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2026年9月17日

先頭に立つことだけがリーダーじゃない!「集団・コミュニケーション論」の授業で株式会社ANA総合研究所の多田浩司氏による特別講演が行われました。

7月1日に「集団・コミュニケーション論」(担当:国際学部国際学科 久保田佳枝准教授)の授業で、株式会社ANA総合研究所の多田浩司氏による特別講演が行われました。「自分らしいリーダーシップ」を軸に、現代求められるリーダー像について語られました。

ANAはチャレンジ精神あふれるベンチャー企業

ANAは1952年に2機のヘリコプターから始まりました。初の民間航空会社としてスタートしたANAは「今でこそ一日1000便もの飛行機が飛ぶ大きな会社ですが、創業当時はまさにベンチャー企業そのものでした」と多田氏。
その後は着実に歩みを進めるだけでなく1986年には国際線定期路線の就航や、2012年にはLCC(格安航空会社)である「Peach Aviation」の運航開始など、常に一歩先を見据えたチャレンジの連続であった歴史を語りました。

多田氏は航空機整備や安全推進などの総合職技術系としてANAに入社。
現在は豊富な経験を活かし、ANA総合研究所の一員として、各種の調査・研究や大学での講義を行っています。

時代に合わせたリーダーの姿とは?

多田氏はまず、「皆さんはリーダーシップと聞いてどんな人を思い浮かべますか」と学生たちに問いかけました。
「命令する人や権威のある人というイメージは、旧来型のリーダーシップです」と説明。かつての高度経済成長期は豊富な経験をもとに指示を出し、部下はそれに従うことで成果を上げるスタイルがこれまでの主流だったと話しました。

一方で、変化の激しい現代ではそれだけでは対応しきれません。
多田氏は、対話や共感を大切にし、メンバーに寄り添いながら力を引き出すリーダーが求められていると語ります。
「『俺についてこい』ではなく、『一緒に頑張ろう』と支え合える環境をつくるリーダーも重視されています」と説明しました。

ただし、旧来型のリーダーシップが悪いということではありません。経験に裏打ちされた決断力も、相手に寄り添う傾聴力も、どちらも欠かせない力です。
「大切なのは優劣ではなく、時代に合わせて求められるリーダー像が変化しているということです」と学生たちに伝えました。

「着いていく」ことがリーダーになる?

多田氏は、ある講演で紹介された映像を学生たちに見せました。
それは、一人が踊り始めるとその姿に影響されて次々と人が加わり、大きな輪になっていく動画でした。
この映像をもとに、多田氏は「リーダーは大切な存在ですが、実は過大評価されがちです」と話しました。

重要なのは、最初にリーダーについていく「フォロワー」の存在です。
「最初のフォロワーになるには、リーダーと同じくらい勇気が必要。『それいいね』『手伝うよ』と最初に声を上げる人がいるからこそ、周りも動き始めます」と、フォロワーシップの重要性を伝えました。

さらに、リーダーはフォロワーに一方的に指示を出すのではなく、対等な立場で一緒に行動することが大切だと説明。
「重要なのはリーダー個人ではなく、活動を前へ進めることです。一人で完璧を目指す必要はありません」と語り、それぞれの得意分野を生かして役割を分担する「シェアドリーダーシップ」の考え方も紹介しました。

多様な価値観を活かすリーダーシップ

ここで多田氏は、DISCという性格類型の自己診断を学生たちに体験してもらいました。DISCは、人の行動特性を主導型(Dominance)、社交型(Influence)、慎重型(Conscientiousness)、安定型(Steadiness)の4つに分類する考え方です。

「どのタイプが優れているということではありません。大切なのは、人によって考え方や行動の特徴が違うことを知ることです」と多田氏。社会に出ると多様な価値観を持つ人と協力して働くため、リーダーが全員の意見をまとめる難しさも生まれます。
しかし、「多様なメンバーであるからこそ、皆で意見交換することに価値があるのです」と多田氏。
「同じタイプの人ばかりでは新しい発想は生まれにくい。異なる個性を認め合い、それぞれの強みを生かせる環境づくりが、新しい価値を生み出します」と語られました。

安全を守るANAグループのアサーション文化

続いて多田氏は、ANAグループの「アサーション」文化を紹介しました。
アサーションとは、互いを尊重しながら率直に意見を伝え合うコミュニケーションのことです。上下関係の中で意見を言えないことが重大な事故につながりかねない航空業界では、パイロットの訓練でも重視されています。

「上下関係は年齢や経験、レギュラーか補欠かといった立場など、さまざまな場面で存在します。だからこそ、上の立場の人が意見を言いやすい環境をつくることが重要です」と多田氏。
また、「アサーションは攻撃的でも、何も言わない非主張的な態度でもだめ。相手を認めた上で自分の考えを伝え、お互いを尊重することが大切です」と語りました。

最後に、「リーダーに必要なのは、人の可能性を奪うのではなく、引き出す言葉を掛けること」と締めくくりました。
「先頭に立って引っ張る人だけがリーダーではありません。仲間を支え、ときには後ろから後押しすることも立派なリーダーシップです」と、誰もが実践できるリーダー像を学生たちに伝えました。

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