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2024年1月17日

ウェルビーイングについて学ぶ! JWP研究会が女子大生フォーラム「What is Well-Being~自分を輝かせるキャリアの描き方2023~」を開催しました。 

12月25日(月)に実践Well-Beingプロジェクト研究会(以下、JWP研究会)によるウェルビーイングフォーラム「What is Well-Being~自分を輝かせるキャリアの描き方2023~」が開催されました。本フォーラムはJWP研究会の有志の学生が企画・運営を行い、実践女子大学のほか聖心女子大学や明治学院大学の女子学生、実践女子学園高等学校と京都市立日吉ケ丘高等学校のメンバー総勢40名が参加。ゲスト講師にEVOL株式会社代表の前野マドカ氏をお迎えし、ウェルビーイングについての理解を深めました。また、講演やグループワークの内容をアウトプットするために参加者一人一人に自分がどういった際にウェルビーイングな状態になるか考えてもらいました。最後には、ビンゴ大会を行って大盛り上がりで計3時間のフォーラムを終えることができました。

JWP研究会の活動は?

はじめに今回の企画運営を行う7名の学生たちから、本フォーラムの説明がありました。

JWP研究会も今年は3年目。女性がキャリアを築き自信をもって人生を歩んでいくために、より自分自身に目を向けることが大切と考え、様々な角度からウェルビーイングへの学びを深めることを重点に活動してきました。

「本フォーラムでは、大学生と高校生が交流を図りつつ、一人一人の参加者が自分自身にとってのウェルビーイングを深く考える機会にしたいと考えています」と開催の主旨を伝えました。 そして、早速、ゲストの前野マドカ様の講座がスタートしました。

自分を輝かせるキャリアの描き方とは

JWP研究会では発足当初に、ウェルビーイング研究の第一人者である前野隆司氏にお話を伺う機会があり、そのご縁でパートナーである前野マドカ氏に2023年2月に引き続き講演をお願いしました。マドカ氏も隆司氏に感化され幸せの研究を始め、現在では幸せを広めるワークショップやプログラムを開発されています。

前向きな人は創造力や生産性も高く、周りに良い影響を与えるという研究結果があります。「幸せは移ります。皆さん覚えておいてくださいね」と前野氏。では幸せな人とはどんな人でしょう。それは夢や目標を持ち、多様な人とつながりを大切にして前向きに自分らしく生きる人のこと。

「やってみよう」「ありがとう」「なんとかなる」「ありのままに」が幸せの4つの因子です。

人間は、ないもの・苦手なもの・できないことに目が向いてしまう生き物。しかしそれでは幸せになれません。自分にあるもの、得意なもの、できていることに目を向けることが大切と言います。

「自分の良さや強みは意外と自分では分からないので友達や家族に聞いてみましょう」前野氏はアドバイスを送りました。

ハーブティーを味わう

今回の初めての試みは、前野マドカ様にご用意いただいたハーブティーを楽しむことです。オリジナルブレンドのハーブティーを、本当にゆっくりと味わいながらいただく、まさに五感を研ぎ澄ましながらということになります。
日頃、時間に追われながら過ごしている我々にとって、味、香り、音など、静かに味わうことの大切さを感じる瞬間でした。

「Well-Beingダイアログカード」使った幸福度を高めるワークショップ

ここで、前野氏がグループに1セットずつWell-Beingダイアログカードを配りました。幸福度研究に基づいて作られたカードにはそれぞれ問が書かれています。

例えば「自分にありがとうと言いたいことは?」「本気で取り組んでいることは?」「人生をかけて成し遂げたいことは?」など。

答えを考えることで自分自身の大切なことや軸について知ることができるカードです。グループごとで話し、他の意見を聞くことで幸福度を高めていきます。

対話は盛り上がり、自然と拍手が出るグループも。それぞれグループで対話したあと、感想を発表しました。

Well-Being宣言!

フォーラムの最後には参加者全員が「Well-Being宣言」を行いました。

自分自身にとってのウェルビーイングを考え、言語化できるようにします。

開催日がちょうどクリスマスでもあったため、幹事グループのメンバーが用意したのは、クリスマスツリーを彩るオーナメント型の用紙、それぞれの思うウェルビーイングを宣言。グループ内で発表し合います。全員分の「Well-Being宣言」は幹事作成のオリジナルクリスマスツリーに貼り付け、可愛らしく飾られました。

最後に参加者から、

チームのメンバーがみんな明るくてグループワークの会話が弾んで楽しかったです。4つのマークのカードを使って自分の意見を共有するワークでは、みんな自分と違う考えを持っていたのが印象的で面白いと思いました。また、最初の1口を味わうマインドフルテイスティングは、食べることが大好きな私にピッタリだと思い、これからも取り組んでみたいと思いました。(大学生)

長続きする幸せと、すぐに消えてしまう幸せがあるというお話がとても印象に残りました。また、周りの目を気にしすぎてしまうところがあるので気にしないように自分を優先して行動するようにしていたのですが、自分の性格が悪くなったような気がしていました。「ありのまま」でいるだけでなく、繋がりに感謝する心も持たなければいけないと気づくことができたのは、大きな発見だったと思います。それから、やってみよう!と頑張る時間と、今の幸せに浸る時間のバランスが大事だというお話も興味深かったです。私はどちらかに傾いてしまうことが多かったので、バランスを意識してみようと思いました。普段関わる機会のない高校生の方と話すこともできて、とても刺激的で楽しい時間でした。(大学生)

1日の中で自分と向き合う時間を取ることはとても大切な事だと思った。どれだけ忙しくても落ち着く時間を10分くらいは取る事で心に余裕が生まれやるべき事の生産性も上がると思う。(高校生)

今回のワークショップで、日々の生活をよりプラスで豊かにする方法を学ぶことができて良かったです。個人的にはなんとかなるの精神を持つことが苦手なので、今回の質問を自分にも投げかけ、少しずついい意味で柔らかい思考を持てるようになりたいなと思いました。(大学生)

普段の日常生活と幸せとの繋がりや普段からできる自分との向き合い方を楽しく自分から学ぶことができました。班の皆さんとの交流がとても楽しくていい人たちばかりだったのでいい経験ができました。(高校生)

交流会

最後には、ビンゴ大会でのクリスマスプレゼント、お菓子を食べながらのビンゴ大会は盛り上がりました。

前野氏は「自分をいい状態にすることを、しっかり考えてくれてとても嬉しいです。全員に応援メッセージを送りたい」と語り、ウェルビーイングフォーラムは終了しました。

企画・運営した学生たちの話

私は去年、参加者側として参加して、今年は企画・運営から携わってみたいと考えて運営メンバーに応募しました。事前の打ち合わせから当日まで時間がない中で、メンバー全員と話し合いながらコツコツ準備を進めていきました。今年は高校生がいる中で、どうやったら参加者全員が楽しめて学びになるフォーラムになるか何度も考えて創りあげていきました。当日は緊張しながらも、司会進行を務めてフォーラムをスムーズに進められるよう努めました。自分達が企画したフォーラムが形になっていく様子を肌で感じ、自分自身も楽しく、感動したのを覚えています。
フォーラムの最後には、参加者の方から「とても楽しかった」と言ってもらい嬉しかったです。貴重な経験をさせていただき、ありがとうございました!(人間社会学部人間社会学科)

ウェルビーイングフォーラム初参加という中で、運営メンバーのリーダーという、重要な役割を務めさせていただきました。講師の前野様とも直接連絡をとらせていただき、サポートいただきながら企画してまいりました。私は去年のウェルビーイングフォーラムに参加していなかったので、不安もありましたが、去年参加したメンバーから意見をもらいつつ、メンバー全員で工夫しながら企画や運営を進め、最終的に参加者の方から「楽しかった」と言ってもらうことができ、大変うれしく思いました。また、ウェルビーイングの考え方が注目されている中、大学生のうちから理解を深めるだけでなく、このようなフォーラムの企画や運営に携わることができ、貴重な経験をさせていただきました。(生活科学部現代生活学科)

深澤晶久教授の話

2021年度に立ち上げた「JWP(実践ウェルビーイングプロジェクト)研究会」も3年目を迎えました。

2020年責任世代である私自身が、2050年責任世代である学生たちに、少しでも良い形でバトンを渡したい、そんな想いから辿り着いたのが「Well-Being」でした。なかでもメンバー自らが企画立案に携わり、一つの形に仕上げる。いわばプロジェクト・マネジメントの経験が今回の「ウェルビーイングフォーラム」でした。企画から運営まで、まさにプロジェクト・マネジメントをやり遂げてくれた学生たちの姿に、大きな成長を感じるとともに、頼もしさまで身に着けてくれました。

この企画にお力添えいただいた前野マドカ様に、この場を借りて心から感謝申し上げます。そして、参加してくれた学生・生徒の皆さんにとって、さらにウェルビーイングな時間が沢山訪れることを祈ります。

2023年12月4日

なんとなく就職しないために!「グローバルキャリアデザイン」の授業で資生堂人事担当者による自分自身を考える講演が行われました。

10月27日に、3年生対象の共通教育科目「グローバルキャリアデザイン」(担当:文学部国文学科 深澤晶久教授)の授業で、株式会社資生堂(以下、資生堂)の真名垣喬氏による講演が行われました。アグレッシブにキャリアを積み重ねている真名垣氏のお話は、学生たちにとって「自分」について考えるまたとない機会となりました。

自分自身について考える

はじめに「今日は私の話を聞く時間ではありません」と、真名垣氏。
「皆さんが自分自身について考えられる、メリットのある時間にしたいと思います。話を聞いて終わりでなく、自分でどう活かすか行動するかが大事です。」と語り、講演を始められました。

まず真名垣氏は「皆さんは卒業後何をしますか?」と問いかけました。
就職の他にも留学など様々な道があります。「その道は、自分自身で選んでいますか」と、さらに重ねて問います。
「なぜ就職するのですか?」。周りが就職するからと自分もなんとなく就活しようとしていないか、確認しました。どうして就職したいのか、自分にとってどんな意味があるのかを考え、自分自身の言葉で語れるようにしようと促します。
しかし「とはいえ私自身、皆が就職したから就職したうちの一人です」と言い、今すぐに言語化できなくても大丈夫だと語りました。

仕事に答えはない

真名垣氏は新卒で資生堂に入社。最初は名古屋で営業の仕事を経験しました。
その後人事部に移ります。人事部では若い社員を育成し仕事を教える機会があり「彼らが成長し変化していくのが嬉しかった」と人事の面白さに目覚めます。
そこから今まで資生堂一筋…というわけではなく実は37歳のとき、人事としての専門性を深めることを目的に、高級ブランドを扱う外資系企業に転職をされています。
今までと違う環境で数年を過ごし、新しい価値観に触れ、経験の幅を広げた後「今の自分だったら以前とは違う形で楽しめるかもしれない」と考え、資生堂に再就職したと話しました。

「社会人になると何が変わるでしょう?」という真名垣氏の問いかけに、学生たちからは「環境が変わる」「自分以外のことも考えなくてはいけない」「責任」「お金がもらえる」などという回答が。
真名垣氏は頷き、社会人になると組織の一員になることや、給料をもらう以上成果を出さなくてはならないことなどを説明。また、学生の頃は答えのあるものが多くあり、卒業というゴールがありますが、仕事には答えがなく常に成長し続けなくてはなりません。
そのため「自分がどう考えてどう行動するかが大事になります」と話しました。

企業が出している情報の見方は?

「皆さんはどんな仕事がしたいですか」と再度問いかけ、企業を選ぶヒントを伝えていきました。
まずは企業が行っているビジネスや業界に興味があるか。そして企業が出しているステートメントに共感できるか。
「掲げている宣言は企業が目指している方向や大事にしている価値観なので、そこに共感できなければ働いていて違和感を覚えてしまうと思います」と、企業理念を確認することの大事さを伝えました。

次は「数字」です。
企業はさまざまな数字を公表していますが「その数字を良いと思うか悪いと思うかは、見る人の価値観によります」と真名垣氏。
例えば資生堂は1872年創業ですが、長く続いている企業で安心と思うか、古い体制かもと不安になるかはその人次第。数字を自分なりの価値観で解釈することが大事だと話しました。

人生の時間をどう使う?

では就職先は何を基準に選択するのが良いでしょうか。
「場所」「やりがい」「休みの取りやすさ」などが学生たちから挙がりました。「繰り返しになりますが、こうでなくてはならないという正解はないので、皆さんがどう考えるかです」と真名垣氏。
すぐに答えを出さなくてもいいと強調します。「ただ、ぜひ考える努力をしていただき、アップデートをしていって欲しいなと思います」と語りました。

その際おすすめの方法として、いきなり何をやりたいかを考えるよりも「なぜやりたいか、何を大切にしているのか(Why)」を考えることを紹介。
「就活の面接では、何が出来るかより、どんな価値観でどんな考えを持っている人かを見ています」と話し、「社会人になると多くの時間を仕事に費やします。自分の人生の時間をどのように過ごしていきたいか、それを実現するための手段としてどのようなことをしたいのかを考えていこう」と促しました。

いろんなことを吸収して軸を作っていこう

学生たちはグループで感想を話し合い、最後に質疑応答の時間が持たれました。
「自分の軸を見つけた背景やきっかけは何ですか」という質問に、真名垣氏は「就活のときには全然なかったです」と答え、「沢山勉強をして、いろんな人に会い人生経験を聞いて価値観を作っていきました。
最初は完全オリジナルじゃなくてもいい」と吸収していくうちに自分の軸が出来ていくとアドバイスしました。

学生たちは企業選びの考え方や、自分のやりたいことに関して向き合うきっかけになった講演でした。

担当教員からのメッセージ

真名垣さんと一緒に資生堂の新入社員研修を担当していた頃から15年が経過したことになります。しかし、真名垣さんのアグレッシブなスタイルは、全く色褪せることはありません。むしろ、彼らしさに磨きがかかっていると感じるほどでした。仕事にもプライベートにも全力投球、こうした先輩たちが企業で活躍することで、きっと会社は変わっていくのだということを学びました。この場を借りて心から感謝申し上げたいと思います。

2023年11月24日

大学生の今、考えよう!「グローバルキャリアデザイン」の授業でマイナビ顧問による「なぜ働くのか」を問う講演が行われました。

共通教育科目「グローバルキャリアデザイン」(担当:文学部国文学科 深澤晶久教授)の授業で、10月13日に株式会社マイナビ(以下、マイナビ)顧問の浜田憲尚氏による講演が行われました。就職活動で利用必須のサービスを提供している企業の方のお話に学生たちも興味津々です。就職活動を前にした学生たちは改めて「働くとは何か」「なぜ働くのか」を考えるきっかけとなりました。

「働く」を考えるには今しかない!

浜田氏による講演はこの授業でも恒例となってきつつありますが「学生の皆さんの前で話すことはめったにないので、毎回緊張します」と、前置きをして話し始められました。
コロナ禍も終息しつつある現在、企業の採用意欲は急激に回復しつつあります。それは新卒に限らず、中途採用やアルバイトなどすべての雇用形態に言えること。どの業界も人手不足です。
そんな中、まさに就活を目の前にした学生たちに改めて考え直してもらいたいのが「なぜ働くのか」ということ。今働かなくてはならないのか、どこで、どんな仕事をするのか。
浜田氏は「それらについて深く考えるタイミングとしては今がとてもよい」と話し、「そのタイミングを活かさない手はない」と言います。
なぜなら日本は依然として新卒一括採用が主流のため、たくさんの企業が情報を提供し就活生たちを受け入れようとしているから。改めて働くとは何かを考える講演が始まりました。

企業と人をつなぐ仕事

マイナビは1973年創業。今年で50周年を迎える人材系の広告企業です。
主にインターネットなどのメディアを通して人と企業を繋ぐ事業をメインに行なっています。就活生はもちろん、アルバイトや転職、アスリートなどさまざまな人材と企業とのマッチングを行なっています。
マイナビの企業理念は「一人ひとりの可能性と向き合い、未来が見える世界をつくる」。ユーザーの人生に寄り添い、日常生活のあらゆる場面で使ってもらい、それによって前向きに人生が進んでいけるように支援することが目的です。

現在は海外展開事業のサポートを行なっている浜田氏ですが、なんと就職活動をせずにマイナビに入社したと言います。
面接の時間を間違えて行った会場で、当時の人事部長に声を掛けられ、とんとん拍子で最終面接まで進みそのまま入社されたそうです。そのため最初は「アルバイト感覚だった」と話します。
ただ「会社は楽しく、仕事も向いていると感じ打ち込めた」ため、こんなに長く勤められたと言います。この経験から、浜田氏は「深刻に考えすぎないこと」をアドバイスしました。
「一生懸命就活しても、一生勤められる企業かは分かりません。入ってからが勝負です。自分に合わないと感じたら、あるいはさらに新しいビジネスに挑戦したいと思ったら転職も考えていい」。
希望する企業が見つからないからと言って悩みすぎないようにと語りました。

たくさんの情報から何を目的に働くかを考える

就職活動を目前にした学生たちは不安も多いもの。ただ、ここで浜田氏はひとつのアンケート結果を見せました。
2023年8月に現4年生に行った「就職活動を漢字一文字で表すと?」の結果は、1位が「楽」。夢や将来が広がると前向きにとらえている学生も多いのです。
ただ2位は「苦」。「苦労したからこそ頑張れるという面もあります」と浜田氏。
「就職先を見つけることが目的になってはいけない。親や周りに言われたからと流されてしまわずに、自分の判断で見つけることも大事です」とアドバイスしました。

ではベストな就職とは何か。
何がベストなのかは人によって異なります。その答えを見つけるために働く目的を考えることが重要です。
「働く目的は人それぞれでいいと思います」、しかし仕事は糧(かて)を得るための手段であることは、誰にとっても共通しています。その「糧」を得る上で自分にとって何が重要か、自分の価値観や何にやりがいを感じるかを掘り下げ、それを企業が持つ理念やビジョンと照らし合わせる中で共感できる部分があるかどうかを確かめることが就職活動の第一歩として重要だと浜田氏はお話されました。

学生にとってベスト就職を実現するために、マイナビでは自己分析をサポートする機能や、インターンシップ情報、そして求人情報を質量の面から充実させています。できるだけ多くの選択肢からベストな1社を選んで頂くために、掲載企業数やその情報の質にこだわってサービス提供をしています。
浜田氏は「マイナビをフルに活用してぜひ悔いのない就職活動就活をしてください」と講義を締めくくりました。

OGからも貴重なアドバイス

実はこの授業を受講したことがきっかけで、2名の本学卒業生がマイナビに入社しています。
この日はOGである中嶋さんと渡辺さんも駆けつけてくれました。

授業の最後には質疑応答の時間が設けられ、浜田氏や先輩たちへたくさんの質問が飛び交いました。
「長く働き続けられたのは何が要因?」という質問に、浜田氏は「自分の成長と会社の成長を重ね合わせられたのが良かった。頑張ったらきちんと報われたのも大きい」と話しました。

先輩たちにも「就職活動前の今、やるべきことを教えてください」という質問が。
渡辺さんは「普段生活の中で目にする会社は本当にほんの一部。セミナーやインターンにたくさん参加してください。私も色んな会社を見たからこそ、いろんな会社に関われるマイナビに入社しました」と回答。
「就活の軸を決めたきっかけは?」という問いには、中嶋さんは「男女差のない仕事をしてしっかり稼ぎたいと思ったので、営業職を選びました。将来は転職することも視野に入れて自分の市場価値がさらに高まる会社を見つけていこうと思った、だからこそ、今の仕事に注力したい」と回答されました。

これから就職活動を行う学生たちにとってより就職活動について身近に、深く考えられるきっかけとなる授業でした。

担当教員からのメッセージ

私が企業の人事部時代に、採用業務を全面的にサポートいただいたマイナビ様、その時に浜田様と出会ってもう20年の歳月が流れます。こうして毎年、ゲストしてお招き出来ていることに、とても大切なご縁を感じています。

就職活動、採用活動も時代とともに様々な変化があることは肌で感じています。しかしながら、毎年、この時期に浜田様のお話しをお聞きして感じること、それは、「人と人とのご縁」だと思います。一期一会を大切にすることで、きっと素晴らしい会社が見つかり、長く長くお付き合いできる方との出会いが生まれると思います。学生たちの就職活動での健闘を祈り、改めて浜田様に心から感謝申し上げたいと思います。

2023年11月6日

JWP(実践ウェルビーイング・プロジェクト) 資生堂グローバルイノベーションセンター視察研修を行いました。

2023年度のJWP(実践ウェルビーイング・プロジェクト)活動(担当:文学部国文学科 深澤晶久教授)の第一弾として、10月28日(土)に、1~4年生のメンバー18名とともに、横浜みなとみらいエリアにある「資生堂グローバルイノベーションセンター」を視察してきました。

◆美から考えるウェルビーイング

今回のテーマは「美から考えるウェルビーイング」とし、株式会社資生堂の中田美奈子さん、山名淳さんから「資生堂の目指すウェルネス・ビューティー」と題して特別講義をいただいた後、資生堂グローバルイノベーションセンター内にあるS/PARK Museum、S/PARK Studioなどを見学させていただきました。

たまたまハロウィンの季節限定特別イベントである「セカンドスキンメイク」の体験にも参加させていただき、最後は
資生堂パーラーの S/PARK Cafeでのランチと、盛りだくさんのプログラムを体験してきました。

爽やかな秋晴れの土曜日の午前中、まさに「ウェルビーイングなひととき」を過ごすことが出来、ビューティーという視点からウェルビーイングを考える大切な機会となりました。

今年度のJWP活動には、「美」「幸福学」「デザイン思考」そして「学びの型」の4つの視点からウェルビーイングを考えるプログラムが組み込まれています。

◆参加した学生のアンケートより

本日S/PARKを視察させていただき、資生堂さんのこれまでと、今後どんな方向を向いているのかを学ぶことが出来ました。私たちの親世代が使う化粧品のイメージで、手の届かない存在と考えていましたが、私たちが今考えているwell-beingをBeautyと心の健康の面から考えていて、繋がる部分を感じることができて嬉しかったです。また、環境との共存の為の活動も行っており、well-beingに向けた活動がとても進んでいる素晴らしい企業だと感じました。私も、生活における様々な面からwell-beingを考えていきたいです。
今回見学や資料で見せていただいたS/PARK内もとても印象的でした。常に新しいアイデアが浮かびそうな心が弾んだりリラックス出来る環境が創られていて、仕事を全力で楽しむことができる素敵な場所でした。私は理系でも無ければ「美」の知識はまだほぼ0なのですが、それでもここで働きたいと思うような素敵な体験をすることが出来ました。素晴らしい機会とお話をありがとうございました。(人間社会学部2年)

美から考えるウェルビーイングに繋げることができました。資生堂は、常に時代にあった「美」「ビューティー」を追求しているのだと分かりました。そこから時代や環境によって「美のあり方」が変わるのだと考えました。また、ハロウィンイベントでは女性だけでなく男性もメイクをしていて、すごく印象に残りました。その関係もあるのか、体験してる子供の中に男の子もいたので、化粧=女(性、の子)という印象は徐々に変わっていくと思いました。そうすることで美からのウェルビーイングの可能性はより広がると思います。
見学では、たくさんの化粧品をみてとても心躍りました。メイク初心者の私は化粧品を買い物中に眺めるだけの時間も好きで、なぜ好きなのかが「遊び心を忘れてないから」だということが見学してわかり、その展示がとても印象に残りました。
化粧品だけでなく、人からの意見を取り入れるための部屋(環境)づくり、バランスを考えた食事など資生堂が考え、取り組んでいる美について学ぶことができてよかったです。はじめは美と聞くと女性の印象が強かったですが、今回の視察から新たな発見ができました。貴重な経験ができて本当によかったです。(人間社会学部1年)

担当教員からのメッセージ

約15名でスタートしたJWP(実践ウェルビーイング・プロジェクト)の活動も、3年目の今年は、1~4年生あわせて40名の学生が参加してくれる大型プロジェクトへと成長してきました。授業でもゼミ活動でもない、あくまでも有志の学生から構成される取り組みであるので、参加している学生は、主体性に溢れ、好奇心旺盛で、そしてキャリアデザインに前向きな学生ばかりです。

今回は、私自身が所属していた資生堂の新しい研究施設、世界に開かれた、まさにオープンイノベーションな環境の中で、歴史の大切さと新しい時代に立ち向かう企業の姿勢を限りなく感じられる空間での視察は、まさにウェルビーイングを考えるのに相応しいスペースでした。

この活動を通じ、一人ひとりの学生がウェルビーイングを考えるきっかけを掴み、21世紀を先導する人間として飽くなき成長を続けてくれることを期待したいと思います。

最後になりましたが、我々を快く受け入れて下さった、資生堂の中田美奈子さんと山名淳さんに、この場を借りて厚く御礼申し上げます。

文学部国文学科 深澤晶久教授

※頬には、当日実施していた「セカンドスキンメイク™」で
 ハロウィンのイラストを体験しました。

2023年9月13日

2023年度「キャリア開発実践論」が行われました(8/26~28)

どんな時代にあっても社会で活躍し、リーダーシップを発揮できる人材に成長して欲しいと願い実施してきたキャリア教育科目「キャリア開発実践論」が、クロスウェーブ府中において行われました。本学のキャリア教育科目を代表する授業として、企業の管理職レベルの内容を大学の正規科目にアレンジした特別な講座は今年度8年目を迎え、過去最多である27名の学生が参加しました。これまで、140名を超える学生が巣立っています。

◆過去最多の27名が参加

8年目となる今年は、大学3年生23名、大学4年生4名の合わせて27名が履修し、過去最多となりました。やはりこの授業の醍醐味は、リーダーシップコンサルティング代表の岩田松雄氏(元スターバックスコーヒージャパンCEO)と同社共同代表の鷲見健司氏とともに、とことん議論を尽くすことに最大の意義を見出すことであり、今年も講師と学生、学生と学生の熱い議論が3日間続きました。

本講座は事前に課題図書が3冊提示されており、学生たちは夏休み期間に相当な事前学習に取り組んだ上で講座当日に臨んでいます。

◆自分自身と向き合う

学部・学科・学年の異なるグループに分かれた学生たち。まずはチームビルディングとして自分たちの共通点を元にチーム名を決め、この講座で得たいことを発表しました。その後、岩田氏より「ミッション」についての講義を受けます。「ミッション」を考えることは、これからの人生でとても大切な軸となります。とことん自らと向き合い、ミッションを考える学生の姿は真剣そのものでした。

◆先輩交流会

初日の夜には、過去の本講座履修生をゲストに行う先輩交流会が行われ、今年も第1期生から7期生まで20名がクロスウェーブ府中に集まりました。
実際に働いている先輩方の話が聞けるということで、学生からは就職活動についての相談や、現在の仕事のやりがいなどの質問をして盛り上がりました。また、社会で活躍されている卒業生にとっても、鷲見氏・岩田氏や卒業生同士が交流できる機会となっています。後半はクイズ大会が開かれ、2時間半の交流会はあっという間に終了しました。

◆実践を用いて学びをアウトプット

2日目は再び岩田氏より「リーダーシップ」を学んだ後、鷲見氏より「ファシリテーション」について実践を用いて学びました。まず、学生たちはグループ毎に“ミーティングルール”を決めます。そのルールを共通認識として、それぞれ役割を変えながら、チームディスカッションを合計5回行いました。自身のファシリテーション力を発揮するだけでなく、チーム全員がそれぞれの役割を全うしながら、難しい課題に対しても積極的に意見を出し合い、話し合いを進めていく様子が印象的でした。学生からは、「普段はファシリテーターよりもサポートに回ることが多かったが、実際にやってみたら自信がついた」、「ついつい自分が仕切りがちになってしまうが、いろいろな役割を経験してみて、それぞれのふるまい方が学べたので良かった」など、実践したからこその感想が出ました。

◆ミッションステートメントとアクション宣言

最終日は、「リーダーシップ」と「ファシリテーション」を具体的にどう発揮するかを踏まえて考えた一人一人の「ミッションステートメント」をチームで共有しました。3日間という短い時間の間に自身と向き合い、ミッションを考えた学生たちからは、「考えたミッションに対して他者からコメントをもらい、自信を持つことができた」という気付きを得た半面、「具体的な行動をいれることが難しかった」という感想が出ました。これに対し岩田氏より、「見ていると、ミッションよりも行動指針(バリュー)に近いものがありました。そういったものについては、これからどのような場面で活かしていきたいのかをイメージできるとより具体性が出るので、ミッションにすることができると思います。是非これからどんどんブラッシュアップしていってください」というフィードバックが送られました。そして、学生たちは3日間の学びや気づきから作った「アクション宣言」を行い、終了となりました。

最後に深澤教授より、「出会いを大切にしてほしい」というお話しがありました。講師の岩田氏・鷲見氏はもちろん、卒業生や、チームのメンバーと共に過ごした3日間とそのご縁を胸に、今後の学生生活を送ってほしいというメッセージが送られました。

岩田松雄氏より

今年度も希望者が多く、通常より多くの受講生が参加していただきました。「ミッション」・「リーダーシップ」・「ファシリテーション」・「プレゼンテーション」等の授業は大企業の部長研修とほぼ同じ内容です。しかしながら受講生の皆さんは、しっかり自分の頭で考え、チーム内で討議をして、3日間で多くのことを学ばれておられるようです。合宿での様々なグループ討議を通じ、チームメンバー同士が日を追って強い絆で結ばれ、一生の財産になっているのではと感じます。最終日、自己のミッションなどの決意表明を発表するのですが、例年のことながら、とても内容が素晴らしくいつも感動します。我々講師も毎回多くの刺激を受けています。

鷲見健司氏より

合宿形式に戻った去年から2回で、のべ45名の先輩が講座に足を運び、受講者と触れ合ってくださいました。有難い限りです。「大学の価値は卒業生が決める」という深澤先生の言葉に倣えば、先輩方こそが本講座の価値を教えてくれています。そしてまた、今年も受講者27名の若い力が、私に未来への希望を感じさせてくれました。
「社会を変える、世界を変える」フューチャーリーダーたちの成長に少しでも関わらせていただくことができたことを大変嬉しく、光栄に思います。

深澤晶久教授より

キャリア開発実践論は8年目、今年は過去最高の27名の精鋭たちが、クロスウェーブ府中に集結しました。
岩田様、鷲見様からの数々のご示唆をいただき、また、熱心なアドバイスもあり、3日間で大きく成長した姿には、頼もしさすら感じました。
そして、今年も、過去履修して下さった先輩も20名が駆けつけて下さり、懇親会まで開催することが出来ました。

2023年1月12日

キャリアや働くことを共に考え、議論する「グローバル・キャリアデザイン」。第9セッションでは、CEL英語ソリューションズ最高経営責任者の曽根さんをお迎えしました!

全学部の大学3年生を対象に、就職活動に向けて「主体性」と「自育力」を身につけるグローバル・キャリアデザインでは、各分野から多彩な講師をお迎えし、学生と共にキャリアや働くことの本質を探ります。第9回では「本物の英語力」を身につける英語学校、CEL英語ソリューションズ最高経営責任者の曽根さんがご登壇。学生時代は東大野球部でピッチャーを務め、野球を通じて深澤教授ともつながりがあったという曽根さん。ますますグローバル化が進む社会で、これからキャリアを形成していく学生たちが英語をどうとらえるべきか、大切なヒントを語ってくださいました。

グローバル人材として思い浮かぶ日本人とは?

実践女子大学には毎年講師として訪れている曽根さんが、学生に最初に投げかけたのは「グローバル人材とは?」という問いでした。4人ずつの6つのグループそれぞれが、グローバル人材として思い浮かぶ日本人を3名、壇上のホワイトボートに記入。そこにはイチロー選手、ZOZOTOWN前澤元社長、渡辺直美さんなど、たくさんの名前が挙がりました。

「これをみると、スポーツ選手、芸能人、政治家、経済人など、いろいろな方の名前があります。グローバル人材というのは、ただ単に英語を話すだけではないことがわかるでしょう」

続いて曽根さんは、以前グローバル・キャリアデザインに登壇した3名の講師(指揮者の櫻井先生、レゴの蓮沼先生、スタバの岩田先生)を挙げ、そこに共通するグローバル人材像を探ります。ホワイトボードにはチャレンジ精神、コミュニケーション力、リーダーシップなど、様々な言葉が並びました。

「みなさん素晴らしい観点を持っています。教科書で教わらなくとも、グローバル人材の本質をよく理解しています」

英語の表現は多彩。正解は決してひとつではない

続く授業では、少し視点を変えて英会話での表現へ。
劇場や映画館で「こちらの席、空いていますか?」を英語でどういうか、学生に投げかけました。
「英語にはいろいろな表現があるので、正解はひとつではありません」と励ます中、グループごとに様々な答えが発表されました。

「みなさん素晴らしい。すべて正解です!」と称える曽根さんは、
「4 words(Is this seat taken?)」
「2 words(May I?)」
という短い表現も紹介。さらに言葉を使わないジェスチャーがあることにも触れました。

日本語と同じように「コミュニケーションの道具」である英語は、正解がひとつではないことを曽根さんは強調しました。
英語は正確に話さなければならないと考える学生には、目から鱗だったのではないでしょうか。

英語は「勉強」ではなく「使ってみる」ことが上達への近道

英語の習得には、「英語の富士山」があると語る曽根さん。あたかも山を登るように3段階のフェーズを経て、レベルが向上していくようです。
曽根さんによれば、英語をビジネスでもある程度不自由なく使えるようになるには2000時間必要といわれますが、1日3時間であれば約2年で達成できます。

「実は英語というものは、勉強してはだめなんです。StudyではなくPlayする意識が大切です。みなさんが自転車に乗れるようになったときのことを思い出してみてください。頭であれこれ思い悩むのではなく、とにかく乗ってみたのでは。英語もこれと同様で、『使ってみる』ことが上達につながるんですよ」

美しい英語とは、高い人間性が生み出すもの

最後に「美しい英語とは」という問いを投げかけた曽根さんは、著名人の英語スピーチを例に挙げ、発音や文法の細部にこだわるよりも話す内容が大切だと語りました。

「老若男女、誰がいつ始めても習得できる英語は、ネイティブになる必要はありません。美しい英語とは、経験、知識、教養、人格を含めた高い人間性を持った人が使う英語のことをいいます」

授業のまとめとして、グローバル人材には
①高い専門能力、
②コミュニケーション能力、
③自分を説明する能力、
これら3つの総合力の強化が役に立つと語る曽根さん。

実践女子大学を牽引するトップランナーを育てるこの授業から、美しい英語を使いながら未来を創るグローバル人材が育っていくことを願います。

深澤教授の話

曽根様には、毎年、ご支援をいただいています。
これからの学生が活躍する社会では、どのような企業で、あるいは組織で活動していても、英語でのコミュニケーション能力は求められると考えます。
しかし、ネイティブな英語を話すことよりも、品格のある日本人としての英語が大切であることを、曽根様は学生に語り掛けて下さいます。
「Play English」楽しみながら話すことこそ、上達への道だと考えます。
この場を借りて、曽根様には心から感謝申し上げます。

2022年9月26日

「キャリア開発実践論」が3年ぶりに対面で開催されました(9月10日〜12日)

どんな時代にあっても社会で活躍し、リーダーシップを発揮できる、そのような人間に成長して欲しいと願い実施してきたキャリア教育科目「キャリア開発実践論」が3年ぶりにクロスウェーブ府中において行われました。企業の管理職レベルの内容を大学の正規科目にアレンジした特別な講座は、本学のキャリア教育科目を代表する授業として、今年は7年目、130名を超える学生が巣立っています。

3年ぶりにリアルで

7年目となる今年の授業は、ここ2年間新型コロナウイルスの影響を受け、オンラインでの実施とならざるを得ませんでしたが、待ちに待った対面での実施が復活しました。やはりこの授業の醍醐味は、リーダーシップコンサルティング代表の岩田松雄氏(元スターバックスコーヒージャパンCEO)と同社共同代表の鷲見健司氏とともに、とことん議論を尽くすことに最大の意義を見出すことであり、今年も講師と学生、学生と学生の熱い議論が3日間続きました。

本講座は事前に課題図書が3冊提示されており、学生たちは夏休み期間に相当な事前学習に取り組んだ上で講座当日に臨んでいます。

初日は、岩田氏の講義を踏まえての「ミッション」を中心に展開されました。「ミッション」を考えることは、就職活動のみならず、これからの人生でとても大切な軸となります。とことん自らと向き合い、ミッションを考える学生の姿は真剣そのものでした。

その後は、「リーダーシップ」を考えた後、鷲見氏の導きにより「ファシリテーション」を徹底的に学ぶこととなります。VUCAの時代の中で、多様化する人々の価値観を踏まえ、組織を構成するメンバーの英知を結集するためのコミュニケーションとして、ファシリテーションの重要性は今後さらに高まるものと考えています。

最終日は、2日間学んだことを基本に、「リーダーシップ」と「ファシリテーション」を具体的にどう発揮するか、そして一人一人の「ミッションステートメント」を構築するとともに、行動宣言として発表して、終了となりました。

今年、岩田氏や鷲見氏が大切にした点は、上記の内容に加え、当たり前のように使われている言葉の意味の正しい理解という視点でありました。企業の管理職レベルでも誤った使い方がなされている事例を、分かりやすく解説いただきました。まさに生きた授業が3日間にわたって展開されました。

先輩交流会

例年行われてきた、過去の本講座受講生を囲んでの先輩交流会。ついに大規模での実施が実現出来ました。過去の第1期生から6期生まで総勢25名が参加。履修している学生が今年は13名でしたので、その倍にも上る卒業生が駆けつけてくれました。

コロナ禍で、縦のつながりが作りにくかったこともあり、先輩との交流会は大いに盛り上がりました。先輩からは、社会人として仕事のやりがいや、悩んだこと、そしてこの講座の思い出など、学生からは、就職活動についての相談や、今取り組んでおくべきことなどのアドバイスなど、その内容は多岐にわたりました。後半は、岩田氏・鷲見氏に関するクイズ大会も開かれ、1時間半の交流会はあっという間に終了しました。今後、さらに規模を拡大することで、卒業生同士の人的ネットワーク構築の場へと進化させていきたいと考えています。

参加学生の声

・この3日間は、まるで「私の人生のミーティング」を行えたような気持ちでした。岩田様、鷲見様、諸先輩方、そして受講者同士、とても素敵な出会いの場もいただきました。

・人と向き合うこと、自分のやりたいことと向き合うこと、自分の強みの活かし方、人として徳を積むことの大切さ、一歩前へ踏み出すこと、上げだしたらきりがないほど学びが得られた合宿でした。

・3日間を通して感じたこと、それは「もっと自分に自信をもって良い」ということでした。講座の前と後とで、明らかに意識に変化がありました。

・3日間、ここまで成長した13人のメンバーが、4か月後の報告会で、さらにどこまで成長しているか、今から楽しみですし、何より自分自身が成長を遂げて報告出来るよう頑張ります。

卒業生の声

・私は、キャリア開発実践論を通して考えた「軸」が就職先を決める際の判断基準になりました。後輩の皆さんの成長を期待し、応援しています。(2021年卒YK)

・普段なかなか大学生や大学の同期と会うこともなかったので、とても新鮮であり、貴重な時間となりました。(2021年SF)

・後輩との会話を通して、自分自身のキャリアを振り返るきっかけとなりました。社会人となり、目の前の仕事に忙殺されていたこともあり、再び、自分自身のミッションを思い出すきっかけとなりました。(2017年卒MY)

就活は大切なことではありますが、あくまでも通過点です。思い詰めず、でも妥協はせず、自分らしく頑張って欲しいと思います。(2019年卒RA)

・この取り組みがもっともっとつながって社会や会社を変えるようになれることを期待します。私もその力になりたいと思います。(2017年卒SK)

岩田松雄氏の話

コロナ禍にあって、受講生たちは入学以来ほとんど登校することもなく、人と接する機会が極端に少なくなってしまいました。研修中チームメンバーにランチを誘ってもらっただけで嬉しくて涙を流す人までいました。今回3年ぶりに(感染症対策を徹底した上で)合宿という濃密な時間を過ごし、薄れていた人と人とのつながりを感じてもらったと思います。ファシリテーション、リーダーシップ、働き方改革などの研修を通じて討議やプレゼンすることにより、自信もついたのではないかと思います。今後就職や人生を考える上で、家族や周りの人に自分の強みについて色々ヒアリングをし、自分のミッションを“脳みそがちぎれる”ほど考えてもらったことで、しっかり自身を内省できたと思います。また企業側も卒のない受け答えよりも、自分のミッションを情熱を持って語ってくれるような人を採用したいと思っています。さらにこの講座の卒業生は退職する方も少ないと聞いています。懇親会には多くのOGの方も参加して、有意義なアドバイスを送ってくれています。この研修を受けたというだけで何か仲間意識のようなものが広がっているようです。今後ともさらにより良い研修にしていきたいと思っています。

鷲見健司氏の話

受講生の互いを認め、高め合い成長する姿と以下のような言葉に、コロナ禍に奪われていた、学びの場の持つ大切な価値を痛感しました。

・初めて会う仲間と様々に語り合えて胸いっぱいの気持ちになりました

・参加者でお互いの意見を共有して議論しあう場が多くあり、とても濃い時間を過ごしました

・合宿形式ということで、他の学生と一緒に過ごす時間が長く、学校で行う授業では実現が難しいぐらい深くディスカッションすることができて、とても良い経験になりました

・正直、合宿に対して少し苦手意識があり、初めは参加を躊躇っていたのですが、3日間を通して、目標の『ここでしか得られない財産を得る』事ができ、本当に参加して良かったなと思います

・今まで、サークルや部活動に所属していないことや、オンライン授業の影響により学内の友人と深く関わることがなかったです。自分をさらけ出して友人とぶつかり合える貴重な経験ができ嬉しかったです

7年間を振り返って

深澤教授のお話し

超一流の講師陣の下、超一流の環境で学ぶことで、実践女子大学生のトップランナーとして社会に飛び立ち、さらに社会の先導者を目指してもらいたいという思いで実施してきた本講座も7年目を迎えました。3年ぶりに対面で行えたこともあり、岩田講師、鷲見講師の熱い指導を頂いたり、休憩時間などには、個別にアドバイスをいただく学生の姿も見られました。一つひとつの言葉の意味といった本質的な部分も、改めて貴重な学びとなりました。また、初日夜間の「先輩交流会」には、なんと25名の卒業生が参加してくれました。後輩思いの卒業生の優しさを感じるとともに、やはりこの講座の印象が、社会に出てからも決して色褪せていないことを感じる場面でもありました。この場を借りて、岩田様、鷲見様に心から感謝申し上げます。

2021年6月7日

新聞記事から最新の就職トレンドを読み解く!「日本経済新聞」と社会連携授業を行いました(5/18)

新聞の経済記事から最新の就職トレンドを読み解く社会連携授業が18日(火)、「日本経済新聞」の村山浩一氏を講師に招いてオンラインで行われました。村山氏は、新型コロナウイルス感染拡大(コロナ禍)も踏まえて、企業のアップツーデートな採用事情を紹介。学歴フィルターなど本学学生に関心が高いテーマも取り上げ、企業の採用行動を解説しました。

社会連携授業は、文学部国文学科の深澤晶久教授(キャリア教育担当)が担当する共通科目「キャリアデザイン」の中で実現しました。日本経済新聞社と本学の社会連携授業は、今年度で3回目となります。対象は学部を問わず3~4年生。今年度は、3学部6学科の45人が履修しています。
 
 講師の村山氏は、日本経済新聞社人材教育事業ユニット部長の役職にあり、早稲田大学の非常勤講師も務めています。この日の講義は「人生100年時代の『働く』を考える」。3年生の就職活動がこれから本格化するという今のタイミングを狙い、①今はどんな時代?②企業の今昔③私たちの給料④変わりゆく採用市場⑤メディアテラシー-の5テーマについて分析や解説を行いました。時折、ZOOMのチャット機能も駆使しながら学生たちの反応を確認、双方向による授業が試みられました。

ZOOMで講義する村山氏

ESや自己PR動画にAI判定も

「優秀な学生 争奪早まる=内定率、昨年上回る-コロナ下 就活解禁」(2021年3月2日朝刊)
 
 記事は、2022年春卒業予定の大学生らに対する企業の会社説明会が3月1日、解禁されたことを受けたものです。村山氏は同記事をもとに、今年度の就職活動の特徴を解説。最近注目を集めている選考手法を取り上げ、「リファラル採用やジョブ型採用、AI判定、このあたりが今年度の就職戦線でもキーワードになっているのではないか」と語りました。
 
 このうち、リファラル採用は今、産業界で広がっており、東急リバブルなどが採用。社員に有望な知人や後輩を紹介してもらう制度です。また、ジョブ型採用はKDDIなどが採用していると述べました。ジョブ型採用は仕事に対して専門的技能を持つ人を採用します。

他方、AI判定補助は、野村證券などが採用していると紹介しました。エントリーシート(ES)や学生の自己PR動画などをAIが解析、選考をサポート補助するのが特徴です。村山氏によると、実は「AIで判定すると、ESの合否判定は1秒で、瞬間で分かる」とか。以前、さるネット企業に聞いた話だそうです。そのせいか、実際はかなりAIで合否判定する企業が増えているにも関わらず、その場合でも「社員を介さずに、機械で合否判定していると分かると(受験生には)感じが悪いでしょう?」と言い、「表向きは『AIと社員が総合的に判定しました』と言い訳をする企業もある」と明かしました。

企業が「新卒採用」の機会を大切にする訳は?

次いで、村山氏は国内の22歳人口の減少に触れつつ、企業の「新卒採用の見通し」を説明しました。21年卒と22年卒の新卒採用について「変わらず採用したいという企業が最も多い」と指摘した上で、22歳人口の減少以外に企業が新卒採用を大切にしたい理由をチャットで学生に問い掛けました。

(学生1)「若い人たちを即戦力だと考える企業が少ないから」
(学生2)「若いアイデア、新しい考え方を取り入れたい」
(学生3)「管理職に就く人を育てる」
(学生4)「長く続くために」
(学生5)「良い人材を早めに確保する」
(村山氏)「いいですね。全部正解です。ありがとうございました」

期待通りの回答が得られたからでしょうか。村山氏は、学生の回答を一通り検討した上で、おもむろに自ら用意した回答を学生たちに示しました。「DXを強化するため」と「過去の採用氷河期を企業が今、反省しているため」の2つです。

 このうち、村山氏はデジタルトランスフォーメーション(DX)の強化について、「人工知能(AI)やデジタル化など事業を進めるには、いろんな技術が必要。だから人材が必要になる」と説明しました。「柔軟な発想の若い人を確保したい」という理由からで、学生たちの指摘と重なります。

他方、村山氏はもう一つの理由は「過去の反省」だと言います。というのも、1997年は旧山一證券や都市銀行だった旧北海道拓殖銀行が破綻した年ですが、企業はこの金融不況で、こぞって新卒採用を手控えたからです。あまつさえ、2008年には全世界にリーマンショックによる不況が広がり、企業は以前にも増して新卒採用に後ろ向きになります。この結果、企業の年次構成はいびつになり、長年にわたり、その後遺症に悩まされました。これを教訓に、例え今回のコロナ禍のような経営が苦しい状況にあっても、企業は「できれば安定的に採用し、年次構成がいびつになるのを防ぎたいと思っている」と語りました。
 
「年次構成がいびつになっただけではありません。ある年度、文系の新卒採用を見送った大手企業がありました。取材すると、翌年の採用は難しかったと言います。口コミで『あそこは業績が悪くて採用しないよ』と学生の間に広がってしまったからです」(村山浩一氏談)

トヨタの「学校推薦」廃止、衝撃走る!

「トヨタ、学校推薦を廃止=新卒の技術系、自由応募に」(2020年11月21日朝刊)

 他方、採用をめぐっては、村山氏は日本経済新聞の記事から学生が見逃してはならないとする別のニュースも紹介しています。日本を代表する企業のトヨタ自動車が、2022年春採用から学校推薦を廃止するという2020年11月21日の日経新聞記事です。「理系向けの話だが、(文系の)皆さんにも回り回って関係してくる」と指摘しています。

(村山氏)「トヨタ自動車が理系の技術職の採用にあたり学校推薦を廃止した。その狙いはなぜだと思うか」
(学生1)「アイデアを採り入れたい。チャレンジ精神を大切にしたい」
(村山氏)「あ、いいですね」
(学生2)「多様な人材。人材の幅を広げたい」
(村山氏)「あ、いいですね。いいですね」
(学生3)「毎年、学校で選ぶと、同じような人材が集まってしまう」
(村山氏)「あ、これは素晴らしいな」

日本を代表するトヨタ自動車が、技術者の採用にあたり学校推薦を廃止するというニュースは、産業界で大きな話題となりました。各大学から、例えば東京大学から何人、東京工業大学から何人、京都大学から何人と技術者を採る従来のやり方は、採用が楽だったのは確かですが、それを止めるというからです。

 「皆さんは、(CASE ケース)(※)という言葉を聞いたことがありますか。この数年の間に自動車産業に大変革期をもたらすといわれるキーワードです。自動運転や脱炭素のガソリンエンジン廃止などで、自動車の概念が大きく変わろうとしています。そんな大変革の時代には多様な人材が欲しい。学校推薦だと一定の優秀な人材は当然集められますが、同じような人材が集まってしまうからです。今まで受験してくれなかったような大学の学生にも受けてほしい。そういう理由で、面倒だけれども自由応募にして、多様な人材を集めたいということです。これでいうと、技術系の人ばかりの話ではないですよね。想像つきますよね」(村山浩一氏談)

「学歴フィルター」は存在するか?

続いて、学校推薦の話題に関連し、村山氏は「『学歴フィルター』は、日本の採用試験にあると思うか?と、学生さんから時々聞かれます」と語りました。

(学生達)「ある」「ある」……。「ある」
(村山氏)「全員が『ある』かなあ?答えてくれた人は、全員が『ある』でした」

そう語った村山氏は、学歴フィルターに関して民間企業が数年前に行った調査を紹介しました。それによると、「フィルターを何らかの条件で掛けていますか?」という問いに対して、約半分の企業が「掛けている」と回答したそうです。その中で、最も多かったのが「学部や学科、専攻で区別している」や「学校名で区別をしている」だったとか。この限りにおいて、学歴フィルターはあると言えるのですが、村山氏の見解は「学歴フィルターはあるといえばあるが、ないといえばない」という、分かりにくいものでした。
 
 というのも、村山氏は学歴フィルターを掛ける理由について「採用の効率性のためだ」と説明しました。採用試験は、企業にとり1円の儲けにもならず、コストだけがかさむとあって効率化を図りたいというわけです。その意味で「企業説明会である程度、学歴フィルターを掛けることはあります」と述べました。

他方、半分の意味で「ない」と説明したのは、「だからと言って、『この学校から採用しない』とか、『この学校からだけ採りたい』というのは、普通、有り得ない」からだと言います。その意味で「いろんな学校から学生を採りたい。だから、企業にすればどんどん受けてほしいのです」と強調しました。加えて、「採用実績のない大学でも、いい人がいたら採りたい。いい人とは、(その企業に)カルチャーフィットする人」とした上で、「そんな人がいたら学校名に関わらず採りたいというのが、今の企業の動き」と続けました。

ES読まれず学校名だけで不合格?

村山氏の学歴フィルターに関する解説に対して、別途、学生からも質問がありました。「エントリーシート(ES)を読まれずに、学歴フィルターだけで不合格になることは、今でもあるのでしょうか」。就活生なら誰もが知りたい「直球」質問です。

 村山氏の回答はこうです。「全く読まずに捨てるということはないです」。ただ、「社員がESを見ずに、AIだけで合否を判定している会社はある」というファクトを前提にした上で、村山氏が聞いた話として「AIで必要なキーワード、不要なワードがあると、経験則的に自分の会社にフィットしないという判定ができてしまう」と指摘しました。

人間がESを見ると、どうしても好みを生じるのは避けられません。例えば、ESが達筆な手書きだと内容までよく見えてしまう、といった類です。このため、「人間だと、どうしてもえこひいきが入ってしまうが、AIだとそれがない。そこでAIで合否を判定する会社がある」というわけです。

ただ、この場合でも「AIでも人間でも、読まずに(学歴フィルターだけで)『この学生はいらないから不合格にする』という、そんな失礼な会社は聞いたことがない」と言います。仮に学歴フィルターを掛けるとしても、例えば、大学や研究室に自社の採用活動を行う社員のリクルーターを指して、「あなたの大学にはリクルーターを派遣します。あなたの大学には派遣しません」というぐらいのレベルだとか。いずれにしても、リクルーターの派遣の有無とは関係なく、「企業カルチャーにフィットする学生が受験に来れば、企業は採用したいということです」と繰り返しました。

採用は4%増、業種でばらつきも

日本経済新聞社が集計した企業の2022年春新卒採用計画によると、大卒の採用計画人数は、21年春の実績見込み比で4.4%増となりました。村山氏は、同データに基づき、新卒で来春卒業する今の4年生の採用動向について「企業の採用意欲は強いが、業種によりばらつきがある」と指摘します。

 その上で、村山氏は「今、アルファベットのK字回復と言われているのをご存じでしょうか」と学生たちに問い掛けました。Kとは二極化です。例えば、IT企業や電機、自動車は業績好調なのに対し、交通やホテル、観光業界は業績が非常に厳しい。いわば「非常に業績がいい業界と、そうでない業界がK字型の二極化が進んでいる」というわけです。 

では、航空会社や鉄道会社、ホテル、観光などコロナ禍の直撃を受けた業種を志望する学生はどう就職活動を進めればいいのでしょうか。村山氏は、「コロナ禍の厳しい企業の経営環境は、学生に責任はない」と強調するとともに、こうした採用が止まっている業種を目指していた学生に対し、「気持ちを切り替えて、それ以外のところで、一旦まずは頑張っていただくのが大事だ」とアドバイスしました。
 
 村山氏はまた、本学の学生に対しても、こうアドバイスしています。「複数の会社を受験すると思うが、実践女子大からまったく採用実績のない会社ばかりを受験するのは得策ではない。実践女子大からそこそこ採用実績のある会社も混ぜて受験するのが、必須になる」と語りました。

※ 独ダイムラーが発表した中長期戦略の中で、同社CEOのディーター・ツェッチェ氏が提唱した造語。Connected(コネクティッド化)、Autonomous(自動運転化)、Shared/Service(シェア/サービス化)、Electric(電動化)の4つの頭文字をとり、100年に一度の大変革の時代を迎えている自動車産業界の動向を象徴するキーワードになっている。

深澤晶久教授の話

研究室でZOOMホストを務める深澤教授

日本経済新聞社の村山様からは、毎年貴重なお話しをいただいています。私も、就職活動を控える3~4年生に対し、「新聞を読みなさい、とりわけ日本経済新聞は就活に役に立ちます」と発言することがよくあります。しかし、ただ、新聞を眺めれば良いというわけではなく、多くの記事の中から、世の中のトレンドを読んだり、自分にとって必要な記事を探したりと、その“読み方”が大切なのだと思います。村山さんのお話しを聞いた学生の皆さんに私が伝えたいことは、記事の読み方、言い換えれば“読解力”の重要性に気づいて欲しいということです。今年も刺激的な数多くのお話しをいただきました。このお話しの中から、一人ひとりの学生が、何を読み解くか、引き続きフォローしたいと考えます。村山様に心から感謝申し上げます。

2021年5月21日

現役編集者が学生に文章術を指南、書いた原稿を日経新聞に投稿!「日経HR」と初の社会連携授業を行いました(5/14)

現役編集者から就職活動や実社会で役立つ文章術を学ぶキャリア教育授業が14日(金)、オンラインで開催されました。授業で学生が作成した原稿を日本経済新聞の「未来面」に投稿、31日付日経朝刊への掲載を目指します。同新聞グループの人材サービス会社「日経HR」と初めて行う社会連携授業として実現しました。同社コンテンツ開発室の渡辺茂晃氏を講師に招き、学生たちが就職活動のエントリーシート(ES)作成にも応用できる文章の書き方などの手ほどきを受けました。

履修生の6割が、投稿で腕試し

授業は、文学部国文学科2年生が対象の授業「実践キャリアプランニング」の一環として実施されました。同学部の深澤晶久教授(キャリア教育担当)が指導教授です。今年度63人が履修しています。

 授業で扱う「未来面」への投稿テーマには、「新型コロナが私たちに気づかせたものとは?」が採用されました。田中陽・日本経済新聞編集委員が、未来面の新シリーズ「本当に大切なことは何か」の第1回テーマとして提示したお題です。新型コロナウイルス感染拡大に伴う田中編集委員の問題提起に対し、課題解決につながる学生のアイデアが試されており、アイデアを400字以内にまとめて投稿します。締切は20日(木)正午まで。渡辺氏が講義のほか、希望者に対する原稿の個別添削も行いました。履修生の6割が腕試しに投稿する予定です。

学生にZOOMでレクチャーする渡辺氏

新聞の文章テクニックをESに応用してみては?

逆三角形スタイルをESに応用

このうち、14日の授業は、20日の投稿に先立ち、渡辺氏がESを例に「読まれる文章」の書き方をレクチャーしました。ESは「最後まで読まれるとは限らない」とした上で、読んでもらうためには「相手が忙しい人を想定して文章を書くといい」と強調。新聞のように、大事なことや言いたいことを先に書く逆三角形の文章スタイルをESに応用することをアドバイスしました。

 具体的には、文章の構成を見出し(結論)、リード(全体の要旨)、本文(リードをさらに説明)、背景説明の順に並べ、「どこで切られても、ある程度の事は分かる構成」にするよう提案しています。
加えて、社会人に求められる文章のポイントとして①主語と述語を正しく対応②修飾語と被修飾語は出来るだけ近くに③1文は短く、言いたいことは1つに-など9項目の文章テクニックを紹介。これらを駆使して「誤解を招かない」「読みやすい」「説得力がある」といえる文章を目指すよう求めました。

採用担当者が「途中で飽きてしまわない文章を」

その上で、ES定番の設問「学生時代に力を入れたこと」を例に取り上げ、学生が実際に書いた回答の添削例を紹介。「同じ語尾の繰り返し」「冒頭の一文が長すぎる」などとそれぞれテンポの悪さ、誤解の招きやすさを指摘するとともに、結論を冒頭に移すよう求めました。渡辺氏は、その理由を「企業の採用担当者は皆忙しいし、(ESで同じ設問に対する回答の)たくさんの文章をずっと読む。いくら読み進めても聞いている答えが出てこないと、途中で疲れて飽きてしまい、それ以上はもう読まない」と述べています。

 日経電子版の「未来面」は、日本が抱える課題を企業と読者が議論しながら深める紙面です。日本を代表する経営者らが、自らの問題意識に基づき課題を提示。課題解決につながるアイデアを読者から募集します。優秀アイデアに採用されると、日経電子版で10人、紙面で3人の原稿が掲載されます。

9つの文章テクニックを手ほどき
緊急事態宣言の再延長で研究室からZOOM

深澤晶久教授の話

ネット社会の中で生きてきた大学生たちに、改めて“言葉”の大切さを感じてもらいたい、相手の立場に思いを馳せながら、自分の思いを如何に伝えるか、なかなか直接会えない今、その重要性がクローズアップされていることを感じて、文章術のプロである渡辺さまにお願いして実現した授業です。就職活動のみならず、これからの大学での授業でも、社会人になってからも必ず役に立つ大切な学びであると思います。