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2024年2月13日

地域とつながる!「プロジェクト実践演習b」の授業で学生たちが考えたイベントを無印良品の店舗で開催しました。 

「プロジェクト実践演習b」(担当:現代生活学科 須賀由紀子教授)で、12月16日に株式会社良品計画(以下、無印良品)との産学連携プロジェクト『つながる市』を学生たちが企画しました。八王子市楢原町にある大型ショッピングモール『フォルテ八王子』の無印良品店内にて、学生たち自身でプロデュースした3つのワークショップを開催しました。

地域とひとをつなげよう

無印良品フォルテ八王子店の入り口付近に3つのブースが開設されました。
学生たち全員で決めたキャッチコピー「このマチ、もっとスキになる。」をテーマに、地域と人がつながる無印良品フォルテ八王子の『つながる市』をプロデュースしたのです。
ポスターチームは、無印良品っぽさもあるシンプルかつ実践女子らしさを取り入れたカラフルなポスターを作成。
このポスターを持ちながら、店舗に来店したお客様に、ワークショップに参加してもらえるよう声掛けをします。一体どんなイベントに仕上がったのでしょうか?

遊んで作って楽しい!くらしいろはカルタ

「くらしいろはカルタ」とは、家庭科の教科書を題材とし、学生が作成した、様々な世代をつなぐオリジナルカルタです。
カルタで遊んでもらうスペースと、お客様自身に八王子の良いところを書いていただくというワークショップを行いました。

カルタを企画した学生の声
「カルタのワークショップを企画したのは、実践女子らしさをどう出そうかと考えていたときに、須賀先生からアイディアをいただいたことです。お客様に一緒にカルタを作ってもらおうと決めて進めていきました。八王子は自然が多く、東京都なのにのんびりした時間が流れている、マイペースになれる街。そこから四季をイメージしたパネルを作成しました。難しかったのは、自分たちがやりたい企画を出せばいいだけじゃないということ。また、予測と実際では違うことも学びになりました。複数のことを考えて実行する経験は今後に活かせると思います」

ふぉるむがカワイイ東京こけしづくり

八王子市の特産である「東京こけし」作りを体験できるブースも。
胴体が丸い形状が特徴の東京こけしは、小さくころんとして可愛らしいフォルムです。

東京で唯一こけしをつくっている大蔵木工所が、こけしづくりを実演し、出来立てほやほやのこけしに無印良品のカラーペンを使って色付けの体験ができます。

大蔵木工所の大蔵氏
「普段は企業の実演会や外国人向けの絵付けなどを行っています。イベントにはたびたび出ますが、大学生からの声掛けはめったにない。よく『東京こけし』を探したねという気持ち。依頼があった時はいくらでもできるよと返事しました」

親子の絆を深めるお菓子の家づくり

無印良品の商品「ヘクセンハウス」を使って、お菓子の家づくりのワークショップも展開しました。
デコレーションに使うメレンゲなどは八王子のお店のお菓子を使用。お持ち帰り用に新聞紙でエコバックづくりなども行いました。

ヘクセンハウスワークショップを企画した学生の声
「当初は地元の個人店のパン屋と連携したパンの物販を考えたのですが、物販は発注の数量や配送の方法、衛生管理など考えることや準備が多く断念し、ヘクセンハウスに八王子のお店のお菓子をデコレーションすることで八王子とつなぐ内容にしました。結果的にお客様にとても楽しんでいただけてよかったです。目の前のことだけをやっていては駄目で、先を見据えて動くことは今後に活かせると思います。大変だったけど準備も含め楽しかったです」

今後のつながる市もより良いものに

今回は様々な企業の方のご協力により実現しました。
学生たちは企画立案からイベントの運営まで対応し、実地でマーケティングを学んだ貴重な経験となりました。

無印良品フォルテ八王子店 加納店長
「授業は週1回のため意思疎通が難しく、タイムラグが出てしまったこともありましたがよくやってくれたと思います。無印良品の商品を使ってというような注文も特にせず、自由にやってほしいと伝えていました。つながる市としての目的はバッチリ達成していると思います。東京こけしなどは学生たちも知らなかったと聞いて、今回一から八王子について調べてくれた外からの目線だからこその発見だったのかもしれないと感じました。今後ともなにか連携していければと思っています」

コーディネーター 長谷川氏
「学生がやりたいこととお店が求めること、そして来店するお客様が求めることの中から合致するものを見つけることが難しかった印象です。しかし、実践女子ならではのものができたと思いました。お菓子の家づくりは無印良品単体でもやっているワークショップですが、エコバッグづくりや八王子のお店のお菓子を取り入れるなどのアイディアで、コラボした意義が出たと感じています。都会にはなかなか民芸品が少ない中で、東京こけしを見つけたのもすごい。カルタもまさに実践女子らしい仕上がりになったと思っています。今後にも活かせるコラボになりました」

須賀先生からのメッセージ

企業の皆様は学生のやりたいことを好意的に受け止めてくださいました。学生たちも「八王子らしさ」を手探りで探しながら、企業側にもメリットのあるものを模索し、ブースに使う机や絵付けのペンなど無印良品のものを利用することを考案しました。暮らしに密着している無印良品の郊外型店舗でのイベント運営ということで、学生たちも意欲高く取り組むことができました。自分たちが企画したイベントを実際に店舗で運営させていただく経験は、意思疎通をしっかり行い、段取りをつけて進めることの大切さを学ぶ機会となったと思います。学生の思いを懐深く見守っていただいた関係者の皆様に深く感謝いたします。

2024年2月8日

土着化したイベントを考えよう!「プロジェクト実践演習b」で無印良品の店舗とのイベントコラボ授業が実現しました。

「プロジェクト実践演習b」(担当:現代生活学科 須賀由紀子教授)の授業で、10月18日に株式会社良品計画(以下、良品計画)と本学による産学連携プロジェクトが開始されました。生活雑貨を幅広く扱う「無印良品」とコラボし、地域に密着したイベントを開催します。この日は無印良品とはどういったブランドか、地域に密着するとはどういうことかを学び、イベントに向けてのアイデア出しを行いました。

無印良品とはどんなブランド?

はじめにブロックマネージャーの吉原佑亮氏から、良品計画が展開する『無印良品』について説明がありました。
無印良品の商品は、学生たちも購入したことのある身近なブランドです。食品や衣料品、雑貨にとどまらず、家具や化粧品など幅広く展開しています。
無印良品は1980に創業。
「わけあって、安い。」をキャッチコピーに低価格で良質な商品を販売しています。素材の選択、工程の点検、包装の簡素化を「3つのわけ」として創業当時から大切にしています。
1983年に東京・青山の1号店から始まり、今では世界32カ国・地域に1000店舗以上を展開し、商品アイテムも衣服や生活雑貨、食品、そして家まで取り扱っています。

2021年から企業理念を再定義し、「感じの良い暮らしと社会」の実現を目指して社会課題にも取り組んでいます。
大きな使命は2つ。
1つは日常生活の基本商品を誠実な品質と論理的視点から開発をし、未利用資源の活用や無駄のなくす取り組みなど、商いを通じて社会に貢献すること。
2つ目は無印良品の店舗がコミュニティセンターの役割を持ち、地域の皆さまと課題や価値観を共有し、共に地域課題に取り組み、地域やまちづくりに貢献を図る「土着化」です。
例えば防災についてグッズを販売するだけではなく防災を学ぶイベントを開催するなど、各店舗が中心となり行っています。
今回の連携授業としては、この「土着化」が主に関わってきます。

イベント会場は大きい郊外型店舗

ここからは無印良品フォルテ八王子店の店長加納聖人氏から、店舗について紹介がありました。
今回学生たちが実際にイベントを行う店舗です。フォルテ八王子店は2023年6月にオープンしたばかりの新しい店。
売り場面積は600坪もある郊外型店舗です。
2030年までに、地域に土着化し「買い物の場だけでなく、人々の暮らしの場」となることを目標の1つに掲げています。

客層の傾向は、平日はご年配の方や主婦層、土日はファミリー層が多いとのこと。
全体平均でも男女ともに50歳以上のシニア層の割合が高い店舗です。
店舗は八王子駅からバスや車で20分ほどかかるため、立地的には「わざわざ行くところ」。つまりわざわざ行きたくなるお店にならなくてはいけません。
「まだまだ課題はありますが、まずは一人一人のお客様から信頼されるように頑張っています」と話されました。

土着化した店舗を目指して

続いて今回のコーディネーターを務める長谷川浩史氏が「土着化」について話されました。
長谷川氏は良品計画とともに「MUJIキャラバン」という土着化につながるプロジェクトで、日本一周の旅を果たした人物。各地の暮らしの中で自然と生まれたものづくりや食文化、取り組みを見つけ、現代の生活習慣に合わせて改良されているものを紹介してきました。
土着化とは「地域住民の方同士が交流しつながるプラットフォームとなることを目指し、地域課題を解決するきっかけを与えられる店舗であること」と言います。

土着化の一環として、店舗ではイベントワークショップも数多く実施してきました。
そのうちの1つが「つながる市」。今回、本学の学生たちが参加するイベントです。
つながる市とは全国の大型店を中心に不定期に開催している、地域の方々と一緒に作り運営するマーケットです。これまでのつながる市では、その地域の大学の学生が育てた野菜の販売や、小物作家による雑貨作成のワークショップなど、それぞれの特色を生かしたものが様々行われてきました。吉原氏も「イベントの内容も何が良い何がダメ、という定義は一切なく、地域の役に立つところに関わっていけたらと思っています」と話されました。

早速アイデア出し!どんなイベントにしよう?

学生たちは班に分かれアイディア出しを始めました。
模造紙を広げ、ポストイットにアイデアを書き貼り付けていきます。
「季節に合わせて考えよう」とクリスマスのオーナメント作りのワークショップ案が出たり、「八王子市の有名な店舗はどこがあるかな」と検索をしたり。「豊田ビールは?」という意見には「いい案だけど、車で来る人が多いし…」と懸念点も出ていました。
他にもターゲット層はどうするか、実践女子大学ならではのモノは何かあるか、価格帯は?など様々な意見が飛び交いました。八王子市にあまり縁がない学生はなかなかペンが進まず「まずは八王子市について知るところから」と検索し、アイディアのきっかけがないかを探し、吉原氏たちも各班を回ってアドバイスを下さいました。

時間はあっという間に過ぎ、授業の最後にどんな方向で進めていくか、各班から出た案を報告しました。
八王子発祥の東京こけしの絵付けワークショップを考えた班や、地元の有名パン屋とのコラボ、八王子付近の牧場で採れた牛乳でバター作りなどの案も。
イベントは12月16日(土)の開催予定です。学生たちはこれからイベントに向けてさらに案を練っていきます。

2023年3月17日

産学プロジェクトで、ルミネの「リアルとデジタルの融合を提案する」プレゼンがオンラインで行われました。

2023年3月23日付 繊研新聞 掲載
問題解決型産学プロジェクト Z世代に響くルミネの新サービス提案
※画像をクリックすると拡大します。

本学と大妻女子大学、跡見学園女子大学、女子美術大学の4校が、ルミネと行った問題解決型産学プロジェクトの最終報告会について繊研新聞で紹介されました。

繊研新聞社WEBサイトリンクhttps://senken.co.jp/

 2月7日(火)、産学プロジェクト「LUMINE×AOJJ」の学生たちによるプレゼンが行われました(オンライン)。実践女子大学・跡見学園女子大学・大妻女子大学・女子美術大学の4女子大共同のプロジェクトで、実践女子大学からは大川知子教授(生活科学部 生活環境学科)のゼミ生10名が参加。大学間を越えたチームを作り、ルミネから提示された課題解決に臨みました。

4か月のプロジェクト集大成!4女子大の学生が交流

 プロジェクトは昨年10月から開始。各大学の参加学生は全員3年生で、計41人。6チームに分かれ、主にオンライン会議で話し合いを重ねてきました。ルミネからの課題は「リアルとデジタルを融合したデジタルの新しい形」。最終報告会のこの日は、ルミネの重森淳一氏(常務取締役営業本部長)や渡名喜暁子氏(OMO推進部)をはじめ10名が参加くださり、各発表後には質疑応答も行われました。

「消費者」から「発信者」へ

 最初のチーム「premiere」はルミネの利用者が購入だけでなく、発信者になれるSNSのようなアプリを提案しました。目的はSNSに親しんでいるZ世代に「ルミネを憧れの店」にしてもらうこと。購買体験を発信し、見た人が店に行きたくなるものを目指します。ギフト機能やほしいものリストなども作り、友人や推しに匿名でプレゼントを贈ることも可能です。
 発表後の質疑応答では「仕組みがしっかり設定されていた」との感想が。「Z世代に憧れにしてもらうためのポイントはどこ?」という質問には、「インフルエンサーなどに発信してもらうことで、Z世代に訴求する」と説明。

コーディネートはルミネで

 次のチーム「twinkle」もコーディネートアプリを立ち上げることを提案。「フレンチレストランでデート」「原宿でショッピング」など様々なシチュエーションを設定し、それぞれに合ったコーディネートを、ルミネのショップ店員がセレクト。ルミネの通販アプリと連動し、気に入った商品はそのまま購入もできるようにします。また、パーソナルカラー診断や骨格診断なども行え、自分に似合うルックを探せる仕組みです。
 質疑応答で「コーディネートに使えるSNSは他にもあるが、使ってもらうには?」という質問に、学生は「気温別、TPO別のコーディネートが検索できるのがポイント」と回答し、ルミネの方も納得されていました。

ルミネのメタバース空間を作ろう

 次の「チームワンピース」は、メタバース空間を利用したサービスを提案。デジタル空間上のルミネを、自分好みのかわいいアバターで回れる仕組みです。メタバース上の店舗で気に入った商品はワンタップで通販サイトに飛べるほか、実店舗のルミネの様子もリアルタイムで配信。実店舗に行ってみたいと思わせ、店舗に行き慣れないひとも安心して足を運べる工夫です。若者だけでなく地方の人にもルミネを体験してもらえるデジタル利用法です。
 発表後は「メタバースを実際に利用して検討しているのが素晴らしい」と感想がありました。

リアルとのつながり「ルミネコレクション」

 「火11」チームは、店員とお客様の関わりを大切にしているルミネの強みを生かした企画を提案しました。ルミネのショップ店員がコーディネートを紹介する3分程度の動画投稿アプリで、店員一人ひとりに投稿してもらうことで、店員に会いに行きたいと思わせる工夫です。また半年に1回、ルミネ内で「ルミネコレクション」を開催。人気店員による東京ガールズコレクションのようなイベントで、リアルの店舗に来たくなるように促します。
 発表後には社員の方から「ルミネコレクション、楽しそう。ショップ店員のおすすめ力の強みが出ている」と感嘆の声がありました。

Z世代に寄り添った参加型サービス

 次の「推し活盛り上げ隊」もフェスの開催を提案。年に1回人気イラストレーターとアパレルブランドがコラボをかけた投票をして、自分の好きなイラストレーターやブランドを応援できるシステムです。アプリは店内でも使えるようにし、タグをスキャンすることで店員を介さずに口コミやコーディネートを見られるものを提案しました。アプリ利用でクーポンの配布やイベントの投票もできるようにします。
 発表後は「推し活という発想がおもしろく、年間スケジュール感も分かりやすかった」と感想をいただきました。

ルミネセレクト!ポップアップショップ

 最後の「fortuna」は、リアルの雰囲気に合わせたデジタルサイトの開設を提案しました。ルミネはいろんなブランドが集結しているのが魅力とし、さまざまなブランドを合わせた「ルミネセレクト」のポップアップショップを作る案を出しました。実店舗にも同じショップを出し、リアルとデジタルのギャップをなくす工夫です。季節ごとのコーディネートに合わせたコレクションを提示し、デジタルでの通販だけでなく実店舗に来てもらえるようにします。
 感想では「リアルなルミネのポップアップに着目とデジタルの融合のアイデアがいい」と仰っていました。

学生も成長できたプレゼンテーション

 すべての発表後に、重森氏から総評をいただきました。「オンラインのやりとりでチーム内のコミュニケーションも難しかったと思いますが、ここまでルミネについて考えていただけるとは」と語り、「ルミネの通販システムとアプリの連携の改善余地は、皆さんのおっしゃる通り」と学生の指摘も受け止められていました。「参考になる点がたくさんありました。今後ルミネも改善していく中で、皆さんからの案があるかもしれません。引き続きルミネを見続けてください」と学生たちへの頑張りを賞賛されました。

 各大学の教授たちからも最後に学生へ言葉があり、大川教授は「今回の経験を大いに糧にしていただきたい」と学生たちへエールを送りました。

参加学生の声

 「初めて他大学の人と協力しましたが、グループの雰囲気づくりや人間関係を築きながら企画を進め、他の人の意見も聞き取り入れることで、より良い案が生まれるというのを実感できました。コロナの影響で、大学内の友人すら、あまり作れませんでしたが、今回、他大学の友人ができたことも嬉しかったです」

 「自分の意見に根拠をつけて、明確なものとして提案する能力が身に付きました。もともと自分の意見を伝えることは得意でしたが、得意で、声が大きいからこそ、周りの賛同でまかり通っていたのだと、気付くことができました。周りも自主的になると、自分の発言は根拠がないと埋もれるため、根拠まで言葉で表すようにする癖が付きました」

 「調査とは、ある程度ではなく、徹底的に行い、深く掘り下げることが重要であることを学びました。また、自分では考えつかないアイディアを提案してくれる仲間がいることで、考えの幅が広がることを実感しました。自分と他人のアイディアを融合することで、新しいアイディアが生み出されたときが嬉しく、毎週内容がブラッシュアップされていくことに対して、やりがいを感じるプロジェクトでした」

 「協調性やチームワークの大切さを、改めて知ることが出来ました。話が煮詰まってしまった時、その案を諦めるのではなく、ブラッシュアップすることで達成感を得られました。達成感を得られたのも、チームのみんなが諦めない心で臨んでくれたからだと思っています」

大川先生の話

 2013年の着任時、ルミネ立川店とのお取り組みからスタートしたこの産学プロジェクトは、今年度で一旦終止符を打ちます。最後の5年間は女子大連携プロジェクトに発展し、素晴らしい先生方のご尽力により、年々精度の上がる内容になりました。これは、一研究室の一教員だけでは到底できなかったことです。  
 ドキドキの課題提示に始まり、いざスタートとなると、学生たちも真剣に取り組み、時にチームの意見の食い違いやフリーライドの問題もありましたが、そういった苦難を乗り越え、最終発表まで力を合わせて取り組んだ経験は、何にも代えがたい貴重なものでした。
 ルミネの皆様も、相手が学生だからと手加減せず、真摯に向かい合って下さったこと、学生たちの成長の一助に力をお貸し下さったことに、大変感謝をしております。10年に亘り、本プロジェクトに関わって下さった全ての皆様に、心から感謝申し上げます。

2023年1月10日

桃谷順天館との産学連携授業で学生が新商品を提案!

 11月16日(水)、人間社会学部現代社会学科の井上綾野准教授による3年生ゼミ「演習ⅢB」にて、化粧品メーカーの桃谷順天館との産学連携課題のプレゼンテーションが行われました。当日は、桃谷順天館のグループ会社である明色化粧品営業部マネージャーの井上昴氏が本学に来校。桃谷順天館人事部シニアマネージャーの大江崇氏ともオンラインで結び、「演習ⅢB」の3年生と「演習ⅣB」の4年生の混合チーム5組が明色化粧品の新商品を提案しました。

課題は「業績アップにつながるような売れる新商品の提案」

今回の課題は、桃谷順天館のグループ会社である明色化粧品の新商品を提案するというもの。
「演習ⅢB」を履修する3年生に加え、井上准教授による「演習ⅣB」を履修する4年生も加わり、学年混合でAからEまでの5チームに分かれてこの課題に挑みました。

チームはそれぞれ、販売チャネルや主力商品など明色化粧品から提供された情報をベースに、「クッション下地」「フェイスマスク」「アイブロウ・アイラインスタンプ」「ヘアオイル」「メイクキープミスト」とまったく異なる商品を考案。
店頭やSNSでのプロモーション施策も併せて発表しました。

発表後には、井上准教授と明色化粧品の井上氏、桃谷順天館の大江氏が審査を行い、優秀な発表をした1位から3位までのチームを選出。選ばれたチームのメンバーは、井上氏より賞品(明色化粧品の製品)を授与されました。

1位は、斬新なアイデアが光る「アイブロウ・アイラインスタンプ」を提案したCチーム!

1位に輝いたのは、アイブロウ・アイラインのスタンプ、その名も「ポンdeメイク」という商品を考案したCチーム。
眉やアイラインに関するメイクに悩みを抱える20代~30代の男女をターゲットに、スタンプ方式で眉とアイラインのメイクを可能にするという斬新な商品アイデアを披露し、これが高く評価されました。
実はこのCチーム、中間発表時点での評価は低かったとのこと。どんな商品なのかイメージが伝わりづらいという井上准教授からの指摘をクリアし、見事1位という結果を勝ち取りました。

2位は「メイクキープミスト」を提案したEチーム、3位は「フェイスマスク」を提案したBチーム

2位は、メイク崩れを防止する「コンパクトキープミスト」を提案したEチーム。
毛穴の悩みを抱える人が多い点に着目し、保湿ができるメイクキープミストを提案しました。外出先でのメイク直しの際に使用できるコンパクトなサイズと、持ち歩きたくなるような高級感あふれるパッケージが特徴。
プロモーションにおいては、店頭施策、SNS施策に加え、プレゼント企画も準備しました。

3位は、明色化粧品の主力商品の一つ、「美顔水」シリーズの拡大を狙う「美顔フェイスマスク」の商品化を考えたBチーム。
現在、拡大を続けているフェイスマスク市場に目を付け、「美顔水」のシリーズのラインナップの一つとして、ニキビケアに特化したフェイスマスクを加えてはどうかと提案しました。

 惜しくも3位に入らなかったチームの発表は以下の通りです。

Aチーム:
ベースメイクが面倒だと考えている女性が多いことから、短時間で手を汚さずベースメイクができる「クッション下地」を提案。

Dチーム:
美容院代節約のためにセルフカラーをする人が増えていることから、セルフカラーをする人向けの「ダメージ軽減ヘアケアオイル」を提案。

「0を1にする」提案になっていたと企業より高評価を獲得

順位の発表を終えた井上氏からは、「僭越ながら順位を付けさせていただいたが、どのチームの提案もすばらしかった。

1位に選ばせていただいたCチームの『ポンdeメイク』の発表は、特に聞いていてワクワクした。発想が斬新で、“0を1にする”提案となっていた点が良かった。

2位の『美顔フェイスマスク』は、既存商品のラインナップの延長ということもあり、イメージしやすく企画の意図が伝わりやすかった。

3位の『コンパクトキープミスト』は、価格を安く抑えることにこだわらず、徹底的に見た目の高級感やかわいさに振り切って考えたら、さらに面白い提案になったかもしれない。

どのチームも、世の中にさまざまな商品があふれる中、自分たちの悩みを出発点にして考えてくれた点を評価したい」とコメントをいただきました。

大江氏からは
「皆さんの思いを感じつつ、納得しながら発表を聞かせていただいた。今回の提案から得たヒントをブラッシュアップしていけば、今後、さらに良いプレゼンができるようになるはず。市場の動向を見ながら興味のある分野に高くアンテナを張り、皆さんのアイデアをぜひ社会に還元してほしい」
と締めくくりました。

また、今回の発表に同席していた人間社会学部現代社会学科の角本伸晃教授は、
「それぞれのチームの発表を通して、今後に応用できるさまざまなヒントを得たと思う。座学では得られないPBLならではの学びを自分のものにして、今後も柔軟な発想を育てていってほしい。これからは、斬新な考えや取り組みが評価される時代。大学では優等生になろうとせず、ぜひぶっ飛んだ挑戦を!」
と学生にエールを送りました。

なお、今回学生が提案した商品は、明色化粧品で実際に製品化される可能性があるとのこと。学生たちの夢が詰まった製品が、店頭に並ぶ日も近いかもしれません。

優秀賞を受賞された学生の皆さまへのインタビュー

●今回の提案のポイント(着眼点)についてお聞かせください。
私たちの身近な悩みから発想を得たことが1番のポイントです。
普段メイクをするときに感じていることを言語化していき、「こういうものがあったらいいのにな」という夢を膨らませて今回の提案に辿り着きました。

●提案をまとめる上で、最も大事にしたものは何かお聞かせください。
メンバー1人1人が内容を理解できているか確認しながら進めることを最も大事にしていました。
0から1をつくるにあたり、それぞれの想像するものが大きく異なっていたので、同じイメージができているかを確認しながら話し合いを進めていきました。

●プレゼン資料にまとめるにあたって、こだわったことがあればお聞かせください。
私たちの提案は、商品デザインのイメージが伝わりにくいことが難点であったため、聞き手のイメージを膨らませる資料を作る点にこだわりました。具体的には、類似商品やパッケージデザインのイメージ写真を載せたり、商品デザインを実際に絵で描き、さらに文章で詳細を補足したりすることで、聞き手に商品のイメージが伝わりやすい資料作りを心掛けました。

●今回の提案全般で苦労したことやその克服方法についてお聞かせください。
アイラインのスタンプをどのように実現させるかという点に苦労しました。中間発表では、スタンプで細いアイラインを引くのは難しいというご指摘をいただきました。そこで、インターネットから情報を集め、ヘアピンや糸ようじでアイラインを引くというアイディアを参考に、商品デザインを考え直したことで、実現可能なアイラインスタンプを提案しました。

●実際に化粧品メーカーさまの課題解決に携わってみてどのようなことを感じたか、自分たちの提案がリアルに採用される可能性についてどう感じたかお聞かせください。
課題解決に携わってみて、自分たちのアイディアを伝えることの難しさを実感しました。実際に存在しない商品をどのようにしたらわかりやすくなるのか、本当に可能なのかなど試行錯誤をして、資料に反映させました。
自分たちの提案がリアルに採用される可能性については、純粋に嬉しいです。準備段階では、うまく伝わるかなど不安が多くありました。
実際に発表を終え、疑問点をご質問をいただけたため、私たちが求める化粧品について深掘りしてくださりました。
そしてありがたいことに最優秀賞をいただき、自信になりました。

●今回の授業でどのような学びが得られたか教えてください。また、得た学びを今後どのように活かしていきたいかお聞かせください。
今回の授業で、どんな発想をしても良いということを学びました。
「突飛なことを言えるのは学生のうち」ということを角本先生からおっしゃっていただき、そのことを大切にしようと感じました。
また発表を終え、大江様に「この案を誰かに話したか」と聞かれ、自分たちの案をクラスのみんなや先生以外に発表したことがなかったので、誰かに聞いてもらい、意見をもらう大切さを学びました。
これらの学びから今の私たちにしかできない考え方や周りに頼ることなど実践していこうと思いました。

井上綾野准教授のコメント

マーケティングを学ぶ場合、「机上の空論」では意味がありません。どのように商品が生み出され、販売されているのか、マーケティングのプロセスを企業から直接教えていただけるPBLには、座学では得られない学びがあると考えています。

今回は、今年の夏のオープンキャンパスで高校生向けに実施したPBLにご協力いただいたご縁で、桃谷順天館のグループ会社である明色化粧品とのコラボレーションが実現しました。通常、PBLではプロモーション関連の課題に取り組むことが多い中、今回はマーケティングにおいて非常に重要なプロセスの一つである「商品開発」が課題。商品開発担当者とPBLで組ませていただける機会は少なく、しかも、学生の提案した商品が実際に製品化される可能性もあることから、大変貴重なチャレンジとなりました。

対象が「化粧品」ということで、技術的な限界や薬機法のような規制を踏まえながら商品を考案するのは、学生にとって簡単なことではなかったと思います。それでも、5チームそれぞれがまったく異なる商品を考えてくれました。また、SNSでのプロモーション施策についても、全チームがそれぞれ異なるインフルエンサーを起用したインフルエンサーマーケティングを提案してくれました。より購入確度が高いユーザーにリーチするには、どのインフルエンサーが適しているのか、商品の特性に合わせて判断できるとは、さすがZ世代です。

実は、今回1位を獲得したのは、中間発表時点で提案内容の完成度が最も低かったチームです。当初は、どういう商品なのか分かりづらく、データによる説得力も弱かったため、その点を指摘しました。すると彼女たちは、きちんとデザインイメージをブラッシュアップさせ、アイブロウやアイラインのメイクに関してどのような悩みを抱えている人が多いのか、市場の声を拾って提案の根拠として資料に加えてきました。その点が、高評価につながったのだと思います。企業側からは、既存の商品の拡張という枠を超えた、斬新な商品の提案ができていた点も高く評価されました。

なお、今回のPBLには、あえて「演習ⅢB」の3年生と「演習ⅣB」の4年生の混合チームで取り組んでもらいました。3年生はより提案経験豊富な4年生の姿に刺激を受け、4年生は後輩を指導することでリーダーシップを学び……と、双方にメリットがあったようです。普段交わらない他学年との交流により良い意味での化学反応が起き、学生のモチベーションアップにもつながったと考えています。

本学では、社会学や行動経済学、統計学など、さまざまな学問分野のアプローチによるPBLを数多く実施しています。学生でありながら自分たちの提案が形になるプロセスを体験できるPBLは、大変貴重な学びの場です。また、そのような体験の積み重ねは、アウトプット力を磨くことにもつながります。まずは、それぞれの学問分野の理論をきちんと学び、その知識をPBLで生かす――。PBLの実践で得た知見は、今後の就職活動でも強力な武器になるはずです。

今後も引き続き、マーケティングだけでなく、地域連携や啓発広告のPBLにも取り組んでいきます。より多くの学生が参加し、偏差値では測れないスキルを積極的に身につけていってくれたらと願っています。

2022年12月23日

桃谷順天館との産学連携授業で学生が商品のキャッチコピーをプレゼン!(11/10)

 11月10日(木)、人間社会学部現代社会学科の角本伸晃教授による1年後期授業「経済学概論」にて、化粧品メーカー桃谷順天館との産学連携課題のアイデアを発表するプレゼンテーションが行われました。当日は、桃谷順天館人事部シニアマネージャーの大江崇氏を迎え、事前の審査で選ばれた12チームが商品のキャッチコピーなどを発表。優秀な成績を収めた3チームが表彰されました。

ピーリングジェリーのキャッチコピーと、販促用ハッシュタグを考えるのが課題

 今回の課題は、桃谷順天館のグループ会社である明色化粧品から発売されているピーリングジェリー「DETクリア」の店頭POPおよびパッケージのキャッチコピーと、SNSで商品PRに用いるハッシュタグを考案するというもの。
学生たちは3~5名ほどのグループに分かれ、気温や湿度と売上の相関関係が高い商品であることも踏まえつつ、季節性、販売促進上の課題、市場環境、トレンドなどを考慮しながらアイデアをまとめました。

当日、発表を行ったのは事前に審査を通過した12チーム。100人以上の受講生が集まった大教室で、1チームあたり5分の時間制限の中、練り上げたアイデアを披露しました。

全チームの発表後には、角本教授と桃谷順天館の大江氏が審査。その結果、優秀賞2チームと最終賞1チームが選出され、受賞チームは表彰状と賞品(桃谷順天館の化粧品)が授与されました。

最優秀賞は、ぶれないターゲティングとデータを用いた説得力、音声でのプレゼン演出で評価された【Mチーム】!

最優秀賞を獲得したMチームの提案のポイントは、男性をターゲットにしたPR戦略。
店頭POP用に
「男性必見!ツルスベモテ男になれるチャンス!」、
パッケージ用に
「つるすべたまご肌も夢じゃない?! マスクで荒れた肌も速攻回復!DETクリアで角質完全オフ!」
と、2つのキャッチコピーを考案。

「#まだ使ってない?!男性必見!DETクリアで肌悩み&角質完全オフ即実感できるツルスベ肌」
と、あえて長めのハッシュタグを提案しました。
近年の男性の美容意識の高まりに目を付け、男性がスキンケアのためにどんな化粧品を使っているかをデータで提示。
説得力のある発表が高く評価されました。

また、商品のキャッチフレーズ「いつでもデート肌に。DETクリア」も合わせて作成。
そのキャッチフレーズを音声としてPowerPointのスライド資料に埋め込み、プレゼンの途中で再生するという演出を加えた点もユニークでした。

当該商品の画像をプレゼン資料に盛り込んだ【Kチーム】と、商品名をハッシュタグに盛り込み、プラスαの提案も行った【Oチームが】優秀賞を獲得

優秀賞を受賞した一つ目のチームはKチーム。毛穴の悩みに焦点を当てつつ女子大学生にターゲットを絞り、
「濡れた手で簡単!手軽につるすべ毛穴レス美肌」(店頭POP用)、
「実感!毛穴・黒ずみゼロ赤ちゃん肌」(パッケージ用)といったキャッチコピーを提案。
SNS用のハッシュタグには「#DET最強美肌」と商品名を分かりやすく盛り込んだほか、プレゼン資料の表紙には当該商品である「DETクリア」の商品画像を配置し高評価を得ました。

優秀賞を受賞したもう一つのチームであるOチームは、コロナ禍のマスク生活による肌荒れに悩む人がどのくらいいるのかデータで示しつつ、男性を含む全世代をターゲットに設定。
「マスク生活、スキンケア見直しませんか?」(店頭POP用)、
「角質オフしてマスク生活でも乾燥0へ!」(パッケージ用)という2つのキャッチコピーと、
「#簡単角質ケア」「#濡れた手でもOK」といった複数のハッシュタグを提案。さらに、商品を温泉旅館においてもらい認知度を高めるといったプラスαのアイデアも盛り込み、その点も高く評価されました。

 最優秀賞、優秀賞を除くほかの9チームの発表は以下の通りです。

【Aチーム】
10~20代をターゲットにし、これからの季節「冬」に着目して提案

【Eチーム】
当該商品購入者のボリュームゾーンの母親世代にターゲットを設定

【Hチーム】
商品の特徴を「ポロポロピーリング」いったキャッチーなワードで表現

【Jチーム】
既存のハッシュタグと当該商品オリジナルのハッシュタグの併用を提案

【Nチーム】
男性もターゲットに含め、ジェンダーニュートラルなボトルデザインも提案

【Qチーム】
金銭的理由でエステサロンに行けない若年層にコスパの良さをアピール

【Tチーム】
将来顧客として中高生をターゲットにし、印象的なハッシュタグを発案

【Vチーム】
ケアの手軽さから、急がしい人、ずぼらな人、時短を求めている人に訴求

【ACチーム】
ピーリング・ゴマージュ市場で当該商品が売上1位であることを強調

授業後のアンケートでは、9割以上が産学連携(PBL)に再び取り組みたいと回答

授業後のアンケートでは、このような産学連携(PBL)の取り組みを「またしてみたい」「少ししてみたい」と答えた学生が96%。満足度の高さがうかがえる結果となりました。

具体的には、
「実在の商品について提案をすることも、多くの人の前でプレゼンテーションをすることも初めてだったので良い経験になった」
「他チームが自分たちのチームにはない発想をしていて勉強になった」
「データやグラフ、イラストや音声を盛り込むことで、プレゼンの説得力が増すと学んだ」
「どうやって商品を改善するか、なぜその商品が売れているのかなど、企業が抱える課題に目を向けられるようになった」
「グループワークにおけるチームワークの重要性も学んだ」
「実際に企業の方と連携できる機会は大変ありがたく、将来、仕事でプレゼンする機会にもこの経験を役立てたい」
など、前向きな感想が寄せられました。

なお、学生が提案したアイデアについては、桃谷順天館の社内で実際に販促に生かすか検討いただけるとのこと。今後の展開が楽しみです。

学生コメント

私たちのチームは、女性に比べて美容への関心が低いと思われている男性をターゲットにした商品を提案しました。

苦労したのは、どのようなキャッチコピーなら目に留まるのかを男性目線で考えること。100人以上が参加している授業ということもあり、いかにほかのチームとの差別化を図るかという点も意識しました。なぜこの商品なら売れると考えたのか、その根拠をデータで示すだけでなく、商品名と韻を踏んだキャッチフレーズを音声に落とし込んでスライド資料に盛り込んだり、アピールしたい言葉を強調するために極力情報をそぎ落として、文字の色や太さといったスライドのビジュアル面にも工夫を凝らしたり。もちろん、「どのような提案をすれば桃谷順天館様の売上アップに貢献できるか」という点は最重視して考えました。

 企業の課題解決に携わるといった活動は今回が初めてでしたが、非常に新鮮な経験であったと同時に、化粧品というとても身近なテーマで取り組めたことがとても楽しかったです。また、一つの商品を売るためには統計分析に基づくマーケティングなど企業側のさまざまな努力があることや、長く愛される商品を作るためには常にブラッシュアップを重ねる必要があることも知ることができました。商品を販売する側、購入する側の双方の目線に立って考える機会にもなり、非常に貴重な学びになったと感じています。

今回の私たちの提案が、商品化に結びつく可能性もあるとうかがいました。だからこそ、企画から実際の販売へと進んでいく過程についてもぜひ知りたいと思いますし、自分が何か物を購入する際には、キャッチコピーを始めとする販売戦略にも目を向けていきたいと考えるようになりました。このPBLで得た知見を、今後のプレゼンや提案といった学修の場に生かすとともに、社会活動に参加したり、将来仕事に就いたりする上でのヒントにしていきたいです。

桃谷順天館人事部シニアマネージャー 大江崇氏のコメント

角本先生のゼミ生が当社に就職してくれたことをきっかけに、2020年度から実践女子大学との産学連携(PBL)に参加させていただいています。

今回は授業の一環ということもあり、「授業の内容を踏まえているか」「データや文献を引用して説得力のある提案をしているか」といった点を加点対象として審査させていただきました。非常に興味深いご提案ばかりで甲乙付けがたかったのですが、最優秀賞を獲得したMチームは、明確なターゲット設定により提案の趣旨が一貫している上に、キャッチコピーの面白さも抜きん出ていたと思います。

化粧品のPRにおいては、学術的な理屈だけでなく「感性」も非常に重要で、はやっていると認識した時点で既に旬が過ぎているということも多々あります。昨今のコロナ禍で、「マスクで隠れるリップ周りの商品は売れない」「マスクに隠れない目元周りの商品が売れている」といった、従来のトレンドだけでは説明できない需要の変化も起きています。だからこそ若い感性を生かしつつ、簡単には数値化できないトレンドを反映したご提案をいただき、大変満足しております。

今回、選ばれたチームはもちろん、残念ながら選外となったチームも含め、発表していただいた内容については当社の企画部門で共有したいと考えています。実際の販促物に活用させていただく場合は、あらためて皆さんにご報告させていただきます。

なお、今回発表の対象とならなかったチームも、受賞を逃したチームも素晴らしいアイデアをご提案くださいました。今後より一層感性を磨き、授業での学びと紐付けながら、それを卒論などに生かしていただければ幸いです。また、この取り組みを機に化粧品業界に興味を持っていただき、ゆくゆくは学生の皆さんの就職先の選択肢に我々の会社を加えていただければ大変光栄です。

角本伸晃教授のコメント

2020年度は3年生対象のゼミ、2021年度は2年生対象のゼミと、桃谷順天館との産学連携(PBL)に3年連続で取り組ませていただいております。今年度は1年生対象の授業「経済学概論」の一貫。需要曲線のシフト要因には、所得要因だけでなく温度や湿度と行った環境要因もあり、「DETクリア」という製品と販売実績と湿度の相関が高いことを説明した上で、キャッチコピーやハッシュタグを提案してもらいました。行動経済学の観点から、キャッチコピーにおける韻を踏むことの有効性なども指導。最優秀賞のMチームは、これらをすべて考慮した提案をしてくれました。

昨今、座学で知識を教える講義形式だけでなく、学生が能動的に学修に参加する「アクティブラーニング」を授業に取り入れるよう文部科学省も提唱しています。それを受け、本学でもさまざまな産学連携(PBL)に挑戦。座学の講義形式の授業を「アクティブラーニング0」とするなら、プレゼンやグループワーク、外部講師を招いた講演を取り入れた授業は「アクティブラーニング1.0」、企業や地域と連携してさまざまな提案をし、商品開発や地域政策に生かしてもらうのが「アクティブラーニング2.0」と捉えるならば、ゆくゆくは「アクティブラーニング3.0」を目指して取り組んでいます。とはいえ、学問としての講義内容を消化し切れないままアイデア勝負に陥ってしまっては意味がありません。学問としての経済学をしっかりと学びながら、低学年から産学連携(PBL)に取り組むことには大きな意義があると考えています。今回の取り組みについては少なくとも、「アクティブラーニング1.5」のレベルには到達していると思います。

この経験を礎に、2年次、3年次ではさらに専門性を取り入れた提案にチャレンジし、徐々に研鑽を積んでいけば、他大学の学生との競争を強いられる学外コンテストや今後の就職活動でも十分戦えるだけのスキルを身につけられるはずです。教職員側も、そのスキルを身につけられる学びの場を提供できるよう、工夫していきます。

今回のプレゼン発表に同席いただいた井上綾野先生の演習でも、桃谷順天館の商品開発の課題に取り組んでいます。また、私が担当するほかの授業では、株式会社東京サマーランドとの産学連携(PBL)なども行っています。今後は産学連携に加え地域連携のPBLにも取り組んでいきたいと考えていますので、学生の皆さんはぜひ機会があればチャレンジしてみてください。