3月23日(木)に美学美術史学科の学生たちが、日本紙通商㈱(日本製紙グループ)の皆さまの前で防水ダンボールの商品のプレゼンを行いました。3月13日に御茶ノ水にある本社にお邪魔して、アイデア出しをした中から選定しブラッシュアップを重ねました。学生たちは直前まで資料を作りなおし、新たな防水ダンボールの可能性をプレゼンしました。
防水ダンボールを子ども向け商品に
最初の発表は子どもの歯固め「もっしゃー」。歯が生えてくるむずがゆさを解消し噛む練習になるアイテムです。口のなかに入れるものなので衛生面が第一。そのため汚れたらすぐに捨てられるダンボールを使い、外出用など洗わずにすむものを提案。商品名は、学生たちが実際にかじってみた触感から名付けました。
発表後は、企業の皆さまからコメントをいただきました。「防水ダンボールそのものは口に入れられないのですが、食品用のボール紙で作ったら面白いのでは」と感想がありました。
次も子ども向けの商品の提案。「あめるんるん」は子ども用のレインコートです。キリンやウシの動物の模様が印刷されたケープ型レインコートで、動きやすく付け外しも簡単。着ぐるみ的要素もあるため、雨の日も子どもも楽しんで着られます。子どもは成長が早いためすぐサイズが合わなくなり新調する必要がありますが、ダンボールならコストも抑えられます。発表後には「思いつかなかった案で面白い。動物園とのコラボもできるかも」と着眼点に感心されていました。
3番目の「ぱずさりー」は小学生をターゲットにした知育玩具です。形をきりぬいて、ひもでつなげたりシールを貼ったり、ものづくりができるアイテムです。名前はパズルとアクセサリーの造語で、遊び終わったらパズルのようにはめ込んで片付けられるところから。実際に試作品を作ってプレゼンしました。
企業の方からは「商品化できるかも」「レベルアップしたものをつくれば大人用も作れる」などの意見も出ました。
大人の癒しに防水ダンボールを
次の発表は「カプセルトイ」という斬新な案。カプセルトイ市場は拡大しており、植物を育てるキットなども販売されていることに注目。ダンボール製カプセルがそのまま鉢になり、ハーブや雑草を育てるというものです。大きなサイズでは野菜や木の苗を育てられるものを提案しました。
発表後「似たような商品は実は既にあるが、中身をアップデートするのは良い案」とコメントをいただきました。
次の「段ルーム」は簡易サウナになるダンボールハウスです。従来品は大きく保管に場所を取り、高価なことが難点でした。防水ダンボールであれば自宅で手軽にサウナに入れ、リーズナブル。持ち運びも簡単なのでキャンプにも最適です。サウナは睡眠の質を改善するデータを提示し、市場も拡大しているとアピールしました。
コメントでは「防水ダンボールと相性がいいと思う、実現可能性が高い」「サウナに興味があるけれど迷っている人も気軽にできそう」と好感触の感想をいただきました。
「段ルーム」はもう1案あり、子ども向けの秘密基地も提案されました。子どもが自分で組み立てられ、絵を描いたり塗ったりオリジナルでデザインできます。防水ダンボールは丈夫で水にも強いので、子どもが遊んでも安全です。
コメントでは「犬小屋などもいいかも」などの意見が出ました。
既存のものを防水ダンボールで作ると?
次の発表は御茶ノ水本社でのアイデア出しのときも話題となった「棺」です。名前はダンボールに「安らぎ」を加えた「Danboarest」。最初に現在葬儀にかける費用が減少傾向にあることがデータで示されました。防水ダンボールの棺であればエコに配慮し経費も削減できます。また、棺の形をカスタマイズしたり、色やデコレーションパーツで彩ったりも可能です。親族や本人、アーティストのデザインや「推し」を全面に出した「痛棺」も提案されました。用途も人に限らず、ペットやぬいぐるみなど大切なもののお焚き上げという提案もありました。「とても興味深かったです、お焚き上げの案も面白い」とコメントもいただきました。
次は「アイシャドウパレット」。プラスチック製では落としたとき壊れやすいですが、ダンボールでは破損を防ぎます。類似品は海外製ではありましたが、パッケージがシンプル。紙パッケージのものは日本製でもあり、デザイン性や種類も豊富でした。今回はダンボールらしさを追求した、「みかん箱」や「りんご箱」を模したデザインを提案。10~20代がパケ買いしたくなる可愛らしさや面白さをプレゼンしました。「素晴らしい練り具合。コスメ会社も環境配慮に敏感のため実現性がある」と、感嘆の感想もありました。
最後は「花型絵具セット」です。筆洗器のフタにパレットをつけ、持ち運びが簡単なお絵描きセットです。旅行やアウトドアで気軽に絵を描け、思い出作りにも最適です。発表後には「複雑な形状だと水がもれないようにするのが難しいかもしれないが、紙コップなどを転用すればできるかも」といった意見がありました。
春休みの特別プロジェクト
全員の発表が終わり、最後に水田氏から講評をいただきました。「皆さん本当にお疲れさまでした。ここまで短い時間だったのに、想像以上の出来でした。我々も勉強になり刺激になりました」と学生たちの頑張りをねぎらいました。また、「せっかく良い案がたくさん出たので、今後引き続き一緒にやっていけたらと思います」と言葉もいただきました。
授業外の有志の社会連携プロジェクト。学生たちは春休みの時間を使い、アイデア出しから選定、企画を作成しました。市場調査や資料作りも限られた時間のなかで、ぎりぎりまで作成しました。プレゼンは初めての1年生もおり、実際の企業の方に見ていただき意見をいただく貴重な経験となりました。