社会連携プログラム
SOCIAL COOPERATION PROGRAM
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2023年11月8日

レースのストールから何を作る?日本女子大学の学生との共同プロジェクトで栄レースとのコラボ授業が行われました。

8月7日に滝澤 愛准教授(生活科学部生活環境学科)による栄レース株式会社(以下、栄レース)とのコラボレーションプロジェクトが行われました。栄レース株式会社とは、1958年から日本でリバーレース生産を開始し、現在では世界シェアNo.1のメーカーです。世界で唯一、デザイン・企画から製品化までを一貫して対応しており、レースデザイナーが日々デザインを考え、革新的なリバーレースを送り出し続けています。その洗練された最高峰の織機で仕上げられたリバーレースは、多くのオートクチュールメゾンや高級ランジェリーから熱い支持を受けております。今回は本学の学生だけでなく、日本女子大学・家政学部被服学科(以下、日本女子大)の学生も参加する共同プロジェクトです。この日はストールから別商品を作り出し、各々が自作した商品案を実際に見せながら特徴をプレゼンテーションしました。

レースを活かして洋服にも和服にも合うものを

4月から取り組んできたレースのストールから別の商品を生み出す課題の最終発表です。学生たちは実際にストールから商品を自作し、提示しながら良さをアピールしました。また作業の工程や時間から、希望商品価格まで考え発表しました。

最初の発表は実践女子大の学生から。
和服の羽織を考案しました。コロナ禍も開けはじめ観光需要も戻っている現状に合わせ、訪日外国人向けの商品として考えました。
レースの模様は和服だけでなく洋服にも合うため、和服を持っていなくても幅広い需要があると話しました。制電糸を使い、静電気を抑えながら水色とベージュの2色のストールを組み合わせて作成。秋などの肌寒い季節に販売することを想定し、袖口の透け感がきれいになるように工夫しています。希望価格は、裁断を工夫したり作業に慣れたりすれば4万円を切れるのではと伝えました。

次の日本女子大の学生は3点発表。
レースをアクリルファイルと紙で補強して作成したアクリルバッグは、洋服にも和服にも合うデザインです。アクリルバッグなので雨でも活用できるのも利点です。ポンチョと作り帯も考案しプレゼンしました。

若者にもミセス世代にも使いやすいものは?

次の実践女子大の学生は、黒いレースを活かしたビスチェを作成しました。
ビスチェは若い世代で流行っていますが、落ち着いた柄で年齢問わず使いやすく、ミセスの方でも手に取りやすい上品な作品になりました。
前開きができ、着やすい工夫も。値段は1万5千円前後で考えていると発表しました。

日本女子大の学生はアームカバーとポーチを発表。
1枚のストールから複数作成することができるため、ひとつの販売価格を3千円前後と手に取りやすい金額で提供できるものを考えました。

次の実践女子大の学生もアームカバーを考案しました。
黒やベージュ、ピンクと色、そして長さもさまざまなものを作成。。主に日焼け用として使われているアームカバーには、レースを利用した商品展開は少ないと分析し、需要があると考えました。ミセス向けには二の腕まである日除け用の長いもの、若者向けにはおしゃれ用にも利用できる肘までの短いものを提案。レースの種類によって透け感もさまざまで一点ものとしての面白さもあると伝えました。
ストール1枚から3セット作れることもあり、4千円前後のお手頃価格で販売できるのではと発表しました。

トートバッグやポーチにも

次の日本女子大の学生はトートバッグを作成。キャンバス地の布地にレースを貼り、しっかりと自立する実用性のあるトートバッグです。もう1点はレースの巻きスカートを考案。デパートや百貨店での販売を想定したため、クラシックバレエをされている方向けの商品を考えました。

次の日本女子大の学生もトートバッグを提案しました。
ピンクでカジュアルテイストなものを作成し、スマートフォンも入れられるポケットやリボンのチャームなど若者向けのデザインに。サイズが大きめのもので、1万5千円ほどの価格帯で考えています。

実践女子大の学生は、旅行の時に利用できるランジェリーポーチを発表。
内側にファスナー付きのポケットが付いていて、ランジェリーを2セット入れられます。折りたたんでポーチ型にすることで持ち運びやすく、旅行時にも利用しやすいものを提案しました。価格帯は8千円前後を考えています。

日本女子大の学生は他にも着物の付け襟や、トートバッグ、ビスチェ、手袋などをそれぞれ考え、発表されました。

商品はどこで売る?価格の決め方は?

発表後には栄レースの皆さんから総評をいただきました。

澤村氏は
「社内でもいろんな商品開発をしているが、先入観があったなと気付かされました。サンプルを預かって具体的な方向で、社内で検討したいです」と商品化に前向きなコメントを下さいました。

坂本氏は
「今回私たちも学生とのコラボは初めて」と話し、「授業もあるなかで大変だったんじゃないかと思います」と学生たちをねぎらいました。

後期は第二弾が始まります。Z世代向けと母親世代向けそれぞれターゲットを定めたレースを使った商品を考えます。学生たちからは、価格の決め方について改めて質問がありました。「どこで作ってどう売りたいのかも考えてほしいです」と坂本氏。地方の工場で作るのか、東京で職人が手縫いするのか、海外で販売するかなども含めプレゼンテーションしてほしいと要望がありました。
「アイデアは、こんなものでもいいのかな、などは考えなくていいです。楽しんで作ってください」と話し、今までとは違ったものや、レースを使った新しいものを考えてほしいと話しました。

後期に参加する学生はレースを受け取り、次回に向け作戦を練っていました。

滝澤先生からのメッセージ

栄レース株式会社様からのお声掛けで、商品企画を学生にさせて頂くことになりました。学生自らが最高級リバーレースという素材に向き合い、市場を鑑みながらそれを用いた商品のデザイン、アイディアを考え、練り、手を動かして形にしてプレゼンテーションをしていく、その一連のプロセスを通して、大学の学びを踏まえて応用的な実学を経験しています。
このような産学連携で、実際に百貨店などで販売を予定している商品案を、原価を基にした価格決定や顧客層も考えながらデザインしていくことは、学生にとっては得難い、非常に貴重な機会となっています。この商品企画は第3段まで続きますので、学生の成長がとても楽しみです。実際にアイディアが採用され商品化されるのはこれからですが、もし販売に至りましたら、店頭で是非ともお手に取って頂けましたら幸いです。

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