共通教育科目「実践キャリアプランニング」(担当:文学部国文学科 深澤晶久教授)の授業で、7月7日に印刷博物館とのコラボセッションが行われました。新しいミュージアムグッズを考えるという課題の後半6グループの発表です。プレゼンの時間は7分。印刷博物館から石橋氏、式氏、前原氏が見守る中、さまざまな視点から考案したグッズの発表を行いました。
若者向けにカプセルトイを
後半戦のトップバッターはグループ10。
若者をターゲットにカプセルトイで販売するアクリルキーホルダーを提案しました。アクリルアイテムは推し活の影響で需要が高まっているグッズです。
カプセルトイの需要も高いことをデータで示し、1回で1000円以上使う若者も多いと話しました。昔の広告や浮世絵などレトロなデザインの商品は若者にも人気で、外国人も購入するのではと考えました。聖書の細かい意匠を再現できれば印刷博物館の技術の高さも示せて話題性につながると提案しました。
発表後の講評では、
式氏から「プレゼン資料だけでは分からない熱意が伝わり印象的でした」
と感想がありました。
次のグループ3は、グッズから印刷博物館に興味を持ってもらえる商品を考えました。
1つ目は企画展の図録の豆本です。
企画展の図録は一番人気ですが、若者にとって手軽に買える値段ではありません。カプセルトイにして販売することで若者も手軽に購入できるとしました。
2つ目は日傘で、光があたるとホログラムが浮かび上がる技術を使うことを提案しました。企画展のポスターから図柄を採ることで実際に使用されることが宣伝につながるものを考えました。
式氏は
「実現性は少ないかもしれないが、それくらい突飛なアイデアが出てくることを期待していたのでとても面白かったです」
とコメントされました。
自分たちがほしいグッズはどんなもの?
グループ9もカプセルトイで勝負。
学生たちが印刷博物館に行ったとき、手持ちの小さなバッグでも持ち帰れて手頃な金額のお土産がなかったことを指摘し、カプセルトイであれば条件をクリアしているとしました。
プロローグに展示されている「印刷する人」をフィギュアにすることを提案。フィギュアはコレクションとして集めやすく、「何より自分たちが欲しい」と訴えました。
もう1案は運気が上がる活字を活版印刷した「活字守り」で、財布にも入れておけるものを考えました。
前原氏からは
「フィギュアは自分たちでは見慣れてしまっていましたが、売れるのかもと思いました。活字守りはおみくじなどもいいかも」
と、提案に広がりを感じた感想がありました。
グループ5は推し活で使えるステッカーを提案。
うちわサイズとスマホサイズで、自分が使用したいフォントを選べるものを考えました。印刷博物館で推し活に使えるものがあれば話題性があり若者に知ってもらえると話しました。印刷博物館は立地として東京ドームが近いためイベントのある時に使えると宣伝し、スマホケースに入れたりうちわに貼ってライブに使えたりするようにします。
石橋氏は
「推し活を前面に出したというのが面白い視点」
と感想を話しました。
式氏からは
「プレゼン資料だけでは分かりづらかったので、話の内容をサポートするような資料をもう少し作りこんでもらえていたら良かった」
とアドバイスがありました。
プレゼントにもしやすいグッズ
グループ11は買って帰りたいと思ってもらえる商品として、クッキーを提案。
印刷博物館の外見のパッケージのものと印刷機を模したものを考えました。
また印刷博物館でしか買えないものとして、フィギュア型スタンプの案を出しました。手のひらサイズの印刷機などのミニチュアの底がスタンプ式で、インテリアとしても使えるものを例にあげました。どちらもプレゼントしやすく、お土産でもらうことで認知度アップにつながるとしました。
発表後は式氏から
「クッキーはオーソドックスなものだったので、自分たちも当たり前すぎて発想していなかったと気付かされました」
と、
前原氏からも
「スタンプは印刷と親和性があるがオリジナルのものはなかったなと思いました」
と気付きがあった提案と評価されました。
プレゼントにもしやすいグッズ
最後のグループ12は、ビーズアクセサリー&ストラップを考えました。
駿河版銅活字をモチーフにした文字を選べるもので、自分や恋人、推しのイニシャルなどを付けられるとしました。
オンラインでも販売しやすく、一年中身に付けられるため自分用の推し活や、プレゼントにも向いていると伝えました。
前原氏からは
「実際にアクセサリーにするには駿河版銅活字は合うのかなと思いましたが、提案は素敵でした」
と話されました。
社会に出てからも生かせる力を学べるプレゼン
授業の最後には優秀賞の発表があり、印刷博物館賞はグループ9が受賞しました。
石橋氏からは
「今回は全グループのプレゼン能力が高く非常に点数も競っていましたが、グループ9はプレゼンや資料作りも一つ一つ丁寧でした」
と評価されました。
グループ9の学生は「フィギュアができたら買うのでぜひ商品化してください」と嬉しそうにコメントしました。
最後に印刷博物館の皆様から総評をいただきました。
式氏からは
「チームで力を合わせてやり遂げたということで自分たちをねぎらってほしいと思います。また他人のプレゼンテーションを見ることも学びがあるなと自分も勉強になりました。皆さんも他のチームの良かったところも吸収してほしいと思います。いただいた提案は、館内で共有して次に繋げていきたいと思います」
と話されました。
担当教員からのメッセージ
包括連携協定を結ばせていただいたご縁からコラボ講座を実施させていただき今年が2回目となります。一見すると商品開発は比較的取り組みやすいテーマに見えますが、実は大変奥深いものがあります。とりわけ今回はアイデア勝負になることなく、徹底的に「なぜ」を考えて欲しいという印刷博物館様からのご指示もあり、現状分析や、印刷博物館らしさをどう盛り込むかなど、学生たちの白熱した議論が続いていたという印象を受けました。限られた時間の中で、考え抜いて提案するプロセスは、「プロジェクトマネジメント」を学ぶ一歩、学生たちにとっては貴重な経験をさせていただいたと振り返っております。昨年に引き続き、多大なるご支援をいただいた印刷博物館の皆さまに心から感謝申し上げます。