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2024年7月25日

自分の大事なことを軸に!「国際理解とキャリア形成」の授業で資生堂国際マーケティング部の岡野静佳氏の講演が行われました。

6月4日(火)に大学共通教育科目「国際理解とキャリア形成」(担当:文学部国文学科 深澤晶久教授)の授業で、株式会社資生堂の岡野静佳氏をお招きしての講演が行われました。今年の5月に育休から復帰したばかりの岡野氏は、キャリアの築き方や生活との両立など、女性としてのロールモデルを示してくださいました。

変わらないために時代に合わせて変わっていく

岡野氏も、京都の女子大学出身。「女子大学を卒業した女性として、そして今後出産を考えている人には働くママの参考としてもらいたいと思います」と講演を始められました。岡野氏は2007年に資生堂に入社。そのときの人事担当が深澤教授だったと言います。面接後、エレベーターが閉まるまで深々と頭を下げていたのを今でも覚えていると語り、「学生に対しても、真摯に向き合ってくれる会社なんだと実感しました」と話しました。

資生堂は1872年創業の150年以上の歴史を持つ日本を代表する企業です。現在の売上比率の73%は海外で達成している、立派なグローバル企業でもあります。
けれどもそんな大企業でもコロナ禍の打撃は大きかったと言います。
「コロナ禍でお客さんの購買の意識も、市場も変わりました。変わっていく環境にどう対応していくかが大事」と『ビジネストランスフォーメーション』という言葉を伝えました。
「ただ、変わりたくないところ、資生堂らしさはなにかということも考えていかなくてはいけません。大事な部分が変わらないために変わり続ける」と、企業の理念を伝えました。

化粧品ってどうやって作られる?

岡野氏はデパートの営業部からスタートしました。
しかし、いつかは海外で働きたいと思い続け、募集があった際に手を挙げ国際マーケティング部(SHISEIDO GLOBAL BRAND UNIT)に配属。以来ずっと商品開発に携わっています。
そのなかの一つ、2018年に大学生をターゲットにしたブランドを立ち上げた際の経験について詳しく語ってくださいました。

若年層のメイクポーチに資生堂のアイテムを入れてもらいたい、という思いから大学生たちへアンケート調査をすることからスタート。
そして資生堂らしさをどう表現するかを考えます。手をかけて心を込めて作られる、という共通点から日本伝統の和菓子をコンセプトとすることで、繊細な『手つむぎ』を表現し商品として届けようと考えました。
コンセプトが決まれば色作り。研究所で他のブランドのアイテムも参考にしつつ、若い世代に受け入れられそう、かつその時期に流行りそうな色を考えます。さまざまなものを混ぜ合わせて考え、ときには絵の具にジャムを混ぜたことも。
色を研究所に伝え製品ができると、話題化の仕掛けとして有名和菓子店とコラボレーションしてポップアップストアを展開。
その甲斐あってSNSで話題となり、2018年限定のブランド予定でしたが翌年以降も展開する大成功をおさめました。

働く女性として、ママとして

順風満帆に見える岡野氏の活躍ですが、表で示された人生はアップダウンの連続でした。
入社直後は営業の仕事がつらく落ち込みますが、徐々に仕事が楽しくなり上がっていきます。念願の国際マーケティング部に異動するも、やりたかった仕事とは違い理想と現実のギャップに悩みます。
仕事が認められるようになると自信が付き、「今は思い通りの商品が作れるようになってきた」と、「今は仕事がとても楽しいです」と語りました。

また、岡野氏のなかで大きな出来事として「母という新しいキャリアを始めた」こと」だと言います。
「育児は未知の世界で、仕事をしているほうが楽だと思ったくらい」と両立の大変さを話しましたが「家庭だけではない、仕事での顔があることは自分にとって、とても良かったと思います」と語りました。

いまもベースになっている留学中のあるできごと

ここで岡野氏は「自分の原点」という留学中のひとつの出来事を語りました。
空港で、全盲・難聴の男性に助けを求められ、なんとかコミュニケーションを取り手助けしたエピソードです。彼が飛行機に乗る間際、満面の笑みで手を振ってくれたのを見たとき、岡野氏は「今までにないものを感じました」と話します。
自分が人を助けられたという満足感や、喜ばせられたという嬉しさ。それらがとても印象的だったと言い、就活のときはこのエピソードをエントリーシートに書いたり面接で話したりしたと語りました。

「ガクチカというと、学生時代に力をいれたことだけと思われがちですが、こういった日常の一コマでもいい。自分の言葉で、何が自分のなかで価値になったのかを伝えられること」が大事と力強く話します。
ドキドキしたりワクワクしたり、自分しか経験してないことを探すことが、就職活動でのヒントになると話しました。
心を重んじ、「自分が何をしたいのかを大事にしてくれる企業を選んでほしいと思います」と講演を終えられました。

企業に合わせず自分の軸を大事に

講演後に学生は班ごとで話し合いが行われました。
その後意見や感想をリアルタイムで掲示板に投稿し、読み上げる形で質疑応答がありました。就活について、女性として働くことについての質問が続々寄せられます。

「就活のときにやりたいことはありましたか」という質問には「なかったです。やりたいことではなく、自分が大事にしていたいことを忘れなくていい企業を選ぶことが大事」と回答しました。
「内定を取る秘訣は?」というものには。
「私はエントリーシートを企業に合わせて書き換えたりはしていなかったです。企業に合わせず、自分の大事なことを軸に勝負し伝えることで、共感してくれる企業と縁があると思います」と話しました。
岡野氏が働く女性の先輩としての姿を示してくださったことで、学生たちは自身のやりたいことや軸を考えるきっかけになる講演でした。

担当教員からのメッセージ

初めてお会いしたのは今から15年前、私が企業の採用を担当していた時でした。
きらきらと輝く姿は今でも強く印象に残っており、社員として成長を心から
期待していた人材です。今や、グローバル部門におけるブランドマーケティングの中核的存在として活躍されるとともに、出産の期間を経て、久しぶりに私の授業に帰ってきて下さいました。
仕事にも、育児にも、100%以上のスタンスで取り組む姿が、学生の心に強く響いたようです。
岡野さんの益々のご活躍を心からお祈り申し上げます。本当にありがとうございました。

2024年7月22日

社会に出るための知識を付けよう!「実践キャリアプランニング」の授業で「日本労働組合総連合会」の副事務局長による講演が行われました。 

5月24日に大学共通教育科目「実践キャリアプランニング」(担当:文学部国文学科 深澤晶久教授)の授業で、日本労働組合総連合会(連合)の副事務局長である井上久美枝氏による講演が行われました。数回にわたって連合の皆さまがご協力くださり、働くことと女性の立場についてお話いただきました。その連続企画の最終回である今回は、現代のジェンダー平等について学ぶ機会となりました。

一人ひとり自立することが大切な時代

井上氏は独立行政法人の日本スポーツ振興センター出身。
国立競技場や国立代々木競技場の運営などを行う法人です。
連合に関わるようになってからは、男女雇用平等について本格的に携わり、男女雇用機会均等法などの改正にも関わりました。参考人として国会で意見陳述した経験も。

井上氏は「職場のなかだけでなく、社会にジェンダー平等を広めていきたい」と話します。
「これからは一人ひとりが自立して生きていく時代です。待っていても白馬の王子様はやってきません」と、女性が生きていくには一人ひとりの自立と、社会の理解が広まることが必要と語りました。

男女平等の現状は?

まず井上氏は戦前の女性の立場から話し始めました。
戦前の民法は「妻の無能力」と呼ばれる規定があったのです。夫の許可がなければ働くこともできませんでした。
この不平等に女性たちが立ち上がり、1945年に女性も参政権を獲得。
1946年には39名の女性議員が誕生しました。

しかし、その後の男女平等についての動きは遅々としており、現在の女性議員の数は46名。ほぼ増えていません。
井上氏は自身の経験として「技術家庭の男女共修」についても語りました。1990年まで中学生の授業は、男子は金属や電気技術を学ぶ技術科と、女子は料理や裁縫を学ぶ家庭科に分かれていました。
「もし、技術科の授業を受けていたら、私の職業人生は変わっていたかもしれません」と、最近まで性別役割が学業にも影響を与えていたことを伝えました。

とはいえ、世界全体を見れば少しずつジェンダー平等への流れは強まっています。
日本も国を挙げて取り組んでおり、2023年には上場企業は女性役員30%を目指すと方針を発表。この発表を受け、大手OA機器関連会社の株主総会で「役員候補に女性がいない」ことを理由に、社長再任に半数近く反対票が集まるなど、産業界にも少しずつ影響が及んでいます。

無意識の偏見に囚われないために

井上氏は、学生たちに知っておいてもらいたい言葉として「アンコンシャス・バイアス」を紹介しました。
アンコンシャス・バイアスとは無意識の偏見。男性は車の運転が上手い、女性は地図が読めないなど、いつの間にか感じてしまっている偏見のことです。
「こういう思い込みを言われたことはないか聞くと、多くの女性に経験があります」と井上氏。

合わせて「ステレオタイプ・スレット」についても説明しました。
「女子は数学が苦手だ」と言われたグループの女子の、数学テストの正答率が著しく下がったという研究を伝え、「自分に対して思い込みを入れないで進路選択してください」と語り掛けました。

女性が活躍する社会を目指して

続いて、雇用形態についてのグラフも提示。
正社員と非正規の割合をみると、一目瞭然で女性の方が非正規で働く割合が大きいのが分かります。
「働く女性は増えましたが、正社員ではないんです」と現代の問題点を話しました。さらに男女の賃金格差は国際的にみても、どの国も男性より女性は下回っています。
特に日本では、年金は給料がベースになっています。高齢の単身女性の貧困問題は深刻で、「きちんと国に取り組んでいただきたい問題です」と井上氏は話しました。

女性活躍のための壁は、「採用」「育成」「継続」「昇進」の4つあり、まだまだ男性ばかりの職場や、女性の採用率が低い職場も多くあることが問題です。
さらに育児と仕事の難しさはかなり深刻で、管理職などの役職を目指す女性も少ないのが現状。連合でも、地方連合会など100近い組織のうちトップが女性なのはわずか3つ。
井上氏は「これが現実。連合からも変えていきたい」と話しました。

けれど、「お茶汲みは女性の仕事でしたが今は違います。そうやって職場の規範や、社会の常識が変わってきています。それは時代の力。時代ってすごい」と井上氏。
「諦めず出来ることからしていかなければ」と語りました。

知るは力!知識を持って社会へ出よう

講演が終わると、学生は班ごとで話し合い意見や感想をリアルタイムで掲示板に投稿。
深澤教授が読み上げる形で質疑応答が行われました。
「女性は家事育児があるから非正規なのは仕方ないのかもしれないが…」という意見には「非正規でも仕方ないと思ってはいけません。家事育児は夫婦二人のこと。お互いが協力し合い、キャリアを築くことが大切」と思い込みを正しました。

「強制的に女性の役員を何割以上にするなどと決められないのでしょうか」という質問には「できます。実際にそうしている国もある。ただ日本では、実力に合わせてなるもので片方の性を優遇することは不公平ではという考えが根強い」と回答されました。
「女性も働く場が増えてきたと思っていたが、実際には非正規で働いていることが多いと知り残念な思い」という感想には、「そうですね。でも、知るは力です」と話しました。
知らずに社会に出るのと知ってから臨むのではまったく違います。
これから社会に出る学生たちに対しエールを送りました。

2024年7月22日

ワークルールを知って働く!「実践キャリアプランニング」の授業で連合のフェアワーク推進局長による講演が行われました。

5月10日に「実践キャリアプランニング」(担当:文学部国文学科 深澤晶久教授)の授業で、日本労働組合総連合会(以下、連合)のフェアワーク推進局長である小林妙氏による講演が行われました。「働くことを考える」をテーマに、働く上で守るべきワークルールを教えていただきます。アルバイト中や就職活動中の学生にとって、安心安全に働くための基礎知識を知る機会となりました。

連合は働く人を守る組織

小林氏は教師を目指し教育学部を専攻するも、企業への就職に興味が湧き、証券会社へ入社。
その後転職した先が倒産の憂き目に遭うも、縁あって産業別労働組合(JAM)の仕事に関わるようになり、連合へ出向されました。

フェアワーク推進局では、非正規雇用などで働く人たちの声を集め、実態を把握し、課題解決につなげていく活動をしています。
その対象は非正規雇用者、パートやアルバイト、フリーランスや外国人労働者などさまざま。
またLGBTQといった性的少数者などの方々も対象です。性別・年齢・国籍・障がいの有無などに関わらず、一人ひとりが尊重され、公平で働きやすい職場環境を実現するために活動されています。

労働組合は、憲法28条で認められた「団結権」「団体交渉権」「団体行動権」といった3つの労働者の権利を実行し、労働者を守るためにあります。また、労働基準法という法律も含め労働者が働く安全、安心は守られているのです。これらが守られていない場合や改善して欲しい場合は、労働組合は企業側と対話し、要望をすることができます。
労働組合は企業と対等の立場であり、企業側は対話を断ることはできません。労働組合と対話をすることも法律で決められているためです。

労働組合って必要?

連合は、各企業・業界の労働組合が加盟するナショナルセンター(中央組織)です。労働組合とは働く人たちが自主的に組織するもの。職場の環境は安全か、法律違反はないか、ハラスメントはないかなど相談を受け、意見を取りまとめる窓口です。
労組は二人以上で作ることができ、現在連合には690万人以上が加入。非正規雇用者やパートなど正社員以外も加入でき、現在加入者の約2割が正社員以外の方です

「憲法や労働基準法があるなら、労働組合って必要?と思われる人もいるかもしれません」と小林氏。
「私も勤めている時は、労働組合のことをよくわかっておらず、時間外に色んなことを聞かれて正直邪魔だなと思っていました」と告白。
しかし、「今は必要だと思っています」と言います。

例えば週休2日が常識になっていることも労働組合の活動の結果。
労働基準法には「少なくとも毎週1日の休日か4週間を通じて4日以上の休日」としか決められておらず、週6日働くことは違法ではありません。
これでは労働者が大変だと労働組合が活動を行い、週2日の休みを勝ち取ったのです。
小林氏は「労働基準法以上の環境や働きやすさをきちんと獲得するために、労働組合や連合は必要です」と話します。「皆さんもこれから就職の際、労働組合がある企業に勤めてほしいと思います」と、就職先を決める基準のひとつにして欲しいと話しました。

ワークルールを知ろう!

ここで小林氏は「ワークルール」についての問題を出しました。
ワークルールとは、簡単に言えば企業側が労働者に対して、してはいけないことです。「知ってるつもりで実は知らないルールです」と小林氏は問題を出していきました。

例えば「学生アルバイトでも法律で守ってもらえるか?」という問題。答えは「もちろん守られます。年齢によっては深夜に働くことは法律違反ですが、知らずに働かされることもある」と小林氏は注意を促しました。
また意外な問題では「採用面接で尊敬する人は?と聞くのは良い?」というもの。「働く能力とは関係ない思想に関わることは、個人の自由であるべき」と小林氏。
好きな言葉や宗教なども聞くことはよくないと言います。「ただ、まだあまり浸透しておらずエントリーシートなどに項目があるといった現状です。そういった会社があったら、疑問を持つことも大事」と小林氏は話しました。
その他にも「インターンシップは無給が当たり前ではない」「時給は1分単位で支払われるべき」などのワークルールが紹介され、学生たちも興味深く聞いていました。

働くこと上で必要な知識を身に付ける

講演後、学生たちは質問をリアルタイムで掲示板に投稿し、深澤教授が読み上げる形で質疑応答が行われました。
「最低賃金を上げるように国に言ってください」という投稿に小林氏が「了解しました。連合など労働組合も最低賃金を決める会議に参画しているので、その担当に伝えます」と答えると、笑い声が起きました。
「国としても最低賃金を上げようという動きがありますので頑張っていきたいですね」と話されました。

「アルバイトでも有給休暇があると知らなかった」という感想には「一定期間・一定時間を働いているなど条件はありますが取れますので、社員の方にアルバイトも有休が取れると法律で決まっていると話してみましょう」と助言されました。
その他にもアルバイトやお金のことなど、働くことへの身近な質問が多数投稿されました。
学生たちは働く上で知っておくべき知識を得た大切な講演となりました。

2024年7月22日

「実践キャリアプランニング」の授業で連合の前事務局長の相原康伸氏が「公益」についての講演を行いました。

大学共通教育科目である「実践キャリアプランニング」(担当:文学部国文学科 深澤晶久教授)の授業で、4月26日に現公益社団法人教育文化協会(ILEC)理事長の相原康伸氏が講演を行いました

「公益」とは何か?

相原氏の話は「公益とはなにか」というところから始まりました。
公益とは自分のみならず、他者や社会全体の利益を考え、行動することです。
「今日一番のメッセージは、公益に対してどう行動を変容していくか」。
私たちが直面する様々な社会課題に対し、日々の行動をわずかにでも変えることが重要だと最初に語られました。

連合の役割とは

約700万人の加盟組合員を擁する連合は、日本の労働組合の中央組織として、職場の声をまとめ、企業との対話を通じて、労働条件の改善や待遇向上に貢献しています。

相原氏は、「働くということは、いつもピカピカな状態じゃないんです」と力強く語ります。仕事で精神的に追い詰められたり、人間関係で悩んだり、労働条件に不満を感じたり。こうした困りごとこそ、連合が解決に向けて共に歩む重要な役割を担っているのです。年間1万5千件から2万件寄せられる相談内容は、コロナ禍以降、特に女性、フリーランス、非正規雇用労働者からの声が目立つようになりました。相原氏は、「弱い立場の人たちにさらに負担がかかっている」とお話しされました。

国際社会の抱える問題をどのように変容させるか

社会に出る今の学生に求められるのは、単なる知識やスキルだけではありません。創造性、固定観念にとらわれない斬新な視点、そして多様な価値観を持つ人々と協働する能力こそが、これからの時代を生き抜く鍵となります。

「異なる文化を持つ人々への普遍的な敬愛の精神が持てるかどうか。」
国際社会が貧困と分断という深刻な課題に直面している今、日本も例外ではありません。世界の中でもいち早く労働力人口が減少していく中で、多様性やジェンダーの問題も浮き彫りになっています。それらをどのように変容させるべきか、相原氏は課題を改めて確認していきました。

行動変容するために

相原氏は「主要国の中でも、日本は若者世代の投票率が著しく低い。」と語られました。 政治は高齢者向けのものという「シルバー民主主義」と呼ばれ、投票率の高い高齢者に向けたものになります。しかし、相原氏は若者たちへの期待も忘れません。「皆さんこそが、未来を創造する力を持っているのです。政治に参加し、声を上げることによって、より良い社会を実現することができるのです。」

未来は不確実ですが、未来を形作るのは私たち自身の行動です。「私たち一人一人が、どのような行動を選択するかによって、社会全体の利益に貢献できるのです。」 相原氏は、若者たちが主体的に社会と関わり、未来を担っていくことを強く訴えます。

深澤教授の話

相原様には、毎年本学にお越しいただいていますが。本年からは4回シリーズの講座を企画いただき、本日から連合の方にご講演をいただきます。
トップバッターの相原様からは、労働組合の役割のみならず、高い視座広い視点から世の中を見つめることの大切さを教えていただいています。
激動の21世紀を生きる大学生の今後のキャリア形成に重要になると考えます。
今年も、大変に貴重なお話しをいただきありがとうございました。心から感謝申し上げます。

2024年7月18日

ハピネスの循環で世界一のホスピタリティを!「女性とキャリア形成」の授業で株式会社オリエンタルランドの元執行役員をお迎えし講演が行われました。 

6月6日に大学共通教育科目「女性とキャリア形成」(担当:文学部国文学科 深澤晶久教授)で株式会社オリエンタルランド(以下、オリエンタルランド)の元執行役員の永嶋悦子氏が講演を行いました。夢の世界を運営するスタッフのホスピタリティの高さはどう養われているのか、その秘訣は「ハピネスの循環」にあると語ってくださいました。

開園当初はキャストとして活躍

この日はまさに東京ディズニーシーの新エリア「ファンタジースプリングス」のオープン当日。記念すべき日に講演いただくことになりました。永嶋氏は1982年にオリエンタルランドに入社。
最初はアトラクションのキャスト(スタッフ)としてコスチュームを着て活躍し、その後役員になりました。

開園当初の日本はまだコンビニエンスストアが出てきたばかりの時代。
ディズニーランドも遊園地という認識が強く、飲食物を持ち込むゲスト(来園者)も多かったと言います。
「今では考えられないですが、アトラクションにバナナを持ち込んで食べてる方もいたくらい、当時の日本人もマナーは悪かったんですよ」と話し、笑顔どころか、眉間にしわを寄せてゲストに飲食物の注意をしては謝っていたと、笑いを交えて話されました。

ハピネスを届けるためにはコミュニケーションが大事

開園当初からどのようにディズニーランドが成長していったかを語られる中で、キャストのホスピタリティが上がっていったことが大きいと永嶋氏は話します。
世界に6つあるディズニーリゾートのなかで一番のホスピタリティ高さと言われるようになり、本場アメリカからも視察にくるように。
「ホスピタリティとは人間力のことだと私は思います」と永嶋氏は語りました。

「キャストが目指すべきゴール、それはゲストにハピネスをお届けすることです」と永嶋氏。
「驚かれるかもしれませんが、キャストには接客マニュアルがないんです」と話します。
キャストが心掛けていることはあいさつだと言い、「ゲストと会話をするために、まずあいさつするんです」と話します。いかにゲストとコミュニケーションを取るか、どうやってゲストを喜ばせるかをそれぞれのキャストが考えて行動します。
今では有名になった水たまりや落ち葉でディズニーキャラクターを描く「カストーディアルアート」もキャスト発案です。

永嶋氏は印象的な出来事として東日本大震災のことを話されました。
約1か月パークが閉園している間に、どのようにゲストとコミュニケーションを取るか、どうサプライズを提供するか定期的に集まってディスカッションを繰り返したと語りました。

インクルージョンを広めていくために

永嶋氏は「接客のためのマニュアルはないですが行動基準がある」と話します。
安全・礼儀正しさ・ショー・効率、の4つの基準がこれまでありましたが、「そのなかに最近インクルージョン(多様性)が入りました」と紹介しました。

しかし、オリエンタルランドも昔は男社会で、ジェンダー問題への理解も十分ではなかったという永嶋氏が役員時代、キャストのリーダー育成プログラムに手を挙げたキャストに性別違和をカミングアウトされた人がいたのですが、広報の男性役員からその人をリーダーから落とすよう指示があったと語りました。
永嶋氏はこの決定に反対し猛抗議しましたが、結局その人は落選。
翌年再度プログラムを受け、ようやく合格されました。
「ディズニーは進歩的だとイメージされていましたが、内部の状況は大きく遅れていた」と、永嶋氏は当時の苦い経験を話されました。

キャスト同士でお互いを高め合う

キャストのホスピタリティの高さの秘訣は「キャストのコミュニケーション活動」にあると永嶋氏は言います。
開園前に各アトラクション対抗のカヌーレースを行ったり、年に一度のサンクスデーで役員たちがキャストをもてなしたり。
永嶋氏が「一番効果がある報奨活動」と言うのは、キャスト同士で褒めてたたえ合うスピリットオブ東京ディズニーリゾートの取組です。
お互いにサンクスカードを送り、カードの一番多いキャストは大々的に表彰されます。

なぜそこまでキャストをねぎらうのかと言えば、「キャストに、実際に感情を持ってハピネスを体感してもらい、同じようにゲストにハピネスをお届けしてほしいからです」と永嶋氏は話しました。
ハピネスをもらったキャストはパフォーマンスが向上し、その分ゲストにさらにハピネスを提供できる、という「ハピネスの循環」が行われるのです。
「ぜひパークに遊びにきてください」と永嶋氏は講演を締めくくりました。

管理職の試験を受けたときの気持ちは?

講演後には質疑応答が行われました。
はじめに「男社会のなかで、なぜ管理職の試験を受けたのですか」という質問がありました。
永嶋氏は「差別というよりは、女性は弱いものだから守ってあげようという考えが当時はありました」と話しました。
初めて管理職の試験を受けたとき、永嶋氏は落ちてしまったのですが、自分よりもあまり仕事ができない男性が合格したのを見て「自分より仕事ができない人が上司になることが許せなかった」と笑いを交えて答えました。
また、「今までできなかった仕事にチャレンジできることは面白いことです」と管理職にチャレンジした気持ちも語りました。

「永嶋さんが思うインクルージョンを向上させるコツや考えを教えてください」という質問には、「いろんな身分、年齢の方が働けるということ。
これから定年という考えもなくなってくると思います。そういうこともひとつのインクルージョン」と回答されました。
「オリエンタルランドで働いたことで得た財産は?」という質問には「人。さまざまなつながりになったり、長い付き合いになったり、助けられています」と答えられました。

ディズニーリゾートに通底するホスピタリティの高さの秘訣に触れ、学生たちにも刺激になった講演でした。

担当教員からのメッセージ

永嶋様と初めてお会いしてから、もう20年以上になります。
いつもアグレッシブな永嶋様から色々なことを学ばせていただいています。
とりわけ確固たる信念をお持ちになり、メンバー一人ひとりのことに気を配りながら、先頭に立って組織を牽引されるリーダーシップについては、私の目標でもありました。
今回も、テーマパークのオープン当時のこと、管理職としてのご苦労など、
学生にとっては、極めて貴重な時間になったと思います。
この場を借りて、改めて感謝申し上げます。

2024年4月3日

障がいのある方たちが活躍するには?「福祉社会学」の授業でアイエスエフネット社長によるダイバーイン雇用についての講演が行われました。

11月9日に「福祉社会学」(担当:人間社会学科 山根純佳教授)の授業で、株式会社アイエスエフネット(以下、アイエスエフネット)代表取締役の渡邉幸義氏による「ダイバーイン雇用」についての特別講義が行われました。多様化する社会において、すべての人が働けるとはどういうことか、実際の取組紹介などを通して学ぶ貴重な機会となりました。

20歳の時に起業を決意

アイエスエフネットは2000年に創設。
クラウドサービスやネットワークを整備するITインフラ企業です。渡邉氏は「20歳のときに2000年に起業するぞと決めました」と言います。そこから逆算して計画を立て、宣言通りに起業したのです。
「自分は何もできないと考えている人がいるかもしれませんが、一歩踏み出さないと何も起こりません」と行動することの大切さを、まず学生たちに伝えました。

渡邉氏は「『タイパ(タイムパフォーマンス)』と言う言葉が流行っていますが、考えていただきたい言葉です」と言います。
なぜなら、時間で管理していると効率が優先されてしまうのでダイバーイン雇用の推進が進まないのではないか、と講演が始まりました。

マイノリティは本当に少ない?

日本の障がい者の割合は7.6%。およそ15人に1人が何らかの障がいを有している計算です。
そして「その障がい者には親や家族がいます」と渡邉氏。
単純計算で全人口の5人に1人は障がいと共に生活している人たちなのです。
またセクシュアリティマイノリティを意味する「LGBTQIA」の当事者層は9.7%。ここ数年でセクシュアリティマイノリティの存在は急速に認知されていますが、企業では依然男性・女性の考えしかなく、知らずに相手を傷つけてしまうことも多くあります。

こういったマイノリティの人々と共に働くというひとつの形が、アイエスエフネットでの「ダイバーイン雇用」です。
ダイバーインとは、多様性を意味するダイバーシティと、受け入れるという意味のインクルージョンを掛け合わせた造語とのこと。多様な個性を受け入れることを目指した言葉です。

なぜダイバーイン雇用をするの?

ダイバーイン雇用を始めたきっかけは、会社を立ち上げたときに「無知識・未経験者の採用から始めたこと」と言います。
IT知識がなくても応募できるため、多くの応募があり人柄で選ぶことが出来たと話します。
しかし、採用した社員が決まった時間通りに出勤をしなかったり、勤務中にずっと寝ていたり…人柄は真面目で良い人ばかりなのに何故だろう、と渡邉氏は不思議に思い、根気強くヒアリングをしたり病院に通うよう促したそうです。
すると問題行動のあった人たちの9割に病気など何らかの原因が判明したと言います。
その人自身の意識の問題ではなかったのです。

障がいのある人たちに配慮し、働きやすい環境を整えることは簡単ではありません。
しかし「そういった方々は環境を整えたら、上手くパフォーマンスを発揮することができる」と渡邉氏は言います。
「人材」から「人財」へ変わったのです。
現在では、場合によっては専門医師と協力し、原因を突き止める体制が取られていることを紹介されました。

さらにアイエスエフネットでは、多くの女性社員も活躍しており幹部クラスもたくさんいます。
女性は、家庭と仕事の両立が難しく、出産や介護などのライフイベントにより仕事を辞めパートになる方が多いです。
「(学生たちに)就活をするにあたって、育休制度などは必ず確認してください」と渡邉氏は言います。
一定の基準を満たした子育てサポートに取り組んでいる企業に対して、国が認定した「くるみん」マークがあるかなどを調べたり、採用担当の人事に聞いてみるのもよいとコツを伝えました。「給料の良い企業に入社しても、辞めてしまっては意味がない」と生涯年収を考えることの大切さを伝えました。

渡邉氏は「根気強く傾聴し相手を知れば、どんな方でも問題なく仕事ができます」と力強く言い、「皆さんがこれから社会人として経験される中で、マイノリティとマジョリティという壁を取っ払って色んな方に目を向けていくことが大事です」と学生たちに語り掛けました。

学生たちによる質疑応答

講演後には、質疑応答の時間があり、学生たちから手が挙がりました。
「会社の施設で合理的配慮をしている例を教えてください」という問いには、渡邉氏が「群馬県沼津市では身体障害者用の車を3台購入し、トイレをバリアフリーにしました。東京では配慮されているところも多いですが、地方ではまだであることが多いです」と回答されました。
マイノリティとマジョリティ、障がいがある方との付き合い方など学生たちにも気付きの多い講演となりました。

2023年12月4日

なんとなく就職しないために!「グローバルキャリアデザイン」の授業で資生堂人事担当者による自分自身を考える講演が行われました。

10月27日に、3年生対象の共通教育科目「グローバルキャリアデザイン」(担当:文学部国文学科 深澤晶久教授)の授業で、株式会社資生堂(以下、資生堂)の真名垣喬氏による講演が行われました。アグレッシブにキャリアを積み重ねている真名垣氏のお話は、学生たちにとって「自分」について考えるまたとない機会となりました。

自分自身について考える

はじめに「今日は私の話を聞く時間ではありません」と、真名垣氏。
「皆さんが自分自身について考えられる、メリットのある時間にしたいと思います。話を聞いて終わりでなく、自分でどう活かすか行動するかが大事です。」と語り、講演を始められました。

まず真名垣氏は「皆さんは卒業後何をしますか?」と問いかけました。
就職の他にも留学など様々な道があります。「その道は、自分自身で選んでいますか」と、さらに重ねて問います。
「なぜ就職するのですか?」。周りが就職するからと自分もなんとなく就活しようとしていないか、確認しました。どうして就職したいのか、自分にとってどんな意味があるのかを考え、自分自身の言葉で語れるようにしようと促します。
しかし「とはいえ私自身、皆が就職したから就職したうちの一人です」と言い、今すぐに言語化できなくても大丈夫だと語りました。

仕事に答えはない

真名垣氏は新卒で資生堂に入社。最初は名古屋で営業の仕事を経験しました。
その後人事部に移ります。人事部では若い社員を育成し仕事を教える機会があり「彼らが成長し変化していくのが嬉しかった」と人事の面白さに目覚めます。
そこから今まで資生堂一筋…というわけではなく実は37歳のとき、人事としての専門性を深めることを目的に、高級ブランドを扱う外資系企業に転職をされています。
今までと違う環境で数年を過ごし、新しい価値観に触れ、経験の幅を広げた後「今の自分だったら以前とは違う形で楽しめるかもしれない」と考え、資生堂に再就職したと話しました。

「社会人になると何が変わるでしょう?」という真名垣氏の問いかけに、学生たちからは「環境が変わる」「自分以外のことも考えなくてはいけない」「責任」「お金がもらえる」などという回答が。
真名垣氏は頷き、社会人になると組織の一員になることや、給料をもらう以上成果を出さなくてはならないことなどを説明。また、学生の頃は答えのあるものが多くあり、卒業というゴールがありますが、仕事には答えがなく常に成長し続けなくてはなりません。
そのため「自分がどう考えてどう行動するかが大事になります」と話しました。

企業が出している情報の見方は?

「皆さんはどんな仕事がしたいですか」と再度問いかけ、企業を選ぶヒントを伝えていきました。
まずは企業が行っているビジネスや業界に興味があるか。そして企業が出しているステートメントに共感できるか。
「掲げている宣言は企業が目指している方向や大事にしている価値観なので、そこに共感できなければ働いていて違和感を覚えてしまうと思います」と、企業理念を確認することの大事さを伝えました。

次は「数字」です。
企業はさまざまな数字を公表していますが「その数字を良いと思うか悪いと思うかは、見る人の価値観によります」と真名垣氏。
例えば資生堂は1872年創業ですが、長く続いている企業で安心と思うか、古い体制かもと不安になるかはその人次第。数字を自分なりの価値観で解釈することが大事だと話しました。

人生の時間をどう使う?

では就職先は何を基準に選択するのが良いでしょうか。
「場所」「やりがい」「休みの取りやすさ」などが学生たちから挙がりました。「繰り返しになりますが、こうでなくてはならないという正解はないので、皆さんがどう考えるかです」と真名垣氏。
すぐに答えを出さなくてもいいと強調します。「ただ、ぜひ考える努力をしていただき、アップデートをしていって欲しいなと思います」と語りました。

その際おすすめの方法として、いきなり何をやりたいかを考えるよりも「なぜやりたいか、何を大切にしているのか(Why)」を考えることを紹介。
「就活の面接では、何が出来るかより、どんな価値観でどんな考えを持っている人かを見ています」と話し、「社会人になると多くの時間を仕事に費やします。自分の人生の時間をどのように過ごしていきたいか、それを実現するための手段としてどのようなことをしたいのかを考えていこう」と促しました。

いろんなことを吸収して軸を作っていこう

学生たちはグループで感想を話し合い、最後に質疑応答の時間が持たれました。
「自分の軸を見つけた背景やきっかけは何ですか」という質問に、真名垣氏は「就活のときには全然なかったです」と答え、「沢山勉強をして、いろんな人に会い人生経験を聞いて価値観を作っていきました。
最初は完全オリジナルじゃなくてもいい」と吸収していくうちに自分の軸が出来ていくとアドバイスしました。

学生たちは企業選びの考え方や、自分のやりたいことに関して向き合うきっかけになった講演でした。

担当教員からのメッセージ

真名垣さんと一緒に資生堂の新入社員研修を担当していた頃から15年が経過したことになります。しかし、真名垣さんのアグレッシブなスタイルは、全く色褪せることはありません。むしろ、彼らしさに磨きがかかっていると感じるほどでした。仕事にもプライベートにも全力投球、こうした先輩たちが企業で活躍することで、きっと会社は変わっていくのだということを学びました。この場を借りて心から感謝申し上げたいと思います。

2023年11月27日

自己紹介は3秒で!「自己表現法」の授業でアパホテル専務による自己アピールの大切さの講演が行われました。

10月25日に「自己表現法」(担当:日本語コミュニケーション学科 髙瀬真理子教授)の授業で、アパホテル株式会社(以下、アパホテル)の代表取締役専務である元谷拓氏による特別講演が行われました。印象に残る自己紹介の仕方や、自己ブランディングの大切さについて語られ、学生たちは楽しく自己表現の大切さについて知る講演となりました。

アパホテルって知ってる?

元谷氏は「皆さんが就職活動やアルバイトの面接など、人と会う中でチャンスを増やせるような話ができればと思っています」と始められました。

元谷氏はアパホテルの創業者と社長の次男であり、現在は専務として多くの企業とコラボ商品を生み出しヒットさせています。元谷氏は学生たちに「アパホテルって聞いたことがありますか」と問いかけます。
学生の多くは利用したことはなくとも知っている名前。
ホテルは予約をする時に、まず検索エンジンで地名と共に検索されます。「そのとき表示されても、聞いたことがないホテルだと怪しいと思われて選択肢に入らないんです」と話し、名前を覚えてもらうことの大切さを伝えました。  

元谷氏の仕事の功績として特に大きなものがホテルにあるプールの底に、企業や商品のロゴを大々的に描くなどを行うネーミングライツ事業です。
ポカリスエットやコカコーラ、タリーズなどの大企業や、味ぽんやバスロマンなど一風変わった商品ともコラボ。
それによりホテルの宿泊者がSNSに写真を上げ、その投稿により話題にしてくれるようになります。ネットニュースに取り上げられさらに広がっていくことも。

宣伝ということに触れ、「皆さんも自分をブランディングしていくというのが大事だと思います」と話しました。

コロナ禍にもめげない

コロナ禍では旅行・観光業界は大きな打撃を受けました。
ホテル業界も同じく大変な状況でしたが、その中でアパホテルは国の依頼を受け、新型コロナウイルス感染者(軽症者)を受け入れる「ホテル療養」の場所として全面協力しました。業界大手のアパホテルが協力したことで、その後他社ホテルもホテル療養に協力する流れができていったのです。

アパホテルは女性の応募が多いことも特徴。
女性社員が多く活躍しています。ホテルの仕事の主業務は接客です。
ただ、その他にも売上や予約の管理、清掃などのほか、フランチャイズ事業やIT、グローバル事業など様々な仕事があります。特にDX(デジタルトランスフォーメーション)には力を入れていて、アプリでワンステップ予約やチェックインができるシステムを構築しています。
 アパホテルで大切にしているのは「TIME IS LIFE」。
お客様の大事な時間をいただいているという考えの元、貴重な時間にやすらぎを与えることを理念としています。

自分の強みを知り工夫しよう

元谷氏は活躍し続ける人の特徴を3つにまとめました。
 1つ目は困難があってもリカバリーが素早くできること
 2つ目は時流を読む力や情報収集能力があること
 3つ目は常に学び続ける姿勢 です。
「現状維持は衰退です」と元谷氏。好奇心を持って行動することが大切と語りました。
また、工夫とは常に「工夫ズ」という複数形であると話します。
1回の工夫は自己満足に過ぎず、「チャンスは工夫した直後にもうひと工夫するところから生まれます」と語りました。

ここで元谷氏は、学生たちに近くの席同士でその人の良い所を伝え合うワークを行わせました。
「優しい」「笑顔がいい」など言葉が飛び交います。
元谷氏は「自分の思っている自分と相手の見ている自分は違います」と話し、「自分の知らなかった自分も含めて、自分の魅力に磨きをかけておくことが大事です」と伝えました。

爪痕をのこす自己紹介とは?

「人間は生涯で2万回自己紹介をする」と話します。
多い人では10万回に上るといいます。覚えてもらうためには「自己紹介は3秒でする」ことをアドバイスしました。
キャッチフレーズなど短い言葉で印象付け、また会いたいと思ってもらえることが大事だと話しました。「恥ずかしがっていたらもったいない。工夫して戦略的にすることでチャンスに恵まれます」と語りました。

最後に元谷氏は「応援される人になりましょう」と話します。
「応援される人は実力以上にチャンスが増えます」と言い、相手から応援したくなる人物になっているかという目線で自己プレゼンをすることをアドバイスしました。
そして「皆さんのこれからを応援しています」と講演を締めくくられました。

授業の最後に、元谷氏は沢山のお土産を学生たちに配ってくださいました。
面白いコラボ商品などもあり、学生たちも笑顔に。

また会いたくなる自己紹介をしよう

アパホテルに就職した本学卒業生の菅澤優花さんからも挨拶をいただき、
「今回は母校での講演に来られて良かった」と話されました。

学生たちは最後に感想を発表し、「自己紹介を3秒でというのが印象に残りました」というものや「時は命という考えが印象的で、時間はお金に変えられない貴重なものだと感じました」と話しました。

改めて自己アピールの大切さを知る機会となりました。

2023年11月24日

「実践キャリアプランニング」の授業で実践女子大学短期大学部OGのSurpass石原社長による女性のキャリアについて講演が行われました。

共通教育科目「実践キャリアプランニング」の合同授業(担当:深澤晶久教授、髙橋裕樹特任教授)で、株式会社Surpass(以下、Surpass)社長の石原亮子氏による「日本に於ける女性のキャリア形成」についての講演が行われました。自身の経験を交えて、自分を知ることの大切さやキャリアデザインについて語られました。石原氏は実践女子大学短期大学部の卒業生。社会の第一線で活躍している先輩の話を伺い、学生たちも女性のキャリアについて知る機会になりました。

実践女子大学卒業の先輩!

OGでもある石原氏は「実践女子大学の卒業生は企業でも評判がよく、しっかりキャリアを築き活躍している方が多いです」と社会に出ても実践女子大学のDNAを感じる、と話を始められました。

学生時代は勉強熱心な方ではなかったという石原氏。
しかし、社会に出てから「正解がないことに挑戦をすることが向いていた」と言います。
生命保険やベンチャー企業、複数の会社の営業の経験を経て、2008年に28歳で起業しました。

Surpassは法人相手に営業DXの支援などを行っており、女性をメインとした営業アウトソーシング会社です。
企業における女性役員・管理職の数はまだまだ日本では少ないのが現状です。そこでSurpassでは「女性活躍という言葉がなくなる日」を目指し、「女性活躍推進総研」という女性のリーダーを育成する事業も行っています。
Surpass自体も従業員の8割が女性。福利厚生に低用量ピルの支給を行うなど、女性の働きやすい環境作りに力を入れています。
そのような取り組みを行なっているため若い世代からの注目度も高く、SNS上でのアンケート「Z世代の注目企業2022」にもランクインしました。

女性が自分らしく活躍するために

学生時代は、起業するなんて夢にも思っていなかったと言う石原氏。
起業しようと思ったきっかけは、友人たちでした。友人の多くは勉強もでき性格も良い尊敬できる人物なのに、就職してから「私なんか」と自分を過小評価し、楽しそうに働いていなかったと言います。
そんな友人たちをみて、自分らしく働き活躍して自信を持って欲しいという気持ちが沸き上がり、起業をしたと語りました。

現在日本の男女間での雇用形態や収入の格差はまだまだ大きく、女性活躍にはほど遠いのが現状です。特に年収は、男女で全く同じ仕事をしていても3割違うと言われており、「社会に出るとこれが当たり前になってしまい、違和感を持つことを忘れてしまいます。これを変えるには、皆さんの視点が非常に重要になってきます」と語りかけました。

迷ったときにブレないためには?

「今は情報に溢れ、選択肢も多く、どう生きるかを決めることが難しい時代です」と石原氏。
そんな、何を基準に物事を決めればいいか迷った時に、一つの軸となる考え方を教えてくださいました。
ゴールデンサークル理論と呼ばれる考え方です。「Why(なぜ)」→「How(どうやって)」→「What(何を)」の順で物事を考えるやり方で、「何をするのか」ではなく「なぜするのか」を中心に考えます。
石原氏は「この方法を覚えていると、今後何かに迷ったときに、何のためにやるのかということに立ち返れると思います」と、ブレずに選択できるようになると話しました。

自分を知ろう

ここで、石原氏は学生たちに一つのワークを行いました。
それは「あなたの中にあるエレファントシンドロームは何ですか」というもの。エレファントシンドロームとは、自分を縛り付けている見えない鎖のこと。
「どうせできない」と諦めていることは何か、それはどんな経験が原因か、断ち切るには何をするかを書き出してみるワークです。
時間が与えられ、学生たちは真剣にシートに書き出していきました。

しっかり書けた学生もいれば、言語化することが難しかった学生も。
日本の教育では自分自身について知らずに社会に出ることが多いと言い「なぜ自分の足が止まるのか、自分がなぜ嫌だと思うのか分からないままでは他人をマネージメントしたり説得したりすることはできない。これは自分を知るためのワークです。」と語りました。

これからの時代のキャリアを考える

最後に石原氏は、未来に向けたキャリアデザインについて話されました。
そこで「事務職を希望する女性は多いですが、もう事務職はなくなる前提で考えましょう」と衝撃の発言が。AIの発展もあり事務職はすでに人が余っているため、それを見据えた職探しをするべきとアドバイスをされました。その中で「営業職はキャリアの土台になります。
営業で身に付いたコミュニケーション力、ヒアリング力、プレゼンテーション力、プランニング力や仕事の得方は、フリーランスになったりキャリアアップしたりした時にも使えるスキルです。」と話しました。

「皆さんが思っているよりも、自分に眠っている能力は本当に沢山あります」と石原氏は語りかけました。
社会に出るとやりたくない仕事も沢山ありますが、一生懸命に取り組むことで新しい自分や可能性に出会え、「それが仕事の一番の報酬ではないかなと思います。これからの皆さんのご活躍を祈念しています」と講演を締めくくられました。

担当教員からのメッセージ

キャリア教育の授業に初めてご登壇いただいた石原様、本学のOGでもあり、学生の表情はいつも以上に真剣であったと感じました。石原様のお話しにあった、「もっと自信を持って、一歩前へ踏み出して欲しい」このお言葉は、私も日々感じていることでした。実践女子大学の学生のポテンシャルは計り知れないものがあります。とにかく行動してみる、このことから必ず違う景色が見えてきて、それが大きな自信につながると思います。その意味からも、素晴らしいロールモデルである石原様のご講演をお聞き出来たことは、大変に貴重でありました。この場を借りて、石原様には心から感謝申し上げたいと思います。

2023年11月24日

大学生の今、考えよう!「グローバルキャリアデザイン」の授業でマイナビ顧問による「なぜ働くのか」を問う講演が行われました。

共通教育科目「グローバルキャリアデザイン」(担当:文学部国文学科 深澤晶久教授)の授業で、10月13日に株式会社マイナビ(以下、マイナビ)顧問の浜田憲尚氏による講演が行われました。就職活動で利用必須のサービスを提供している企業の方のお話に学生たちも興味津々です。就職活動を前にした学生たちは改めて「働くとは何か」「なぜ働くのか」を考えるきっかけとなりました。

「働く」を考えるには今しかない!

浜田氏による講演はこの授業でも恒例となってきつつありますが「学生の皆さんの前で話すことはめったにないので、毎回緊張します」と、前置きをして話し始められました。
コロナ禍も終息しつつある現在、企業の採用意欲は急激に回復しつつあります。それは新卒に限らず、中途採用やアルバイトなどすべての雇用形態に言えること。どの業界も人手不足です。
そんな中、まさに就活を目の前にした学生たちに改めて考え直してもらいたいのが「なぜ働くのか」ということ。今働かなくてはならないのか、どこで、どんな仕事をするのか。
浜田氏は「それらについて深く考えるタイミングとしては今がとてもよい」と話し、「そのタイミングを活かさない手はない」と言います。
なぜなら日本は依然として新卒一括採用が主流のため、たくさんの企業が情報を提供し就活生たちを受け入れようとしているから。改めて働くとは何かを考える講演が始まりました。

企業と人をつなぐ仕事

マイナビは1973年創業。今年で50周年を迎える人材系の広告企業です。
主にインターネットなどのメディアを通して人と企業を繋ぐ事業をメインに行なっています。就活生はもちろん、アルバイトや転職、アスリートなどさまざまな人材と企業とのマッチングを行なっています。
マイナビの企業理念は「一人ひとりの可能性と向き合い、未来が見える世界をつくる」。ユーザーの人生に寄り添い、日常生活のあらゆる場面で使ってもらい、それによって前向きに人生が進んでいけるように支援することが目的です。

現在は海外展開事業のサポートを行なっている浜田氏ですが、なんと就職活動をせずにマイナビに入社したと言います。
面接の時間を間違えて行った会場で、当時の人事部長に声を掛けられ、とんとん拍子で最終面接まで進みそのまま入社されたそうです。そのため最初は「アルバイト感覚だった」と話します。
ただ「会社は楽しく、仕事も向いていると感じ打ち込めた」ため、こんなに長く勤められたと言います。この経験から、浜田氏は「深刻に考えすぎないこと」をアドバイスしました。
「一生懸命就活しても、一生勤められる企業かは分かりません。入ってからが勝負です。自分に合わないと感じたら、あるいはさらに新しいビジネスに挑戦したいと思ったら転職も考えていい」。
希望する企業が見つからないからと言って悩みすぎないようにと語りました。

たくさんの情報から何を目的に働くかを考える

就職活動を目前にした学生たちは不安も多いもの。ただ、ここで浜田氏はひとつのアンケート結果を見せました。
2023年8月に現4年生に行った「就職活動を漢字一文字で表すと?」の結果は、1位が「楽」。夢や将来が広がると前向きにとらえている学生も多いのです。
ただ2位は「苦」。「苦労したからこそ頑張れるという面もあります」と浜田氏。
「就職先を見つけることが目的になってはいけない。親や周りに言われたからと流されてしまわずに、自分の判断で見つけることも大事です」とアドバイスしました。

ではベストな就職とは何か。
何がベストなのかは人によって異なります。その答えを見つけるために働く目的を考えることが重要です。
「働く目的は人それぞれでいいと思います」、しかし仕事は糧(かて)を得るための手段であることは、誰にとっても共通しています。その「糧」を得る上で自分にとって何が重要か、自分の価値観や何にやりがいを感じるかを掘り下げ、それを企業が持つ理念やビジョンと照らし合わせる中で共感できる部分があるかどうかを確かめることが就職活動の第一歩として重要だと浜田氏はお話されました。

学生にとってベスト就職を実現するために、マイナビでは自己分析をサポートする機能や、インターンシップ情報、そして求人情報を質量の面から充実させています。できるだけ多くの選択肢からベストな1社を選んで頂くために、掲載企業数やその情報の質にこだわってサービス提供をしています。
浜田氏は「マイナビをフルに活用してぜひ悔いのない就職活動就活をしてください」と講義を締めくくりました。

OGからも貴重なアドバイス

実はこの授業を受講したことがきっかけで、2名の本学卒業生がマイナビに入社しています。
この日はOGである中嶋さんと渡辺さんも駆けつけてくれました。

授業の最後には質疑応答の時間が設けられ、浜田氏や先輩たちへたくさんの質問が飛び交いました。
「長く働き続けられたのは何が要因?」という質問に、浜田氏は「自分の成長と会社の成長を重ね合わせられたのが良かった。頑張ったらきちんと報われたのも大きい」と話しました。

先輩たちにも「就職活動前の今、やるべきことを教えてください」という質問が。
渡辺さんは「普段生活の中で目にする会社は本当にほんの一部。セミナーやインターンにたくさん参加してください。私も色んな会社を見たからこそ、いろんな会社に関われるマイナビに入社しました」と回答。
「就活の軸を決めたきっかけは?」という問いには、中嶋さんは「男女差のない仕事をしてしっかり稼ぎたいと思ったので、営業職を選びました。将来は転職することも視野に入れて自分の市場価値がさらに高まる会社を見つけていこうと思った、だからこそ、今の仕事に注力したい」と回答されました。

これから就職活動を行う学生たちにとってより就職活動について身近に、深く考えられるきっかけとなる授業でした。

担当教員からのメッセージ

私が企業の人事部時代に、採用業務を全面的にサポートいただいたマイナビ様、その時に浜田様と出会ってもう20年の歳月が流れます。こうして毎年、ゲストしてお招き出来ていることに、とても大切なご縁を感じています。

就職活動、採用活動も時代とともに様々な変化があることは肌で感じています。しかしながら、毎年、この時期に浜田様のお話しをお聞きして感じること、それは、「人と人とのご縁」だと思います。一期一会を大切にすることで、きっと素晴らしい会社が見つかり、長く長くお付き合いできる方との出会いが生まれると思います。学生たちの就職活動での健闘を祈り、改めて浜田様に心から感謝申し上げたいと思います。