タグ: コラボ授業

2022年12月7日

学生たちがフィールドワークで「スローな渋谷」の魅力を探す、博報堂とJR東日本とのコラボ授業が行われました。

人間社会学科「フィールドワーク論」(担当:原田 謙教授)の授業で、11月9日(水)に(株)博報堂 ミライの事業室とJR東日本 東京感動線によるプロジェクト「Slow Platform 渋谷駅0番線」とのコラボ授業が行われました。学生たちはブレインストーミングで「スローな渋谷」の魅力を探し、フィールドワークのテーマ出しを行いました。

渋谷のより心地よい街づくりに学生たちも参加!

授業はJR東日本の「東京感動線」についての説明から始まりました。東京感動線とは、山手線を起点に心豊かになるライフスタイルを提案するプロジェクトです。上野駅のなかでアートの展示・販売をしたり、寛永寺と協力して写経体験を手掛けたりと、街の個性を引き出す取組みや人と企業等とのつながりを創出し、「ちょっとだけ未来」のライフスタイルも意識しながら、様々な取組を行っています。JR東日本の担当者は「山手線は駅ごとに街の個性が全然違う、世界的に見ても貴重な路線です」と言います。個性的な街のなかで、駅を交流拠点にして新しい価値を提供していくことが目的です。

次に(株)博報堂 ミライの事業室から。ミライの事業室では2年ほど前から「shibuya good pass」というサービスを開発し、渋谷の街づくりに参加できるシステムを作っています。例えば恵比寿や初台などでは、市民起案のプロジェクトをWEB投票などを活用し支援する取り組みや、代官山では、遊休地にひまわりを植え、地域の住民で育てる取り組みなどを行っています。その活動の中で、JR東日本とタッグを組み、渋谷駅構内に「Slow Platform 渋谷駅0番線」を作りました。みんなでつくる、スローな駅。」をコンセプトに、癒やしやコミュニケーションを生み出す実験をしています。今回は「この場所を拠点に、渋谷の街の課題解決にぜひ皆さんも参加していただきたいと思います」ということでした。

スマートな街・渋谷のスローな面を発見する

舞台となるのは、渋谷駅の「新南口」に隣接する「Slow Platform 渋谷駅0番線」です。学生たちにはあまり馴染のない場所のようでした。新南口は、元々JR埼京線のホームがあった場所で、渋谷駅のなかでも恵比寿駅寄りに突き出た箇所にあります。埼京線のホームが新しく山手線付近に出来たことで、現在は連絡通路としてのみ利用されています。ここを拠点に「スローな渋谷を考える」、が今回の課題です。

渋谷は日々新しいビルが建つ進化的な街ですが、街が育ち「新しい場所」ができると同時に「古い場所」も出てきます。新しい場所は注目されますが、一方で役目を終えていく場所も生まれているのです。ただ、新しい場所はスマートですが、忙しなく疲れてしまう一面も。一方、古い場所は目立たないけれど、その分ほっとしたりする面があったりします。どちらの面も発見することで、より心地よい渋谷が見つかるのでは、という取り組みです。

そもそも「スロー」ってなんだろう?

いよいよグループワーク開始です。博報堂の担当者がファシリテーターとなり、ワークショップが始まりました。まずは「渋谷でビジーに感じること」をふせんに書きだします。渋谷で過ごしていて忙しない、窮屈、居心地が悪いと感じることを思いつくままに書きます。それをグループのなかで発表し合いながら、模造紙の右半分にふせんを貼ります。話し合いのなかで同じような意見を集めたり新しい意見を取り入れたりしていきます。

満員電車、サイネージ広告、酔っ払い、キャッチや歩きスマホ…それぞれのビジーが書き出されていきます。グループ内で出し合ったところで、学生たちにペンが配られました。「ビジーに感じたもののなにが嫌なのか、どういう気持ちになるのか要因を深堀して、その気持ちを書いていきましょう」と声掛けがありました。「閉塞感」「うるさい」「怖い」「迷惑」「歩きづらい」などコメントが書き込まれます。駅ではほとんどの人が急いでいるので「緊張する」や「もたもたしていると申し訳ない」などというコメントも。

渋谷の街でビジーなことを認識したところで、それを解消する「スロー」を見つけていきます。方法は同じ。ふせんに、癒される、落ち着く、気持ちが良いところなどスローなことを書き出し、今度は模造紙の左半分に貼っていきます。コーヒー、手をつないだ親子、人の少ない場所、車内アナウンスが優しいとき、仲のいい友人、昼間の空いている電車などなど、スローもたくさんの意見が。それにつくコメントは「ほっこりする」「かわいい」「気を遣わない」「季節を感じる」「デジタルデトックス」などさまざま。学生たちは「それ分かる」と言い合いながら積極的にディスカッションしていました。

フィールドワークでどんな「スロー」を探そう?

ビジーとスローの両面出たところで、渋谷をフィールドワークする際に探してみたいスローの方向性を決めます。それぞれのグループで特色を話し合い、発表しました。Aグループは「雰囲気が良くて落ち着く場所」、Bグループは広告や大音量でスピードが速いというビジーに対し「目から入る情報や心とお金の負担を減らせるところ」という方向になりました。Cグループは「自然を感じられる人の少ない場所」、Dグループも「自然があり一人になれるところ」というものです。Eグループは、渋谷に銭湯があることに着目し、「あまり知られていない昔からあるお店や場所」を探します。

授業の終わりには企業の皆様からコメントをいただきました。博報堂からは「渋谷の街は開発が進んでいますが、渋谷でもスローな場所があることを多くの人に知ってもらえたらと思います」。JR東日本からは「電車はビジーなイメージと思っていましたが、空いている電車などスローの意見もあるのかと発見でした。たくさんの意見が出て、自分たちも勉強になりました。年代問わずビジーやスローの感覚は同じだと感じました」。「これからフィールドワークするなかで、今回ふせんに貼っていないようなことも発見してもらえたら」と期待の声もかけられました。

学生たちはこれからインタビューや写真観察を行い、最終授業ではフィールドワークを通して見つけた新たな「スローな渋谷」をプレゼンします。

2022年11月29日

スペシャルティコーヒーについて学ぶ!「実践キャリアプランニング」の授業で丸山珈琲とのコラボ授業が行われました。

英文学科「実践キャリアプランニング」(担当:文学部国文学科 深澤晶久教授)の授業で、11月4日(金)に株式会社丸山珈琲広報部部長の小林りえ子氏をお招きしてのコラボ授業が実現しました。今回は「これからの時代に合ったコーヒーを主軸にした飲食店について考える」ためのオリエンテーション。学生たちは実際にテイスティングしてスペシャルティコーヒーについて学び、出された課題について一か月後にプレゼンテーションを行います。

軽井沢発祥のスペシャルティコーヒー専門店

丸山珈琲と深澤教授とのコラボ授業は今年が4回目となります。そして「実は私、以前実践女子大学の広報をやっていたんです」と小林氏。ご縁が繋がり嬉しいと、親しみある雰囲気で講義は始まりました。

丸山珈琲は、長野県の避暑地として有名な軽井沢で、喫茶店として1991年にスタートを切りました。現在は長野や東京を中心に9店舗を展開しています。小諸店には焙煎工場が併設されており、全店舗で使用する豆の焙煎を一括で行っているとのこと。工場は厳しい温度管理がされ、焙煎職人しか入れない重要な場所です。

「みなさんコーヒーの花って見たことありますか?」と小林氏が見せてくださった画像は、細く白い繊細な花がたくさん木になっているところでした。花がしぼむと緑色の楕円形の実ができ、完熟すると真っ赤な実になります。「コーヒーチェリー」と呼ばれ、これがコーヒーのもとになります。「皆さんが想像する茶色いコーヒー豆はこの中から取り出して、焙煎します」と説明されました。

そもそもスペシャルティコーヒーって?

「丸山珈琲を知っていましたか?」という質問に手を挙げた学生は少数。「スペシャルティコーヒー」という存在は、名前は知っていてもなかなか学生の世代にはなじみがないものです。
スペシャルティコーヒーとは、一言でいえば「高品質で飲んでおいしいコーヒー」のこと。コーヒーの品評会で審査員が点数を付け、80点以上を獲得したものに付けられる名称です。
創業者で社長の丸山健太郎氏は数々のコーヒー豆品評会で審査をする国際審査員なので、自ら味や香りをチェックしグローバル基準にて味わいを評価し買い付けをおこなっています。

スペシャルティコーヒーは、国内に流通しているコーヒーの12%くらいを占めており、年々規模も少しずつ大きくなっています。基本的な流通システムは商社がコーヒー豆を買い付け、それを各店舗に卸すやり方ですが、丸山珈琲では一味違います。
バイヤーとしても有名な社長自ら一人で世界各地を飛び回り、直接生産者から買い付けを行っているのです。良質な豆を分けてもらうには、生産者とのコミュニケーションが大切です。信頼関係を築くため多い時で年間150日以上にわたりコーヒー生産者を訪問。中南米やアフリカ、アジアなどコーヒー生産国にて、個性豊かで高品質のコーヒー豆を探しています。withコロナでは現地に行けない代わりに、インターネットや電話で打ち合わせや買い付けもおこなっていました。

この「ダイレクトトレード」には2000年代の初めから取り組んでおり、現在の「フェアトレード」の走りとなるやり方。いいものにきちんとした対価を支払い、生産者の生活水準を安定させることで、モチベーション維持や品質の向上にも努めています。

おいしいコーヒーを淹れるには、コーヒーのスペシャリストである「バリスタ」の腕も欠かせません。丸山珈琲のバリスタたちはバリスタの世界大会でも好成績を修め、日本チャンピオンも何人も輩出しています。

スペシャルティコーヒーをテイスティング!

「コーヒーのことを考えるにはコーヒーを味わう必要があります」と深澤教授。講義の合間に、学生たちに2種類のコーヒーが振舞われました。2つは焙煎の時間などが違い、一つは中煎り、もう一つは深煎りです。学生たちは2種類のコーヒーをテイスティングし、色や香り、味などの違いを実感して確かめました。

淹れてくれたのは丸山珈琲のバリスタである富岡氏。
「中煎りは、エチオピアの豆で、アナエロビックという製法で作られた豆です」
と説明が。
アナエロビックとはタンクに豆を入れ、時間をかけ発酵させた豆を焙煎する方法とのこと。酸味のある果汁のような味わいで、ストロベリーやジャスミンのような甘くフローラルな香りが広がります。
深煎りはビターチョコのようなカカオの余韻がある、締まった味。同じコーヒーでも味わいは全く異なり、学生たちは「おいしい」「やっぱり違うね」と感想を言いながら飲み比べていました。

コロナ後の時代に合った「コーヒー」を主軸にした飲食店とは

出された課題は
「アフターコロナ(withコロナ)時代の、コーヒーを主軸とした飲食店を考える」。

学生たちは、これからの時代に合う、足を運びたくなる店舗を考えます。オンラインも盛んになってきた現在、行きたいと思わせる店舗の条件とはなにか、立地や内装など、その理由も合わせて考えます。店舗はカフェでなくレストランでも可。場所も日本に限りません。メニューなども一緒に考えてみるのもOKです。
「どんな店舗が出てくるか、楽しみにしています」と小林氏から期待が込められました。

学生たちに時間が与えられ、どんな店舗がいいか話し合いを始めました。
小林氏や富岡氏に質問をし、
「コーヒーを飲まない人にどうアプローチするか」
「若者へのスペシャルティコーヒーへの認知度は低いのでは」
など課題を考えていました。
「場所は新宿のオフィス街で、おにぎりに合うコーヒーはいいのでは」
「コーヒーのテイスティングセットを売り出したら面白い」
と、メニューから発想を膨らませる班も。
「宣伝方法は?」「デリバリーはどうだろう」「夜はバーになって…」
などなど、各班で様々な面白いアイディアが出ているようでした。

発表は12月末。学生たちはグループワークを重ね、パワーポイントを作成しプレゼンテーションに臨みます。

深澤先生の話

恒例の丸山珈琲様とのコラボセッション、今年も全面的なご協力をいただき11月4日にスタートしました。
当日は、丸山珈琲の小林広報部長と広報部の富岡様にお越しいただき、
スペシャルティコーヒーのテイスティングをご用意いただき、講話とお題の提示をいただきました。
今年度も「店舗づくりとその店舗に相応しいメニュー作り」というリアルなテーマをいただき、早速、グループワークがスタートしました。
12月のプレゼンテーションセッションが今から楽しみです。

丸山珈琲様の毎年のご支援に、この場を借りて心から感謝申し上げます。