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2023年7月10日

新しいミュージアムグッズを考えよう!「実践キャリアプランニング」の授業で印刷博物館とのコラボ授業が行われました。

5月26日に国文学科「実践キャリアプランニング」(担当:文学部国文学科 深澤晶久教授)の授業で、印刷博物館の皆さまをお迎えしてコラボ授業が行われました。印刷の歴史や文化の価値を伝える企業博物館。さらに多くの人に知ってもらえるよう、学生たちは新しいミュージアムグッズを考える課題に取り組みます。

印刷博物館ってどんなところ?

印刷博物館は凸版印刷株式会社が運営する企業博物館です。
2000年に開館。100周年事業の一環として設立されました。本社ビルのミュージアム棟にあります。
企業博物館と言えば社歴や代表的な商品を紹介するのが一般的。ただ印刷博物館は「企業博物館でありながら企業色をかなり薄めています」と式氏。
印刷産業というものが文化の形成にどう貢献してきたのか、印刷の歴史を紹介する公共文化施設の役割を持っています。

奈良時代のものから最新の印刷技術のものまで、さまざまな種類の印刷物を7万点ほど所蔵し、印刷の日本史や世界史、技術の進化などを紹介。
また、活版印刷を体験できる印刷工房も併設され、カードやレターセットなどを作れるワークショップも開催されています。

式氏は「デジタル化の時代の中、印刷業界は斜陽と言われていますが、社会や文化の発展に大きく貢献してきた印刷の役割や意義を、次世代に伝えていくことがミッションです」と語りました。

企画展は博物館の花形

企画展の開催時は来館者が一番増える時期。全体の来場者数の50%が企画展来場者です。
年1回、3ヵ月ほど毎年趣向を凝らし、さまざまな側面から印刷文化を深堀する企画を展開しています。
ヴァチカン教皇庁図書館の貴重な写本の展覧会や地図と印刷の歴史、武士と印刷の関わりなども。2018年に行った「天文学と印刷」の企画展は話題を呼びました。

来館者の多くは20~40代の女性が多く、歴史やデザインを学ぶ大学生が多いのも特徴です。
また企業博物館という特徴からビジネスマンもコンスタントに来館します。ただ、企画展の期間は客層も一変。
「地図と印刷」の企画展では40~50代男性が圧倒的に多く、遠方からの人も。
企画展の特徴により来場者層は変わるのです。来館のきっかけは、やはりSNSやWebサイトで企画や印刷博物館に興味を持つ人が多く、式氏は「重要な窓口になっています」と話しました。

ミュージアムショップの商品開発に挑戦!

いよいよ石橋氏から今回の課題の発表です。
課題は、印刷博物館の「新しいミュージアムショップグッズの開発」です。
「普通お店では『ヒット商品を考えてください』というものが多いと思いますが、ミュージアムショップではちょっと違う」と石橋氏。
印刷博物館は展示品を通じて印刷の価値を伝えることがミッション。ミュージアムショップの商品も、印刷のエッセンスや面白さが伝わるものが重要になります。

博物館は場所が固定されており、来ていただくことが前提になります。遠方で来場できない人やそもそも印刷に興味がない人への訴求が課題です。
そこでミュージアムグッズをお土産として未来場者に渡すことで認知が広がったり、商品の話題性によって興味関心を集めたりということが求められるのです。

ミュージアムグッズについて知ろう

次に前原氏から印刷博物館ではどんなミュージアムグッズがあったかの紹介がありました。
定番のポストカードやクリアファイルの他、収蔵物や展示関連の書籍などがスタンダード。収蔵物の一部がプリントされたTシャツやマスキングテープや、活版の活字を再現したコーヒーシュガーなどオリジナルグッズも多数あります。
最近ではガチャガチャで販売したアクリルキーホルダーも人気を博しました。
さらには紙や活字を厳選し、職員が手作りで作るレターセットやカードも。
時間はかかりますが、名入れレターセットなどは贈り物として人気です。

グッズの売り上げも企画展関連商品が50%を占めます。
しかし、SNSで話題を呼んだ商品は企画展期間以外でも継続して売れることも。「天文学と印刷」の企画展の図録はSNSで話題になり、重版されました。
石橋氏は「商品自体が話題性を呼びさえすれば、博物館を飛び越えて人々に伝えることができる」と話しました。

実際に商品化も夢じゃない!?

「とはいえ何かを作るということは非常に難しいです」と石橋氏。
そこで3つの視点を紹介されました。

誰のためにつくるのか「Whom」、
何をつくるのか「What」、
どこで売るか「Where」です。

石橋氏は「売る場所は印刷博物館に限らなくてもいいと思う」と言い、「なぜその商品が必要なのか、その商品があることでどういった人たちにどういった形で印刷文化を伝えることができるのかを、考えていただきたいと思います」と話しました。

最後に式氏から、昨年の同授業について言及がありました。
昨年は、来館者を増やす施策という課題に学生たちが挑みました。中で提案があった近隣施設とのコラボレーション案と館内撮影解禁の案は、実際に実現しています。
「架空のグッズを考えてくださいということではありません。素敵な案は採用される可能性がありますよということをお伝えしておきます」と、学生たちの企画に期待を寄せました。

講演後、学生たちは早速グループディスカッションを開始。6月末に最終プレゼンに臨みます。

担当教員からのメッセージ

本学と包括連携協定を締結させていただいたことをきっかけに、昨年からこのコラボ講座のご支援をいただいています。今年もグループの代表者や有志が、印刷博物館を見学。印刷博物館の皆様に、とても丁寧にご説明をいただき、印刷博物館の意義などについてレクチャーを受けさせていただきました。今年のお題はグッズ開発、これから2週間のグループワークを経て、プレゼンテーションに臨みます。学生たちの豊かな発想、そしてチームワークに期待したいと思います。今年度も、お題の構築、視察などにご尽力いただいた印刷博物館の皆さんには、心から感謝申し上げます。

2023年2月21日

「実践キャリアプランニング」の授業でロレアル パリとのコラボが行われ学生たちは「人権問題に配慮したCM」について発表しました。

共通科目「実践キャリアプランニング」(担当:文学部国文学科 深澤晶久教授)の授業で、食生活科学科の学生と、ロレアル パリとのコラボが行われました。学生たちは出された課題「人権問題を意識し配慮の足りた広告を作るために大切なこと」をプレゼンしました。プレゼンでは実際に使用されたCMを例にとり、発表後には菊池氏や山下氏からフィードバックがありました。プレゼンは2週にわたって行われ、この日は後半の9グループが発表を行いました。

人権問題についての意識とは

トップバッターの1班は肌色問題から人種について考えました。
大手食品会社のアニメCMでは選手の肌が実際より白いことが問題になりました。
クレヨンなどの「肌色」は2000年頃から、多人種の肌色の固定概念をなくすため「うすだいだい」と呼ばれています。肌の色の固定概念をなくすことが大切であるとまとめました。


菊池氏は
「肌色という固定概念を植え付けられていたなと気付かされました」と話しました。

次の14班は、飲料と異業種のコラボCMを紹介。
さまざまな人種が出演しており、家政夫が男性です。対して脱毛の車内広告は若い女性のみが起用されていることを指摘。性別や年齢にとらわれない広告を作成するためには、第三者からの視点も必要と提案しました。


山下氏は
「脱毛のモデルが若い女性ばかりと気付かされました。脱毛は恥ずかしくないという意識改革も必要」と共感しました。

洗濯洗剤のCMにおける男女差を取り上げた8班は、悪臭の原因は男性から、主婦が洗濯という偏見に言及しました。
対してあるブランドのCMは男性俳優を起用し、固定概念を覆していると評価。男女差別がなくならないのは受け手が無知だからとし、視野を広げて自分から関心を持つことが大切と訴えました。

菊池氏も
「(評価されたCMは)男性も共感を呼びやすい作り。男性の家事需要に合わせている」と着眼点の良さを褒めていました。

性差別をどう解消するか

15班は大手化粧品会社のCMを紹介。
結婚や若く見られるなど、年齢で女性の価値を決めてしまっていると取れるCM例をだし、「メイクは人の価値ではなく自分の個性を作るもの」と伝えました。
女性はメイクをしなくてはならないという固定概念を覆すために男性を広告に起用するなど、異なる価値観を取り入れることが大切だとしました。


山下氏は
「時代として可愛いという価値観ではなく、自分に似合うものはなにかという方向に進んでいる」と共感を示されました。

16班は昔と今のおむつのCMを比較。
40年前は女性が家事と育児の対象となっていましたが、最近のあるCMでは男性が起用され育児する姿を見せています。男女の固定概念にとらわれず、家事や育児も女性だけではなく両者に向けることを伝えました。


菊池氏は
「赤ちゃんのために男性がおむつを選んでもいいという発信をしている例。素敵な例を見つけてくれた」と感心されました。

5班もおむつCMを取り上げました。
母親のワンオペ育児を連想させるCMを批判を受けた例として提示。経済力の差を感じてしまうため有名タレントは使われづらい育児関連商品のCMには女性が起用されることが多いのですが、ある製品では男性タレントを起用しイメージを変えたことにも言及しました。


山下氏も
「タレントも含めどんどん男性を出していくべき」と共感されました。

ジェンダー問題を意識した広告

11班はインフラのCMを取り上げました。
男性が家事や育児を行い、女性が働いている描写があり、性別のイメージで固定しないことが配慮と考察しました。
悪い例として挙げられたCMでは「脱毛をしていないと良くないことが起こる」というネガティブなメッセージングが問題に。「広告で性別に対する偏見を覆すこともできる」とポジティブなメッセージを伝えることが大切と提案しました。

菊池氏は良い例に上がった企業は、大手の優良企業であるとし「就活を考えるなかで、企業がどうマーケティングしているかみるといいと思います」と助言も出ました。

4班は大手百貨店が賛否両論を受けたCMを例に挙げました。
日本での女性の生きづらさを訴えた広告でしたが、食品を顔に投げつけられても笑っているのは我慢させられているように見えるなど批判も浴びたCMです。「人権問題を意識するあまり逆に配慮が足りないと思われてしまうこともある」と広告の難しさを伝えました。


山下氏は
「賛否両論あるCMを挙げたのは勇気あり、考えさせられました」と語りました。

ラストの10班はLGBTQに着目。
マッチングアプリの広告は男女のみを描いており、恋愛=男女という認識が根深いことを伝えました。
また、大手アパレルが作成した女性カップルの日常を描いたCMを紹介。このCMには批判的な意見も多かったと紹介しました。しかし「今以上に大きな声で発信していくことが大切」と偏見をなくすことの重要さを伝えました。

菊池氏は
「やるなら批判があってももっとやるべきという意見はその通りだと思う」と学生たちのまっすぐな気持ちに感嘆しました。

人権問題に取り組んでいける社会人に

2週にわたったプレゼンも終了。
最後にこの日のロレアル パリ賞が発表されました。選ばれたのはLGBTQを取り上げた10班でした。
学生たちも各班に点数を付けており、後日学生間賞も決まります。

最後に菊池氏から総評をいただきました。
「マーケティングのことを考えてもらえればと思っての課題でしたが、どの発表もとても面白かったです。皆さんも、提示された悪い例のようにならないように頑張っていきましょう」とこれからの時代を生きる学生にエールを送りました。

深澤教授の話

ロレアル・パリ様には、今年度、初めてご支援をいただきました。私自身も食物科学専攻のクラスを担当するのも初めてということで、テーマ設定に悩んでいたところ、ロレアル・パリ様とのご縁をいただき、素晴らしい内容を構築いただきました。まずは、Voice Up Japan様にご協力いただいたStand UPにフォーカスした講義をいただき、ジェンダーや平等、社会での活躍の話をいただきつつ、ストリートハラスメントについて学ばせていただきました。その後は、ロレアル・パリの菊池様、山下様にお越しいただき、ジェンダー論×マーケティングについて、昨今のinclusivityに焦点を当て、ジェンダーやセクシュアリティ、人種を意識したマーケティングについての講義とグループディスカッションそしてプレゼンテーションセッションに繋がる内容となりました。食物科学専攻の学生さんの学びとは、一見遠いようで、実際に取り組んでみると、かなり強い結びつきを発見出来たことも事実であり、大変貴重な学びの場となりました。ロレアル・パリ様には、この場を借りて心から感謝申し上げます。

2023年2月21日

ロレアル パリ様をお迎えし、企業の課題を一緒に考える特別コラボセッション。学生達から様々な解決策が発表されました

ビジネスの最前線で活躍する方々をお迎えし、企業が直面する様々な課題を知り、その解決策を探る特別コラボセッション。ロレアル パリ様をお迎えした授業のまとめは、学生達のプレゼンテーションです。ジェンダーや人種などの人権意識が高まる中で、これからの広告はどうあるべきなのでしょうか。その未来像を考えました。

前半9グループのプレゼンテーションでは、様々な広告表現に注目

まとめの授業では、グループごとに前半と後半に分かれてプレゼンテーションを行いました。ロレアル パリからは、菊池氏と山下氏が同席。それぞれのグループの発表に対して、様々な角度から評価コメントがありました。

①グループ7
おもちゃ業界が育む“ジェンダーフリー”

子供用玩具を通して小さい頃からジェンダーの刷り込みが行われている事例を紹介。
自由にカスタマイズできる着せ替え人形を例に、ジェンダーにとらわれずに自由に遊べる世界の重要性を指摘。

菊池氏
「おもちゃという着眼点はおもしろいですね。買う人(親)と使う人(子ども)が違うおもちゃはジェンダーの刷り込みが起こりやすいですが、おもちゃから変えることで新しい循環が創れそうです」

②グループ6
化粧品でみる人権問題

メイク=女性という縛りを改善した、近年の化粧品広告事例を紹介。
人権問題を意識した広告は「~らしさ」などの固定概念を取り入れない、商品の特徴や良さを伝えるキャッチフレーズが大切。

菊池氏
「メイク≠女性という社会の意識は広がっています。化粧品ブランドの取り組みに、今後も注目するとおもしろいと思いますよ」

③グループ12
ジェンダーバイアスに目を向ける

家事=母親という表現になっているTVCMをいくつか紹介。
性別や年齢に関係なく、家族が家事を分担することの大切さを強調。

菊池氏
「広告には必ず意味がある。企業の視点で『なぜこの広告を創ったのか』と考えると、また違ったことがみえてくると思います」

④グループ3
人権問題を意識した配慮の足りる広告とは

洗剤とハンドクリームの広告に注目。
webサイト上のアンケートの対象が女性のみという商品と、性別や年齢を問わない広告に変えた商品を対比。広告は性別や年齢ではなく、使用するタイミングや季節感の訴求が大切。

山下氏
「アンケートの対象に注目したのがすごいですね。昔からある製品は、過去から現在までの広告の変遷をたどると新たな発見がありますよ」

⑤グループ18
洗濯・柔軟剤広告

最近は洗濯≠女性という広告が増えているが、柔軟剤はまだ女性の商品というイメージが強い。韓国のブランドを例に挙げ、男性=消臭、女性=フローラルではない広告の可能性を紹介。

山下氏
「韓国の事例への着眼点は素晴らしい。洗剤のCMに若いイケメンばかり登場するのは主婦層に訴求するためなのかなど、広告の意図も考えるとおもしろいですよ」

⑥グループ2
人権意識ない広告

肌の色の扱い方で炎上した中国の洗剤の広告を紹介。
具体的な改善点を通じて、差別につながらない広告に大切なことを検討。

山下氏
「人種以外にも、不美人を美人にするなどの容姿の差別もありますよね。差別とはなにか、深く考えることが大切だと思います」

⑦グループ17
人種差別について

米国大手アパレルメーカーを中心に、これまで炎上した広告を例に人種差別にならない表現を考えた。広告に多様な人が登場する重要性を指摘。

菊池氏
「国内の大手アパレルメーカーには、時代の流れに合わせてビジネスと倫理の両輪を上手く回しているところがあるので、広告表現に注目するといろいろな学びに出会えます」

⑧グループ13
人権問題と広告

男性もメイクをすることを前提にした韓国化粧品の広告と、母親が料理をする食品メーカーの広告を対比し、世の中に浸透しているジェンダーのイメージの改善が必要なことを強調。

菊池氏
「韓国では男性の20%がBBクリームを使用していますが、日本はまだ一桁。男性メイクをどう伸ばすかが課題になっています」

⑨グループ9
人権問題について考える

1970年代の美容広告のモデルを様々な人種のLGBTQ+に入れ替え、現代風に再現する広告を例に、先入観を失くして多様性を意識することを指摘。

山下氏
「先入観を無くすのは難しいことですよね。育児は夫婦がやるものでも『旦那がオムツを変えて“くれた”』と言ってしまう。先入観にとらわれず、自信を持って生きられる社会が大切ですね」

ロレアル パリ賞が発表され、受賞グループには素敵なプレゼントが

前半9グループのプレゼンテーションが終わり、ロレアル パリのお二人はロレアルパリ賞の選定へ。
栄えある受賞に輝いたのは、グループ3でした。
お二人によれば、評価のポイントは家事の先にあるハンドクリームに注目したことと、webサイトのアンケートデータという細かい部分に気づいたこと。グループの5人には、ロレアル パリ製品のヘアオイルとウォータートリートメントのセットが贈られ、歓声が上りました。

2023年2月21日

「実践キャリアプランニング」でロレアル パリによるエシカルマーケティングについて学ぶコラボ授業が行われました。

共通科目「実践キャリアプランニング」(担当:文学部国文学科 深澤晶久教授)の授業で、食生活科学科の学生が、先週に引き続きロレアル パリの菊池氏による講義を受けました。先週はストリートハラスメントに立ち向かう5Dの講義でしたが、今回のテーマはマーケティング。学生たちはマーケティングの流れを学び、エシカルマーケティングに大切な要素について考え、後日プレゼンに挑戦します。

マーケティングってどんな仕事?

菊池氏は「マーケティングとはなんでしょう」とまずは学生たちに問いかけました。
辞書を引くとマーケティングとは、製品、サービス、流通、お客様に届けるための一連の体系的な市場活動のこと。「つまり、全部ですね」と菊池氏。
製品を作るところから届けるところまで、すべての活動がマーケティングです。

マーケティングの流れとしては、
1.市場の分析をする
 ↓
2.消費者の分析をする
 ↓
3.コミュニケーションの立案をする
 ↓
4.販売戦略を立案する
 ↓
5.販売し反応をもとに再度1に戻る、といったサイクルです。

なかでも3の過程での「消費者インサイト」の深堀が特に大切。
製品を届けるターゲットを定め、どういうコンセプトなどで広告を作るかを考える上で、消費者の「やりたいこと」と「やりたいけどできないこと」を明らかにすることは重要です。これが分かれば消費者の悩みを解決する、より消費者に響く広告が作ることができるからです。

広告を作って終わりなのではなく、その後販売時期や店舗、SNSやメディアの展開方法などを考えるのもマーケティングの仕事。それには競合他社の動きも見つつ、できるだけ良い時期や方法を見極めなくてはなりません。さらに発売したあとには消費者の反応などを蓄積し、次の市場分析につなげていくのです。

現代におけるエシカルマーケティングの重要さ

「最近では倫理的に広告を作るということがキーワードになっています」と菊池氏は言います。「エシカルマーケティング」とも言われ、社会的責任や環境問題などに対する価値観に基づいたマーケティング方法のことです。いくつか企業名も挙げ実例が示されました。

環境問題に力を入れているアパレル企業では、リサイクル素材の製品を製造したり買い物袋を廃止したりしており、またあるバス用品メーカーでは動物実験反対のメッセージが入ったショッパーの提供などを行いました。

人種問題では、BLMをきっかけに「白=美しい」という潜在的な刷り込みをやめようという運動が始まっており日本でも現在「美白」という文句は使われなくなってきています。
スポーツ用品メーカーもBLMに共鳴した選手を広告に起用し、大きなムーブメントになりました。このほか、セクシャリティに関する広告の実例なども紹介されました。

エシカルマーケティングに大切な要素ってなんだろう?

「ただ、よく考えてみるとこれはどうなんだろうと思う、配慮できていない広告もたくさんあります」と菊池氏。
ここでいよいよ課題発表です。

課題は
「人権問題を意識し、配慮の足りる広告を作るために大切なことを理解する」。

学生たちはグループワークで人権問題に配慮した広告、できていない広告を集め、人権問題を意識した広告を作るために大切な要素を探します。
その上で、配慮が足りていない広告をどうすればよくなるのかを考え、プレゼンします。
難しい課題ですが「自分が最近買った製品など身近なところから考えていってみてください」と菊池氏からアドバイスがありました。
学生たちはこれからグループワークを経て、12月に最終プレゼンに臨みます。