社会連携プログラム
SOCIAL COOPERATION PROGRAM
TOPICS
2022年12月23日

桃谷順天館との産学連携授業で学生が商品のキャッチコピーをプレゼン!(11/10)

 11月10日(木)、人間社会学部現代社会学科の角本伸晃教授による1年後期授業「経済学概論」にて、化粧品メーカー桃谷順天館との産学連携課題のアイデアを発表するプレゼンテーションが行われました。当日は、桃谷順天館人事部シニアマネージャーの大江崇氏を迎え、事前の審査で選ばれた12チームが商品のキャッチコピーなどを発表。優秀な成績を収めた3チームが表彰されました。

ピーリングジェリーのキャッチコピーと、販促用ハッシュタグを考えるのが課題

 今回の課題は、桃谷順天館のグループ会社である明色化粧品から発売されているピーリングジェリー「DETクリア」の店頭POPおよびパッケージのキャッチコピーと、SNSで商品PRに用いるハッシュタグを考案するというもの。
学生たちは3~5名ほどのグループに分かれ、気温や湿度と売上の相関関係が高い商品であることも踏まえつつ、季節性、販売促進上の課題、市場環境、トレンドなどを考慮しながらアイデアをまとめました。

当日、発表を行ったのは事前に審査を通過した12チーム。100人以上の受講生が集まった大教室で、1チームあたり5分の時間制限の中、練り上げたアイデアを披露しました。

全チームの発表後には、角本教授と桃谷順天館の大江氏が審査。その結果、優秀賞2チームと最終賞1チームが選出され、受賞チームは表彰状と賞品(桃谷順天館の化粧品)が授与されました。

最優秀賞は、ぶれないターゲティングとデータを用いた説得力、音声でのプレゼン演出で評価された【Mチーム】!

最優秀賞を獲得したMチームの提案のポイントは、男性をターゲットにしたPR戦略。
店頭POP用に
「男性必見!ツルスベモテ男になれるチャンス!」、
パッケージ用に
「つるすべたまご肌も夢じゃない?! マスクで荒れた肌も速攻回復!DETクリアで角質完全オフ!」
と、2つのキャッチコピーを考案。

「#まだ使ってない?!男性必見!DETクリアで肌悩み&角質完全オフ即実感できるツルスベ肌」
と、あえて長めのハッシュタグを提案しました。
近年の男性の美容意識の高まりに目を付け、男性がスキンケアのためにどんな化粧品を使っているかをデータで提示。
説得力のある発表が高く評価されました。

また、商品のキャッチフレーズ「いつでもデート肌に。DETクリア」も合わせて作成。
そのキャッチフレーズを音声としてPowerPointのスライド資料に埋め込み、プレゼンの途中で再生するという演出を加えた点もユニークでした。

当該商品の画像をプレゼン資料に盛り込んだ【Kチーム】と、商品名をハッシュタグに盛り込み、プラスαの提案も行った【Oチームが】優秀賞を獲得

優秀賞を受賞した一つ目のチームはKチーム。毛穴の悩みに焦点を当てつつ女子大学生にターゲットを絞り、
「濡れた手で簡単!手軽につるすべ毛穴レス美肌」(店頭POP用)、
「実感!毛穴・黒ずみゼロ赤ちゃん肌」(パッケージ用)といったキャッチコピーを提案。
SNS用のハッシュタグには「#DET最強美肌」と商品名を分かりやすく盛り込んだほか、プレゼン資料の表紙には当該商品である「DETクリア」の商品画像を配置し高評価を得ました。

優秀賞を受賞したもう一つのチームであるOチームは、コロナ禍のマスク生活による肌荒れに悩む人がどのくらいいるのかデータで示しつつ、男性を含む全世代をターゲットに設定。
「マスク生活、スキンケア見直しませんか?」(店頭POP用)、
「角質オフしてマスク生活でも乾燥0へ!」(パッケージ用)という2つのキャッチコピーと、
「#簡単角質ケア」「#濡れた手でもOK」といった複数のハッシュタグを提案。さらに、商品を温泉旅館においてもらい認知度を高めるといったプラスαのアイデアも盛り込み、その点も高く評価されました。

 最優秀賞、優秀賞を除くほかの9チームの発表は以下の通りです。

【Aチーム】
10~20代をターゲットにし、これからの季節「冬」に着目して提案

【Eチーム】
当該商品購入者のボリュームゾーンの母親世代にターゲットを設定

【Hチーム】
商品の特徴を「ポロポロピーリング」いったキャッチーなワードで表現

【Jチーム】
既存のハッシュタグと当該商品オリジナルのハッシュタグの併用を提案

【Nチーム】
男性もターゲットに含め、ジェンダーニュートラルなボトルデザインも提案

【Qチーム】
金銭的理由でエステサロンに行けない若年層にコスパの良さをアピール

【Tチーム】
将来顧客として中高生をターゲットにし、印象的なハッシュタグを発案

【Vチーム】
ケアの手軽さから、急がしい人、ずぼらな人、時短を求めている人に訴求

【ACチーム】
ピーリング・ゴマージュ市場で当該商品が売上1位であることを強調

授業後のアンケートでは、9割以上が産学連携(PBL)に再び取り組みたいと回答

授業後のアンケートでは、このような産学連携(PBL)の取り組みを「またしてみたい」「少ししてみたい」と答えた学生が96%。満足度の高さがうかがえる結果となりました。

具体的には、
「実在の商品について提案をすることも、多くの人の前でプレゼンテーションをすることも初めてだったので良い経験になった」
「他チームが自分たちのチームにはない発想をしていて勉強になった」
「データやグラフ、イラストや音声を盛り込むことで、プレゼンの説得力が増すと学んだ」
「どうやって商品を改善するか、なぜその商品が売れているのかなど、企業が抱える課題に目を向けられるようになった」
「グループワークにおけるチームワークの重要性も学んだ」
「実際に企業の方と連携できる機会は大変ありがたく、将来、仕事でプレゼンする機会にもこの経験を役立てたい」
など、前向きな感想が寄せられました。

なお、学生が提案したアイデアについては、桃谷順天館の社内で実際に販促に生かすか検討いただけるとのこと。今後の展開が楽しみです。

学生コメント

私たちのチームは、女性に比べて美容への関心が低いと思われている男性をターゲットにした商品を提案しました。

苦労したのは、どのようなキャッチコピーなら目に留まるのかを男性目線で考えること。100人以上が参加している授業ということもあり、いかにほかのチームとの差別化を図るかという点も意識しました。なぜこの商品なら売れると考えたのか、その根拠をデータで示すだけでなく、商品名と韻を踏んだキャッチフレーズを音声に落とし込んでスライド資料に盛り込んだり、アピールしたい言葉を強調するために極力情報をそぎ落として、文字の色や太さといったスライドのビジュアル面にも工夫を凝らしたり。もちろん、「どのような提案をすれば桃谷順天館様の売上アップに貢献できるか」という点は最重視して考えました。

 企業の課題解決に携わるといった活動は今回が初めてでしたが、非常に新鮮な経験であったと同時に、化粧品というとても身近なテーマで取り組めたことがとても楽しかったです。また、一つの商品を売るためには統計分析に基づくマーケティングなど企業側のさまざまな努力があることや、長く愛される商品を作るためには常にブラッシュアップを重ねる必要があることも知ることができました。商品を販売する側、購入する側の双方の目線に立って考える機会にもなり、非常に貴重な学びになったと感じています。

今回の私たちの提案が、商品化に結びつく可能性もあるとうかがいました。だからこそ、企画から実際の販売へと進んでいく過程についてもぜひ知りたいと思いますし、自分が何か物を購入する際には、キャッチコピーを始めとする販売戦略にも目を向けていきたいと考えるようになりました。このPBLで得た知見を、今後のプレゼンや提案といった学修の場に生かすとともに、社会活動に参加したり、将来仕事に就いたりする上でのヒントにしていきたいです。

桃谷順天館人事部シニアマネージャー 大江崇氏のコメント

角本先生のゼミ生が当社に就職してくれたことをきっかけに、2020年度から実践女子大学との産学連携(PBL)に参加させていただいています。

今回は授業の一環ということもあり、「授業の内容を踏まえているか」「データや文献を引用して説得力のある提案をしているか」といった点を加点対象として審査させていただきました。非常に興味深いご提案ばかりで甲乙付けがたかったのですが、最優秀賞を獲得したMチームは、明確なターゲット設定により提案の趣旨が一貫している上に、キャッチコピーの面白さも抜きん出ていたと思います。

化粧品のPRにおいては、学術的な理屈だけでなく「感性」も非常に重要で、はやっていると認識した時点で既に旬が過ぎているということも多々あります。昨今のコロナ禍で、「マスクで隠れるリップ周りの商品は売れない」「マスクに隠れない目元周りの商品が売れている」といった、従来のトレンドだけでは説明できない需要の変化も起きています。だからこそ若い感性を生かしつつ、簡単には数値化できないトレンドを反映したご提案をいただき、大変満足しております。

今回、選ばれたチームはもちろん、残念ながら選外となったチームも含め、発表していただいた内容については当社の企画部門で共有したいと考えています。実際の販促物に活用させていただく場合は、あらためて皆さんにご報告させていただきます。

なお、今回発表の対象とならなかったチームも、受賞を逃したチームも素晴らしいアイデアをご提案くださいました。今後より一層感性を磨き、授業での学びと紐付けながら、それを卒論などに生かしていただければ幸いです。また、この取り組みを機に化粧品業界に興味を持っていただき、ゆくゆくは学生の皆さんの就職先の選択肢に我々の会社を加えていただければ大変光栄です。

角本伸晃教授のコメント

2020年度は3年生対象のゼミ、2021年度は2年生対象のゼミと、桃谷順天館との産学連携(PBL)に3年連続で取り組ませていただいております。今年度は1年生対象の授業「経済学概論」の一貫。需要曲線のシフト要因には、所得要因だけでなく温度や湿度と行った環境要因もあり、「DETクリア」という製品と販売実績と湿度の相関が高いことを説明した上で、キャッチコピーやハッシュタグを提案してもらいました。行動経済学の観点から、キャッチコピーにおける韻を踏むことの有効性なども指導。最優秀賞のMチームは、これらをすべて考慮した提案をしてくれました。

昨今、座学で知識を教える講義形式だけでなく、学生が能動的に学修に参加する「アクティブラーニング」を授業に取り入れるよう文部科学省も提唱しています。それを受け、本学でもさまざまな産学連携(PBL)に挑戦。座学の講義形式の授業を「アクティブラーニング0」とするなら、プレゼンやグループワーク、外部講師を招いた講演を取り入れた授業は「アクティブラーニング1.0」、企業や地域と連携してさまざまな提案をし、商品開発や地域政策に生かしてもらうのが「アクティブラーニング2.0」と捉えるならば、ゆくゆくは「アクティブラーニング3.0」を目指して取り組んでいます。とはいえ、学問としての講義内容を消化し切れないままアイデア勝負に陥ってしまっては意味がありません。学問としての経済学をしっかりと学びながら、低学年から産学連携(PBL)に取り組むことには大きな意義があると考えています。今回の取り組みについては少なくとも、「アクティブラーニング1.5」のレベルには到達していると思います。

この経験を礎に、2年次、3年次ではさらに専門性を取り入れた提案にチャレンジし、徐々に研鑽を積んでいけば、他大学の学生との競争を強いられる学外コンテストや今後の就職活動でも十分戦えるだけのスキルを身につけられるはずです。教職員側も、そのスキルを身につけられる学びの場を提供できるよう、工夫していきます。

今回のプレゼン発表に同席いただいた井上綾野先生の演習でも、桃谷順天館の商品開発の課題に取り組んでいます。また、私が担当するほかの授業では、株式会社東京サマーランドとの産学連携(PBL)なども行っています。今後は産学連携に加え地域連携のPBLにも取り組んでいきたいと考えていますので、学生の皆さんはぜひ機会があればチャレンジしてみてください。

TOPICS一覧ページへ戻る