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2026年8月7日

「サステナブルな機内食」って?「演習Ⅲa」の授業で、JALの韓国線の機内食を考える特別コラボのプレゼンテーションが行われました。 

7月7日に「演習Ⅲa」(担当:人間社会学部ビジネス社会学科 角本伸晃教授)の授業で、日本航空株式会社(以下、JAL)との特別コラボ授業が行われました。今回は2ヶ月かけて取り組んでいた課題のプレゼンテーション。テーマは「サステナブルな韓国便の機内食を考える」。学生たちは班に分かれ、この日のために企画を練り上げてきました。

企業さながらのプレゼンテーション

本日のプレゼンテーションには、6名が審査員として参加しました。
現役客室乗務員の吉村真紀氏をはじめ、機内食企画担当部署など、実際の企業プレゼンテーションさながらの顔ぶれです。学生たちが緊張した面持ちで臨むなか、吉村氏は「今日は実際に機内食を決めているメンバーが集まっています。皆さんの発表をとても楽しみにしてきました。現場の意見を直接聞ける貴重な機会でもあります」と期待を寄せ、プレゼンテーションが始まりました。

機内食に遊びを!

最初の班は、韓国旅行をより楽しめる機内サービスを提案しました。
到着後に現地グルメを満喫できるよう、機内食は軽めのサラダラップを主食としたセットを考案。副菜には、冷めてもおいしく食べられる濃い味付けのグラタンを組み合わせました。食べ終えると、容器の底に旅行運などの占いが現れる仕掛けも取り入れています。
さらに2次元バーコード付きカードを配布し、韓国語の基本的なあいさつや日本とのマナーの違いを紹介するトラベルガイドを閲覧できるようにするなど、到着後も安心して旅行を楽しめる工夫を盛り込みました。

発表後の講評では、「参考になる点が多かった。占いの仕掛けは若い人ならではの発想ですね」と評価されました。
また、「飛行機を降りた後まで考えた提案が印象的でした。韓国便はフライト時間が短いことを理由に発想を広げていなかったと気付かされました」と、担当者からも高い評価が寄せられました。

心と身体を満たすセルフメイクBOX

続いての班は、20代女性をターゲットに、美容や健康に配慮した機内食を提案しました。
メインはベーグルサンドで、ヨーグルトやクリームチーズを添え、自分好みに味をアレンジできる内容です。具材にはバナナやベリーなど、機内で気になりやすいむくみ対策を意識したビタミン豊富な食材を取り入れました。

講評では、「心のウェルビーイングに着目した点が印象的でした。カロリーを気にせず楽しめる機内食という発想は新鮮です」と高く評価されました。
一方で、「ターゲットが明確で企画の軸がしっかりありました。ただ、ビジネス利用の男性などには物足りない可能性もあります。より幅広い層に訴求できる工夫があると、さらに良い提案になったでしょう」とアドバイスが送られました。

未来食を体験できる機内食

最後の班は、JALが日本発の国際線やラウンジで提供している「未来の食材50」に着目。
「未来からきたランチボックス」と題し、未来の韓国料理を提案しました。「未来の食材50」とは、環境負荷が少なく健康にも配慮した食材のこと。もやしやわかめなど身近な食材も含まれています。
これらを使った韓国風おにぎり「チュモッパ」やナムルをメインにし、さらに「未来の食材50」のトレーディングカードを付属。2次元バーコードから食材を使ったレシピを見られる工夫も盛り込みました。

前の2班とは異なるアプローチに、JALの担当者からは「内容がプロのようによく調べられていた」と高い評価が寄せられました。
「食を通して新たな気付きを提供し、お客さまの発見につながる提案だった」「おいしさだけでなく学びも届けられる」といった講評に加え、「日本食の要素を取り入れると、韓国との橋渡しになるのでは」といった実践的なアドバイスもあり、学びの多い発表となりました。

実際の企画にも刺激になる発表に

最後に中間発表にも参加された鈴木氏から総評がありました。
「中間発表から大きくレベルアップしていました。韓国線の機内食は特に難しいテーマですが、皆さんが真剣に取り組んでくれたことが伝わりました。JALでは思いつかない発想も多く、私たちも大いに刺激を受けました。ここにいるメンバーで今回の学びを今後の機内食づくりにも生かしていけると思います」と講評されました。

発表後、学生たちも感想を共有。
「他の授業でもグループワークは経験しましたが、今回はコストや提供方法まで考え、実際さながらの企業のプレゼンテーションを実践できました」と振り返りました。
また、「中間発表で多くの指摘を受け、企画を一から練り直しました」と話す班もあり達成感をにじませていました。

授業の終わりには、吉村氏から修了証が授与され、会場は和やかな雰囲気に。
企業と連携し、本格的な企画立案とプレゼンテーションを経験した貴重な学びの機会となりました。

担当教員からのメッセージ

中間発表会では学生としてはとても素晴らしい提案をしてくれましたが、アイディア勝負の面がありました。機内食というビジネスの一部であるからには、コスト制約を無視するわけにはいきません。中間発表会ではその点をご指摘いただきました。その後、最終発表会に向けて、ゼミ生たちはコスト面だけでなく中間発表会でいただいた他のコメントも意識しながら、ブラッシュアップしていきました。最終発表会では当初予定の倍の審査委員の方々にお越しいただき、緊張感の増す中で、堂々と発表をしてくれました。このPBLを通して、学生たちは共創力を大きく伸ばすことができました。

2026年7月6日

アイデアを製品に!2026年度「演習Ⅱa」の授業で猿田彦珈琲とのコラボ授業が始まりました。

4月29日、演習Ⅱa(Kクラス担当:ビジネス社会学科 篠﨑 香織教授)にて、猿田彦珈琲とのコラボ授業が始まりました。初回の授業では、代表取締役の大塚朝之氏をはじめとする社員6人をお招きし、猿田彦珈琲のコーヒーにかける思いや経営哲学など、企業理念について紹介いただきました。また、企業が実際に抱える課題をテーマにした商品企画の内容も発表され、学生たちは今後、課題解決に向けた取り組みを進めていきます。

授業と連携企業について

演習Ⅱaは、人間社会学部の2年生を対象に開講されている専門科目です。授業を通じて、次年度以降のより専門的な学びに向けた具体的な根拠に基づく議論をする力や、正文献サーベイなどを通して必要な情報を収集し、活用する力を身に付けていきます。

猿田彦珈琲との連携は今年で2回目です。昨年は〈猿田彦珈琲のSNSについて考えよう〉をテーマに、SNS投稿の提案を行いました。学生たちが提案した投稿案はブラッシュアップの後、実際に猿田彦珈琲公式SNSアカウントで投稿が行われました。

インスタグラムの投稿→https://www.instagram.com/p/DSrqtLhAT8w/?utm_source=ig_web_copy_link&igsh=MzRlODBiNWFlZA==

篠崎教授は「猿田彦珈琲との連携授業の一番の特徴は、皆さんのアイデアを単なる発表で終わらせず、『ワクワクを形に』して実際に店舗での商品化を目指すことです。直感だけでなく、論文やデータなどの根拠に基づいた提案を行う練習としてこの課題に取り組みましょう」と学生に呼びかけました。

授業のはじめに

学生たちの手元には猿田彦珈琲のカフェラテが配られ、心地よい雰囲気の中で授業がスタート。

「すっぱめのコーヒーとミルクを合わせることが、猿田彦珈琲のカフェラテの特徴です」と話す代表取締役の大塚氏から、猿田彦珈琲の価値観について説明がありました。

猿田彦珈琲の原点

起業時に「『親近感のある接客とおいしいコーヒー』が理想像だった」と話す大塚氏。その原点として、コーヒーショップが自身の居場所となったエピソードを紹介しました。

大塚氏は自身が役者を志していたことを紹介し、「オーディションの結果がなかなか実を結ばず、ふさぎ込んでしまった時期があった」と振り返りました。当時、ふらっと立ち寄ったコーヒーチェーン店で受けた親近感のある接客に「社会とのつながりを感じた」と話し、「友達未満の程よい距離感の交流が、『コーヒーショップは居場所である』という感覚につながった」と語りました。

さらに、友人の紹介でコーヒー豆を販売する店舗で勤務していた経験にも触れ、「豆の販売や、展示会の参加を通じて『飲み物のコーヒーを売りたい』という気持ちを抱くようになった」と話しました。

猿田彦珈琲の今

猿田彦珈琲は、「たった一杯で幸せになるコーヒー屋」をコンセプトに掲げるスペシャルティコーヒー専門店です。スペシャルティコーヒーとは、品質評価で高得点を獲得した高品質なコーヒーのことを指します。猿田彦珈琲では、市場全体の上位5%ほどの品質の豆を使用しており、コーヒー豆の買い付けから販売までを一貫して行っていることが紹介されました。

大塚氏は「国内に30以上の店舗を展開するほか、自家焙煎珈琲のドリップバッグなどの卸販売や、コーヒー飲料の商品監修も行っています」と話しました。また「6月に渋谷新南口に店舗がオープンします」と紹介しました。

店舗一覧→https://brand.sarutahiko.jp/shop

「利他的が得」な経営哲学

大塚氏は組織づくりに対する考えについて、「利他的な行動は、結果的に自分にも良い形で返ってくるのではないか」と語りました。

「利他的が得」になる仕組みについて、「利他的な行動をすると周囲から褒められ、その経験が自己肯定感や自信につながる」と説明。実際の例として、社員がバリスタの世界大会に出場した際のエピソードを紹介しました。

大会には先輩と後輩にあたる社員が出場し、最終選考では6名が順番に競技を行いました。競技順は事前に団体ごとに割り振られており、猿田彦珈琲には1番と6番の順番が与えられていました。大塚氏は、より早い順番の方が有利とされていることを説明しました。

大塚氏によると、競技順を決める際、先輩社員は後輩社員に1番の順番を譲ったそうです。大塚氏は、「世界大会で優勝できる可能性がもっとも高い順番を、自ら後輩に譲ったのです」と紹介しました。

その結果、大会では後輩社員が1位を受賞し、先輩社員は2位を記録しました。大会後には、先輩社員の姿勢を見ていたバリスタコーチや大会関係者から、「彼はすごい」と称賛の声が多く寄せられたそうです。大塚氏は、「この出来事以降、彼の社内での発言の質が明らかに変わりました。それは、この経験を通して自信がついたからだと思います」と話しました。

一見すると営利とは関係のない「利他的な行動」が、結果として組織やビジネスにも良い影響を与えていることを学生たちに伝えました。

課題の発表

大塚氏から猿田彦珈琲の価値観や商品づくりへの想いが語られた後、猿田彦珈琲が実際に抱える課題をテーマに、学生が取り組む3つの課題が提示されました。

まず、フード商品開発チームの三浦里芳氏から、学生全員が個人で取り組む課題〈アイスの商品企画〉について説明がありました。三浦氏は、課題提案の必須条件として「商品名、フレーバー、こだわりポイント、PR方法」を提示しました。また、課題の詳細な設定として「冬の販売を想定すること」や「学生や20代の若者をターゲットにすること」などが共有されました。

フード商品開発チームの坂本大樹氏と経営企画チームの河村美樹氏からは、グループごとに取り組む課題〈ジェラッテの商品企画〉と〈福袋の商品企画〉について説明がありました。

〈ジェラッテの商品企画〉では、坂本氏はジェラッテの抱えている課題として「認知度が低いこと、価格帯が適切か不安であること」の2点を挙げ、一日の店舗売り上げを約7杯から10杯に引き上げたいと考えていることを学生に伝えました。学生には「商品名」「フレーバー」「価格」「PR方法」の4点を盛り込んだ企画提案が求められ、販売期間を11月から2月とする条件も提示されました。また、実際の店舗を見学し、商品や価格設定について理解を深めてほしいと呼びかけました。

一方、〈福袋の商品企画〉では、河村氏から「20代前半の若者が興味を持ち、購入したくなる福袋」をテーマに企画してほしいとの説明がありました。あわせて、2025年の福袋が手土産需要を意識し、“手軽さ”をコンセプトに開発されたことも紹介されました。学生には「コンセプト」「価格帯」「外装」「内容物」の4点を提案条件として示し、「年末年始の具体的な利用シーンを想像しながら企画を考えてほしい」と期待を寄せました。

学生は前半に個人課題である〈アイスの商品企画〉に取り組み、発表を実施。その後、グループに分かれて〈ジェラッテの商品企画〉または〈福袋の商品企画〉の提案に挑戦します。

授業に関するインスタグラムの投稿はこちら

実践女子大学人間社会学部公式インスタグラムにて、授業紹介の投稿が行われました!
投稿リンク:https://www.instagram.com/p/DZ8pW_oAaMe/?utm_source=ig_web_copy_link&igsh=MzRlODBiNWFlZA==

担当教員からのメッセージ

昨年に引き続き、猿田彦珈琲社との連携授業を担当することとなり、大変光栄に思っております。

 今年度は、「アイス」「ジェラッテ」「福袋」という三つの課題に取り組むという、挑戦的でありながらも大変貴重な機会をいただきました。アイスは他のカフェでも展開されている商品であるため、どのような差別化要素を組み込めるかが重要なポイントとなります。一方、ジェラッテは猿田彦珈琲オリジナルの商品であり、その魅力をいかに多くの方に知っていただくかが課題です。福袋については、「猿田彦珈琲らしさ」を打ち出しながら、女子大学生が思わず複数購入したくなるような商品を目指しています。

 ビジネス社会学科の学生は、商品企画やマーケティング、価値創造への関心が高い傾向にあります。だからこそ、市場や社会の動向にしっかりと目を向けながら、実践的な提案ができるよう授業を展開しています。

 5月27日には、履修者全員(26名)が猿田彦珈琲社の皆さまの前でアイスに関する提案発表を行いました。次回のジェラッテと福袋の発表は、チームごとに取り組んだ成果を発表する予定です。学生たちのアイデアが今秋・今冬の商品づくりに活かされるよう、引き続きサポートしてまいります。

 猿田彦珈琲社の皆さま、いつもおいしいコーヒーをありがとうございます。また、学生一人ひとりの力を引き出してくださる貴重なコメントをいただき、心より感謝申し上げます。

2026年7月1日

航空機廃材に新たな価値を JAL連携授業で学生がアップサイクル商品を企画・最終プレゼンを実施(6/16)

6月16日、人間社会学部ビジネス社会学科2年生が取り組んできた、日本航空株式会社(JAL)との産学連携授業「演習Ⅱa」(担当:若林宏保教授、井上綾野准教授)の最終プレゼンテーションが行われました。5月の授業で提示された「航空機の廃材を活用したアップサイクル商品」の企画課題に取り組んできた学生たちが、約1か月にわたる検討の成果を発表しました。

JAL社員になったつもりで商品企画に挑戦

JAL航空みらいラボ(WEB:https://www.jalaviofuture.co.jp/ )と連携した課題解決型授業が、最終発表を迎えました。授業では、JAL航空みらいラボの細野志麻氏をゲストに迎え、航空機のアップサイクルやJALのサステナビリティへの取り組みについて学びました。

細野氏からは初回授業で「JAL社員になったつもりでアイデアを考えてください!」と呼びかけがあり、学生たちは「廃材の特性を生かし、『Z世代から長く愛される』新商品を、社会や消費者への伝え方も含めて企画・デザインする」という課題に挑戦しました。

約50人の学生が10チームに分かれ、中間発表でのフィードバックを受けながら企画をブラッシュアップ。最終発表では、「なぜその商品なのか」「どのような価値を届けるのか」「どのように共感を生み出すのか」といった視点まで掘り下げた提案が各チームから発表されました。

初回授業の様子はこちらの記事から→https://socialcooperation.jissen.ac.jp/topics/10693/

Z世代に響く商品企画と発信戦略

学生たちは、航空機の廃材を活用した多彩な商品アイデアを提案。窓材を使ったキーホルダーやリング、座席レザーのスマートフォンケース・ネックピロー、シートベルトのApple Watchベルト、救命胴衣のガーランドなど、素材の特性を生かした企画が並びました。

さらに、「旅の記憶」や「人を支えてきた素材の物語」といったストーリー性にも着目。SNSで共有したくなるデザインや2次元バーコード を活用した素材の履歴紹介、航空券とのセット販売など、商品の魅力をどのように伝え、体験価値として届けるかという視点からの提案も見られました。推し活や旅行と組み合わせた楽しみ方、購入後の体験設計など、「いかに共感を広げるか」を意識した企画が多くのチームで共通していました。

発表後、細野氏は「中間発表から大きく成長した企画が多く、商品の背景やストーリーが伝わる内容になっていた」と評価。また、「楽しい商品だからこそ、どう楽しむのかまで伝えることが大切」としたうえで、企業やブランドとのコラボレーションでは理念や価値観との親和性を意識することの重要性など、実際の商品企画やマーケティングにつながる視点からアドバイスを送りました。

学生たちにとって、企業担当者から直接フィードバックを受けながら企画を磨き上げる経験は、企画力や提案力を高めるだけでなく、企業視点で課題を捉え、価値を創造する力を養う貴重な機会となりました。

アイデアと提案力が光った入賞チーム

最終発表後には審査結果が発表されました。

3位:チームH-AIR
ファーストクラスのシートレザーをアップサイクルしたネックピロー「SORA PILLOW」を提案。素材の品質やストーリー性に加え、コラボレーションの視点も盛り込んだ提案が評価されました。

2位:エアウィング
航空機の窓材を活用したリング「スカイリング」を提案。素材が持つストーリー性に加え、航空券とのセット販売など、旅と商品を結び付けた体験価値の高い提案が評価されました。

1位:麻辣湯(マーラータン)
航空機のシートベルトを活用したApple Watchベルトを提案。空港ごとに異なる刺繍デザインを取り入れ、「次は別の空港にも行ってみたい」と思わせる仕掛けを提案。完成品として販売することで利用者の利便性にも配慮し、デザイン性と実現性を兼ね備えた提案が高く評価されました。

担当教員からのコメント

今回の課題は実際の企業課題を扱う難易度の高いものでしたが、どのグループも非常に質の高い提案をまとめてくれました。学生たちは、Z世代のニーズやJALらしさ、実現可能性などを多面的に検討しながら企画を構築し、ストーリーづくりやネーミングにも高い創造性を発揮していました。また、JALの皆様からのフィードバックを受けて提案を磨き上げる姿勢からは、対話力や協働力の成長も感じられました。生成AIも効果的に活用しながら、自分たちの考えや熱意を形にできていたことが印象的でした。貴重な学びの機会を提供してくださったJALの皆様に心より感謝申し上げます。〈若林宏保教授〉

2026年6月15日

金融業界をもっと身近に!三菱UFJモルガン・スタンレー証券とのコラボ授業が実施されました。

5月1日、キャリア実践演習(担当:国文学科 深澤 晶久教授)にて、三菱UFJモルガン・スタンレー証券株式会社から飯村隆太氏と髙橋真一氏をゲストにお招きし、金融業界について学ぶコラボ授業が行われました。学生たちは、物々交換とお金を使った売買の両方を体験できるオリジナルゲームや講演を通してお金が持つ価値や役割について学びました。

授業と連携企業について

キャリア実践演習は、文学部3年生以上の学年を対象とした共通教育科目です。ゲストとして登壇する企業について主体的な事前調査を行い、企業のプログラムに挑戦します。

今回の授業では、手と頭を動かす体験型の講義を通じて金融業界の役割やお金に関する基本的な知識を身に付けました。

飯村氏は「金融業界と聞くとあまりなじみがないかもしれませんが、この授業を通じて少しでも身近に、そして就職活動の選択肢の一つになればいいなと思っています」と話し、講義がスタートしました。

お金の役割を体験しよう!物々交換ゲーム

講義では早速、飯村氏考案のオリジナル物々交換ゲームが行われました

ゲームは、食材カードを使って料理を完成させることが目標です。学生たちは班ごとに配られた手札を確認し、どの料理を作るか話し合いました。作戦会議では、「あと何の材料があれば完成するか」を考えながら、必要な食材の洗い出しを進める班の姿も見られました。

その後の交換タイムでは、学生同士による食材カードの交渉がスタート。少人数のグループに分かれ、それぞれが希望する食材を求めて交渉を行いました。スムーズに交換が成立する場面もあれば、「一旦保留で」と交渉を持ち帰る場面もあり、各班が試行錯誤しながらゲームに取り組んでいました。

交換終了後には、手元の食材カードを使って完成した料理を発表。すべてのカードを活用できた班もあれば、一部の食材を余らせてしまった班もありました。

飯村氏は「残った食材は腐ってしまいます。腐ってしまった食材は捨てるしかありません」と説明。料理に活用できなかった食材は価値を失ってしまうことを学生に伝えました。

お金の導入!第2フェーズ

続いてゲームの第2フェーズでは、「お金」の概念が導入されました。注文シートと特設カウンターが設けられ、学生たちは食材カードを売買できるようになります。学生たちは配られた食材カードを確認しながら、「この料理が作れそう」「これは売却しよう」などと相談し、売買を前提とした新たな作戦を立てていました。

ゲームが始まると、不要な食材カードを売却して資金を確保し、そのお金で必要な食材カードを購入する学生たちの姿が見られました。予算ぴったりで購入する班もあれば、余裕を持って資金を残す班もあり、各班がそれぞれの戦略でゲームを進めていました。また、購入後に改めて手札を見直し、再び売買に向かう班や、一度売却した食材を買い戻す班も見られました。

ゲーム終了後、学生からは「お金を活用することで、いらないものを手放してほしいものを手に入れることができました。交渉も『ほしいもの』同士で行わなくてよいので楽でした」「売買リストが事前に共有されていたため、作戦が立てやすかったです」といった感想が聞かれました。

飯村氏は「お金に変えることで価値を腐らせることなく手元に置いておくことができます。食材と比べると、価値が落ちるスピードははるかに遅いです」と説明。ゲームを通して、物々交換と比較した際のお金の利便性や役割について解説しました。

学生たちは2つのフェーズを通して、物々交換とお金を用いた取引の違いを体験的に学びました。 ゲームの後にはお金の歴史や、その仕組みを支える金融業界について解説が行われました。

お金の歴史

飯村氏は「お金って考えてみると意外と深いもので、お客様とお話しているときも盛り上がったりします。これからお話しする内容も、実際にお客様にお話している内容です」と述べ、お金の成り立ちについて紹介しました。

かつては金そのものが価値を持つものとして物品の交換に使用されていましたが、紀元前7世紀頃になると、金属を用いた貨幣が登場。その後、11世紀頃には金と交換できる「引換券」として紙幣が誕生し、17世紀頃に紙幣が広く定着したと説明しました。

続いて紙幣と信用の関係性について解説がありました。

飯村氏は紙幣の成り立ちについて「もともとは金と引き換えることができる引換券」と表現し、現在の日本の1万円札が約25円で製造できることを紹介。「紙幣は製造コストだけを見るとお札の価値は数十円程度ですが、社会全体がその価値を『1万円』だと信じて認めているため、紙幣として買い物に使用できる」と、紙幣そのものの価値と、社会の中で認められている価値は異なることを説明しました。

この、社会の中で認められている価値を〈信用〉と呼び、クレジットカードやキャッシュレス決済も〈信用〉を活用したお金の形の変化だと話しました。

金融業界の役割

飯村氏は「金融業界は、お金を『集める・貸す・増やす・守る』ことをしています」と説明し、「『集める・貸す』は銀行、『増やす』は証券、『守る』は保険が担っています」とそれぞれの役割を紹介しました。

銀行は利用者から預かったお金を住宅購入者や企業などに貸し出すことで経済を支え、証券は株式や投資信託などへの投資を通じて資産形成や経済の活性化に貢献しています。また、保険は多くの人がお金を出し合い、事故や災害などで大きな損失を受けた人を支えることで、安心を提供する仕組みであると説明しました。

学生たちは、金融業界という一言でまとめられる業界の中にも、それぞれ異なる役割があることを学びました。

金融業界のやりがい

飯村氏は「新卒で商社に入社したのち、外資系銀行を経験して現職となっています。現在はお客様の資産運用のお手伝いが業務の中心です」と自身の経歴を紹介しました。

また、仕事を通じて得られたものとして、「お客様としてさまざまな方とお会いできることがおもしろいです。また、マネーリテラシーが身に付き、結婚や学費など自身のライフプランニングにも役立っています。周囲にも相談しやすい環境があります」と説明。さらに、「外資系企業も多い業界のため、転職を含めたキャリア形成がしやすい点も魅力です」と話しました。

学生たちは、物々交換ゲームや飯村氏の講演を通して、お金の仕組みや金融業界について理解を深めました。

担当教員からのメッセージ

本年から開講のキャリア実践演習については、金融、
エンタテインメント、ヘルスケアの3社のご支援をいただき
文学部キャリア科目群の3年生向け科目としてスタートしました。

その冒頭にお願いしたのが、金融リテラシー講座です。
キャリアを考える上で、決して外せないのがファイナンシャルプランニング
であると考え、三菱UFJモルガン・スタンレー証券様にご協力をお願いしました。

金融リテラシーと聞くと、難しいイメージがありましたが、ゲーム方式を
取り入りていただき、学生は、とても楽しく、「マネーの基礎」について学ばせて
いただきました。こうした知識を知っておくかどうかは、彼女たちの将来に
大きく影響することと思います。
この場を借りて厚く御礼申し上げます。

2026年6月2日

航空機のアップサイクル商品企画・デザインに挑戦!2026年度「演習Ⅱa」の授業でJALとのコラボ授業が始まりました。

5月12日、演習Ⅱa(担当:ビジネス社会学科 若林 宏保教授、井上 綾野准教授)にて、JALとコラボした航空機のアップサイクルに関する授業がスタートしました。JALから細野志麻氏をゲストにお招きし、JALが取り組むサステナビリティへの取り組みとアップサイクルの事例の講演と、学生が取り組む課題の発表が行われました。

授業と連携企業について

演習Ⅱaは、人間社会学部の学生を対象に開講されている専門科目です。授業を通じて、次年度以降のより専門的な学びに向けた具体的な根拠に基づく議論をする力や、正しい文献を選び必要な情報を正確に読み取る力などを身に付けていきます。

この授業では、企業から提示された課題に学生が取り組む「課題解決型」の授業として、旅客機や貨物機の運航を行うJALと連携しています。今回はコラボ授業の初回として、学生が取り組む課題が発表されました。また、課題に関連するJALの取り組みについて、客室乗務員の責任者や救難訓練の教官を経験した細野氏から解説が行われました。

細野氏は「JALではサステナビリティへの取り組みを強化しており、『社会価値創出を事業の中心・成長軸に据える』という価値観で様々な活動を行っています」と話し、その取り組みのひとつとして、アップサイクルについて解説しました

アップサイクルとJAL

細野氏ははじめに、「アップサイクルは“使われなくなった廃材を、新しい形に加工して活用すること”です」と紹介しました。

そして、JALにおける廃材について、「航空機そのものです」と説明。航空機には約300万点の部品が使用されており、座席に使われているレザーやシートベルトをはじめ、エンジンや窓などもアップサイクルの対象になっていると話しました。

細野氏は、アップサイクルの素材として活用されている例のひとつとして“救命胴衣”を紹介しました。機内で使用される部品や装備品には、安全を守るために厳格な使用期限が定められており、まだ使えそうに見えるものでも安全上の理由から廃棄されることがあるそうです。そのため、「年間約2000個の救命胴衣が、きれいなまま廃棄されていました」と説明しました。

アップサイクルがスタートしたきっかけ

JALでアップサイクルが始まったきっかけは、「救命胴衣のポーチ」だったと紹介しました。

定期交換する救命胴衣が年間2000個、故障も無いのに綺麗な状態のまま廃棄されるのを見た整備士が、「もったいない。何かできないか。」と声をあげたことがきっかけとなり、アップサイクルの取り組みが始まりました。

 この取り組みをきっかけに、安全のための使用期限を過ぎてしまった救命胴衣やシートベルトなど、ほかの装備品や部品類のアップサイクルに活動が広がっていきました。現在では、家具メーカーなど他社とコラボした取り組みも行われており、社員が制作したアップサイクル商品は現在もJAL公式オンラインストアやJAL工場見学の売店、不定期の物販イベントで販売されています。

JAL公式オンラインストア→https://ec.jal.co.jp/shop/e/e00020394/

新たな価値を付加するアップサイクルとストーリー

細野氏は、JALが行う航空機のアップサイクルについて「使用期限が切れた装備品や経年劣化で使用できなくなったものでも、“実際に運航で使用されていた”というエピソードがあります。一度役目を終えた部品の役割を加工によって変化させることで、新たな価値を生み出しています」と説明しました。

さらに、「使われなくても、航空機としてたくさん空の旅を経験している装備品たちが、新たに生まれ変わって価値を発揮することは乗務員としてもうれしく感じます」と、アップサイクルへの思いを語りました。

実際の商品

JALのアップサイクルの事例が紹介されました。シートベルトや救命具など、実際に機内で使用されていた装備品は、キーホルダーやポーチにアップサイクル。さらに、航空機の車輪止めに使用されていた木材は、神社とコラボした”滑らない”合格祈願のお守りとして活用されています。

また、実際に機内で使用されていたシートレザーは、スツールや小銭入れ、バッグへと生まれ変わっているほか、エンジンの部品や燃料タンクの点検口の蓋を使用したインテリアオブジェ、アクリル製の窓を使ったキーホルダーなども紹介されました。

実際のアップサイクル商品のほか、加工前の廃材を学生に渡す細野氏。

学生は実物を間近で観察し、素材を確かめて「かわいい」「しっかりしていて頑丈そう」など、感想を交換しました。

課題の発表

今回学生が取り組む課題は「廃材の特性を活かし『Z世代から長く愛される』新商品を、社会や消費者にどう伝えるかも含めて企画・デザインする」です。

細野氏は「JAL社員になったつもりでアイデアを考えてください!優秀な企画は実際に採用させていただく可能性もあります」と学生に声掛け。「必要に応じて他社とのコラボOK」など、発表の要件が共有されました。また、今回の企画でアップサイクルの材料として使用する廃材の特徴も紹介されました。

学生は、今回の授業で確認した実際のアップサイクル商品や、素材の特性を参考にしながら、グループに分かれて企画の提案を行います。

担当教員からのメッセージ

ビジネス社会学科2年生約50名が、JAL航空みらいラボ様と共に航空機のアップサイクル・アイデアに挑みます。
教員として期待するのは、単なる思いつきに留まらない「社会課題の解決とビジネスを結ぶ」リアルな視点です。約50名の仲間と切磋琢磨しながらプロの現場に本気でぶつかり、未来の循環型社会を形にする力を養いましょう。学生たちの瑞々しい感性とJAL様のプロの知見が融合し、どんなワクワクするイノベーションが生まれるか楽しみです。〈井上 綾野准教授〉

2026年5月28日

ベネッセスタイルケアの施設に訪問し、学生考案プロジェクトの実践が行われました。

12月10日(水)、株式会社ベネッセスタイルケア(以下ベネッセスタイルケア)とコラボし、全4回の授業にわたって連携プロジェクトが行われました。最終回となる4回目では、ベネッセスタイルケアが運営する高齢者施設を訪問し、入居者の皆様に向けて学生が考案したアクティビティと制作プロジェクトの実践が行われました。

授業と連携企業について

授業連携が行われたのは、生活科学部生活文化学科 塚原拓馬准教授のゼミナールです。塚原准教授は生涯発達心理学(人の一生を通して、年齢や状況ごとに変わる心のあり方や成長を、周囲の環境との関係から考える学問)を専門とされており、ゼミナールでは人間の生涯に関わる心理的なテーマを取り扱っています。

ベネッセスタイルケアは高齢者向けの介護サービス事業を中心に、高齢者の生活に寄り添うサービスを提供している企業です。今回は『〈高齢者のWell being〉に関して理解を深め、実践していく』をテーマに、企業連携プロジェクトが展開されました。

今回の実践にあたり、学生は提案の事前調査として施設の見学と実施されているアクティビティを体験しました。
調査を踏まえ、アクティビティの提案を行う班と、施設の環境を活かした提案する班の二つに分かれ、具体的な行為とプロジェクトの提案を行いました。

アクティビティ班の発表

事前調査で体験したアクティビティ『歌声喫茶』の経験から、入居者の方には音楽が好きな方が多いことに着目しました。班のメンバーにも音楽が好きな学生が多かったため、共通点である音楽を取り入れた体操を提案しました。体操で使用する曲は、入居者の方々の世代に親しまれている曲と、大学生世代で流行している曲の2曲が選ばれました。

入居者の方々は学生の発表に対し、うなずいたり背伸びをしてスライドを見たりと、関心をもって聞いてくださいました。実践パートでは、学生が最前列の参加者と目を合わせながら笑顔でコミュニケーションをとる姿が見られました。なじみのある曲が流れると、鼻歌を口ずさみながら体操に取り組む方もいました。初めは見学として見守っていた方も、次々と体操の輪に加わり、アクティビティは徐々に活気づいていきました。

二曲目はテンポが速い曲で、初めは戸惑う様子もありましたが、学生のお手本と同じ動作を行ううちに、皆さん次第にリズムに乗っていきました。終わった後には着ていた羽織を脱ぐ方もいるほどで、学生とのアクティビティに熱中していた様子が伝わってきました。

アクティビティの感想を求められた入居者の方は、明るい笑顔で「たのしかった」と答え、学生は嬉しそうにうなずいていました。

環境班の発表

環境班の発表では、『一人時間の充足がウェルビーイングにつながる』という考えを提示しました。事前調査の見学の際、施設内には一人で過ごせるスペースが多くあることに気づき、充実した一人時間の過ごし方として読書を提案しました。さらに、ただ本を読むだけではなく、読書に必要なしおりを活用した施設内スタンプラリーや押し花制作などのアイデアも紹介しました。今回はその中から、ペンを用いて「栞(しおり)」にイラストを描く制作を行うことを説明しました。

この発表に対し、入居者の方からは「押し花の案、良いと思います。これからのしおりづくりも楽しみです」との感想があり、介護職員からも「スタンプラリーの企画はすごく素敵です。参考にさせていただきます」とコメントをいただきました。

発表の後は、実際にしおりの制作に取り組みました。入居者の方々は4人程度の班に分かれ、それぞれのテーブルには担当学生が着席。参加者はペンを使ってイラストを描き込み、一色で丁寧に塗る方や、複数色を使ってカラフルに仕上げる方など、表現はさまざまでした。学生と入居者の方々はしおりを見せ合ったり、目を合わせて会話を交わしたりと、コミュニケーションを取りながら20分ほど制作に取り組みました。

制作を終え、学生たちが退室する際には、交流を深めた入居者の皆様からたくさんの手を振っていただき、温かい雰囲気の中で見送られました。
中には「これからも頑張ってね」とエールを送ってくださる方もおり、学生たちは笑顔で手を振り返し、用意したプロジェクトが無事に終了したことにほっとした様子でした。

プロジェクトの最後に

4回にわたるコラボ授業の締めくくりとして、参加者全員で感想の共有を行いました。

学生からは次のような感想が寄せられました。

「想像以上に積極的に参加していただき、直接コミュニケーションをとる中で、知らなかったことを知ることができる貴重な機会でした」
「準備中は不安もありましたが、実際に実施すると入居者の皆さんがとても楽しそうに取り組んでくださり、安心しました」
「発表の場としてとてもいい経験になりました。やってみて学ぶ点も多くあり、今後の活動に活かしたいです」など、今回の経験を次につなげたいという前向きな声が多く上がりました。

ホーム長の吉田氏は、「実施していただいた企画はどれも素敵で、入居者さまもスタッフも大変喜んでいました。発表のアイデアも参考になり、充実した時間になったと感じています」と話しました。

また、キャリア人事本部の渡辺氏は、「入居者さんのために考え、行動してくれたことがとても良かったです。キャリアについての話も含め、今回のプロジェクトが学生の皆さんにとって良い経験になっていればうれしいです」と総括しました。

キャリアにもつなげる実践に

プロジェクトの実践の後には、新卒5年目の社員である長井氏による就活経験を交えたミニ講演も行われました。就職する企業をどのように決めたのか、就活のポイントや実際働いてみて感じたギャップ、現在歩んでいるキャリアについてなど、リアリティのあふれる講演をいただきました。学生にとって、今回の経験を通じて自分のキャリアについても考えを深めるきっかけとなりました。

担当教員からのメッセージ

この度は株式会社ベネッセスタイルケア様にご協力頂き、「高齢者のWell beingに関して理解を深め、実践していく」というテーマついて連携授業を実現できました。超高齢化社会を迎え、私たちは「後期高齢期」という未知な世界をどのように活きていくかという課題に直面しています。その社会課題は当事者だけでなく、若年を含む社会に生きる私たちみんながどう捉え、どのような取り組みをしていくかという多世代的な視座が不可欠であると考えています。そこで、今回はゼミナールの学生達とともに高齢者施設の利用者様や職員の皆様のご意見やご助言を頂きながらトライをしてみました。初回の連携授業でもあり、小規模な試みでありましたが、関わらせて頂いた学生達にとっては大きな一歩となる学習の機会を頂くことができました。ご協力頂きました株式会社ベネッセスタイルケア様には心より御礼申し上げます。

2026年3月31日

人工石の指輪の認知を広めるには?「実践デザインラボⅠ」の授業でBrillarとの特別コラボが行われ学生たちが施策を提案しました。

「実践デザインラボⅠ」(担当:人間社会学部社会デザイン学科 標葉 靖子教授)の授業で、12月19日に株式会社Brillar(ブリジャール)との特別コラボ授業が行われました。この日は1か月前に出された課題に対するプレゼンテーション。テーマは「人工石の指輪をひとつのライフスタイルや自己表現として広めるための具体的な施策を考える」です。学生たちはグループワークを経て発表に臨みました。

レンタルサービスで良さを広めよう

Brillarの代表取締役である小原亦聡氏も来校し、「楽しみにしてきました」とコメント。
「店にも来てくれたと従業員から聞いています。シャープな質問もあったそうですね」と、学生たちの調査力に感心していました。
さらに「成長過程にあるブランドとして良い施策があれば取り入れたい」と、提案に期待を寄せました。

いよいよ学生たちの発表です。
トップバッターは「カメレオン」チーム。
人工石に関する意識調査では、人工石が指輪の素材として使用されていることを知らない人が83%にのぼり、まだ十分に知られていない現状や、従来の価値観によるイメージが課題だと整理しました。
そこで提案したのが、名付けて「Brillar select」というレンタルサービスです。
記念日や結婚式などで指輪やネックレスを1週間貸し出し、利用している様子をSNSに投稿するとクーポンが使える仕組みにして、人工石ジュエリーの認知向上と抵抗感の軽減を目指します。

発表後、小原氏から「以前、婚約指輪の購入者向けに結婚式でのレンタルサービスを行ったことがあります」と実例が紹介されました。
過去に類似の取り組みも行っており、その可能性と課題の両面について意見交換が行われました。

SNSで若い世代にアプローチ

続いての「こしあん」チームはSNSの活用を提案しました。
意識調査では、天然石を選ぶという従来の価値観が根強く、人工石を積極的に選びたいひとは少ないことを確認。
そこで、SNSで情報を得ている若い世代にアプローチし認知度アップを狙います。利用するSNSは「X」で。
バズっている投稿を検証し、画像や情報の発信方法などを具体的に提案しました。

「この仕事はInstagramから始めたので、いまでもInstagramに投稿が偏っているかもと感じました」と小原氏。
「他のSNSへの対応やインフルエンサーへのオファーなどにも力を入れるべきかもしれませんね」とコメントされました。

「自分らしさとは何か」を問いかける

次のチーム「長女」は、人工石を宝石ではなくファッションとして提案するプレゼンを行いました。
商業施設でミニランウェイを開催し、実物を見る機会を増やします。展示の場ではサステナブルな価値も訴求しやすいと説明しました。
さらに銀座などの駅で、デジタルサイネージ広告を展開。イメージ動画も自分たちで作成しました。
「自分らしさとは何か」を問いかけることで、新しい愛の表現としての選択肢を提示しました。

小原氏は「動画も作り込まれていて、完成度の高い発表でした」と感嘆されました。
「主体的に選んでいるつもりでも、社会的なイメージに影響されていることは多い。新しい自己表現としての切り口はとても良いですね」と語りました。

キャラクターとコラボして展開

最後は「プリキュア6」チームです。
意識調査から、ジュエリー選びの基準は「知っているブランド」であることが重視され、価格も大きな判断材料になると分かりました。
宝飾業界は定番ブランドの基盤が強く新規参入が難しい一方、手に取りやすい価格帯であれば選択肢に入ることにも着目。
そこで若者への認知拡大策として、ポップアップストアの実施を提案しました。カスタムチャーム作りやサンリオなど既存キャラクターとコラボすることで、ブランドをより身近に感じてもらう狙いです。

小原氏は「百貨店でポップアップを行ったことはありますが、若者向けではありませんでした」と振り返り、「キャラクターの力を借りるのも一つの有効な案ですね」とコメントしました。

意識調査からしっかりと

発表の締めくくりには、小原氏から総評がありました。
「意識調査など大変だったと思いますが、どの班もしっかり調べていて素晴らしかったです。ありがとうございます」と、学生たちの努力をねぎらいました。
さらに「気になってはいたもののやっていなかったところも指摘され、やはり力を入れるべきと気付かされました」と、学びの多い発表だったと振り返りました。

小原氏(株式会社Brillar代表取締役)からのメッセージ

今回の取り組みを通じて、モアサナイトという新しいジェムストーンに対する若い世代の率直な声に触れ、その可能性を改めて強く実感しました。既存の価値観にとらわれず、自分自身の基準で「美しさ」や「選ぶ意味」を判断する姿勢は、これからのジュエリーの未来そのものだと感じています。
ブリジャールは、創業9周年を迎える中で、日本におけるモアサナイト市場を切り拓いてきました。
まだ一般的ではなかった時代から、モアサナイトの持つ本質的な美しさと価値を信じ、発信し続けてきたからこそ、今こうして次世代の共感に繋がっていると考えています。
モアサナイトは、単なるダイヤモンドなどの代替素材ではなく、これからの時代にふさわしい新しい選択肢であり、新しいスタンダードです。
今回得られた若い世代のリアルな視点を大切にしながら、その魅力をさらに広げ、次の時代のジュエリー文化を形づくっていきたいと思います。

担当教員からのメッセージ

今回の社会連携プロジェクトでは、学生たちにとって実地調査や資料作成を通じて、立案に至るまでのプロセスを体験的に学ぶことのできる機会となったのではと思います。

あらためて学生にこのような貴重な機会をご提供いただいた小原様をはじめとするBrillarの皆様に厚く御礼申し上げます。

2026年3月18日

デザイン思考で挑戦!実践プロジェクトbの授業にてTANZO、ゼクシィとの連携授業の最終発表が行われました。

1月14日(水)、実践プロジェクトb(担当:美学美術史学科下山肇教授)の授業にて、鍛造指輪株式会社(以下、TANZO)常務取締役 曽我石 龍之介氏と株式会社リクルートのゼクシィ編集部(以下、ゼクシィ) Divison総括本部 マリッジ&ファミリーDivision 朝賀しお莉氏、鈴木莉乃氏をお招きし、学生の提案の最終発表が行われました。

授業と企業連携について

実践プロジェクトbは、2年生以上の学年を対象に開講されている共通教育科目です。問題解決(PBL)型授業で、企業から渡される課題に対して、学生が解決策の提案を行います。この授業では、課題に対する解決策を考える方法としてデザインの考え方を取り入れています。

今年度はTANZO、ゼクシィとの企業連携が行われ、ブライダル分野の課題に挑戦しました。TANZOは婚約指輪や結婚指輪を中心にオーダーメイドの指輪を製作・販売を、ゼクシィは結婚に関する総合的な情報発信を行っています。

授業のあゆみ

初回授業では、曽我石氏、朝賀氏、鈴木氏が来校し、〈新しい出会いの手段を創造する〉という課題が発表されました。その後、それぞれの企業の紹介とブライダル業界が抱える課題点が共有されました。学生には、課題として既存の出会い方にとらわれない「新たな出会いの手段」を見つけ出すことが求められていると伝えられ、大学生ならではの柔軟な発想への期待が寄せられました。

その後、まずは学生自身が「自分が出会いたい人」のイメージを出発点としてイメージボードを作成。完成後は学生間でイメージボードの交換が行われ、自分ではなく、『クライアント』の求める人物と出会える場の企画の考案を進めていきました。キーワードの抽出・整理を行いながらアイデアを発展させ、中間発表での企業からのフィードバックをもとに企画内容を具体化。その間、AIを思考の壁打ち相手として活用しながら企画を段階的に検討し、『出会いの手段』の提案へとまとめていきました。

中間発表でのフィードバックを受け、企画のブラッシュアップを行った学生たち。それぞれのクライアントが求める『出会いたい人物』に出会える場をテーマに、企画の最終発表が行われました。

学生の発表

ニャン・テリジェンス

クライアントの求める”出会いたい人物像”と、既存のマッチングサービスにおける「外見や条件は分かる一方で、人の価値観が見えにくい」という問題点に着目し、外見や条件だけでなく内面の相性を重視した出会いを目指す、AIを活用したマッチングプラットフォーム〈ニャン・テリジェンス〉を提案しました。

イメージボードから『多趣味』『清潔感』『対話力』の3点を要素として抽出し、AIとの対話による性格分析やAIが話題を提供するテーマトークを通して、データに基づくマッチングと実際の対話の両面から相性を確かめられる仕組みを設計しています。特に『清潔感』の要素として姿勢の良さに着目し、カメラの情報をAIが分析して姿勢が悪くなると猫の鳴き声で知らせる機能を提案しました。

さらに、参加者を連携企業に勤める社会人に限定することで、サービスの信頼性向上と安定した参加者確保を図り、企業価値の向上にもつなげる点を特徴としています。

曽我石氏は「ネーミングが素敵です。AIの要素が加わることで、分析とフィードバックのサイクルが実現可能だと想像できました」とコメントしました。朝賀氏は「異なる人に惹かれる側面もあると思うので、『価値観が同じ』だけではない、多様な出会いをサポートできるとさらに良くなると思います」とフィードバックしました。

教えあい料理教室

クライアントの求める人物像を表したイメージボードから『誠実な人間性』『食に対する興味』の二点に着目し、出会いにおいて表面的な情報だけでは分かりにくい相手の本質を短期間で知ることができる“出会いの場”として〈教えあい料理教室〉を提案しました。

買い出しから片付けまでを参加者自身が担い、レシピを教えあいながら交流する点が特徴です。集合後は買い出しから始まり、調理や食事、片付けまでの流れを共にすることで自然なコミュニケーションが生まれるように設計しました。また、一連の作業を通して食の好みや性格、ライフスタイル、指示の出し方など、参加者の本質を知ることができるとしました。

体験価値を重視する大学生や20〜30代社会人を対象に集客し、本気度を担保するため月額3,000円の会費を設定しました。料理を通して参加者の本質的な部分を知ることができる企画として説明されました。

曽我石氏は「出会ったあと、実際に付き合ってみたときに感じるズレが少なそうです」とコメントしました。朝賀氏は「初心者歓迎の部や、逆に食べるだけの人の枠を設けるなど、参加者の条件はさらに展開できそうです」とフィードバックしました。鈴木氏は「慣れてきたときに人の本質が出る気がするので、3回以上の参加を必須にするなどの条件を付けるとよいのではないでしょうか」とコメントしました。

仮想協働生活アプリ〈OUR LIFE〉

クライアントの「出会いたい人」の要素を示したイメージボードから、『優しくて笑顔が柔らかい』『想像力豊かで思いやりがある』『たばこを吸わない』という点に注目し、「相手に誠実に向き合う姿勢」「第三者との関わりから見える本来の性格」「健康的な生活」の三点を“出会いの場で見極めたい要素”として抽出しました。

既存の出会いの手段では実際の生活に関する情報が不足しているという課題を踏まえ、人を選ぶのではなく“確かめる”場として仮想生活マッチングアプリ〈OUR LIFE〉を提案しました。企画はAIによる自己分析とマッチング、共同生活、卒業の三段階で構成され、共同生活では献立や食事、子どもと遊ぶ体験、ストレスイベントなどのタスクを通して金銭感覚や健康意識、対応力を見極める仕組みとしました。

期間は1日・1週間・1カ月から選択可能とし、本気の出会いの場として月額3,600円の参加費用を設定しました。

朝賀氏は「“ゲーム=攻略”と捉える人もいるため、より“出会い”にフォーカスした方向性で展開していくと、マッチングアプリとしての安全性が高くなると思います」とコメントしました。

鈴木氏は「スマートフォンの歩数と連動して移動距離が見られたり、ステータスとしてポップが表示されたりするなど、リアルと連動した機能があるとよりよいのではないでしょうか」とフィードバックしました。

〈SYNC TO UNLOCK〉

クライアントのイメージボードにある『気遣いができる、ユーモアがある、韓国風ストリートファッション』といったキーワードから、コミュニケーション能力の高さ、視野の広さ、トレンドへの敏感さを出会いの場に必要な要素として抽出しました。これらを踏まえ、ファッションブランドに焦点を当てたイベント型POP UP SHOP〈SYNC TO UNLOCK〉を提案しました。

本企画では「脱出ゲームをクリアしなければ商品を購入できない」という制約を設け、初対面の参加者同士が協力せざるを得ない状況を生み出すことで、自然な交流を促します。さらにゲーム内容も、求められる人物像の要素が発揮されるよう設計しました。脱出後には参加者ごとに異なるクーポンを配布し、共有することで全員が利用できる仕組みとすることで、参加者同士のコミュニケーションを促し、連絡先交換などイベント後の関係形成にもつなげる企画として説明しました。

朝賀氏は「ファッションブランド以外のコンテンツでも実施できそうな内容だと思いました」とコメント。曽我石氏は「実施することでアパレルブランドに対する愛着も上がり、ビジネスとしても成り立つ企画だと思います」と話しました。

バーチャルとリアルをつなぐマッチングアプリ

クライアントのイメージボードから、「趣味を一緒に楽しめる人」という要素に注目しました。物事に取り組む姿勢や態度を知ることができ、同じ趣味を持つ人と出会える場として、シミュレーションゲームとマッチングアプリを組み合わせたサービスを提案しました。

このサービスでは、理想の暮らしをシミュレーションしながらタスクをこなすことでポイントが付与される仕組みを採用しています。アプリの登録者は、好きなコンテンツのタグ付けや、過去に参加したライブチケットの登録などを行い、「好き」を通じたマッチングが行われます。

また、タスクには生活における価値観に関する内容を設定し、同じ物事に対する取り組み方や姿勢を判断できる設計としました。さらに、タスクをこなして得られたポイントは、実際のライブチケットやグッズと交換できるようにすることで、オンライン上で協働した相手とリアルで出会うための導線を確保しました。

朝賀氏は「同じ趣味を持つ友達のコミュニティを広げる目的でもできそうです。チケットやグッズ目的の人もアプリを使用すると思うので、出会い目的を確実にするシステムがいると感じました」とコメント。鈴木氏は「ポイント交換チケットの転売対策も必要だと思いました」とフィードバックしました。

朝食コミュニティ

クライアントのイメージボードにある「いただきますが言える人」「細身の体形の人」「自己管理ができる人」という要素に着目し、「朝ごはん」を共に食べる食事会を出会いの場として提案しました。

ターゲットは25〜39歳の会社員とし、1日の始まりである朝を整えることで自分自身や仕事の調子を整えたいと考える人々を想定しています。参加者は出社前に会場へ集まり、到着後は各自のタイミングで「いただきます」をして食事を開始する仕組みとすることで、自発的に挨拶ができる人物かどうかを確認できる点を特徴としました。さらに参加条件にBMI23未満を設定し、「細身の体形」という要素を満たす設計としています。食事はグラム単位での事前申請制とし、完食をおかわりの条件とすることでフードロスにも配慮しました。最後に参加者全員で「ごちそうさま」を言うことを合図に終了する企画として説明しました。

曽我石氏は「中間発表からより詳細な内容が詰まっていて、具体的なイメージがつきました。グラム単位で指定するということは、美意識が高い人たちが集まりそうですね」とコメント。朝賀氏は「休日プランやランチ会など、様々なパターンがつくれそうです」と企画の発展性について指摘。鈴木氏は「クライアントの要望通り、『いただきます』を自然に発生させるシステムがきちんと設計されていてよかったです」と評価しました。

授業の終わりに

曽我石氏は「授業で終わらせることがもったいなく感じるくらい、社会につながる提案でした」とコメント。朝賀氏は「就職活動のエントリーシートに”学チカ”として十分かけるような、充実した発表でした」と話しました。鈴木氏は「アイデア出しやスライド作成など、提案を考える過程も参考になりました」と話しました。

今回の授業は学生にとって、デザインの考え方を取り入れながら、アイデアを企画として具体的な形にしていく過程を実践的に学ぶ貴重な機会となりました。クライアントの要望をもとに考え、試行錯誤を重ねながら企画を磨き上げていく経験を通して、発想力だけでなく、相手のニーズを捉えて形にする力を養う機会となりました。

担当教員からのメッセージ

【生成AIの活用と他者視点の融合】

今回の授業では、主に二つのポイントを設定しました。

第一は、生成AIを活用したデザイン思考の実践です。第二は、自分自身ではなく「他の履修者」をクライアントとして想定し、企画を構想することでした。

まず生成AIについてですが、現在はまだ技術の過渡期にあり、その利用については賛否さまざまな意見があります。しかしデザイン分野においては、今後重要なツールになると考えられるため、学生には早い段階で実際に体験してもらうことを重視しました。

ただし、生成AIは使えばよいというものではなく、使い方によっては単なる作業の効率化にとどまってしまいます。そこで授業では、「どのようにAIを使うのか」という思考の組み立て方そのものを学習の中心に据えました。まず自分自身の発想を起点にアイデアを練り上げ、その過程で資料やデータの収集、調査や取材を重ねます。その上で、ある程度まとまった構想を生成AIに投げかけ、返ってきた提案や視点を再び思考の材料として検討し直す、という往復を行いました。こうした過程を通して、AIに依存するのではなく、自分の構想を軸にしながら活用する姿勢を体験的に学ぶことができたと考えています。

もう一つのポイントである「他履修者をクライアントとすること」についてですが、通常の課題制作では、自分自身から発したものやことをテーマとして考えることが多くなります。しかしその場合、主観的な考えから抜け出せず、発想が行き詰まったときに突破口を見出しにくいという側面があります。そこで今回は、自分ではない「他履修者」から発した題材を元とすることで、より客観的な視点から問題設定や提案を行う方法を試みました。デザインは本来、自分ではなく常に自分以外の 「何か・誰かのために」行う行為であり、その実践的な思考方法を体験することが目的でした。

結果として、協働企業の方々からは非常に高い評価をいただきました。企画内容についても、「ここで終わらせるのはもったいない。さらにビジネス化の可能性を検討し、次のフェーズへ進めたい」というご意見をいただくことができました。

学生の持つ高いポテンシャルと、生成AIなどの現代技術を組み合わせた方法論によって、実社会と接続した充実した授業を実現できたと考えています。

2026年2月27日

社会にいきるデータ活用!〈データ時代の女性キャリア開発〉の授業にて、トランスコスモス株式会社の特別講演が行われました

2025年12月9日(火)〈データ時代の女性キャリア開発〉にて、トランスコスモス株式会社(以下トランスコスモス)から、人事採用統括部の坂本祥平氏をお招きし、特別講演が行われました。

授業と企業連携について

データ時代の女性キャリア開発は、人間社会学部の学生を対象に開講されている専門科目です。この授業は、さまざまなデータを扱う企業で働く女性やその活動を知っている方をゲスト講師としてお招きし、データを活用した業務内容やキャリアについてご講演いただき、学生は、データサイエンスに限らず、データを活用した現代日本におけると女性のキャリアについて理解を深めていきます。

今回の授業では、坂本氏からビジネスとデータについて、トランスコスモスの具体的な業務内容の紹介を交えながらご講演をいただきました。学生たちは講演を通じ、データ活用の例が身近に存在していること、データの活用によってビジネスシーンにおいて日々多様で新しい価値が生まれていることへの理解を深めました。

社会とデータ

坂本氏ははじめに、「データ時代」を「データが新しい価値を生み出す時代」と定義し、現代の日本では、さまざまなビジネスシーンにおいてデータが活用されていることを述べました。そして、身近なデータ活用の具体例として、アプリや通販、店舗の在庫管理などにデータが活用されていることを紹介しました。

最も身近な例として挙げられたのが、SNSです。SNSの多くは、個人の閲覧データを収集し、投稿のクリック数などから、どのような投稿に関心が高いのかを分析しています。そして、分析したデータを活用することで、その人の関心に沿ったコンテンツを表示しています。

また、商品購入時にデータが活用されている事例として、ファッション通販サイトの「着回し機能」が紹介されました。この機能は、選んだアイテムに対して、AIがデータを分析し、コーディネートを提案するものです。購入者が身長などの身体データを登録することで、AIが着丈などを計算し、実際のスケールに近い着用イメージ画像やコーディネートを提示します。これにより、通販で起こりがちな「思っていたものと違う」という購入後のミスマッチを防ぐことができます。さらに、着回し機能で提案されたアイテムは、そのまま購入することも可能で、坂本氏は「データによって、購入の意思決定の精度を高めることができる」と話しました。

さらに、ファッションブランドがデータを活用することで、廃棄される衣服の量を減らした事例も紹介されました。店舗ごとの販売履歴を分析し、それぞれの店舗で求められている商品の傾向を把握することで、適切な在庫量を見極めることができたといいます。坂本氏は、データは売上の向上だけでなく、環境負荷の軽減にもつながっていると述べました。

これらの事例はいずれも、データを活用することで「よりよい判断を行う」「無駄な作業を減らす」「利用者のニーズを的確に捉える」といった価値が生まれていることを示しています。

このような、さまざまな場面でデータが活用されている状況を踏まえ、坂本氏は「データをもとに判断や改善を行える人材が、さまざまな業務で求められており、データを活用できる人材の需要は今後さらに高まっていく」と話しました。さらに、「『データを活用できること=数字に強いこと』ではありません。データの傾向や特徴をいかに把握し、そこから考えることができるかが重要です」と述べ、データ活用において大切な視点を強調しました。

トランスコスモスの業務とデータ

ここからは、実際に企業がどのようにデータをビジネスに活かしているのかについて、トランスコスモスの業務内容を通して具体的に学びました。坂本氏は、トランスコスモスについて「企業のビジネスを支援する総合情報サービス」を手がける企業であると説明しました。

あわせて、同社はIT業界において、インターネットや情報処理サービスを担う企業であることも紹介しました。同社の特徴として、サービス領域が非常に幅広い点を挙げ、業務内容を①BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)、②デジタルマーケティング、③コールセンター業務の三つに分類。それぞれの業務において、どのようにデータが活用されているのかを解説しました。

データ活用の現場

BPOとは、企業が行っている業務の一部を、専門知識を持つ外部企業に委託する仕組みを指します。専門性の高い業務を、企画から運営まで一括して担う点が特徴です。坂本氏は、「企業の業務の一部分を担う特性上、さまざまな業界や業務に携わることができる」と、その特徴を説明しました。

BPOの具体例として坂本氏が紹介したのは、ある企業から経理業務のサポートを委託された事例です。クライアント企業では、経理担当者一人あたりの業務負担が大きいことが課題となっていました。そこでトランスコスモスは、企業が導入した経理システムの運用支援に入り、経理システムに関する問い合わせ対応や、利用方法のマニュアル作成を、企業担当者に代わって実施しました。業務の効率化を進めた結果、クライアント企業の担当者の業務工数を約8割削減することに成功したそうです。

デジタルマーケティング業務については、消費者データの分析が重要であると説明しました。ウェブサイトの改善を行う際には、文字や写真の配置、購入ボタンなどの導線設計を見直します。その際「サイトの訪問数や滞在時間、流入経路といったさまざまなデータの分析を行う」と坂本氏は説明しました。分析結果のデータから利用者のニーズを把握し、より効果的な改善につなげていると話しました。

坂本氏はコールセンター業務について、「消費者からの問い合わせに対応する窓口であり、質の高いサービスを提供することで、企業の信頼性や評判を高める重要な役割を担っている」と説明し、人々の暮らしを支える不可欠なサービスであることも紹介しました。また、「この業務では消費者のリアルな声を『明確な思いや考えが含まれた貴重なデータ』として扱っています」と話し、このデータも活用。問い合わせ内容を分析し、まとめたデータをクライアントに提供することで、クライアント企業はそのデータを商品改善やマーケティング施策に活かしていることを紹介しました。

坂本氏は説明の中で、トランスコスモスでは多様な業務の中で、データをもとに課題を発見し、改善につなげていること、「データ活用」という言葉の中には、説明にあったような幅広い業務と、データをもとに考え改善していく具体的な行動が詰まっていると説明しました。

授業の終わりに

講演終了後には、質疑応答の時間が設けられました。

「将来、データを活かす業種に就くことも選択肢として考えています。採用担当者の目線で、学生のうちに取り組んでおいた方がよいことはありますか?」という質問が寄せられました。これに対し坂本氏は、「特別な知識や経験が必ずしも必要というわけではありませんが、いかにその分野に興味があることを示せるかは重要です」と前置きした上で、次のように回答しました。

「例えば、ウェブデザインに興味があるのであれば、同じ業種の企業サイトを比較し、どのようなデザインの工夫や意図があるのかを自分なりに考察してみることが大切です。日頃から自分で考える習慣を身につけておくとよいと思います。」

続いて、「機密情報を取り扱う場面について」という質問も出ました。坂本氏は、「機密情報を扱うにあたっては、専門の研修が用意されています。また、その研修を受けた人しか立ち入ることのできない部屋もあります」と説明しました。加えて、「企業として業務支援を行う以上、機密保持に関する契約をきちんと結んだうえで業務に取り組んでいます」と、情報管理体制についても言及しました。

今回の講演を通して学生は、何をデータとして捉え、それをどのように位置づけ、活用するかによって、社会に多様な価値を生み出せることを実感しました。また、データを扱う仕事は特定の職種や業界に限られたものではなく、さまざまな分野のビジネスを支える基盤となっていることを改めて学びました。データの仕事を一つひとつの「点」としてではなく、社会全体に広がる「面」として理解するきっかけとなる講演となりました。

担当教員からのメッセージ

今回の講義では、本授業の講演者の中で唯一の男性講師としてご登壇いただき、企業の現場におけるデータ活用の実例を分かりやすく紹介していただきました。学生たちは講演を通じ、データ活用の例が自分たちの身近なところにも数多く存在していること、そしてデータの活用によってビジネスの現場で日々多様で新しい価値が生み出されていることへの理解を深めることができました。

講義の中では、さまざまな場面でデータが活用されている現状を踏まえ、「データをもとに判断や改善を行える人材が、さまざまな業務で求められており、その需要は今後さらに高まっていく」とのお話もありました。また、「データを活用できることは、単に数字に強いということではなく、データの傾向や特徴を把握し、そこから考えることが重要である」と強調され、データ活用の本質について学生にとって理解を深める機会となりました。

さらに今回の講演は、データの仕事を個々の業務という「点」としてではなく、社会全体の中で価値を生み出していく「面」として捉えるきっかけにもなったと感じています。

生成AIや自動化が進む時代においても、課題を見つけ、意味を考え、新しい価値を生み出していくのは人の役割です。本授業での学びが、学生一人ひとりが社会とデータのつながりを実感し、自らの進路や将来の可能性を考える一助となれば幸いです。

2026年2月19日

ファン獲得施策の提案!国文学科実践キャリアプランニングの授業にて、アンファー株式会社とコラボした課題の最終発表が行われました。

2025年12月12日、19日(金)に実践キャリアプランニング(担当:文学部国文学科 深澤晶久教授)にて、アンファー株式会社(以下アンファー)から発表された課題に対する、学生の発表が行われました。アンファーはスカルプDで広く知られている化粧品・健康食品メーカーです。

授業と企業連携について

「実践キャリアプランニング」は、1年生を対象とした必修の共通教育科目です。学生は、企業からのゲスト講師や在学生の先輩によるキャリア講演、企業と連携したPBL型課題などを通して、社会人基礎力を養い、多様化する女性のキャリアへの理解を深めていきます。

国文学科クラスでは、企業から提示される課題に学生がグループワークで取り組み、解決策を導き出す「課題解決型授業」として、アンファーとの連携を行っています。今回学生が取り組んだ課題は「〈スカルプDまつ毛美容液〉のリピート対策&新規顧客獲得の施策提案」です。

発表には、元アンファー株式会社常務取締役であり、現在もアンファー系列会社で相談役を務める中溝幸生氏と、まつ毛美容液担当部署から宇田川氏を迎え、講評やコメントが行われました。

発表の表彰として「アンファー賞」と「努力賞」が用意され、アンファー賞は2つのグループに、努力賞が1つのグループに授与されました。
受賞したグループには副賞として〈スカルプDまつ毛美容液〉シリーズが人数分贈呈されました。

この記事では、受賞した3つの班の発表内容をご紹介します。

【アンファー賞①】4班

4班は、商品の継続利用を支援する施策として、スマートフォン向けアプリを提案しました。独自に行ったアンケート調査の結果から、まつ毛美容液のユーザーには「毎日塗るのを忘れてしまう」という課題があることが分かり、継続をサポートする仕組みとしてアプリの活用を考えました。

アプリの機能としては、①使用を促すリマインド機能、②他のユーザーと交流できるコミュニティ機能、③継続日数に応じてバッジを獲得できる専用バッジ機能、④悩みに合わせた美容液の提案を行う診断機能の4つを提案しました。塗り忘れを防ぐだけでなく、達成感を得られる仕組みや他のユーザーに相談できる場を設けることで、まつ毛の変化が実感できないことへの不安の解消と継続利用の後押しを目指しました。

また、4班は「アプリのインストール自体が最大のハードルになる」と指摘し、商品パッケージにインストール画面へ直接アクセスできるQRコードを印刷することや、インストール特典としてクーポンを配布する施策もあわせて提案しました。

中溝氏は「課題の背景を深堀し、それに対応した施策をしっかりと論理的に提案してくれました。施策の内容にとどまらず、どうやったらそれが実行できるかという実現性の部分まで考えており、受賞の決め手となりました」とコメントを寄せました。

【アンファー賞②】7班

7班は、継続利用の促進策として、写真記録&比較機能やリマインド機能をもったまつ毛美容液専用アプリを、新規顧客の獲得策として「推し活」を活用したコラボレーション戦略を提案しました。

新規顧客獲得に向けた施策では、アイドルグループやキャラクターなど、人気のあるコンテンツとパッケージコラボレーションを行うことで、これまでまつ毛美容液を購入したことのない層にも、商品を手に取るきっかけをつくるとしています。さらに、アイドルやタレントが実際に使用しているコスメをSNSで紹介する「メイクレシピ」が注目を集めている点に着目し、「知名度の高い人物に紹介してもらうことで、商品の認知度拡大につなげる」と説明しました。

また、コラボレーションをきっかけに商品を購入した新規顧客に対し、限定グッズのプレゼントや、お渡し会など特別イベントへの参加権をアプリの継続特典として設定することで、使い続ける動機づけを図りました。特典を目指した継続的な利用を通じて、まつ毛美容液のファンになってもらうことを目指しました。

中溝氏は「論点が非常にわかりやすかった」とフィードバック。また「資料を見ながら発表を聞いていて、一番納得感がありました」と受賞の理由を紹介しました。

宇田川氏は「皆さんがコラボしてほしいコンテンツは何ですか?」と学生に質問。学生はアイドルグループの名前を回答しました。ウタガワ氏は興味深そうにうなずきながら「参考にさせていただきます」と話しました。

【努力賞】8班

8班は、「リピート率が低く、継続購入につながりにくい」という課題の要因を「実感の不足」「単調なケア」「塗り忘れ」の3点に整理しました。
これらを解決する施策として、①継続購入特典(ステップアップ割引)、②ゲーム感覚で続けられる記録アプリ、③SNSや有名人とのコラボレーション、④まつ毛サロンとの連携 の提案を行いました。

①の継続購入特典では、「使い続けるほどお得になる」仕組みを明確にするため、購入回数に応じて割引率が上がるステップアップ割引制度を提案しました。また④では、スカルプDの強みである「低刺激・色素沈着が起こりにくい」という特徴が「まつ毛パーマやエクステ後のデリケートなまつ毛に適している」と紹介。サロンと提携し、施術後に「お試しセット」を手渡すことで自宅でのケアを促し、商品の認知度向上と定期的な商品購入につなげるとしました。

中溝氏は「発表の起承転結も、資料もとてもわかりやすかったです。認知拡大とリピート対策の2つを同時に提案する内容でしたが、それぞれの提案内容のバランスもよかったです」とフィードバックを寄せました。

授業の終わりに

ゲストのお二人から総括のコメントをいただきました。

中溝氏は「長い時間をかけてアンファーからの課題に取り組んでいただきありがとうございました。私たちもとてもいい勉強になりました」と話しました。また、学生の発表に対して「課題の発表の中で、『新規顧客がつかない』『リピーターが増えない』など、問題の現象に対して言及している班は多くありました。それがどうして起こったか背景に至る部分まで分析し『どうしたら解決できるか』まで突き詰めていただくと、解決策が見えてきます。思考のプロセスとして、次回以降の経験に活かしていただければと思います。」と、全体のフィードバックを寄せました。

宇田川氏は「普段社内では考えられないような新たな視点を皆さんからいただきました。今後のプロモーションに活かせればなと考えています。また、私の学生時代に、企業の方と授業で関わり、課題から具体的なアクションまで思考する授業はありませんでした。企業として関わっている私としても、学生のみなさんにとっても、いい経験になったと思います。」と話しました。

今回の授業は、多くの学生にとって初めての社会連携授業、問題解決型授業となりました。
企業とコラボした課題を通じて、学生生活の先に広がっている社会へのつながりを実感する貴重な機会となりました。

担当教員からのメッセージ

今年の授業では、アンファー様にご支援をいただき、
まつ毛用美容液のマーケティングについて考えるワークセッションを行いました。
学生にとっては、身近な化粧品であるものの、リピート施策を立案することは
かなりハードルが高かったと思います。しかし、最後まで懸命に取り組んで
くれている姿は、本当に素晴らしく、プレゼンのスキルを含めて、
大きなポテンシャルを感じることとなりました。
なお、ゲストの中溝さんは、私の資生堂勤務時代の先輩であり、
今回は、多大なるご支援をいただきました。中溝様をはじめ、ご協力いただきました
アンファー株式会社の皆様方に、心から感謝申し上げます。