みや重要性に対する理解がより高まるものと考えています。

本講座に関わって下さった全ての方と、真摯な姿勢で授業に臨んでくれた学生に感謝いたします。

2024年2月2日

原材料から育てるこだわりを知る。「国文学マーケティングプロジェクト」の授業で叶 匠壽庵とのコラボ授業が行われました。~前編~

11月2日に、文学部国文学科「国文学マーケティングプロジェクト」(担当:文学部国文学科 深澤晶久教授)の授業で、和菓子屋の株式会社 叶 匠寿庵(以下、叶 匠壽庵)との特別コラボが行われました。学生たちは翌週に滋賀県大津市にある本社『寿長生の郷(すないのさと)』を来訪し、陶器づくりなど様々なことを体験します。角田徹氏の軽快な語り口に、学生たちは期待に胸を膨らませていました。

手作りにこだわる

角田氏はまず学生たちに「和菓子食べますか?」と問いかけました。
ほとんどの学生が食べると手を挙げます。
「水ようかん」「どら焼き」「大福」などの答えの中、「練り切り」と答えた学生も。茶道をたしなんでいる彼女に角田氏も感心された様子でした。
「では、和菓子屋はどのくらいあるでしょうか」と再度問いかけに今度は「100…1000…」と、学生たちは自信なさ気です。「定かではないですが、13000社くらい」と角田氏が言うと、驚きの声が聞かれました。
ただ上場している大きな企業は少なく、町中の小さな和菓子店や和菓子を卸売りしている企業も含めての数だといいます。「その多くの和菓子屋と叶匠壽庵との違いを紹介します」と講義は始まりました。

叶匠壽庵で一番人気の和菓子は「銘菓あも」。
「あも」とは昔の宮中の女性の言葉で「おもち」を意味する語で、おもちの周りに小豆をまとった上品かつ、いたってシンプルなお菓子です。
一番の決め手の小豆は、職人さんが毎日釜で炊いています。
機械化せず手作業にこだわり、「創業からずっとこれだけは変えずに毎日作り続けています」と角田氏は話しました。

原材料にこだわる

続いて「皆さんに来週来ていただくところです」と『寿長生の郷』についての話に。
『寿長生の郷』は滋賀県大津市にある自然豊かな丘陵地です。山を登っていくと、和菓子の販売はもちろん、茶屋や食事処、パン屋や陶器作り体験ができるなど見どころもたくさん。

春は梅の花が咲き誇り、一番にぎわう時期と言います。
この梅は6月に梅の実を収穫し漬けます。
1年後に出来た梅酒の実を原材料にしたお菓子「標野」。
収穫から2年がかりで作られるお菓子は鮮やかな赤色。
角田氏は「原材料から育てているお菓子屋は多分他にないでしょう」と話され、学生たちにも配られました。

場所にこだわる

叶匠壽庵は町なかの和菓子屋として始まりました。
しかし和菓子作りに大切な季節感が感じられないことや、地元のきれいな美味しい水を使いたいことから、自分たちの手で原材料から育ててお菓子を作ろうと『寿長生の郷』に移りました。

里山を守る取り組みも徹底しています。
工場排水も浄化槽でろ過してから流し、小豆の皮などは堆肥にしています。地域の方々と一緒に水路の掃除や山の間伐も。
伐材は炭にして茶屋で利用するなど、寿長生の郷の土地の中で循環するシステムを作っています。「動植物の多様性は50年後、100年後をイメージして育まれます」と角田氏。
自分がもう生きていない未来のことを考えて間伐や植林をするのです。

その取り組みが「生物多様性の保全が図られている区域」として環境省に認められ、『寿長生の郷』は国の定める「自然共生サイト」に認定されました。
自然共生サイトとは、COP15で採択された環境への取り組みのひとつで、2030年までに陸・海の30%ずつは自然環境を目指すという考えを実行している場所です。
角田氏は「自分たちは当たり前のことをしてきただけですが、取り組みや認定されたことをお客様にも宣伝し関心を持ってもらうことが必要」と話しました。

従業員も納得できる仕事

角田氏は「私たちは沢山売りたいとかあまり思っていません」とあっさり。
流通するには量が必要でコストもかかります。原材料にこだわり売り方を工夫してコストを下げ、納得できる仕事を目指しています。
「標野」は1つ200円で販売。「200円なんだけれども、販売までに携わった人たちの思いがつまったお菓子です」と話しました。

そして、これから就活に向かう学生たちに「どんな会社でもサービスを提供していますが、自分たちが幸せでなければお客様に対してもてなしはできません」と語りました。
従業員も幸せな働きができる会社との出会いの大切さを伝えました。

いよいよ寿長生の郷へ

最後に本授業の1期生にあたるOG田中さんが紹介されました。田中さんは来年から叶匠壽庵へ入社が決まっています。
4年前。本授業で『寿長生の郷』を訪れた田中さんは「最初は旅行気分でした」と話します。
「『寿長生の郷』では従業員の皆さんが生き生きとしていたことが印象的でした。自分たちで育てて加工することに愛着も誇りもあり、お互いをリスペクトしていました」と感想を話しました。
「私は新卒では別の企業に就職しましたが、就活の時にも『寿長生の郷』で聞いた話が自分の軸になりましたし、とても共感したので今回入社を決めました」と語り、学生たちも『寿長生の郷』で良い気付きがあることを期待しました。

学生たちは実際に『寿長生の郷』を訪れ、陶器作り体験をしたり和菓子作りのお話を聞いたりする予定です。
その後の授業では、人事部の立場になり叶匠壽庵の新卒向けの企業案内を作る課題に挑戦します。

深澤教授は「せっかく行くのですからそこでしか得られない情報を盛り込み、皆さんならではのものを作成してください」と伝えました。

~後編へ続く~

2024年1月19日

やりたいと思ったらすぐチャレンジしてみよう!「実践キャリアプランニング」の授業で英文学科OGによる社会人1年目の経験を伺いました。 

11月17日に共通教育科目「実践キャリアプランニング」(担当:文学部国文学科 深澤晶久教授)の授業で英文学科の卒業生である徳山瑠奈さんが講演を行いました。今年の4月に株式会社エービーシー商会(以下、ABC商会)に入社してからのやりがいや苦労、学生時代の活動など、学生たちの身近な先輩として経験を話されました。授業の最後には質疑応答も行われ、これから就活に向かう学生たちにとって参考になる授業となりました。

ABC商会ってなんの会社?

徳山さんは2023年3月に文学部英文学科を卒業したばかり。
趣味は一人旅で「最近は中国地方に行き瀬戸内海を一周したり、カメラ片手に全国を回るのが好きです」と話しました。
「皆さんに近い存在の社会人かなと思いますので、参考にしていただけたら嬉しいです」と講演が始まりました。

徳山さんは今年4月にABC商会に入社しました。
「ウソみたいな名前ってよく言われるんですが、ABC商会が本当の名前です」と徳山さん。建材を扱う専門商社です。
建材とは、床や壁、天井など建物の内装・外装に使われる建築資材のこと。トイレのカウンターなど備え付けの資材も含まれます。

キャッチフレーズは「ABC商会の商品の上を歩いたことのない人はいない」。
商品幅が広く、誰もが一度は利用したことがあるような主要な駅や商業施設、テーマパーク、有名なカフェなど多くの場所にABC商会の建材が使われています。意外なところでは仮設の通路の壁などにも。
徳山さんは「地震に耐えうる金属素材として、こんなところにも使われたりしています」と紹介しました。

宣伝部で奮闘中!

徳山さんが配属されたのは宣伝部。
広く一般に向けたCMではなく、建築関係の企業向けの宣伝を行っています。建築雑誌や総合カタログの広告、ショールームや展示会の企画を考えています。

また、施工例の写真や動画を作成し、営業が取引先の企業に見せる資料なども製作。
浅草駅での撮影に同行したときは、電車と施工品が同時に写るよう、電車の来る時間を確認したり通行人に配慮したりといった対応を行ったと話しました。
「屋外の撮影の場合は天候も関係するので、全国の天気を確認することも私の仕事の一つです」と語りました。

とにかく何でもチャレンジしよう

徳山さんの大学生活はコロナ禍真っただ中。
あまり外部で活動できない中、インパクトのあるエピソードとなったのが岩手県久慈市の闘牛大会にボランティアで参加したこと。
その他にも、深澤教授の授業の繋がりでラジオニッポンの番組に出演したり、オリンピックで視覚障害の方をサポートしたりなど多くのことに挑戦しました。また、半月ほど一人で沖永良部島に有償ボランティアも経験。

「自分が決めて取り組んだ経験は自分を形作る糧となる」と徳山さんは話します。
「自分でやってみようと思ってチャレンジした経験は、成功失敗に関わらずその行動自体が立派な起承転結のエピソードになるのかなと思います」と、自分は何が好きか、何が得意かといったプラスのことだけでなく、自分の苦手なことなども分かったと語りました。
「大学時代はあっという間なので、やりたいと思ったことはすぐに行動に移していって欲しいなと思います」とアドバイスしました。

就活も納得いくまでやりきって

そんな徳山さんがABC商会に入社したきっかけは風景写真でした。カメラで撮影するうちに、背景や空間に写る素材に興味を持つようになったと言います。
人々や地域に寄り添った空間を提供したい、と考えABC商会に入社。社会人として半年ほどが経ちました。

「似たような仕事はあっても同じものはないので正解がない。年代や経験も違う人たちの意見のすり合わせが難しいです」と苦労も語ります。自分が今求められているのは、新しい視点や意見を伝えていく力だと痛感していると話しました。
ただ、「携わった仕事が目に見えるカタチとなるとやってよかったと思います」とやりがいも語りました。

就活に向かう学生たちに向けてのメッセージは、何を重視するかを明確にすること。自分の納得のいく結果まで諦めず、最後までやりきって欲しいと話しました。
「就活は苦しいイメージがあると思うけど、自分を知れるいいチャンスです」とエールを送りました。

就活についての質問がたくさん

各グループでディスカッションをした後、質疑応答の時間が取られました。アンケート機能を使って、学生達から沢山の質問や感想を送られました。
「就活で資格は役に立ちましたか?」という質問には、徳山さんは「マナープロトコール検定はホスピタリティ業界を目指すには良いと思うし、意外と休憩中の姿勢や身なりも見られています。マナーの第一ステップは身に付けるべき」と回答。

「入社の決め手は?」という質問には、「社内の雰囲気。面接のときに実務に関わっている方の話を直接聞けたことによりイメージが出来た」と話します。「自分が学生の時、雰囲気で決めたという回答には疑問があったんですが、直感や雰囲気もやっぱり大事です」と続けました。

「コロナ禍じゃなかったら何をしていた?」との質問には「留学していたかも」と話し、「自分は大学生活やり切ったと思っていたけれど、今考えるともっとできたこともあったかもと思うし、人生の過ごし方は違う選択肢もあるかもしれないと思って過ごしてください」と語りました。

学生たちにとって、非常に参考になった実りある講演となりました。

担当教員からのメッセージ

徳山さんのことを漢字一文字で表すとしたら「動」だと思います。とにかく、興味があっても、それほどなくても、まずは一歩踏み出して行動すること、このことの大切さを教えてくれた学生さんでした。ちょうどコロナの時に入学された世代、辛いことも沢山あったと思いますが、そのことを乗り越えて、充実した学生生活を過ごされ、社会でも、順調に一歩一歩成長されている姿には、頼もしさすら感じられました。これからも後輩の良きロールモデルとして、さらなる飛躍を期待したいと思います。ありがとうございました。

2024年1月17日

ウェルビーイングについて学ぶ! JWP研究会が女子大生フォーラム「What is Well-Being~自分を輝かせるキャリアの描き方2023~」を開催しました。 

12月25日(月)に実践Well-Beingプロジェクト研究会(以下、JWP研究会)によるウェルビーイングフォーラム「What is Well-Being~自分を輝かせるキャリアの描き方2023~」が開催されました。本フォーラムはJWP研究会の有志の学生が企画・運営を行い、実践女子大学のほか聖心女子大学や明治学院大学の女子学生、実践女子学園高等学校と京都市立日吉ケ丘高等学校のメンバー総勢40名が参加。ゲスト講師にEVOL株式会社代表の前野マドカ氏をお迎えし、ウェルビーイングについての理解を深めました。また、講演やグループワークの内容をアウトプットするために参加者一人一人に自分がどういった際にウェルビーイングな状態になるか考えてもらいました。最後には、ビンゴ大会を行って大盛り上がりで計3時間のフォーラムを終えることができました。

JWP研究会の活動は?

はじめに今回の企画運営を行う7名の学生たちから、本フォーラムの説明がありました。

JWP研究会も今年は3年目。女性がキャリアを築き自信をもって人生を歩んでいくために、より自分自身に目を向けることが大切と考え、様々な角度からウェルビーイングへの学びを深めることを重点に活動してきました。

「本フォーラムでは、大学生と高校生が交流を図りつつ、一人一人の参加者が自分自身にとってのウェルビーイングを深く考える機会にしたいと考えています」と開催の主旨を伝えました。 そして、早速、ゲストの前野マドカ様の講座がスタートしました。

自分を輝かせるキャリアの描き方とは

JWP研究会では発足当初に、ウェルビーイング研究の第一人者である前野隆司氏にお話を伺う機会があり、そのご縁でパートナーである前野マドカ氏に2023年2月に引き続き講演をお願いしました。マドカ氏も隆司氏に感化され幸せの研究を始め、現在では幸せを広めるワークショップやプログラムを開発されています。

前向きな人は創造力や生産性も高く、周りに良い影響を与えるという研究結果があります。「幸せは移ります。皆さん覚えておいてくださいね」と前野氏。では幸せな人とはどんな人でしょう。それは夢や目標を持ち、多様な人とつながりを大切にして前向きに自分らしく生きる人のこと。

「やってみよう」「ありがとう」「なんとかなる」「ありのままに」が幸せの4つの因子です。

人間は、ないもの・苦手なもの・できないことに目が向いてしまう生き物。しかしそれでは幸せになれません。自分にあるもの、得意なもの、できていることに目を向けることが大切と言います。

「自分の良さや強みは意外と自分では分からないので友達や家族に聞いてみましょう」前野氏はアドバイスを送りました。

ハーブティーを味わう

今回の初めての試みは、前野マドカ様にご用意いただいたハーブティーを楽しむことです。オリジナルブレンドのハーブティーを、本当にゆっくりと味わいながらいただく、まさに五感を研ぎ澄ましながらということになります。
日頃、時間に追われながら過ごしている我々にとって、味、香り、音など、静かに味わうことの大切さを感じる瞬間でした。

「Well-Beingダイアログカード」使った幸福度を高めるワークショップ

ここで、前野氏がグループに1セットずつWell-Beingダイアログカードを配りました。幸福度研究に基づいて作られたカードにはそれぞれ問が書かれています。

例えば「自分にありがとうと言いたいことは?」「本気で取り組んでいることは?」「人生をかけて成し遂げたいことは?」など。

答えを考えることで自分自身の大切なことや軸について知ることができるカードです。グループごとで話し、他の意見を聞くことで幸福度を高めていきます。

対話は盛り上がり、自然と拍手が出るグループも。それぞれグループで対話したあと、感想を発表しました。

Well-Being宣言!

フォーラムの最後には参加者全員が「Well-Being宣言」を行いました。

自分自身にとってのウェルビーイングを考え、言語化できるようにします。

開催日がちょうどクリスマスでもあったため、幹事グループのメンバーが用意したのは、クリスマスツリーを彩るオーナメント型の用紙、それぞれの思うウェルビーイングを宣言。グループ内で発表し合います。全員分の「Well-Being宣言」は幹事作成のオリジナルクリスマスツリーに貼り付け、可愛らしく飾られました。

最後に参加者から、

チームのメンバーがみんな明るくてグループワークの会話が弾んで楽しかったです。4つのマークのカードを使って自分の意見を共有するワークでは、みんな自分と違う考えを持っていたのが印象的で面白いと思いました。また、最初の1口を味わうマインドフルテイスティングは、食べることが大好きな私にピッタリだと思い、これからも取り組んでみたいと思いました。(大学生)

長続きする幸せと、すぐに消えてしまう幸せがあるというお話がとても印象に残りました。また、周りの目を気にしすぎてしまうところがあるので気にしないように自分を優先して行動するようにしていたのですが、自分の性格が悪くなったような気がしていました。「ありのまま」でいるだけでなく、繋がりに感謝する心も持たなければいけないと気づくことができたのは、大きな発見だったと思います。それから、やってみよう!と頑張る時間と、今の幸せに浸る時間のバランスが大事だというお話も興味深かったです。私はどちらかに傾いてしまうことが多かったので、バランスを意識してみようと思いました。普段関わる機会のない高校生の方と話すこともできて、とても刺激的で楽しい時間でした。(大学生)

1日の中で自分と向き合う時間を取ることはとても大切な事だと思った。どれだけ忙しくても落ち着く時間を10分くらいは取る事で心に余裕が生まれやるべき事の生産性も上がると思う。(高校生)

今回のワークショップで、日々の生活をよりプラスで豊かにする方法を学ぶことができて良かったです。個人的にはなんとかなるの精神を持つことが苦手なので、今回の質問を自分にも投げかけ、少しずついい意味で柔らかい思考を持てるようになりたいなと思いました。(大学生)

普段の日常生活と幸せとの繋がりや普段からできる自分との向き合い方を楽しく自分から学ぶことができました。班の皆さんとの交流がとても楽しくていい人たちばかりだったのでいい経験ができました。(高校生)

交流会

最後には、ビンゴ大会でのクリスマスプレゼント、お菓子を食べながらのビンゴ大会は盛り上がりました。

前野氏は「自分をいい状態にすることを、しっかり考えてくれてとても嬉しいです。全員に応援メッセージを送りたい」と語り、ウェルビーイングフォーラムは終了しました。

企画・運営した学生たちの話

私は去年、参加者側として参加して、今年は企画・運営から携わってみたいと考えて運営メンバーに応募しました。事前の打ち合わせから当日まで時間がない中で、メンバー全員と話し合いながらコツコツ準備を進めていきました。今年は高校生がいる中で、どうやったら参加者全員が楽しめて学びになるフォーラムになるか何度も考えて創りあげていきました。当日は緊張しながらも、司会進行を務めてフォーラムをスムーズに進められるよう努めました。自分達が企画したフォーラムが形になっていく様子を肌で感じ、自分自身も楽しく、感動したのを覚えています。
フォーラムの最後には、参加者の方から「とても楽しかった」と言ってもらい嬉しかったです。貴重な経験をさせていただき、ありがとうございました!(人間社会学部人間社会学科)

ウェルビーイングフォーラム初参加という中で、運営メンバーのリーダーという、重要な役割を務めさせていただきました。講師の前野様とも直接連絡をとらせていただき、サポートいただきながら企画してまいりました。私は去年のウェルビーイングフォーラムに参加していなかったので、不安もありましたが、去年参加したメンバーから意見をもらいつつ、メンバー全員で工夫しながら企画や運営を進め、最終的に参加者の方から「楽しかった」と言ってもらうことができ、大変うれしく思いました。また、ウェルビーイングの考え方が注目されている中、大学生のうちから理解を深めるだけでなく、このようなフォーラムの企画や運営に携わることができ、貴重な経験をさせていただきました。(生活科学部現代生活学科)

深澤晶久教授の話

2021年度に立ち上げた「JWP(実践ウェルビーイングプロジェクト)研究会」も3年目を迎えました。

2020年責任世代である私自身が、2050年責任世代である学生たちに、少しでも良い形でバトンを渡したい、そんな想いから辿り着いたのが「Well-Being」でした。なかでもメンバー自らが企画立案に携わり、一つの形に仕上げる。いわばプロジェクト・マネジメントの経験が今回の「ウェルビーイングフォーラム」でした。企画から運営まで、まさにプロジェクト・マネジメントをやり遂げてくれた学生たちの姿に、大きな成長を感じるとともに、頼もしさまで身に着けてくれました。

この企画にお力添えいただいた前野マドカ様に、この場を借りて心から感謝申し上げます。そして、参加してくれた学生・生徒の皆さんにとって、さらにウェルビーイングな時間が沢山訪れることを祈ります。

2024年1月12日

他大学連携:『藤巻百貨店』とクリスマス商戦を考える「産学プロジェクト」を実施!


2023年12月28日付 繊研新聞掲載
「実践、大妻、跡見3女子大と藤巻百貨店
  魅力的提案へ知恵絞る
 混成チームで親世代が喜ぶギフト」


本学と大妻女子大学、跡見学園女子大学の3校が
藤巻百貨店と行ったプロジェクトの最終発表会について
繊研新聞で紹介されました。

繊研新聞社WEBサイトリンクhttps://senken.co.jp/

三女子大学による産学プロジェクト「藤巻百貨店×A.O.J」の最終報告会が、11月30日に行われました。実践女子大学と大妻女子大学、跡見学園女子大学の三女子大学を横断した共同のプロジェクトで、本学からは大川知子教授(生活科学部 生活環境学科)の研究室の学生7名が参加。大学間を越えてチームを作り、選りすぐりの日本の逸品をセレクトするECサイト『藤巻百貨店』とコラボレーションし、「大切な人に贈る」をテーマに「商品の魅力的な提案」という課題に取り組み、その集大成として発表に臨みました。

大切な人に贈るクリスマス・プレゼントとは?

この日は、大妻女子大学千代田キャンパスの教室をお借りしての最終報告会。各大学の参加学生は23人で全員3年生。プロジェクトは10月から開始し、4チームに分かれ、課題に向き合いました。この日は対面でしたが、これまでは、主にオンラインを活用してのグループワーク。2ヶ月かけてブラッシュアップしてきました。

課題は「『藤巻百貨店』の商品を、大切な人にプレゼントする際の魅力的な提案を考える」。
「大切な人とは?」「どんなプレゼントが喜ばれる?」などストーリーを考え、商品を選び、どのように訴求するかを検討しました。『藤巻百貨店』の中心顧客は40~60代と、学生たちの親世代にあたります。学生たちは、普段の自分たちとは異なる購買行動を考えることが求められます。

当日は、『藤巻百貨店』を運営する株式会社caramoの中村亮社長、バイヤーの市山さやか氏も同席し発表を見守り、講評を下さいました。

イチゴのお酒で初めてのプレゼント

最初のチームは、「女子大学生が、両親に初めてクリスマス・プレゼントを贈るストーリー」を提案。20歳になり初めて両親とお酒を飲む状況を設定し、飲みやすい「イチゴの日本酒スパークリング」と「ワイングラスのセット」をセレクト。若年層により訴求する方法としてインスタグラムのリールを作成。「ストーリー重視」と「季節感重視」の2パターンの投稿を披露しました。

中村氏は「『初めて』という特別感が伝わる発表。商品も、まさにこのような使い方をしてもらいたいお酒だった」とストーリーに感心されました。市山氏も「『藤巻百貨店』の商品ラインナップがもっとあると、選択肢が広がると気付かされるプレゼンだった」とコメントされました。

願いを交わすブレスレット

2チーム目は、「クリスマス・プレゼント」というもの自体に、「カップルで贈り合うもの」というイメージが強いことから、あえて30代前後の若いカップルを想定。最近すれ違いがちな婚約者カップルが、思いを交わすストーリーを考えました。「交わす」と「革」を掛けて革のブレスレットをセレクト。アクセントの宝石は、自分でカスタマイズできるようにして、ギフトボックスにもこだわりました。訴求方法は、こちらのチームもインスタグラムのリールを提案しました。

中村氏は「つい販売重視で考えてしまうが、ストーリー重視で商品を考える良さに気付いた」と構成を高く評価されました。市山氏は「若い世代はインスタグラムで情報を得るのだと、改めて教えてもらった」とSNSの活用方法に興味を持たれていました。

親孝行大作戦!

次の3チーム目は「親孝行」をコンセプトに。「大切な人」を考えた時、チーム全員から「両親」という意見が出たと言い、共働きの両親に「ボディケア商品」を贈るストーリーを考案。若い世代も予算等に合わせて簡単に商品を選べるよう、フローチャート式での販売方法を提案しました。

発表後、中村氏は「フローチャート式は、ECサイトでは技術的には難しい面もあるが、良い着眼点だと思った」とコメントされました。市山氏は「ペルソナの深掘りに、リアリティがあって良かった」と感心されていました。

クリスマス・ギフトを診断で選ぼう

最後の4チーム目も、プレゼントを贈る大切な人に「両親」を設定しました。そして、若い世代への訴求方法として「クリスマス・ギフト診断」を考案。質問に答えていくと、回答にピッタリな商品が紹介される仕組みです。インスタグラムで宣伝をし、手軽に選んでもらえるように工夫しました。また、ECサイトでは、購入商品に合わせた別商品のレコメンド機能を提案。お酒に合う「チョコレート」や「グラス」など、一緒に紹介したい商品を掲載できるとプレゼンしました。

中村氏は「診断は面白い視点で、選びやすい」と発想の豊かさを賞賛。市山氏は「若い世代はレコメンドがあると嬉しいのだと分かりました」と理解を深めていました。

「正解を探す」のではなく、「仮説を立てる」

全チームの発表後、中村氏から総評をいただきました。

中村氏は「皆さん、正解を探しに行ったのではないですか?」と語り始めました。「これなら大丈夫なのでは?」と無難なものを選ばなかったかと学生たちに問いかけ、「社会に出ると正解・不正解はない」と続けました。「皆さんに取り組んでもらった課題は、やってみないと分からないので、うまくいくのではという仮説を立ててもらった状態です」と、どれが良かったということはないということを強調されました。

また、中村氏は教員を目指していた時期もあったことを話され、「皆さんとのプロジェクトに参加できたことに感謝します」と、充実した時間だったことが伝えられました。そして、「皆さんが関わった時間を価値に変えます」と、今回のプレゼンテーションの提案内容を企業に持ち帰り、検討することを約束されました。

・『藤巻百貨店』について:https://fujimaki-select.com/ext/about.html

大川先生からのメッセージ

 『藤巻百貨店』様には、過去数年に亘り、1年生を対象とした「ファッションビジネスの世界」の授業の最終回に特別講義をしていただいていました。『藤巻百貨店』様で扱っておられる商品は、日本の伝統技術であったり、ユーザーの使い勝手が吟味された逸品ばかり。素晴らしい商品を取り揃えておられます。

 そのような商品価値の分かる年齢層の方々が主たる顧客でいらっしゃるので、多くの学生のみなさんは、このサイトのことを知り得ませんでしたが、講義の感想を読むと、皆、その提供価値に感動し、そういった逸品の数々に対する理解も深まり、視野が広がる様子が分かりました。今回のプロジェクトは、改めて、自分たちが大切にしている方たちを想い、それをどのように訴求していくのかを、他大学のみなさんと力を合わせて考える貴重な機会となりました。

 限られた時間の中で、考えに考え抜かれた4つの提案の中には、彼女たちならではのアイディアが詰まっており、手前味噌ながら、改めて学生のみなさんの発想力には深い感動を覚えています。このような貴重な機会を与えて下さった株式会社caramoの中村社長、市山バイヤーに、心から感謝を申し上げます。

2023年12月12日

従業員を大事にすることが真の利益につながる!「実践キャリアプランニング」で世界的ホテルチェーンであるマリオットとのコラボ授業が行われました。

11月3日に、共通教育科目「実践キャリアプランニング」(担当:文学部国文学科 深澤晶久教授)の授業で、ホスピタリティ業界を世界第1位でリードするマリオット・インターナショナル(以下、マリオット)との特別コラボが実現しました。この日は世界的ホテルチェーンの企業理念や価値観を学び、課題が発表されました。学生たちは「働き続けたいと思えるホテル」を考え、12月後半にプレゼンをします。

外資系ホテルのキャリアの積み上げ方

登壇されたのは、大野裕子氏。「採用担当部長みたいな役職です」といい、ご自身の仕事内容について人材をどのように集めるか、どうしたらマリオットで働きたいと思ってもらえるかを考え戦略を立てる仕事と紹介しました。
大野氏は学生の頃からホテル業界を志しました。飲食系の部門で14年ほど活躍しますが、出産子育てを機に一度仕事を辞め、派遣社員を経験。
しかし、「派遣なのであまり積極的なことや責任のある仕事はできなかった」と物足りなさを感じていました。
そんな時にかつての上司が声を掛けてくれ、ホテル業界に戻ることに。
人事としてキャリアをスタートさせました。

2017年にマリオット系列のホテルの新規立ち上げに関わり、現在は部長クラスまでキャリアを積み上げてきています。
「マリオットに在籍しているのはたった6年間ですが、沢山の昇進の機会があったことを皆さんに伝えたいです」と大野氏。特に外資系ホテル企業はキャリアを積み重ねるスピードが早いと言います。
現在最年少の部長は27歳とのこと。
日本企業だと年功序列になるところも、マリオットでは年齢性別に関わらず、仕事の成果を上げている人の能力に応じてキャリアの機会があると話しました。

マリオットってどんなホテルチェーン?

マリオットは世界で一番大きなホテルチェーンです。
138の国と地域に、8500を超えるホテルやリゾートを展開しています。
企業理念は「旅の魅力を通して世界中の人々をつなぎ、もっとも働きたい企業になる」ということ。
ホテルを使うシーンは「ビジネス、観光など旅行に関わらず様々な場面がある」と大野氏は言います。例えば、待ち合わせにマリオットを使ってもらうなど、マリオットを軸にして世界中の人々を繋げていきたいと考えています。

もうひとつ重要なのが従業員です。
従業員を大切にすることで、その従業員はお客様を大切にする。するとそのお客様はリピーターになってくれる、というのが創業当初から一貫している企業理念です。
大野氏は「働く従業員の心に余裕がないと、他人に思いやりをもって接することは難しくなってしまいます」と話しました。お客様ファーストではなく、まずは従業員を大事にすることが「ビジネスとして考えた時も、実は真の利益に結び付くんです」と大野氏は語りました。

キャリアをつなげやすい環境

マリオットは31のブランドを持っています。
クラシックとディステンクシブの2つのカテゴリーと、いわゆる5つ星と言われる「ラグジュアリー」、さまざまな客層にご利用いただけるファミリー向けの大きな「プレミアム」、お手頃な価格でご提供する価格帯の安い「セレクト」の3つレベルに分かれ、旅の目的に合わせてゲストに選んでもらえるようになっています。

大野氏は「これだけ多くのブランドがあるのは従業員のためでもあります」と話し、プレミアムレベルからスタートして数年後ラグジュアリークラスにチャレンジすることも可能と話しました。
通常ホテル業界はホテルごとで会社として経営しているため、ホテル間を動くと「転職」扱いになってしまうことが多いですが、マリオット系列では積み重ねたキャリアや勤続年数をそのままスライドして、さらにキャリアを繋げられるというメリットもあります。

日本でもマリオット直営のホテルは59あり日本各地に散らばっているため、引っ越しなどにより今のホテルを離れても新しい地域のホテルに転籍することも可能です。
またマリオットは毎年開業を続けており、それだけキャリアの席も増える可能性があるのも特徴。
もちろん海外にも沢山のキャリアの機会があります。

さらに大野氏は「マリオットは従業員に投資をして成長することが利益に繋がると考えているため、トレーニングに非常に力をいれています」と話しました。
8000以上のコースがあり、無料で自分のやりたい部署の指導を受けられたり、オンラインで学んだりできる環境が整っていると紹介されました。

働き続けたいホテルの条件とは?

いよいよ課題の発表です。
まず大野氏は日本の宿泊施設事情と人口について説明。
現在日本に宿泊施設は57,000を超える施設があり、稼働率もほぼコロナ禍前の状態に戻っています。しかし日本の人口は減っており、働き手不足は深刻です。「日本に泊まりたい人は増えているのに人手不足」が課題として挙げられました。
またホテル業界全体の問題として、入社は多いのに離職も多いことがあります。

そこで出された課題は「働きたい・定着したいと思える企業は?」です。
今回はホテルなど宿泊業の企業に絞って考えます。どんなことにやりがいを感じるか、ホテル業界はなぜ離職率が高いのかなど分析し、どんな企業であれば選ばれるかを考えます。今回、学生たちに出された課題は授業向けではなく、リアルな企業の課題です。
「皆さんの知恵を拝借したいと考えています」と言い、「ぜひ色んなご意見や声をいただければと思います」と学生たちの発表に期待を寄せました。

担当教員からのメッセージ

今年の英文学科の企業連携プログラムには、マリオット・インターナショナル様の大野様にお越しいただきました。本学の学生にとっては、関心の高い業界であり、講義の内容には、真剣に耳を傾けている学生が、とても多く見られました。
華やかなイメージとは違い、実際のお仕事は非常に厳しい面もお話しいただきました。しかしながら、大野様のお話しにとても共感し、ホテル業界への関心をさらに高めることに繋がる授業となりました。この場をお借りして、マリオット・インターナショナルの大野様に心から感謝申し上げたいと思います。
この後、学生たちは12のグループに分かれ、いただいたお題の解決に向けたグループワークが始まります。

2023年12月8日

英文学科の魅力が伝わる動画を制作しよう!映像制作会社P.I.C.S.とコラボした英文学科の有志プロジェクトが始まりました。

10月16日に英文学科の学生による有志プロジェクトのキックオフミーティングが行われました。『インスタグラム』の英文学科公式アカウントをより良くするのが今回のプロジェクトの目的です。株式会社ピクス(P.I.C.S.)(以下、P.I.C.S.)にご協力いただき現役の映像作家さんが講師となり、学生たちが英文学科の魅力を発信する動画作りに挑戦します。

映像制作のプロが講師に

講師の方は3名。

まずは映像クリエイティブシーンの記事を書いているライターの林永子氏です。
映像作家や映像作品を紹介する記事やイベントを企画しています。渋谷区のコミュニティFMラジオ「渋谷のラジオ」のパーソナリティも務められています。

2人目はP.I.C.S.の佐藤由佳氏。
映像クリエイターのマネジメントに携わっています。P.I.C.S.は映像制作会社で、TVCMやWEBサイト、SNSなどさまざまな映像を作っています。ほかにも広告グラフィックやMV、プロジェクションマッピングのイベントなど幅広く制作。所属の映像作家だけでなく、気鋭の映像作家とも精力的に仕事をしています。

そして3人目は映像作家の浜根玲奈氏です。
日本大学芸術学部を卒業後、映像制作会社勤務し、その後独立。現在は海外での活動も行なっています。多くのMVやCM制作しています。海外での経験を「アメリカはみんな自己表現がうまかった」と話しました。周りに自己表現力で劣ると感じた浜根氏は「英語が喋れなくても名刺の代わりになるものとして、SNSを活用し、映像やビジュアル作品を載せました」と語りました。

インスタグラムでどう発信する?

続いて学生たちからも自己紹介。
本プロジェクトには1~3年生の学生5名が参加しており、参加動機について「動画コンテンツで実践女子を紹介したい」、「英文学科の魅力が伝われば」と意気込みを語りました。
メンバーの中には動画作成が趣味の学生も。パソコンで専用のソフトを利用して本格的に作っていると言います。

浜根氏が「なぜ英文学科を目指したか」を尋ね、1人の学生は「ディズニーランドのキャストに憧れ、海外のお客様を案内できるようになりたいと思って英文学科を目指した」と話しました。受験の際にインスタグラムも見て参考にしたと言います。
「今は受験にもSNSは大事なんですね」と林氏。リアリティがあり身近に感じられるので、高校生にも良い判断材料になると実感した様子でした。

さっそくミーティングに入り、まずは現状分析から始まりました。
今の英文学科公式アカウントは数人の学生が文章や写真を考え、教授がチェックしてから投稿されます。
ただメンバーそれぞれで写真を撮ったり文章を考えたりしているため、色の決まりなども特になく統一感がないというのが現時点での課題です。
「学生など人の写真が少なく、授業の様子やリアルな生活が伝わらない」という問題点を挙げた学生もいました。画像中心で動きがなく文章も長いため、動画や短い投稿ができるストーリーを使いこなすべきという意見も。

ターゲットは本学への入学を考える高校生!

「SNSは大学の顔でもある」と浜根氏。
バラバラの投稿ではなくチームで協力して、1つひとつの投稿を大事にしていくといいとアドバイスしました。「なにが大事って内容なんです」と話し、誰に向けて何をアピールしたいか、そもそもなぜインスタグラムをやるのかを考えることが大切と語りました。

そこで、まずはターゲットを確定。
英語に興味がある高校3年生をターゲットに定めることに決まりました。
ではどんな投稿が彼女たちに刺さるでしょう。
浜根氏は「リアルなキャンパスライフが見える方が、高校生は憧れるかも」と案を出し、林氏も「インタビューなど学生主体の投稿が増えるといい」と話しました。

どんな動画にしよう?

どんな動画を投稿したいか企画会議が始まりました。
オープンキャンパスで高校生から聞かれた質問を投稿にする企画やキャンパスツアー、授業風景、インタビューなど案が出ました。
「キャンパスツアーは動画向き」と佐藤氏。
学生自身が大学の好きなところや良いところをアピールするのにはうってつけです。さらにせっかく英文学科なのだから、英語に関連する投稿がいいという話に。英語ネイティブの先生に出演してもらうことや、英文学科の学生たちに英語でインタビューなども案が出ました。

「SNS投稿は計画性と持続性が一番大事」と浜根氏が言い、まずは役割分担を決めることに。
どこで撮影するかを決める監督編集、どういう風に見せるかを考える企画者、どういう風にアピールするか考える出演者をそれぞれ決定しました。

魅力を伝えられる動画を学生主導で作る

学生たちは次のミーティングまでにそれぞれ、大学内のどこで撮影したいかロケハンをしてくることや、どんなことを聞きたいかインタビュー内容を考えること、英文学科の他の学生や教授たちに出演してもらえるか交渉することなどが決まりました。
また統一感を出すために投稿に利用するフォントやカラーをルールとして決めてしまうことも講師の方たちから提案され、決定することになりました。

11月以降も月1回ペースで会議を重ね、英文学科の魅力が伝わるインスタグラムの動画を制作していきます。

2023年12月4日

なんとなく就職しないために!「グローバルキャリアデザイン」の授業で資生堂人事担当者による自分自身を考える講演が行われました。

10月27日に、3年生対象の共通教育科目「グローバルキャリアデザイン」(担当:文学部国文学科 深澤晶久教授)の授業で、株式会社資生堂(以下、資生堂)の真名垣喬氏による講演が行われました。アグレッシブにキャリアを積み重ねている真名垣氏のお話は、学生たちにとって「自分」について考えるまたとない機会となりました。

自分自身について考える

はじめに「今日は私の話を聞く時間ではありません」と、真名垣氏。
「皆さんが自分自身について考えられる、メリットのある時間にしたいと思います。話を聞いて終わりでなく、自分でどう活かすか行動するかが大事です。」と語り、講演を始められました。

まず真名垣氏は「皆さんは卒業後何をしますか?」と問いかけました。
就職の他にも留学など様々な道があります。「その道は、自分自身で選んでいますか」と、さらに重ねて問います。
「なぜ就職するのですか?」。周りが就職するからと自分もなんとなく就活しようとしていないか、確認しました。どうして就職したいのか、自分にとってどんな意味があるのかを考え、自分自身の言葉で語れるようにしようと促します。
しかし「とはいえ私自身、皆が就職したから就職したうちの一人です」と言い、今すぐに言語化できなくても大丈夫だと語りました。

仕事に答えはない

真名垣氏は新卒で資生堂に入社。最初は名古屋で営業の仕事を経験しました。
その後人事部に移ります。人事部では若い社員を育成し仕事を教える機会があり「彼らが成長し変化していくのが嬉しかった」と人事の面白さに目覚めます。
そこから今まで資生堂一筋…というわけではなく実は37歳のとき、人事としての専門性を深めることを目的に、高級ブランドを扱う外資系企業に転職をされています。
今までと違う環境で数年を過ごし、新しい価値観に触れ、経験の幅を広げた後「今の自分だったら以前とは違う形で楽しめるかもしれない」と考え、資生堂に再就職したと話しました。

「社会人になると何が変わるでしょう?」という真名垣氏の問いかけに、学生たちからは「環境が変わる」「自分以外のことも考えなくてはいけない」「責任」「お金がもらえる」などという回答が。
真名垣氏は頷き、社会人になると組織の一員になることや、給料をもらう以上成果を出さなくてはならないことなどを説明。また、学生の頃は答えのあるものが多くあり、卒業というゴールがありますが、仕事には答えがなく常に成長し続けなくてはなりません。
そのため「自分がどう考えてどう行動するかが大事になります」と話しました。

企業が出している情報の見方は?

「皆さんはどんな仕事がしたいですか」と再度問いかけ、企業を選ぶヒントを伝えていきました。
まずは企業が行っているビジネスや業界に興味があるか。そして企業が出しているステートメントに共感できるか。
「掲げている宣言は企業が目指している方向や大事にしている価値観なので、そこに共感できなければ働いていて違和感を覚えてしまうと思います」と、企業理念を確認することの大事さを伝えました。

次は「数字」です。
企業はさまざまな数字を公表していますが「その数字を良いと思うか悪いと思うかは、見る人の価値観によります」と真名垣氏。
例えば資生堂は1872年創業ですが、長く続いている企業で安心と思うか、古い体制かもと不安になるかはその人次第。数字を自分なりの価値観で解釈することが大事だと話しました。

人生の時間をどう使う?

では就職先は何を基準に選択するのが良いでしょうか。
「場所」「やりがい」「休みの取りやすさ」などが学生たちから挙がりました。「繰り返しになりますが、こうでなくてはならないという正解はないので、皆さんがどう考えるかです」と真名垣氏。
すぐに答えを出さなくてもいいと強調します。「ただ、ぜひ考える努力をしていただき、アップデートをしていって欲しいなと思います」と語りました。

その際おすすめの方法として、いきなり何をやりたいかを考えるよりも「なぜやりたいか、何を大切にしているのか(Why)」を考えることを紹介。
「就活の面接では、何が出来るかより、どんな価値観でどんな考えを持っている人かを見ています」と話し、「社会人になると多くの時間を仕事に費やします。自分の人生の時間をどのように過ごしていきたいか、それを実現するための手段としてどのようなことをしたいのかを考えていこう」と促しました。

いろんなことを吸収して軸を作っていこう

学生たちはグループで感想を話し合い、最後に質疑応答の時間が持たれました。
「自分の軸を見つけた背景やきっかけは何ですか」という質問に、真名垣氏は「就活のときには全然なかったです」と答え、「沢山勉強をして、いろんな人に会い人生経験を聞いて価値観を作っていきました。
最初は完全オリジナルじゃなくてもいい」と吸収していくうちに自分の軸が出来ていくとアドバイスしました。

学生たちは企業選びの考え方や、自分のやりたいことに関して向き合うきっかけになった講演でした。

担当教員からのメッセージ

真名垣さんと一緒に資生堂の新入社員研修を担当していた頃から15年が経過したことになります。しかし、真名垣さんのアグレッシブなスタイルは、全く色褪せることはありません。むしろ、彼らしさに磨きがかかっていると感じるほどでした。仕事にもプライベートにも全力投球、こうした先輩たちが企業で活躍することで、きっと会社は変わっていくのだということを学びました。この場を借りて心から感謝申し上げたいと思います。

2023年11月28日

女性が前向きに生きる秘策とは?「社会学概論」の授業でサニーサイドアップグループ社長の次原悦子氏による特別講演が行われました。

10月11日に、1年生対象の「社会学概論」(担当:人間社会学科 原田謙教授)の授業で、株式会社サニーサイドアップグループ(以下、サニーサイドアップ)の代表取締役社長の次原悦子氏による特別講義が行われました。さまざまなモノやヒトをPRして「たのしいさわぎ」を起こしてきた会社を起業した経緯や、女性が前向きに世の中を生きていくための秘策を明るく話されました。

17歳で起業!

学生たちは予習としてサニーサイドアップグループの企業サイトを見てくる課題が出ていました。
講演の前に原田教授から「サイトを見てどのような会社だと思ったか一言で表現してみよう」とアンケートが。集まったワードは明るい、楽しそう、おしゃれ、自由などポジティブな言葉が並びました。わちゃわちゃ、元気などの表現もあり、学生たちもすでにパワーを感じ取っている様子です。

登壇された次原氏も「今日皆さんに会えるのを楽しみにしてきました。
少しでも役に立てる話が出来たらいいなと思っています」と講演を始められました。

サニーサイドアップは、1985年に次原氏が若干17歳のときに創業されたPR会社です。
当初は朝から晩まで働き詰めでしたが、「自分が社会に参画できることがとても楽しかった」と言います。

マンションの一室で始まった会社は少しずつ大きくなっていき、1995年当時まだ無名だった中田英寿元サッカー選手らトップアスリートと契約。2005年には世界的ムーブメントとなったホワイトバンドプロジェクトを手掛け、最近では商業施設やさまざまな商品・サービスのPRを手掛けています。

   ※「黒子に徹する」という次原悦子氏本人の方針により、顔にめだまやきを載せております。

PR・ブランドコミュニケーションってどういう仕事?

次原氏は「PR・ブランドコミュニケーションという仕事は、世の中にまだ知らないモノやヒトを、付加価値を付けて知らせて話題にしてもらい、最終的には行動してもらう仕事です」と話しました。
伝達するだけでなく、その先の購買などのアクションに繋げてもらうことが目的です。

例えば、今は専門店もたくさんあるパンケーキもその1つ。
ハリウッド俳優が映画撮影の合間に食べにくる小さなカフェに目を付け、「世界一の朝食」と大々的に打ち出しました。

このキャッチコピーは「誰も言っていなかったのですがPRでは言える技です」と次原氏。
それまでパンケーキと言えば、日本では家庭でお母さんが焼くおやつだったものを「カフェのテラスで食べるおしゃれな朝食」というイメージを浸透させました。「PRは日陰の仕事ですが、今では皆が知っていることを仕掛けていたんです」と話しました。

女性が活躍する社会のための企業の在り方

「PRはメディアやニュースを使いますが、その手法を使って社会課題の解決にも取り組んでいます」と次原氏。
話題は女性活躍へ。
日本はまだまだ女性の社会進出が遅れていることが課題です。
ただ次原氏は「女性が活躍することで経済が動きます」と話します。女性が購買を決定する割合は7割と言われています。圧倒的に女性が買うものを決めているのです。
しかし、その売るものを決めるプロセスに女性がいないのはおかしいのでは、と次原氏は訴えました。

日本も2030年には役員に占める女性比率を30%以上にすることを目指しています。
現在は9.1%と、ハードルの高い目標ですが少しずつ頑張っています。
その中でサニーサイドアップは女性が社長であり、グループ全体で取締役の50%が女性とのこと。
全従業員でみても6割が女性と、女性が活躍している企業の筆頭なのです。

世の中をしぶとく生きるために

その中で次原氏は「女性が世の中をしぶとく生きていくための秘策」を12個、教えてくださいました。

1つ目は「自分にできないことを知る」。自分よりもできる人を見つけて頼ることが大切と話します。次の秘策は「忘れよう」で、「自分で思っているほど他人は気にしていません」と、くよくよ思い悩まないことも大事と話しました。
その他にも、「ご縁を作ってくれた人のことを忘れない」や「情報を効率よく入れよう」、「解釈を変えるだけで過去も変えられる」など、人生を前向きに生きていく秘策を惜しげもなく披露してくださいました。

目の前のことを一生懸命やる

講演後は質疑応答が行われました。
スマートフォンを使用した無記名のアンケート形式で「ちょっと直接聞きづらい質問」も募集。たくさんの質問が集まりました。
「ワークライフバランスはどちらを重視していますか」という質問に「どちらがどちらと考えていません。それぞれが必要なことで相互に影響しています」と答えられました。

「なかなか売上が成長しなかったときのターニングポイントは?」という質問には、「当時無名だったアスリートたちが活躍してくれたこと。でもそのアスリートたちへの繋がりも、そこまでに培った人間関係が作ったと思っています」と話されました。

就職に対する質問も。
「どんなスキルを持っていたら採用してもらえる?」には「リーダーシップが大事。小さなことでも自分からアクションできることがこれからの企業に必要」と回答。

「どんな行動をして未来を変えましたか」という質問には「起業した当時は未来の夢や目標はなかった。目の前のことに没頭し一生懸命にやっていたら、だんだん自分の道ができていました」と話しました。

第一線で活躍する女性の貴重な話を聞くことができ、学生たちも未来を考える力になった講演でした。

担当教員からのメッセージ

人間社会学部には、ジェンダー、SDGs、広告・PRにかんする授業がたくさんあります。こうした分野の最前線で活動されている次原さんは、未来をみすえた企業が実際にどのように「行動」に移しているのかについて、とても具体的に説明してくださいました。
また、17歳で起業した次原さんのライフコースから紡ぎだされた「女性が世の中をしぶとく生きていくためのTips」は、これからの学生たちのキャリアデザインにとって参考になるものばかりでした。授業終了後の学生のコメントをみても、とてもポジティブな表現に溢れていました。
ご多忙の中ご講演頂いた次原さん、本当にありがとうございました。この場を借りて厚く御礼申し上げます。

2023年11月27日

自己紹介は3秒で!「自己表現法」の授業でアパホテル専務による自己アピールの大切さの講演が行われました。

10月25日に「自己表現法」(担当:日本語コミュニケーション学科 髙瀬真理子教授)の授業で、アパホテル株式会社(以下、アパホテル)の代表取締役専務である元谷拓氏による特別講演が行われました。印象に残る自己紹介の仕方や、自己ブランディングの大切さについて語られ、学生たちは楽しく自己表現の大切さについて知る講演となりました。

アパホテルって知ってる?

元谷氏は「皆さんが就職活動やアルバイトの面接など、人と会う中でチャンスを増やせるような話ができればと思っています」と始められました。

元谷氏はアパホテルの創業者と社長の次男であり、現在は専務として多くの企業とコラボ商品を生み出しヒットさせています。元谷氏は学生たちに「アパホテルって聞いたことがありますか」と問いかけます。
学生の多くは利用したことはなくとも知っている名前。
ホテルは予約をする時に、まず検索エンジンで地名と共に検索されます。「そのとき表示されても、聞いたことがないホテルだと怪しいと思われて選択肢に入らないんです」と話し、名前を覚えてもらうことの大切さを伝えました。  

元谷氏の仕事の功績として特に大きなものがホテルにあるプールの底に、企業や商品のロゴを大々的に描くなどを行うネーミングライツ事業です。
ポカリスエットやコカコーラ、タリーズなどの大企業や、味ぽんやバスロマンなど一風変わった商品ともコラボ。
それによりホテルの宿泊者がSNSに写真を上げ、その投稿により話題にしてくれるようになります。ネットニュースに取り上げられさらに広がっていくことも。

宣伝ということに触れ、「皆さんも自分をブランディングしていくというのが大事だと思います」と話しました。

コロナ禍にもめげない

コロナ禍では旅行・観光業界は大きな打撃を受けました。
ホテル業界も同じく大変な状況でしたが、その中でアパホテルは国の依頼を受け、新型コロナウイルス感染者(軽症者)を受け入れる「ホテル療養」の場所として全面協力しました。業界大手のアパホテルが協力したことで、その後他社ホテルもホテル療養に協力する流れができていったのです。

アパホテルは女性の応募が多いことも特徴。
女性社員が多く活躍しています。ホテルの仕事の主業務は接客です。
ただ、その他にも売上や予約の管理、清掃などのほか、フランチャイズ事業やIT、グローバル事業など様々な仕事があります。特にDX(デジタルトランスフォーメーション)には力を入れていて、アプリでワンステップ予約やチェックインができるシステムを構築しています。
 アパホテルで大切にしているのは「TIME IS LIFE」。
お客様の大事な時間をいただいているという考えの元、貴重な時間にやすらぎを与えることを理念としています。

自分の強みを知り工夫しよう

元谷氏は活躍し続ける人の特徴を3つにまとめました。
 1つ目は困難があってもリカバリーが素早くできること
 2つ目は時流を読む力や情報収集能力があること
 3つ目は常に学び続ける姿勢 です。
「現状維持は衰退です」と元谷氏。好奇心を持って行動することが大切と語りました。
また、工夫とは常に「工夫ズ」という複数形であると話します。
1回の工夫は自己満足に過ぎず、「チャンスは工夫した直後にもうひと工夫するところから生まれます」と語りました。

ここで元谷氏は、学生たちに近くの席同士でその人の良い所を伝え合うワークを行わせました。
「優しい」「笑顔がいい」など言葉が飛び交います。
元谷氏は「自分の思っている自分と相手の見ている自分は違います」と話し、「自分の知らなかった自分も含めて、自分の魅力に磨きをかけておくことが大事です」と伝えました。

爪痕をのこす自己紹介とは?

「人間は生涯で2万回自己紹介をする」と話します。
多い人では10万回に上るといいます。覚えてもらうためには「自己紹介は3秒でする」ことをアドバイスしました。
キャッチフレーズなど短い言葉で印象付け、また会いたいと思ってもらえることが大事だと話しました。「恥ずかしがっていたらもったいない。工夫して戦略的にすることでチャンスに恵まれます」と語りました。

最後に元谷氏は「応援される人になりましょう」と話します。
「応援される人は実力以上にチャンスが増えます」と言い、相手から応援したくなる人物になっているかという目線で自己プレゼンをすることをアドバイスしました。
そして「皆さんのこれからを応援しています」と講演を締めくくられました。

授業の最後に、元谷氏は沢山のお土産を学生たちに配ってくださいました。
面白いコラボ商品などもあり、学生たちも笑顔に。

また会いたくなる自己紹介をしよう

アパホテルに就職した本学卒業生の菅澤優花さんからも挨拶をいただき、
「今回は母校での講演に来られて良かった」と話されました。

学生たちは最後に感想を発表し、「自己紹介を3秒でというのが印象に残りました」というものや「時は命という考えが印象的で、時間はお金に変えられない貴重なものだと感じました」と話しました。

改めて自己アピールの大切さを知る機会となりました。