凸版印刷株式会社(東京都文京区)が運営する「印刷博物館」と本学の初の社会連携授業が6月3日(金)、渋谷キャンパスでスタートしました。学生が印刷博物館が抱える来館者増や新たな価値創造などの課題を分析、解決策を提案します。最終プレゼンテーションは7月1日と8日の2回に分けて行われ、16チームがアイデアを発表します。
印刷博物館は、印刷の起源から最新の印刷技術まで古今東西の印刷文化を学べる企業博物館です。社会連携授業は、学生がグループワークで取り組む課題解決型授業(PBL)として実施され、国文学科の「実践キャリアプランニング」(4限)の授業のなかで実現しました。
現状分析の上で具体策のプレゼンを!
キックオフ授業は午後3時すぎ、渋谷キャンパスの503教室でスタート。同博物館部長で学芸員の中西保仁氏が登壇し、PBL型授業のミッション提示(お題出し)を行いました。具体的には「印刷出版文化に関心の薄い層に来館してもらう」と「新たな体験価値を生み出し、継続的に発信していく」の2つです。学生たちは、いずれかのテーマを選んでグループワークを行い、解決のための具体策をスケジュールも含めて検討します。
中西氏は、グループワークについて「現状を分析した上で、皆さんが考えようとしている施策は、どこまで実現できていて、どこが出来ていないのか拾い出して欲しい。このプロセスを入れていないと、説得力はゼロです。その結果、何が印刷博物館の問題なのか分かるので、それを明示して欲しい」と強調しました。併せて、解決するためのスケジュールも大事だと強調。「例えば30日でクリアできるのか、1年掛かるものなのか。その規模感を含めて、より具体的に施策をプレゼンテーションして欲しい」と語りました。
国文学科2年生66人が挑戦
最終プレゼンで発表する各チームは、1チーム4~5人で構成。実践キャリアプランニングの授業を今年度履修した国文学科の2年生66人を16チームに分けました。学生らは約1か月かけ、提案づくりにチームで挑戦します。その一環として、学生らは実際に印刷博物館を4日(土)に現地訪問、同博物館の現状や課題に対する理解を深めました
2年前のリニューアル効果は?
同博物館は、凸版印刷の創業100周年を記念して同社本社ビル(東京都文京区)に隣接して2000年に設立。2020年10月にガラっとフルモデルチェンジしてリニューアルオープンしました。この間の年間来館者数は平均3万人、20年間の累計来館者数(2020年)は63万人を超えています。中西氏によると、リニューアル前の同博物館は▼中高生の来館が少ない▼団体客を増やす施策が持てていない▼初来館者が8割もあり、リピーターの獲得が出来ていない-などが課題だったとか。このため、リニューアルは①活動の体系化に着手②多様な来館者ニーズに対応③施設が老朽化し活動自体がマンネリ化-などを克服するため必要だったと振り返りました。
深澤晶久教授の話
印刷博物館様と本学とで締結した包括連携協定に基づく初めての具体的な試みとして、2年生のキャリア教育科目「実践キャリアプランニング」にご協力をいただきました。毎年、この授業の後半では、企業様にご協力をいただき、PBL形式の授業を展開しおりますが、今年のテーマは一段とリアルな内容をご提示いただきました。
翌日、4日には有志の学生13名が実際に印刷博物館を訪れ、中西様をはじめ多くの皆様から、展示物や企画内容のご説明をいただき、来週からはグループワークに臨みます。学生の豊かなる創造力に期待をしたいと思います。授業当日、そして翌日の視察において、ご丁寧に対応いただきました印刷博物館様に感謝申し上げます。