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2023年5月18日

美学美術史学科の学生が日本紙通商(株)(日本製紙グループ)との協働プロジェクトで防水ダンボールの新商品のプレゼンを行いました。

3月23日(木)に美学美術史学科の学生たちが、日本紙通商㈱(日本製紙グループ)の皆さまの前で防水ダンボールの商品のプレゼンを行いました。3月13日に御茶ノ水にある本社にお邪魔して、アイデア出しをした中から選定しブラッシュアップを重ねました。学生たちは直前まで資料を作りなおし、新たな防水ダンボールの可能性をプレゼンしました。

防水ダンボールを子ども向け商品に

最初の発表は子どもの歯固め「もっしゃー」。歯が生えてくるむずがゆさを解消し噛む練習になるアイテムです。口のなかに入れるものなので衛生面が第一。そのため汚れたらすぐに捨てられるダンボールを使い、外出用など洗わずにすむものを提案。商品名は、学生たちが実際にかじってみた触感から名付けました。
発表後は、企業の皆さまからコメントをいただきました。「防水ダンボールそのものは口に入れられないのですが、食品用のボール紙で作ったら面白いのでは」と感想がありました。

次も子ども向けの商品の提案。「あめるんるん」は子ども用のレインコートです。キリンやウシの動物の模様が印刷されたケープ型レインコートで、動きやすく付け外しも簡単。着ぐるみ的要素もあるため、雨の日も子どもも楽しんで着られます。子どもは成長が早いためすぐサイズが合わなくなり新調する必要がありますが、ダンボールならコストも抑えられます。発表後には「思いつかなかった案で面白い。動物園とのコラボもできるかも」と着眼点に感心されていました。

3番目の「ぱずさりー」は小学生をターゲットにした知育玩具です。形をきりぬいて、ひもでつなげたりシールを貼ったり、ものづくりができるアイテムです。名前はパズルとアクセサリーの造語で、遊び終わったらパズルのようにはめ込んで片付けられるところから。実際に試作品を作ってプレゼンしました。
企業の方からは「商品化できるかも」「レベルアップしたものをつくれば大人用も作れる」などの意見も出ました。

大人の癒しに防水ダンボールを

次の発表は「カプセルトイ」という斬新な案。カプセルトイ市場は拡大しており、植物を育てるキットなども販売されていることに注目。ダンボール製カプセルがそのまま鉢になり、ハーブや雑草を育てるというものです。大きなサイズでは野菜や木の苗を育てられるものを提案しました。
発表後「似たような商品は実は既にあるが、中身をアップデートするのは良い案」とコメントをいただきました。

次の「段ルーム」は簡易サウナになるダンボールハウスです。従来品は大きく保管に場所を取り、高価なことが難点でした。防水ダンボールであれば自宅で手軽にサウナに入れ、リーズナブル。持ち運びも簡単なのでキャンプにも最適です。サウナは睡眠の質を改善するデータを提示し、市場も拡大しているとアピールしました。
コメントでは「防水ダンボールと相性がいいと思う、実現可能性が高い」「サウナに興味があるけれど迷っている人も気軽にできそう」と好感触の感想をいただきました。

「段ルーム」はもう1案あり、子ども向けの秘密基地も提案されました。子どもが自分で組み立てられ、絵を描いたり塗ったりオリジナルでデザインできます。防水ダンボールは丈夫で水にも強いので、子どもが遊んでも安全です。
コメントでは「犬小屋などもいいかも」などの意見が出ました。

既存のものを防水ダンボールで作ると?

次の発表は御茶ノ水本社でのアイデア出しのときも話題となった「棺」です。名前はダンボールに「安らぎ」を加えた「Danboarest」。最初に現在葬儀にかける費用が減少傾向にあることがデータで示されました。防水ダンボールの棺であればエコに配慮し経費も削減できます。また、棺の形をカスタマイズしたり、色やデコレーションパーツで彩ったりも可能です。親族や本人、アーティストのデザインや「推し」を全面に出した「痛棺」も提案されました。用途も人に限らず、ペットやぬいぐるみなど大切なもののお焚き上げという提案もありました。「とても興味深かったです、お焚き上げの案も面白い」とコメントもいただきました。

次は「アイシャドウパレット」。プラスチック製では落としたとき壊れやすいですが、ダンボールでは破損を防ぎます。類似品は海外製ではありましたが、パッケージがシンプル。紙パッケージのものは日本製でもあり、デザイン性や種類も豊富でした。今回はダンボールらしさを追求した、「みかん箱」や「りんご箱」を模したデザインを提案。10~20代がパケ買いしたくなる可愛らしさや面白さをプレゼンしました。「素晴らしい練り具合。コスメ会社も環境配慮に敏感のため実現性がある」と、感嘆の感想もありました。

最後は「花型絵具セット」です。筆洗器のフタにパレットをつけ、持ち運びが簡単なお絵描きセットです。旅行やアウトドアで気軽に絵を描け、思い出作りにも最適です。発表後には「複雑な形状だと水がもれないようにするのが難しいかもしれないが、紙コップなどを転用すればできるかも」といった意見がありました。

春休みの特別プロジェクト

全員の発表が終わり、最後に水田氏から講評をいただきました。「皆さん本当にお疲れさまでした。ここまで短い時間だったのに、想像以上の出来でした。我々も勉強になり刺激になりました」と学生たちの頑張りをねぎらいました。また、「せっかく良い案がたくさん出たので、今後引き続き一緒にやっていけたらと思います」と言葉もいただきました。

授業外の有志の社会連携プロジェクト。学生たちは春休みの時間を使い、アイデア出しから選定、企画を作成しました。市場調査や資料作りも限られた時間のなかで、ぎりぎりまで作成しました。プレゼンは初めての1年生もおり、実際の企業の方に見ていただき意見をいただく貴重な経験となりました。

2023年5月18日

美学美術史学科の学生が日本紙通商(株)(日本製紙グループ)との協働プロジェクトで防水ダンボールの新しいアイデアの創出を行いました。

2023年3月に美学美術史学科の下山肇教授のもと、日本紙通商㈱(日本製紙グループ)協同プロジェクトが行われました。「防水ダンボールの新しい使用方法をデザインする」ため学生たちは、女子大生ならではの考えや感性を活かしてアイデア出しを行いました。3月13日(月)は、なんと本社に伺い、社員の方々にアイデアの卵を見ていただく貴重な機会になりました。今回人気のあったアイデアをまとめ、後日最終プレゼンテーションに臨みます。

アイデアの出発点は自分の好きなもの

場所は御茶ノ水にある、日本紙通商㈱(日本製紙グループ)の本社内。
学生たちは少し緊張しつつも、初めて実際の企業のなかに入る貴重な経験になりました。

まずは下山教授から今までの概要が説明されました。先日、日本紙通商㈱(日本製紙グループ)の皆さまが大学を訪れ、学生たちは防水ダンボールを実際に見せていただきました。
そこで感じたことを活かし、新たなアイデア創出するためこれまでに6回話し合いを行ってきました。
女子大生ならではのアイデアを活かすため、出発点としたのは
①今自分にとってホットなもの、こと ②今ほしいもの ③(防水ダンボールから発想して)水と言えば何?の3つ。

まずは防水ダンボールそのものからは離れ、自分の好きなものなどを挙げていきました。
タコ焼き機、コスメ、ゲームやアニメ、映画、サウナ、一人旅、アウトドア、編み物、ランドセル…。
さまざまなものが提示されました。

③では水彩絵具、お風呂、ペットボトル飲料、洗濯やトイレといった素直な連想から、水害や水ようかんといったものまで。
「そうして抽出したものに、一見かけはなれた印象の防水ダンボールをくっつけたときに、いったいどういうことが考えられるだろうかということをみんなで話し合い、たくさんアイデアを出してきました」
 アイデア出しには3つのポイントが。
 ・発想は中途半端なところで終わらせず、とことん突き詰めること。
 ・一つの価値観を裏返して反対の意味をくっつけたらどうなるか考えてみること。
 ・遠い属性と思われるものをくっつけてみること。
この3つのやり方で、「質より量」とアイデアをとにかくたくさん出しました。

面白いアイデアに投票しよう!

「今までの社会連携のやり方ですと、最後まで提案の検討が終わったあとに連携先企業へプレゼンテーションを行い、その結果に対して企業の方が評価をしてくださることが多かったのですが、今回は案が固まる前にアイデアに対していっしょにディスカッションを行いたく、時間を取っていただきました」と下山教授が今回の意図を説明すると、アイデアが部屋いっぱいに並べられました。机だけでは足りず、床にも所狭しと並べられます。その数は80個以上。こんなものがあったらいいな、面白いなという発想からスタートしたまだ柔らかいアイデアの数々です。

例えば「雨×防水ダンボール」というアイデアでは、「リサイクルできる傘」として、安価でビニール傘の代替品になる「ダンブレラ」が考案されていました。また「楽器×防水ダンボール」ではダンボールを組み立てて作るドラムセットという、面白いアイデアです。

企業の方も含め、学生たちにはシールが配られました。この日行うことは、全てのアイデアを見てそのなかから自分が良いと思ったものにシールを貼ってアイデアを絞り込む作業です。シールの色は3種類。ピンクは「最も成功する可能性が高そうなアイデア」、緑は「最もユーザーを喜ばせると思えるアイデア」、青が「最も画期的なアイデア」にそれぞれ貼っていきます。シールは色ごとに4枚まで貼ることができます。

アイデアはひとつひとつどれも新鮮で興味深く、企業の方々も「どれにしようか本当に悩む」「決めるのが難しい」とうなり、学生たちの発想力に感心していらっしゃいました。

人気を集めたアイデアは?

全員がシールを貼り終えると、シールの数が多いアイデアが発表されました。「衛生的に使える使い捨てまな板」や「子どもに人気なアニメのアイテムを模したしゃぼん玉機」、「自転車のかごカバー」や「子ども向けダンボールハウス」などが挙げられました。「アイシャドウパレット」には、軽くて持ち運びやすく、落としても割れないパッケージという利点あり、多くのシールが貼られていました。

「筋トレできるダンボール」を考案した学生は「成長×ダンボール」から発想。箱型のダンボールを棒の端に2つ付け、水を入れてウェイトトレーニングできる器具を発案しました。「汗をかいてもすぐにお風呂に入れる」などのメリットを挙げていました。

特に人気を集めたアイデアが「棺」。アイデアを出した学生は「自分が参列したお葬式で、棺はシンプルな木製のものしかなく、地味に感じた」といいます。「ダンボールなら印刷もできるし、自分が死んだときに自分の手で描いたものも良いなと思いました」と自分の体験から発想したことを語りました。発展して「ペット用の棺があればいいなと思った」という意見も出ていました。

本当に商品化できる?最終プレゼンへ!

最後に企業の皆さまから感想や気になったアイデアを伺いました。アウトドアがお好きだという方からは「カヌー」案が推されました。「アイシャドウパレット」を推した方は、「実は今、アイシャドウのチップを紙ストローで試作しているんです」と、併せて進められそうと実現可能性を感じていらっしゃいました。

全員が投票し、絞られたアイデアは20個ほど。ここからさらに何案かを選び出し、ブラッシュアップして3月23日(木)の最終プレゼンテーションに臨みます。

2023年2月21日

「実践キャリアプランニング」の授業でロレアル パリとのコラボが行われ学生たちは「人権問題に配慮したCM」について発表しました。

共通科目「実践キャリアプランニング」(担当:文学部国文学科 深澤晶久教授)の授業で、食生活科学科の学生と、ロレアル パリとのコラボが行われました。学生たちは出された課題「人権問題を意識し配慮の足りた広告を作るために大切なこと」をプレゼンしました。プレゼンでは実際に使用されたCMを例にとり、発表後には菊池氏や山下氏からフィードバックがありました。プレゼンは2週にわたって行われ、この日は後半の9グループが発表を行いました。

人権問題についての意識とは

トップバッターの1班は肌色問題から人種について考えました。
大手食品会社のアニメCMでは選手の肌が実際より白いことが問題になりました。
クレヨンなどの「肌色」は2000年頃から、多人種の肌色の固定概念をなくすため「うすだいだい」と呼ばれています。肌の色の固定概念をなくすことが大切であるとまとめました。


菊池氏は
「肌色という固定概念を植え付けられていたなと気付かされました」と話しました。

次の14班は、飲料と異業種のコラボCMを紹介。
さまざまな人種が出演しており、家政夫が男性です。対して脱毛の車内広告は若い女性のみが起用されていることを指摘。性別や年齢にとらわれない広告を作成するためには、第三者からの視点も必要と提案しました。


山下氏は
「脱毛のモデルが若い女性ばかりと気付かされました。脱毛は恥ずかしくないという意識改革も必要」と共感しました。

洗濯洗剤のCMにおける男女差を取り上げた8班は、悪臭の原因は男性から、主婦が洗濯という偏見に言及しました。
対してあるブランドのCMは男性俳優を起用し、固定概念を覆していると評価。男女差別がなくならないのは受け手が無知だからとし、視野を広げて自分から関心を持つことが大切と訴えました。

菊池氏も
「(評価されたCMは)男性も共感を呼びやすい作り。男性の家事需要に合わせている」と着眼点の良さを褒めていました。

性差別をどう解消するか

15班は大手化粧品会社のCMを紹介。
結婚や若く見られるなど、年齢で女性の価値を決めてしまっていると取れるCM例をだし、「メイクは人の価値ではなく自分の個性を作るもの」と伝えました。
女性はメイクをしなくてはならないという固定概念を覆すために男性を広告に起用するなど、異なる価値観を取り入れることが大切だとしました。


山下氏は
「時代として可愛いという価値観ではなく、自分に似合うものはなにかという方向に進んでいる」と共感を示されました。

16班は昔と今のおむつのCMを比較。
40年前は女性が家事と育児の対象となっていましたが、最近のあるCMでは男性が起用され育児する姿を見せています。男女の固定概念にとらわれず、家事や育児も女性だけではなく両者に向けることを伝えました。


菊池氏は
「赤ちゃんのために男性がおむつを選んでもいいという発信をしている例。素敵な例を見つけてくれた」と感心されました。

5班もおむつCMを取り上げました。
母親のワンオペ育児を連想させるCMを批判を受けた例として提示。経済力の差を感じてしまうため有名タレントは使われづらい育児関連商品のCMには女性が起用されることが多いのですが、ある製品では男性タレントを起用しイメージを変えたことにも言及しました。


山下氏も
「タレントも含めどんどん男性を出していくべき」と共感されました。

ジェンダー問題を意識した広告

11班はインフラのCMを取り上げました。
男性が家事や育児を行い、女性が働いている描写があり、性別のイメージで固定しないことが配慮と考察しました。
悪い例として挙げられたCMでは「脱毛をしていないと良くないことが起こる」というネガティブなメッセージングが問題に。「広告で性別に対する偏見を覆すこともできる」とポジティブなメッセージを伝えることが大切と提案しました。

菊池氏は良い例に上がった企業は、大手の優良企業であるとし「就活を考えるなかで、企業がどうマーケティングしているかみるといいと思います」と助言も出ました。

4班は大手百貨店が賛否両論を受けたCMを例に挙げました。
日本での女性の生きづらさを訴えた広告でしたが、食品を顔に投げつけられても笑っているのは我慢させられているように見えるなど批判も浴びたCMです。「人権問題を意識するあまり逆に配慮が足りないと思われてしまうこともある」と広告の難しさを伝えました。


山下氏は
「賛否両論あるCMを挙げたのは勇気あり、考えさせられました」と語りました。

ラストの10班はLGBTQに着目。
マッチングアプリの広告は男女のみを描いており、恋愛=男女という認識が根深いことを伝えました。
また、大手アパレルが作成した女性カップルの日常を描いたCMを紹介。このCMには批判的な意見も多かったと紹介しました。しかし「今以上に大きな声で発信していくことが大切」と偏見をなくすことの重要さを伝えました。

菊池氏は
「やるなら批判があってももっとやるべきという意見はその通りだと思う」と学生たちのまっすぐな気持ちに感嘆しました。

人権問題に取り組んでいける社会人に

2週にわたったプレゼンも終了。
最後にこの日のロレアル パリ賞が発表されました。選ばれたのはLGBTQを取り上げた10班でした。
学生たちも各班に点数を付けており、後日学生間賞も決まります。

最後に菊池氏から総評をいただきました。
「マーケティングのことを考えてもらえればと思っての課題でしたが、どの発表もとても面白かったです。皆さんも、提示された悪い例のようにならないように頑張っていきましょう」とこれからの時代を生きる学生にエールを送りました。

深澤教授の話

ロレアル・パリ様には、今年度、初めてご支援をいただきました。私自身も食物科学専攻のクラスを担当するのも初めてということで、テーマ設定に悩んでいたところ、ロレアル・パリ様とのご縁をいただき、素晴らしい内容を構築いただきました。まずは、Voice Up Japan様にご協力いただいたStand UPにフォーカスした講義をいただき、ジェンダーや平等、社会での活躍の話をいただきつつ、ストリートハラスメントについて学ばせていただきました。その後は、ロレアル・パリの菊池様、山下様にお越しいただき、ジェンダー論×マーケティングについて、昨今のinclusivityに焦点を当て、ジェンダーやセクシュアリティ、人種を意識したマーケティングについての講義とグループディスカッションそしてプレゼンテーションセッションに繋がる内容となりました。食物科学専攻の学生さんの学びとは、一見遠いようで、実際に取り組んでみると、かなり強い結びつきを発見出来たことも事実であり、大変貴重な学びの場となりました。ロレアル・パリ様には、この場を借りて心から感謝申し上げます。

2023年2月21日

ロレアル パリ様をお迎えし、企業の課題を一緒に考える特別コラボセッション。学生達から様々な解決策が発表されました

ビジネスの最前線で活躍する方々をお迎えし、企業が直面する様々な課題を知り、その解決策を探る特別コラボセッション。ロレアル パリ様をお迎えした授業のまとめは、学生達のプレゼンテーションです。ジェンダーや人種などの人権意識が高まる中で、これからの広告はどうあるべきなのでしょうか。その未来像を考えました。

前半9グループのプレゼンテーションでは、様々な広告表現に注目

まとめの授業では、グループごとに前半と後半に分かれてプレゼンテーションを行いました。ロレアル パリからは、菊池氏と山下氏が同席。それぞれのグループの発表に対して、様々な角度から評価コメントがありました。

①グループ7
おもちゃ業界が育む“ジェンダーフリー”

子供用玩具を通して小さい頃からジェンダーの刷り込みが行われている事例を紹介。
自由にカスタマイズできる着せ替え人形を例に、ジェンダーにとらわれずに自由に遊べる世界の重要性を指摘。

菊池氏
「おもちゃという着眼点はおもしろいですね。買う人(親)と使う人(子ども)が違うおもちゃはジェンダーの刷り込みが起こりやすいですが、おもちゃから変えることで新しい循環が創れそうです」

②グループ6
化粧品でみる人権問題

メイク=女性という縛りを改善した、近年の化粧品広告事例を紹介。
人権問題を意識した広告は「~らしさ」などの固定概念を取り入れない、商品の特徴や良さを伝えるキャッチフレーズが大切。

菊池氏
「メイク≠女性という社会の意識は広がっています。化粧品ブランドの取り組みに、今後も注目するとおもしろいと思いますよ」

③グループ12
ジェンダーバイアスに目を向ける

家事=母親という表現になっているTVCMをいくつか紹介。
性別や年齢に関係なく、家族が家事を分担することの大切さを強調。

菊池氏
「広告には必ず意味がある。企業の視点で『なぜこの広告を創ったのか』と考えると、また違ったことがみえてくると思います」

④グループ3
人権問題を意識した配慮の足りる広告とは

洗剤とハンドクリームの広告に注目。
webサイト上のアンケートの対象が女性のみという商品と、性別や年齢を問わない広告に変えた商品を対比。広告は性別や年齢ではなく、使用するタイミングや季節感の訴求が大切。

山下氏
「アンケートの対象に注目したのがすごいですね。昔からある製品は、過去から現在までの広告の変遷をたどると新たな発見がありますよ」

⑤グループ18
洗濯・柔軟剤広告

最近は洗濯≠女性という広告が増えているが、柔軟剤はまだ女性の商品というイメージが強い。韓国のブランドを例に挙げ、男性=消臭、女性=フローラルではない広告の可能性を紹介。

山下氏
「韓国の事例への着眼点は素晴らしい。洗剤のCMに若いイケメンばかり登場するのは主婦層に訴求するためなのかなど、広告の意図も考えるとおもしろいですよ」

⑥グループ2
人権意識ない広告

肌の色の扱い方で炎上した中国の洗剤の広告を紹介。
具体的な改善点を通じて、差別につながらない広告に大切なことを検討。

山下氏
「人種以外にも、不美人を美人にするなどの容姿の差別もありますよね。差別とはなにか、深く考えることが大切だと思います」

⑦グループ17
人種差別について

米国大手アパレルメーカーを中心に、これまで炎上した広告を例に人種差別にならない表現を考えた。広告に多様な人が登場する重要性を指摘。

菊池氏
「国内の大手アパレルメーカーには、時代の流れに合わせてビジネスと倫理の両輪を上手く回しているところがあるので、広告表現に注目するといろいろな学びに出会えます」

⑧グループ13
人権問題と広告

男性もメイクをすることを前提にした韓国化粧品の広告と、母親が料理をする食品メーカーの広告を対比し、世の中に浸透しているジェンダーのイメージの改善が必要なことを強調。

菊池氏
「韓国では男性の20%がBBクリームを使用していますが、日本はまだ一桁。男性メイクをどう伸ばすかが課題になっています」

⑨グループ9
人権問題について考える

1970年代の美容広告のモデルを様々な人種のLGBTQ+に入れ替え、現代風に再現する広告を例に、先入観を失くして多様性を意識することを指摘。

山下氏
「先入観を無くすのは難しいことですよね。育児は夫婦がやるものでも『旦那がオムツを変えて“くれた”』と言ってしまう。先入観にとらわれず、自信を持って生きられる社会が大切ですね」

ロレアル パリ賞が発表され、受賞グループには素敵なプレゼントが

前半9グループのプレゼンテーションが終わり、ロレアル パリのお二人はロレアルパリ賞の選定へ。
栄えある受賞に輝いたのは、グループ3でした。
お二人によれば、評価のポイントは家事の先にあるハンドクリームに注目したことと、webサイトのアンケートデータという細かい部分に気づいたこと。グループの5人には、ロレアル パリ製品のヘアオイルとウォータートリートメントのセットが贈られ、歓声が上りました。

2023年2月3日

博報堂とJR東日本とのコラボ授業で、学生たちが見つけた「スローな渋谷」のプレゼンが行われました。

人間社会学科「フィールドワーク論」(担当:原田 謙教授)の授業で、12月7日(水)に株式会社博報堂 ミライの事業室とJR東日本 東京感動線によるプロジェクト「Slow Platform 渋谷駅0番線」とのコラボ授業が行われました。企業の皆さんを前に、学生たちはフィールドワークを通して見つけた「スローな渋谷」の発表を行い、新たに発見した渋谷の魅力をプレゼンしました。

渋谷が隠し持つのどかな側面

Aチームはいつもにぎわっている渋谷だからこそ、ほっとできる場所も多くある意外性に着目。人が集中する渋谷は休息できない場所というイメージが強くありますが、一方で風通しがよく緑の多いところも。ゆっくりでき雰囲気がよく落ち着く場所として、「代々木公園」「金王八幡宮」「茶亭 羽當」などが挙げられました。そのなかで、実践女子大学の最上階から見る夜景も紹介。渋谷キャンパスの周りには超高層の建物が少ないため、夜には東京タワーなどの美しい夜景を眺めることができます。

学生ならではの視点に、質疑応答では「ネオンはビジーな印象だけど、夜景になるとスローになるのが面白い」という感想が。発表した学生は「友達と一緒にきれいだねという会話があって、その会話自体がスローな時間だなと思った」という、実体験を話してくれました。まさに日常に寄り添うスローな渋谷の発見です。

ふとした瞬間の癒しを渋谷で

Bチームは派手な広告や、夜でも明るいネオンなど「見て感じる」ストレスを取り上げました。映え重視の食事も、食べにくかったり価格は高いのに量が少なかったりとストレスに感じるためビジーだと捉えました。ただ、子どもたちの元気な姿や、ふと見えた夕陽など見て感じる癒しもあると考えました。心安らぐ場所としてレトロな蕎麦屋「朝日屋」や「鍋島松濤公園」などが挙げられました。面白い視点としてマンションの壁画も。落書き防止目的の壁画ですが、まるで幼稚園のような明るい色調は安心感があり「見て感じる癒し」としてスローに挙げられました。

博報堂の方からは
「映え重視も窮屈に感じるという視点が意外でした」や「情報過多な世の中で、発信側はつい映えを意識してしまうけれど、情報の少ないところに魅力を感じるのだなと気付いた」という感想をいただきました。

渋谷の“ほっと”なスペース

Cチームは、満員電車など身体的距離は近くても、みんな無関心で心理的距離の遠いこともストレスに感じるといった視点がありました。ただ、町中で手をつないだ親子など人の温かみを感じる瞬間はスローであることに気付くなどの発見も。そこで渋谷の繁華街から足を伸ばしリラックスできる空間を探しました。「ログロード代官山」やカフェとギャラリーが併設された「Lurf MUSEUM」「zenta coffee」などアートと融合した場所が紹介されました。

質疑応答ではJRの方から「知らない施設ばかりでした。元々知っていたんですか?」という質問が。
学生は歩いていて偶然見つけ、新たな発見であったことを伝えました。
また「アートがあることはどういう心地よさにつながるのか」という質問には「普段あまりアートに触れる機会がないので、知らない世界に気軽に触れられる面白さや楽しさがありました」と回答しました。

原田先生からも「渋谷には多くの美術館がありますが、メジャーなところではないのも面白いですね」とコメントがありました。

渋谷における「ゆったり時間」と「ひとり空間」

Dチームは、自分のペースで歩けない忙しなさや夜の治安の悪さなど緊迫感をビジーとして挙げました。ただ人混みにはネガティブなイメージがありますが、フリーマーケットや街中華など活気があり人とのコミュニケーションを取れるところはスローな時間を過ごせるという発見も。自分のことに集中できる場所をスローと捉え「エビスグリーンガーデン」や「ログロード代官山」などが紹介されました。「猿楽古代住居跡公園」では子どもたちの声が響いていたスローな雰囲気を伝えました。

発表後には「一人の時間でも、子どもの声や人との関わり、人の気配を感じることもスローなのだなと気付かされました」という感想が聞かれました。学生からは「街では子どもの楽しそうな声はなかなか聞かないので、都会であることを忘れられると感じました」と素直な意見がありました。

落ち着ける「幸せな孤独」

Eチームは都会では多くのひとがイヤホンをして音楽を聴き、ひとり空間を作ることに着目。スローには「音楽」も大切な要素として取り入れました。またおいしいものを食べる「食」もリフレッシュすることの一つ。それらを含んだ、一人の時間を自分のために使える場所を探しました。中古レコードショップ「ウルトラシブヤ」、銭湯の「さかえ湯」、「山下伏見稲荷大明神」などレトロで昔から変わらない場所を中心に紹介しました。

質疑応答では「惹きつけるタイトルですね」と「幸せな孤独」という言葉選びに感嘆の声が。また、「レトロなものがスローに感じるのはなぜでしょう」という問いも。
学生は、中古レコードショップにあるジュークボックスに触れ「効率重視の世の中で、手間をかけ自分が選択することは余裕があることと思った」と回答がありました。

渋谷のスローな過ごし方とは

最後に企業の皆さんから総評をいただきました。
博報堂の方からは「場所だけではなく、渋谷をスローに過ごすための知恵を教えてもらいました」との感想をくださいました。
JRの方からは「率直な感想として、紹介された場所に行きたいなと思いました。それぞれ視覚以外にも、聴覚や嗅覚など様々な角度からスローを考えてもらえて、自分の解釈も広がりました」と伝えてくださいました。

今回学生たちが紹介したところは、今後マップなどにまとめられる予定です。

2023年1月27日

実践女子学園高等学校でサントリーの輿石優子氏による講演を実施しました

12月20日(火)に、サントリーホールディングスのサステナビリティ推進部の輿石優子氏による高校生全校生徒に向けた講演が行われました。「身近な事例を通してSDGsと向き合う」と題し、サントリーのペットボトルリサイクルの取り組みを中心に話されました。生徒たちは第一線で活躍する女性のお話を聞く貴重な機会となり、「ペットボトルは資源」という新しい考えを学びました。

サステナビリティとは?

今、世界的に注目されているSDGsとは2015年に国連で採択された17の目標のこと。世界すべての人が日本の水準の生活をした場合、地球は2.8個必要であるという計算があります。輿石氏はSDGsの概念の表す「ウェディングケーキモデル」を紹介しました。一番上の小さな層が経済、二段目が社会、一番下の大きな層は自然や環境を表します。「社会や経済は、自然があってこそ」と輿石氏は語ります。

サントリーの「天然水」は、南アルプスや阿蘇などに水源をもち、地域それぞれの水を使っています。サントリーでは、「天然水」を含むさまざまな製品に使う水を守るため、20年前から良質な地下水を育む森を守る活動を、全国21カ所の「サントリー 天然水の森」で続けています。持続可能な世界を守る取り組みのひとつです。

受け継がれる「やってみなはれ」精神!サントリーってどんな会社?

清涼飲料水で有名なサントリーは、生徒たちにも身近な企業です。事業の55%は、お茶やコーヒー飲料から炭酸やミネラルウォーターなどの清涼飲料水を取り扱っています。残りの3割はお酒。さらには健康食品や外食事業も手掛けています。珍しいところでは自然界には存在しない「ブルーローズ」の研究・開発など、飲み物に限らず幅広い事業を展開しています。

サントリーは1899年創業。豊かな生活文化の創造に向けて、創業者鳥井信治郎が、洋酒の製造販売をしたことから生まれた会社です。鳥井の有名な口癖が「やってみなはれ」。現状に満足せず新しいことに取り組み続けるチャレンジ精神は、サントリーにいまも受け継がれています。

輿石氏は2000年にサントリーに入社。大学で日本美術史を専攻していた輿石氏は、日本美術を中心に収蔵している「サントリー美術館」の存在を知ります。サントリーが文化芸術に造形が深い企業ということに興味を持ち、さらに「やってみなはれ」精神を知り「入ったら自分もいろんなことができるかもと思い入社しました」と話しました。

身近なペットボトルについて考えてみよう

輿石氏から「ペットボトルって脱炭素のためにも良くないんじゃないかと思っている人はどれくらいいますか?」と生徒たちに問いかけられると、生徒たちから複数手が上がりました。プラスチックの原料は石油で、一言でプラスチックと言っても、構成する化学成分の違いにより性質が異なります。そのなかでPETと呼ばれるものがペットボトルになります。

次に「ペットボトルを見て、何か気付くことはありませんか?」と輿石氏。日本のペットボトルは、無色透明で本体には印刷がされていません。これは、リサイクルしやすいよう飲料メーカーの間で自主基準を作り守っているためです。日本のペットボトルは96.7%という高い回収率を誇ります。さらにリサイクル率は88.5%と、欧米に比べると倍近くリサイクルしています。(2020年実績)

使用済みペットボトルからはペットボトルの他に、食品トレーや繊維など、様々なものに生まれ変わりますが、多くの場合、その後は同じものに生まれ変わりません。しかしながら、ペットボトルは何度も繰り返しペットボトルになる「水平リサイクル」が可能のため、新しい資源を使わずに済むという利点があります。「使用済みペットボトルからペットボトルに生まれ変わることを「ボトルtoボトル」リサイクルといいます。皆さんにも、ボトルは資源と覚えていただければと思います」と輿石氏は語りました。

ペットボトルは資源!ゴミにしないためには?

サントリーでは「プラスチック基本方針」を定め、2030年までに全世界のサントリーグループで出す飲料のペットボトルのすべてをリサイクルボトルか、植物由来資源のボトルに置き換えるという目標を掲げています。2021年度では、流通している37%にリサイクルボトルが使用されています。

ペットボトルを捨てる際はラベルとキャップを「はずす」、中を「すすぐ」、「つぶす」が大事と生徒たちに語り掛けました。特に「はずす」は、キャップやラベルはPETではないため外す必要があること、外すことで輸送の積載量が変わることが理由に挙げられました。「ぜひ皆さんもご協力お願いします」と話し、講演は終了しました。

世界で活躍する女性になるために

最後に生徒たちから質疑応答がありました。高校3年生の生徒は「世界で活躍し貢献する女性になるために心掛けるべきことはなんですか」という質問。輿石氏は「物事の裏側になにがあるか、原因や理由を理解しようとすること。相手の立場に立って考えることで自分の考えも深まります」と回答されました。

「伊右衛門のラベルの裏におみくじがありますが、大吉しかないですか?」という質問も。輿石氏からは「大吉以外にもあると思います。おみくじもラベルをはがしてもらう取り組みの一つなので、見てもらえてとても嬉しいです」と回答がありました。

最後に生徒代表から「サントリーが生活文化や世界に貢献している企業であることを知り、ペットボトルが資源という考えを学べました」と講演の感想を述べました。企業の第一線で活躍する女性の貴重なお話を聞く機会となり、生徒たちにも刺激になった講演でした。

2023年1月18日

「スマドリバーの認知度を上げる施策」とは?社員の皆さんを前に学生たちが施策案をプレゼンする授業が行われました。

人間社会学科・原田謙教授の授業で、10月24日(月)に渋谷スマートドリンキングプロジェクト(スマドリ株式会社、株式会社電通デジタル、 一般社団法人渋谷未来デザイン)とのコラボ授業が行われました。9月26日(月)に行われたオリエンテーションの「スマドリバーの認知度を上げる施策を考える」ための課題の最終プレゼンテーションです。プレゼン時間は10分。プロジェクトメンバーの方々を前に、4チームそれぞれアイデアに富んだ施策案を発表しました。

イメージカクテルでSNS投稿を促進

プレゼン1番手は3年生のBチーム。
スマドリを知るきっかけとして、まずインスタグラムのハッシュタグを統一することを挙げました。「#スマドリ気分」などシンプルなハッシュタグを決め、利用者がインスタグラムに投稿するときに迷わない工夫です。さらに、来てみたいと思わせる施策として「イメージカクテル」を提案。利用者が質問に答えることで、相手をイメージしたカクテルを作れるシステムです。イメージするのは推しでも恋人でも友人でも愛犬でもOK。作ってもらったカクテルはSNS映え間違いなしで投稿率も上がります。アルコール度数も選べるため、お酒が弱い人でも最後まで美味しく飲むことができます。サイズも小さくリーズナブルなメニュー展開を増やすことが提案されました。

プレゼン後の質疑応答でも「イメージカクテルいい!」と社員の皆さんからも好印象。「体験価値に着目している点がとてもよかったです」と感想をいただきました。また、サイズについて「お酒を飲まない人には、試し飲みできるような小さいサイズのニーズがあることも分かりました」と着眼点の良さに感心されていました。

パッと入って沼っちゃう!カフェから始まるスマドリ

次の発表は4年生によるCチーム。
スマドリバーの課題として、一人客や男性客が入りづらい点を挙げました。そこで、1階にスマドリカフェを併設し、2階をバーにする施策案を提案。カフェでは普段お酒を飲まない層の取り込みを狙います。アルコールも3%まで取り扱い、お酒が飲みたい人も気軽に飲める環境を作ります。またバーではアルコール度数を15%まで取り扱い、しっかり飲みたい人の希望も叶える案です。飲む人と飲まない人どちらもスマドリを使いやすくすることで、スマドリ自体の認知度が高まり、カフェとバーの客の移動を見込むことで売り上げアップも狙います。

質疑応答でも「スマドリ社内でもスマドリバーはカフェかバーかの議論はある」と方向性に着眼した点に感心されていました。カフェとバーがあった場合どちらに入るか割れてしまわないか、という質問には、学生は「飲まない人同士でも行ける、まずはきっかけになることを考えています」と回答しました。

飲める人と飲めない人をひとつにするために

3番手の発表は3年生のAチームです。
スマドリのコンセプト「飲める人と飲めない人が一緒に楽しめる」を実現するにはメニューの充実が必要と考えました。アルコール度数の弱いドリンクが多いので飲める人が物足りないと考え、マッコリやシャンパンなどドリンクの充実を提案。価格設定は、飲めない人も手を出しやすいワンコインくらいに下げることを挙げました。フードも、ドリンクとのセットやおつまみセットなど作り、飲めない人も楽しめるようにします。さらにリピーターを増やす施策として、フォロワー限定の割引やクーポンなどSNSを駆使したアピールを提案しました。

質疑応答では「そもそも皆さんはどういったお店にリピートしたくなりますか」「飲める人と飲めない人が一緒に楽しめるというのはどういう状況を想定していますか」など質問がたくさん。学生は「メニューが多く看板商品もいくつもあるお店」「お酒が入ると少し深い会話ができると思うので、そういったコミュニケーションが取れるような環境だと一緒に楽しめると思います」と具体的に回答し、社員の皆さんも興味深く聞いていました。

推し活をスマドリで!

最後の4年生によるDチームは、アイドルを推している女子大生をターゲットである「ペルソナ」に。飲酒は年に数回しかなく、お酒の味に慣れていないという設定です。スマドリバーのメニューでは味が想像しにくいという課題から、お酒の味が詳しく分かるメニューの説明やドリンク診断を提案しました。初めて飲むからこそお酒をもっと身近に感じられる工夫です。また、リピート獲得の施策として、期間限定の商品や、カクテルにカスタマイズ要素を追加することでオリジナルカクテルを作れることを提案しました。カスタマイズにはわたあめを利用し、カラーバリエーションを増やして色を選択できるようにすることで、推し活にも利用できるよう訴求する案です。

質疑応答では「推し活」について詳しく聞かれました。
推し活は一人ではなく友人など誰かと行うことが多いことや、メンバーカラーの商品があれば選ぶことなど、学生たちの生の声が聞かれ、社員の皆さんも興味深く耳を傾けていました。また、メニューの説明充実については、実際に商品名と味のイメージが違ったことがあるという学生の意見が。「せっかく推し活できる色があっても、飲めないと楽しめないしフードロスの観点からも良くない。ちゃんと楽しむためには味が気になりました」という実体験からの施策だったことに、社員の方も納得していました。

選ばれたグループはSIWで発表!

最後に社員の方々が話し合い、4グループの中から1グループが選ばれました。選ばれたのは「イメージカクテル」を提案したBチーム。
「飲める人飲めない人それぞれの課題を設定し、SNSやメニューの新規提案をしてくれました」
「イメージカクテルについてもっと詳しく聞きたいです」
と講評をいただきました。

選ばれたグループは、
11月12日(土)に行われる都市フェス「SOCIAL INNOVATION WEEK 2022」の中の、渋谷アイデア会議で実際にプレゼンし、スマドリ社社員や他参加者からのフィードバックやディスカッションに臨みます。

2023年1月18日

学生たちが「スマドリバーの認知度を上げる」施策案をプレゼンするスマドリバーとのコラボ授業が行われました。

現代社会学科・井上綾野准教授の授業で、10月28日(金)に渋谷スマートドリンキングプロジェクト(スマドリ株式会社、株式会社電通デジタル、 一般社団法人渋谷未来デザイン)とのコラボ授業が行われました。9月26日(月)に行われたオリエンテーションで出された課題「スマドリバーの認知度を上げる施策を考える」のプレゼンテーションです。事前に提出したプレゼン資料を見た社員の皆さんから、詳しく聞きたいと選ばれた5グループが最終プレゼンに臨みました。

出張スマドリで認知度アップ!

最初のチームは、スマドリバーだけでなく他の場所でも体験できる出店スタイルのスマドリを提案。
スマドリバーは渋谷センター街に1か所だけのため、夜のセンター街に抵抗感がある若い女性には行きづらいという課題が。そこで、ロックフェスやカクテルイベントへの出店を提案しました。また、他店舗のバーとコラボし他店舗でもスマドリを広めてもらったり、ホテルと提携し、ホカンスでスマドリを利用してもらったりという案も。誕生日会などのバースデープレートを付けることでSNSにも投稿されやすくなることを狙います。

発表後の質疑応答では「センター街を脱出するという大胆な発想ですが、スマドリの概念を浸透させるのに良いアイデアだと思いました」と感想が。
「フェスはお酒好きな人が良く行くのでは?」という質問には
「まずはお酒を飲める人飲めない人双方にスマドリという概念を広めることが大切だと考えました」と回答しました。
知ってもらうための施策であることに社員の皆さんも納得していていました。

公式インスタグラムのフォロワーを増やすには?

2番手のチームはターゲットとなる「ペルソナ」を19歳の未成年に設定。
スマドリバーのインスタグラム公式アカウントが、20歳未満には表示されないことに言及し、年齢制限を18歳以上に引き下げることを提案しました。スマドリバー自体は20歳以下でも入店できるため、来店した未成年者に「20歳のお約束チケット」として、20歳の誕生日から1ヵ月使えるワンドリンクチケットを配布。未成年にも楽しんでもらえるアイデアを発案しました。またバースデープレートなどをメニューに増やし、SNSへの投稿も喚起する方法を提案しました。

社員の皆さんからは「お約束チケットはとても良い!」と好評の声が。
「どうしたら20歳になるのが楽しみになるのか考えたのが素晴らしいですね」と着眼点を褒めていました。

「推し色カクテル」でSNS投稿を狙う!

3番目のチームは推し活でカフェ巡りしているペルソナを設定しました。
推し活は、メンバーカラーの飲み物などを写真に撮りSNSに投稿するのが基本。「#推しのいる生活」のハッシュタグは161万件以上投稿されています。そのニーズに合わせ大手の飲食店も最近色に着目したメニュー展開が増えています。スマドリバーでも色展開のあるメニューを増やし、SNS映えする空間作りをすることで、SNSに投稿・拡散してもらうよう促進する案です。

質疑応答では「推し活にニーズがあることがわかりました」と感心の声が。
「投稿数が多いハッシュタグだと、その投稿が埋もれてしまうのでは」という疑問に、学生は「推し活をしている人はハッシュタグを付けた他の人の投稿も見るし拡散し合うので、投稿数の多いハッシュタグの方がたくさん見つけてもらえます」と解説。
学生たちの生の声に、社員の皆さんも興味深く耳を傾けていました。

男性でも入りやすい雰囲気作りとは

4番目のチームは25歳男性をペルソナに定めました。
飲みたいけど飲めない下戸という設定で、利用するSNSはツイッターです。ツイッターは20代男性の利用者が多いことに注目し、ツイッターのハッシュタグ「#スマドリバーで下戸の主張」を提案しました。スマドリバーは飲めない人には好評であることに着目。飲めない人をターゲットにすることで効率よく拡散されるとしました。またハッシュタグ投稿してくれた人の中から抽選でワンドリンクチケットをプレゼントなど来店も訴求します。

「全チームのなかでペルソナが男性だったのは、このチームだけでした。
なぜ男性に設定したのですか?」と質問され、学生たちは「周りに男女関係なく飲めない人が多いので、せっかくなら男性視点で考えてみたかった」とチャレンジしたことを答えていました。
社員の方からは「飲めない人の思いを広めることで、同時にスマドリの考え方を広められることが良い。飲めない人の意見に寄り添う体制を作ることが大切だと気付きました」と感嘆の声が聞かれました。

キッチンカーでスマドリを楽しむ

5番目のチームはSNS以外でスマドリを知ってもらうために、キッチンカーでビアガーデンやフェスなどに参加する案を提案。
店舗に行かなくても、イベント参加者にスマドリを知ってもらう作戦です。また、自分の顔とメニューを一緒に写るように写真を撮り、渋谷の店舗に来店したとき店員に見せると割引できるサービスを考案。この写真はSNSに投稿しなくても良いため、SNSで顔出ししたくない人でもサービスを受けられるよう考えました。

社員の皆さんからは「知ってもらうことの大切さを改めて感じました」と感想がありました。
「ビアガーデンに行くのは飲むのが好きな人では?」という質問には、学生は「フェスなら一緒に行く人が飲めないこともあるし、ノンアルコールのビアガーデンイベントもあるので、ニーズはある」とリサーチしたことを具体的に答えていました。

SIWでさらに深くプレゼン!

発表後、社員の皆さんで話し合いが行われ、5チームのなかから1チームが選ばれました。選ばれたのは「キッチンカー」を提案した5番目のチーム。
「ターゲットにどうやって知ってもらうのか、体験の設定まできちんと決まっていた」と講評がありました。
選ばれたチームは、11月12日(土)に行われる都市フェス「SOCIAL INNOVATION WEEK 2022」の中の、渋谷アイデア会議でプレゼンに臨みます。

最後に社員の皆さんから
「皆さん今回の課題は難しかったと思いますが、こうしたらいいのにと思う感覚はとても大切です。ぜひ大事にしてください」
「今回の経験が皆さんの将来の役に立てたらと思います」
と言葉をいただき、授業は終了しました。

2023年1月10日

桃谷順天館との産学連携授業で学生が新商品を提案!

 11月16日(水)、人間社会学部現代社会学科の井上綾野准教授による3年生ゼミ「演習ⅢB」にて、化粧品メーカーの桃谷順天館との産学連携課題のプレゼンテーションが行われました。当日は、桃谷順天館のグループ会社である明色化粧品営業部マネージャーの井上昴氏が本学に来校。桃谷順天館人事部シニアマネージャーの大江崇氏ともオンラインで結び、「演習ⅢB」の3年生と「演習ⅣB」の4年生の混合チーム5組が明色化粧品の新商品を提案しました。

課題は「業績アップにつながるような売れる新商品の提案」

今回の課題は、桃谷順天館のグループ会社である明色化粧品の新商品を提案するというもの。
「演習ⅢB」を履修する3年生に加え、井上准教授による「演習ⅣB」を履修する4年生も加わり、学年混合でAからEまでの5チームに分かれてこの課題に挑みました。

チームはそれぞれ、販売チャネルや主力商品など明色化粧品から提供された情報をベースに、「クッション下地」「フェイスマスク」「アイブロウ・アイラインスタンプ」「ヘアオイル」「メイクキープミスト」とまったく異なる商品を考案。
店頭やSNSでのプロモーション施策も併せて発表しました。

発表後には、井上准教授と明色化粧品の井上氏、桃谷順天館の大江氏が審査を行い、優秀な発表をした1位から3位までのチームを選出。選ばれたチームのメンバーは、井上氏より賞品(明色化粧品の製品)を授与されました。

1位は、斬新なアイデアが光る「アイブロウ・アイラインスタンプ」を提案したCチーム!

1位に輝いたのは、アイブロウ・アイラインのスタンプ、その名も「ポンdeメイク」という商品を考案したCチーム。
眉やアイラインに関するメイクに悩みを抱える20代~30代の男女をターゲットに、スタンプ方式で眉とアイラインのメイクを可能にするという斬新な商品アイデアを披露し、これが高く評価されました。
実はこのCチーム、中間発表時点での評価は低かったとのこと。どんな商品なのかイメージが伝わりづらいという井上准教授からの指摘をクリアし、見事1位という結果を勝ち取りました。

2位は「メイクキープミスト」を提案したEチーム、3位は「フェイスマスク」を提案したBチーム

2位は、メイク崩れを防止する「コンパクトキープミスト」を提案したEチーム。
毛穴の悩みを抱える人が多い点に着目し、保湿ができるメイクキープミストを提案しました。外出先でのメイク直しの際に使用できるコンパクトなサイズと、持ち歩きたくなるような高級感あふれるパッケージが特徴。
プロモーションにおいては、店頭施策、SNS施策に加え、プレゼント企画も準備しました。

3位は、明色化粧品の主力商品の一つ、「美顔水」シリーズの拡大を狙う「美顔フェイスマスク」の商品化を考えたBチーム。
現在、拡大を続けているフェイスマスク市場に目を付け、「美顔水」のシリーズのラインナップの一つとして、ニキビケアに特化したフェイスマスクを加えてはどうかと提案しました。

 惜しくも3位に入らなかったチームの発表は以下の通りです。

Aチーム:
ベースメイクが面倒だと考えている女性が多いことから、短時間で手を汚さずベースメイクができる「クッション下地」を提案。

Dチーム:
美容院代節約のためにセルフカラーをする人が増えていることから、セルフカラーをする人向けの「ダメージ軽減ヘアケアオイル」を提案。

「0を1にする」提案になっていたと企業より高評価を獲得

順位の発表を終えた井上氏からは、「僭越ながら順位を付けさせていただいたが、どのチームの提案もすばらしかった。

1位に選ばせていただいたCチームの『ポンdeメイク』の発表は、特に聞いていてワクワクした。発想が斬新で、“0を1にする”提案となっていた点が良かった。

2位の『美顔フェイスマスク』は、既存商品のラインナップの延長ということもあり、イメージしやすく企画の意図が伝わりやすかった。

3位の『コンパクトキープミスト』は、価格を安く抑えることにこだわらず、徹底的に見た目の高級感やかわいさに振り切って考えたら、さらに面白い提案になったかもしれない。

どのチームも、世の中にさまざまな商品があふれる中、自分たちの悩みを出発点にして考えてくれた点を評価したい」とコメントをいただきました。

大江氏からは
「皆さんの思いを感じつつ、納得しながら発表を聞かせていただいた。今回の提案から得たヒントをブラッシュアップしていけば、今後、さらに良いプレゼンができるようになるはず。市場の動向を見ながら興味のある分野に高くアンテナを張り、皆さんのアイデアをぜひ社会に還元してほしい」
と締めくくりました。

また、今回の発表に同席していた人間社会学部現代社会学科の角本伸晃教授は、
「それぞれのチームの発表を通して、今後に応用できるさまざまなヒントを得たと思う。座学では得られないPBLならではの学びを自分のものにして、今後も柔軟な発想を育てていってほしい。これからは、斬新な考えや取り組みが評価される時代。大学では優等生になろうとせず、ぜひぶっ飛んだ挑戦を!」
と学生にエールを送りました。

なお、今回学生が提案した商品は、明色化粧品で実際に製品化される可能性があるとのこと。学生たちの夢が詰まった製品が、店頭に並ぶ日も近いかもしれません。

優秀賞を受賞された学生の皆さまへのインタビュー

●今回の提案のポイント(着眼点)についてお聞かせください。
私たちの身近な悩みから発想を得たことが1番のポイントです。
普段メイクをするときに感じていることを言語化していき、「こういうものがあったらいいのにな」という夢を膨らませて今回の提案に辿り着きました。

●提案をまとめる上で、最も大事にしたものは何かお聞かせください。
メンバー1人1人が内容を理解できているか確認しながら進めることを最も大事にしていました。
0から1をつくるにあたり、それぞれの想像するものが大きく異なっていたので、同じイメージができているかを確認しながら話し合いを進めていきました。

●プレゼン資料にまとめるにあたって、こだわったことがあればお聞かせください。
私たちの提案は、商品デザインのイメージが伝わりにくいことが難点であったため、聞き手のイメージを膨らませる資料を作る点にこだわりました。具体的には、類似商品やパッケージデザインのイメージ写真を載せたり、商品デザインを実際に絵で描き、さらに文章で詳細を補足したりすることで、聞き手に商品のイメージが伝わりやすい資料作りを心掛けました。

●今回の提案全般で苦労したことやその克服方法についてお聞かせください。
アイラインのスタンプをどのように実現させるかという点に苦労しました。中間発表では、スタンプで細いアイラインを引くのは難しいというご指摘をいただきました。そこで、インターネットから情報を集め、ヘアピンや糸ようじでアイラインを引くというアイディアを参考に、商品デザインを考え直したことで、実現可能なアイラインスタンプを提案しました。

●実際に化粧品メーカーさまの課題解決に携わってみてどのようなことを感じたか、自分たちの提案がリアルに採用される可能性についてどう感じたかお聞かせください。
課題解決に携わってみて、自分たちのアイディアを伝えることの難しさを実感しました。実際に存在しない商品をどのようにしたらわかりやすくなるのか、本当に可能なのかなど試行錯誤をして、資料に反映させました。
自分たちの提案がリアルに採用される可能性については、純粋に嬉しいです。準備段階では、うまく伝わるかなど不安が多くありました。
実際に発表を終え、疑問点をご質問をいただけたため、私たちが求める化粧品について深掘りしてくださりました。
そしてありがたいことに最優秀賞をいただき、自信になりました。

●今回の授業でどのような学びが得られたか教えてください。また、得た学びを今後どのように活かしていきたいかお聞かせください。
今回の授業で、どんな発想をしても良いということを学びました。
「突飛なことを言えるのは学生のうち」ということを角本先生からおっしゃっていただき、そのことを大切にしようと感じました。
また発表を終え、大江様に「この案を誰かに話したか」と聞かれ、自分たちの案をクラスのみんなや先生以外に発表したことがなかったので、誰かに聞いてもらい、意見をもらう大切さを学びました。
これらの学びから今の私たちにしかできない考え方や周りに頼ることなど実践していこうと思いました。

井上綾野准教授のコメント

マーケティングを学ぶ場合、「机上の空論」では意味がありません。どのように商品が生み出され、販売されているのか、マーケティングのプロセスを企業から直接教えていただけるPBLには、座学では得られない学びがあると考えています。

今回は、今年の夏のオープンキャンパスで高校生向けに実施したPBLにご協力いただいたご縁で、桃谷順天館のグループ会社である明色化粧品とのコラボレーションが実現しました。通常、PBLではプロモーション関連の課題に取り組むことが多い中、今回はマーケティングにおいて非常に重要なプロセスの一つである「商品開発」が課題。商品開発担当者とPBLで組ませていただける機会は少なく、しかも、学生の提案した商品が実際に製品化される可能性もあることから、大変貴重なチャレンジとなりました。

対象が「化粧品」ということで、技術的な限界や薬機法のような規制を踏まえながら商品を考案するのは、学生にとって簡単なことではなかったと思います。それでも、5チームそれぞれがまったく異なる商品を考えてくれました。また、SNSでのプロモーション施策についても、全チームがそれぞれ異なるインフルエンサーを起用したインフルエンサーマーケティングを提案してくれました。より購入確度が高いユーザーにリーチするには、どのインフルエンサーが適しているのか、商品の特性に合わせて判断できるとは、さすがZ世代です。

実は、今回1位を獲得したのは、中間発表時点で提案内容の完成度が最も低かったチームです。当初は、どういう商品なのか分かりづらく、データによる説得力も弱かったため、その点を指摘しました。すると彼女たちは、きちんとデザインイメージをブラッシュアップさせ、アイブロウやアイラインのメイクに関してどのような悩みを抱えている人が多いのか、市場の声を拾って提案の根拠として資料に加えてきました。その点が、高評価につながったのだと思います。企業側からは、既存の商品の拡張という枠を超えた、斬新な商品の提案ができていた点も高く評価されました。

なお、今回のPBLには、あえて「演習ⅢB」の3年生と「演習ⅣB」の4年生の混合チームで取り組んでもらいました。3年生はより提案経験豊富な4年生の姿に刺激を受け、4年生は後輩を指導することでリーダーシップを学び……と、双方にメリットがあったようです。普段交わらない他学年との交流により良い意味での化学反応が起き、学生のモチベーションアップにもつながったと考えています。

本学では、社会学や行動経済学、統計学など、さまざまな学問分野のアプローチによるPBLを数多く実施しています。学生でありながら自分たちの提案が形になるプロセスを体験できるPBLは、大変貴重な学びの場です。また、そのような体験の積み重ねは、アウトプット力を磨くことにもつながります。まずは、それぞれの学問分野の理論をきちんと学び、その知識をPBLで生かす――。PBLの実践で得た知見は、今後の就職活動でも強力な武器になるはずです。

今後も引き続き、マーケティングだけでなく、地域連携や啓発広告のPBLにも取り組んでいきます。より多くの学生が参加し、偏差値では測れないスキルを積極的に身につけていってくれたらと願っています。

2022年12月23日

桃谷順天館との産学連携授業で学生が商品のキャッチコピーをプレゼン!(11/10)

 11月10日(木)、人間社会学部現代社会学科の角本伸晃教授による1年後期授業「経済学概論」にて、化粧品メーカー桃谷順天館との産学連携課題のアイデアを発表するプレゼンテーションが行われました。当日は、桃谷順天館人事部シニアマネージャーの大江崇氏を迎え、事前の審査で選ばれた12チームが商品のキャッチコピーなどを発表。優秀な成績を収めた3チームが表彰されました。

ピーリングジェリーのキャッチコピーと、販促用ハッシュタグを考えるのが課題

 今回の課題は、桃谷順天館のグループ会社である明色化粧品から発売されているピーリングジェリー「DETクリア」の店頭POPおよびパッケージのキャッチコピーと、SNSで商品PRに用いるハッシュタグを考案するというもの。
学生たちは3~5名ほどのグループに分かれ、気温や湿度と売上の相関関係が高い商品であることも踏まえつつ、季節性、販売促進上の課題、市場環境、トレンドなどを考慮しながらアイデアをまとめました。

当日、発表を行ったのは事前に審査を通過した12チーム。100人以上の受講生が集まった大教室で、1チームあたり5分の時間制限の中、練り上げたアイデアを披露しました。

全チームの発表後には、角本教授と桃谷順天館の大江氏が審査。その結果、優秀賞2チームと最終賞1チームが選出され、受賞チームは表彰状と賞品(桃谷順天館の化粧品)が授与されました。

最優秀賞は、ぶれないターゲティングとデータを用いた説得力、音声でのプレゼン演出で評価された【Mチーム】!

最優秀賞を獲得したMチームの提案のポイントは、男性をターゲットにしたPR戦略。
店頭POP用に
「男性必見!ツルスベモテ男になれるチャンス!」、
パッケージ用に
「つるすべたまご肌も夢じゃない?! マスクで荒れた肌も速攻回復!DETクリアで角質完全オフ!」
と、2つのキャッチコピーを考案。

「#まだ使ってない?!男性必見!DETクリアで肌悩み&角質完全オフ即実感できるツルスベ肌」
と、あえて長めのハッシュタグを提案しました。
近年の男性の美容意識の高まりに目を付け、男性がスキンケアのためにどんな化粧品を使っているかをデータで提示。
説得力のある発表が高く評価されました。

また、商品のキャッチフレーズ「いつでもデート肌に。DETクリア」も合わせて作成。
そのキャッチフレーズを音声としてPowerPointのスライド資料に埋め込み、プレゼンの途中で再生するという演出を加えた点もユニークでした。

当該商品の画像をプレゼン資料に盛り込んだ【Kチーム】と、商品名をハッシュタグに盛り込み、プラスαの提案も行った【Oチームが】優秀賞を獲得

優秀賞を受賞した一つ目のチームはKチーム。毛穴の悩みに焦点を当てつつ女子大学生にターゲットを絞り、
「濡れた手で簡単!手軽につるすべ毛穴レス美肌」(店頭POP用)、
「実感!毛穴・黒ずみゼロ赤ちゃん肌」(パッケージ用)といったキャッチコピーを提案。
SNS用のハッシュタグには「#DET最強美肌」と商品名を分かりやすく盛り込んだほか、プレゼン資料の表紙には当該商品である「DETクリア」の商品画像を配置し高評価を得ました。

優秀賞を受賞したもう一つのチームであるOチームは、コロナ禍のマスク生活による肌荒れに悩む人がどのくらいいるのかデータで示しつつ、男性を含む全世代をターゲットに設定。
「マスク生活、スキンケア見直しませんか?」(店頭POP用)、
「角質オフしてマスク生活でも乾燥0へ!」(パッケージ用)という2つのキャッチコピーと、
「#簡単角質ケア」「#濡れた手でもOK」といった複数のハッシュタグを提案。さらに、商品を温泉旅館においてもらい認知度を高めるといったプラスαのアイデアも盛り込み、その点も高く評価されました。

 最優秀賞、優秀賞を除くほかの9チームの発表は以下の通りです。

【Aチーム】
10~20代をターゲットにし、これからの季節「冬」に着目して提案

【Eチーム】
当該商品購入者のボリュームゾーンの母親世代にターゲットを設定

【Hチーム】
商品の特徴を「ポロポロピーリング」いったキャッチーなワードで表現

【Jチーム】
既存のハッシュタグと当該商品オリジナルのハッシュタグの併用を提案

【Nチーム】
男性もターゲットに含め、ジェンダーニュートラルなボトルデザインも提案

【Qチーム】
金銭的理由でエステサロンに行けない若年層にコスパの良さをアピール

【Tチーム】
将来顧客として中高生をターゲットにし、印象的なハッシュタグを発案

【Vチーム】
ケアの手軽さから、急がしい人、ずぼらな人、時短を求めている人に訴求

【ACチーム】
ピーリング・ゴマージュ市場で当該商品が売上1位であることを強調

授業後のアンケートでは、9割以上が産学連携(PBL)に再び取り組みたいと回答

授業後のアンケートでは、このような産学連携(PBL)の取り組みを「またしてみたい」「少ししてみたい」と答えた学生が96%。満足度の高さがうかがえる結果となりました。

具体的には、
「実在の商品について提案をすることも、多くの人の前でプレゼンテーションをすることも初めてだったので良い経験になった」
「他チームが自分たちのチームにはない発想をしていて勉強になった」
「データやグラフ、イラストや音声を盛り込むことで、プレゼンの説得力が増すと学んだ」
「どうやって商品を改善するか、なぜその商品が売れているのかなど、企業が抱える課題に目を向けられるようになった」
「グループワークにおけるチームワークの重要性も学んだ」
「実際に企業の方と連携できる機会は大変ありがたく、将来、仕事でプレゼンする機会にもこの経験を役立てたい」
など、前向きな感想が寄せられました。

なお、学生が提案したアイデアについては、桃谷順天館の社内で実際に販促に生かすか検討いただけるとのこと。今後の展開が楽しみです。

学生コメント

私たちのチームは、女性に比べて美容への関心が低いと思われている男性をターゲットにした商品を提案しました。

苦労したのは、どのようなキャッチコピーなら目に留まるのかを男性目線で考えること。100人以上が参加している授業ということもあり、いかにほかのチームとの差別化を図るかという点も意識しました。なぜこの商品なら売れると考えたのか、その根拠をデータで示すだけでなく、商品名と韻を踏んだキャッチフレーズを音声に落とし込んでスライド資料に盛り込んだり、アピールしたい言葉を強調するために極力情報をそぎ落として、文字の色や太さといったスライドのビジュアル面にも工夫を凝らしたり。もちろん、「どのような提案をすれば桃谷順天館様の売上アップに貢献できるか」という点は最重視して考えました。

 企業の課題解決に携わるといった活動は今回が初めてでしたが、非常に新鮮な経験であったと同時に、化粧品というとても身近なテーマで取り組めたことがとても楽しかったです。また、一つの商品を売るためには統計分析に基づくマーケティングなど企業側のさまざまな努力があることや、長く愛される商品を作るためには常にブラッシュアップを重ねる必要があることも知ることができました。商品を販売する側、購入する側の双方の目線に立って考える機会にもなり、非常に貴重な学びになったと感じています。

今回の私たちの提案が、商品化に結びつく可能性もあるとうかがいました。だからこそ、企画から実際の販売へと進んでいく過程についてもぜひ知りたいと思いますし、自分が何か物を購入する際には、キャッチコピーを始めとする販売戦略にも目を向けていきたいと考えるようになりました。このPBLで得た知見を、今後のプレゼンや提案といった学修の場に生かすとともに、社会活動に参加したり、将来仕事に就いたりする上でのヒントにしていきたいです。

桃谷順天館人事部シニアマネージャー 大江崇氏のコメント

角本先生のゼミ生が当社に就職してくれたことをきっかけに、2020年度から実践女子大学との産学連携(PBL)に参加させていただいています。

今回は授業の一環ということもあり、「授業の内容を踏まえているか」「データや文献を引用して説得力のある提案をしているか」といった点を加点対象として審査させていただきました。非常に興味深いご提案ばかりで甲乙付けがたかったのですが、最優秀賞を獲得したMチームは、明確なターゲット設定により提案の趣旨が一貫している上に、キャッチコピーの面白さも抜きん出ていたと思います。

化粧品のPRにおいては、学術的な理屈だけでなく「感性」も非常に重要で、はやっていると認識した時点で既に旬が過ぎているということも多々あります。昨今のコロナ禍で、「マスクで隠れるリップ周りの商品は売れない」「マスクに隠れない目元周りの商品が売れている」といった、従来のトレンドだけでは説明できない需要の変化も起きています。だからこそ若い感性を生かしつつ、簡単には数値化できないトレンドを反映したご提案をいただき、大変満足しております。

今回、選ばれたチームはもちろん、残念ながら選外となったチームも含め、発表していただいた内容については当社の企画部門で共有したいと考えています。実際の販促物に活用させていただく場合は、あらためて皆さんにご報告させていただきます。

なお、今回発表の対象とならなかったチームも、受賞を逃したチームも素晴らしいアイデアをご提案くださいました。今後より一層感性を磨き、授業での学びと紐付けながら、それを卒論などに生かしていただければ幸いです。また、この取り組みを機に化粧品業界に興味を持っていただき、ゆくゆくは学生の皆さんの就職先の選択肢に我々の会社を加えていただければ大変光栄です。

角本伸晃教授のコメント

2020年度は3年生対象のゼミ、2021年度は2年生対象のゼミと、桃谷順天館との産学連携(PBL)に3年連続で取り組ませていただいております。今年度は1年生対象の授業「経済学概論」の一貫。需要曲線のシフト要因には、所得要因だけでなく温度や湿度と行った環境要因もあり、「DETクリア」という製品と販売実績と湿度の相関が高いことを説明した上で、キャッチコピーやハッシュタグを提案してもらいました。行動経済学の観点から、キャッチコピーにおける韻を踏むことの有効性なども指導。最優秀賞のMチームは、これらをすべて考慮した提案をしてくれました。

昨今、座学で知識を教える講義形式だけでなく、学生が能動的に学修に参加する「アクティブラーニング」を授業に取り入れるよう文部科学省も提唱しています。それを受け、本学でもさまざまな産学連携(PBL)に挑戦。座学の講義形式の授業を「アクティブラーニング0」とするなら、プレゼンやグループワーク、外部講師を招いた講演を取り入れた授業は「アクティブラーニング1.0」、企業や地域と連携してさまざまな提案をし、商品開発や地域政策に生かしてもらうのが「アクティブラーニング2.0」と捉えるならば、ゆくゆくは「アクティブラーニング3.0」を目指して取り組んでいます。とはいえ、学問としての講義内容を消化し切れないままアイデア勝負に陥ってしまっては意味がありません。学問としての経済学をしっかりと学びながら、低学年から産学連携(PBL)に取り組むことには大きな意義があると考えています。今回の取り組みについては少なくとも、「アクティブラーニング1.5」のレベルには到達していると思います。

この経験を礎に、2年次、3年次ではさらに専門性を取り入れた提案にチャレンジし、徐々に研鑽を積んでいけば、他大学の学生との競争を強いられる学外コンテストや今後の就職活動でも十分戦えるだけのスキルを身につけられるはずです。教職員側も、そのスキルを身につけられる学びの場を提供できるよう、工夫していきます。

今回のプレゼン発表に同席いただいた井上綾野先生の演習でも、桃谷順天館の商品開発の課題に取り組んでいます。また、私が担当するほかの授業では、株式会社東京サマーランドとの産学連携(PBL)なども行っています。今後は産学連携に加え地域連携のPBLにも取り組んでいきたいと考えていますので、学生の皆さんはぜひ機会があればチャレンジしてみてください。