12月10日(水)、株式会社ベネッセスタイルケア(以下ベネッセスタイルケア)とコラボし、全4回の授業にわたって連携プロジェクトが行われました。最終回となる4回目では、ベネッセスタイルケアが運営する高齢者施設を訪問し、入居者の皆様に向けて学生が考案したアクティビティと制作プロジェクトの実践が行われました。
授業と連携企業について
授業連携が行われたのは、生活科学部生活文化学科 塚原拓馬准教授のゼミナールです。塚原准教授は生涯発達心理学(人の一生を通して、年齢や状況ごとに変わる心のあり方や成長を、周囲の環境との関係から考える学問)を専門とされており、ゼミナールでは人間の生涯に関わる心理的なテーマを取り扱っています。
ベネッセスタイルケアは高齢者向けの介護サービス事業を中心に、高齢者の生活に寄り添うサービスを提供している企業です。今回は『〈高齢者のWell being〉に関して理解を深め、実践していく』をテーマに、企業連携プロジェクトが展開されました。

今回の実践にあたり、学生は提案の事前調査として施設の見学と実施されているアクティビティを体験しました。
調査を踏まえ、アクティビティの提案を行う班と、施設の環境を活かした提案する班の二つに分かれ、具体的な行為とプロジェクトの提案を行いました。
アクティビティ班の発表
事前調査で体験したアクティビティ『歌声喫茶』の経験から、入居者の方には音楽が好きな方が多いことに着目しました。班のメンバーにも音楽が好きな学生が多かったため、共通点である音楽を取り入れた体操を提案しました。体操で使用する曲は、入居者の方々の世代に親しまれている曲と、大学生世代で流行している曲の2曲が選ばれました。

入居者の方々は学生の発表に対し、うなずいたり背伸びをしてスライドを見たりと、関心をもって聞いてくださいました。実践パートでは、学生が最前列の参加者と目を合わせながら笑顔でコミュニケーションをとる姿が見られました。なじみのある曲が流れると、鼻歌を口ずさみながら体操に取り組む方もいました。初めは見学として見守っていた方も、次々と体操の輪に加わり、アクティビティは徐々に活気づいていきました。
二曲目はテンポが速い曲で、初めは戸惑う様子もありましたが、学生のお手本と同じ動作を行ううちに、皆さん次第にリズムに乗っていきました。終わった後には着ていた羽織を脱ぐ方もいるほどで、学生とのアクティビティに熱中していた様子が伝わってきました。
アクティビティの感想を求められた入居者の方は、明るい笑顔で「たのしかった」と答え、学生は嬉しそうにうなずいていました。
環境班の発表
環境班の発表では、『一人時間の充足がウェルビーイングにつながる』という考えを提示しました。事前調査の見学の際、施設内には一人で過ごせるスペースが多くあることに気づき、充実した一人時間の過ごし方として読書を提案しました。さらに、ただ本を読むだけではなく、読書に必要なしおりを活用した施設内スタンプラリーや押し花制作などのアイデアも紹介しました。今回はその中から、ペンを用いて「栞(しおり)」にイラストを描く制作を行うことを説明しました。
この発表に対し、入居者の方からは「押し花の案、良いと思います。これからのしおりづくりも楽しみです」との感想があり、介護職員からも「スタンプラリーの企画はすごく素敵です。参考にさせていただきます」とコメントをいただきました。


発表の後は、実際にしおりの制作に取り組みました。入居者の方々は4人程度の班に分かれ、それぞれのテーブルには担当学生が着席。参加者はペンを使ってイラストを描き込み、一色で丁寧に塗る方や、複数色を使ってカラフルに仕上げる方など、表現はさまざまでした。学生と入居者の方々はしおりを見せ合ったり、目を合わせて会話を交わしたりと、コミュニケーションを取りながら20分ほど制作に取り組みました。
制作を終え、学生たちが退室する際には、交流を深めた入居者の皆様からたくさんの手を振っていただき、温かい雰囲気の中で見送られました。
中には「これからも頑張ってね」とエールを送ってくださる方もおり、学生たちは笑顔で手を振り返し、用意したプロジェクトが無事に終了したことにほっとした様子でした。
プロジェクトの最後に
4回にわたるコラボ授業の締めくくりとして、参加者全員で感想の共有を行いました。
学生からは次のような感想が寄せられました。
「想像以上に積極的に参加していただき、直接コミュニケーションをとる中で、知らなかったことを知ることができる貴重な機会でした」
「準備中は不安もありましたが、実際に実施すると入居者の皆さんがとても楽しそうに取り組んでくださり、安心しました」
「発表の場としてとてもいい経験になりました。やってみて学ぶ点も多くあり、今後の活動に活かしたいです」など、今回の経験を次につなげたいという前向きな声が多く上がりました。

ホーム長の吉田氏は、「実施していただいた企画はどれも素敵で、入居者さまもスタッフも大変喜んでいました。発表のアイデアも参考になり、充実した時間になったと感じています」と話しました。
また、キャリア人事本部の渡辺氏は、「入居者さんのために考え、行動してくれたことがとても良かったです。キャリアについての話も含め、今回のプロジェクトが学生の皆さんにとって良い経験になっていればうれしいです」と総括しました。
キャリアにもつなげる実践に

プロジェクトの実践の後には、新卒5年目の社員である長井氏による就活経験を交えたミニ講演も行われました。就職する企業をどのように決めたのか、就活のポイントや実際働いてみて感じたギャップ、現在歩んでいるキャリアについてなど、リアリティのあふれる講演をいただきました。学生にとって、今回の経験を通じて自分のキャリアについても考えを深めるきっかけとなりました。
担当教員からのメッセージ
この度は株式会社ベネッセスタイルケア様にご協力頂き、「高齢者のWell beingに関して理解を深め、実践していく」というテーマついて連携授業を実現できました。超高齢化社会を迎え、私たちは「後期高齢期」という未知な世界をどのように活きていくかという課題に直面しています。その社会課題は当事者だけでなく、若年を含む社会に生きる私たちみんながどう捉え、どのような取り組みをしていくかという多世代的な視座が不可欠であると考えています。そこで、今回はゼミナールの学生達とともに高齢者施設の利用者様や職員の皆様のご意見やご助言を頂きながらトライをしてみました。初回の連携授業でもあり、小規模な試みでありましたが、関わらせて頂いた学生達にとっては大きな一歩となる学習の機会を頂くことができました。ご協力頂きました株式会社ベネッセスタイルケア様には心より御礼申し上げます。


