タグ: 実践プロジェクトa

2024年8月23日

1年生対象の企業連携講座「実践プロジェクトa」を実施しました!

1年生対象の企業連携講座「実践プロジェクトa」をキャリア教育科目として展開いたしました。本年は5回目の実施となり、近畿日本ツーリスト様とサントリーホールディングス様の2社にご協力いただき、今年は、過去最高の36名の1年生が履修致しました。本講座は、フューチャースキルズプロジェクト研究会(FSP研究会)が構築しているプログラムであり、全国約30大学で展開されている講座です。狙いは、「大学での学び方を学ぶこと」と「主体性を引き出し、身につけること」です。14コマに2つの企業様からお題をいただき、中間、最終と2回のプレゼンテーションを含めての議論が続きます。しかも、テーマは、実際に企業様が取り組んでいる課題てあり、1年生にとっては、極めて高いハードルです。

近畿日本ツーリスト様からの課題

近畿日本ツーリスト様からの課題は、

あなたは地域活性化・課題解決を担う旅行会社の社員として、地域の本質を見極めて、地域の課題をデザインの力で解決し、その土地に元気を与え、より豊かに暮らせるような価値を生み出すことに挑戦。
今回は、伊豆諸島の個性豊かな6島の“土地の力”を引き出して『東京諸島の未来』をデザイン!
「ぜひ島に行ってみたいなぁ」「わたしもこんな風を島で感じてみたいな」と、心が動かされるような新たな企画をプレゼンせよ!です。
日本のZ世代+海外インバウンドに向けて、日本語と英語で島のキャッチコピーや島のオリジナルロゴマークをデザインし、それを活用して企業・商品・サービスと島と連携させて効果的な地域プロモーション案を企画する課題が出されました。かなり難しい課題に、グループのみんなで力を結集し、各島の斬新なデザインや企画を発表してくれました。


サントリーホールディングス様からの課題

サントリーホールディングス様からの課題は、あなたはサントリーホールディングスの社員です。2024年6月、ピープル本部から「人材育成革新プロジェクト」のメンバーとして指名されました。具体的な課題は二つあります。
①会社を取り巻く環境を踏まえ、企業人・社会人に求められるものは何なのか、結論を発表して下さい。
②それを踏まえ、これからサントリーに入社してくる社員に対する具体的な研修計画を提案してください。
今年のメンバーも、必死に取り組み、最後までやり遂げてくれました。

<学生のコメント>
◆実践に入学したら絶対に受けたいと思っていた授業でした。辛かったけれど、近畿日本ツーリスト様のお題を
いただいた頃とサントリーホールディングス様の提案を終えた今では、明らかに自分自身に変化がありました。
◆社会人と学生のギャップもかなり衝撃的なものがありました。これからの学びに変化をもたらせてくれました。

担当教員からのメッセージ

入学直後の1年生、自ら選択したとは言え、相当難しい課題に頭を悩ませながらも、真摯に前向きに諦めることなく取り組んでくれました。この授業を履修してくれた学生のその後の成長が著しいことは言うまでもありません。さらなる成長に向けてサポートを続けていきたいと思います。ご協力いただいた近畿日本ツーリスト様、サントリーホールディングス様にこの場を借りて御礼申し上げます。

2023年9月5日

新人研修でどんな力を身に付ける?「実践プロジェクトa」でサントリーの新人研修企画を発表するプレゼンテーションが行われました。

1年生対象の「実践プロジェクトa」(担当:文学部国文学科 深澤晶久教授)で、サントリーホールディングス株式会社(以下、サントリー)とのコラボ授業が行われました。会社を取り巻く環境を踏まえ、企業人・社会人に求められるものは何かを考えます。またそれを踏まえ、サントリーの新入社員に対する具体的な研修計画を提案します。中間発表では、ピープル&カルチャー本部の斎藤氏と長政氏、下間氏から厳しい意見もいただきました。各班は議論を深め内容をさらに練り直し、7月14日に最終提案に臨みました。

中間プレゼンでは厳しいフィードバックも

6月末の中間発表では、グローバル力を身に付けるために英語でのプレゼンテーションやスポーツ大会、コミュニケーション能力を養うため商品企画やチームプレゼンなどが提案されていました。その際、斎藤氏から総評として「皆さんがサントリーという企業に接するのは商品と広告だけだと思います。そのため商品企画やプレゼンが案に盛り込まれていたように思います。しかしそれはあらゆる仕事の中のほんの一部です」と話されました。

「企画」を担当する人がいるわけではなく、すべての仕事に「企画」があり、業務改善のフレームワークである「PDCAサイクル」を回す必要があることを語りました。「皆さんの両親や先輩などはどんな仕事をしているのか、身の回りの生の情報を活かしてほしい。頑張ってください」と伝え、最終提案に期待をかけられました。
学生たちはそれぞれいただいたフィードバックを元にさらに検討し、内容を見直していました。

人材育成にはなにが大切?

トップバッターは4班。
中間発表では「スキルではなく個性」としていた内容をさらに深めました。PDCAのフレームワークをシートで導入し、毎日課題を設定。達成できているか、何に取り組むべきかを明確にします。

企画は講座式とフィールドワーク式の2種類を考え、講義形式で社会人としての基礎知識としてのマナーを学びます。フィールドワーク形式では、飲料水を得るための方法を考案するプレゼンテーションを最終地点とし、目標をやり遂げる経験をすることで、社会人に必要な総合的な能力を身に付けられるとしました。

発表後の講評では、下間氏は
「中間プレゼンからブラッシュアップされ、新人は何を身に付けるといいかがよく練られていた」
と評価されました。

人材育成にはなにが大切?

続いての5班は中間発表で
「Wantsからneedsを引き出す力」が大事と発表し、さらに深堀しました。
主体性、想像力、創造力、柔軟性を身に付けることで会社を取り巻く環境に対応できる人材になるとしました。

企画は、サントリーの企業理念を伝える「水育」を中心に考えました。国内・国外での水を育む森の大切さを伝える活動を通し、グローバルな視点を持つ人材を育成するとしました。また、国連によって定められたWorldWaterDay(3月22日)のイベントの企画を考える企画案を提案しました。

下間氏は
「会社に必要な能力が整理されていました。その分なぜその能力を紐づけたのか理由があればさらに良かったです」
と感想を述べられました。

斎藤氏も
「Wantsからneedsを引き出す力に注目したことが良かったですが、これは他の力の総合力でもありますね」
とコメントされました。

新人が身に付けるべきものとは

6班は
中間発表で出したサントリーの理念「グローカル」を深めた研修を考えました。

グローカルとは、地球規模の広い視点と地域規模の深い視点を両立すること。今社会人に求められるのはグローカルな人材として研修を計画しました。期間は2か月半と設定し、はじめはマナー講座を行います。日本にとどまらず世界のマナーを学ぶことで、世界で恥ずかしくない人材に。その後、中国やヨーロッパなど海外のグループ会社へ研修に行き、日本とは異なる環境の中で仕事に取組み、やりぬく力を身に付けます。

発表後は斎藤氏から
「グローカルに注目したのは素晴らしい。ただ、海外に行って具体的に何をして何が身に付くのかをもっと絞り込んでいたら良い発表になったと思います」
と感想をいただきました。

次の3班は
中間発表で指摘されていた「会社愛」の項目は思い切って削除。
AIやIoTを活用できる能力や、コミュニケーション能力が必要と結論づけました。

コミュニケーション能力の中でも対人調和力、意思伝達能力が大切とし、聞く力と伝える力を養う研修を考えました。課題を設定しプレゼンテーションを行うことで、個人で積極的に動きチーム力を高めることにもつながるとしました。それぞれの課題ごとにPDCAサイクルを回し、考えることで自分が何をすべきか、何ができるかを考える主体性を育てるとしました。

斎藤氏からは
「中間発表からかなり考えられていました」
と感嘆の言葉が。

下間氏も
「コミュニケーション能力が深堀して考えられているのが素晴らしかったです。その後の業務につながる研修内容で良かったと思います」
と話されました。

グローバルな人材とは?コミュニケーション能力とは?

2班はコミュニケーション能力を中心に企画。
中間発表で若者が身に付けたい力とした「営業で通用する力」をさらに深堀しました。社会人ではコミュニケーション能力に関係調整力が追加されるとし、リーダーシップが必要と提案。目標を設定しその目標を成し遂げるために行動できる人材が必要としました。

企画は「SUNSUNプロジェクト研修」と名付け、SUNSUNガーデンで花や野菜を育てたり地域住民を来場してもらい社会貢献を学んだりします。
研修を通し、リーダーシップや必要な柔軟性を身に付けるとしました。

下間氏からは
「前回の発表からコミュニケーション能力について深堀されていて良かったです」
と評価がありました。

斎藤氏は
「研修はイベントにせず、地味で地道でいいのでは」
とアイデア先行にならないよう視点をしっかりと持って欲しいとアドバイスされました。

最後の1班は
「グローバルな人材とは」を、中間発表からさらに考えて企画しました。
グローバルな人材とは視野を広く持ち、多様性に対応できる能力がある人と定義付けました。研修で育てたい力を主体性、実行力、多様性を受け入れる力として、自分の目標を立てる大切さを伝える研修を目指します。さらにサントリーが求める人材として、環境に配慮できるということも重視。

「私たちができる社会貢献とは」をテーマにグループでプレゼンテーションをし、社会貢献活動中心の企画を提案しました。

下間氏は
「社会貢献はサントリーも大事にしていることなのでフォーカスされていたのは良かったです」とコメント。その上で「研修から何が身に付くのかが見えづらかった」と指摘されました。

斎藤氏は
「何が必要なのかが中間プレゼン以降、しっかり議論されたことが良く伝わってきました」
と話されました。

時間ぎりぎりまで細かいフィードバックがあり、学生たちにとって社会人に必要なものを考える、特別な授業となりました。

授業の最後には社員の皆様からアイスクリーム券のプレゼントが。
難解な課題の取組をねぎらわれた学生たちからは歓声があがっていました。

担当教員からのメッセージ

実践プロジェクトaは今年で4年目、コロナ禍の2020年を除き、サントリーホールディングス様には毎年ご支援いただいています。大学生なったばかりの1年生が、社会人に求められているものを調べあげ、サントリーホールディングス様の新人研修を考えるというのはかなりハードルの高い課題ではありますが、このお題を提示いただいている大きな理由は、この講座が「1年生に対して大学での学び方を学ぶ」という目的があるからです。言い換えれば、この授業で考え、調べ抜いた社会人に求められることを理解し、これからの大学生活を送ることが、素晴らしいキャリア形成に繋がるからです。今のレベルと社会人に求められるレベルとのギャップを埋めていく事が大学での真の学びなのです。毎年、ご支援いただいているサントリーホールディングス様に心から感謝申し上げます。

2023年9月4日

環境の取組を広めるには?「実践プロジェクトa」の授業でカルビーの課題を解決するプレゼンテーションが行われました。

「実践プロジェクトa」(担当:髙橋 裕樹特任教授)で、7月10日にカルビー株式会社(以下、カルビー)とのコラボ授業が行われました。この日はカルビーのSDGsへの取組の認知度アップのためにできる施策について、プレゼンテーションを行いました。三者三様の特色のあるプレゼンとなりました。

折りパケ運動を広めよう

チームじゃるびーは「折りパケ運動」に注目。
折パケ運動とは、折りパケ運動とは食べた後の空きパッケージを小さく折りたたんで捨てることで、ゴミの嵩を減らし、ご家庭のゴミ袋の量を削減しよう!という運動です。

しかし、学生たちが行ったアンケートによると、折パケ運動について知っている人は8%ほど。カルビー公式チャンネルYouTubeの中でも折パケ運動関連の再生回数は少なく、認知度は低い状態です。
ただ、取り組んでみたいと回答した人の割合は80%以上と高く、潜在的に環境問題に関心があることを示しています。

そこで、コンビニとコラボして、折パケの回収ボックス設置を提案。ボックスは好きな味や新商品への投票などと連動させます。また新商品プレゼントなどの特典を付けることで回収促進も目指します。

プレゼン後にはカルビーの荒木氏から質疑応答があり、折りパケ運動に注目された理由を確認されました。学生たちは「子どもでも簡単にできるのに知られていないことが惜しいと思った」と述べ、実際に折パケをやってみた学生は「これをきっかけに続けられたらと思います」と話しました。

荒木氏は「コンビニなど他の企業を巻き込むのは面白い。環境問題は利害関係が生まれてはいけないと思うのでいっそ競合社と手を組むなども考えたい」と、考えが広がったことを話されました。

環境問題に関心ある若者に訴求するには?

チーム推ししか勝たんのターゲットは未就学児から小学生と、大学生。
学生は9割が環境問題を自分事と捉え関心があり、拡散力もあると説明しました。学生の一人は子ども食堂のボランティア体験から小学生も拡散力があると実感していると話しました。

若い世代に訴求するために新パッケージの提案。主力商品のポテトチップスの表面にSDGsのロゴを付け、環境配慮しているとわかるようなナチュラルな色合いにすることを考えました。

また、体験型フェスの提案も。お祭りの屋台のように各人気商品でブースを設置し、できたてを提供できる形で、使っている油など環境に配慮していることを伝えます。そしてZ世代の情報収集時に使うSNSの一つであるインスタグラムにも、環境への取組についての投稿をすることを勧めました。

荒木氏は「ターゲットがしっかり決められていて、構成が分かりやすくまとまっていたと思います」と話しました。「カルビーの内部では新パッケージの提案はなかなか出てこない発想だったので新鮮」と感心され、環境週間など期間限定で行うのは良いかもしれないと、「ポテトチップス担当部門にも伝えようと思いました」と案の面白さを評価されました。

学食でアピール!

最後のモノクロチームは、大学生がターゲット。アンケート結果などから、大学生の環境への意識は高く解決に向け関わりたいと思っているものの、日常生活がエネルギーや環境問題につながらず実感がないと分析しました。

そこで、学食とコラボしたイベントを提案。学食で限定デザインのポテトチップスを販売し、袋はリサイクルボックスに回収することで、学食の割引券がもらえるなどのメリットを提案しました。パッケージも大学生にも手に取ってもらいやすいカラーやイラストを考えました。SNSの活用方法として学食コラボのポテトチップスを投稿すると、抽選で割引券などがもらえる仕組みも考えました。

発表後、荒木氏は「学食というのは学生ならではの提案。非常にいい提案だと思いました。全国の大学でできたら力になりそう」と学生のアイデアに感嘆。一点、割引券などのメリットがないと環境への取組は難しいのかと問いかけ、学生たちは「興味がない人が環境問題に関心を持つきっかけにはメリットがあることが一番だと思う」と回答しました。

学びの多かったプレゼン

授業の最後には、学生一人ひとりずつ感想を話しました。
「この授業を受けるまで、例えば折パケ運動も知らなかった。他にも環境に対する取り組みは自分にもできることがあるのではないかと思った」
「皆のプレゼンを聞く中で、環境への意識はあるけど、なかなかアクションにうつせていなかった自分もいることに気付いた」
と、環境問題について考え直す機会になった学生も。

プレゼンについても、
「同じ課題なのに各チームで方向性も規模も対象も全く違い面白いなと思った。楽しみながらみんなの発表も聞けました」
「アイデアはパッと出てきても、なぜそれにしたかの根拠を見つけるのが難しいと実感した」
「皆で話し合うことの楽しさが知れた。皆違う意見を持っていて自分の考えも広げられた貴重な体験でした」
と、自分たちの力になったことを実感した学生が多くいました。

最後に荒木氏から総評をいただきました。
「カルビーの内部でも難しい課題でした。3チームとも違いがあって気付きがたくさんありました。真剣に取り組んでいただけて嬉しかったです」と話し、「楽しかったと言ってくれたのが非常に嬉しい。商品を作るときも自分たちが楽しまないと良い商品はできなかったりする」と語り、積極的に取り組む姿勢の大事さを伝え、授業は終了しました。

2023年7月20日

現代の社会人に求められるものって?「実践プロジェクトa」でサントリーの新人研修を考えるコラボ授業が行われました。

6月16日に1年生対象の「実践プロジェクトa」(担当:文学部国文学科 深澤晶久教授)で、サントリーホールディングス株式会社(以下、サントリー)とのコラボ授業が行われました。ピープル&カルチャー本部の斎藤誠二氏と下間智美氏から「サントリーの新入社員に行う研修計画の提案」という課題が出され、グループワークを行います。ミッションを正確に理解し、社会人に求められるものを考える難しい課題に、学生たちは早速活発に議論していました。

やってみなはれ!サントリーの企業理念

サントリーは学生にもなじみ深い総合食品メーカー。主力の清涼飲料水や酒類のほか、サプリメントなどの健康食品、外食業や化粧品など幅広く展開しています。
現在売り上げの約半分が海外によるもので、世界に約4万人の従業員がいるグローバルな企業です。

下間氏は「サントリーは創業者の思いを継承し挑戦し続ける企業です」と話します。
「やってみなはれ」という創業者の口癖は今やサントリーのDNAとなっており、失敗を恐れずに未知の領域に挑戦し続ける、あきらめずに最後までやりきる、ということを大事にしています。下間氏は「サントリーはさまざまな挑戦の歴史があります」と語り、現在のペットボトルコーヒーの開発を例に挙げました。これまで缶がメインだったコーヒーを、現代の働き方に合ったスタイルで提案。新たな市場を開拓しました。
下間氏は「ただ売上を出したいということではなく、新しい生活文化を提供して生活を豊かにして欲しいという思いで開発しています」と語りました。

もう1つ大切にしている価値観が「利益三分主義」。
得た利益を事業への投資だけに回すのではなく、お客様へのサービスや社会への貢献にも活用することです。クラシックコンサートを行うサントリーホールや、サントリー美術館など芸術文化に触れる施設の運営を行ったり、スポーツチームやイベントへの出資をしたり。
また環境を守る「天然水の森」という森林活動や、子どもたちへ水の大切さを教える「水育」もその一環です。

人材育成に大切なこと

今回の課題は人事部門に関わる課題ということで、人材育成についても説明がありました。人材育成の役割は経営側と社員のそれぞれの考え・方向性を一致させることが第一です。
サントリーが求める社員は、グローバルな視野と開拓者精神を持った人。変化をチャンスと捉え、自ら一歩踏み出しチャレンジすることができる人材です。
「サントリーの中だけで活躍するのではなく、企業を飛び出して世の中でも通用する人材であって欲しいと思います」と下間氏は言います。

人の成長を決める要素とは7:2:1の割合で「経験:育成:研修」と言われます。
今回の課題は研修の部分。
下間氏は「たった1割かと思われるかもしれませんが、新人研修は社会人になって最初の、基礎になる重要な研修です」と話しました。

サントリーの新人研修を考えよう!

ここで改めて課題の発表が。「皆さんはサントリーの人事部の新入社員です」と下間氏。
課題は大きく2つです。
企業を取り巻く環境をふまえて、今の社会人に求められるものを考えること。
その上でサントリーに入社する社員に対する具体的な研修計画を提案することです。

「サントリーがどんな新人研修をしているのかという情報は、あえて提供しません」と下間氏。
提案された研修が、実際に行われている研修と合っているかということを問うている課題ではなく、学生たちの視点で自由にオリジナリティ豊かにに考えてほしいと話しました。

課題をどう進めていくかを、下間氏は3つのステップで伝えました。

ステップ1は「ニーズを把握する」。
どんな人材が企業から求められているのか、さまざまな情報を集めることが大切です。
ステップ2は「ニーズの背景を知り本質的な課題の考察をする」。
なぜそのニーズが求められるのか、その理由まで深堀すること。
ステップ3でようやく「具体的な研修計画を提案」です。

下間氏は「重要なのはステップ1と2をきちんと考えることです」と念押ししました。
研修計画を立てると「こんなことしたら楽しそう」とステップ3から考えたくなってしまいます。
しかし、いきなりステップ3から考えてしまうとなぜその研修が必要なのか、本質を見失い中身のないものになりかねません。ニーズを把握し、背景や課題を整理した上で「本質的な課題解決を前提にした、地に足のついた提案をまとめてもらえればと思います」と、学生たちの提案に期待を寄せました。

なにが本質?ロジカルに考えてみよう

早速学生たちはグループに分かれ作戦会議。
期間は?規模は?求められる人材は「自分で考える力じゃない?」「企業は個性を育てたいのかも」などさまざまな意見が飛び交っていました。
斎藤氏と下間氏に質問をしたり、昨年同じ課題に挑戦した先輩にアドバイスを受けたり、少しずつ案を固めていきました。

課題の評価基準はロジカルかどうか。
斎藤氏は「仕事はアイデア勝負ではない」と話し、筋道が立っていて納得できるものが大事と語ります。「今回の課題は何が正しいというわけではありません。世の中の情報に正解を探しに行かないでください」とアドバイス。
自分なりに考えて議論する大切さを伝えました。

学生たちはグループワークで提案を深め、中間発表を経て1か月後にプレゼンテーションに臨みます。

担当教員からのメッセージ

本授業について、サントリーホールディングス様にご支援いただくのは3回目となります。「大学での学び方を学ぶ」という本講座の狙いを実現する大切なテーマへの挑戦です。言い換えれば、このお題を通して、今社会は、どのような人材を求めているのか、そしてサントリー様ではどのような人材を育成しようとしているのかを考えることになりますが、このことを議論することは、1年生にとっては、ここからの4年間何を学ぶべきかを考えることに繋がるのです。果敢に挑戦してくれることを期待しています。この場を借りて、サントリーホールディングス様の斎藤様、下間様に心から感謝申し上げます。

2023年7月10日

東京諸島の“宝”とは?「実践プロジェクトa」の授業で近畿日本ツーリストの課題への最終プレゼンが行われました。

6月2日に1年生対象「実践プロジェクトa」(担当:文学部国文学科 深澤晶久教授)の授業で、近畿日本ツーリスト株式会社の課題へ企画提案をする最終プレゼンが行われました。課題は「東京諸島を、若者が必ず一度は行きたくなる聖地にする」。グループごとに担当する島が割り振られ、30名の1年生が、それぞれの島の魅力を『宝』として探し出します。1年生で、プレゼンテーションが初めての学生も多い中、レベルの高い発表が行われました。

中間プレゼンで練り直し

今回の発表の前に、学生たちは5月19日にプレゼンに臨んでいました。
中間提案を行い、質疑応答やフィードバックをもらって最終プレゼンに向け再考するための機会です。それぞれのグループは、担当の島の宝として名産や景観を紹介、プレゼンしました。若者がどういうときに旅行に行きたくなるかも市場調査し、『癒し』や『SNS映え』をメインにするグループも多くありました。

6グループすべての中間プレゼンが終わった後、小宮氏と橘氏から全体講評がありました。
まず小宮氏からは「本当に担当の島が素敵だなと思っていますか?」と問い掛けが。
「その島でしかできないことや独自の仕掛けが必要」と言い、現在のプレゼンでは観光地の紹介に偏っているのではと厳しい指摘を受けていました。

4つの目で見てみよう!

続いて橘氏はまず、企画の立て方のコツとして、
「全体を見る『鳥の目』、注目する『虫の目』、時流を読む『魚の目』、疑ってみる『コウモリの目』」を紹介しました。

市場調査をしたうえで、ストロングポイントに注目し、トレンドに合っているかをみて、時には逆張りのアイデアをぶつけてみる。良い企画にはすべての視点が大切だと話します。
「6島とも自然があり海がきれいです。その中でその島にしかないものは何かを考えてみてください」と話しました。
「体験する人の感情が分かるような企画を楽しみにしています」と最終プレゼンに期待を寄せました。

講評後はさっそくグループで案を練り直します。
「リピーターを増やすにはどうしたらいいかな」「思い出になるものは?」など再度検討。
授業を見ていた過去にこの講座を受講していた先輩方も駆けつけてくれてアドバイスをします。橘氏と小宮氏も各チームを周り、細かくフィードバックしてくださいました。

“宝”を活かしてアピール!

2週間後の6月2日。
いよいよ最終プレゼンの日です。この日は東京諸島観光連盟の照沼氏もご参加下さいました。

最初の発表は新島グループ。
毎日の仕事に疲れた女性をターゲットに、新島の宝である海とガラスで癒しのツアーをプレゼンしました。
新島の周辺の海はサーフィンやシュノーケリングなどそれぞれに合ったスポットがあり、どの目的でも楽しめます。さらに新島一周クルージングの旅を用意。
船上で足湯なども楽しめ、参加者には新島ガラスのブレスレットをプレゼントし、思い出にしてもらう企画です。
橘氏からも「島一周クルージングはとても面白い、やってみたいですね」と感嘆の言葉がありました。

八丈島グループは人気コーヒーチェーンであるスターバックスコーヒーとのコラボを提案。
ターゲットを流行好きな大学生に定め、空港などで八丈島の特産品を使った新作フラペチーノを販売する企画です。
特産品は八丈レモン、ジャージー牛乳、明日葉、パッションフルーツを用意。SNSに写真を投稿してもらうことで宣伝効果も狙います。
小宮氏も「ツアーではなく企業コラボという提案は面白い切り口」と感心されていました。

本当に行きたくなるプレゼン

伊豆大島グループは、春に開催される「椿まつり」期間中に映画祭を開催することを提案。
屋外でも過ごしやすい伊豆大島の春に、映画を楽しんでもらうと同時に、伝統の祭りにも親しんでもらおうという企画です。
特産品が食べられる屋台なども出店し、地域住民と観光客がつながる仕掛けです。
橘氏は具体的な交流方法について質問。学生は「椿まつりの中に地元の人が紹介や説明する交流イベントがあるので、映画祭きっかけで行った若者も気軽に参加できるようになると思います」と回答しました。

SNSでアンケートを実施したのは三宅島グループです。
若者が旅行先に島を選ばない理由は島自体を知らないこと、魅力が分からないことが理由と考え、知ってもらえるきっかけ作りに企画を特化。若者の目に留まるポスターやSNSでの宣伝方法を考えました。
島の方に直接連絡を取り、おすすめポイントや星空の写真を提供してもらって宣伝動画を作成しました。
小宮氏は実際に島の方に連絡を取った行動力を賞賛。「実際に島に行きたくなりましたか?」と問われた学生たちは、大きく頷いていました。

自分を見つめる旅

デジタルデトックスをテーマに選んだのは神津島グループ。
参加者はスマホの電源を切り、使い捨てのフィルムカメラを渡されます。
癒されたい人は星空保護区に認定された素晴らしい星空の下で星見ピラティスをしたり、アクティブに動きたい人は赤崎遊歩道で透明度の高い海を堪能したり。
思い出を写した写真は旅行後に特設サイトに投稿してもらい、参加者全員でアルバムを作れる仕組みも考えました。
「デジタルデトックスは良い視点。癒しと刺激という相反する価値観があるのも良かったです」と橘氏は感想を話されました。

最後の小笠原諸島グループは「自分探しの旅」と題し、将来に悩んでいる大学生をターゲットに、「遊び×インターンシップ」が融合したツアーを提案しました。
夏休み期間に2週間ほど滞在し、自分の興味を持った仕事を体験できる仕組みです。
ウェルカムイベントでは島内を巡る宝探しを行い、特産品や地元のことを学べる工夫も。
宝探しに必要なクイズは地元の小学生に考えてもらい、地元の人にも積極的に関わってもらう仕掛けを考えました。
小宮氏からも「地元の小学生に参加してもらうというのがいい。ロジックもとてもしっかりしていて聞きやすかったです」と感想をいただきました。

自分自身の“宝”を見つけて

発表後には照沼氏からも感想をいただきました。
「自分もいろいろな企画を作っていますが、頭が固かったなと。とても刺激になりました」と話し、島の魅力を再認識されたことを話しました。「プレゼンをきっかけに興味を持ち、島に行ってくれたら嬉しいです」と語りました。

最後は優秀賞と特別賞の発表です。
「どのグループも良い発表で、予想以上の出来でした。差はわずかです」と橘氏。
そのなかで優秀賞は小笠原諸島グループでした。「地元との交流とインターンというコラボの発想が素晴らしかった。若者がこのツアーに行ってどう変化するかが考えられていました」と授賞理由が述べられました。
特別賞は「企業との掛け算に可能性を感じた」と八丈島グループに贈られました。

橘氏は「今回の発表で、各島の特徴は全然違うんだと分かったと思う」と話し、「島は皆さん自身です」と語りました。
「皆さんの中にもそれぞれ違う宝がある。自分の強みって何だろうと問いかけ、自分自身にいろんな企画をぶつけてみてください」とエールを送りました。

担当教員からのメッセージ

1年生に対象を絞って行われている「実践プロジェクトa」も、今年は4年目を迎えます。コロナ禍で行われた2020年から近畿日本ツーリスト様には継続してご支援いただいています。毎年、テーマも変えていただき、1年生が真剣に取り組んでいる授業です。「大学生の学び方を変える」という狙いに向け、一般社団法人FSP研究会が構築した本プログラムは、全国約20大学で同時進行中の授業です。また、本学の講座には、過去履修してくれた学生たちがSAとして参加してくれており、自身の経験を通じて後輩へのアドバイスも行ってくれています。コラボいただいている企業、先輩、そして履修している学生が一体となって展開している講座は、年々グレードアップされており、本授業を履修している学生の成長には凄まじいものがあります。毎年ご支援いただいている近畿日本ツーリストの橘さん、小宮さんには、心から感謝申し上げます。

2023年6月30日

カルビーの環境への取組って知ってた?「実践プロジェクトa」でカルビーの環境対策の認知度アップを考えるコラボ授業が行われました。

「実践プロジェクトa」(担当:髙橋 裕樹特任教授)の授業で、6月5日にカルビー株式会社(以下、カルビー)の荒木友紀氏をお招きしたコラボ授業が行われました。カルビーのSDGsへの取組を伺い、その認知度アップできる施策を考えます。学生たちはグループワークを重ね、後日プレゼンテーションに臨みます。

健康への思いから設立されたカルビー

実は荒木氏は中学・高校からの実践女子の卒業生。大学では生活科学部で学び、10年間実践女子で学んだ先輩です。1999年に卒業し、食に関する企業に興味を持ったところからブルドッグソース株式会社に入社。2004年にカルビー株式会社に入社されました。マーケティングに携わり、主にスナック菓子のブランディングや商品設計を行っています。

カルビーの社名の由来は「カルシウム+ビタミンB1」。健康食品づくりへの思いが託されています。最初のヒット商品はかっぱえびせん。来年60周年を迎えるロングセラーです。誕生当初はアメリカ産の小麦粉が大変安い時代で、未利用だった小エビと共に活かしてできた商品です。「自然の恵みを活かすこと」を大切にしており、原料は自然素材を使い、農工一体で取り組んでいることが特徴。特に主力商品であるポテトチップスの原料となるじゃがいもは、加工用の国産じゃがいもの約60%をカルビーが使用しています。
商品作りだけでなく土づくりから品種改良まで、じゃがいもに関わるすべてのプロセスに関わり、徹底した品質管理を行っています。

地球の未来のためにできること

カルビーの環境への取組として、2030年までにプラスチック容器を50%環境に配慮した素材にすることを目標にしています。
2050年には100%を目指しており、「大変な目標だと思いましたが、ここまでしないと貢献ができないと考え、全社で取り組んでいます」と荒木氏。
パッケージのインクを植物性由来のバイオマスインキを利用したり、包材の研究を進め薄膜化したりとCO2削減に取り組んでいます。

またカルビーでは国内全体のパーム油の使用量の約5%を占めており、大変多くの油を使っています。パーム油はアブラヤシからとれる油でインドネシアやマレーシアで産出されますが、森林伐採や児童労働が問題になっています。カルビーは、こうした社会問題に配慮した認証パーム油への切り替えを進めており、パッケージにも認証マークを表示しています。
【認証パーム油に関する動画】
https://www.calbee.co.jp/sustainability/

認知度が低いのが課題…

荒木氏は「SDGsの認知者の2人に1人が、SDGsに取り組む企業を応援したいという結果がでています」と話します。そのためカルビーも環境ラベルで取組への消費者の納得を得たい反面、まだまだ認知度が低いのが課題です。
店頭やCM、Webサイトなどでアピールしていますが、なかなか浸透していません。学生たちに知っているかを問いかけても、認証マークを知らなかった学生も多くいました。
「入社前にいろいろ調べているだろう内定者からも、知らなかったという声がたくさん聞かれました」と荒木氏。

認証マークを得られる原料は、通常のものよりも値段が高いのがネック。「原料のコストは上がっているんですが、なかなかそれを知られておらず、価値が伝わっていないということが課題」と荒木氏は話します。

環境への取組を知ってもらうには?

ここで課題の発表です。
テーマは「カルビーの環境への取組をお客様へ伝えるコミュニケーションを考える」。
考えるコツとして
「誰が(Who)」
「何を(What)」
「どのようにして(How)」
を土台に考えていくことが紹介されました。

このなかで特に大切なのは「誰が(Who)」。ポテトチップスの主な購買層はファミリー層です。学生世代の若者はあまり買わなくなっているそうです。あえて若い層の方々をメインにご購入いただけるようにするのか、現状の購買層に向けて発信するのか、ターゲットを決めることは重要です。

実は同様の課題は、昨年カルビー社内の若手社員にも出されたといい、「なかなか社内の人間でも難しい課題です」と荒木氏。「ぜひ自由な発想で取り組んでください」と学生の発表に期待を寄せました。

誰にどうやって認知度を上げる?

学生たちは早速3つのグループに分かれディスカッションを始めました。
「若者をターゲットにするならショート動画がいい」
「インフルエンサーは?」
などSNSを活用することを考えるグループや、
「興味があることは自分で調べるけど、関心がなければ見て終わるだけになりがち」
「興味を持ってもらうには向こうから知ってる?とアピールしてくれるといい」と方法を考えるグループも。

最後に3グループそれぞれの方向性を発表しました。
1グループのターゲットは若者。SNSやQRコードを利用してアピール。
購入者も環境取り組んだのだ、と参加が分かる仕掛けを考えます。

2グループは小学生を対象にします。
カルビー主催でコンクールを行い作文などで広く伝える案が出ていました。ゲーム配信などのイベントのスポンサーとなり、ポスターやCMで若者にも訴求。
若者の中でも健康意識が高い層に訴えることを提案しました。

3グループは中学生以上のスマートフォンを使う学生をターゲットに設定しました。
SNSなどで短い動画を流します。キャラクターを作りキャッチーな内容を流して認知度アップを狙います。

学生たちはグループワークを経て案を練り上げ、1ヵ月後に最終プレゼンに臨みます。