社会連携プログラム
SOCIAL COOPERATION PROGRAM
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2022年10月28日

幼児保育専攻と健康栄養専攻の学生が学科を超えてコラボレーション!保育園の子どもたちに向けて食育の教材を作成し披露しました。

 本学園と日野市は2017年に「子育て支援に関する連携協定」を締結しています。本協定に基づき神明キャンパスの一部を日野市に無償貸与し、2019年5月に「わらべ日野市役所東保育園」が開園しました。今回、この「わらべ日野市役所東保育園」において教育的連携の一環として、幼児保育専攻と健康栄養専攻の学生2名が、それぞれの専門性を活かし、食育に関する活動を行いました。夏野菜に関するパネルシアターを作成し、実際に保育園で園児たちの前で披露しました。活動した学生に今回の活動についてお話を伺いました。二人は経緯を記録に残し、「保育園の食育における保育士と栄養士の連携」といったテーマの卒業論文として仕上げる予定です。

保育園の子どもたちに夏野菜を好きになってもらうには?

活動するのは、生活文化学科・幼児保育専攻4年の鹿目茉那さん(井口ゼミ)と、食生活科学科・健康栄養専攻4年の伊藤楓華さん(辛島ゼミ)の2名。

鹿目さんは「もともと栄養学に興味があり専攻したかったのですが、自分は文系。栄養学は理系の分野なので断念し保育に進みました。そのため食育に興味があり、保育の面でも栄養は大事だと思い研究テーマに選びました」と言います。伊藤さんも「大学3年のときに保育園に実習に行き、子どもって可愛いと思ったんです。子どもたちを栄養の面で支えるのは素敵だと思った」と研究テーマを選んだ理由を語ってくれました。

まずは保育園の食育や給食に携わっている管理栄養士・栄養士の先生方に、子どもたちの食の実態や食育活動におけるニーズを伺いました。そこではコロナ禍で食育活動がほとんどストップしてしまっている現状が。食事中は黙食を徹底しているため食に関する話もしづらいといいます。そこで、「この園では夏野菜が苦手な子がいるため、夏野菜に関心が向くような教材があるとよい」とのお話をいただき、製作へ取り組みが始まりました。

お披露目は8月上旬。実際に保育園に訪問し、5歳の子どもたちの前でパネルシアターを披露しました。子どもたちは、最初野菜を見たときは「きらいなものの話だ」という反応もありました。しかし、栄養素が出てくると「名前が可愛い」と興味を持ち、名前を呼んだり感想を言ったり、最後まで楽しく聞いてくれたと言います。

お互いの分野を勉強!

二人は3年生の終わりに知り合いました。研究テーマが近い学生がいるよ、という先生の紹介でした。学科の違う二人は全くの初対面のところから、案を出し合い協力して製作してきました。

二人の活動はお互いの分野を勉強し合うところから始まりました。「食育」という共通点はあっても、幼児保育専攻と健康栄養専攻は全く違う分野です。伊藤さんは「保育園の実習も含め一週間で知識を詰め込みました」と話します。鹿目さんも専門的な栄養の勉強を基礎から習ったと言います。「栄養に関してはまったく知らず、まさに子どもレベル。勉強は大変でしたが、今の自分が分かれば子どもたちにも伝わるなと思って、実感をヒントにして製作していった」と鹿目さん。そうしてどの部分を抽出するかを二人で考えていきました。

子どもたちに伝える方法はパネルシアターを選びました。パネルシアターはボードにパネル布を貼り、紙で人形などを作り、布に貼り付けながらおはなしを展開する保育教材の一つです。ザラザラした布にひっかかりやすい紙を使うことで、マグネットやテープなどを使わずにおはなしできます。野菜に親近感を持ってもらうために、顔や体をかわいく描いたり、野菜の人形にポケットを作り、栄養素が出たり入ったりできるようにしたり。子どもたちに分かりやすく伝えるための工夫を重ねます。「時間も20分と長いので、飽きずに楽しく見続けられる仕掛けを作るのが大変でした」と鹿目さん。試行錯誤を積み重ね、先生方にアドバイスをもらい、改善し工夫を足して完成度を高めていきました。

伊藤さんは「栄養を覚えてもらうというより、野菜に親近感を持ってもらうことにフォーカスした」と言います。例えばピーマンに興味を持ってもらうために「ピーマンが苦いのはピラジンっていう苦み成分のお友達がいるからだよ」と苦いのには理由があるんだとシンプルに伝えます。また、最初に白いトマトを出し、リコピンを足すと赤くなるなど視覚的にも分かりやすいよう工夫しました。給食でいくらおいしそうなメニューを考えても、嫌いな食材は食べてもらえません。「実習で給食を食べるところを見ていましたが、先生が見ているから我慢して食べる子が多かった」と鹿目さん。無理して食べるのではなく、自分から進んで食べてもらうためには親しみを持ってもらうことが大事と思ったと言います。

苦労の結果、子どもたちの反応はとても良かったそう。特に嬉しかったのは、ピーマンが苦手だという子が、苦み成分「ピラジン」に親近感がわき「ピーマン食べてみようかな」と言ってくれたこと。実際に夏野菜に興味を持ってくれたことを実感できたと言います。

食育には学科を超えたコラボが大事

今回の共同制作はお互いにとても良い刺激を与えました。伊藤さんは「自分で作ってもただ栄養の説明になってしまうんです。堅苦しくて面白くない。紹介だけで終わってしまって。でも鹿目さんがアイデアをたくさん出してくれて、キャラクターの造形や仕掛けができていくのがとても楽しかったです」と語りました。鹿目さんも「栄養に触れられたことが嬉しかったですし、もともと作るのも好きなのですが、パネルシアターを作るのは規模が大きいので避けてきたんです。一人ではできなかった。協力したからこそ作ることができました」と嬉しそうに話してくれました。

今回の経験を通し、後輩たちにも活動が広まったらいいと考えています。「毎年食育をテーマにする学生はいると先生から聞いたんです。自分たちは先輩の話や活動は参考にできなかったけれど、食育は保育、栄養という両方の学問を学ぶことが大事。今回一緒に製作することで、それぞれの考えも違うことに気付いたので、今後食育をやりたいという学生がいればぜひ協力してやってほしい」と鹿目さん。

今後は、キノコなど他にも子どもが苦手な食べ物について教材を作っていきたいと抱負を語ってくれました。また「子どもが食べるものは大人が作っているので、親御さんにも食育だよりなどでアプローチしていきたい」と言います。就職してからも今回の経験を活かして、活動を続けていくつもりです。

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