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2024年4月25日

ライトノベルを書こう!「ライティングゼミB」の授業で学生が執筆した作品の夕霧文庫への掲載が実現しました。

「ライティングゼミB」(担当:短期大学部日本語コミュニケーション学科 髙瀬真理子教授)の授業で、電子書籍出版社である夕霧文庫の協力のもと、実際にライトノベルを書く特別コラボが実現しました。優秀な作品は実際に夕霧文庫から出版された「女子大生、授業でライトノベルを書く。①」に掲載しております。今回は髙瀬教授と夕霧文庫の藤原氏に授業の目的や背景、そして学生たちに実際に作品を執筆した感想をインタビューしました。

髙瀬教授「ライトノベルは自由度が高い。大成功の授業」

―この授業が行われた背景を教えてください。

「私の近年の研究対象のひとつが、ライトノベルの持つ物語の技法とその時代性であり、最近のライトノベルの傾向などを分析した論文を書いていました。その際、ライトノベルはかなり表現の自由度が高く、恋愛はもちろん、現代社会の抱える問題、ジェンダーなどについても触れていることが分かりました。そこで学生たちに物語を書かせてみようと考えたんです。本学の卒業生で教え子だった藤原さんが、ライトノベルのレーベルを立ち上げていることは知っていたので特別講師として依頼しました。当初藤原さんは講義だけの予定でしたが、学生たちの作品に毎週目を通してコメントを入れて返してくださいました。物語の元となるプロットづくりを経て、学生それぞれのペースで執筆していきました」

―どのようなことに気を付けて授業を進めましたか?

「学生たちそれぞれが書きたいことを書いてもらえないと意味がないので、世界観や個性を伸ばすことを意識してアドバイスしました。どうしたらもっと良くなるか、牧羊犬のように見守りつつ方向を示す役目です。すると本人も隠している部分がぽろっと作品に表れてくる。力がある作品がいくつも出てきて、夕霧文庫への掲載まで話が進みました。全員が作品を書き上げられたことも大事な成果だと思います。本授業は今年が初めてだったのですが、大成功でした。来年も同じように夕霧文庫さんにご協力いただきたいと考えています」

夕霧文庫・藤原氏「自分で気付いていない魅力がまだまだある」

―自己紹介をお願いします。

「夕霧文庫の藤原です。実践女子大学を卒業後、ライトノベル作家として活躍していましたが、約10年前に電子書籍出版社の夕霧文庫を立ち上げました。作家として活動していた時はどうしても恋愛モノを要求されることが多かったのですが、私はもっと違うことを表現したかったんです。そこで自由に書ける場所を自分で作ってしまおうと」

―この授業に参加された感想を教えてください。

「授業前に、髙瀬先生が分析されたライトノベルのテンプレートを拝見し、この形を使えば実践女子の学生たちなら良い物語を書けるだろうと確信しました。実際、学生さんたちの作品を拝見した初回か2回目で夕霧文庫に掲載できる、と思いました。業界用語で『化ける』というのですが、あっという間に良くなっていきました」

―学生たちの作品はいかがでしたか?

「皆さん優秀で、新鮮で斬新なアイディアが沢山ありました。すごい勢いで技術も吸収していって、育っていく過程を見られたことがとても嬉しかったです。学生たちは、これまで表現する機会がなかっただけなんじゃないかなと。自分自身も気付いていない得意なことや魅力が、まだまだありそうだと感じました。とにかく学生たちに書く楽しさを知って欲しいと考えていたので、これからも表現していってもらえればと思います」

こんな授業他にない!

続いて授業を受けた実践女子大学短期大学部2年の鈴木さんと大津さんに話を伺いました。2人の作品は実際に夕霧文庫から出版されるライトノベルに掲載されております。

―なぜこの授業を選択したのですか?

鈴木「授業の概要欄に『ライトノベルを書こう!』と書いてあって、こんな授業は他にないんじゃないかと思い、選択しました」

大津「私はもともと髙瀬先生が担任のクラスだったので、先生の授業に興味を持ちました」

―それまで物語を書いたことはありましたか?ライトノベルは読んでいましたか?

鈴木「まったく書いたことはなく、今回初めてです。ライトノベルはいくつか読んではいました」

大津「ライトノベルはあまり読みませんが小説はよく読んでいます。物語は、中学生のときにパソコンに慣れる目的で、1本だけ短篇を書いたことがありました。とはいえ誰にも見せていませんし、それ以来書いていませんでした」

作品は夕霧文庫に掲載!表現する力がついた

―実際に作品を書いた感想を教えてください。

大津「始めは何も浮かびませんでした。書いて気づいたんですが、私はファンタジーが舞台だと書けなくて。先生方のアドバイスなどから、自分の日常をヒントにしました。自分が主人公になったつもりで書いていくと先を知りたいと思うようになり、書くのが楽しくなりました」

鈴木「私は逆にファンタジーを書くことが楽しかったです。ただ、プロット通りに書くのが難しかったです。書くのは苦ではなかったので、どんどん量が増えてしまって。物語の構成や何をテーマにするか悩みました。書いているうちに『家族』についての話だと気付いてきました」

―夕霧文庫に掲載されると聞いたときはどう感じましたか?また今回の授業で自身にどんな力が付いたと思いますか?

大津「まさか授業からこんなことになるとは。最初は書き上げられると思っていなかったので、まずは完成したことに満足しています。頑張った証ですし、作品を作る楽しさを知りました。また、何度も読み返して推敲することで、客観的に文章を読む力も付いたと思います。私は来年度から新社会人となり、校閲の仕事に就くので、今後に活かせると思っています」

鈴木「私も書き上げられた達成感と自信を得られました。自分が何を伝えたいのか考え、自分の思いを表現することが出来て良かったです。読んで面白いと思ってもらえたら、嬉しいです」

2024年4月8日

ポイ捨てをなくすためには?渋谷区と渋谷モディと連携し啓発動画を作成するJミッションの最終発表会が行われました。

本学、キャリアサポート部の低学年向けキャリア支援プログラム「Jミッション」で、渋谷区と渋谷モディとの特別連携企画が開催されました。学生たちは渋谷区のポイ捨てをなくすための啓発動画作成に挑戦。2月27日には、1ヵ月の成果を発表しました。

実際の企業からの「ミッション」に挑戦

「Jミッション」とは大学1・2年生が対象のプロジェクトです。企業からのミッション(課題)について、学生だけで構成されたチームで約1ヶ月間グループワークを行い、最終日に成果発表を行うというもの。有志で参加した学生10名は学年も学部もバラバラです。3つのグループに分かれ、それぞれディスカッションを重ねてきました。この日はいよいよ最終発表会が行われました。

今回ご協力いただいたのは、渋谷区と渋谷モディの皆さんです。1月31日のキックオフミーティング時に、学生たちに出された課題は、『渋谷の街のポイ捨てを解決する動画を作成すること』。15秒と30秒の動画をそれぞれ作成しました。中間発表を経て、さらに内容をブラッシュアップしました。優秀作品は、渋谷モディの店頭と館内のデジタルサイネージに実際に流されるということで、学生たちは渾身の作品を作成して最終発表に臨みました。

きれいな渋谷は「当たり前じゃない」

1グループは、清掃員の方にインタビューをし、「その背中は当たり前じゃない」と啓発する動画を作成しました。
ターゲットは渋谷モディの前を通る大学生たちで、ごみ問題に関心を持ってもらうため毎日清掃している人たちがいる事実を伝えました。
「掃除をしている人達の努力に気付いた」と、街中で自分たちが実際に見たことを主軸に動画を作成し、きれいな渋谷を作る人を見える化。気持ちのいい毎日を迎えられることは誰かの努力に支えられている、当たり前のことではないと伝えることで、ポイ捨てをなくすことに繋げようと考えました。

あなたの力できれいな渋谷を

2グループも渋谷にくる若者がターゲット。
ポイ捨てされたごみや、ごみが溢れているごみ箱などを映し、「きれいな渋谷にしたくない?」「きれいな渋谷をみんなで創ろう」とメッセージを伝えました。見て見ぬ振りをしたくなるようなポイ捨ての現状をリアルに伝え、このままの渋谷ではいけないと思ってもらえるよう共感性の高いフレーズを使って訴えることにこだわりました。

文化の違いを越えてポイ捨てをなくすには

3グループは、外国人観光客をターゲットに据えました。
文化の違いにより、ポイ捨てが当たり前だったり、ごみが気にならなかったりする外国人観光客にどう訴えるかを考えました。そこで粘土で作った人形を動かすクレイアニメで、ポイ捨てに悲しむハチ公を表現。観光客に人気のあるハチ公の目線にすることで関心を持ってもらおうと考えました。
またクレイアニメは可愛らしく見やすいことから、観光客だけでなく幅広い世代に興味を抱いてもらうことも目的に作成しました。

学生たちの成長が見えた発表

すべての発表が終わり、審査員の方々が別室で真剣に話し合い、今回の優秀作が決定されました。優秀賞は3グループが受賞しました。
渋谷区、渋谷モディの方から総評もいただきました。『企業側』の立場から表現の仕方などアドバイスを頂いた一方、中間発表を受けての伸びしろやストーリー性など、どのグループも好評いただきました。
そして、最後に「春休みの貴重な時間を割いていただいてありがとうございました。1ヵ月間という短い期間でしたが、皆さんの成長を感じられ楽しい機会でした」と学生たちの頑張りをねぎらいました。

参加学生は、1ヶ月間という短い期間の中で、グループワークを重ね、『啓発動画』というそれぞれの個性が光る作品を完成させました。
今回のJミッションを通して、学内、学外とのつながりをつくり、グループ一丸となってミッションに取り組んだことで、個々の成長に寄与することができました。

楽しんで全員で意見を出し合えた

優秀賞の3グループの学生たちには授業後にインタビューを行いました。

「私は2年生なのですが、Jミッションは1、2年でしか参加できないということで最後の機会だと思い、思い切って参加しました。ミーティングはWeb会議ソフトを使って進めました。私は動画を作ることがは苦手なのでどうなるかと思ったのですが、意見の言いやすいメンバーでとても楽しかったです。就活としても、学内の企画なのでインターンシップをいきなり受けるより安心して取り組めました」

「美学美術史学科の1年です。今回のJミッションには、『動画を作成する』との記載があったのを見て参加しました。もともと動画を作ってみたいと考えていたので、チャンスだと思いました。私が粘土でキャラクターを作ってきたことで、クレイアニメで動画を作ることになりました。採用されて嬉しかったです。動画の作成は何日もかかりましたが工程も楽しかったですし、先輩たちと繋がりができたこともとても嬉しいです」

1位の作品は渋谷区役所と渋谷モディのデジタルサイネージで、さらに2位の作品は渋谷区役所のサイネージで、実際に今回作成した動画が流れる予定です。(※4/15まで全作品放映中です。)

 ※下記動画は学生が制作した作品です。

2024年4月5日

”服装自由”の時は何を着る?「演習IIB」で青山商事とコラボ授業!
就活生の服装の悩みを解決するプレゼンテーションに挑戦しました。

2年生対象の「演習IIB」(担当:人間社会学部人間社会学科 広井多鶴子教授)の授業で、12月19日に青山商事株式会社(以下、青山商事)とのコラボ授業が行われました。11月に、就活生の服装の悩みに向き合う「#きがえよう就活」プロジェクトの一環として「就活服の悩みをどう解決するか」というテーマが出されており、学生たちは6グループに分かれ、課題解決法を考案。この日は、青山商事から6名、株式会社ニューズピックスから1名の方々が来校され、学生たちは皆様の前でプレゼンに臨みました。

自分らしさをどう表現する?

最初のグループ①は「オフィスカジュアルのサブスクリプション」と題して発表を行いました。
オフィスカジュアルとはどのような格好をしたらいいのか分からないという就活生の悩みに注目。女性に人気のファッションサブスクを参考にして、青山商事が就活生向けサブスクを展開することを提案しました。
若者向けのトレンドを抑えたオフィスカジュアルが、月に2回届く仕組みです。
青山商事の方からは「まさに若者たちが着たいと思う服を社内でブラッシュアップしているところなので、背中を押された気持ちになりました」というコメントがありました。

グループ②は、就活で結局黒スーツを選んでしまうのは、悪目立ちしたくないなどの保守的な意見が多いからと分析し、「就活は学生が企業を選ぶ側でもある」という自信を持つべきだと考えました。そこで、服装自由な企業にプロジェクトのロゴマークを提示してもらうことを提案。
就活生がロゴマークを見て企業を選び、安心して個性の出せる服装ができるようにします。
青山商事の方からは「自分が企業を選んでいくんだという意識を作っていく案になっている」と評価されました。

オフィスカジュアルって難しい!

続くグループ③は、SNSを利用する案を考えました。就活生の多くは、企業がどのような意図で服装自由にしているのか分からずに不安を感じていることに着目しました。
服装で評価が変わると思っている学生と、服装はそれほど重視していない企業の意識の隔たりをなくすため、大学生の約8割が利用しているInstagramを活用し、「#きがえよう就活」のタグを広めることを提案しました。
「服装の例として画像を上げるのに、Instagramは相性がいい。ぜひ検討させていただきたい」と青山商事の方から前向きなコメントをいただきました。

グループ④は、メンバー全員が黒スーツで就活をするつもりでいたことを告白。スーツ以外を選ぶためには、オフィスカジュアルを気軽に購入できることが必要だと考えました。
そこでアパレル企業等に協力してもらい、サンプルとして載っている服装の中から購入できるサイトを考案。
また服装についての疑問やレビューを書いたり投票できたりする機能を付け、就活生と企業との双方向のコミュニケーションが取れるようにしました。
講評では「レビューや質問で学生からもアクションできるのがいい。みんなが知りたいことがわかる仕組みになっている」と着眼点について高く評価していただきました。

服装の基準を分かりやすく

グループ⑤はクールビズにフォーカスしました。
就活生は夏の面接やインターンでスーツを着用しなければならないことに不満を持っていることに着目。クールビズに明確な定義がないことが原因と分析しました。提案は服装のピクトグラムを作成すること。
企業の採用ページにピクトグラムを提示してもらいます。
青山商事の方からは「悩みの解決方法が分かりやすく、最後まで筋の通った良いプレゼンでした」「賛同企業を増やすためにも、ピクトグラムは取り入れやすくて良いと思いました」というコメントをいただきました。

最後のグループ⑥は、服装自由が言われる一方でスーツで来てほしい企業もあることが就活生を悩ませている原因と分析。企業から就活の服装の例を挙げてもらうことを提案。採用ページに面接時の服装や、面接官の服装を載せてもらうようにします。
また、Instagramで「#インスタ就活プロジェクト」のタグを作り、各企業に就活向けの情報や服装を発信してもらいます。
青山商事の方からは「認知を広げるにはInstagramは相性がいい」「面接官の服装は確かに就活生が気になるポイントだ」という感想が寄せられました。

これからの就活が楽しくなるように

全発表終了後、優秀なプレゼンのグループが表彰されました。
「#きがえよう就活」賞に選ばれたのはグループ④。
受賞した学生からは「中間発表の後、一から考え直しましたが、賞をいただけてよかったです」「内容は難しかったがみんながそれぞれ自分の役割を果たしました」と喜びのコメントがありました。

「#きがえよう就活」賞を受賞したグループ④

もう一つの青山商事賞は、グループ⑤でした。
受賞した学生は「途中企画倒れになりかけてどうなるかと思いましたが、形になって良かったと思います」「スーツ以外で就活してみたくなりました」などとコメントしました。

青山商事賞を受賞したグループ⑤

最後に青山商事の平松氏から「みなさん、まじめに課題と向き合ってくれました」、「SNSなど学生目線の提案が、大変参考になりました」というコメントがありました。
そして、「今回の課題を通して、就活が少しでも楽しくなったらいいなと思います」ということばで、授業を締めくくってくださいました。

担当教員からのメッセージ

人間社会学科 広井多鶴子

当初、学生たちは、就活は黒のスーツが当たり前と思っていましたが、調べ、考え、話し合う中で、自分たち自身の固定観念に気づき、新たな考えをまとめていきました。そして、「自分たちは企業に選ばれるだけの存在ではなく、自分たちが企業を選ぶ存在だ」というように発想を転換!! 当たり前だと思っていることを問い直すことのおもしろさと重要性を実感できたのではないかと思います。

最終のプレゼンテーションは、中間発表よりもかくだんに完成度が高くなっていました。学生たちは、ほんの数週間でみちがえるように視野を広げ、根拠と説得力のあるプレゼンへと作り替えました。

それは、青山商事のみなさんの仕事への熱意と真摯さが学生たちに伝わったからだと思います。

学生からは、「本格的な産学連携授業は初めてで、実践的な学びが得られた」「企業の方から直接アドバイスをもらえる貴重な機会だった」といった感想が寄せられました。
何度も大学に足を運び、丁寧で的確なアドバイスをしてくださった青山商事のみなさんに、心より感謝いたします。

2024年4月3日

式場の強みを生かして素敵な結婚式を考案!「実践キャリアプランニング」の授業で結婚総合情報誌ゼクシィとコラボした特別授業が行われました。

1月15日に、共通教育科目「実践キャリアプランニング」(担当:髙橋裕樹特任教授)の授業で、株式会社リクルートのゼクシィ編集部(以下、ゼクシィ)との特別コラボが行われました。テーマは「設定の結婚式場でカップルがやりたいと思うセレモニー・パーティ演出を考える」です。設定会場は渋谷にある株式会社エスクリ(以下、エスクリ)の「ラグナヴェールアトリエ」。文学部美学美術史学科2年の学生たちは、グループワークで式場の強みや今のカップルが何に興味があるかを調べ、企画をまとめこの日のプレゼンに臨みました。

 ※初回授業の様子はこちら

絵本やアートをコンセプトに

ゼクシィ編集長の森氏やデスクの吉松氏、全国で結婚式場を運営する株式会社エスクリ(エスクリ)の松田氏など企業の方を前に学生たちのプレゼンは始まりました。

最初の発表は6班。
絵本の世界をコンセプトとして考えました。
緑にあふれた温かい空間にし、絵本に出てくる有名な料理を出したり、クロスを使わずにテーブルの木目を生かしたりと、緑の多い設定会場の特色も生かし提案しました。

次の4班は、西洋アートをコンセプトに提案。
ゴッホの「ひまわり」など西洋美術のひとつの作品を題材にします。
新郎新婦によるイミテーションケーキの飾り付けや、参加者もドレスコードを決めてサンドセレモニーなどでアートを作るのに参加します。
各班の発表後は企業の方々からコメントをいただきました。
森氏は「ターゲットのカップルがやりたいこととクライアントである会場の魅力を考えていると思いました」と感心されました。

8班はナイトウェディングを考案しました。
バージンロードを天の川に見立て、テーブルの装飾も電球やキャンドルで星を表現するなど、渋谷の夜景を合わせて夜の雰囲気を出します。
お色直しも星空のようなシックなドレスを提案しました。
発表後、学生は「話し合ううちに話が広がって、テーマを絞るのが難しかったです」と話しました。

会場の雰囲気作りも大事!

5班は花に囲まれた結婚式を提案しましたました。
家にいるようなくつろぎを演出し、映画を見るよう時のようにポップコーンを食べながらウェディングムービーを鑑賞。
ウェディングケーキにプロジェクションマッピングで花の装飾をすることなども考えました。
エスクリの藤田氏は「白いケーキにプロジェクションマッピングをする案は新しく、なかなか思いつかないです」とコメントされました。

次の1班は「光と色彩の結婚式」と題して、西洋美術の印象派画家・モネをテーマに考えました。学生たちは実際に美術館で開催されていた「モネ展」に足を運んだ際に、20代女性の来場者が多かったことからコンセプトに選んだと話しました。
セレモニーは有名なモネの「庭園」を、披露宴は「睡蓮」をモチーフに内装を調え、各テーブルに水中花を置くなど会場の雰囲気作りをしました。

9班はファッショナブルをテーマに、ゲストのドレスコードなしという斬新なアイディアを提案。
また出入口にさまざまな種類の花を置き、ゲストは好きな花を1本選びテーブルの花瓶に差すことで、一人ひとりのカラーを大切にするコンセプトを表現しました。
藤田氏は「花を持ち寄るなどしてそれぞれテーブルに飾るのは、実際に流行っているアイディア」と話しました。

カップルもゲストも居心地よく過ごすためには

7班は新郎新婦もゲストも自然体でいられる披露宴が良いと考えました。
テーブルには座席指定がなく、コミュニケーションを取りやすい時間も設けます。
新郎新婦がテーブルを巡りやすいように各テーブル2席余剰に置くなど、空間演出も考えました。
学生からは「結婚式に対してぼんやりしたとイメージしかなかったが、皆でアイディアをすり合わせられて良かった」と感想がありました。

2班は某童話をテーマに選択。
7人の小人の衣装を着たバンドが演奏したり、女王の鏡をモニターで映し開会のご挨拶をしたり。他にもリンゴのお酒で乾杯などモチーフをふんだんに盛り込み、ゲストも映える写真を撮りたくなるような案を出しました。
森氏は「人気キャラクターや物語の設定などとコラボをすることが出来たらとても人気が出そうと思いました」と評価。
藤田氏も「女王の鏡の案などはブライダル業の人間からはなかなかでにくい斬新な案だと思います」と話しました。

最後は3班。
新郎新婦が好きな映画をモチーフにした披露宴を考えました。
例えば某映画のオープニングロールでご挨拶があったり、それに纏わる衣装をテーマにお色直ししたりなどを提案しました。
学生たちは「最初はなかなか案が出なかったが、皆で協力できてよかった」と感想を述べました。

新しいアイデアを創出

終了後、企業の皆様による審査があり、1位から3位までが発表され賞品がプレゼントされました。

3位は4班。
カップルの幸せを考え、企画にしっかり向き合っていたと評価されました。

2位は絵本の世界観で統一した6班です。
学生からは「まさか選ばれると思っていなかったけれど、グループ全員協力的に進められたと思います。頑張れてよかった!」と感想がありました。

そして1位は1班でした。
コンセプトが企画全体に行き渡っていたと評価をいただきました。
森氏は「参加者の心情から会場の強みまで分かりやすくまとめられていて、取り入れてみたい案も沢山ありました」と話されました。
学生は「同じ課題の中で、こんなにいろんなアイディアがあるんだと思った。直接フィードバックもいただけて貴重な体験でした」と話しました。

最後に総評をいただき、エスクリの松田氏からは「新しい考えや発見がありました。私はコンセプトや汎用性などから9班が一番良かったと付け加えておきます」と話されました。

森氏も「ここまで仕上げていただいて感動しています。企画のアイディアに、キーワードやコンセプトを作って考えていくことは、これから社会に出ても役立つと思います。これからも頑張ってください。」と学生たちをねぎらいました。

2024年3月19日

「受験生の悩みを解消する缶」って?東洋製罐とのコラボ授業で学生のプレゼンテーションが行われました。

12月11日に人間社会学部(担当:人間社会学部現代社会学科 篠﨑香織教授と吉田雅彦教授)の授業で、東洋製罐株式会社(以下、東洋製罐)との特別コラボが行われました。「受験生のお悩みを解消する缶とは?」をテーマに、学生たちはグループワークで事前にアイディアを考え、この日は企業の皆さまの前でプレゼンを行いました。

缶はリサイクル率90%以上!

授業の始めに、東洋製罐テクニカルセンター技術開発統括部の黒沢高博氏から会社の紹介がありました。
東洋製罐は100年以上前に缶詰用の缶を作る会社として創業されました。一般消費者向けではなく、食品や生活用品などを取り扱っている企業に商品を販売しているBtoB企業です。現在は缶詰の缶だけでなくビール缶や様々な容器も製造しています。
「容器というのは単純な工業製品ですが、中身が漏れたり腐ったりしてはいけない」と黒沢氏。
機能はもちろん、買ってもらいたくなるような形状を考える感性も大事と話しました。

缶はアルミもスチールも93%以上と高いリサイクル率を誇ります。
CO2排出の観点からも、学生たちに正しい分別を促されました。また、掲げているスローガンとして「SDfOs(Sustainable Development for Others)」と言う言葉をあげ、「自社のためだけでなく周りのひとや社会、環境を考え開発するという意味」と説明されました。

受験生にもホッとする時間を

いよいよ学生たちのプレゼンです。

最初の発表はマーガレットチームから。
使い捨てアイマスクを入れ、睡眠の質を上げられる缶を提案。学生たちが受験生のとき、勉強で目が疲れたり不安で眠れなかったりといった実際の悩みから、ほっとする時間を提供したいと考えました。

2番手はラテチーム。
寝不足やストレスで肌が荒れる、スキンケアの時間がないという悩みに対し、おみくじ付のフェイスパックを缶に入れることを提案し、パックは顔に付けながら勉強もでき、モチベーションアップにつながるとしました。

発表後には企業の皆さまからコメントをいただきました。
「缶に入れると直射日光を避けられるという、パックを缶に入れる理由もしっかり考えられていた。勉強の邪魔をしないというのも良かったです」と感想をいただきました。

次のぶどうチームは、面接に臨む受験生向けに考案。
実践女子大学は推薦など面接を伴う受験が多いことに着目し、過去問題や実際に面接で聞かれた内容、大学生の日常が分かるメモなどを詰め込んだ缶を提案しました。

コメントでは「実際に皆さんが面接を受けた時の不安を、上手く中身に繋げアイディアにしていた」と感想がありました。

睡眠&お風呂の時間も有意義に

枕チームは受験勉強の時に仮眠ができる、簡易枕を缶に詰める案を発表しました。
受験勉強中の仮眠は罪の意識を感じやすいですが、寝た方が集中力は回復し効率的に勉強できることもデータで示していました。

次のおふろチームはお風呂の時間も有効活用したい受験生向けに、お風呂時間でリラックスしつつ勉強もはかどるように防水の紙でできた単語帳と入浴剤のセットを考案。

コメントでは「最近受験を経験した皆さんならではのアイディア。細かい所までよく考えられていました」と感心のコメントがありました。

絵馬や音楽で応援!

ハチチームは、アンケート結果から受験生はお守りを買うなどの神頼みをする傾向があると分析。
缶に絵馬を入れ、書いてもらった絵馬をかけられる場所も用意し、絵馬には渋谷キャンパスにちなんでハチ公の絵を入れることを提案しました。

ミュージックチームはリラックスできるオリジナルミュージックで受験生を応援したいと、実際にAIを駆使して自分たちで音楽を制作。
缶の中にはQRコードを入れ、読み取ると音楽が聴ける仕組みにしました。

企業の方からの感想では「缶に入れるものとして音楽に着目したことが斬新」とコメントがありました。

続いてのおもちチームは受験の不安を和らげる香りに注目。
バスボム、ホワイトボード用のペン、サシェを缶に詰めました。缶の側面に特殊な加工を施しホワイトボードとして使うことも提案。ペンで目標を書くなど、缶を開けた後も有効活用できるように考えました。

目標達成するために

ごうかくんおまもり隊チームは、受験当日の忘れ物への不安を解消する持ち物セットです。
鉛筆と消しゴム、時計とお守りを詰めます。側面には学生たちが考えたオリジナルマスコットキャラクターをプリントし、受験生を応援します。

発表後のコメントでは「自分の受験期にあったら安心したと思う」という感想もありました。

最後のさくらチームは貯金箱を提案。
合格後に使うお金を貯めるもので、側面には木のイラストをあしらいます。中には桜のシールを入れ目標を書き、その目標が達成したら木に貼っていくことで満開になる仕組みです。目標達成を見える化し、受験期のモチベーション維持に繋がるとしました。

使う場面を考えてアイディアを出す大切さ

全チームの発表後に黒沢氏から総評をいただきました。

「使う受験生のことをきちんと考えているという印象を受けました。ちょっとした後押しが力になるという実感から来ていると思います」と話しました。また、モノを消費するだけでなくそれを使ってどのようなことができるかという「コト消費」が考えられていたと評価。

「モノ消費からコト消費を考えるのは企業でも難しいと言っているところ。そこがしっかり考えられていて素晴らしかったと思います。」と感想をいただきました。

企業の課題に真剣に向き合い、それぞれのメリットも考えられた多種多様なアイディアが出たプレゼンとなった貴重な機会となりました。

担当教員からのメッセージ

 Can詰めプロジェクトは二年目を迎えました。今回は、東洋製罐より黒沢様をはじめ、基盤技術開発部より尾崎紗代子様、メタル技術開発部より西純平様、岡本吏香様にお越しいただき、学生に近い目線と、社会で通じるかという視点からコメントならびに審査をお願いしました。

 テーマに含まれている「受験生の悩み」は、履修者全員が経験してきたことであるため、困りごとは次々に思い浮かぶものの、それをどのように解決するのか、さらに「缶」を使う意味も含めて検討するのに苦戦していました。アイデアを根拠とともにまとめて、人に伝える、履修者にはこの訓練を引き続き重ねて欲しいです。

 東洋製罐の皆さまと学生による相互評価の結果好評を得たチームのアイディアは、東洋製罐社にて缶詰にしていただき、本学のオープンキャンパスにて配布する予定です。

 東洋製罐の皆さま、吉田先生、ご協力ありがとうございました。

篠﨑香織教授
吉田雅彦教授

担当教員からのメッセージ

 1年J組の演習Ⅰ(後期)の授業は、クラス21人が4人程度のグループに分かれて、2つのテーマを学びました。
 1つは、グループで、ZARA 渋谷公園通り店 タワーレコード渋谷店 ディズニーストア渋谷公園通り店 渋谷ロフト 無印良品 渋谷西武の中から、レポートのテーマにする企業を一つ選ぶ。一人ひとりがレポートのリサーチクエスチョンを考えて、Webで調査をし、結論の仮説を書く。グループで、実店舗を見に行く。一人ひとりがレポートを仕上げ、内容を解説するPowerPoint資料を作り、わからないことをグループで聴きあったり教えあったりする。クラスの人たちに向かってプレゼンして欠点を直すというものでした。基本的には一人ひとりで考えて調査して発表する内容でした。
 もう1つが、F組との共同で「受験生のお悩みを解消する缶とは?」を考えて発表するグループワークでした。アイディア出しからプレゼン資料の作成、発表の分担・段取りという過程を、1人ではなくてグループで行いました。複雑なコミュニケーションをチームで行いながら、目標を期限までに達成する訓練になったと思います。また、企業の方や、2クラスの大勢の学生の前でプレゼンする緊張感を経験したことも良かったと思います。
 このように、1人ひとりでレポートを仕上げてプレゼンする訓練と、チームで何かを達成する訓練の両方を体験できたことは、学生にとって良い機会でした。東洋製罐さま、篠﨑先生に感謝いたします。

2024年3月15日

子どもと触れ合える紙の遊びを作ろう!「幼児教育法」の授業で学生たちがシーイーシーの子育てアプリのコンテンツ製作に挑戦しました。

幼児保育専攻科目「幼児教育法」(担当:生活科学部生活文化学科 井口眞美准教授)の授業で、株式会社シーイーシー(以下、シーイーシー)との特別コラボが行われました。企業の社会貢献活動の1つとして開発中の子育てアプリのコンテンツを学生たちが考えます。学生たちは楽しくも真剣に作品作りに取り組みました。

ITシステム企業の社会貢献

子育てアプリ「at Claps(アットクラップス)」の企画者であるシーイーシーの橋本涼子氏が登壇され、まずは簡単にシーイーシーの会社の紹介がありました。「56年続く老舗のIT企業であるシーイーシーをなんで皆さんが知らないかというと、企業や団体に対してシステムを提供しているからです」と橋本氏が話します。日本を代表する製造業や金融業、物流、公共まで幅広い業界に対し、ITサービスを提供しているそうです。

現在の企業はただ利益を求めるだけではなく、社会に対して貢献することが求められているという背景を説明しつつ、「シーイーシーも積極的に社会貢献への取り組みを行っていますが、企業が成り立つには社会が安定している必要がある」と語る橋本氏。企業が社会に還元することで社会がよりよい方向に向かい、企業もより成長することに繋がります。 橋本氏は「社会貢献活動は従業員のモチベーションアップにも繋がります。私もその内の1人です」と、自分が行っている社会貢献活動にやりがいを感じ、企業に対しても誇りを持つことができる好循環があることを語られました。

母としての強い思いから生まれたアプリ

シーイーシーは地域活性化や医療支援、災害支援やスポーツ振興など多くの社会貢献活動に取り組んでいます。「子育ての課題を解決したい」という強い思いをもつ橋本氏が新たな社会貢献として企画されたのが、紙のおもちゃを手軽に印刷できる子育てアプリ「at Claps」だそうです。

そこまでの思いが生まれたきっかけは橋本氏自身の経験によるものでした。長女を出産後仕事と家事の両立に必死で、あまり子どもと遊ぶ時間が取れず、懐かなくなってしまった際、保育園の先生に「大変だと思いますが娘さんのことを見てあげてください」と言われたそう。当時のことを振り返りながら橋本氏は、「娘と一緒に過ごす時間を作ろうと決めたことがこのアプリを企画するきっかけでした」と語りました。また、2人目は未熟児での出産となってしまい、子どもはもちろん橋本氏の命も危ない状態に。今ではお子さんもすくすく成長しているそうですが、その時の経験から「社会貢献がしたい」という思いより強まったと話しました。

子どもと紙を使ったコミュニケーションを

「at Claps」は、紙のおもちゃを手軽に印刷できる子育てアプリ。「公園に行くよりも、家で娘と一緒に紙を使った手作り遊びをすると、すごく温かい時間が過ごせた」という体験がヒントになりました。紙で作った作品は残るので、部屋に飾っておくこともできます。たとえ時間は短くとも質の高いふれあい時間を提供するのが「at Claps」の目的とのことです。

また、手を動かすことで脳に刺激を与え、子どもの成長や学びをサポートすることもできます。保育園の先生からも知育系のコンテンツは人気が高いものの、なかなか集約されたものがなく探しにくいという難点があります。「弊社では、そういった知識が少ないので、今、幼児保育を勉強している皆さんからアイディアをいただきたいなと思っています」と橋本氏は学生へ期待を寄せました。

紙の遊びを作ろう

学生たちも「at Claps」のコンテンツ作りにチャレンジ。お題は「遊びで身に付くコンテンツ製作」です。子どもの対象年齢は3~8歳頃まで、紙を使った遊びであればなんでも可。例えば点をつなぐとイラストになる「点つなぎ」は順番通りに線をつなぐことで数を覚えられます。塗り絵では動物や果物などの名前を覚えたり、英語に親しんだり。頭を使う遊びとして、ちぎり絵や迷路もあります。いくつかの例の紹介があった後、学生たちに紙が配られました。

まずは「何にする?」「こういうのあったら面白いかも」などと学生同士で話し合いながらアイディア出し。アイディアが固まった学生から書き始め、最初は賑やかだった教室は徐々に静かになり、最後は全員真剣にコンテンツ作りに取り組んでいました。

たくさんのアイディアがコンテンツに

30分ほど製作の時間が取られ、最後に発表。一人ずつ作品を映しながら簡単に紹介していきました。
点つなぎのクリスマスツリー、着せ替え人形、間違い探し、クロスワードや神経衰弱、福笑い、塗り絵などなど。いくつかのものを春夏秋冬に分類するものや、水槽に好きに魚を貼って水族館を完成させるもの、具を盛り付けてラーメンを完成させるもの、時計の針を動かして時間を覚えるものなども。変わり種ではトンボ眼鏡や4枚のイラストを好きにつなげてお話を作るというアイディアもあり、まさに十人十色、様々なアイディアが飛び出しました。

発表後、橋本氏は感激の面持ちで、「ほんとうに皆さん素晴らしいアイディアで驚きました。必ずアプリに載せさせていただくので楽しみにしていてください」とコメントしました。著作権が譲渡されたコンテンツはシーイーシーが預かり今年の3月にリリースされる予定のアプリに掲載されます。

担当教員からのメッセージ

事前打ち合わせでは、橋本氏らと「一人で考えるのは難しいだろうから、グループでアイディアを持ち寄って作品を完成させよう」と計画していたのですが、学生一人一人が、予想以上に素敵なアイディアを生み出していく様子を見て、予定変更。各自でコンテンツを考案することとなりました。学生たちは、豊かな発想力、創造力、自己表現力等、幼児保育専攻の専門性を発揮し、コンテンツ開発に取り組んでいました。学生のみならず関わった教員共々、コンテンツ公開がとても楽しみです。

2024年3月8日

高大連携で高校生もアイデア創出にチャレンジ!「グローバルキャリアデザイン」の授業でVISITS Technologies株式会社とのコラボワークショップが行われました。

1月5日に「グローバルキャリアデザイン」(担当:文学部国文学科 深澤晶久教授)の授業でVISITS Technologies株式会社(以下、VISITS Technologies)とのコラボワークショップが行われました。この授業は高大連携で行われ、本学併設校の実践女子学園の高校3年生も参加。高校生と大学生で協力し、デザイン思考のプロセスを体験しながら新しいアイディア創出のグループワークが行われました。

高校生も一緒にグループワーク

この日は、30人ほどの高校生も参加。この春から本学に進学予定の実践女子学園高等学校の3年生です。くじ引きで大学生と高校生が一緒のグループになるよう全部で11グループに分かれ、授業が開始しました。
VISITS Technologiesの野村博之氏の声掛けで、まずは自己紹介が行われました。「大学生はリーダーシップを取りつつ、高校生たちも気後れせずどんどん発言してくださいね」と促され、最初は緊張した様子の高校生たちからも笑い声が上がる班もありました。

イノベーションは「つなげる力」

VISITS Technologiesはデザイン思考力アセスメントの開発・運用を行っており、大手企業や政府とも連携している注目企業です。日本では「論理的思考力(ロジカルシンキング)」を重視して教育やビジネスが行われてきたと言います。しかし海外では20年ほど前からデザイン思考力に注目が集まっており、多くのイノベーションが生み出されています。イノベーションを一例で説明すると、スマートフォンが代表例です。なぜなら「体験が変わった」から。例えば、電車の中での過ごし方は、昔は新聞や本を読むのが一般的でしたが、現在ではほとんどの人がスマートフォンのを操作をしています。

野村氏は「イノベーションはこれまでなかった組み合わせによって新たな価値や体験を生み出すこと」だと話しました。何かを創り出すには才能だけではなく、この「つなげる力」が重要。そのアイディアを生み出す時に利用される手法の一つがデザイン思考なのです。

新しいショッピング体験を考えよう

いよいよ「デザイン思考ワークショップ」の開始です。

今回は「未来のショッピング体験」を考えることで、デザイン思考のプロセスを体験します。まずは大型ショッピングモール、ECサイト、コンビニのそれぞれの良いところを考えます。学生たちは付箋に1つずつできるだけ多くを書きだし、グループの中で発表し合いました。ショッピングモールなら「まとめて買い物できる」「一日楽しめる」、ECサイトは「中古品も買える」「口コミが見られる」、コンビニなら「家から近い」などなど。様々な意見が出そろいました。

そして、自分たちがどのサービスを新しく考えるかを決め、コンセプトを話し合います。例えばコンビニを選んだグループであれば、ECサイトやショッピングモールの良いところを掛け合わせた「口コミの見られるコンビニ」というようなコンセプトになります。野村氏は「自分たちがそれを使いたいか、ワクワクするか、誰が喜ぶかを考えてみてください」と決めるときのコツを伝えました。

話し合いをしながらグループごとに模造紙にアイディアをまとめていきます。大学生は高校生に「どう思いますか?」など促し、上手に意見を引き出していました。

未来のECサイトはこうなる!

あっという間に時間は過ぎ、いよいよ発表。発表は教室内を2つのスペースに分け2グループずつ同時に行われました。

グループFは「実際に商品を試せるECサイト」を考えました。
チャット機能で店員の説明を聞けたり、化粧品などは試供品を無料で試せなど、購入前に商品を確認できるサービスです。

野村氏は「ECサイトは着心地や質感などが分かりにくい。かゆいところに手が届くサービスだと思います」とコメントされました。

グループCは「仮想空間で直接触れることができるECサイト」を提案しました。VRゴーグルを活用し、空気圧を使い触った感触を再現する技術を使うことを考えました。

野村氏は「実際に触感の分かる技術が出てきている。地方の人も助かるアイディアだなと思いました」と話しました。

新しい技術も取り入れて

グループBは「映画が観られるコンビニ」を発表。
コワーキングスペースのように設置し、コンビニ商品を購入すれば映画代に充てられるシステムも考案。映画館では声が気になってしまう子ども連れや障害のある方、推し活にも利用できるとしました。

「家では集中できない小さい子どもがいる家族連れにも良いですね。マネタイズもしっかり考えられている」と野村氏も評価しました。

グループAは「後悔しないショッピングモール」として、商品についているQRコードを読み込むことで、モール内の類似商品を比較できるシステムを考えました。

野村氏は「服はブランドごとに販売されていて比較が難しい。値段やサイズなど比較できるのは便利ですよね」と話しました。

最後のグループGは「一緒に買い物ができるECサイト」です。
離れたところにいる友人や家族と画面共有して、相談しながら買うことができるというものです。割り勘でプレゼントを買う時や、お揃いのものを買う時などに活用できるとしました。

野村氏は「ネットの買い物でも誰かに相談したい時はあるのですごく良い機能だと思いました」と話しました。

全グループの発表が終わると、野村氏は「皆さんの中には、創造力が必ず眠っています。皆さん自分の中に創造力はあると思って、世の中を変えるアイディアや新しいビジネスのアイディアを生み出して欲しいです」と語り、授業は終了しました。

新しくアイディアを生み出す体験することのできた、貴重な機会となりました。

担当教員からのメッセージ

今、社会で求められている「デザイン思考力」この学びを深めること、そして高大連携プログラムの試みとして、毎年実践女子大学キャリア教育科目「グローバルキャリアデザイン」と、春から実践女子大学に入学予定の実践女子学園高等学校の3年生とのコラボ授業を継続しています。参加メンバーには、昨年12月にあらかじめ「デザイン思考力アセスメント」を受検してもらっています。
大学生は、積極的にリーダーシップを発揮してもらい、高校生には一足早く大学での授業を体験して貰おうという試みです。今回のプレゼンも、まさにZ世代の極めて柔軟な発想が随所に見られ、参加し学生、生徒のこれからのさらなる成長がとても楽しみです。まさに「大学生」と「高校生」のタッグで最強のイノベーションが起こる予感がします。アセスメントから本授業までご支援をいただきましたVISITS Technologiesの松本様、野村様、今井様に心から感謝申し上げます。

2024年3月8日

関係人口を創出するには?「実践キャリアプランニング」の授業でJALとコラボし、学生たちがプレゼンに臨みました。

共通教育科目「実践キャリアプランニング」(担当:文学部国文学科 深澤晶久教授)の授業で、日本航空株式会社(以下、JAL)との特別授業が行われ、学生たちは12月に2週に渡りプレゼンテーションに臨みました。テーマは「地域活性化をするため関係人口を創出する取り組みとは」です。学生たちはそれぞれ地域を決め、グループワークを通して企画を考えました。JALからは産学連携部の田中優子氏と吉村真紀氏、オペレーションコントロール部の荻原千紗氏の3名が来校され、学生たちのプレゼンを興味深く聞かれていました。

観光だけじゃなく地元に関わるか

最初の5班は新潟県での企画を考えました。
米の産出額1位の新潟県は、カレー専用米を作っていることに注目。地元の食材を使用したカレーを作りイベントを開催し、JALでコメ作りツアーも実施します。子ども食堂や高齢者施設などにも提供することを提案しました。

発表後はJALの皆さんから講評がありました。田中氏は「子ども食堂や高齢者との関係を重視して、地域に関わる意欲が見えました」とコメントされました。

次の2班は、兵庫県の但馬地域を選びました。
温泉が有名な地域ですが、宿泊施設などの人手不足が深刻です。そこでリゾートバイトの形で2週間ほど滞在し、観光施設の手伝いや町の魅力を発信することを提案しました。観光客とは違う目線で地域と関わり、地元の人とも交流することができるとしました。

荻原氏は「労働人口を増やしたいという考えが良いなと思いました。リゾートバイトに行った人が地域の良いところを見つけ、それを発信できるのは良いですね」と感想を伝えました。

身近な地域をどう活性化する?

3班は、本学の日野キャンパスがある東京都日野市を選択。
市の総人口が減少しており、空き家が全国平均より1.3倍多いという課題に注目しました。空き家をリノベーションして、シェアハウスを経営することを提案。庭で家庭菜園を行い交流の場にすることを企画しました。

田中氏は「ESGの考えを自分に引き当てて地域を考えるというのが素晴らしい」と話されました。

12班は、メンバーが行ったことがある県の候補の中から宮崎県を舞台に選びました。
宮崎県は観光地が南北に離れていて、移動が大変という課題を挙げました。そこで地元の人に観光名所を教えてもらったり一緒に巡ったりするツアー式の方法を考案。また宮崎県は雨量が多い時期もあり、その影響を受けて傷がついた食品もあることから、それらを安く販売することを提案しました。

吉村氏は「目を見てプレゼンしていて、伝わってくるものがありました」と評価しました。

美味しいご当地食材を食べよう

10班は、ラーメンで関係人口の創出にチャレンジ。
ご当地ラーメンを巡れる「ラーメンガチャ旅」を考案しました。山形県、北海道、山梨県など有名なラーメン店がある県をランダムにツアーにし、それぞれの県でラーメンを食べ、観光もしてもらうという案です。

荻原氏は「行き先がランダムに決まるので興味が薄かった県に行くきっかけになる」と興味を持っていました。

前半ラストは6班。新潟県の弥彦村にフォーカスしました。
新潟県は米だけでなく枝豆の作付けも全国1位とデータを示し、風味豊かな枝豆を作っている村に1泊2日で行くツアーを提案しました。周辺の観光地巡りのほか、枝豆の収穫体験やつかみどり、皮の調理方法を学ぶ料理教室など枝豆を中心にした企画を考えました。

吉村氏は「枝豆にフォーカスしていることで分かりやすく、プレゼン力の高い発表でした」と感想を話しました。

まずは知ってもらうこと

後半のトップバッターは7班から。
生協のようなスタイルで給食を配達し、地方の郷土料理から興味を持ってもらうことを目的とし、全国の給食配達サービスを考案しました。ターゲットは地産地消をしにくい首都圏の人々。給食は栄養バランスが考えられており、日本の和食は世界遺産にもなっています。食料自給率が低い日本の食材を食べる意識付けにもなるとしました。

吉村氏は「ターゲットを都心の人にしたのがいい。孤食の問題や共働きで自炊をしない層にもアピールできるのでは」と評価しました。

次の9班は、宮崎県をチョイス。班のメンバーの出身地です。
まずは若者をターゲットにPR動画コンテストを提案しました。宮崎県の知っていることやオススメすることについて動画を作成→SNSにアップし、優秀作には牛肉やマンゴーなど宮崎県の特産品をプレゼントするという企画です。また、空き家を活用したワーケーションなども行うことでその行き来にJALの利用も促しました。

田中氏は「メンバーが一緒に出身地について考えるのが良いですね。関係人口を増やすにはまず知ってもらうことが大切」とコメントしました。

佐賀の魅力を届けよう

8班は佐賀県に注目。
魅力度ランキングが低いと言われていますが、玄界灘や有明海でとれる海鮮は人気が高く、有田焼の大会には世界中から人々が集まってきます。そこで、『おてつたび』という手伝いしながら旅をする取り組みとコラボして、地元の漁師や店を手伝う企画を考えました。『おてつたび』では交通費が出ないため、JALが連携し交通の援助をすることも提案しました。

吉村氏は「『おてつたび』という既存にあるシステムと新しい発想を繋げるるというのは、これから求められる能力」とコメントしました。

4班も佐賀県を取り上げました。
佐賀県は魅力度が低いと言われますが、実は佐賀牛など特産品の効果からふるさと納税は上位にランクインしています。そこで2泊3日の佐賀県ツアーを企画。例年10~11月に開催されているバルーンフェスタに合わせて、気球試乗や酪農体験、焼き物体験ができるスケジュールを考えました。メンバーは実際に佐賀料理が食べられる渋谷にあるレストランにみんなで行き、郷土料理も実食したと話しました。

吉村氏は「実際に食べてみたと言うフィールドワークの説得力がありました」と感心されました。

JALが乗り入れてない地域こそコラボを

次の1班は、山梨県を選びました。
山梨県には空港がなく「JALの航空便が飛んでいないからこそJALとコラボする意味がある」と発表を始めました。知識があるシルバー層と、金銭的・時間的に余裕がない子育て世代が相互協力することを提案。寺子屋JALを開設し、宿題の指導やものづくり、JALの人と協力して英語教室を行うことを考えました。

田中氏は「教育に焦点を当てて考えたのが素晴らしい。地域住民が充実感を得られることが良いですね」と話しました。

最後の11班は、富山県でグルメフェスを開催することを提案しました。
初夏は甘えび、冬はカニなど豊かな食材が獲れることをPRし、観光客の増加を目指します。またグルメフェスを通し地域コミュニティも活性化できるとしました。富山県にはJALの乗り入れ空港がないため近隣県のファミリー層をターゲットとしました。

荻原氏も「私も行ってみたいと思いました」と興味をひかれていました。

継続していける企画を考える大切さ

授業の最後には、前半・後半それぞれのプレゼンの中から優秀賞が選ばれました。
前半は5班、後半は4班が選ばれ、学生たちには賞状と、賞品としてJALのキーホルダーやパスケースがプレゼントされました。学生たちからは「自分たちで一から考えて頑張ったので、表彰していただき嬉しいです」と喜びの声が聞かれました。

吉村氏は
「どの班も甲乙つけがたかった。今回の発表を良い経験にしてください」とコメント。
荻原氏も
「時間がない中チームワークを発揮してくれたことに感謝しています。私自身楽しく、皆さんの発想を聞けてとても良い機会になりました」と刺激になったことを話されました。

最後に田中氏が
「関係人口を増やすアイデアを考えるのは難しかったという皆さんの感想はそのとおり。その難しい難題によくチャレンジしてくれたと思います」と学生たちの努力をねぎらいました。そして「関係人口の創出は、1回限りでなく継続していくことが難しい。貢献していけるか、やりがいがある企画か、喜びを感じられるかということが継続していく秘訣。これから就活に向かう中で、こうした考えを頭に置いてくれると嬉しいです」とこれから就職活動を行う学生に向けてアドバイスをされ、コラボ授業を締めくくりました。

担当教員からのメッセージ

日本航空様とのコラボは3年目、毎年、様々な視点からのお題を提示いただき、学生たちは真剣に向き合いながら、社会課題に対する視野を広げたり、日本航空様に関する事業領域の広さを学びつつ、学科の学びとの接続を考えてくれています。幅広い領域を学ぶ学科であるだけに、こうしたキャリア教育科目でも、学科の学びとの親和性を大切にする必要性を感じています。今年も、レベルの高いプレゼンテーションが多く、短い時間にも関わらず、ベストを尽くしてくれたことは素晴らしいと感じました。毎年、多くの気づきに繋がるテーマ設定をいただき、また、沢山の社員の方にお越しいただくなど、日本航空様のご配慮に心から感謝申し上げます。

2024年3月7日

ライブ配信アプリの女子大生利用者を増やすには?「ビジネスプランニング」でDeNA×クロス・マーケティンググループとのコラボ授業が行われました。

1年生対象の「ビジネスプランニング」(担当:生活科学部現代生活学科 上野亮助教)授業で、株式会社クロス・マーケティンググループ(以下、クロス・マーケティング)と株式会社ディー・エヌ・エー(以下、DeNA)とのコラボ授業が行われました。テーマは「女子大生のPocochaの利用を増やすための施策の提案」です。学生たちはグループワークで企画を考え、1月10日にプレゼンテーションに臨みました。企業の方々もオンラインで参加してくださり、直接講評をいただきました。

女子大生がPocochaをたくさん使うようになるには?

『Pococha』はDeNAが運営するライブコミュニケーションアプリです。
誰でも「ライバー」と呼ばれる配信者になることができ、「リスナー」と呼ばれる視聴者とコメントなど双方向でコミュニケーションを取れることが特徴です(Pocochaの利用は18歳以上)。利用者の年齢層は幅広く、男性の割合が高め。ライバーは、ライバーとしてのランクや毎回の配信の盛り上がりに応じて、報酬を獲得することができます。無課金でも十分楽しめる仕組みで、初心者でも簡単に始められるアプリです。今回は、女子大生の利用者を増やす企画を考える課題が学生たちに出されました。

当日はクラスを半分に分け、2か所同時に発表が行われました。
それぞれに企業の方もオンラインで参加。各グループのプレゼンとクロス・マーケティングの小川氏と前口氏、DeNAの山本氏の講評をレポートします。

ライバーとリスナー どっちを増やす?

1班はライバーを増やす案として、若い女性も安心して参加できる「企業が全面サポートするファンミーティング」を提案しました。ファンミーティングは個人で行うにはハードルが高いもの。企業主催であればセキュリティも整い、女子大生が参加しやすいと考えました。
発表後の質疑応答では「実際に行うならどんなイベントを想定していますか」と問われ、学生は「有名になりたいという女子大生がファンミーティングすることでリスナーとの距離が近づけるイベントを想定しました」と回答しました。

2班はリスナーを増やすため、シニア配信者に注目。
一人暮らしの20代女性のうち8割が「食事は誰かと食べたい」と回答しているアンケート結果に着目しました。祖父母と孫をイメージした広告をSNSで流したり、シニア配信者をピックアップできるタブを作ったりという案を出しました。

「皆さんは実際にシニア世代の配信を見たいですか」と質問され、学生は「若い人は飽和状態なので年齢を重ねた人の話を聞きたい」と回答。また、「今皆さんがさみしいときにしていることと、配信を見ることはどう違いますか」といった質問には「第三者だからこそ話しやすいこともあると思うので、悩みを打ち明けられると思います」と回答しました。

Pocochaでデビューを目指せ

3班は、Pocochaは報酬システムが安定していることに注目しました。
ミス・コンテストを企画し、期間内の配信数やアイテム数でランク付けします。上位のライバーは事務所所属や、化粧品など賞品を用意します。

質疑応答では「実際にやってみたいですか?」と問われ、学生は「自宅で配信できるのでやってみたいと思って企画しました」と回答しました。また「化粧品はどんなものをもらったら嬉しいですか」と質問され「プチプラでもブランド品でも、お試しできるのは女子大生には嬉しいと思います」と答えていました。

4班は、リスナーを増やす案。
若い女性はダイエットに敏感です。DeNAの子会社であるDeSCヘルスケア株式会社が運営するダイエットアプリ『カラダモ』と連動し、ライバーと一緒に運動する配信を提案しました。

質疑応答で「どんな人の配信が見たい?」「どういった運動を想定している?」と質問され、「インフルエンサーの筋トレや、トレーナーの運動は参考になると思います」「自宅で行える運動。配信者から応援をもらえれば、双方向でコミュニケーションを取れるPocochaの強みを活かせると思います」と、学生たちは回答しました。

推し活したい女子大生を増やそう

5班は、Pocochaを初めて使う際の操作が分かりづらいと課題を挙げました。
そこでチュートリアルの充実を提案。ライバーがショッピングモールでコスメなどの実演販売することで身近に感じてもらえる案も考えました。

「網羅的にデータを見ていると思いました。ショッピングモールのユーザーをターゲットにするのは面白い視点」と感想をいただきました。

6班もリスナーを増やす方法を考えました。
サバイバルオーディションの開催を提案しました。オーディション参加者の配信を視聴することで投票できるシステムにし、ポイントがたまるとライバーと1対1で会話できる特典を考えました。

「ちゃんと女子大生の興味関心を引くだろうなと思いました」と講評があり、重ねて「その後Pocochaに定着させるには?」と質問されました。学生は「デビュー後もPocochaで配信することで、リスナーは推し活できると思います」と回答していました。

実体験をもとに具体的に企画を考えよう

全チームの発表後には総評をいただきました。
「女子大生ならではのアイデアもあり面白かったです。課題整理も丁寧でよく考えられていました。ただ、周りの友人や自分たちで取ったアンケートなど、もっと生の声を取り入れるとさらに良かった。企画を考えるときは自分にも覚えがあるな、という消費者としての体験が大切。実体験を反映できるよう考えてみてください」とコメントをいただきました。
また「皆さんが企画を考えるとき、イメージを持って作っているはずです。そのイメージを言語化し具体的な施策をより詰めていくと、聞いている人にも伝わっていきます」とアドバイスも。
最後は「素敵な企画を考えていただきありがとうございました」と学生たちの頑張りをねぎらわれました。

1年生でまだ企画立案も慣れていないなか、実際に企業が抱えている本物の課題に取り組んだ貴重な機会となりました。

担当教員からのメッセージ

 今回、この授業を履修し、実際にPBL(Project Based Learningのこと。課題解決型学習とも訳される、文部科学省が推進するアクティブラーニングの一種)にチャレンジした学生は学部1年生です。そのため、多くの学生にとっては、実際に社会で活躍する企業の皆様方を前に、自分たちの考えた内容を提案するのは、初めての挑戦であったと思います。本授業では、全14回の授業の前半の内に、グループワークを進める方法や様々な分析手法等、企業が提示する課題を取り組むに当たって必要なことについて、学修しています。その後、企業から出題頂いたテーマに取り組むことになります。
 今回の最終発表会では、これまでの学修内容を踏まえて、株式会社クロス・マーケティンググループ、株式会社ディー・エヌ・エーの両社から出題されたテーマに対し、学生ならではの視点や感性、考え方も取り入れながら、企画立案した内容を報告し、両社の皆様から、そのフィードバックを受けました。学生達が体験した企画立案、報告、フィードバックという、この一連の経験自体が大きな学修成果になったことと思います。今回、経験した内容は、実際に社会に出た後も活かせる内容です。学生達には、ぜひこの貴重な経験を活かした活躍をしてもらいたいと考えております。
 この度は、このような貴重な機会を頂きました、株式会社クロス・マーケティンググループ、株式会社ディー・エヌ・エーの皆様に、この場を借りてお礼を申し上げます。

2024年2月27日

生活環境学科:『STAFF START』を展開するバニッシュ・スタンダードによる特別講義を実施!

1月15日に、1年生対象の「ファッションビジネスの世界」(担当:生活科学部生活環境学科 大川知子教授)の授業で、株式会社バニッシュ・スタンダード/カスタマーサクセス担当の今野俊氏による特別講義が行われました。同社が手掛ける『STAFF START』とは?それは普段、学生たちが利用しているサービスの舞台裏でした。

授業概要

 「アパレル」「建築」「プロダクト」を複合的に学ぶことのできる生活環境学科の、1年生向けの科目『ファッションビジネスの世界』の最終講義で、現在、注目を集める『STAFF START』を展開する(株)バニッシュ・スタンダード/カスタマーサクセス担当の今野 俊氏による特別講義が実施されました。『ファッションビジネスの世界』は、ファッション産業の概観を繊維・テキスタイル(川上)・アパレル(川中)・小売(川下)の形成過程を歴史に学びながら、これからの産業の在り方を考える授業です。

 その最終講義の今回のテーマは、「ECとOMOの現在」。ECはElectric Commerce(電子商取引)の略で、インターネットを介して商品の売買をすること。学生のみなさんには「ネットショッピング」として身近にあります。現在ではOMO(Online Merges with Offline)という考え方が主流になり、生活者は実店舗とオンライン(ECやSNS)をシームレスに行き来しながら商品を購入します。特にコロナ禍以降、自宅に居ながら買い物が可能なEC市場が拡大しており、このような現状の中で、今回登壇いただいた(株)バニッシュ・スタンダードが提供する『STAFF START』は、主に小売において画期的なサービスを提供しています。

 授業の冒頭、今野氏の自己紹介からスタート。これまでにアパレル企業での販売やマーチャンダイザー(MD)としてのご経験を経て、現在は同社の「カスタマーサクセス」という職種で活躍されています。講義は、バニッシュ・スタンダードの概要から始まりました。バニッシュ・スタンダードという社名には、「常識を革める」という意味が込められており、同社が提供するスタッフDXサービス『STAFF START』は、ECの台頭により、実店舗への来店顧客の減少や、それに伴う売上の減少、また、現在の日本においてあらゆる小売業で抱えている報酬の魅力度の低下といった課題を、専用アプリを通じて、店舗に所属するスタッフをDX(デジタルトランスフォーメーション)化し、自社のECサイトやSNS上でのオンライン接客を可能にすることによって解決しています。

 『STAFF START』は、サービス開始から7周年。2023年現在での利用者(アカウント)数は23.3万人にも上ります。2018年の利用者数は25,000人程でしたので、コロナ禍を契機に、ほんの5年間で10倍にも急増しています。また、導入ブランドは2,600を超えています。現代のOMOを下支えするのは、正にこの仕組みで、学生たちは最新事例に触れ、学びを深めることが出来ました。

 『STAFF START』は、EC上に投稿出来るアプリです。店頭スタッフは、ECそのものや、EC上の自身のコンテンツへの誘客としてSNSを活用しており、このアプリでは、その可視化が可能です。例えば、店舗スタッフが商品コーディネートなどの情報をSNSにアップすると、そこからオンラインショッピングへのアクセス数、売上金額等、全てのプロセスが可視化され、そのスタッフの貢献度が報酬となって評価に加算されます。従来は、投稿内容の売上貢献度は不明瞭でしたが、それを明らかにすることで、働く方たちのインセンティブにもなっています。彼らの販売力を、実店舗は勿論のこと、EC上の接客でも活かすことで、月間500万円以上売上げる人は840名にも上り、また、月間の最高売上は2億6,000万円と驚異的な数字となっています。また、画像を通して、顧客との関係づくりにも役立っています。

 また、このサービスにより、大都市にある店舗が必ずしも高い売上を誇る訳ではなく、実際、都道府県別一人当たりの売上の1位富山、次いで石川、栃木と続き、東京は10位となっており、立地による不利益をも凌駕しています。今回の事例は、接客サービス、ひいては働くことそのもの価値の変換が起こっていることを示す事例となり、学生達からも大きな反響を得ました。

学生の主なコメント

・店舗スタッフが活躍できるチャンスがあるということが、印象に残りました。個人の売上成績をしっかりと評価し、
 首都圏のみならず、地方にいる優秀なスタッフも活躍できるようにしているのは、とても良い取り組みだと感じました。

・私自身、ネットで服を買う時に、スタッフの方の着画を参考にしていたので、知らず知らずの内に、このサービスを
 使っていたのだと気づきました。将来、ショップ店員になりたいと考えていましたが、低賃金が心配ごとのひとつでした。
 ですが、『STAFF STRAT』を知り、更にこの夢に向き立っていきたいという気持ちが強くなりました。
 今回の講義を、今後の糧にして、もっと勉強を頑張りたいと思います。

・「ECサイトに、店舗スタッフを立てる」という斬新なアイディアに、はじめは果たして意味があるのか、寧ろ、
 人手の無駄遣いになるのではないかと疑問を抱きましたが、その考えは直ぐに覆されました。
 自分が想像していたよりも可能性は広がっており、この仕事自体を前向きに捉えてみる機会になりました。

  ※バニッシュ・スタンダードのウェブサイト

   企業情報|株式会社バニッシュ・スタンダード (v-standard.com)

  ※『STAFF START』のウェブサイト

   STAFF START(スタッフスタート)とは|スタッフDXサービス (staff-start.com)

大川先生からのメッセージ

 

 常に社会の動きと連動するファッション産業は、変化のスピードがとても速いです。この産業について学ぶことは、結果的に、他産業を考える際にも応用出来ることが面白さです。今年度は、最近頻繁に『繊研新聞』等の業界紙でも取り上げられている『STAFF START』を運営するバニッシュ・スタンダードの今野様にご登壇いただくことが叶いました。

 店舗スタッフは、私たちが商品を購入する際に、助けになって下さる方たちで、魅力のある仕事ですが、収入面を含めて、長年改善出来ない様々な課題にも直面していました。そのような中、誕生した『STAFF START』は、コロナ禍により急速に進んだSNS経由のECとの連携も強めながら、オンラインの強みである物理的な距離も軽々と飛び越え、また、店舗スタッフの方たちの可能性を最大限に引き出すことの出来るアプリです。

 学生のみなさんの感想を読むと、実は普段からコーディネートをチェックしている人がほとんどでした。ビジネスは、その基礎となる原理原則を学ぶことがとても大切ですが、一方で、時代の流れに即した事例研究も重要で、学生のみなさんの興味を喚起する、良き学びとなりました。このような機会を与えて下さったバニッシュ・スタンダード様に、心から御礼を申し上げます。