様々な分野で活躍している講師の方々をお招きした2022年共通教育科目「女性とキャリア形成」も、いよいよ最終回となりました。まとめの授業ではこれまでの6回の講義で学生のみなさんがどんなことを感じ、学んだのかをデータサイエンスの視点から分析しました。社会のあらゆる場面で情報のデジタル化が進む中で、データから何を読み取るかはますます重要になっています。授業の後に寄せられた学生の意見を統合し、それぞれの講義がみなさんの心にどのように刺さったのか、様々な側面から講義を振り返りました。
データを分析した数字だけでは、真のデータ活用とはいえない?
深澤教授の紹介で登壇したのは、VISITS Technologies株式会社の野村さんです。VISITS Technologies株式会社では、AIを活用したアンケートツール「VISITS forms」を提供しています。「VISITS forms」は、アンケートで寄せられた意見をAIがとりまとめ、傾向を可視化するツールです。これまでにトヨタ、パナソニック、住友商事などの大企業が社員から集めた意見をVISITS formsで分析し、業務改善や新たなミッションの策定につなげています。
データサイエンスの第一線にいる立場として、野村さんは語ります。
「みなさんが社会人になると遭遇すると思いますが、会社ではデータを分析し、結果の数字を発表して終わりというケースが少なくありません。数字をみるとなんとなくわかった気になりがちですが、その数字がいったい何なのか、数字が示す意味を掘り下げることが真のデータ活用なんです」
共感や納得を可視化することは、ビジネスや社会を動かす大きな武器になる
今回VISITS formsが分析したのは、アンケートで集まった学生達の意見に対する反響です。野村さんは総合点・新規性・有効性という3つの観点で反響が多かった学生の意見を9つ抽出し、匿名で紹介しました。全文を読み上げながら、どのポイントが支持を集めたのか、学生と一緒に探りました。
「注意したいのは、今回反響が多かった意見が正しいということではないということです。多様性を求める社会では、意見の多様性も大切です。いろいろな人がいて、いろいろな意見がある中で、そこから生まれる共感や納得を可視化することは、ビジネスや社会を動かす大きな武器になると思います。今回の授業を通じて、みなさんが他人との違いを知り、それをおもしろいと感じる学びになるとうれしいです」
授業の最後に、深澤教授のメッセージが詰まったカードのプレゼント
後半では、深澤教授から授業の振り返りがありました。
今年で2年目となった「女性とキャリア形成」で深澤教授が目指したことのひとつは、学生の1人ひとりが「6人の講義を自分のキャリアにどう活かすか」という視点を持つことでした。アンケート結果からも、気づきと学びに溢れた6回の講義は、さまざまなポイントで学生達の心を動かしたことがわかりました。
CUBEという4~5人のグループに分かれて進んだ授業は、学年や学科が異なる学生の間にコミュニケーションを増やしました。授業の進行も各CUBEの持ち回り制でしたが、どの会もしっかりと役割を果たしたことが、大きな拍手で称えられました。
授業の最後には、深澤教授から学生全員にハピネスカードの贈呈がありました。
カードの裏側には、
「実践女子大学で学んだ誇りを持ち、トップランナーとして活躍してほしい」
という教授の想いが込められたメッセージがいくつも書き込まれています。カードを受け取る学生達に、笑顔が浮かびました。
授業を通じて得た自信を、社会人としての活躍に役立ててほしい
今回「college student first」として、生徒の主体性と能動性を引き出すことを意識したという深澤教授は、6回の授業を見事にやりきった学生達を誇らしく語ります。
「今回は昨年よりも、さらに学生達が前のめりになってくれたと思います。今年から始めた試みである、講義を聞いた後に全メンバーをシャッフルして議論する『ワールドカフェ』という取り組みもよかったですね。他のCUBEで異なる意見に触れることで、同じ実践の大学生であっても、様々な意見があることに気づき、自分の意見を自由に言ってもいいという安心感や自信につながったようです。
講義にお招きした講師の方たちのように、学生達が社会で活躍しキャリアを積み重ねていくには、自己肯定感が必要です。今回の授業で得た様々な経験が、学生1人ひとりの自己肯定感を強くし、社会で勝負していく力につながっていってほしいと強く願っています。自分達で授業を創り上げたという自信が、リーダーシップのきっかけになってくれると嬉しいですね」
学年も学科も異なる学生が一堂に会し、ひとつのテーマについて語り合った「女性とキャリア形成」。貴重な講義と自由な議論の経験は、わくわくする未来を創る魅力的な人材を実践女子大学からたくさん送り出していくことでしょう。