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2025年10月22日

Z世代に刺さる商品の提案!生活環境学セミナーにて、金吾堂製菓とのコラボ授業が始まりました

10月9日(木)生活環境学セミナー(担当:環境デザイン学科 安齋 利典教授)にて、株式会社金吾堂製菓(以下金吾堂)から常務取締役 碓田憲司氏、商品企画室 小谷真理子氏、株式会社ロッケン(以下ロッケン)から小笠原真一氏をお招きし、コラボプロジェクトが行われました。

授業について

生活環境学セミナーは、環境デザイン学科の3年生を対象とした専門科目です。

意見交換や討論を通じて学生同士が学び合うゼミナール形式で実施されており、安齋先生のもと、計12名の学生がプロダクトデザイン(工業製品のデザイン)について日々学びを深めています。

連携企業の紹介~株式会社金吾堂製菓~

金吾堂について碓田氏から説明がありました。

金吾堂は、米を原材料とした菓子を製造・販売する米菓メーカーです。
50年以上にわたり愛され続けるロングセラー商品「厚焼」をはじめ、現代の食感トレンドに合わせた「ほろほろ焼」や「パリッと煎」、「おすきなひとくち」など、60品目を超えるせんべいを展開しています。

なかでも主力商品である「厚焼」は、「一日で焼き上げる厚焼を縦に積むと、富士山の約8倍の高さになる」といわれるほどの人気商品。「どこかで一度は見たことがあるはず」と話しながら、実物が紹介されました。

販売成績は好調に推移している一方で、主な購買層が50代以降に偏っているという“販売層の高齢化”が課題とされています。さらに、近年の原材料価格の高騰や米の調達難の影響を受けており、新たな購買層の開拓が必要であることが説明されました。

連携企業の紹介~株式会社ロッケン~

金吾堂のパッケージデザインを担当しているのが、ロッケンの小笠原氏。

他にも、様々なパッケージデザインやブランディング(総合的なデザインを通じて製品の価値を高める戦略設計)を手がけています。また音楽業界でインハウスデザイナー(企業専属のデザイナー)としての経歴を持つ小笠原氏は、デザイン事例としてミュージシャンのCDジャケットや映画のポスタービジュアルなども織り交ぜながら実績を紹介しました。

ブランディングの事例として、金吾堂の「おすきなひとくち」シリーズを取り上げ、「シリーズ化を戦略に入れたパッケージデザインの提案だった」と述べながら画像と実際の商品を提示。統一されたデザイン様式と、一目で味がわかるパッケージ構成について説明しました。

「中身は変えていないのに、一時的に販売休止になるほど売れた。デザインの力で購買意欲を変えることができた」と語り、パッケージデザインが持つ影響力の大きさを強調しました。

課題の発表

企業の説明が終わった後、碓田氏から、「Z世代をターゲットに、厚焼のセカンドラインとして若年層に響く商品の企画立案」という課題が発表されました。

具体的に検討すべき要素として「パッケージデザイン」「味のバリエーション」「せんべいの形」「ライフスタイルに合った商品展開」の4点が示され、それぞれに「面白くカジュアルに」「Z世代にうけそうな新たなフレーバー」などの方向性が明示されました。碓田氏は「参考として、Z世代が好む味を分析した資料を紹介します」と述べ、資料を共有。ユニークでバリエーション豊かな味付けが好まれる傾向にあることがわかりました。

さらに、小谷氏からは課題の参考として、Z世代の嗜好傾向の分析と、金吾堂が実際に行っているパッケージ戦略の紹介がありました。小谷氏は「①カラフルでモダン」「②SNS映え」「③キャラクター活用と環境配慮」の3点を挙げ、「カラフルで差別化された、思わずSNSに投稿したくなるパッケージ」や「環境配慮素材を用い、その点を明示して社会的責任にも訴求する」戦略を紹介しました。

学生はこれらの点を踏まえ、商品企画とパッケージのデザインを進めていきます。

意見交換

机を囲んで、金吾堂のせんべいを味わいながら意見交換が行われました。
学生が食べているせんべいのパッケージに関する質問では「音のなるパッケージが好みではなく、その時点で選択肢から外れる」「持ち運びにはチャック付きが便利でありがたい」「ながら食べをするので、せんべい自体が一口サイズなのはいい」と学生から素直な感想が寄せられました。

SNSのシェアに関する話題では、「パッケージをシェアすることはありますか」という質問に対し、「面白いものは共有します」との回答がありました。
さらに、「大人数とつながっているアカウントでは“映えたい”気持ちが強く、率直な感想は親しい友人だけでつながっているアカウントで投稿する。パッケージやお菓子の感想を載せるのは、ほとんどが後者です」と、リアルなSNS利用の実態にも言及しました。学生の中には、「『おすきなひとくち』の写真に『これ大好き』というコメントを添えて投稿していました」と語る、すでに金吾堂のせんべいをシェアしていた人もいました。お菓子の投稿について、学生は「友達の投稿は信頼度が高く、自分も食べてみようというきっかけになります」と話し、企業担当者の三名は興味深そうにうなずいていました。

その後も、環境意識やお菓子の食べ心地など、さまざまな話題で活発に意見交換が続きました。

学生は最終提案に向けて、準備を進めていきます。

担当教員からのメッセージ

金吾堂の常務取締役、碓田憲司様、商品企画室 小谷真理子様、ロッケンの小笠原真一様、
お忙しい中、遠いところお越しいただき誠にありがとうございます。
学生にとってのお煎餅はどのような位置づけかと思っておりましたが、ゼミ生間のSNSで金吾堂様のお煎餅が話題になっていたり、おばあちゃんの家あったであるとか、別の授業でこのコラボレーションを紹介したところ、
 「この金吾堂の厚焼煎餅は私が好きでよく食べているため、特に興味が湧いた。」
というような内容がレポート書かれたり、意外と身近な存在であることが分かりました。
つまり、学生にとっては馴染みがある、あるいは馴染みやすい存在なのかもしれません。
であれば、かなり面白いことになりそうだという気がしてまいりました。
意見交換でも、学生のスナック菓子の購買チャネルや食べ方が話題となり、その果てにはパッケージの袋の音まで話が及び、敏感かつ繊細な学生の感性に触れることもで来ました。
まさに、「Z世代に刺さる商品の提案!」に近づきつつある予感を持てたミーティングでした。

2025年9月18日

2025年度食生活オープン講座にて、雪印メグミルク、SRAジャパンとコラボした特別講義が行われました。

8月26日(火)に食生活オープン講座(担当:生活科学部食生活科学科 松岡 康浩 准教授)にて、雪印メグミルクの和田玲司氏と日本サステイナブル・レストラン協会(SRAジャパン)代表の下田屋毅氏をお招きし、飲食店とサステナブルに関する特別講義が行われました。講義は夏季集中科目として開講されました。学生は、課題内容に関連する講義を受けたのち、2つの課題に関するグループワークを行い、結果を発表しました。食生活オープン講座は、生活科学部食生活科学科を対象に開講されている専門科目です。企業から提示される課題に取り組む課題解決(PBL)型の授業となっています。

課題について

一つ目の課題は「飲食店での紙パックリサイクル回収率アップへの対応策を検討する」です。和田氏から紙パックそのものの性質や、全国牛乳容器環境協議会が行っている紙パックリサイクルの取り組みについて、そして回収に関する課題が共有されました。紙パックがリサイクルに非常に適していること、リサイクルを行うことによってCO2の削減に貢献できますが、飲食店において紙パックのリサイクル率の低いことを説明。

二つ目は「シェフズ・サステナビリティマニュフェスト取り組み拡大への対応策を検討する」です。下田屋氏が携わっている農林水産省フードテック官民協議会「サステナブルレストラン推進ワーキングチーム」は、消費者がサステナブルを選べる仕組みづくりを行っている団体です。その一歩としてまずは飲食店や、料理を提供するシェフがサステナブルについて知ることが重要とし「持続可能な⾷の未来へ⽇本の料理⼈・シェフのサステナビリティ・マニフェスト:2030年へ向けた17 の指針(シェフズ・サステナビリティ・マニフェスト)」を策定。その周知を行っています。

学生はそれぞれの課題についてグループワークを行いました。

成果発表

講義を踏まえて課題に対するアンサーをグループでまとめて発表しました。

課題1に対しては、指導マニュアルへの組み込みや複数店舗での共同回収、回収率の見える化など、飲食店が現実的に行える行動変化の提案、回収量に応じたリワードや専用乾燥機の導入など、現場目線の提案を中心に様々なアイデアが発表されました。

課題2に対しては、自治体とのイベント開催や認証シェフイベント、マスコットキャラクター作成、SDGsとの連携による情報発信、SNSキャンペーン、賛同飲食店をキーワードの組み合わせで検索可能なサイトなど、来店者目線の提案がされました。

班の発表の後、ゲストの二人と先生を交えて意見交換とフィードバックが行われました。

授業の最後に

ゲストのお二人から総括のコメントをいただきました。

発表班と意見交換を行う和田氏、下田屋氏

和田氏は「皆さんの環境に対する意見、紙パックリサイクルに関する提案、しっかりと受け止めました。共有を行い、活かしていきたいと思います。今回の講義をきっかけとして、皆さんもリサイクルに対する意識をより一層高めてほしいと思います」とコメント。

 下田屋氏は「マニフェストに関して、これからどのように進めていくかアイディアをたくさんいただけてよかった。サステナビリティに関して飲食店側で様々な活動をしていますが、社会の構造上、消費者のニーズがないとつながっていかない部分があります。この場にいるみなさん一人一人が、サステナビリティに関する積極的な選択を重ねていくことが大切です」と総括されました。

 

担当教員のコメント

社会には今回取り組んだような課題がまだまだたくさんあります。
問題に関わる立場はその時その時で変わるかもしれませんが、
現状を知り、身近に感じ、より良い方向に向かって行動することは大変重要です。

2025年9月5日

学生が考案!丸紅プラックス株式会社の容器を活用したメニュー提案が、2025年度食生活オープン講座で行われました。

8月7日(火)に生活科学部 食生活科学科の専門教育科目である食生活オープン講座にて、丸紅プラックス株式会社(以下丸紅プラックス)から産業資材本部産業資材第二部主任の神谷裕美氏と管理本部総務人事部の先川祥弘氏をお招きし、課題に対する成果の発表が行われました。

発表の前に

食生活オープン講座は、生活科学部食生活科学科の学生を対象に開講されている専門教育科目です。企業から提示される課題に学生が取り組む課題解決(PBL)型の授業となっています。丸紅プラックスから提示された課題のテーマは「丸紅プラックスの容器を活用した弁当の提案」。学生が実際の店舗に足を運んだ市場調査と中間発表を経て、最終成果を発表しました。発表の後は学生間投票で優秀賞が決定し、賞状の授与が行われました。

1班:ベジっと!うどん

市場調査の結果、冷凍食品には選択肢が少ないこと、そして「野菜の豊富さ」を打ち出した商品が特に女性から支持されていることが分かりました。そこで1班は、野菜をたっぷり使った冷凍弁当「ベジっと!うどん」を提案しました。

ターゲットは、ヘルシーな食事への関心が高い女性層と、栄養バランスが課題とされる高齢者層です。蒸し野菜を中心に、鉄分・ビタミンなど不足しがちな栄養素を補えるように工夫し、消化の良いうどんと組み合わせることで、健康的で食べやすい弁当に仕上げました。

商品は透明なフタ付き耐熱容器で提供し、彩り豊かな見た目をそのまま楽しめる設計に。電子レンジで手軽に調理できる点もポイントです。冷凍・レンジ調理が可能な容器の特性を最大限に活かしています。パッケージは透明デザインを採用し、ロゴのみでシンプルに情報を伝える工夫がされています。

さらに「ベジっと!うどん」は主食やソース、トッピングを変えることで幅広いバリエーション展開が可能。実際に「ベジっと!ペンネ」などの試作も行われ、ソースによる味の違いが好評という結果が共有されました。

販売はコンビニやスーパーに加え、冷凍食品の強みを活かしたネット販売も想定。価格は700円以内に設定し、SNSでは「温活」「健康志向」といったキーワードを用いた発信を計画しています。学生が考案した商品である点もアピールポイントとしています。

2班:世界プチ旅行弁当

市場調査では、営業時間や店舗規模の異なるスーパーの弁当コーナーの比較を行いました。その結果、彩りや食体験を重視した弁当へのニーズが明らかに。これらを踏まえ、「目で楽しみ気分を変えられる世界を旅する弁当」をコンセプトに、世界各国の料理をブッフェ形式で選ぶことができる「世界プチ旅行弁当」を提案しました。

ターゲットは「海外旅行に行きたいけど行けない人」や「食による気分転換を求めている人」。購入者は、国ごとの代表的な料理を一品ずつ選び、区切りのある容器に盛り付けることで、異なる料理の味が混ざらない工夫を施しました。さらに、容器は多国籍認証であるFSC認証を受けたエコ素材容器を使用することで、環境への配慮もアピールします。

また、リピーター向けの仕掛けとして国旗ステッカーを取り入れました。料理に添えられている小さな国旗のピックを、耐久性のあるステッカー素材にすることで、コレクション性を高めました。加えて、展開例として各国のスイーツを集めたアフタヌーンティーボックスも紹介され、幅広い提案がされました。

価格は980円に設定し、プチ贅沢な特別感を演出しました。宣伝方法としては、店頭のPOPやSNS広告を活用するほか、ブッフェ形式ならではの特徴を活かし、購入者自身が「自分で選んだ弁当の内容」を発信することで話題性を広げる戦略としました。

3班:Salaporte(サラポルテ)

3班は、市場調査として訪れたデパート地下食品売り場で、サラダの需要の高さに着目しました。一方で、販売されている商品の多くは彩りが欠けていることを分析。これらを踏まえて、華やかな見た目と1日分の野菜の2分の1が摂取できるヘルシーさを兼ね備えたサラダボウル「Salaporte」を提案しました。この名称は、“サラダ”とフランス語で『運ぶ』を意味する“ポルテ”を組み合わせた造語です。

ターゲットは20~30代の健康志向の女性で、フルーツ・ナッツ・チーズを使用していることが大きな特徴です。近年SNSで華やかなサラダボウルが流行していることを背景に、彩り豊かなサラダを考案しました。

また、恒常メニューに加えて季節限定商品を展開し、旬のフルーツを楽しめる仕組みを提案。そして、容器は既存のものをベースに、ボタニカルなデザインとドレッシングを効率的に使用できる容器を提案し、フランス風のコンセプトと環境に配慮したエコ容器を組み合わせることで、脱プラスチックを意識した欧風イメージを打ち出しました。

デパートの地下食品売り場での販売を想定し、価格は800円~1200円と設定。自分へのご褒美や気分転換にもぴったりな商品としました。

4班:まんぷくミニパレードBOX

4班は市場調査として、価格帯の異なる複数のコンビニエンスストアを比較・分析。その結果、共通して「健康志向」と「環境意識の高さ」が重視されている点に注目しました。また、近年人気のグルテンフリー食品については、「健康的ではあるものの満足感に欠ける」という課題を抽出しました。

この課題を踏まえ、ダイエット中の人や健康志向の人、アレルギーを持つ人をターゲットにした「まんぷくミニパレードBOX」を提案しました。コンセプトは「目でも楽しめて、しっかり満足できるヘルシー弁当」。パレードのように多彩な料理が並ぶ楽しい見た目にすることで、食の制限がある人にも食べる楽しさを感じてもらえる工夫をしています。

メニューにはパンケーキ・フルーツのコンポート・キッシュ・ナゲットを採用。料理はすべて米粉や豆腐など、低アレルゲンかつ健康的な素材を使用します。「ナゲットに使用する豆腐はきちんと水切りを行う」など、調理法や食感にもこだわり、満足感のある味わいを実現しました。容器は区切りのあるタイプを使用し、多種類の料理を美しく盛り付けられるように配慮しています。

販促方法としてSNSや店頭POPを活用し、価格は900円程度を想定。販売場所としては、キッチンカー・スーパー・コンビニなど幅広い展開を計画しました。

5班:夏野菜チーズカレードリア

5班は市場調査を通じて、弁当における「健康志向の高まり」「季節感の演出」「彩りの工夫」が重視されていることを発見。これらの要素を取り入れ、20代を中心に幅広い世代に人気のあるカレーをベースにした「夏野菜チーズカレードリア」を提案しました。

ターゲットは、健康や食生活に気を配りながらも満足感のある食事を求める若年層や社会人です。旬の夏野菜をふんだんに使用し、見た目にも華やかで季節感のある一品に仕上げました。ごはんには雑穀米を取り入れて、彩りと栄養価をプラス。さらにカレーのルーに刻んだ野菜を加えることで、1食で1日の野菜摂取量の半分を補えるよう工夫しました。チーズは低脂肪のものを使用し、ヘルシーさにも配慮しています。

容器には、耐水・耐油に加えて冷凍保存やオーブン加熱も可能な素材を採用。調理の流れとしては、製造後に冷凍保存し、販売店では冷蔵保存で管理。提供時にはオーブンでチーズに焼き目をつけることで、アツアツで香ばしい状態で販売できるようにしました。

冷凍保存が可能な点を活かし、販売数に応じた柔軟な調整が可能となり、フードロス削減にもつながります。さらに、テイクアウト販売にも対応可能なため、キッチンカーなど多様な販売形態の展開も可能です。

宣伝方法としてはSNS広告や店頭看板を活用し、弁当の価格は750円程度を想定。夏の暑さで食欲が落ちやすい時期にも、野菜たっぷりで満足感のあるヘルシーな一品として提案しました。

6班:夏バテ防止スープカレー弁当

6班は市場調査として、揚げ物弁当専門店や駅併設の商業施設の食品売り場を訪問。その結果、弁当における「見た目の美しさ」や「売り場のライスの選択肢の豊富さ」の2点に注目しました。この調査を踏まえ、旬の野菜に素揚げのひと手間を加えた彩り豊かな見た目と、選べるご飯で楽しみ方を広げられる「夏バテ防止スープカレー弁当」を考案しました。

食材には立川産の野菜を使用し、地産地消を意識することで地域とのつながりを大切にしながら、ヘルシーで満足感のある商品を目指します。ご飯は、白米・ターメリックライス・雑穀米の3種類から選べる形式とし、リピーター獲得を狙っています。

ターゲットは「立川に勤務する健康志向のオフィスワーカー」。通勤途中や昼休みに手軽に購入できるよう、キッチンカーでの販売を想定しています。価格は900円程度に設定し、ランチとして無理なく購入できる価格設定としました。

販促ではSNS広告を活用し、地域限定ターゲティングを実施。「地産地消」や「一食で手軽にたっぷり野菜」などのキーワードを軸に商品価値を発信します。

7班:からだ想いの彩り弁当

7班は市場調査において、店舗ごとの売り方の違いや共通点を比較しました。その結果、弁当選びにおいて「健康志向」「環境への関心」「見た目の美しさ」が重要な要素であることが明らかになりました。加えて、栄養の偏りやフードロスといった社会課題にも着目し、これらを解決する「からだ想いの彩り弁当」を提案しました。

ターゲットは健康志向の女性。旬の野菜を豊富に使用し、「季節のごはん」「豆腐入りつくね」「トマト入りだし巻き卵」や「だし茹でにんじん」など、彩り鮮やかでヘルシーな料理を盛り込んでいます。容器は多くの料理を美しく分けて盛り付けられる構造を採用しました。

食材には、規格外野菜を活用してフードロスを抑え、地元産野菜を使用することで地域経済の循環にも貢献します。さらに、販売エリアに合わせて中身をカスタマイズできる柔軟性も備えています。

販売場所はデパートの地下食品売り場を想定し、価格は1000円前後に設定。和食の持つヘルシーさと、美しさを兼ね備えた商品として、現代のライフスタイルに合った形で「和の食文化」を発信します。

授業の最後に

すべての班の発表が終了したあとは、最優秀賞を決める学生間投票が行われました。学生たちは事前に配布された評価シートをもとに、他班の発表を評価し投票を行います。

結果はなんと、1班と2班が同率一位という接戦に。最終的に神谷氏と先川氏の協議の結果、「容器について深堀していた」という観点から、最優秀賞は1班に決定!受賞した1班には賞状が授与されました。

授業の終わりに、企業担当者のお二人から授業の総括のコメントをいただきました。

神谷氏は「初回講義で容器の説明をさせていただきましたが、その特徴をしっかり理解していると感じました。商品の提案に至るまでの市場調査など、想像以上に熱心に取り組まれていて参加させていただいて本当によかったです。多くの班が宣伝方法にSNSの活用を挙げていましたが、SNSを使って世の中にどう広めていくかという点は、実際に今課題として抱えています。SNSを活用しようとする姿勢は今後社会に出てからも活きていくと思います」とコメントされました。

先川氏は「調査をしっかりしたうえでターゲットを明確にし、それに向かってアプローチしていく姿勢は、将来仕事をしていく上で大切な考え方だと思います。プレゼンテーションでは、ただ話せることに加えて、プレゼンツールの活用や相手の意図・気持ちを理解した提案が重要になっていきます。今回の経験を通して学んだことを、今後も継続していくことで、将来必ず役立つはずです」と発表をきいた感想を述べました。

担当教員のコメント

食品の流通・販売において「容器」は欠かせない存在です。丸紅プラックス株式会社様は、環境に配慮したエコ容器「EUCALP(ユーカルプ)」を開発されており、今回この容器を活用したお弁当のメニュー開発という貴重な課題を提案してくださいました。連携がスタートした5月、神谷様よりユーカルプの特徴をご説明いただき、これをもとに学生たちは7月の中間発表に向けて市場調査や試作を重ねました。私からは、「ユーカルプの特徴を最大限に活かすこと」と「丸紅プラックス様の容器だからこそ実現可能な提案であること」を強く意識して取り組むよう伝えました。
最終発表では、すべての班がこの視点を反映させ、学生らしい個性豊かな発表を行ってくれました。特に1・2年生が中心で調理実習の経験も浅い中、各班が何度も試作を重ね、自分たちのお弁当の写真を使って堂々とプレゼンテーションをしてくれたことは、とても頼もしく感じました。丸紅プラックス株式会社のお二人からいただいたご講評にもありましたように、この経験は今後の社会人生活において必ず活きるものと確信しています。
神谷様には各班の発表ごとに大変前向きなフィードバックをいただき、学生にとって商品提案を考えるうえで貴重な学びとなりました。今回の社会連携授業は、学生にとって非常に実り多い経験となったと感じております。改めまして、神谷様、先川様をはじめ丸紅プラックス株式会社の皆様に心より御礼申し上げます。

生活科学部食生活科学科 守田 和弘 准教授
2025年9月2日

学生が考案!株式会社東京サマーランドで販売を想定したメニューの提案が、2025年度食生活オープン講座で行われました。

8月7日(火)に生活科学部 食生活科学科の専門教育科目である食生活オープン講座にて、株式会社東京サマーランド(以下サマーランド)から経営企画室課長の田村 修平氏と経営企画室兼営業推進部企画宣伝課の高見 哲平氏をお招きし、課題に対する成果の発表が行われました。

発表の前に

 食生活オープン講座は、生活科学部食生活科学科の学生を対象に開講されている専門教育科目です。企業から提示される課題に学生が取り組む課題解決(PBL)型の授業となっています。サマーランドから提示された課題のテーマは「プール遊園地施設における商品提案」です。5月末に実施された現地調査と中間発表での意見交換をふまえ、各班が試行錯誤して、考案・開発した最終成果を発表します。

1班:スノーバーガー

1班は現地調査で、天候によって来場者の行動が変化すること、ファミリー層が多いことを分析し、飲食の簡便さと軽食に需要があることに着目。「現地調査で食べたバーガーのバンズがおいしかった」という経験から、アイスをバンズで挟んだ「スノーバーガー」を提案しました。

ハンバーガーのバンズにアイスがサンドされている見た目のインパクトで、映えるビジュアルを実現。手を汚さずに食べられる工夫を取り入れたアイスの提案をしました。さらに、バンズを事前に仕込むことにより提供時の工程を削減。約1分で商品を提供できるスムーズさと、アイスとバーガーの意外な組み合わせの斬新さで、購買意欲を高めます。販売戦略としては、SNSでのハッシュタグ活用やインフルエンサーとの連携を予定。販売価格は500円としました。

2班:ぱちぱちストロベリーソーダ

2班は、現地調査から、飲食を持ち込みをしている来場者であってもつい購入したくなるインパクトが強い商品に集客力があること、屋内の暑い環境では冷たいメニューの需要が高いこと、また飲食の持ち込みをしている来場者ほど軽い飲食物を購入する傾向にあることを分析。自分でひと手間加えて完成させる体験型のフードに着目し、口に入れるとぱちぱちはじける粉末を自分でドリンクに入れる「ぱちぱちストロベリーソーダ」を提案しました。

「ぱちぱちストロベリーソーダ」はアクティブさを邪魔しないベリーと炭酸のさわやかさと鮮やかなビジュアルで、五感を使って楽しむことににこだわったドリンクです。試作段階では「ぱちぱちと弾ける音が10-20分ほど持続していた」と、味や見た目だけでなく音でも楽しめる”五感”で味わう体験型ドリンクを実現。ターゲットは20代の若者とし、価格は手の届きやすい500円と設定しました。宣伝方法にはSNSの発信や場内看板を活用し、多くの来場者に魅力を伝えます。

3班:シャリっとサマージェノベーゼ

3班は現地調査の結果、既存のフードには冷たい主食がないことに着目。加えて、夏に求められている食の要素として「あっさりとした味付け」が好まれること、夏野菜の中ではトマトが人気であるという調査結果を重ね合わせ、冷凍トマトを使用した「シャリっとサマージェノベーゼ」を提案しました。若い女性や家族連れの母親をターゲットに、こってりした味付けが多い既存のフードとの差別化を狙いました。

フローズントマトを使用することで、時間がたってもひんやりと冷たい状態を保つことができる食事を実現。他の材料はジェノベーゼソース、エビ、チーズを使用し、さっぱりとした味で満足感のあるフードを目指しました。

販売価格は、園内の既存フードの価格を参考に、1000円と設定。SNSでは実際に食べている様子を発信し、購買意欲を高める戦略としました。

4班:青空ふわもこソーダ

4班は現地調査の際に購入した、自分で手を加える体験型フードに着目。手を加える楽しさとロゴ入りドリンクをコンセプトに「青空ふわもこソーダ」を提案しました。

作り方は、カップの側面に雲に見立てた生クリームを塗布し、そこにバタフライピーティーと炭酸水を注ぎ、仕上げに綿あめを乗せてロゴ入りのストローを指して完成です。青空を表現するためのバタフライピーティーの配分にこだわり、試作では最もきれいに青空を再現できる色味を検討しました。

ターゲットは中学生から20代までの若年層。販売価格は手に取りやすい700円に設定。販促にはSNSを活用し、綿あめを溶かしながら飲む様子を動画で紹介し、「実際にやってみたい」と思わせ、購買意欲につなげます。

授業の最後に

発表後、田村氏と高見氏による協議を経て、最優秀賞が決定しました。

見事受賞したのは4班の「青空ふわもこソーダ」。賞状の授与と、副賞としてサマーランドワンデーパスが贈呈されました。

授業の終わりに、企業担当者のお二人から総括のコメントをいただきました。

田村氏は「提案していただいたメニューはどれも独創的でした。発表の中に動画を取り入れていたチームがあったと思います。昨今SNS発信では動画の活用が非常に多いです。特にショート動画(15-60秒の動画のこと)のように、短時間でインパクトを与える手法は、現在のニーズに合っていると感じました。サマーランドとしては飲食店の回転率も重要視しており、その点で調理工程がシンプルであることは大事な視点です。どの班もすばらしい発表でした」とコメント。

高見氏は「発表内容はとても素晴らしかったです。プレゼンテーションにおける見やすさや伝わりやすさの工夫は、経験を重ねることで身についていくものだと思います。発表する環境によっては、資料の色使いなどにも配慮されるといいと思います。また、サマーランドの客層や来場者の行動は季節により大きく変化します。今の時期は夏休みのため、ファミリー層に加えて学生も多く来場します。今回の視察での分析が非常にしっかりしていたからこそ、変化を想像し別の視点で考えるとどのような結果になるのかも興味深いと感じました。今後同様の発表の機会があれば、そうした点にもぜひ意識を向けていただけたらと思います。」とフィードバックしました。

担当教員のコメント

プール遊園地施設における商品提案という課題に対して、東京サマーランドの方から、お客様視点ということが重要視されました。

現地視察の日はあいにくの天気でしたが、参加した学生は、施設を楽しみ、それぞれの視点で園内の環境や飲食店のメニュー、客層など詳細に分析することができました。その成果が最後の提案発表につながっていたと感じます。また、発表後のフィードバックでもご意見をいただき、調理設備や使用できる材料、回転率重視など、商品提案の難しい部分も感じることができたことは、大変よい経験となったのではないでしょうか。

東京サマーランドの田村様、高見様には、講義から始まり、現地でのご案内、最終発表のご講評まで関わっていただき、改めまして、お礼申し上げます。おかげさまで学生達はやりがいを感じながらも楽しく授業に取り組むことができました。

一連の活動が、自信となり今後の学びや課外活動につながることを期待します。

生活科学部食生活科学科 中川 裕子 准教授
2025年7月7日

2025年度「キャリアデザイン」にてオリエンタルランドさんから課題が発表されました。

6月17日(火)にキャリアデザイン(担当:文学部国文学科深澤晶久教授)にて、株式会社オリエンタルランド(以下オリエンタルランド)から横山政司氏を招き、課題について共有が行われました。学生が履修決定の際に提出した履歴書に「このコラボを楽しみにしていました」といった声が多く記載されていたことが深澤先生から共有があり、今現在もキャストとして働く学生が授業受講生の中に2人いるなど、学生からの期待値と意欲の高さがうかがうことができる回となりました。

課題についてお話しいただいた方は、コンテンツ開発推進部長の横山政司氏。初めにアイスブレイクとしてディズニーにまつわるクイズを楽しんだ後、横山さんによる自己紹介と、これまで歩んできたキャリアについてのお話がありました。

課題発表の前に

オリエンタルランドに入社するきっかけは大学時代に入っていた運動サークルでの経験で、「自分の企画で多くの人を笑顔にしたいと思った」ことだと話しました。入社後、キャリアのスタートは「SMTの時間帯責任者」だったそう。SMTはアトラクション略称で、学生たちは馴染みのない文字列に少し戸惑った様子でしたが、「スペースマウンテン」と正式名称の説明を聞いてワッと納得の声が上がりました。明るくテンポよく、ユーモアを交えながら話は続きました。

オリエンタルランドについて

オリエンタルランドの創業は1960年。創業の背景に、高度経済成長期の公害問題があったことを説明しました。また、オリエンタルランドという企業名は「東洋一のレジャーランドをつくる」ところからきているそうで、話は東京ディズニーランド開園にいたるまでの経緯に移ります。浦安にレジャーランドの設立が決まった背景として、公害問題による水質悪化で漁業が行えなくなり、浦安の海が埋立地になる計画が浮上したことがありました。

ディズニー誘致のきっかけは、創業者がアメリカのディズニーランドを視察した際、『日本の子どもたちにも見せたい』と強く感じたことだったと述べました。「東洋一のレジャーランド」が「ディズニーランド」であることの関係性がここで生まれたといいます。海の埋め立てに際して漁業権放棄の補償交渉が終了した年が1964年。同時期に、本格的なディズニー社との交渉が始まりました。契約の締結は1979年。「とにかく本物を」という理念のもと建設が始まり、1983年に東京ディズニーランドが開園しました。その後、1996年に新エリアオープン、2001年に東京ディズニーシーオープン、2013年に年間来園場数3,000万人の達成、2020年にコロナで史上初の4カ月閉園など、歩んできた歴史を紹介しました。

また、企業使命が「自由でみずみずしい発想を原動力に、素晴らしい夢と感動、ひととしての喜び、そしてやすらぎを提供します」であること、パークでゲストに提供しているものが「HAPPINESS」であることを紹介しました。「HAPPINESS」は、わくわくや感動、心の底から楽しむことなど、ポジティブなエネルギーであることを、CMの動画を使って説明。接客やパーク内の体験を通じて提供しているものを明確にしました。

課題の発表

学生が取り組む課題の発表の前に、前提条件として現在オリエンタルランドが抱えるビジネスの課題点について共有されました。それは、「人口減少の中、どのようにして来園場者・客単価を増やすか」。ビジネスモデルの説明と共に、どうしてそれが課題であるか細かく説明されました。一度軽いグループワークと意見の発表を交え、横山氏がピックアップした改善策は「リピータを増やす・客単価をあげる・年齢や環境の変化による離脱者を減らす」の三点。これらを達成する手段として「ファン化の促進が必要」とし、東京ディズニーリゾートのファンクラブである「ファンダフルディズニー」の紹介がありました。年会費や入会特典を説明したうえで「ファンクラブ会員はそうではない客と比較して、客単価が高い」一方でと「ファンクラブ会員の半分は継続歴5年以上であること」を述べた上で「入会者の過半数が40代以上」という現状の紹介がありました。

ここで課題が発表されます。スライドに映し出されたミッションは「あなたは、コンテンツ開発推進部に配属されたオリエンタルランドの新入社員です。人口減少社会でハピネスを提供し続けるために、Z世代のファンダフルディズニー会員を獲得する施策を提案してください」。続いて、取り組みにあたってのポイントの説明がありました。それは「原因の仮説を立てること」「Z世代のとくにどのような層をメインターゲットにするか決め、どうしてそれが会員獲得につながるか根拠を明示すること」そして「前述の二点が、施策内容とつながっていること」。さらに「年会費を下げる以外の切り口にすること」「提案する策が会員獲得につながる根拠を示すこと」。課題の構成や評価につながる重要な事柄の発表に、学生たちは真剣にメモを取ります。

横山氏は続けて、「コンテンツ開発推進部のメンバーが守るべきもの」を示したスライドをスクリーンに投影。そこには、普段仕事で大事にしていることが書かれており「課題を進めるうえでちょっと意識してもらえれば」と言葉をおいて、内容の解説をします。大切にしていることは「リサーチ」「リスペクト」「レビュー」の3点。グループで企画を進めるうえで、「互いにリスペクトすることを忘れず、ターゲットからもリスペクトされるような提案をする。ターゲットを尊重することを忘れないで提案内容を考えると、いいアウトプットが出せる」「今回はレビューまではいかないけれど、振り返りをしっかりすることは大切」と述べ、「とりわけリサーチについて、顧客をしっかりと見ることが大切。ウェブなどに掲載されている調査結果はすぐにとれるけど、それは誰にでもできること。ぜひ、皆さんならではの根拠を示してもらいたい」と学生ならではの視点に期待を寄せました。

授業の最後は早速グループワークでアイディア出しが行われました。横山氏は「課題のポイントにあった『調査結果が施策内容とつながっていること』が重要。施策が何に結びついていくのかを意識しながら、今後のワークに取り組んでほしい」とアドバイス。

学生たちは二週間後に横山氏から中間フィードバックをいただき、7月16日に控える最終プレゼンテーションに向けて準備を進めていきます。

担当教員からのメッセージ

今年も、学生にとって極めて関心の高いオリエンタルランド社との連携授業がスタートしました。本年度も昨年同様のテーマをいただきました。身近な企業からのお題ですが、その難易度は、昨年も実証済みです。
横山さんには、中間のフィードバックを含めて、7月8日のプレゼンテーションセッションまでサポートいただきます。学生の取り組みに期待したいと思います。

2024年2月13日

地域とつながる!「プロジェクト実践演習b」の授業で学生たちが考えたイベントを無印良品の店舗で開催しました。 

「プロジェクト実践演習b」(担当:現代生活学科 須賀由紀子教授)で、12月16日に株式会社良品計画(以下、無印良品)との産学連携プロジェクト『つながる市』を学生たちが企画しました。八王子市楢原町にある大型ショッピングモール『フォルテ八王子』の無印良品店内にて、学生たち自身でプロデュースした3つのワークショップを開催しました。

地域とひとをつなげよう

無印良品フォルテ八王子店の入り口付近に3つのブースが開設されました。
学生たち全員で決めたキャッチコピー「このマチ、もっとスキになる。」をテーマに、地域と人がつながる無印良品フォルテ八王子の『つながる市』をプロデュースしたのです。
ポスターチームは、無印良品っぽさもあるシンプルかつ実践女子らしさを取り入れたカラフルなポスターを作成。
このポスターを持ちながら、店舗に来店したお客様に、ワークショップに参加してもらえるよう声掛けをします。一体どんなイベントに仕上がったのでしょうか?

遊んで作って楽しい!くらしいろはカルタ

「くらしいろはカルタ」とは、家庭科の教科書を題材とし、学生が作成した、様々な世代をつなぐオリジナルカルタです。
カルタで遊んでもらうスペースと、お客様自身に八王子の良いところを書いていただくというワークショップを行いました。

カルタを企画した学生の声
「カルタのワークショップを企画したのは、実践女子らしさをどう出そうかと考えていたときに、須賀先生からアイディアをいただいたことです。お客様に一緒にカルタを作ってもらおうと決めて進めていきました。八王子は自然が多く、東京都なのにのんびりした時間が流れている、マイペースになれる街。そこから四季をイメージしたパネルを作成しました。難しかったのは、自分たちがやりたい企画を出せばいいだけじゃないということ。また、予測と実際では違うことも学びになりました。複数のことを考えて実行する経験は今後に活かせると思います」

ふぉるむがカワイイ東京こけしづくり

八王子市の特産である「東京こけし」作りを体験できるブースも。
胴体が丸い形状が特徴の東京こけしは、小さくころんとして可愛らしいフォルムです。

東京で唯一こけしをつくっている大蔵木工所が、こけしづくりを実演し、出来立てほやほやのこけしに無印良品のカラーペンを使って色付けの体験ができます。

大蔵木工所の大蔵氏
「普段は企業の実演会や外国人向けの絵付けなどを行っています。イベントにはたびたび出ますが、大学生からの声掛けはめったにない。よく『東京こけし』を探したねという気持ち。依頼があった時はいくらでもできるよと返事しました」

親子の絆を深めるお菓子の家づくり

無印良品の商品「ヘクセンハウス」を使って、お菓子の家づくりのワークショップも展開しました。
デコレーションに使うメレンゲなどは八王子のお店のお菓子を使用。お持ち帰り用に新聞紙でエコバックづくりなども行いました。

ヘクセンハウスワークショップを企画した学生の声
「当初は地元の個人店のパン屋と連携したパンの物販を考えたのですが、物販は発注の数量や配送の方法、衛生管理など考えることや準備が多く断念し、ヘクセンハウスに八王子のお店のお菓子をデコレーションすることで八王子とつなぐ内容にしました。結果的にお客様にとても楽しんでいただけてよかったです。目の前のことだけをやっていては駄目で、先を見据えて動くことは今後に活かせると思います。大変だったけど準備も含め楽しかったです」

今後のつながる市もより良いものに

今回は様々な企業の方のご協力により実現しました。
学生たちは企画立案からイベントの運営まで対応し、実地でマーケティングを学んだ貴重な経験となりました。

無印良品フォルテ八王子店 加納店長
「授業は週1回のため意思疎通が難しく、タイムラグが出てしまったこともありましたがよくやってくれたと思います。無印良品の商品を使ってというような注文も特にせず、自由にやってほしいと伝えていました。つながる市としての目的はバッチリ達成していると思います。東京こけしなどは学生たちも知らなかったと聞いて、今回一から八王子について調べてくれた外からの目線だからこその発見だったのかもしれないと感じました。今後ともなにか連携していければと思っています」

コーディネーター 長谷川氏
「学生がやりたいこととお店が求めること、そして来店するお客様が求めることの中から合致するものを見つけることが難しかった印象です。しかし、実践女子ならではのものができたと思いました。お菓子の家づくりは無印良品単体でもやっているワークショップですが、エコバッグづくりや八王子のお店のお菓子を取り入れるなどのアイディアで、コラボした意義が出たと感じています。都会にはなかなか民芸品が少ない中で、東京こけしを見つけたのもすごい。カルタもまさに実践女子らしい仕上がりになったと思っています。今後にも活かせるコラボになりました」

須賀先生からのメッセージ

企業の皆様は学生のやりたいことを好意的に受け止めてくださいました。学生たちも「八王子らしさ」を手探りで探しながら、企業側にもメリットのあるものを模索し、ブースに使う机や絵付けのペンなど無印良品のものを利用することを考案しました。暮らしに密着している無印良品の郊外型店舗でのイベント運営ということで、学生たちも意欲高く取り組むことができました。自分たちが企画したイベントを実際に店舗で運営させていただく経験は、意思疎通をしっかり行い、段取りをつけて進めることの大切さを学ぶ機会となったと思います。学生の思いを懐深く見守っていただいた関係者の皆様に深く感謝いたします。

2024年2月8日

土着化したイベントを考えよう!「プロジェクト実践演習b」で無印良品の店舗とのイベントコラボ授業が実現しました。

「プロジェクト実践演習b」(担当:現代生活学科 須賀由紀子教授)の授業で、10月18日に株式会社良品計画(以下、良品計画)と本学による産学連携プロジェクトが開始されました。生活雑貨を幅広く扱う「無印良品」とコラボし、地域に密着したイベントを開催します。この日は無印良品とはどういったブランドか、地域に密着するとはどういうことかを学び、イベントに向けてのアイデア出しを行いました。

無印良品とはどんなブランド?

はじめにブロックマネージャーの吉原佑亮氏から、良品計画が展開する『無印良品』について説明がありました。
無印良品の商品は、学生たちも購入したことのある身近なブランドです。食品や衣料品、雑貨にとどまらず、家具や化粧品など幅広く展開しています。
無印良品は1980に創業。
「わけあって、安い。」をキャッチコピーに低価格で良質な商品を販売しています。素材の選択、工程の点検、包装の簡素化を「3つのわけ」として創業当時から大切にしています。
1983年に東京・青山の1号店から始まり、今では世界32カ国・地域に1000店舗以上を展開し、商品アイテムも衣服や生活雑貨、食品、そして家まで取り扱っています。

2021年から企業理念を再定義し、「感じの良い暮らしと社会」の実現を目指して社会課題にも取り組んでいます。
大きな使命は2つ。
1つは日常生活の基本商品を誠実な品質と論理的視点から開発をし、未利用資源の活用や無駄のなくす取り組みなど、商いを通じて社会に貢献すること。
2つ目は無印良品の店舗がコミュニティセンターの役割を持ち、地域の皆さまと課題や価値観を共有し、共に地域課題に取り組み、地域やまちづくりに貢献を図る「土着化」です。
例えば防災についてグッズを販売するだけではなく防災を学ぶイベントを開催するなど、各店舗が中心となり行っています。
今回の連携授業としては、この「土着化」が主に関わってきます。

イベント会場は大きい郊外型店舗

ここからは無印良品フォルテ八王子店の店長加納聖人氏から、店舗について紹介がありました。
今回学生たちが実際にイベントを行う店舗です。フォルテ八王子店は2023年6月にオープンしたばかりの新しい店。
売り場面積は600坪もある郊外型店舗です。
2030年までに、地域に土着化し「買い物の場だけでなく、人々の暮らしの場」となることを目標の1つに掲げています。

客層の傾向は、平日はご年配の方や主婦層、土日はファミリー層が多いとのこと。
全体平均でも男女ともに50歳以上のシニア層の割合が高い店舗です。
店舗は八王子駅からバスや車で20分ほどかかるため、立地的には「わざわざ行くところ」。つまりわざわざ行きたくなるお店にならなくてはいけません。
「まだまだ課題はありますが、まずは一人一人のお客様から信頼されるように頑張っています」と話されました。

土着化した店舗を目指して

続いて今回のコーディネーターを務める長谷川浩史氏が「土着化」について話されました。
長谷川氏は良品計画とともに「MUJIキャラバン」という土着化につながるプロジェクトで、日本一周の旅を果たした人物。各地の暮らしの中で自然と生まれたものづくりや食文化、取り組みを見つけ、現代の生活習慣に合わせて改良されているものを紹介してきました。
土着化とは「地域住民の方同士が交流しつながるプラットフォームとなることを目指し、地域課題を解決するきっかけを与えられる店舗であること」と言います。

土着化の一環として、店舗ではイベントワークショップも数多く実施してきました。
そのうちの1つが「つながる市」。今回、本学の学生たちが参加するイベントです。
つながる市とは全国の大型店を中心に不定期に開催している、地域の方々と一緒に作り運営するマーケットです。これまでのつながる市では、その地域の大学の学生が育てた野菜の販売や、小物作家による雑貨作成のワークショップなど、それぞれの特色を生かしたものが様々行われてきました。吉原氏も「イベントの内容も何が良い何がダメ、という定義は一切なく、地域の役に立つところに関わっていけたらと思っています」と話されました。

早速アイデア出し!どんなイベントにしよう?

学生たちは班に分かれアイディア出しを始めました。
模造紙を広げ、ポストイットにアイデアを書き貼り付けていきます。
「季節に合わせて考えよう」とクリスマスのオーナメント作りのワークショップ案が出たり、「八王子市の有名な店舗はどこがあるかな」と検索をしたり。「豊田ビールは?」という意見には「いい案だけど、車で来る人が多いし…」と懸念点も出ていました。
他にもターゲット層はどうするか、実践女子大学ならではのモノは何かあるか、価格帯は?など様々な意見が飛び交いました。八王子市にあまり縁がない学生はなかなかペンが進まず「まずは八王子市について知るところから」と検索し、アイディアのきっかけがないかを探し、吉原氏たちも各班を回ってアドバイスを下さいました。

時間はあっという間に過ぎ、授業の最後にどんな方向で進めていくか、各班から出た案を報告しました。
八王子発祥の東京こけしの絵付けワークショップを考えた班や、地元の有名パン屋とのコラボ、八王子付近の牧場で採れた牛乳でバター作りなどの案も。
イベントは12月16日(土)の開催予定です。学生たちはこれからイベントに向けてさらに案を練っていきます。

2023年3月17日

産学プロジェクトで、ルミネの「リアルとデジタルの融合を提案する」プレゼンがオンラインで行われました。

2023年3月23日付 繊研新聞 掲載
問題解決型産学プロジェクト Z世代に響くルミネの新サービス提案
※画像をクリックすると拡大します。

本学と大妻女子大学、跡見学園女子大学、女子美術大学の4校が、ルミネと行った問題解決型産学プロジェクトの最終報告会について繊研新聞で紹介されました。

繊研新聞社WEBサイトリンクhttps://senken.co.jp/

 2月7日(火)、産学プロジェクト「LUMINE×AOJJ」の学生たちによるプレゼンが行われました(オンライン)。実践女子大学・跡見学園女子大学・大妻女子大学・女子美術大学の4女子大共同のプロジェクトで、実践女子大学からは大川知子教授(生活科学部 生活環境学科)のゼミ生10名が参加。大学間を越えたチームを作り、ルミネから提示された課題解決に臨みました。

4か月のプロジェクト集大成!4女子大の学生が交流

 プロジェクトは昨年10月から開始。各大学の参加学生は全員3年生で、計41人。6チームに分かれ、主にオンライン会議で話し合いを重ねてきました。ルミネからの課題は「リアルとデジタルを融合したデジタルの新しい形」。最終報告会のこの日は、ルミネの重森淳一氏(常務取締役営業本部長)や渡名喜暁子氏(OMO推進部)をはじめ10名が参加くださり、各発表後には質疑応答も行われました。

「消費者」から「発信者」へ

 最初のチーム「premiere」はルミネの利用者が購入だけでなく、発信者になれるSNSのようなアプリを提案しました。目的はSNSに親しんでいるZ世代に「ルミネを憧れの店」にしてもらうこと。購買体験を発信し、見た人が店に行きたくなるものを目指します。ギフト機能やほしいものリストなども作り、友人や推しに匿名でプレゼントを贈ることも可能です。
 発表後の質疑応答では「仕組みがしっかり設定されていた」との感想が。「Z世代に憧れにしてもらうためのポイントはどこ?」という質問には、「インフルエンサーなどに発信してもらうことで、Z世代に訴求する」と説明。

コーディネートはルミネで

 次のチーム「twinkle」もコーディネートアプリを立ち上げることを提案。「フレンチレストランでデート」「原宿でショッピング」など様々なシチュエーションを設定し、それぞれに合ったコーディネートを、ルミネのショップ店員がセレクト。ルミネの通販アプリと連動し、気に入った商品はそのまま購入もできるようにします。また、パーソナルカラー診断や骨格診断なども行え、自分に似合うルックを探せる仕組みです。
 質疑応答で「コーディネートに使えるSNSは他にもあるが、使ってもらうには?」という質問に、学生は「気温別、TPO別のコーディネートが検索できるのがポイント」と回答し、ルミネの方も納得されていました。

ルミネのメタバース空間を作ろう

 次の「チームワンピース」は、メタバース空間を利用したサービスを提案。デジタル空間上のルミネを、自分好みのかわいいアバターで回れる仕組みです。メタバース上の店舗で気に入った商品はワンタップで通販サイトに飛べるほか、実店舗のルミネの様子もリアルタイムで配信。実店舗に行ってみたいと思わせ、店舗に行き慣れないひとも安心して足を運べる工夫です。若者だけでなく地方の人にもルミネを体験してもらえるデジタル利用法です。
 発表後は「メタバースを実際に利用して検討しているのが素晴らしい」と感想がありました。

リアルとのつながり「ルミネコレクション」

 「火11」チームは、店員とお客様の関わりを大切にしているルミネの強みを生かした企画を提案しました。ルミネのショップ店員がコーディネートを紹介する3分程度の動画投稿アプリで、店員一人ひとりに投稿してもらうことで、店員に会いに行きたいと思わせる工夫です。また半年に1回、ルミネ内で「ルミネコレクション」を開催。人気店員による東京ガールズコレクションのようなイベントで、リアルの店舗に来たくなるように促します。
 発表後には社員の方から「ルミネコレクション、楽しそう。ショップ店員のおすすめ力の強みが出ている」と感嘆の声がありました。

Z世代に寄り添った参加型サービス

 次の「推し活盛り上げ隊」もフェスの開催を提案。年に1回人気イラストレーターとアパレルブランドがコラボをかけた投票をして、自分の好きなイラストレーターやブランドを応援できるシステムです。アプリは店内でも使えるようにし、タグをスキャンすることで店員を介さずに口コミやコーディネートを見られるものを提案しました。アプリ利用でクーポンの配布やイベントの投票もできるようにします。
 発表後は「推し活という発想がおもしろく、年間スケジュール感も分かりやすかった」と感想をいただきました。

ルミネセレクト!ポップアップショップ

 最後の「fortuna」は、リアルの雰囲気に合わせたデジタルサイトの開設を提案しました。ルミネはいろんなブランドが集結しているのが魅力とし、さまざまなブランドを合わせた「ルミネセレクト」のポップアップショップを作る案を出しました。実店舗にも同じショップを出し、リアルとデジタルのギャップをなくす工夫です。季節ごとのコーディネートに合わせたコレクションを提示し、デジタルでの通販だけでなく実店舗に来てもらえるようにします。
 感想では「リアルなルミネのポップアップに着目とデジタルの融合のアイデアがいい」と仰っていました。

学生も成長できたプレゼンテーション

 すべての発表後に、重森氏から総評をいただきました。「オンラインのやりとりでチーム内のコミュニケーションも難しかったと思いますが、ここまでルミネについて考えていただけるとは」と語り、「ルミネの通販システムとアプリの連携の改善余地は、皆さんのおっしゃる通り」と学生の指摘も受け止められていました。「参考になる点がたくさんありました。今後ルミネも改善していく中で、皆さんからの案があるかもしれません。引き続きルミネを見続けてください」と学生たちへの頑張りを賞賛されました。

 各大学の教授たちからも最後に学生へ言葉があり、大川教授は「今回の経験を大いに糧にしていただきたい」と学生たちへエールを送りました。

参加学生の声

 「初めて他大学の人と協力しましたが、グループの雰囲気づくりや人間関係を築きながら企画を進め、他の人の意見も聞き取り入れることで、より良い案が生まれるというのを実感できました。コロナの影響で、大学内の友人すら、あまり作れませんでしたが、今回、他大学の友人ができたことも嬉しかったです」

 「自分の意見に根拠をつけて、明確なものとして提案する能力が身に付きました。もともと自分の意見を伝えることは得意でしたが、得意で、声が大きいからこそ、周りの賛同でまかり通っていたのだと、気付くことができました。周りも自主的になると、自分の発言は根拠がないと埋もれるため、根拠まで言葉で表すようにする癖が付きました」

 「調査とは、ある程度ではなく、徹底的に行い、深く掘り下げることが重要であることを学びました。また、自分では考えつかないアイディアを提案してくれる仲間がいることで、考えの幅が広がることを実感しました。自分と他人のアイディアを融合することで、新しいアイディアが生み出されたときが嬉しく、毎週内容がブラッシュアップされていくことに対して、やりがいを感じるプロジェクトでした」

 「協調性やチームワークの大切さを、改めて知ることが出来ました。話が煮詰まってしまった時、その案を諦めるのではなく、ブラッシュアップすることで達成感を得られました。達成感を得られたのも、チームのみんなが諦めない心で臨んでくれたからだと思っています」

大川先生の話

 2013年の着任時、ルミネ立川店とのお取り組みからスタートしたこの産学プロジェクトは、今年度で一旦終止符を打ちます。最後の5年間は女子大連携プロジェクトに発展し、素晴らしい先生方のご尽力により、年々精度の上がる内容になりました。これは、一研究室の一教員だけでは到底できなかったことです。  
 ドキドキの課題提示に始まり、いざスタートとなると、学生たちも真剣に取り組み、時にチームの意見の食い違いやフリーライドの問題もありましたが、そういった苦難を乗り越え、最終発表まで力を合わせて取り組んだ経験は、何にも代えがたい貴重なものでした。
 ルミネの皆様も、相手が学生だからと手加減せず、真摯に向かい合って下さったこと、学生たちの成長の一助に力をお貸し下さったことに、大変感謝をしております。10年に亘り、本プロジェクトに関わって下さった全ての皆様に、心から感謝申し上げます。

2023年1月10日

桃谷順天館との産学連携授業で学生が新商品を提案!

 11月16日(水)、人間社会学部現代社会学科の井上綾野准教授による3年生ゼミ「演習ⅢB」にて、化粧品メーカーの桃谷順天館との産学連携課題のプレゼンテーションが行われました。当日は、桃谷順天館のグループ会社である明色化粧品営業部マネージャーの井上昴氏が本学に来校。桃谷順天館人事部シニアマネージャーの大江崇氏ともオンラインで結び、「演習ⅢB」の3年生と「演習ⅣB」の4年生の混合チーム5組が明色化粧品の新商品を提案しました。

課題は「業績アップにつながるような売れる新商品の提案」

今回の課題は、桃谷順天館のグループ会社である明色化粧品の新商品を提案するというもの。
「演習ⅢB」を履修する3年生に加え、井上准教授による「演習ⅣB」を履修する4年生も加わり、学年混合でAからEまでの5チームに分かれてこの課題に挑みました。

チームはそれぞれ、販売チャネルや主力商品など明色化粧品から提供された情報をベースに、「クッション下地」「フェイスマスク」「アイブロウ・アイラインスタンプ」「ヘアオイル」「メイクキープミスト」とまったく異なる商品を考案。
店頭やSNSでのプロモーション施策も併せて発表しました。

発表後には、井上准教授と明色化粧品の井上氏、桃谷順天館の大江氏が審査を行い、優秀な発表をした1位から3位までのチームを選出。選ばれたチームのメンバーは、井上氏より賞品(明色化粧品の製品)を授与されました。

1位は、斬新なアイデアが光る「アイブロウ・アイラインスタンプ」を提案したCチーム!

1位に輝いたのは、アイブロウ・アイラインのスタンプ、その名も「ポンdeメイク」という商品を考案したCチーム。
眉やアイラインに関するメイクに悩みを抱える20代~30代の男女をターゲットに、スタンプ方式で眉とアイラインのメイクを可能にするという斬新な商品アイデアを披露し、これが高く評価されました。
実はこのCチーム、中間発表時点での評価は低かったとのこと。どんな商品なのかイメージが伝わりづらいという井上准教授からの指摘をクリアし、見事1位という結果を勝ち取りました。

2位は「メイクキープミスト」を提案したEチーム、3位は「フェイスマスク」を提案したBチーム

2位は、メイク崩れを防止する「コンパクトキープミスト」を提案したEチーム。
毛穴の悩みを抱える人が多い点に着目し、保湿ができるメイクキープミストを提案しました。外出先でのメイク直しの際に使用できるコンパクトなサイズと、持ち歩きたくなるような高級感あふれるパッケージが特徴。
プロモーションにおいては、店頭施策、SNS施策に加え、プレゼント企画も準備しました。

3位は、明色化粧品の主力商品の一つ、「美顔水」シリーズの拡大を狙う「美顔フェイスマスク」の商品化を考えたBチーム。
現在、拡大を続けているフェイスマスク市場に目を付け、「美顔水」のシリーズのラインナップの一つとして、ニキビケアに特化したフェイスマスクを加えてはどうかと提案しました。

 惜しくも3位に入らなかったチームの発表は以下の通りです。

Aチーム:
ベースメイクが面倒だと考えている女性が多いことから、短時間で手を汚さずベースメイクができる「クッション下地」を提案。

Dチーム:
美容院代節約のためにセルフカラーをする人が増えていることから、セルフカラーをする人向けの「ダメージ軽減ヘアケアオイル」を提案。

「0を1にする」提案になっていたと企業より高評価を獲得

順位の発表を終えた井上氏からは、「僭越ながら順位を付けさせていただいたが、どのチームの提案もすばらしかった。

1位に選ばせていただいたCチームの『ポンdeメイク』の発表は、特に聞いていてワクワクした。発想が斬新で、“0を1にする”提案となっていた点が良かった。

2位の『美顔フェイスマスク』は、既存商品のラインナップの延長ということもあり、イメージしやすく企画の意図が伝わりやすかった。

3位の『コンパクトキープミスト』は、価格を安く抑えることにこだわらず、徹底的に見た目の高級感やかわいさに振り切って考えたら、さらに面白い提案になったかもしれない。

どのチームも、世の中にさまざまな商品があふれる中、自分たちの悩みを出発点にして考えてくれた点を評価したい」とコメントをいただきました。

大江氏からは
「皆さんの思いを感じつつ、納得しながら発表を聞かせていただいた。今回の提案から得たヒントをブラッシュアップしていけば、今後、さらに良いプレゼンができるようになるはず。市場の動向を見ながら興味のある分野に高くアンテナを張り、皆さんのアイデアをぜひ社会に還元してほしい」
と締めくくりました。

また、今回の発表に同席していた人間社会学部現代社会学科の角本伸晃教授は、
「それぞれのチームの発表を通して、今後に応用できるさまざまなヒントを得たと思う。座学では得られないPBLならではの学びを自分のものにして、今後も柔軟な発想を育てていってほしい。これからは、斬新な考えや取り組みが評価される時代。大学では優等生になろうとせず、ぜひぶっ飛んだ挑戦を!」
と学生にエールを送りました。

なお、今回学生が提案した商品は、明色化粧品で実際に製品化される可能性があるとのこと。学生たちの夢が詰まった製品が、店頭に並ぶ日も近いかもしれません。

優秀賞を受賞された学生の皆さまへのインタビュー

●今回の提案のポイント(着眼点)についてお聞かせください。
私たちの身近な悩みから発想を得たことが1番のポイントです。
普段メイクをするときに感じていることを言語化していき、「こういうものがあったらいいのにな」という夢を膨らませて今回の提案に辿り着きました。

●提案をまとめる上で、最も大事にしたものは何かお聞かせください。
メンバー1人1人が内容を理解できているか確認しながら進めることを最も大事にしていました。
0から1をつくるにあたり、それぞれの想像するものが大きく異なっていたので、同じイメージができているかを確認しながら話し合いを進めていきました。

●プレゼン資料にまとめるにあたって、こだわったことがあればお聞かせください。
私たちの提案は、商品デザインのイメージが伝わりにくいことが難点であったため、聞き手のイメージを膨らませる資料を作る点にこだわりました。具体的には、類似商品やパッケージデザインのイメージ写真を載せたり、商品デザインを実際に絵で描き、さらに文章で詳細を補足したりすることで、聞き手に商品のイメージが伝わりやすい資料作りを心掛けました。

●今回の提案全般で苦労したことやその克服方法についてお聞かせください。
アイラインのスタンプをどのように実現させるかという点に苦労しました。中間発表では、スタンプで細いアイラインを引くのは難しいというご指摘をいただきました。そこで、インターネットから情報を集め、ヘアピンや糸ようじでアイラインを引くというアイディアを参考に、商品デザインを考え直したことで、実現可能なアイラインスタンプを提案しました。

●実際に化粧品メーカーさまの課題解決に携わってみてどのようなことを感じたか、自分たちの提案がリアルに採用される可能性についてどう感じたかお聞かせください。
課題解決に携わってみて、自分たちのアイディアを伝えることの難しさを実感しました。実際に存在しない商品をどのようにしたらわかりやすくなるのか、本当に可能なのかなど試行錯誤をして、資料に反映させました。
自分たちの提案がリアルに採用される可能性については、純粋に嬉しいです。準備段階では、うまく伝わるかなど不安が多くありました。
実際に発表を終え、疑問点をご質問をいただけたため、私たちが求める化粧品について深掘りしてくださりました。
そしてありがたいことに最優秀賞をいただき、自信になりました。

●今回の授業でどのような学びが得られたか教えてください。また、得た学びを今後どのように活かしていきたいかお聞かせください。
今回の授業で、どんな発想をしても良いということを学びました。
「突飛なことを言えるのは学生のうち」ということを角本先生からおっしゃっていただき、そのことを大切にしようと感じました。
また発表を終え、大江様に「この案を誰かに話したか」と聞かれ、自分たちの案をクラスのみんなや先生以外に発表したことがなかったので、誰かに聞いてもらい、意見をもらう大切さを学びました。
これらの学びから今の私たちにしかできない考え方や周りに頼ることなど実践していこうと思いました。

井上綾野准教授のコメント

マーケティングを学ぶ場合、「机上の空論」では意味がありません。どのように商品が生み出され、販売されているのか、マーケティングのプロセスを企業から直接教えていただけるPBLには、座学では得られない学びがあると考えています。

今回は、今年の夏のオープンキャンパスで高校生向けに実施したPBLにご協力いただいたご縁で、桃谷順天館のグループ会社である明色化粧品とのコラボレーションが実現しました。通常、PBLではプロモーション関連の課題に取り組むことが多い中、今回はマーケティングにおいて非常に重要なプロセスの一つである「商品開発」が課題。商品開発担当者とPBLで組ませていただける機会は少なく、しかも、学生の提案した商品が実際に製品化される可能性もあることから、大変貴重なチャレンジとなりました。

対象が「化粧品」ということで、技術的な限界や薬機法のような規制を踏まえながら商品を考案するのは、学生にとって簡単なことではなかったと思います。それでも、5チームそれぞれがまったく異なる商品を考えてくれました。また、SNSでのプロモーション施策についても、全チームがそれぞれ異なるインフルエンサーを起用したインフルエンサーマーケティングを提案してくれました。より購入確度が高いユーザーにリーチするには、どのインフルエンサーが適しているのか、商品の特性に合わせて判断できるとは、さすがZ世代です。

実は、今回1位を獲得したのは、中間発表時点で提案内容の完成度が最も低かったチームです。当初は、どういう商品なのか分かりづらく、データによる説得力も弱かったため、その点を指摘しました。すると彼女たちは、きちんとデザインイメージをブラッシュアップさせ、アイブロウやアイラインのメイクに関してどのような悩みを抱えている人が多いのか、市場の声を拾って提案の根拠として資料に加えてきました。その点が、高評価につながったのだと思います。企業側からは、既存の商品の拡張という枠を超えた、斬新な商品の提案ができていた点も高く評価されました。

なお、今回のPBLには、あえて「演習ⅢB」の3年生と「演習ⅣB」の4年生の混合チームで取り組んでもらいました。3年生はより提案経験豊富な4年生の姿に刺激を受け、4年生は後輩を指導することでリーダーシップを学び……と、双方にメリットがあったようです。普段交わらない他学年との交流により良い意味での化学反応が起き、学生のモチベーションアップにもつながったと考えています。

本学では、社会学や行動経済学、統計学など、さまざまな学問分野のアプローチによるPBLを数多く実施しています。学生でありながら自分たちの提案が形になるプロセスを体験できるPBLは、大変貴重な学びの場です。また、そのような体験の積み重ねは、アウトプット力を磨くことにもつながります。まずは、それぞれの学問分野の理論をきちんと学び、その知識をPBLで生かす――。PBLの実践で得た知見は、今後の就職活動でも強力な武器になるはずです。

今後も引き続き、マーケティングだけでなく、地域連携や啓発広告のPBLにも取り組んでいきます。より多くの学生が参加し、偏差値では測れないスキルを積極的に身につけていってくれたらと願っています。

2022年12月23日

桃谷順天館との産学連携授業で学生が商品のキャッチコピーをプレゼン!(11/10)

 11月10日(木)、人間社会学部現代社会学科の角本伸晃教授による1年後期授業「経済学概論」にて、化粧品メーカー桃谷順天館との産学連携課題のアイデアを発表するプレゼンテーションが行われました。当日は、桃谷順天館人事部シニアマネージャーの大江崇氏を迎え、事前の審査で選ばれた12チームが商品のキャッチコピーなどを発表。優秀な成績を収めた3チームが表彰されました。

ピーリングジェリーのキャッチコピーと、販促用ハッシュタグを考えるのが課題

 今回の課題は、桃谷順天館のグループ会社である明色化粧品から発売されているピーリングジェリー「DETクリア」の店頭POPおよびパッケージのキャッチコピーと、SNSで商品PRに用いるハッシュタグを考案するというもの。
学生たちは3~5名ほどのグループに分かれ、気温や湿度と売上の相関関係が高い商品であることも踏まえつつ、季節性、販売促進上の課題、市場環境、トレンドなどを考慮しながらアイデアをまとめました。

当日、発表を行ったのは事前に審査を通過した12チーム。100人以上の受講生が集まった大教室で、1チームあたり5分の時間制限の中、練り上げたアイデアを披露しました。

全チームの発表後には、角本教授と桃谷順天館の大江氏が審査。その結果、優秀賞2チームと最終賞1チームが選出され、受賞チームは表彰状と賞品(桃谷順天館の化粧品)が授与されました。

最優秀賞は、ぶれないターゲティングとデータを用いた説得力、音声でのプレゼン演出で評価された【Mチーム】!

最優秀賞を獲得したMチームの提案のポイントは、男性をターゲットにしたPR戦略。
店頭POP用に
「男性必見!ツルスベモテ男になれるチャンス!」、
パッケージ用に
「つるすべたまご肌も夢じゃない?! マスクで荒れた肌も速攻回復!DETクリアで角質完全オフ!」
と、2つのキャッチコピーを考案。

「#まだ使ってない?!男性必見!DETクリアで肌悩み&角質完全オフ即実感できるツルスベ肌」
と、あえて長めのハッシュタグを提案しました。
近年の男性の美容意識の高まりに目を付け、男性がスキンケアのためにどんな化粧品を使っているかをデータで提示。
説得力のある発表が高く評価されました。

また、商品のキャッチフレーズ「いつでもデート肌に。DETクリア」も合わせて作成。
そのキャッチフレーズを音声としてPowerPointのスライド資料に埋め込み、プレゼンの途中で再生するという演出を加えた点もユニークでした。

当該商品の画像をプレゼン資料に盛り込んだ【Kチーム】と、商品名をハッシュタグに盛り込み、プラスαの提案も行った【Oチームが】優秀賞を獲得

優秀賞を受賞した一つ目のチームはKチーム。毛穴の悩みに焦点を当てつつ女子大学生にターゲットを絞り、
「濡れた手で簡単!手軽につるすべ毛穴レス美肌」(店頭POP用)、
「実感!毛穴・黒ずみゼロ赤ちゃん肌」(パッケージ用)といったキャッチコピーを提案。
SNS用のハッシュタグには「#DET最強美肌」と商品名を分かりやすく盛り込んだほか、プレゼン資料の表紙には当該商品である「DETクリア」の商品画像を配置し高評価を得ました。

優秀賞を受賞したもう一つのチームであるOチームは、コロナ禍のマスク生活による肌荒れに悩む人がどのくらいいるのかデータで示しつつ、男性を含む全世代をターゲットに設定。
「マスク生活、スキンケア見直しませんか?」(店頭POP用)、
「角質オフしてマスク生活でも乾燥0へ!」(パッケージ用)という2つのキャッチコピーと、
「#簡単角質ケア」「#濡れた手でもOK」といった複数のハッシュタグを提案。さらに、商品を温泉旅館においてもらい認知度を高めるといったプラスαのアイデアも盛り込み、その点も高く評価されました。

 最優秀賞、優秀賞を除くほかの9チームの発表は以下の通りです。

【Aチーム】
10~20代をターゲットにし、これからの季節「冬」に着目して提案

【Eチーム】
当該商品購入者のボリュームゾーンの母親世代にターゲットを設定

【Hチーム】
商品の特徴を「ポロポロピーリング」いったキャッチーなワードで表現

【Jチーム】
既存のハッシュタグと当該商品オリジナルのハッシュタグの併用を提案

【Nチーム】
男性もターゲットに含め、ジェンダーニュートラルなボトルデザインも提案

【Qチーム】
金銭的理由でエステサロンに行けない若年層にコスパの良さをアピール

【Tチーム】
将来顧客として中高生をターゲットにし、印象的なハッシュタグを発案

【Vチーム】
ケアの手軽さから、急がしい人、ずぼらな人、時短を求めている人に訴求

【ACチーム】
ピーリング・ゴマージュ市場で当該商品が売上1位であることを強調

授業後のアンケートでは、9割以上が産学連携(PBL)に再び取り組みたいと回答

授業後のアンケートでは、このような産学連携(PBL)の取り組みを「またしてみたい」「少ししてみたい」と答えた学生が96%。満足度の高さがうかがえる結果となりました。

具体的には、
「実在の商品について提案をすることも、多くの人の前でプレゼンテーションをすることも初めてだったので良い経験になった」
「他チームが自分たちのチームにはない発想をしていて勉強になった」
「データやグラフ、イラストや音声を盛り込むことで、プレゼンの説得力が増すと学んだ」
「どうやって商品を改善するか、なぜその商品が売れているのかなど、企業が抱える課題に目を向けられるようになった」
「グループワークにおけるチームワークの重要性も学んだ」
「実際に企業の方と連携できる機会は大変ありがたく、将来、仕事でプレゼンする機会にもこの経験を役立てたい」
など、前向きな感想が寄せられました。

なお、学生が提案したアイデアについては、桃谷順天館の社内で実際に販促に生かすか検討いただけるとのこと。今後の展開が楽しみです。

学生コメント

私たちのチームは、女性に比べて美容への関心が低いと思われている男性をターゲットにした商品を提案しました。

苦労したのは、どのようなキャッチコピーなら目に留まるのかを男性目線で考えること。100人以上が参加している授業ということもあり、いかにほかのチームとの差別化を図るかという点も意識しました。なぜこの商品なら売れると考えたのか、その根拠をデータで示すだけでなく、商品名と韻を踏んだキャッチフレーズを音声に落とし込んでスライド資料に盛り込んだり、アピールしたい言葉を強調するために極力情報をそぎ落として、文字の色や太さといったスライドのビジュアル面にも工夫を凝らしたり。もちろん、「どのような提案をすれば桃谷順天館様の売上アップに貢献できるか」という点は最重視して考えました。

 企業の課題解決に携わるといった活動は今回が初めてでしたが、非常に新鮮な経験であったと同時に、化粧品というとても身近なテーマで取り組めたことがとても楽しかったです。また、一つの商品を売るためには統計分析に基づくマーケティングなど企業側のさまざまな努力があることや、長く愛される商品を作るためには常にブラッシュアップを重ねる必要があることも知ることができました。商品を販売する側、購入する側の双方の目線に立って考える機会にもなり、非常に貴重な学びになったと感じています。

今回の私たちの提案が、商品化に結びつく可能性もあるとうかがいました。だからこそ、企画から実際の販売へと進んでいく過程についてもぜひ知りたいと思いますし、自分が何か物を購入する際には、キャッチコピーを始めとする販売戦略にも目を向けていきたいと考えるようになりました。このPBLで得た知見を、今後のプレゼンや提案といった学修の場に生かすとともに、社会活動に参加したり、将来仕事に就いたりする上でのヒントにしていきたいです。

桃谷順天館人事部シニアマネージャー 大江崇氏のコメント

角本先生のゼミ生が当社に就職してくれたことをきっかけに、2020年度から実践女子大学との産学連携(PBL)に参加させていただいています。

今回は授業の一環ということもあり、「授業の内容を踏まえているか」「データや文献を引用して説得力のある提案をしているか」といった点を加点対象として審査させていただきました。非常に興味深いご提案ばかりで甲乙付けがたかったのですが、最優秀賞を獲得したMチームは、明確なターゲット設定により提案の趣旨が一貫している上に、キャッチコピーの面白さも抜きん出ていたと思います。

化粧品のPRにおいては、学術的な理屈だけでなく「感性」も非常に重要で、はやっていると認識した時点で既に旬が過ぎているということも多々あります。昨今のコロナ禍で、「マスクで隠れるリップ周りの商品は売れない」「マスクに隠れない目元周りの商品が売れている」といった、従来のトレンドだけでは説明できない需要の変化も起きています。だからこそ若い感性を生かしつつ、簡単には数値化できないトレンドを反映したご提案をいただき、大変満足しております。

今回、選ばれたチームはもちろん、残念ながら選外となったチームも含め、発表していただいた内容については当社の企画部門で共有したいと考えています。実際の販促物に活用させていただく場合は、あらためて皆さんにご報告させていただきます。

なお、今回発表の対象とならなかったチームも、受賞を逃したチームも素晴らしいアイデアをご提案くださいました。今後より一層感性を磨き、授業での学びと紐付けながら、それを卒論などに生かしていただければ幸いです。また、この取り組みを機に化粧品業界に興味を持っていただき、ゆくゆくは学生の皆さんの就職先の選択肢に我々の会社を加えていただければ大変光栄です。

角本伸晃教授のコメント

2020年度は3年生対象のゼミ、2021年度は2年生対象のゼミと、桃谷順天館との産学連携(PBL)に3年連続で取り組ませていただいております。今年度は1年生対象の授業「経済学概論」の一貫。需要曲線のシフト要因には、所得要因だけでなく温度や湿度と行った環境要因もあり、「DETクリア」という製品と販売実績と湿度の相関が高いことを説明した上で、キャッチコピーやハッシュタグを提案してもらいました。行動経済学の観点から、キャッチコピーにおける韻を踏むことの有効性なども指導。最優秀賞のMチームは、これらをすべて考慮した提案をしてくれました。

昨今、座学で知識を教える講義形式だけでなく、学生が能動的に学修に参加する「アクティブラーニング」を授業に取り入れるよう文部科学省も提唱しています。それを受け、本学でもさまざまな産学連携(PBL)に挑戦。座学の講義形式の授業を「アクティブラーニング0」とするなら、プレゼンやグループワーク、外部講師を招いた講演を取り入れた授業は「アクティブラーニング1.0」、企業や地域と連携してさまざまな提案をし、商品開発や地域政策に生かしてもらうのが「アクティブラーニング2.0」と捉えるならば、ゆくゆくは「アクティブラーニング3.0」を目指して取り組んでいます。とはいえ、学問としての講義内容を消化し切れないままアイデア勝負に陥ってしまっては意味がありません。学問としての経済学をしっかりと学びながら、低学年から産学連携(PBL)に取り組むことには大きな意義があると考えています。今回の取り組みについては少なくとも、「アクティブラーニング1.5」のレベルには到達していると思います。

この経験を礎に、2年次、3年次ではさらに専門性を取り入れた提案にチャレンジし、徐々に研鑽を積んでいけば、他大学の学生との競争を強いられる学外コンテストや今後の就職活動でも十分戦えるだけのスキルを身につけられるはずです。教職員側も、そのスキルを身につけられる学びの場を提供できるよう、工夫していきます。

今回のプレゼン発表に同席いただいた井上綾野先生の演習でも、桃谷順天館の商品開発の課題に取り組んでいます。また、私が担当するほかの授業では、株式会社東京サマーランドとの産学連携(PBL)なども行っています。今後は産学連携に加え地域連携のPBLにも取り組んでいきたいと考えていますので、学生の皆さんはぜひ機会があればチャレンジしてみてください。