社会連携プログラム
SOCIAL COOPERATION PROGRAM
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2023年6月2日

相手の立場になって考える!「実践プロジェクトa」の授業でJALのホスピタリティマインドを学び学生たちが発表を行いました。

3年生対象の「実践プロジェクトa」(担当:髙橋 裕樹特任教授)の授業で、5月8日に日本航空株式会社(JAL)の塩崎氏をお招きし「ホスピタリティとコミュニケーション」を学ぶ授業が行われました。全3回の内、この日は3回目。学生たちは授業を通して学んだホスピタリティマインドを1分間にまとめ、それぞれ発表しエールを送り合いました。

これからのホスピタリティとテクノロジーの付き合い方

これまでの授業で学生たちは、、ポジティブコミュニケーションやサービスの現場におけるホスピタリティなどについて学んできました。
今回は「AIとホスピタリティ」というトピックから授業は始まりました。AIとホスピタリティはなかなか結び付かないですが、実は「これからの時代、ホスピタリティとテクノロジーの関係を考えていくことは重要です」と塩崎氏。

AIは大量のデータを学習し、データの中にひそむ規則を見つけ出し、正確・迅速に処理をするのが得意。万能のように感じられますが、実はそうでもありません。2011年に国立情報学研究所が中心となって、AIが東京大学入試合格を目指すプロジェクトを開始しましたが、2016年にプロジェクトは凍結されました。AIは数学や世界史などは得意でしたが、国語や英語では、文脈や文章から意味を理解することができず点数を上げることができませんでした。AIは問題の意味を理解しているわけではなく、統計的な処理をして回答を導き出しているだけで、文中に書かれていない情報や空気を読んで判断することはできなかったのです。

ホスピタリティマインドを使ってAIと人間が「協働」する

塩崎氏は「AIの得意なことと人間の得意なことを組み合わせていくことが大切です」と語ります。
航空業界でも、AIは活用されはじめています。2030年までに訪日外国人数を6000万人にするという政府の目標が掲げられましたが、その人数に対応する空港の旅客処理能力は追いついていません。そこでAIによる顔認証システムや自動チェックインの導入などで手続きの効率化をはかっています。自動化できるところはAIに任せることで、人間はお手伝いの必要なお客さまのサポートに集中することができます。

ホテルでもAI の活用は進んできていますが、塩崎氏は、「ホテルでこれだけは人間に対応してほしいと思うのはどんなときですか?」と学生たちに問いかけました。「電話での対応」「レストランの接客」「困ったとき」などの回答があり、「挨拶してくれるのは人の方が嬉しい」という意見も。人間にしかできないこともまだまだ多く、人間だからできる「心を遣うこと」を磨き、ホスピタリティマインドを育んでいくことが必要なのです。

話はこれからの時代にますます進むダイバーシティについても触れられました。
日本に住む外国人は30年で3倍に増え、その国籍も多様化しています。生活のための日本語に関する調査によると、日常会話で日本語を使っている外国人は約8割に上り、また、「希望する情報発信言語」として「やさしい日本語」を選んだ人が76%と英語よりも多くなっています。そのため特に災害などの緊急時には、やさしい日本語を使って情報を伝えることが重要です。やさしい日本語を使うこともホスピタリティのひとつです。
塩崎氏は「外国の方を見つけたときは、こちらからやさしい日本語でアプローチしてみてください」と語り掛けました。

学んだことを日常にも活かして

授業の最後では、学生一人ひとりによる1分間スピーチが行われました。
授業を通して学んだことを自分の言葉にまとめ、決意表明の形で発表します。また、他の学生の発表を聞いてエールを送り、ポジティブコミュニケーションも実践しました。

最初の学生は「自分なりのホスピタリティ」と題し、自分の現時点の弱みとして相手の気持ちを読み取ることが苦手と分析。相手の立場に立ち、自分だったらどう思うかを考えることを実践していきたいと発表しました。

Kさんは、
「3割話し7割聞く」、を実践し「話しやすい、話していて楽しいと思われる人になりたいです」と発表。聞いていた学生からは「Kさんは、すでに話すのが上手で話していて楽しいです。でも、さらに向上できるよう一緒に頑張っていきましょう」とエールが送られました。


次の学生は、
「話すことがコミュニケーションだ」と思っていたと話し、相手の話を傾聴し相手に伝わるということを意識してコミュニケーションしたいと思います」と決意表明しました。自分は負けず嫌いで、自分の話ばかり意識しがちだったというGさんは「自分と違う意見も聞き、なぜそう思うのか伝える力を持った社会人になりたい」と語りました。

Yさんは
「思ったことをすぐに口にしてしまう」という癖を反省し、相手のことを考え言葉を選ぶことを大切にし、バイトでも活かしていきたいと発表しました。
「今回学んだことは社会に出てからだけでなく、大学内でも使えることだと気付きました」と語ったのはNさん。


最後の学生はディズニーランドでキャストの対応にホスピタリティを感じた経験を話し、それぞれのシーン、背景を考え快適な空間を提案することの大切さを話しました。

相手の立場に立って傾聴することの大切さ

最後に塩崎氏からコメントをいただきました。
「皆さんの決意表明は、授業での気づきをアルバイトやサークル活動などでのコミュニケーションに活かしていきたいという想いが溢れていて、とても素敵でした。また、自分が困った時に声をかけてもらえたことが心に残っているというエピソードもあったように、困っている人や弱い立場の人に積極的に寄り添って声を掛けるよう心掛けることで、人の心に残るホスピタリティを実践することができると思います」。

学生全員が自分を振り返り、コミュニケーションを前向きに捉えなおす良い機会になった授業となりました。

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