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2021年6月7日

新聞記事から最新の就職トレンドを読み解く!「日本経済新聞」と社会連携授業を行いました(5/18)

新聞の経済記事から最新の就職トレンドを読み解く社会連携授業が18日(火)、「日本経済新聞」の村山浩一氏を講師に招いてオンラインで行われました。村山氏は、新型コロナウイルス感染拡大(コロナ禍)も踏まえて、企業のアップツーデートな採用事情を紹介。学歴フィルターなど本学学生に関心が高いテーマも取り上げ、企業の採用行動を解説しました。

社会連携授業は、文学部国文学科の深澤晶久教授(キャリア教育担当)が担当する共通科目「キャリアデザイン」の中で実現しました。日本経済新聞社と本学の社会連携授業は、今年度で3回目となります。対象は学部を問わず3~4年生。今年度は、3学部6学科の45人が履修しています。
 
 講師の村山氏は、日本経済新聞社人材教育事業ユニット部長の役職にあり、早稲田大学の非常勤講師も務めています。この日の講義は「人生100年時代の『働く』を考える」。3年生の就職活動がこれから本格化するという今のタイミングを狙い、①今はどんな時代?②企業の今昔③私たちの給料④変わりゆく採用市場⑤メディアテラシー-の5テーマについて分析や解説を行いました。時折、ZOOMのチャット機能も駆使しながら学生たちの反応を確認、双方向による授業が試みられました。

ZOOMで講義する村山氏

ESや自己PR動画にAI判定も

「優秀な学生 争奪早まる=内定率、昨年上回る-コロナ下 就活解禁」(2021年3月2日朝刊)
 
 記事は、2022年春卒業予定の大学生らに対する企業の会社説明会が3月1日、解禁されたことを受けたものです。村山氏は同記事をもとに、今年度の就職活動の特徴を解説。最近注目を集めている選考手法を取り上げ、「リファラル採用やジョブ型採用、AI判定、このあたりが今年度の就職戦線でもキーワードになっているのではないか」と語りました。
 
 このうち、リファラル採用は今、産業界で広がっており、東急リバブルなどが採用。社員に有望な知人や後輩を紹介してもらう制度です。また、ジョブ型採用はKDDIなどが採用していると述べました。ジョブ型採用は仕事に対して専門的技能を持つ人を採用します。

他方、AI判定補助は、野村證券などが採用していると紹介しました。エントリーシート(ES)や学生の自己PR動画などをAIが解析、選考をサポート補助するのが特徴です。村山氏によると、実は「AIで判定すると、ESの合否判定は1秒で、瞬間で分かる」とか。以前、さるネット企業に聞いた話だそうです。そのせいか、実際はかなりAIで合否判定する企業が増えているにも関わらず、その場合でも「社員を介さずに、機械で合否判定していると分かると(受験生には)感じが悪いでしょう?」と言い、「表向きは『AIと社員が総合的に判定しました』と言い訳をする企業もある」と明かしました。

企業が「新卒採用」の機会を大切にする訳は?

次いで、村山氏は国内の22歳人口の減少に触れつつ、企業の「新卒採用の見通し」を説明しました。21年卒と22年卒の新卒採用について「変わらず採用したいという企業が最も多い」と指摘した上で、22歳人口の減少以外に企業が新卒採用を大切にしたい理由をチャットで学生に問い掛けました。

(学生1)「若い人たちを即戦力だと考える企業が少ないから」
(学生2)「若いアイデア、新しい考え方を取り入れたい」
(学生3)「管理職に就く人を育てる」
(学生4)「長く続くために」
(学生5)「良い人材を早めに確保する」
(村山氏)「いいですね。全部正解です。ありがとうございました」

期待通りの回答が得られたからでしょうか。村山氏は、学生の回答を一通り検討した上で、おもむろに自ら用意した回答を学生たちに示しました。「DXを強化するため」と「過去の採用氷河期を企業が今、反省しているため」の2つです。

 このうち、村山氏はデジタルトランスフォーメーション(DX)の強化について、「人工知能(AI)やデジタル化など事業を進めるには、いろんな技術が必要。だから人材が必要になる」と説明しました。「柔軟な発想の若い人を確保したい」という理由からで、学生たちの指摘と重なります。

他方、村山氏はもう一つの理由は「過去の反省」だと言います。というのも、1997年は旧山一證券や都市銀行だった旧北海道拓殖銀行が破綻した年ですが、企業はこの金融不況で、こぞって新卒採用を手控えたからです。あまつさえ、2008年には全世界にリーマンショックによる不況が広がり、企業は以前にも増して新卒採用に後ろ向きになります。この結果、企業の年次構成はいびつになり、長年にわたり、その後遺症に悩まされました。これを教訓に、例え今回のコロナ禍のような経営が苦しい状況にあっても、企業は「できれば安定的に採用し、年次構成がいびつになるのを防ぎたいと思っている」と語りました。
 
「年次構成がいびつになっただけではありません。ある年度、文系の新卒採用を見送った大手企業がありました。取材すると、翌年の採用は難しかったと言います。口コミで『あそこは業績が悪くて採用しないよ』と学生の間に広がってしまったからです」(村山浩一氏談)

トヨタの「学校推薦」廃止、衝撃走る!

「トヨタ、学校推薦を廃止=新卒の技術系、自由応募に」(2020年11月21日朝刊)

 他方、採用をめぐっては、村山氏は日本経済新聞の記事から学生が見逃してはならないとする別のニュースも紹介しています。日本を代表する企業のトヨタ自動車が、2022年春採用から学校推薦を廃止するという2020年11月21日の日経新聞記事です。「理系向けの話だが、(文系の)皆さんにも回り回って関係してくる」と指摘しています。

(村山氏)「トヨタ自動車が理系の技術職の採用にあたり学校推薦を廃止した。その狙いはなぜだと思うか」
(学生1)「アイデアを採り入れたい。チャレンジ精神を大切にしたい」
(村山氏)「あ、いいですね」
(学生2)「多様な人材。人材の幅を広げたい」
(村山氏)「あ、いいですね。いいですね」
(学生3)「毎年、学校で選ぶと、同じような人材が集まってしまう」
(村山氏)「あ、これは素晴らしいな」

日本を代表するトヨタ自動車が、技術者の採用にあたり学校推薦を廃止するというニュースは、産業界で大きな話題となりました。各大学から、例えば東京大学から何人、東京工業大学から何人、京都大学から何人と技術者を採る従来のやり方は、採用が楽だったのは確かですが、それを止めるというからです。

 「皆さんは、(CASE ケース)(※)という言葉を聞いたことがありますか。この数年の間に自動車産業に大変革期をもたらすといわれるキーワードです。自動運転や脱炭素のガソリンエンジン廃止などで、自動車の概念が大きく変わろうとしています。そんな大変革の時代には多様な人材が欲しい。学校推薦だと一定の優秀な人材は当然集められますが、同じような人材が集まってしまうからです。今まで受験してくれなかったような大学の学生にも受けてほしい。そういう理由で、面倒だけれども自由応募にして、多様な人材を集めたいということです。これでいうと、技術系の人ばかりの話ではないですよね。想像つきますよね」(村山浩一氏談)

「学歴フィルター」は存在するか?

続いて、学校推薦の話題に関連し、村山氏は「『学歴フィルター』は、日本の採用試験にあると思うか?と、学生さんから時々聞かれます」と語りました。

(学生達)「ある」「ある」……。「ある」
(村山氏)「全員が『ある』かなあ?答えてくれた人は、全員が『ある』でした」

そう語った村山氏は、学歴フィルターに関して民間企業が数年前に行った調査を紹介しました。それによると、「フィルターを何らかの条件で掛けていますか?」という問いに対して、約半分の企業が「掛けている」と回答したそうです。その中で、最も多かったのが「学部や学科、専攻で区別している」や「学校名で区別をしている」だったとか。この限りにおいて、学歴フィルターはあると言えるのですが、村山氏の見解は「学歴フィルターはあるといえばあるが、ないといえばない」という、分かりにくいものでした。
 
 というのも、村山氏は学歴フィルターを掛ける理由について「採用の効率性のためだ」と説明しました。採用試験は、企業にとり1円の儲けにもならず、コストだけがかさむとあって効率化を図りたいというわけです。その意味で「企業説明会である程度、学歴フィルターを掛けることはあります」と述べました。

他方、半分の意味で「ない」と説明したのは、「だからと言って、『この学校から採用しない』とか、『この学校からだけ採りたい』というのは、普通、有り得ない」からだと言います。その意味で「いろんな学校から学生を採りたい。だから、企業にすればどんどん受けてほしいのです」と強調しました。加えて、「採用実績のない大学でも、いい人がいたら採りたい。いい人とは、(その企業に)カルチャーフィットする人」とした上で、「そんな人がいたら学校名に関わらず採りたいというのが、今の企業の動き」と続けました。

ES読まれず学校名だけで不合格?

村山氏の学歴フィルターに関する解説に対して、別途、学生からも質問がありました。「エントリーシート(ES)を読まれずに、学歴フィルターだけで不合格になることは、今でもあるのでしょうか」。就活生なら誰もが知りたい「直球」質問です。

 村山氏の回答はこうです。「全く読まずに捨てるということはないです」。ただ、「社員がESを見ずに、AIだけで合否を判定している会社はある」というファクトを前提にした上で、村山氏が聞いた話として「AIで必要なキーワード、不要なワードがあると、経験則的に自分の会社にフィットしないという判定ができてしまう」と指摘しました。

人間がESを見ると、どうしても好みを生じるのは避けられません。例えば、ESが達筆な手書きだと内容までよく見えてしまう、といった類です。このため、「人間だと、どうしてもえこひいきが入ってしまうが、AIだとそれがない。そこでAIで合否を判定する会社がある」というわけです。

ただ、この場合でも「AIでも人間でも、読まずに(学歴フィルターだけで)『この学生はいらないから不合格にする』という、そんな失礼な会社は聞いたことがない」と言います。仮に学歴フィルターを掛けるとしても、例えば、大学や研究室に自社の採用活動を行う社員のリクルーターを指して、「あなたの大学にはリクルーターを派遣します。あなたの大学には派遣しません」というぐらいのレベルだとか。いずれにしても、リクルーターの派遣の有無とは関係なく、「企業カルチャーにフィットする学生が受験に来れば、企業は採用したいということです」と繰り返しました。

採用は4%増、業種でばらつきも

日本経済新聞社が集計した企業の2022年春新卒採用計画によると、大卒の採用計画人数は、21年春の実績見込み比で4.4%増となりました。村山氏は、同データに基づき、新卒で来春卒業する今の4年生の採用動向について「企業の採用意欲は強いが、業種によりばらつきがある」と指摘します。

 その上で、村山氏は「今、アルファベットのK字回復と言われているのをご存じでしょうか」と学生たちに問い掛けました。Kとは二極化です。例えば、IT企業や電機、自動車は業績好調なのに対し、交通やホテル、観光業界は業績が非常に厳しい。いわば「非常に業績がいい業界と、そうでない業界がK字型の二極化が進んでいる」というわけです。 

では、航空会社や鉄道会社、ホテル、観光などコロナ禍の直撃を受けた業種を志望する学生はどう就職活動を進めればいいのでしょうか。村山氏は、「コロナ禍の厳しい企業の経営環境は、学生に責任はない」と強調するとともに、こうした採用が止まっている業種を目指していた学生に対し、「気持ちを切り替えて、それ以外のところで、一旦まずは頑張っていただくのが大事だ」とアドバイスしました。
 
 村山氏はまた、本学の学生に対しても、こうアドバイスしています。「複数の会社を受験すると思うが、実践女子大からまったく採用実績のない会社ばかりを受験するのは得策ではない。実践女子大からそこそこ採用実績のある会社も混ぜて受験するのが、必須になる」と語りました。

※ 独ダイムラーが発表した中長期戦略の中で、同社CEOのディーター・ツェッチェ氏が提唱した造語。Connected(コネクティッド化)、Autonomous(自動運転化)、Shared/Service(シェア/サービス化)、Electric(電動化)の4つの頭文字をとり、100年に一度の大変革の時代を迎えている自動車産業界の動向を象徴するキーワードになっている。

深澤晶久教授の話

研究室でZOOMホストを務める深澤教授

日本経済新聞社の村山様からは、毎年貴重なお話しをいただいています。私も、就職活動を控える3~4年生に対し、「新聞を読みなさい、とりわけ日本経済新聞は就活に役に立ちます」と発言することがよくあります。しかし、ただ、新聞を眺めれば良いというわけではなく、多くの記事の中から、世の中のトレンドを読んだり、自分にとって必要な記事を探したりと、その“読み方”が大切なのだと思います。村山さんのお話しを聞いた学生の皆さんに私が伝えたいことは、記事の読み方、言い換えれば“読解力”の重要性に気づいて欲しいということです。今年も刺激的な数多くのお話しをいただきました。このお話しの中から、一人ひとりの学生が、何を読み解くか、引き続きフォローしたいと考えます。村山様に心から感謝申し上げます。

2021年5月21日

現役編集者が学生に文章術を指南、書いた原稿を日経新聞に投稿!「日経HR」と初の社会連携授業を行いました(5/14)

現役編集者から就職活動や実社会で役立つ文章術を学ぶキャリア教育授業が14日(金)、オンラインで開催されました。授業で学生が作成した原稿を日本経済新聞の「未来面」に投稿、31日付日経朝刊への掲載を目指します。同新聞グループの人材サービス会社「日経HR」と初めて行う社会連携授業として実現しました。同社コンテンツ開発室の渡辺茂晃氏を講師に招き、学生たちが就職活動のエントリーシート(ES)作成にも応用できる文章の書き方などの手ほどきを受けました。

履修生の6割が、投稿で腕試し

授業は、文学部国文学科2年生が対象の授業「実践キャリアプランニング」の一環として実施されました。同学部の深澤晶久教授(キャリア教育担当)が指導教授です。今年度63人が履修しています。

 授業で扱う「未来面」への投稿テーマには、「新型コロナが私たちに気づかせたものとは?」が採用されました。田中陽・日本経済新聞編集委員が、未来面の新シリーズ「本当に大切なことは何か」の第1回テーマとして提示したお題です。新型コロナウイルス感染拡大に伴う田中編集委員の問題提起に対し、課題解決につながる学生のアイデアが試されており、アイデアを400字以内にまとめて投稿します。締切は20日(木)正午まで。渡辺氏が講義のほか、希望者に対する原稿の個別添削も行いました。履修生の6割が腕試しに投稿する予定です。

学生にZOOMでレクチャーする渡辺氏

新聞の文章テクニックをESに応用してみては?

逆三角形スタイルをESに応用

このうち、14日の授業は、20日の投稿に先立ち、渡辺氏がESを例に「読まれる文章」の書き方をレクチャーしました。ESは「最後まで読まれるとは限らない」とした上で、読んでもらうためには「相手が忙しい人を想定して文章を書くといい」と強調。新聞のように、大事なことや言いたいことを先に書く逆三角形の文章スタイルをESに応用することをアドバイスしました。

 具体的には、文章の構成を見出し(結論)、リード(全体の要旨)、本文(リードをさらに説明)、背景説明の順に並べ、「どこで切られても、ある程度の事は分かる構成」にするよう提案しています。
加えて、社会人に求められる文章のポイントとして①主語と述語を正しく対応②修飾語と被修飾語は出来るだけ近くに③1文は短く、言いたいことは1つに-など9項目の文章テクニックを紹介。これらを駆使して「誤解を招かない」「読みやすい」「説得力がある」といえる文章を目指すよう求めました。

採用担当者が「途中で飽きてしまわない文章を」

その上で、ES定番の設問「学生時代に力を入れたこと」を例に取り上げ、学生が実際に書いた回答の添削例を紹介。「同じ語尾の繰り返し」「冒頭の一文が長すぎる」などとそれぞれテンポの悪さ、誤解の招きやすさを指摘するとともに、結論を冒頭に移すよう求めました。渡辺氏は、その理由を「企業の採用担当者は皆忙しいし、(ESで同じ設問に対する回答の)たくさんの文章をずっと読む。いくら読み進めても聞いている答えが出てこないと、途中で疲れて飽きてしまい、それ以上はもう読まない」と述べています。

 日経電子版の「未来面」は、日本が抱える課題を企業と読者が議論しながら深める紙面です。日本を代表する経営者らが、自らの問題意識に基づき課題を提示。課題解決につながるアイデアを読者から募集します。優秀アイデアに採用されると、日経電子版で10人、紙面で3人の原稿が掲載されます。

9つの文章テクニックを手ほどき
緊急事態宣言の再延長で研究室からZOOM

深澤晶久教授の話

ネット社会の中で生きてきた大学生たちに、改めて“言葉”の大切さを感じてもらいたい、相手の立場に思いを馳せながら、自分の思いを如何に伝えるか、なかなか直接会えない今、その重要性がクローズアップされていることを感じて、文章術のプロである渡辺さまにお願いして実現した授業です。就職活動のみならず、これからの大学での授業でも、社会人になってからも必ず役に立つ大切な学びであると思います。