タグ: 魅力

2023年2月3日

博報堂とJR東日本とのコラボ授業で、学生たちが見つけた「スローな渋谷」のプレゼンが行われました。

人間社会学科「フィールドワーク論」(担当:原田 謙教授)の授業で、12月7日(水)に株式会社博報堂 ミライの事業室とJR東日本 東京感動線によるプロジェクト「Slow Platform 渋谷駅0番線」とのコラボ授業が行われました。企業の皆さんを前に、学生たちはフィールドワークを通して見つけた「スローな渋谷」の発表を行い、新たに発見した渋谷の魅力をプレゼンしました。

渋谷が隠し持つのどかな側面

Aチームはいつもにぎわっている渋谷だからこそ、ほっとできる場所も多くある意外性に着目。人が集中する渋谷は休息できない場所というイメージが強くありますが、一方で風通しがよく緑の多いところも。ゆっくりでき雰囲気がよく落ち着く場所として、「代々木公園」「金王八幡宮」「茶亭 羽當」などが挙げられました。そのなかで、実践女子大学の最上階から見る夜景も紹介。渋谷キャンパスの周りには超高層の建物が少ないため、夜には東京タワーなどの美しい夜景を眺めることができます。

学生ならではの視点に、質疑応答では「ネオンはビジーな印象だけど、夜景になるとスローになるのが面白い」という感想が。発表した学生は「友達と一緒にきれいだねという会話があって、その会話自体がスローな時間だなと思った」という、実体験を話してくれました。まさに日常に寄り添うスローな渋谷の発見です。

ふとした瞬間の癒しを渋谷で

Bチームは派手な広告や、夜でも明るいネオンなど「見て感じる」ストレスを取り上げました。映え重視の食事も、食べにくかったり価格は高いのに量が少なかったりとストレスに感じるためビジーだと捉えました。ただ、子どもたちの元気な姿や、ふと見えた夕陽など見て感じる癒しもあると考えました。心安らぐ場所としてレトロな蕎麦屋「朝日屋」や「鍋島松濤公園」などが挙げられました。面白い視点としてマンションの壁画も。落書き防止目的の壁画ですが、まるで幼稚園のような明るい色調は安心感があり「見て感じる癒し」としてスローに挙げられました。

博報堂の方からは
「映え重視も窮屈に感じるという視点が意外でした」や「情報過多な世の中で、発信側はつい映えを意識してしまうけれど、情報の少ないところに魅力を感じるのだなと気付いた」という感想をいただきました。

渋谷の“ほっと”なスペース

Cチームは、満員電車など身体的距離は近くても、みんな無関心で心理的距離の遠いこともストレスに感じるといった視点がありました。ただ、町中で手をつないだ親子など人の温かみを感じる瞬間はスローであることに気付くなどの発見も。そこで渋谷の繁華街から足を伸ばしリラックスできる空間を探しました。「ログロード代官山」やカフェとギャラリーが併設された「Lurf MUSEUM」「zenta coffee」などアートと融合した場所が紹介されました。

質疑応答ではJRの方から「知らない施設ばかりでした。元々知っていたんですか?」という質問が。
学生は歩いていて偶然見つけ、新たな発見であったことを伝えました。
また「アートがあることはどういう心地よさにつながるのか」という質問には「普段あまりアートに触れる機会がないので、知らない世界に気軽に触れられる面白さや楽しさがありました」と回答しました。

原田先生からも「渋谷には多くの美術館がありますが、メジャーなところではないのも面白いですね」とコメントがありました。

渋谷における「ゆったり時間」と「ひとり空間」

Dチームは、自分のペースで歩けない忙しなさや夜の治安の悪さなど緊迫感をビジーとして挙げました。ただ人混みにはネガティブなイメージがありますが、フリーマーケットや街中華など活気があり人とのコミュニケーションを取れるところはスローな時間を過ごせるという発見も。自分のことに集中できる場所をスローと捉え「エビスグリーンガーデン」や「ログロード代官山」などが紹介されました。「猿楽古代住居跡公園」では子どもたちの声が響いていたスローな雰囲気を伝えました。

発表後には「一人の時間でも、子どもの声や人との関わり、人の気配を感じることもスローなのだなと気付かされました」という感想が聞かれました。学生からは「街では子どもの楽しそうな声はなかなか聞かないので、都会であることを忘れられると感じました」と素直な意見がありました。

落ち着ける「幸せな孤独」

Eチームは都会では多くのひとがイヤホンをして音楽を聴き、ひとり空間を作ることに着目。スローには「音楽」も大切な要素として取り入れました。またおいしいものを食べる「食」もリフレッシュすることの一つ。それらを含んだ、一人の時間を自分のために使える場所を探しました。中古レコードショップ「ウルトラシブヤ」、銭湯の「さかえ湯」、「山下伏見稲荷大明神」などレトロで昔から変わらない場所を中心に紹介しました。

質疑応答では「惹きつけるタイトルですね」と「幸せな孤独」という言葉選びに感嘆の声が。また、「レトロなものがスローに感じるのはなぜでしょう」という問いも。
学生は、中古レコードショップにあるジュークボックスに触れ「効率重視の世の中で、手間をかけ自分が選択することは余裕があることと思った」と回答がありました。

渋谷のスローな過ごし方とは

最後に企業の皆さんから総評をいただきました。
博報堂の方からは「場所だけではなく、渋谷をスローに過ごすための知恵を教えてもらいました」との感想をくださいました。
JRの方からは「率直な感想として、紹介された場所に行きたいなと思いました。それぞれ視覚以外にも、聴覚や嗅覚など様々な角度からスローを考えてもらえて、自分の解釈も広がりました」と伝えてくださいました。

今回学生たちが紹介したところは、今後マップなどにまとめられる予定です。

2022年11月17日

10月15日に現代生活学科の学生が「駅ハイ」や「オクトーバーフェスト」の運営に携わり活躍しました。

現代生活学科の授業(担当:須賀 由紀子教授)でJR東日本とコラボし、学生たちが「駅からハイキング」のコースを考案。10月8日~10月23日の期間、日野駅をスタート地点に実施されました。また、10月15日(土)にはコース内にある日野市立カワセミハウスで「オクトーバーフェスト」が開催され、学生たちが運営に携わりました。その様子をご紹介します。

受付は朝から大賑わい

「みなさんこんにちは。私たち実践女子大学の学生がプロデュースした…」日野駅の構内に学生たち本人による「駅ハイ」の案内アナウンスが流れます。改札前には朝早くからたくさんの人が、10時からの受付を待っていました。この日は日野市の公式エコキャラクター、エコアラくんとエコクマくんも応援に駆けつけ、わくわく感が高まります。

「駅ハイ」はJR東日本が地域と取り組む無料のウォーキングイベントです。現代生活学科卒業生が橋渡しとなり、連携が実現。
今回、学生たちが日野市の魅力を再発見するハイキングコースを考案し、10月8日~10月23日の間実施されました。ハイキングコース名は「多摩最古のビールを生んだまち日野の自然と歴史エモーショナル体験」。日野駅をスタートし、多摩川鉄橋やひの煉瓦ホールを見学したり湧水を発見したりしながら豊田駅まで歩く約10kmのコース。
最初の3連休だけで200名を超える人たちが参加し、日野市の新たな魅力を見つけました。

「駅ハイ」で日野市の新たな魅力を発見するコース作り

学生たちは6月から取り組み、コースを考えてきました。何をテーマにするかなど一から考え、チラシやマップ作製まで携わりました。

現代生活学科4年の岡崎沙羅さんは
「若い人にも来てほしい、いろんな人に楽しんでいただけるコースにしたいと、エモーショナル体験というのをテーマにしました。エモいという若い世代の感覚を、年齢層高めの方たちにも感じてほしいという思いです」
と言います。

現代生活学科4年の角田奏瑛さんも
「日野市の自然の豊かさや水のきれいさを感じ取れるコースにしたいというのが決め手です。ロケーションの良さにこだわりました」
と話します。
多摩川鉄橋からの景色や百段階段を上ったあとの達成感など、普段味わえない「エモーショナルな体験」を生み出しました。

コース製作から学生たちをサポートしてくださった豊田駅窓口担当の鈴木暖菜社員は
「学生たちの方から積極的に参加してくれ、求めている以上のものを出してくれて大変嬉しく思います」
と話します。
豊田駅の鈴木賢一副長も
「企業では作りえなかった、学生ならではの地域密着型コースです」
と言います。
「ひの煉瓦や水路など、観光名所とは一味違う、地域で学んでいる学生ならではの視点で、歩く人が楽しめるコースになっている」と感心されていました。

土日は学生たち本人が受付に立ち、マップやパンフレットを手渡しします。特典の学生デザインの限定コースターも評判が良いそう。実際に歩いた方たちから「良いコースだったよ」など言葉をいただき、角田さんは
「新選組以外にも魅力的な場所があるんだと知ってもらえて、新たな日野市の魅力を引き出せたと思っています」
と満足した表情で語りました。

「オクトーバーフェスト」ではコースの展示も

この日は、駅ハイのゴール地点手前にある「日野市立カワセミハウス」で、「オクトーバーフェスト」も開催されていました。
オクトーバーフェストは、多摩地域でいち早く明治時代に製造されたという由来を持つTOYODA BEERを楽しむ地域のお祭りです。
こちらも学生たちが関わってイベントや展示をして地域の方々と交流をしていました。

こちらのイベントにも、駅ハイのコースを詳しく紹介する展示コーナーが。
作成したのは現代生活学科4年の村田真菜さん。
コース作りにも関わり、思い入れのあるポイントを、素直な感想とともに紹介しています。
「どの場所も思い入れがあってポイントを選ぶのも大変でした」
と村田さん。
駅ハイでカワセミハウスを訪れた人たちには
「TOYODA BEERとひの煉瓦の繋がりなど、日野市の歴史も紹介していきたいです」と話します。
「JR東日本の皆さんや日野市立新選組のふるさと歴史館の学芸員の方たちと連携して展示を作成したことは、今後につながる経験だった」と語りました。

布川との心温まる交流を紹介

「オクトーバーフェスト」では、「布川ファーマーズマーケット」も開催され、須賀ゼミが地域活性化をテーマに交流している、新潟県十日町市布川地区の農家さんで採れたお米や新鮮な野菜を販売。
布川ファーマーズマーケットの販売企画・運営を担当した現代生活学科4年の大平純澄さん、村松美咲さん、有江美咲さんは去年から現地に行って交流を続けていました。夏はほぼ毎週末布川に「帰った」という皆さん。
田んぼの田植えから収穫まで手伝い、夏は道普請という草刈りやサイクルイベントの手伝いをして地域の方々と親交を深めました。
「初めて会ったときから温かく受け入れてくれて親戚のような安心感。いつも「おかえりなさい」と出迎えてくれるのが嬉しくて」
と有江さん。大平さんも
「東京にいると早く布川に“帰りたい”と思っちゃう。本当に、帰りたくなるふるさとなんです」。

販売スペースには布川の魅力を紹介するパネル展示も。
カワセミハウスを訪れる方たちに布川に興味を持ってもらい、都市農村支え合いにつなげたい、と展示パネル作製に携わった村松さんは
「自然が鮮やかで、どの季節に行っても良い景色。また、地域の人たちの温かさを伝えたいなと思います」
と語りました。

当日は交流している布川の集落の皆さんも会場に訪れ、オクトーバーフェストを一緒に楽しみました。
「学生さんたちは優しくて清楚で真面目。すぐ集落に溶け込んでくれました」
と話します。
「若い子たちが来てくれて活気が出て、布川にとっても良いこと。私たちが当たり前だと思っている風景に感動したり楽しんだり、気づいていなかった布川の魅力を教えてもらっています」
と語っていました。

地域のイベントも実践女子の学生が運営に携わる

現代生活学科4年の大平彩乃さんは、この「オクトーバーフェスト」の実行副委員長。
5月から協議会に「オクトーバーフェスト」をプレゼンするところからすべて関わってきました。
コロナ禍の中、飲食の提供が難しくなることが予想されたため、「ひのデリカー」に協力を依頼。
地域の飲食店のお弁当やパンなどを販売していただく交渉をすすめるなど、数々の打合せや会計など、責任ある仕事に奮闘してきました。

「大人の方たちと直接関わることが多く勉強になりました。運営するにあたって市の職員の方や飲食店の皆さまなど、学校にいるだけではできなかった社会体験をたくさんすることができました」
と語りました。

学生たちは、地域の大きなイベント運営に責任ある形で携わり、参加する方に地域のよさや大切さを感じてもらえるよう豊かな発想力と行動力を発揮して、それぞれ企業や地域の皆さんと連携し、さまざまな貴重な経験をしていました。

2022年7月27日

JR東日本の皆様と一緒に日野市の魅力を伝える「駅からハイキング」のコース作りを行いました。

6月22日(水)に日野キャンパスで、現代生活学科の授業(担当:須賀 由紀子教授)でJR東日本とのコラボ授業が行われました。学生たちは実際にJR日野駅にて行われる「駅からハイキング」というウォーキングイベントのコースや特典を考えます。キャンパスのある日野市の魅力を考えるアイディア出しをJR東日本の社員の皆様と一緒に行いました。

駅は「きっぷを買う場所」から「地域の魅力を発信する場所」へ進化している

須賀 由紀子教授

去年のこの授業の履修者である現代生活学科OGが、JR東日本に入社し八王子駅に配属となり奮闘していることが紹介され授業はスタートしました。

東日本旅客鉄道株式会社(JR東日本)は、北は青森県から南は静岡県・伊豆半島(伊東市)まで1都16県の東日本地域の、鉄道を中心にした業務を運営しています。現在約4万8千人の社員が働いています。昨年度はコロナ禍の影響で大きな赤字が出てしまいましたが、社会インフラのひとつとして大きく成長を続けている企業です。

企業理念は「究極の安全」と「すべての人の『心豊かな生活』の実現」。鉄道会社ですから安全はもちろん大事です。その上で同じくらい重要視されているのが豊かな暮らしの手助けをすること。窓口担当の鈴木氏は「駅はきっぷを買う場所でしたが、今では地域の魅力を発信する場所になっていると思っています」と言います。茨城県では自治体と共同し、名産の栗をアピールする「笠間栗ファクトリー」の建設や、JR青梅線沿線の空き家を「沿線まるごとホテル」に生まれ変わらせるなど、地域創生に力をいれています。豊田駅長の糸井氏は「キャンパスのある日野駅とともに、日野市のPRに力を入れていきたい」と言います。

「駅ハイ」ってどんなイベント?

その地域創生の取り組みとしてのひとつが「駅からハイキング」です。「駅ハイ」とも略され、季節に応じた地域の魅力を楽しめる無料のウォーキングイベントです。東日本各地の駅で実施され、常時50コース以上が用意されています。期間は、1日以上3ヶ月以内とコースによってバラバラ。アプリを使って参加受付するので、受付時間内であれば時間に縛られず日帰りでいつでも気軽にハイキングを楽しめます。また多人数で動くようなツアーと違って、コロナ禍でも自然や観光を楽しめるのも現代のニーズにぴったりです。

駅ハイは地域の文化や歴史、産業やグルメなど埋もれていた観光素材を掘り起こし、その地域の活性化につなげることが目的なので、地域の人が紹介したいスポットを取り上げコースに組み込みます。また、コースを巡る際に地元住民の方々とトラブルにならないように事前の相談や下見なども行う必要があります。他にもチラシやマップを作成したり、資料を集めたりと実施されるまでの工程はさまざま。ルートの案が提出されてから3ヶ月ほどで、ようやくコースが開始されます。

「駅ハイ」のコースを考えよう!

学生たちには日野駅からの「駅ハイ」コースを考える課題が与えられました。ただ、「元々駅ハイを知ってた方はいますか?」と聞かれて手を挙げた学生は0。それもそのはず、参加者の年齢の割合は50~60代の方が大半を占め、20代はわずかしかいません。そのため、ターゲット層をどこに向けるかも学生たちで考えます。あえて若者向けのルートにするのもひとつの案です。

参加人数は土日の多いコースで、一日平均100人。昨年日野駅で行った新撰組ゆかりの地を巡る自然散策コースは一週間で約750人が参加されました。

コースレイアウトは本当に多種多様。所要時間もコースによってまちまちですが、施設などの立ち寄り時間も含めてだいたい4時間ほど、約12~15kmくらいのものが多いとのこと。スタートとゴールの駅は必ずしも同じでなくてもよく、沿線沿いを歩いて隣駅がゴールというコースもあります。コース、立ち寄り施設、特典…すべてを学生たちで考えなくてはなりません。糸井駅長の「皆さんならではの視点でコースを考えてみてください」とエールを受け、後半のグループワークに移っていきました。

日野市の魅力って?どんな特典がいい?アイディア出しから形にする

学生たちは3つの班に分かれ、模造紙に思い付きやキーワードとなる言葉をふせんで貼り付け、アイディア出しをしていきます。それぞれの班をJR東日本の社員の皆さんが回り、話を聞きながらどんなことができるかアドバイスをしてくださり、さらに案を深めていきます。

TOYODA BEERを若者に楽しんでもらいたい、という班は、10月に行われる「オクトーバーフェスト」と連携した特典を考えていました。インスタ映えするビールフロートの開発や、ステッカーやコースターなど様々な案が出ました。TOYODA BEERは約130年前に現在の日野市域で誕生した多摩地域最古のビールで、現代に復刻されたクラフトビールです。

TOYODA BEERに注目する班はもう1班あり、謎解きまちあるきやおいしいパン屋さんのある日野市豊田地区のパンの食べ歩きなど50~60代の参加者も若者気分になれるような案を考えていました。

もう1班は若者をターゲットに、SNS上でのフォトコンテストやハッシュタグの活用などを考えていました。また、土日に家族で楽しんでもらえることを考え、子どもも喜ぶガチャガチャやモノ作りの体験を特典にするなどの案を話し合っていました。

教室には昨年のこの授業で試作したTOYODA BEERの学生オリジナルラベルも展示して、アイディア出しの空間を作りました。

※TOYODA BEER実行委員会のご了解のもと、教育上の目的で作成したものです。

申請する時に注意すべきことは?

授業はあっという間に終了。最後に糸井駅長から「自分たちもとても刺激になり、新しいものが生まれそうというワクワク感がありました」と言葉をいただきました。学生たちはグループワークを経て、6月末にはJR東日本に企画を提出。学生たちのコースが実施されるのは10月上旬の予定です。実際にコースの実施されるまでチラシやマップ作成に携わっていきます。

2022年4月6日

毎日新聞社主催イベント「学びのフェス」「たのシニアフェス」に参加しました(3/25)

 毎日新聞社主催イベントが3月25日に渋谷キャンパスで開催され、本学からは「学びのフェス2022春」に美学美術史学科下山肇教授とゼミ生が参加し、「たのシニアフェス一日シニア大学」には、現代生活学科須賀由紀子教授のゼミ生が講義を行いました。

〉毎日メディアカフェ&毎日小学生新聞「学びのフェス」
〉たのシニアフェス「一日シニア大学」

「学びのフェス2022春」デザインのひみつを知ろう「これ何に見える?見立ての体験」

 

美学美術史学科の下山教授による『デザインのひみつを知ろう「これ何に見える?見立ての体験」』の講義は、1時限目から4時限目の1コマ40分定員上限18名で開催しました。
植物を使って人の横顔を描いたジュゼッペ・アルチンホルドの「春」などを参考に、見方を変えると違ったものが見えてくる「見立て」を小学生が体験。参加した小学生は、それぞれ配布された色紙を少しずつちぎり、他の参加者と繰り返し交換し、参加者の手元に残った紙片を何かに見立てた作品を制作しました。
参加した小学生は真剣な眼差しで制作に没頭し、完成した作品に笑みを浮かべていました。

「たのシニアフェス」多世代交流かるた「相詠みかるた」の体験

現代生活学科の須賀教授のゼミ生5名による多世代交流かるた「相詠みかるた」』の講義は4時限目に実施し、参加者は対面とオンラインのハイブリッド型で開催しました。
冒頭に本学オリジナルで制作している4種類の多世代交流かるた(アートかるた、相詠みかるた、見立てかるた、くらしいろはかるた)を説明。
「相詠みかるた」の読札は「高齢者の若者時代のくらし」と「現代の若者のくらし」を照らし合わせて言葉にしたこと(参考①)、一方絵札は、カラフルな紙粘土を型抜きして組み合わせ、読札の言葉の世界を表現したことなど(参考①)、オリジナルかるたの創作の工夫について紹介しました。
「相詠みかるた」とは、高齢者と若者が、「互いの気持ちや考えを交わし合い、日々大切にしたい生き方、暮らし方の交流を行う」というコンセプトのもと、制作したものです。
 講義後半には、「相詠みかるた」の体験やクイズを行い終始和やかなひと時となりました。講義室の外には、「相詠みかるた」の展示も行っており、訪れた方々はパネルや展示物を熱心に見ていました。

関連情報
〉日野市と連携!多世代交流カルタ「相詠みかるた」を日野市中央公民館かるた会でお披露目

メディア掲載
毎日新聞社運営サイト「大学倶楽部」に掲載されました

〉デザインのひみつを知ろう 「これ何に見える? 見立ての体験」
〉多世代交流「相詠みかるた」 こどもからシニアまでともに遊ぶ

2022年1月25日

元タカラジェンヌを講師に招いて特別授業!日本舞踊の奥深さや魅力を学生が学びました(12/20)

日本舞踊の奥深さや魅力を学ぶ特別授業が12月20日(月)、元タカラジェンヌで日本舞踊家の尾上五月先生を講師に招いて渋谷キャンパスで行われました。五月先生は、宝塚歌劇団時代のエピソードも紹介しながら、日本舞踊の醍醐味を解説。学生たちに、日本舞踊に限らず「日本の伝統的な独自の文化に目を向けてほしい」などと語り掛けました。

尾上五月先生は、元宝塚歌劇団65期生。1979~82年間の在団中は、五月梨世(さつき・りせ)の芸名で元月組男役として宝塚の華やかな舞台を彩りました。五月先生の同期には、元雪組トップの杜けあきさんなどがいます。五月先生によると、宝塚音楽学校時代に日本舞踊と出会い、その面白さに目覚めたといい、現在は尾上流師範として活躍中です。

五月先生は、今回の特別授業で「宝塚で培った男役の美学も、できれば日本舞踊に活かしていきたい」などと抱負を語りました。「宝塚音楽学校の生徒は、道路と並走する阪急電車に向かってお辞儀をする?」「宝塚音楽学校の下級生は、階段の踊り場の壁側を直角に歩く?」など、宝塚音楽学校や同歌劇団にまつわる「あるある話」を紹介。学生は興味津々、目を輝かせて聞き入れていました。

お座敷で踊られる「舞」も日本舞踊

特別授業は午前9時から約100分間行われました。それによると、五月先生は、まず日本舞踊のカテゴリーについて発言。歌舞伎舞踊や能狂言に由来する曲目もあれば、「お座敷で踊られる『舞』も、すべて日本舞踊」と語りました。

その上で、「『日本舞踊はどこに行けば観られるか』と聞かれるのが、悩ましい」と胸の内を明かしました。というのも、歌舞伎は歌舞伎座(東京・東銀座)、能狂言は国立能楽堂(東京・千駄ヶ谷)などの各地の能楽堂に足を運べば鑑賞が可能ですが、日本舞踊は「どこで、どんな公演をやっているかは、よほど調べないと分からない」からです。また、日本舞踊の公演を見たくても、「どんな日本舞踊家が世の中にいるか名前が知られていない」のも日本舞踊界にとっては悩みの種。常設の専用劇場がないことや、日本舞踊家があまりテレビに出演していないことが影響しているのだそうです。

「(日本舞踊の公演は)われわれ日本舞踊家が、企画をして公演を運営して上演をして、そして皆さんに『こんな公演をやりますから見に来てください』と案内をして開催します。通年でいつもやっているわけではなく、わざわざ企画して『こういう公演をやります』と決めた時に、日本舞踊の公演が上演されます」(五月先生)

五月先生の特別授業

かつて人気の「お稽古事文化」

尾上流師範として

五月先生はまた、「日本舞踊は、『お稽古事文化』としてこの国に根強く残ってきた」と強調しました。今の子供のお稽古事と言えば、バレエやダンスがポピュラーですが、ほんの50年ほど前は「バレエ教室に子供が通うのと同じくらい、日本舞踊がポピュラーだった」という時代がありました。それがどんどん日本舞踊を習う子供が少なくなり、今では五月先生が主宰する日本舞踊教室にも、「小さいお子さんが通ってくることは、本当に少なくなった」と憂慮しているのだとか。

「日本舞踊がこれだけ衰退してしまったのは、恐らくわれわれ日本人の中に西洋文化に対する憧れがすごく強いからだと思います。畳の生活よりテーブルと椅子の生活の方が便利ですから。そうやって西洋文化が手軽に手に入るようになると、自分たちの伝統文化に目を向けなくなってしまうのですね」(五月先生)

日本舞踊は「歌詞を踊る」

そんな日本舞踊は、西洋由来のバレエやダンスと、どこが違うのでしょうか。五月先生は、バレエやダンスとの違いをいくつか指摘する中で、真っ先に「メロディーやリズムを踊るのがバレエやダンス。日本舞踊は『歌詞を踊る』」という点を挙げてくださいました。そこで、五月先生は日本の新春・正月を象徴する端唄「初春」を学生に紹介しました。

 〽 初春や 角に松竹 伊勢海老や 締めも橙 うらじろの
 〽 鳥追う声も うららかに 悪魔祓いの 獅子舞や
 〽 弾む手毬の 拍子良く つく羽根ついて ひいふうみい
 〽 よっつ 世の中 良い年と いつも変わらぬ のし昆布

「何てことのないお正月の情景を、ただ歌っている」と語りつつも、歌詞に散りばめられた正月の風物詩や縁起物、伝統行事、風習などを解説。その上で、日本舞踊は歌詞を踊るという意味を学生に理解してもらうため、日本舞踊の実演というサプライズもありました。

端唄「初春」を解説
サプライズで実演

「日本舞踊は、歌詞の中にある役柄、それから物語、風景、情景というものを踊っていく。踊りで体を動かすなかで、演技の割合がとても高いのが日本舞踊。しとやかで静かなイメージがある日本舞踊ですが、実は能動的に演技や表現をしている部分が多いのです」(五月先生)

男性と女性、年齢も関係なし

もう一つ、男性や女性の性別で役割分担がないのも、日本舞踊の特徴です。バレエは、トウシューズを履くのは女性、女性を持ち上げるのは男性と役割分担が決まっていますが、日本舞踊はそうではありません。中高年の男性が可憐な少女の役を踊るというのも、珍しくないのです。逆に言えば「男の踊りも女の踊りも両方とも踊れないと、日本舞踊を習得したことにはならない」と、五月先生は強調しました。

さらに、年齢に関係なく楽しめるのも日本舞踊の魅力です。例えば、バレエを続けるには、年齢を経てもトウシューズを履きこなす脚力が要求されます。しかし、日本舞踊はそうではありません。そこまでの身体的能力がなくても、踊れる踊りがたくさんあるからです。

凛とした師範の美しい舞姿
日本舞踊の魅力を解説

このため、日本舞踊は「何歳からでも始められるし、何歳までも踊っていられる」という特徴があります。かえって、年齢を重ねて経験を積み重ねることで、「自分の知識や経験が日本舞踊の理解を深めるのに役立つようになる」と言います。

「日本舞踊は、バレエほどの高い身体能力が要求されない代わりに、『これはどういう意味で踊っているのか』を理解しながら踊るものです。ですので、大人の場合、体は硬いかもしれないけれども、今までの人生経験が稽古の後押しをしてくれる。そういう部分がたくさんあるので、年をとってから始めるお稽古事としては、日本舞踊はすごく向いています」(五月先生)

「結界を張る」は独特な礼儀作法

五月先生のレクチャーは、日本舞踊全般の話から、日本の伝統や古来の文化にも話題が広がりました。例えば、扇子を膝の前に置いてお辞儀をするという所作についてです。非常にフォーマルで、礼儀正しいこの所作には「結界を張る」という意味があると五月先生は説明しました。五月先生によると、「結界を張る」というのは、相手と自分との間に境界線を引き、相手を尊敬しつつ自分が人にへりくだるという意味だそうです。茶道や食事の時の礼儀(箸の置き方)にも通じる「非常に独特な礼儀作法のひとつ」と語りました。

「日本人には、控えめで美しい、そして自分をへりくだる文化があります。日本の文化、古来からの文化が、日本舞踊には随所に盛り込まれており、日本舞踊は日本の伝統文化を知る上でとても勉強になるのです。今の結界の話もその一つです」(五月先生)

着物や浴衣は外国人にアピールする武器

日本舞踊といえば、やはり着物は欠かせません。五月先生は「着物の着付けは、本当に面倒臭い。世界中どこを探しても、ここまで着るのがややこしい民族衣装はない」と苦笑しつつも、「古来からの民族衣装を今も使いこなしているというのは、日本ぐらいだ」と強調しました。それはなぜか。五月先生は、「日本人の深層心理に、深い自国の文化への愛があるから」と推察します。

具体的には、外国人とコミュニケーションを図ろうと思えば、着物の効果はてき面です。五月先生も約27年前、米国生活に何枚か着物を持参し、日本人のコミュニティや教会のチャリティなどのイベントの機会に、着物姿で日本舞踊を踊ったそうです。本人がびっくりするほどの脚光を浴び、「次から次へと声がかかり、引っ張りだこだった」と当時を振り返りました。

その経験もあり、五月先生は着物の着付けについて「普通に着物を自分で着られるのは本当に素敵なこと。ぜひ皆さんも着付けを習得してほしい」と学生にアピールしました。もちろん海外勤務や留学の際には、着物は高価な上に、着付けをマスターするだけの時間がないという事情があるかも知れません。その場合でも、やはり「踊りを踊らなくてもいいので、浴衣一枚でも海外に持っていってほしい。現地で浴衣を着て登場したら、きっとみんなのスーパースターになれるはず」とユーモアをたっぷりに話してくださいました。

日本文化の大切さをアピール

日本の文化を学ぶ大切さを強調

日本文化への理解が進みました

グローバル化が進展する昨今、英語を流暢に話す日本人は格段に増えました。でも、日本や日本の伝統・文化を聞かれた途端、多くの日本人が口ごもってしまうのはなぜでしょうか。五月先生が「いくら語学が堪能になっても、話す内容がないからだ」と残念がるところです。五月先生は、今回の日本舞踊の特別授業を通して、自国の文化を学ぶ大切さを学生に繰り返し強調しました。そして以下のメッセージを学生に残し、同日の特別授業を締め括りました。

「誇りを持って自分の国の文化を学び、習得してほしい。そして自分たちの先祖が培ってきた文化を受け入れ、それを敬ってほしい。自分の国についての知識は、いくら詳しくなっても決して邪魔にならない。たくさんのことを貪欲に学んで誇りを感じてほしいと私は申し上げます」(五月先生)

「芸能文化史」の授業で実現

尾上五月先生の特別授業は、美学美術史学科の「芸能文化史」の授業のなかで実現しました。担当は串田紀代美准教授です。2・3・4年生の約15人が同授業を履修しています。今回の特別授業は、1年生の「民俗芸能入門b」と2年生の「民俗芸能特講d」の履修生を含め約70名が受講しました。

授業を終えて五月先生と

串田紀代美准教授の話

この授業は、日本の伝統芸能について知識を深めることが目標です。しかし現状は西洋文化の人気が高く情報発信も圧倒的に多いので、日本の伝統芸能は危機的状況にあります。履修者の少なさが、それを如実に伝えています。そのため、能狂言や日本舞踊など舞踊・演劇分野で活躍している特別講師を毎年お招きしています。学生の反応は驚くほどよく、本授業がきっかけで本格的に日舞の稽古をはじめた学生もおります。やはり、学生の知的好奇心を刺激する工夫が日々の授業の中でいかに大切か、実感させられます。今回の特別授業も、学生のリクエストがきっかけでした。

 昨今、大学教育の中で批判的思考の態度を身に付けることが要求されています。批判的思考力は、さまざまな課題について自ら考え、問い続けることで鍛錬されます。「芸能」全般を通じて興味のある事柄に出会い、それについて深く考え追求しつづけることこそ、大学生の意義ある学習だと考えます。

指導は串田准教授

2021年12月8日

オクトーバーフェストが10月に開催されました!日野市や十日町市の住民と学生が交流を深めました(10/2~16)

 深まる多摩の秋を地域の人々で楽しむ「オクトーバーフェスト2021」が、10月2日から16日まで東京都日野市豊田の市立カワセミハウスで開かれました。同フェスト実行委員会の主軸として、本学生活科学部の学生が本部企画・会場運営に参加。3日(日)の「オリジナルテラリウムづくり」や16日(土)の「布川ファーマーズマーケット」などの連続イベントを通して、地元日野市や新潟県十日町市の住民らと交流の場を創出しました。

会場のカワセミハウス

 オクトーバーフェストは、ドイツ発祥のビールのお祭りです。カワセミハウスで行うオクトーバーフェストは、日野発祥のクラフトビール「豊田ビール」を楽しみ、地域がつながるお祭りとして、生活科学部現代生活学科須賀ゼミの学生が発案し、2017年から実施してきました。地域の団体による模擬店・展示、多世代が交流する趣向を凝らしたワークショップなどを例年行っています。

学生が本部企画を運営

学生が本部企画を運営

 今年のフェストは、コロナ禍の影響を受け、初めて2週間のロングラン開催となりました。期間中、本学は▼「日野市のオリジナル地図をつくろう!」をテーマに、まち街歩きマップづくり(3日、10日)▼「ビンの中の小さな日野のまち」と称して、ガラス容器の中で小さな自然を表現して楽しむテラリウムづくり(3日)▼交流のある新潟県十日町市布川地区の新米や新鮮野菜を販売する「布川ファーマーズマーケット」(16日)-などの本部企画を実施。生活科学部現代生活学科の須賀由紀子教授のゼミ学生らが、揃いのカワセミハウス・ポロシャツに身を包み、今年のフェストのために学生がデザイン・制作したオリジナルバンダナを着けて、テラリウムづくりや米・野菜の販売ブースなどを担当しました。

 このうち、テラリウムづくりは3日午後1時から行われ、30代から60代まで親子連れを含む日野市民延べ14人が参加しました。コロナ禍の中で参加者は予約制をとり、屋外テントの専用スペースで、本学学生が参加者に寄り添い、心温まる制作の場を創り出しました。

無印良品も協力

 テラリウムづくりでは、イオンモール多摩平の森(日野市豊田)に店舗を構える無印良品から、テラリウムづくりに適した手頃なガラス容器の商品提供や、フォトスポットの設置などの協力を得ました。

 店長の竹内健太さんによると、同社では地域の課題解決に関する取り組みやイベント開催への協力を積極的に進めており、日野市地域協働課を介して、本フェストへのマッチングが実現したとのこと。本学学生とテラリウムづくりの企画を進めて地域のつながりを盛り上げることができ、竹内店長は、「これからも、こうした地域貢献活動に積極的に協力していきたい」などと語りました。

無印良品も販売に協力

学科を超えた連携も

 これに先立ち、地域への愛着を育む日野市オリジナル地図づくりを3日午前11時から実施しています。参加者それぞれが、自分の好きな商店やお気に入りのスポット、苦い思い出もある場所などを市内の地図に落とし込み、自分だけのまち歩きマップを作成しました。多世代で地域のことを話題に交流するのが狙いです。生活環境学科のスタジオMKラボが、マップづくりにデザイン協力しました。

新潟の米や野菜を販売して地域をつなぐ

布川ファーマーズマーケット

 また、16日(土)の「布川ファーマーズマーケット」には、須賀ゼミが都市農村の支え合いをテーマに交流している新潟県十日町市松之山布川地区の住民4人が、この日の朝に布川地区を車で出発して、3時間半かけてカワセミハウスに来場。同地区で採れた新米魚沼産コシヒカリや朝採りの新鮮野菜を会場に持ち込み、午後1時から販売しました。

 用意された新米は、いずれも雪深い同地区の山の清水を利用した棚田の特別栽培米「山里布川米」です。学生が、1㎏入り・2㎏入り・3㎏入りそれぞれの個数を考えて事前に手配し、合わせて100㎏分の米を、「黒川かわせみサロン」のお母さん方と一緒に販売して、わずか35分で完売しました。一方の新鮮野菜は、かぐらなんばん、モロッコ、糸うりなどの珍しい野菜の他、旬の里芋やさつまいもなど約30種類。布川の「ゆったりクラブ」のお母さん方が育て、大地の滋養いっぱいの野菜で、販売を待ち望んでいた来場者が、先を争って購入していました。

35分で完売

布川住民とギャラリートーク

ギャラリートーク

 直売に続き、布川地区の自然や住民の暮らしぶりなどを写真で紹介するギャラリートークが、午後2時から同じ会場で行われました。布川地区を2回訪れたという須賀ゼミの学生2人が司会を務め、小野塚建治さんら布川地区からの住民4人と対談。現地で学生が撮影した思い出の写真をもとに、同地区の魅力や住民の温かさなどを振り返りました。

小野塚建治さんの話

 実践女子大学の学生さんが、十日町市布川地区を訪れるようになって5~6年になります。「布川地区の高齢化の様子が知りたい」というのが、きっかけでした。昨年はコロナ禍で無理でしたが、彼女たちは安価に利用できるバスでやって来ては、長い人で1週間ほど、土日だけの滞在という人もいますが、村の施設や農道の草刈りなどを率先して手伝ってくれています。コロナ禍前は、地区の夏祭りも盛り上げてくれました。

 学生さんが「田植えや稲刈りを是非やりたい」というので、私の家の棚田で昔ながらの旧コシヒカリの品種を使った希少な米作りをしてもらっています。田植えや稲刈りはもちろん、畔の草刈り、天日干しまで学生さんがします。150kgぐらいの収量がありますが、その一部は「まつむすめ」という名前で実践女子大の常磐祭でも販売されています。

 学生さんが「田植えや稲刈りを是非やりたい」というので、私の家の棚田で昔ながらの旧コシヒカリの品種を使った希少な米作りをしてもらっています。田植えや稲刈りはもちろん、畔の草刈り、天日干しまで学生さんがします。150kgぐらいの収量がありますが、その一部は「まつむすめ」という名前で実践女子大の常磐祭でも販売されています。

 高齢化が進んだ地区に若い人が来るというのは、華があっていいものです。在学中だけでなく卒業してからも来てくれる方もいます。実践女子大学の学生さんは、すっかり布川地区に溶け込んでくれていて、今では地区になくてはならない存在となりました。

フェストを盛り上げた仲間と

須賀由紀子教授の話

 オクトーバーフェストは、カワセミハウスが地域の居場所のハブ拠点として開設された2017年から、本学学生の発案がきっかけで行われ、今年で4回目の実施となりました。地域の様々な方がつながり、知り合うお祭りです。

 学生は、このお祭りに、当日の「お手伝い」で参加するのではありません。企画をゼロから考えて、カワセミハウス協議会に提案して了承していただき、その後、オクトーバーフェスト実行委員会が立ち上がり、準備を進めていきます。今年度は、実行委員会副委員長として、須賀ゼミ4年の三須葉月さんが中心となり、須賀ゼミ3年生および4年生の有志が、約半年かけて、コロナ禍の中でも安全にできる内容を工夫し、2週間のプログラムを見事にやり遂げました。告知チラシやプログラム・リーフレット、4m幅の横断幕の制作などもすべて学生が手掛け、地区内の掲示板やポスティング、イオンモール多摩平の森での紹介なども行いました。

 今年はコロナ禍ということで、企画には大変苦労しました。緊急事態宣言が続き、本当に開催できるのかという不安な思いの中で、学生たちはよく頑張ったと思います。豊田ビールが必須のアイテムですが、生ビールの販売はできません。瓶でのお持ち帰り販売に限定し、日野市が始めた「日野デリカー」に依頼して、特別に「豊田ビールに合うおつまみ販売」を取り入れました。また、2週間のプログラムのフィナーレには、須賀ゼミとスタジオMKラボでコラボレーションして、「キャンドル点灯式」を実施。「素晴らしい点灯式で、本当に感動しました」というメールを、地域の方からいただきました。

小径にキャンドルを配置
夕暮れにキャンドルの灯りが映えます
2021年8月23日

身近な課題を解決する実践的な授業で、大学生としての学びをスタート!

全学共通科目「実践入門セミナー」は全学部の1年生が受講するセミナー形式の授業で、その到達目標は、「実践女子大学の学生として学んでいく上で必要不可欠な基本的な知識や技能を身につけること」と「社会についての視野を広げて卒業後の将来について考えること」です。とくに、生涯にわたって知を探究して学び続ける自己研鑽力、現状を正しく把握して課題を発見する行動力、他者と互いに役割を理解して協力できる協働力という3つの力の育成を目指しています。今回は、人間社会学部の1年生の「実践入門セミナー」(担当:人間社会学部 竹内光悦教授)をご紹介します。

いきなりの重大ミッション
実践女子大学の魅力をより多くの高校生にアピールするには?

実践女子大学の「強み」のひとつは、「171以上の企業・組織と協働したプログラムで、実践的な学びが豊富」という点です。今回の授業は171のプログラムには含まれませんが、社会とのつながりを意識した実践的な授業となっています。今回は、1年生に親和性が高いテーマを用いた、チームビルディングとプレゼンテーション機会の実践となります。

入学して間もない1年生たちは、5月17日に「実践女子大学の魅力をより多くの受験生に知ってもらうにはどうしたらよいか」というお題を与えられ、4チームに分かれて課題解決に向けたディスカッションを開始。6月7日の中間発表を経て、6月21日の最終発表となりました。発表は7分間以内で、質疑応答も含めて10分間以内に終わらせることがルール。学生たちは各チームオリジナルのスライドを使いながら、自分たちの考えを発表しました。

竹内教授からプレゼンテーションの評価ポイントなどを説明
SNSの活用や部活・サークル活動を起点にした魅力の訴求など、学生らしい視点で様々な意見が提案されました

「HPより動画のほうが気軽に見られる」ことに着目
YouTubeで実践女子大学の魅力を発信!

「世界に発信! 実践女子大学!」というタイトルでグループワークの成果を発表した「チームA」。学生たちはターゲットを全国の女子中高生とし、10代の利用率が高いYouTubeに注目。実践女子大学の公式YouTubeチャンネルの開設を提案しました。また、再生回数を上げるためには、「SNSでPR」「動画は3分以内に」「キャッチーなタイトルに」「動画の最後にSNSの紹介をする」などの方法を提示。7分間の発表を終えました。

課題やターゲット、SNSをしっかり分析!
動画投稿の時間帯や予算なども具体的に提案

2番目に発表した「たまごチーム」のタイトルは、「JJしか勝たん! 〜きらきらJDへの道!〜」。「認知度の低さはどこからくるのか」「実践女子大学の良さはどこか」「ターゲットとなる女子高生の特徴は何か」などを丁寧に分析し、結論に至るまでの過程をスライドなどを使って紹介しました。さらに、発信ツールは女子高生の嗜好なども考慮して、10代の利用が圧倒的に多いTikTok に決定。発表では、効果が出やすいように動画の投稿時間帯や方法などもチェックして提案したほか、予算や効果展望などにも言及しました。

女子高生の不安と実践女子大学の強みを結びつけた
ツールは1日を通してよく使われるTwitterに着目

「将来が不安な女子高生! 実践女子大学に集まれ!!!」というタイトルでグループワークの成果を発表した「チーム名 いぬ」。その提案は、高校3年生の52.1%が「将来の夢やなりたい職業がない」というアンケート調査の結果と、「さまざまな分野を学べる」という人間社会学部の特徴を結びつけたものでした。ターゲットも進路未定の女子高生に絞り、彼女たちの興味を引くような情報を発信していくことを考えました。また、投稿が拡散されやすい時間帯もチェック。投稿する動画の内容も、授業の様子だけでなく、学食のメニューや在校生の今日の私服など、リアルな実践女子大学を紹介していくことを提案しました。

「YOSAKOIソーラン部wing」への興味のきっかけに
「実践女子」の名を知ってもらい、受験者数増を狙う

最後は、発表のタイトルに「#咲かせよう実践の輪」を掲げた「TEAM ZOO」。全国各地で活動する大学のサークル「YOSAKOIソーラン部wing」を広告塔に据え、地方に住む高校生やその家族に実践女子大学の名前を知ってもらおうという作戦を考えました。また、地方遠征が中止になった場合はオンラインで実践クイズ大会を開催し、高校生に人気のコスメブランドのアルコールジェルをプレゼントするなどの代案も考案。予算などもしっかりとと組み込み、OC参加者数・受験者数の増加を狙う7分間の提案を終えました。

ドキドキの結果発表!
どのチームも伸び率がすごく、接戦だった

4チームの発表が終わり、ホッとした表情を見せる学生たち。そして、いよいよ優勝チームの発表です。学生たちの前に立った実践女子大学 入学支援課 課長の朝比奈るみさんは、「中間発表のときはどうなるかと思いましたけれど、どのチームも伸び率がすごかった。データに基づいてきちんと分析された結果の提案になっていたし、質疑応答の対応も素晴らしかったです。リアリティが感じられる発表でした。どのチームを優勝とするか、とても悩みましたが、今回の優勝はたまごチームです」と発表。「たまごチーム」の間から歓声が上がり、賞賛の拍手が教室中に響きわたりました。

また、竹内先生は優勝できなかったチームの学生たちに、「悔しい思いをした人たちは、その悔しさを次に活かしてほしいと思います」とエールを送りました。

実践の場で、良い意味で失敗してもらう
そこに気づきがあり、次の目標が生まれる

「学部全体で、PBL(課題解決型学習)を推していこうという流れがあります。なるべく早く実践の場に立って、いい意味で失敗をしてもらう。例えば、質疑応答で指摘され、データ数が足りないことが分かった。それこそが、失敗から学ぶ「気づき」です。そしてその気づきが、「調査系の授業を受けよう」「マーケティングの授業を受けよう」という行動につながります。知識を得てから実践するのではなくて、ウチでは「まずは実践をして、失敗しつつ、足りないことを自分で学びましょう」というスタンスで授業を行っています。今回は学内の部署への提案でしたが、3年生になるとビジネスコンテストなどにも出場します。一昨年は、あるビジネスコンテストでウチの3年生のゼミが2位になりました。こうした経験は、自信にもつながります。大学生ですから、可能性はたくさんあります。1回目であきらめるのではなく、何度もチャレンジしてみる。成功しても失敗しても、その体験は「こういう経験をしました」という就活時のネタにもなります。そして私たちも、そういったことを常に意図しながら授業を行っています」と竹内教授は話してくれました。