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2026年3月18日

デザイン思考で挑戦!実践プロジェクトbの授業にてTANZO、ゼクシィとの連携授業の最終発表が行われました。

1月14日(水)、実践プロジェクトb(担当:美学美術史学科下山肇教授)の授業にて、鍛造指輪株式会社(以下、TANZO)常務取締役 曽我石 龍之介氏と株式会社リクルートのゼクシィ編集部(以下、ゼクシィ) Divison総括本部 マリッジ&ファミリーDivision 朝賀しお莉氏、鈴木莉乃氏をお招きし、学生の提案の最終発表が行われました。

授業と企業連携について

実践プロジェクトbは、2年生以上の学年を対象に開講されている共通教育科目です。問題解決(PBL)型授業で、企業から渡される課題に対して、学生が解決策の提案を行います。この授業では、課題に対する解決策を考える方法としてデザインの考え方を取り入れています。

今年度はTANZO、ゼクシィとの企業連携が行われ、ブライダル分野の課題に挑戦しました。TANZOは婚約指輪や結婚指輪を中心にオーダーメイドの指輪を製作・販売を、ゼクシィは結婚に関する総合的な情報発信を行っています。

授業のあゆみ

初回授業では、曽我石氏、朝賀氏、鈴木氏が来校し、〈新しい出会いの手段を創造する〉という課題が発表されました。その後、それぞれの企業の紹介とブライダル業界が抱える課題点が共有されました。学生には、課題として既存の出会い方にとらわれない「新たな出会いの手段」を見つけ出すことが求められていると伝えられ、大学生ならではの柔軟な発想への期待が寄せられました。

その後、まずは学生自身が「自分が出会いたい人」のイメージを出発点としてイメージボードを作成。完成後は学生間でイメージボードの交換が行われ、自分ではなく、『クライアント』の求める人物と出会える場の企画の考案を進めていきました。キーワードの抽出・整理を行いながらアイデアを発展させ、中間発表での企業からのフィードバックをもとに企画内容を具体化。その間、AIを思考の壁打ち相手として活用しながら企画を段階的に検討し、『出会いの手段』の提案へとまとめていきました。

中間発表でのフィードバックを受け、企画のブラッシュアップを行った学生たち。それぞれのクライアントが求める『出会いたい人物』に出会える場をテーマに、企画の最終発表が行われました。

学生の発表

ニャン・テリジェンス

クライアントの求める”出会いたい人物像”と、既存のマッチングサービスにおける「外見や条件は分かる一方で、人の価値観が見えにくい」という問題点に着目し、外見や条件だけでなく内面の相性を重視した出会いを目指す、AIを活用したマッチングプラットフォーム〈ニャン・テリジェンス〉を提案しました。

イメージボードから『多趣味』『清潔感』『対話力』の3点を要素として抽出し、AIとの対話による性格分析やAIが話題を提供するテーマトークを通して、データに基づくマッチングと実際の対話の両面から相性を確かめられる仕組みを設計しています。特に『清潔感』の要素として姿勢の良さに着目し、カメラの情報をAIが分析して姿勢が悪くなると猫の鳴き声で知らせる機能を提案しました。

さらに、参加者を連携企業に勤める社会人に限定することで、サービスの信頼性向上と安定した参加者確保を図り、企業価値の向上にもつなげる点を特徴としています。

曽我石氏は「ネーミングが素敵です。AIの要素が加わることで、分析とフィードバックのサイクルが実現可能だと想像できました」とコメントしました。朝賀氏は「異なる人に惹かれる側面もあると思うので、『価値観が同じ』だけではない、多様な出会いをサポートできるとさらに良くなると思います」とフィードバックしました。

教えあい料理教室

クライアントの求める人物像を表したイメージボードから『誠実な人間性』『食に対する興味』の二点に着目し、出会いにおいて表面的な情報だけでは分かりにくい相手の本質を短期間で知ることができる“出会いの場”として〈教えあい料理教室〉を提案しました。

買い出しから片付けまでを参加者自身が担い、レシピを教えあいながら交流する点が特徴です。集合後は買い出しから始まり、調理や食事、片付けまでの流れを共にすることで自然なコミュニケーションが生まれるように設計しました。また、一連の作業を通して食の好みや性格、ライフスタイル、指示の出し方など、参加者の本質を知ることができるとしました。

体験価値を重視する大学生や20〜30代社会人を対象に集客し、本気度を担保するため月額3,000円の会費を設定しました。料理を通して参加者の本質的な部分を知ることができる企画として説明されました。

曽我石氏は「出会ったあと、実際に付き合ってみたときに感じるズレが少なそうです」とコメントしました。朝賀氏は「初心者歓迎の部や、逆に食べるだけの人の枠を設けるなど、参加者の条件はさらに展開できそうです」とフィードバックしました。鈴木氏は「慣れてきたときに人の本質が出る気がするので、3回以上の参加を必須にするなどの条件を付けるとよいのではないでしょうか」とコメントしました。

仮想協働生活アプリ〈OUR LIFE〉

クライアントの「出会いたい人」の要素を示したイメージボードから、『優しくて笑顔が柔らかい』『想像力豊かで思いやりがある』『たばこを吸わない』という点に注目し、「相手に誠実に向き合う姿勢」「第三者との関わりから見える本来の性格」「健康的な生活」の三点を“出会いの場で見極めたい要素”として抽出しました。

既存の出会いの手段では実際の生活に関する情報が不足しているという課題を踏まえ、人を選ぶのではなく“確かめる”場として仮想生活マッチングアプリ〈OUR LIFE〉を提案しました。企画はAIによる自己分析とマッチング、共同生活、卒業の三段階で構成され、共同生活では献立や食事、子どもと遊ぶ体験、ストレスイベントなどのタスクを通して金銭感覚や健康意識、対応力を見極める仕組みとしました。

期間は1日・1週間・1カ月から選択可能とし、本気の出会いの場として月額3,600円の参加費用を設定しました。

朝賀氏は「“ゲーム=攻略”と捉える人もいるため、より“出会い”にフォーカスした方向性で展開していくと、マッチングアプリとしての安全性が高くなると思います」とコメントしました。

鈴木氏は「スマートフォンの歩数と連動して移動距離が見られたり、ステータスとしてポップが表示されたりするなど、リアルと連動した機能があるとよりよいのではないでしょうか」とフィードバックしました。

〈SYNC TO UNLOCK〉

クライアントのイメージボードにある『気遣いができる、ユーモアがある、韓国風ストリートファッション』といったキーワードから、コミュニケーション能力の高さ、視野の広さ、トレンドへの敏感さを出会いの場に必要な要素として抽出しました。これらを踏まえ、ファッションブランドに焦点を当てたイベント型POP UP SHOP〈SYNC TO UNLOCK〉を提案しました。

本企画では「脱出ゲームをクリアしなければ商品を購入できない」という制約を設け、初対面の参加者同士が協力せざるを得ない状況を生み出すことで、自然な交流を促します。さらにゲーム内容も、求められる人物像の要素が発揮されるよう設計しました。脱出後には参加者ごとに異なるクーポンを配布し、共有することで全員が利用できる仕組みとすることで、参加者同士のコミュニケーションを促し、連絡先交換などイベント後の関係形成にもつなげる企画として説明しました。

朝賀氏は「ファッションブランド以外のコンテンツでも実施できそうな内容だと思いました」とコメント。曽我石氏は「実施することでアパレルブランドに対する愛着も上がり、ビジネスとしても成り立つ企画だと思います」と話しました。

バーチャルとリアルをつなぐマッチングアプリ

クライアントのイメージボードから、「趣味を一緒に楽しめる人」という要素に注目しました。物事に取り組む姿勢や態度を知ることができ、同じ趣味を持つ人と出会える場として、シミュレーションゲームとマッチングアプリを組み合わせたサービスを提案しました。

このサービスでは、理想の暮らしをシミュレーションしながらタスクをこなすことでポイントが付与される仕組みを採用しています。アプリの登録者は、好きなコンテンツのタグ付けや、過去に参加したライブチケットの登録などを行い、「好き」を通じたマッチングが行われます。

また、タスクには生活における価値観に関する内容を設定し、同じ物事に対する取り組み方や姿勢を判断できる設計としました。さらに、タスクをこなして得られたポイントは、実際のライブチケットやグッズと交換できるようにすることで、オンライン上で協働した相手とリアルで出会うための導線を確保しました。

朝賀氏は「同じ趣味を持つ友達のコミュニティを広げる目的でもできそうです。チケットやグッズ目的の人もアプリを使用すると思うので、出会い目的を確実にするシステムがいると感じました」とコメント。鈴木氏は「ポイント交換チケットの転売対策も必要だと思いました」とフィードバックしました。

朝食コミュニティ

クライアントのイメージボードにある「いただきますが言える人」「細身の体形の人」「自己管理ができる人」という要素に着目し、「朝ごはん」を共に食べる食事会を出会いの場として提案しました。

ターゲットは25〜39歳の会社員とし、1日の始まりである朝を整えることで自分自身や仕事の調子を整えたいと考える人々を想定しています。参加者は出社前に会場へ集まり、到着後は各自のタイミングで「いただきます」をして食事を開始する仕組みとすることで、自発的に挨拶ができる人物かどうかを確認できる点を特徴としました。さらに参加条件にBMI23未満を設定し、「細身の体形」という要素を満たす設計としています。食事はグラム単位での事前申請制とし、完食をおかわりの条件とすることでフードロスにも配慮しました。最後に参加者全員で「ごちそうさま」を言うことを合図に終了する企画として説明しました。

曽我石氏は「中間発表からより詳細な内容が詰まっていて、具体的なイメージがつきました。グラム単位で指定するということは、美意識が高い人たちが集まりそうですね」とコメント。朝賀氏は「休日プランやランチ会など、様々なパターンがつくれそうです」と企画の発展性について指摘。鈴木氏は「クライアントの要望通り、『いただきます』を自然に発生させるシステムがきちんと設計されていてよかったです」と評価しました。

授業の終わりに

曽我石氏は「授業で終わらせることがもったいなく感じるくらい、社会につながる提案でした」とコメント。朝賀氏は「就職活動のエントリーシートに”学チカ”として十分かけるような、充実した発表でした」と話しました。鈴木氏は「アイデア出しやスライド作成など、提案を考える過程も参考になりました」と話しました。

今回の授業は学生にとって、デザインの考え方を取り入れながら、アイデアを企画として具体的な形にしていく過程を実践的に学ぶ貴重な機会となりました。クライアントの要望をもとに考え、試行錯誤を重ねながら企画を磨き上げていく経験を通して、発想力だけでなく、相手のニーズを捉えて形にする力を養う機会となりました。

担当教員からのメッセージ

【生成AIの活用と他者視点の融合】

今回の授業では、主に二つのポイントを設定しました。

第一は、生成AIを活用したデザイン思考の実践です。第二は、自分自身ではなく「他の履修者」をクライアントとして想定し、企画を構想することでした。

まず生成AIについてですが、現在はまだ技術の過渡期にあり、その利用については賛否さまざまな意見があります。しかしデザイン分野においては、今後重要なツールになると考えられるため、学生には早い段階で実際に体験してもらうことを重視しました。

ただし、生成AIは使えばよいというものではなく、使い方によっては単なる作業の効率化にとどまってしまいます。そこで授業では、「どのようにAIを使うのか」という思考の組み立て方そのものを学習の中心に据えました。まず自分自身の発想を起点にアイデアを練り上げ、その過程で資料やデータの収集、調査や取材を重ねます。その上で、ある程度まとまった構想を生成AIに投げかけ、返ってきた提案や視点を再び思考の材料として検討し直す、という往復を行いました。こうした過程を通して、AIに依存するのではなく、自分の構想を軸にしながら活用する姿勢を体験的に学ぶことができたと考えています。

もう一つのポイントである「他履修者をクライアントとすること」についてですが、通常の課題制作では、自分自身から発したものやことをテーマとして考えることが多くなります。しかしその場合、主観的な考えから抜け出せず、発想が行き詰まったときに突破口を見出しにくいという側面があります。そこで今回は、自分ではない「他履修者」から発した題材を元とすることで、より客観的な視点から問題設定や提案を行う方法を試みました。デザインは本来、自分ではなく常に自分以外の 「何か・誰かのために」行う行為であり、その実践的な思考方法を体験することが目的でした。

結果として、協働企業の方々からは非常に高い評価をいただきました。企画内容についても、「ここで終わらせるのはもったいない。さらにビジネス化の可能性を検討し、次のフェーズへ進めたい」というご意見をいただくことができました。

学生の持つ高いポテンシャルと、生成AIなどの現代技術を組み合わせた方法論によって、実社会と接続した充実した授業を実現できたと考えています。

2025年11月21日

「アート・プロジェクト実践」の最終授業と学びのフェス2025夏にて、前期の授業成果の実践が行われました。

7月23日(水)に「アート・プロジェクト実践」(担当:文学部美学美術史学科 下山肇教授)の授業で、協力企業とゼミ卒業生をお招きし、開発内容の実践が行われました。また、8月6日(水)に実践女子大学渋谷キャンパスを会場に開催された、毎日新聞社主催「学びのフェス2025夏」にて来場した小学生を対象にプロジェクトを実践しました。

授業について

「アート・プロジェクト実践」は美学美術史学科の学生を対象に開講されている学科専門科目です。

「創造力開発系アートワークショップ」のオリジナルプログラムを開発する内容で、ワークショップの開発と実践を通じて、自己の協働力の向上と、地方創生に寄与することが目的となっています。授業で開発されたワークショッププログラムは、8月21日(木)~23日(金)にかけて開講される同学科集中講義科目「アートと社会連携」にて、福島県相馬市で実践されました。福島県と関連したワークショップ開発プロジェクトは今年で三年目の開催となります。→福島で行われたプロジェクトのプレスリリースはこちら(https://www.u-presscenter.jp/article/post-57048.html)

本授業は、福島で行われるワークショップの実践において、企画運営を株式会社織絵、ワークショップ内で使用するAR技術の提供を株式会社palanの2社と協働して行っています。

今年度の授業内容と経緯

今年は「福島県相馬市の小学生」を対象としたワークショッププロジェクトの開発が行われました。初回授業では、創造力開発を目的としたアートワークショップの詳細が説明され、このプロジェクトが地域創生を目的としていること、また「ワークショップで制作した成果物をAR化すること」が前提であることが共有されました。さらに、ワークショップで扱うモチーフは、かつて相馬市に存在した「中村城」であることが発表されました。学生たちはワークショップで城を制作し、その成果物をAR化。現地の風景に重ね合わせることで、新しい視点の提供と、現在の風景の魅力を再発見することを目指しました。

学生はまず「城」の構成要素を分析し、成果物に必要な要素(キーワード)を抽出。その要素を表現したラピッドプロトタイプ(アイデアを簡易的に形にしたもの)を制作しました。制作がある程度まで進んだ段階で、各自のプロトタイプを全員で共有し、「良かった点」や「改善点」などを発表し合い、意見交換を行いました。その後、出された意見をもとに互いのアイデアを組み合わせたり取り入れたりしながら、作品を発展させていきました。14回にわたる授業で制作と共有を繰り返し、最終的に方向性と具体的な制作物を決定。学生たちは制作手順を整理し、実践に向けた準備を進めました。

キーワードを抽出した用紙
城の屋根を表す形のラピッドプロトタイプ
プロトタイプから発展させ、重なりを検討している様子
制作を円滑に進める道具(万能定規)の開発
これまでの開発物①
これまでの開発物②

最終授業にて

7月23日(水)の最終授業では、株式会社織絵から代表取締役の作山雄彦氏ほか3名、株式会社palanから代表取締役の齋藤瑛史氏、デザインゼミ卒業生の牛島明日香さんをお招きし、現地で実践するプロジェクトを体験してもらい、フィードバックと感想をいただきました。学生はプロジェクトの手順や説明の改善策について、熱心にメモをとって聞いていました。

株式会社織絵のみなさんとごあいさつ
①一枚の紙を切る
②さらに切る・折るを繰りかえす
③ホッチキスで止め、立体にしていく
④組み立てる
⑤土台とくっつける
⑥ひもを通してかぶる
参加者のサポートを行う学生
手順を説明する学生
フィードバックの様子
早速改善を進める学生たち
作品のAR化を見守る皆さん
AR化された作品
AR作品データQRコードを読み取っている様子
実際のAR画面

実践の様子

8月6日(水)に本学を会場として開催された、毎日新聞社主催「学びのフェス2025夏」にて、小学生を対象に、開発したワークショップの実践が行われました。
大学生のほか、実践女子学園 中学校高等学校からボランティアの生徒が参加。小学生の制作のサポートを行いました。

福島での実践

開発されたプログラムは、8月21日(木)~23日(金)にかけて開講された美学美術史学科集中講義科目「アートと社会連携」にて、福島県相馬市で実践されました。
実践の様子は、福島民報、福島民友に掲載されました。

担当教員のコメント

作品づくりのプログラムをゼロから開発するのは難しいことだと思われがちですが、まず必要なのは頭の中で成果を「想像」することではありません。自分の手を動かし、その場で現れたモノやコトの中にどのような良さがあるのかを自ら発見することから始まります。さらに自身では気づかなかった部分を仲間からの意見で認識しそれを取り入れたり、他者のアイデアと組み合わせていくことで、自分たち自身も驚くような思いもよらない作品が「創造」されるのです。私たちはこのプロセスを「手で考える」と呼んでいます。
また我々の行うアートワークショッププログラムの実践では、アーティストや専門家が行うものとは異なる独自の魅力があります。大学生や中高生が開発し実践するプログラムは、アートに苦手意識を持つ方々にとっても親しみやすく、「創造」へのハードルを下げる効果が期待できます。
こうした体験を通じて、身近なアートを手がかりに日常に隠された価値を「再発見」し、地域の創生や活性化や豊かな生活へとつながっていけばと願っています。

2022年10月19日

生活文化学科の取り組みとして発達障害のある子ども向けに臨床美術の体験プログラムが行われました。

9月30日(金)に日野キャンパスで、生活文化学科 井口 眞美准教授および長崎勤教授のゼミと印刷博物館の提携により、発達障害のある子ども向けに臨床美術の体験プログラムが行われました。幼児教育・障害児発達支援の一環として臨床美術を活用できないかを探る、最初のトライアルとなりました。

印刷博物館 中西様
凸版印刷 肥田野様
芸術造形研究所 高橋様

発達障害のある子どもと一緒に「おえかき」

臨床美術の取り組みは、長崎教授の「発達支援プログラム」のひとつとして今回取り入れられました。発達支援プログラムとは、発達障害のある子どもの発達を促すためのプログラムです。子どもの発達にどのような効果をもたらすのか分析・検討し修正を繰り返し研究成果として発表する予定です。

この日はプログラムに協力してくださる7歳の自閉スペクトラム症のお子さん(T君)に向け実施されました。プログラムはまず、ゲームやお店屋さんごっこ、おやつの時間などを通し、認知・言語コミュニケーションの発達支援が行われました。その後「おえかき」の時間として30分間の臨床美術プログラムが行われました。

画用紙に不定形の紙を貼り付け触感を変えた紙とパステルをT君に渡します。そこに好きな色でまず線を引いてもらいます。パステルの色や持ち方、力の入れ方を変え何本も線を増やしていきます。直線や曲線など線のバリエーションを増やし変化を付け、お子さんもその変化を楽しんでいました。次に色が重なったところを指の腹でこすって色を広げたり、混ぜたりとさまざまな色の表情を作っていきます。線で囲まれた形に色を塗りつぶしていき、全体的に色を載せます。そこに、割りばしを鉛筆のように先をとがらせたものが登場。それを使って絵をひっかきます。ひっかいた線は削れて白い線が出て、絵の上からさらに絵を描いて楽しみます。最後は吸着する粉を絵に掛け、指で磨くと表面がつるつるに。「この絵はどちらを上にしますか?」と先生に聞かれ、縦横を反転させたりして作品を完成させました。

このプログラムは先生の他、学生たちも両隣でお手本のように同じ手順で絵を描きお手伝いしていました。最後は学生たちの絵も並べて鑑賞会を行いました。T君は、他の人の作品のどこがいいかを聞かれ、考えながら「なんか、、色が、、いい。なんか、色が(たくさん)ぬってるから」など感想を言っていました。

T君は、初めて出会った先生のモデルをよく注視し、先生の言う順番に沿って線や色を塗っていきましたが、時々、注意がそれ、他のことをしだしてしまう場面もありました。先生の指示が難しいと「手伝って」ということもありました。絵が完成すると「パパ見て」「おうちでもやってみる」ととても楽しかった様子で家族に報告していました。

臨床美術とは?印刷博物館との連携により実現した

今回のプログラムは大学と印刷博物館の包括連携の一環で実現しました。ただ、今年はまだ初年度。お互い何ができてどんなニーズがあるのかを考えていた際に、印刷博物館の親会社・凸版印刷株式会社の子会社である芸術造形研究所との連携が案として浮上しました。芸術造形研究所では臨床美術の研究を行っており、臨床美術が、実践女子大学の幼児教育の授業に利用できるのではというところからスタートしました。

臨床美術とは、美術家や医師などによって開発されたアートプログラム・メソッドです。絵を描いたりオブジェを作ったりする創作体験を通し五感を刺激することが目的です。高齢者から幼児まで色んな現場で行われており、美術体験、コミュニケーション体験を通じ、気持ちを開放したり他人を受容したりという効果が期待されます。アートプログラムは600近くあり、さまざまなアプローチがあります。今回選ばれたプログラムは、7月頃に学生たちに体験してもらい、幼児向けへの改善点を踏まえてこの日に臨みました。

ただ、初めての試みであるため今回のプログラムが楽しんでもらえるかは未知数でした。今回をトライアルとして反応を見つつ、今後違うプログラムを試してみるなどアプローチを継続的に続けていく予定です。また、キャンパスのある日野市は多くの幼稚園、保育園があります。障害のある子どもに限らず、今後は広く幼児教育の一環として、臨床美術を実践女子の学生たちが利用させていただくことも検討されています。「やはり包括連携の目的として、実践女子の学生さんたちにどうお手伝いできるかを考えていきたい」印刷博物館の中西様も仰っていました。

プログラムでは10人ほどの学生たちが記録を取ったりお子さんとコミュニケーションを取ったりと、しっかりサポートしていました。今回の体験は障害児発達支援を直接学べる良い機会になりました。今後も引き続き凸版印刷さんと連携し、活動を継続していきます。

2022年9月29日

実践プロジェクトb「人と社会の活性化を促すアート・デザイン」学生達が練り上げた企画の数々が発表されました

実践女子大学と長岡造形大学の2大学が連携し、産学協同で社会をよりよい方向へ進めるアート・デザインを探求する「実践プロジェクトb」。K.UNOさんとリクルートさんにご協力を頂き、「新しい時代のブライダルジュエリー」を考える授業も、いよいよ最終発表を迎えました。学生達はブライダルジュエリーを取り巻く課題を様々な角度から考え、魅力的な企画にまとめあげました。

長岡造形大学では、パッケージなどの実物を制作して持参する学生も

最終発表はこれまでの授業と同様に両大学をリモートでつないで行われ、離れていてもオンライン上で共通のテーマについて考え、一緒に歩んできた仲間達が集合しました。発表を前に学生達が緊張した表情を浮かべる中、K.UNOの青木氏、リクルートの米田氏の「みなさんの発表を楽しみにしていました」というあたたかい言葉で始まりました。

プレゼンテーションの口火を切ったのは、長岡造形大学です。約10分の持ち時間で、全14のチームが順番に壇上へ。8枚の花びらをリフォームしなくともパートナーや子と分けて絆を受け継ぐことができるジュエリーや、結婚記念日を食べられるパンで祝うリングパンなど、次々と個性的な企画が発表されました。家族から譲り受けたパールのネックレスをリメイクするジュエリーは、夫婦だけでなく親子の絆も大切にする視点が盛り込まれていました。

中には企画のパッケージや絵本、ウェルカムボードなどを、実際に造って持参した学生も。画面越しに実物をみた学生達から、歓声が上りました。ブランド名やロゴ、スライドに添えられたイラストなども細部までしっかりデザインされ、完成度の高さを感じさせました。

実践女子大学では、課題の解決にフォーカスした様々な切り口の企画を発表

続いて登場したのは、実践女子大学の5チームです。インテリアチームからは、ジュエリーBOXをインテリアと組み合わせる画期的な企画が発表されました。リビング、ダイニング、ベッドルームそれぞれで、夫婦の絆の象徴であるブライダルジュエリーを活かす新しいインテリアが印象的でした。ツアーチームは夫婦旅行とジュエリーを組み合わせた企画を発表。夫婦で採取した砂金でつくるブライダルジュエリーなど、結婚数年後に設定した旅行を夫婦の絆につなげる工夫が各所に詰め込まれていました。

このほかにも夫婦の記念日の星座が天井に映し出される「ジュエリープラネタリウム」、シングルでも推しと結婚できる「ヲタ活ジュエリー」、指輪をつけられない人でも夫婦が過ごした時間を可視化するインテリアアイテム「シャドウラグストーン」、ブライダルジュエリーを中心に「夫婦のエピソードを描いた絵本」など、次々と魅力的な企画が披露されました。

いずれのチームも企業が直面する課題をどう捉え、その解決には何が必要かというロジックをグラフなどの図表をまじえてしっかり説明し、企画の説得力を強化していたのが印象的でした。

今回の取り組みをどう

すべての発表が終了し、最後にご協力いただいた2つの企業からコメントをいただきました。今回の取り組みを仕事に活かすヒントも合わせて紹介されました。

青木氏:「近年『モノからコトへ』と価値の転換が謳われますが、私たちのオーダーメイドジュエリーの世界では、コト(想い)をモノに込めて表現することが一般的です。ところが今日はそういった観点だけではない、ブライダルジュエリーの幅や可能性を広げる企画が多く、みなさんの発表を通してたくさんの気づきがありました。結婚やブライダルジュエリーに初めて触れる学生ならではの、新鮮な視点を感じることができました。

みなさんの企画に『幸せの時間をより長く楽しむ』、結婚を点ではなく線でとらえる発想が多かった点もその一つです。今日プレゼンテーションいただいた提案や考え方を、今後の商品開発にうまく活かしていきたいと考えています」

米田氏:「今日ここで発表していただいた企画を、みなさんが社会人になった時、自分はどう実現するか改めて考えていただけたらうれしいです。そこに学生のときには気づかなかった、新たな学びが生まれることでしょう。
ビジネスの企画には、再現性・汎用性・新規性という3つの要素が必要です。また魅力ある企画にするためには、①対象を変える、②付加価値をつける、③価値を変えずに伝えることを変えるという視点が役に立ちます。ぜひ会社で企画の仕事をする際は、ぜひ思い出してみてください。
現代の日本では、結婚式や披露宴も減っています。婚姻届けを出したご夫婦の40%しか結婚式を挙げないという調査データもあります。ブライダルジュエリーや結婚式は『夫婦が立ち戻れる場所』という価値を持っています。ゼクシイに携わる者として、できれば多くの人にその価値を再確認してほしいと思います」

4月からスタートし、約半年間に渡ってまとめあげた企画は、どれもブライダルジュエリーの本質を探究した姿勢が現れていました。今回の取り組みは、学生達にとってビジネスの課題を解決する企画の在り方を、深く考えるきっかけになったことでしょう。

2022年9月29日

実践女子大学の渋谷キャンパスで「学びのフェス」が開催され学生も子どもたちと交流しました!

夏休み期間中である8月23日(火)に、実践女子大学渋谷キャンパスで毎日新聞社主催の「学びのフェス」が開催されました。小学生たちが訪れ、さまざまな企業や団体の出張授業を体験するイベントです。実践女子大学からも出張授業やコーナーが出て、学生たちも授業の手伝いや子どもたちとの交流を行いました。

学びのフェスとはどんなイベント?

「学びのフェス」とは毎日新聞社等が主催する、さまざまな企業やNPOの小学生向けの出前授業を一堂に集めたイベントです。このイベントは2014年から毎年夏休みと春休みに行われています。環境や食、労働などをテーマに各企業や団体が趣向を凝らした授業を用意し、小学生たちが社会学習できる貴重な体験イベント。今回は実践女子大学の渋谷キャンパスを会場に行われました。普段は女子大生だけの空間に、子どもたちの楽しそうな声が響きました。

これはゲーム?アート?デザインのひみつを知ろう!

実践女子大学の研究室も小学生たちを相手に出張授業を行いました。文学部・美学美術史学科の下山肇教授による授業は、デザインについての授業です。始まったのは、色の話。色には2種類あることを学びます。絵の具のような「色の三原色」青緑(C:シアン)、赤紫(M:マゼンタ)、黄(Y:イエロー)と、パソコンのモニターなどの「光の三原色」赤(R:レッド)・緑(G:グリーン)・青(B:ブルー)です。

この三原色を使ったボードゲームを遊んでいきます。隣の人と順番に、マスに色のコマをはめて、オセロの要領で並べていきます。シアンとイエローでコマを挟むと、挟まれたコマは2つを混ぜた色である黄緑に変化。そうして色のピースを並べていきます。16コマ全部埋まったボードを見てみると、いつの間にか「アート」のパーツが出来上がっていました。みんなで遊んだボードは組み合わせて、大学の玄関の柱に貼り付けられ、お客様をおもてなしする壁面アートとして展示されます。一人で作ったものは小さくとも、全員で少しずつ協力しひとつの作品を作る「共創」。これからの時代を生きる上で大事な考えを学びました。

カルタで遊んで楽しく学ぼう

現代生活学科の須賀ゼミの学生が開いていたのはカルタのワークショップ。学生たちが、中学校の家庭科教科書を元に作成した「くらしいろはカルタ」を使います。カルタは、百人一首のように上の句と下の句に分かれ、それぞれ同じイラストが描かれています。子どもたちは、それを神経衰弱のように絵柄を合わせて札を取っていきます。

札は「リデュースすれば」「ゴミが減る」や「にんじん、トマト」「皮膚を守るカロテン」など54ペアあり、SDGsや栄養、生活文化などについて遊びながら楽しく学べます。中には「カードには便利と危険」「2つの顔を持っている」など現代の消費生活に合わせた知識も。子どもたちは真剣な表情で札を覚え、取れると「やったー」と拍手して喜んでいました。

遊んだあとはSDGsの目標である2030年にどのような街にしたいか、オリジナルのカルタ作り体験も。須賀ゼミでは「多世代交流かるた」を制作しており、高齢者や子どもたちとの交流を通して素直な思いをそのままカルタにする取り組みを行っています。学生たちは6月頃から就活の合間を縫い、このイベントに向け準備していました。学生の一人は「対面で子どもたちとカルタをするのは初めて。真剣にやってくれてとても嬉しいです。カルタを通じてSDGsや良いくらしを伝えていけたら」と話しました。

実践女子学園中学・高校ってどんなところ?

ラウンジには、実践女子学園の中学校・高等学校から来た有志「JJブロッサム」の生徒たちによる、小学生との交流コーナーも。「小学校と中学校はどんな風に違いますか」などといった質問に答えていました。

実践女子学園の良いところは?と聞くと、都会の中心である渋谷にありつつ、静かで落ち着いているところが真っ先に上がりました。また、中学と高校の垣根も低く、色んな考えや価値観の人と交流ができ視野が広がるという意見も。そして何より制服の可愛さ。レトロなセーラー服に惹かれて入学した生徒もいました。伝統と歴史がありつつ革新的な学園に、皆誇りに思っているようでした。

小学生たちとの交流を通して学生たちも学ぶフェス

「学びのフェス」はさまざまな有名企業や団体が参加しており、子どもたちは普段はできない体験をすることができます。実践女子大学の学生たちも、それぞれの授業の手伝いを通し、子どもたちと交流しました。イベントでは自分で考え、自発的に動き仲間たちと助け合って進行します。学生たちにとっても、良い体験となったイベントでした。

2022年7月26日

美学美術史学科の学生が「かわさきSDGsランド」でSDGsを楽しんで学べるブースを出展しました

文学部美学美術史学科「デザイン実習d(企画デザイン)」(担当:文学部美学美術史学科 下山肇教授)の学生たちが、6月18日(土)に川崎フロンターレのイベント「かわさきSDGsランド」に参加しました。相田化学工業株式会社と協同し「純銀アクセサリー作り」のブースを出展し、お客様と一緒にSDGsを楽しく学べるワークショップを行いました。

かわさきSDGsランドとはどんな取り組み?

そもそも「かわさきSDGsランド」とはどんなイベントかというと、楽しくSDGsを知れる・学べる・体験できる大規模イベントです。主催は川崎フロンターレ、富士通川崎工場、川崎市公園緑地協会、川崎市で、この4者はもともと「CC(カーボン・チャレンジ)等々力」という取り組みを行っていました。CC等々力では、等々力陸上競技場でフロンターレのホームゲームが行われる際に「エコ暮らしこフェア」という環境に配慮した生活を遊んで楽しみながら学べる環境イベントを、2011年から行っていました。

今年は「エコ暮らしこフェア」の発展版として「かわさきSDGsランド」を開催。脱炭素を筆頭とした環境問題だけでなく、経済や社会も含めたSDGsを川崎市内全域で推進する目的で行われました。40を越えるブースが出展し、エコ気球やキックターゲットなどさまざまなワークショップを楽しみながらSDGsを学べるイベントです。飲食店もたくさんの出店がならび、使用される容器にはリユース食器を導入しました。リユース食器を利用することで、場内のごみを減らしCO2削減に貢献しています。

銀アクセサリー作りはSDGs!

今回、学生たちは相田化学工業株式会社と協同ブースを出展しました。出展名は「純銀アクセサリー作り」です。相田化学工業ではスクラップから貴金属を回収・精製し、新たな資源としてリサイクルしています。そのリサイクルされた純銀を材料にした、「アートクレイシルバー」を使ったアクセサリー作りの体験ワークショップです。銀粘土を型にはめ込み、焼成したものを磨くときれいなシルバーアクセサリーが出来上がります。フロンターレの公式マスコットふろん太くんの顔の型もあり、オリジナルアクセサリーが作れるとあって多くのお客様がブースを訪れていました。

学生たちで「楽しくSDGsを体験できる」コンテンツを作成

学生たちに任されたのは、主に銀の焼き上がりを待つ時間。その時間を使って、身近なものを通して楽しくSDGsを考えるきっかけを作るコンテンツ作りを行いました。SDGsの大切さを伝える「ストーリー」と「名画」、不要になったものを再利用する「しおり」と「折り紙」の4班に分かれ、この日に向けて準備をしてきました。

名画班は「モナ・リザ」や「落穂拾い」など、世界的名画を使ってSDGsを分かりやすく解説したシートを作成。作業台に貼り、手元をみたときや時間の空いたときに読んでもらえるようにしました。ストーリー班は、資源がなくなってしまった星からやってきた宇宙人のおはなしを、イラストボードを使って作業と作業の合間に披露。しおり班は食べ終わったお菓子の箱を切り抜き、ラミネートしてしおりにするワークショップを行いました。折り紙班は終了した美術展のチラシをシャツの形に折り、銀アクセサリーの台紙になるように、お客様と一緒に作成していました。学生たちはそれぞれの班のコンテンツをお互い体験しており、お客様への説明なども他の班の学生もできるよう準備していました。

 自分で考えて動くことで自分の力が分かる

これまでも実践女子大学では、相田化学工業と、SDGs啓蒙のため小学生向けのコンテンツを考えるなどの授業を行ってきました。しかしコロナウイルス感染症の影響で、実際に学生たちがお客様の前で行うのは初めての試みです。

そのため4月からこの日に向けて準備をしてきたものの、緊張もあり、進行が少しぎこちなくなってしまった部分もありました。ただ下山教授は「個人で考えて、自発的に動くことが大事」と言います。「言われたことをやるだけではなく、問題が起きたときにどう動くかが大切。問題はデザインすれば解決する。そのことを今回の経験を通し学んでもらえたら」と話していました。その言葉通り、学生たちは思い通りにいかないなかでも全員で助け合って進行していました。

学生たちも「この日を目標に楽しんで準備してきたので、今日お披露目できて嬉しい」「お客様の前でやるのは緊張するけど楽しいです」と、イベントを楽しんでいるようでした。

2022年4月13日

実践プロジェクトb「人と社会の活性化を促すアート・デザイン」がスタート!

さまざまな課題をテーマに、社会をよりよい方向へ進めることを「アート・デザイン」の観点から探求する、産学協同プログラムの「実践プロジェクトb」。今期は実践女子大学と長岡造形大学の2大学が連携するという、新しい取り組みでスタートしました。普段はなかなか接点のないさまざまな学科の学生が参加する場で、どのような学びが生まれていくのでしょうか。

デザインを手段に、社会課題を解決する手法を学ぶ

冒頭では、下山教授が授業の全体像を紹介しました。デザインというと「絵を描く」「手でモノをつくる」というイメージを浮かべる人が多いですが、社会においてさまざまな企画を実現することもデザインであるという教授の言葉は、そこにいた学生に新鮮な印象を与えていました。実践プロジェクトbでは、デザインを手段に課題を解決する手法を学びます。

今回テーマとなる課題は、コロナ禍で大きく変化したブライダルジュエリー。お迎えした企業のお二人から、いまどんな社会問題に直面しているのか、プレゼンテーションがありました。

Project map代表 米田氏「コロナ禍で大きな変化を迎えた、ブライダルイベントの現状と課題」

Project map代表であり、ブライダル関連での業務経験の長い米田氏は、豊富なスライドを使いながら、ブライダルジュエリーを取り巻く現状を分析。2019年から続くコロナ禍で、結婚式、婚約指輪や結婚指輪の購入といった、結婚につきもののイベントがどう変化しているのかを説明しました。

米田氏によれば、近年結婚式を挙げる人が減少しつつあり、成婚したカップルの中で式を挙げる人は約50%。2020年はコロナ禍がそこにさらに追い打ちをかけました。とはいえ「人との接触を減らす感染対策の中でも、結婚式は挙げたい」というニーズもあり、これまでの二人の幸せな姿を披露する場から、周囲の人に感謝を伝える場に変えつつあるようです。また昔は「男性の給料3か月分」と言われていた婚約指輪のプレゼントは、65%に減少しましたが、結婚指輪は98%と依然高水準。プレゼンの中では、結婚したカップルを対象に実施した調査をもとに、婚約指輪と結婚指輪の購入についての心理や、購入に至る過程もわかりやすく図解されました。

株式会社ケイ・ウノ 久野氏「ブライダルジュエリーは必要ですか?」

続いてオーダーメイドジュエリーブランドとして知られる株式会社ケイ・ウノの久野氏より、店舗ではいまどんな婚約指輪や結婚指輪が求められているのか、そのリアルな実情が紹介されました。

「ジュエリーは本当に必要ですか?」という意外な問いかけから始まったプレゼンに、参加した学生はさらに集中。お店を訪れる多くのお客様が、ブライダルジュエリーには「キュービックジルコニアではなくダイヤ」「金やプラチナ」という本物を選ぶ理由は何なのか。そこにビジネスチャンスを見出している企業姿勢を語りました。

1981年に創業したケイ・ウノのモットーは、「お客様にNoと言わない」。想いをかたちにするジュエリーを生み出すために多くの職人を抱え、日本人ならではの技術力の高さでお客様のニーズにオーダーメイドで応え続けてきました。オーダーメイドが世の中をよくしていくという信念のもと、順調に事業を拡大。SDGsの観点から大量生産や大量消費に疑問が呈される中で、現在は60億円を誇る企業に成長しています。

誰にでも備わっている創造性を拓き、そこから社会問題解決に役立つデザインを具体化する力を引き出す

下山教授は、この授業を通して、学生の創造性を拓くことを目指しています。

「美術を専攻していない学生は、アート・デザインは目に見える絵やモノをつくることだと思い込み、苦手意識を感じていることが多いんです。でも本来、創造性は私たち全員に備わっているもの。小さい頃、自由にお絵描きや折り紙をした経験って誰にでもありますよね。そのときのワクワクする気持ちを思い出し、この授業を通して改めてアート・デザインのおもしろさを感じてほしいと考えています。

今回初めての企画となる授業なので、最終的にどういうアウトプットが出てくるのか、まだわかりません。授業は学生の自主性を重んじ、ゴールに自由度を持たせながら進めていく予定です。目に見えるモノではない社会課題解決のヒントとなるデザインとはどういうものなのか、それをつくり上げる行動力や問題解決能力を身に付けることを狙っています」

クラスには様々な学科の学生が集まっていますが、それによる相乗効果も下山教授は意識しています。

「社会人になる前に実社会に慣れておきたいという気持ちから、社会とつながる授業を求めている学生は多いんです。その貴重な場で行う共同作業では、誰1人欠けても実現できなかったデザインが生まれてほしいですね。リーダーだけが頑張るのではなく、各自が必要なところでリーダシップを発揮し、全員が全員をフォローするような授業の進行を目指しています」

長岡造形大学とはLINEのnoteなどを活用しながら、学生同士の連携を深めていく予定とのこと。新しい試みの数々は、企業だけでなく他大学とのつながりも新たな学びを発掘していく授業になりそうです。