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2023年6月23日

「未来フォーラム」のメンバーと直接交流!学生たちが企業の方々とグループ対話する特別授業が行われました。

5月30日に3年生対象の共通教育科目「キャリアデザイン」(担当:文学部国文学科 深澤晶久教授)の授業で「未来フォーラム」の皆さまをお迎えし、学生たちとのグループ対話が実施されました。実際に社会で働く方々との貴重な交流の機会です。学生たちは名刺交換のやり方から、働くやりがいや入社のきっかけなど、直接お話を伺える特別な時間となりました。

労働組合の集まりである「未来フォーラム」

この日の教室は熱気に満ちていました。学生のほか14労組30名の方が参加され、教室も2部屋用意。14のグループにそれぞれの企業の方が着席されています。学生たちはこれから1回15分ずつ、計4グループを回り企業の方とグループ対話を行います。

初めに、代表幹事を務めるセイコーエプソン労働組合の品川友執行委員長から「未来フォーラム」について紹介がありました。
未来フォーラムとは「業種の枠を超え、理念に共感する労組の集まり」です。小売業、サービス業、メーカーなど「ここまで業種の幅が広いのは珍しい」と話します。
現在は27労組が参加し「人のために、社会のために、未来のために」という理念のもと、自分たちの会社と社会を良いものにするために活動されています。
品川氏は「ここにいるメンバーにも率直に、真摯に話すようにお願いしていますので、遠慮せず質問をぶつけてください」と挨拶され、グループ対話が始まりました。

学生たちはこの日に備え特別に大学サイドで用意した名刺を用意し、質問も考えてきました。仕事に対する本音を聞けるまたとない機会です。学生たちは緊張しつつも前のめりに、たくさんの質問を企業の方々に問いかけていました。
※今後のインターンシップなど社会人と出会うことも増えると考え、学生総合支援センターに支援いただき、毎年、この授業の履修学生のために名刺を用意しています。

その企業を選んだ理由は?

多くの学生が気になるのは、やはり「その企業に入社しようと思った理由」です。

商業施設に加え金融サービスなどを展開する株式会社丸井グループの方は
「もともと商業施設が好き。街づくりにも携われる面白さもあった」と回答。
反対に、電機メーカーのアルプスアルパイン株式会社の方は「自分の手でモノを作りたかった」と語り、
「モノを作る会社はたくさんある。細かいものから形のないものまで。自分は何がやりたいか知ることが大切」と話しました。

住宅設備機器メーカーTOTO株式会社の方は、「一緒に働きたい人で選んだ」と言います。
面接やインターンで担当してくれた社員の雰囲気や話しやすさが決め手のひとつとなったと話しました。

株式会社資生堂の方は
「他者貢献が自分のなかで大事。自分の立場で役に立つことができる」ことがやりがいと答えていました。

いま企業が取り組んでいることや工夫

普段の生活では気付かない各企業のこだわりを直接聞けるのもメリットです。
プリンタメーカーのセイコーエプソン株式会社が業界をリードする企業として力を入れているのは、環境に配慮すること。特にインクを捨てるとき、水質や土壌に影響の出ないものを研究していると話しました。

スーパーマーケットを展開するサミット株式会社では、店ごとに買い物時にストレスがない配置を考えたり、総菜の味付けは老若男女誰でも美味しく食べられるようにこだわったり「楽しい買い物体験」を実現しています。

自己分析と企業選択…どう結び付ける?

ある学生は「自己分析と企業選択がまだ結び付かない」という悩みを話していました。
IT企業のBIPROGY株式会社の方は、「いろんな業界の人の話を聞く」ことをおすすめ。
セイコーエプソン株式会社の方も「企業説明会を聞きまくり、ワクワクしない、違和感をあるところを削っていく」という消去法を提案していました。

面接のコツを聞かれた給湯機メーカーの株式会社ノーリツの方は
「一緒に働きたいのは、前向きで元気なひと。学歴も見るが人柄で選ぶ」だろうと元気に面接に臨むことをアドバイスされていました。

何を軸に企業を決める?

何を基準に企業を選べばいいか、というのは多くの学生が抱える悩みです。
漢方薬品メーカー株式会社ツムラの方は「働きやすさを考えたほうが良い」と助言。これから女性が活躍する社会になるのは間違いないと言い、女性の管理職割合や育休の取得率など情報を確認することは重要と話しました。

近畿日本ツーリスト株式会社の方も、有休を時間単位で取得できるなど、福利厚生が充実していることが入社理由のひとつと話し、「福利厚生や制度は確認しておくといい」と話しました。

ただ、BIPROGY株式会社の方は「福利厚生より雰囲気を重視」と、制度が整っていても社風が自分に合うか合わないかは大切だと話しました。社内の雰囲気を知るには、インターンやOG訪問など直接会社の中を見る機会を増やすように助言しました。
富士フイルムビジネスイノベーション株式会社の方は「やりがいを日々感じながら仕事するのは難しい」と言い、働く時間をいかにストレスのない充実したものにするか、何を基準に働きやすさを決めるかを考えることをアドバイスしました。

学び続けていこう!

グループ対話の時間はあっという間に終了し、企業の皆さんから感想を頂きました。

「学び続ける姿勢に刺激をもらいました。大学を卒業しても、自分のキャリアを考えるという勉強が続いていく。今日は自分のキャリアを振り返るきっかけになりました。一緒に学び続けていきましょう」と話される方も。

品川氏も「社会に出たら誰も正解を教えてくれません。自分の気持ちに向かい合い、自分で決めていくことが大事。それが正解だった時にやりがいが出ます」と話し、
「これから皆さんが社会に出て、共に働けることを楽しみにしています」とエールを送りました。

最後には学生からの感想も。
「働いて楽しかったこと、つらかったことなど経験を聞けて良かった」や
「どんな業界がありどんな企業がどんな仕事をしているのかまだまだ分からないと思います。今後の就職活動などでも苦しいことや悩むこともあると思うが、今日聞いたことを参考に頑張ろうと思います」
と前向きな感想がありました。

授業時間後も多くの学生が残り、まだまだ話足りないと対話が続いていました。
学生たちにとって多くの刺激となる貴重な機会となった授業でした。

担当教員からのメッセージ

私自身が企業勤務時代に労働組合専従の経験があったこともご縁で、毎年、「未来フォーラム様」に、この授業にお越しいただいています。
毎年感じることは、労組役員の皆さん、特に「未来フォーラム」に所属している皆さんの熱量の大きさです。誰よりも社員に寄り添い、そして会社の発展を望む、これからの労働組合の方向性を指し示しておられると思います。
多様性の時代の中で、労組役員の方のご苦労は大変なものがあると思いますが、こうした皆さんが活躍されている企業で働けることは幸せだと思います。
学生も名刺交換からスタートした社員の方との真剣勝負、企業の説明会ではなく、働き甲斐ややりがいなどを直接お聞き出来る貴重な時間となりました。
毎年、本当に多くの方にご支援いただいていること、心から感謝申し上げます。

2023年6月16日

「キャリアデザイン」の授業で日本経済新聞社の村山氏による今の日本経済や企業を学ぶ講演が行われました。

5月16日に3年生対象の共通科目「キャリアデザイン」(担当:文学部国文学科 深澤晶久教授)の授業で、株式会社日本経済新聞社(以下、日経新聞)の村山浩一氏をお迎えし、「今、働くこと」を考えるための講演が行われました。実際に日経新聞に掲載された記事を引用しながら、企業の昔と今の違いや経済に関することを、学生たちにも分かりやすく話されました。

これからの時代をどう乗り越える?

村山氏は新卒で日経新聞に入社して以来、経済や経営に関わる記事を1000本以上執筆してきました。実践女子大学の前理事長のインタビュー記事も書いたことがあるとのこと。学生向け討論番組「日経カレッジ・ラボ」の制作に携わっていたこともあり、番組には深澤教授も出演されています。現在は教育事業ユニットのシニア・コンテンツ・プロデューサーとして、教育研修コンテンツを開発されています。

村山氏の話は、AGC株式会社(以下、AGC)のCMから始まりました。AGCは歴史のある大手ガラス製造会社でしたが、ガラス以外も扱う素材ソリューション会社へ社名とともに変革を遂げました。これには「両利きの経営」への意志が感じられると言います。両利きの経営とは、既存の事業を深掘りするとともに新たな事業を開発すること。「日本企業は、新たな事業の開発をすることは苦手なのですが、これからの時代を生き残るためには必要とされています」

産業界をみる上で、世界情勢も注視する必要があります。「今の世界を象徴するキーワードは”分断”だと思います」と村山氏。ロシアのウクライナ侵攻などに象徴されるように、世界的に対立が大きくなっています。同時にグローバル化は急速に広がり、日本企業も対立の影響を受けています。分断は政治だけでなく、経済においても重要なポイントなのです。「この分断をどう乗り越えていくか、どう新しい世界を作っていくかが大きな課題です」

日本に会社はいくつある?

次に村山氏は「日本の上場企業は何社あるでしょう」と問いかけました。学生たちは「100?」「1万社?」と答えるなか、正解は約4,000社。「では日本に会社は何社あるでしょうか」と再度問いかけが。「10万社?」「5万社?」と答えが出ましたが、正解はなんと400万社。99%以上が中小企業です。「皆さんの中にも、中小企業に就職する方もいると思います。たくさんの中小企業が活躍して、日本の経済が成り立っているんだなということを分かっていただければと思います」と村山氏は語りかけました。

「皆さんはどんな企業に就職したいですか」という問いかけには「メーカー系」や「金融」と答える学生がいました。ここで示されたのが、世界の時価総額上位企業の記事。1989年には世界上位20位のうち日本企業は14社ありましたが、2019年では41位でようやく出てきます。数十年経てば業績や世界の評価は大きく変わるのです。「皆さんが現役で働いている間にも、順位が大きく変わる可能性があります」と、大手企業だからといって、ずっと安泰だとは限らないことを伝えました。

お給料はどのくらい?

話は年収の話題へ。「皆さん社会人になったらどのくらいの年収がほしいですか?」と聞かれ、「500万円」「困らない程度に」「600万円くらい」という回答が出ました。日本の給与平均は443万円。ただ正社員では508万円ですが、非正規雇用だと197万円と大きな開きがあります。「学生で、希望の会社に入れなかったらアルバイトでもいいと言う方がいるけれど、私は、できれば正社員でどこかの企業に入ったほうが良いと思っています」と伝えました。

これから就活する学生たちに一番身近な話題として、採用の話も。採用側からの観点として、データサイエンスやAI、ITの知識を持っていることに期待が集まっているという記事には、「特に今の時代を反映している」と話されました。

メディアリテラシーを身に付けよう

最後はメディアとの付き合い方。「メディアリテラシーはどの業界で働いても重要です」。なぜならどんな情報もメディアを通して知ることになるからです。特にビジネスの話題には日経新聞は最適で、読者のうち課長クラス以上の役職に就いている人が45%を占めています。日経新聞で得た情報は、取引先との話題や企画案作りにも活用されています。

村山氏は「今日紹介したなかで、少し興味を持った記事もあるんじゃないかと思います」と語りかけ、「新聞は難しいというイメージがあるかもしれないけれど、興味を持ったものから読んでみると良いと思います」と話しました。

就活にも情報をうまく活用して

講演が終わると学生たちはグループで感想などを話し合い、質問をまとめました。質疑応答では就活やビジネスに関わる質問が飛び出しました。「中小企業やスタートアップの会社の情報をどうみつけていけば良いでしょうか」という質問には、「日経新聞を含む、メディアを見てみましょう。メディアに載るということは、取材したくなる企業ということ。そのなかで気になる企業を自分で調べるといい」と話し、「上場企業でも、今は社長の決算会見や株主総会の様子などの動画が無料で見られる時代です。こういった会見はとても貴重で、企業がどちらの方向を向いて動いているのかが分かる。ぜひ活用してほしいと思います」とアドバイスしました。

村山氏は「これからも勉強や就活に励んでください」と話し授業は終了しました。経済や経営者のニュースの最前線を知る村山氏のお話は、学生たちにも刺激になるものでした。

担当教員からのメッセージ

毎年ご支援をいただいている村山様には、極めて旬な経済や企業に関わるお話しをいただいています。グローバルレベルで日々変化を続けている経済界にアンテナを立てることは、就活のみならず、これからの社会を支える大学生にとっても極めて大切なことであることを気づかせて下さいます。情報をどこから集め、そして峻別する力がより求められる大学生にとって、大変学びの深いお話しをいただきました。この場を借りて心から感謝申し上げます。

2023年6月16日

「国際理解とキャリア形成」の授業で元資生堂海外支社社長の海外キャリアと挑戦することの大切さについて講演が行われました。

5月9日に共通科目「国際理解とキャリア形成」(担当:文学部国文学科 深澤晶久教授)の授業で、株式会社タイキ営業本部長の藤井恵一氏をお招きし講演が行われました。株式会社資生堂(以下、資生堂)で勤務していた際の幅広い海外経験を中心にお話しされ、学生たちはグローバルキャリアを改めて考える授業となりました。

広告に惹かれて資生堂へ

大学時代は勉強にサークルにアルバイトにと学生生活を謳歌した藤井氏。今でもつながっている友人がおり、「振り返ると、ネットワークを作るという考えの土台になった時期でした」と語りました。就活の時には広告やエンターテイメントビジネスに興味があったと言います。資生堂には、当時の広告がとてもかっこよく、惹かれたので面接を受けたと話しました。

1983年に入社。最初の仕事は北九州や長岡の支社での営業でした。現場での仕事は充分経験した頃、自分のキャリアについて考えるように。本社での勤務や海外勤務に興味が出て、海外派遣制度や別部門へのジョブチャレンジ制度へ応募などを積極的に行ったといいます。結局その時に海外へ行くことは叶わなかったものの、「アクションを取ったことで色んな人が自分を見てくれてつながりができ、その後本社のマーケティング部門へ行くことができました」と経験を語りました。

憧れのフランス駐在!異文化に「浸る」こと

海外への憧れは残っていたものの、本社勤務はとにかく多忙。
海外勤務の夢は半ばあきらめていたとき、突然フランスへ異動の辞令が来ました。
ヨーロッパの薬事法規制に対応したり、子会社のフランス、イタリア、ドイツなどと本社の商品・マーケティング戦略について意見交換したり、どう売上や知名度を拡大するかを考える日々でした。加えて、フランスに設立した子会社の社長まで任されましたが、結果的に不採算事業からの撤退ということで会社清算を担当。最後の1年間は弁護士と打合わせ、取引先との契約打切り商談、従業員の解雇などつらい日々でしたが、後々この経験が活かせることになったと話しました。

憧れの海外生活でしたが、英語もフランス語もほぼできないまま始まったといいます。英語は大量の書類を読み慣れていき、ヨーロッパ人とも英語でコミュニケーション。英語だけに集中し、フランス語は結局できないままと話しました。

海外旅行と海外生活の違いは異文化に「触れる」ことと「浸る」ことだと言います。異文化のなかに入って生活することで行動の背景も理解できるようになっていきます。
「例えばフランスでは日照時間が短いため、晴れていれば冬でもテラス席に座ります。日焼け止めよりも焼けたい願望が強かった」と話し、身近な行動からも日本との違いを感じたと話しました。「それが分かることでコミュニケーションの内容や仕方も変わってくる」と言います。
また、「日本人なら、歴史や文化などもっと日本のことを勉強しておくべきだったと思いました」と反省点も語りました。

ついに海外支社の社長へ

その後本社へ戻り国際マーケティング部のグループリーダーを任されます。ヨーロッパやアジア、アメリカなど各現地の子会社と連携を取るなかで、海外販売会社のトップに興味を持つようになりました。海外の会社の社長という立場からは何が見えるのか、自分なら何が出来るのか考えるようになり、国際事業の役員へ思い切って直訴します。念願叶い、カナダの子会社の社長に就任しました。

赴任してすぐ取り組んだのは社長として何を考えているのか、何を目指しているのかビジョンを従業員にシェアすることでした。「製品ではなく夢を売る」というスローガンを共有し、次のステージを目指しトロントやバンクーバーなど大都市で大々的なプロモーションを展開し、売上拡大を図りました。また、SDGsの先駆けとなるCSR活動への取組や、東日本大震災の写真展をカナダで行うなどの活動も積極的に行いました。英語も再度学びなおし、週2回家庭教師に文法と会話を習ったり、初めてTOEICを受験しました。

社長を経験し、ポジションの難しさを改めて痛感したと言います。
日本と違い海外では部下の責任と権限が明快であるため、一度部下に業務を託したら、部下の責任と権限のもとで業務を遂行しており、ある程度の期間をみないと進捗状況を把握することができず、フラストレーションが溜まることもありました。しかし何かがあればすべて自分が責任を負うという重責もあります。一方で提案次第では会社全体を動かせるパワーがあることも実感。「日本では経験できないことができ、非常に楽しかったです」と話しました。

「凡事徹底」と「最大の挑戦」を

57歳のとき「もうこの会社ではやりきった」という思いが出てきます。まだ貢献できる会社やワクワクできる仕事があるはずだという考えが湧き出て、転職を決意。縁があって化粧品OEMメーカーの株式会社タイキに入社しました。現在も自社ブランドの開発・マーケティング・販売や取引先のPB開発に携わっています。

最後に学生たちへ、人が真似できないほど物事を一生懸命にやること、挑戦することの大切さを伝えました。
「やり方を変えれば結果も変わってきますし、チャンスもでてきます。そのチャンスに向かってどれだけ高くジャンプできるか、出会いを大切にしながらぜひチャレンジしてください」とメッセージを伝えました。

ネットワークを作り好奇心を持って

講演が終わると、学生から質問が飛び交いました。
「自分から主体的にキャリアアップしていたように感じましたが、そのモチベーションは何ですか」という質問には、藤井氏は「新しいこと、面白いことにチャレンジしたい、次は何が出来るかという好奇心が根底にありました」と回答。
これからオーストラリアにワーキングホリデーに行くという学生には、今の会社でも資生堂時代のつながりが活きていることを伝え、「海外に行ったら向こうの人とネットワークを作っておきましょう。いつか思いがけないところでつながるかもしれません」と、アドバイスされました。

最後には藤井氏から化粧品の試供品が学生たちにプレゼントされ、和やかな雰囲気で写真撮影が行われました。学生たちにとって海外で活躍するための前向きな力を学ぶ、貴重な講演となりました。

担当教員からのメッセージ

今から約30年前に、同じ職場でお目にかかった藤井さん、その頃の仕事は国内のブランドマーケティングでした。その後、藤井さんは海外中心のお仕事に、私は労働組合と人事、全く畑は別になりましたが、ブランドマーケッター時代に苦楽を共にしたことが、今でも藤井さんとのご縁を繋いでくれているわけです。私の印象は、仕事ぶりも身のこなしも、“かっこいい人”、今でも化粧品業界で活躍されている姿は、素晴らしいと思います。毎年のご支援に心から感謝申し上げます。

2023年6月15日

ファーストペンギンになろう!「キャリアデザイン」の授業で元日経新聞の記者が講演を行い失敗を恐れず行動する大切さを話されました。

5月9日に3年生対象の共通科目「キャリアデザイン」(担当:文学部国文学科 深澤晶久教授)の授業で、元株式会社日本経済新聞社(以下、日経新聞)の大村泰氏が招かれ講演が行われました。大村氏は在職中の多くのインタビューの中から学生たちへ伝えたい名言を集めてきてくださいました。講演の中でこれからの時代の情報の扱い方や、失敗を恐れず行動をしていくことの大切さを語られました。

深澤教授とは部活の友人

大村氏は、深澤教授の高校時代の同級生。二人は野球部で、共に白球を追った仲です。
大村氏は日本経済新聞社で数々の業務に就かれた後、日経メディアマーケティングの代表取締役社長を務められ、2023年3月に日経を退職したばかり。退職を機に、第二のキャリアデザインを考えているところと言います。
また、学生の前で講演をされるのは今回が初めて。「今日が第二のキャリアのデビュー戦です」と講演を始められました。

大村氏の子どもの頃の夢は小説家。書く仕事がしたくて新聞記者を目指し、日経新聞に入社しました。最初は記者ではなく記事の編集をする整理部に配属になりました。入社後は失敗と挫折の連続だったと言います。しかし最後は先輩が助けてくれたと感慨深く話されました。

「今日、新聞を読んだひとはいますか」大村氏の問いかけに手を挙げた学生はゼロ。学生たちは無料のニュースサイトやテレビ、SNSなどから情報を得ているという回答に。若い世代が新聞を読む機会が減っているのが新聞業界の課題です。

若者たちに贈る「名言集」

今回大村氏は、学生たちに伝えたい言葉として、インタビューした多くの成功者の言葉のなかから選りすぐりの「名言集」を持ってきてくださいました。最初は「ファーストペンギン」。財界の重鎮、小林喜光氏の言葉です。ファーストペンギンとは、群れの中から真っ先に海に飛び込んでいくペンギンのこと。転じて、勇気と主体性を持って行動する先導者のことを意味します。「企業文化もファーストペンギンが出ると変わっていく」と大村氏は語りました。

「ラストマン」というのは最終責任者という意味で、最後の責任を取るリーダーのこと。どんな活動でもリーダーは必要です。そのなかで、ただ選ばれるのではなく自分で考え行動し責任を取れるリーダーになってほしいと大村氏は話しました。

中外製薬会長の言葉は「失敗を恐れるな」でした。「日本は失敗に厳しいですが、アメリカでは失敗すればヒーローになる」と言い、チャレンジ精神の大事さを伝えました。モルガン・スタンレー証券のアドバイザー、ロバート・フェルドマンの言葉は「いでよ異端児」。「チームワークを大切にするなかで、挑戦のためには異端児もいなくてはいけない」と話しました。

メディアをどう使い分けるか

ニュースの影響力の大きさを示す事件として、大村氏は2016年のアメリカ大統領選について触れました。当時世論はクリントン氏の圧倒的有利と思われていましたが、結果はトランプ氏の勝利。これには共和党寄りのメディアFOXTVの報道が大きく寄与していると言われています。また、AIはSNSなど含めビッグデータの解析からトランプ氏勝利を予想していたと言います。

これからの時代、情報をどう扱うかは大きな問題です。
そこで大村氏は「上手にメディアを使い分けることが大切」と言います。例えば物事について詳しく知りたいとき、ネットニュースだけではなく新聞がどう書いているかを読むことを勧めました。新聞各社がそれぞれどのように報じているか、それは本当なのかを疑う姿勢を持つことで「自分なりの立ち位置というのが分かるようになります」と話します。また、1対1の対話力を磨くことも大切。「名言は1対1で話しているときに出てきます」と話しました。

AIとどう付き合っていく?

現在話題の「chatGPT」に関しても話されました。「すごく大事な問題で、いろいろ考えなくてはいけない」と語りました。「インターネットのように、世の中を変えてきたものというのは必ず浸透します。間違いなく、10年後や20年後の将来には当たり前の技術になっている」と言います。AIに仕事が奪われるという未来予測もある中で、では何に気を付けていけばいいのでしょうか。

AIにできないことは、判断することや新しく何かを生み出すことです。「これからは自分たちに何が出来るかを考えていく時代になるでしょう」と、自分で考え判断する大切さを伝えました。

失敗を失敗のままにしない

講演後、学生たちはグループディスカッションを経て大村氏への質疑応答が行われました。「名言の中で失敗を恐れるなとあったが、どうしても失敗を怖がってしまう。どうしたら一歩進めますか」という質問には「失敗するかもと立ちすくむのではなく、失敗した場合のリスクをどう乗り越えていけるか考えることだと思います。経験者に聞いたり調べたり、失敗を失敗のままにせず、どう立ち上がるかだと思います」と回答しました。

「情報をどのように取捨選択すればいいでしょうか」という質問には、「新聞を読むのが良いと思います。新聞は記者が現場に行き、一次情報にあたって取材しています。裏付けが取れた情報しか載りません」と、新聞の情報の正確性を伝えました。また「週に1回でも新聞の1面だけでも読むと、今何が起こっているかが分かる」と、新聞を利用することを勧めていました。

最後に大村氏は「今回の授業で一番伝えたかった言葉はファーストペンギンです」と話しました。「最初に手を挙げて発言することや、一番に教室に入って準備することもそう」と、先陣を切る勇気を持つことの重要さを再度伝えました。

学生たちにとっても、失敗しても挑戦することの大切さを学んだ講演となりました。

担当教員からのメッセージ

大村氏と初めて会ったのは高校1年の時、以来約半世紀が経とうとしています。しかし、今でも時々会う大切な仲間の一人、やはり社会で大切なのは人脈であることを改めて感じています。大村さんが会社を離れると聞いてお目にかかった時に、私の夢は大学生に自分の経験や生き様を伝えることだと聞き、今回の舞台をご用意させていただきました。豊かな経験に基づく珠玉の言葉の数々に、大村さんのキャリアの年輪の厚さを感じました。

2023年6月6日

人生は冒険だ!「キャリアデザイン」の授業でキャリアを漫画の世界に例えたユニークな講演を行われました。

5月2日に3年生対象の共通科目「キャリアデザイン」(担当:文学部国文学科 深澤晶久教授)の授業で、Life Ship株式会社代表の田形正広氏をお招きし「ワンピースキャリア論」の講演が行われました。深澤教授との縁により実践女子大学で講演を行うのは今回で8回目。現実のキャリアを漫画の世界に例え、分かりやすく楽しい授業に、学生たちも興味津々で耳を傾けていました。

学生たちも楽しみにしている「ワンピースキャリア論」

今回なんと8回目となる恒例の講義。
田形氏は「毎年この授業で思うことは皆さんとても優秀で、質問がとても上手」と気さくに話されます。講演に使うパワーポイントの資料も、数年前に受講した学生が作ってくれたものとのこと。「あとで質問の時間を取りますので、思ったことがあればぜひ聞いて下さい」と講義は始まりました。

田形氏は、人材派遣サービス会社での営業を経て、2020年に派遣社員の評価システムを提供する企業を立ち上げました。順風満帆のように見えますが、新卒だった2000年は就職氷河期。入社できたものの半年で退職。転職先ではシステム開発に失敗するなど浮き沈みもあるキャリアといいます。その田形氏が大好きなのが、週刊少年ジャンプで連載中の、世界的人気を誇る漫画「ワンピース」。主人公のルフィを中心に海賊たちが大冒険を繰り広げる物語です。

自由に一生懸命に「今」を生きる

今回、田形氏が伝えたいメッセージは2つ。
1つは「人生は冒険だ!」です。「就職はゴールではなく、大冒険の始まりです」と田形氏。社会に出ると、常に挑戦することを求められますし、いやなことやつらいこともたくさんあります。ただ同時に、出会える人、行ける場所はどんどん広がっていきます。「その先に最高の感動や宝物が待っています」と田形氏は語りました。

このメッセージで忘れていけないことは
「自分の人生の主役は自分だということ」です。誰かに判断を任せずに、自分で決めて前に進むことが大事だと話しました。

もう1つは「海賊になろう!」。
海賊とは楽しく、自由に、一生懸命に今を生きている人のこと。自由とはなんでも好き放題してもいいという意味ではありません。自由とは、自分で決めるということ。自分で決めると、他人のせいにはできなくなるので責任が伴います。「責任を負うほど自由になれるんです」と田形氏。自分が本当にやりたいことをやるためには、自分の行動に責任を持つという覚悟が必要だと語りました。

では海賊の反対はなんでしょうか。
それは「幽霊」だと田形氏は定義しました。過去への執着や未来への不安に気を取られて「今」に足がついていない存在です。悩んだり迷ったりしながらも、まずは「今」行動を起こすこと。その大切さを伝えました。

人生における「宝物」とは?

田形氏は「冒険には宝物がセット。では宝物とはなんでしょうか」と問いかけました。学生たちはグループで話し合い、「いままでのキャリア」「自信や努力」「成果」などの回答が出ました。なかには「死ぬときに分かる」と言った回答も。田形氏も思わず「深いですね」と感心しました。

田形氏の思う宝物は、「仲間・愛情・仕事」だと言います。
つらい時も一緒に乗り越えられる仲間や、家族などへの愛情、そして「天職」です。「どれか一つでもみつけられた人は自分の人生を主役として生きている証拠です」と話しました。そのなかで、天職は実はまだ田形氏も見つけられていないと言います。「天職とは自分にしかできない仕事のことですが、自分らしく自分だけではできない仕事をすることでもある。仕事とは、働くことで人や社会の役に立つこと。成長するほどより役に立てるようになります。」

冒険を楽しむための武器と力

田形氏は冒険を楽しむための武器と力があるということも話してくれました。武器になるのが、例えば資格やスキル、専門知識など。ただしこういった武器は身に付けるのに時間やお金がかかります。絶対に必要ではありませんが、自分に合っているものや必要だと思ったものは取得することを勧めました。

「武器は必要に応じて持てば良い」と語った田形氏は、「誰もが必須で身に付けるべき」だと2つの力について語りました。

1つめは自己を客観視したり、他者の気持ちに共感するといった自他を感じ取る力。自分を客観的に俯瞰し、相手の考えや気持ちを洞察し共感する力です。自己分析や相手の立場に立つことは社会に出る上でとても重要です。

2つめは自己コントロール力。やるべきことややりたいことをやる、という行動力の他、やっちゃいけないことをやらないという自制心も必要です。例えばダイエットしているとき、甘いものを食べたいけど食べない、という自分を律することも大切な力です。この2つの力を極めていけば人生において不可能なことはほとんどないと語りました。

学生にも響いた楽しい講演に

質疑応答の時間ではたくさんの学生が手を挙げました。

「人生をワンピースに例えるようになったきっかけは?」という質問には「元々好きだったんですが、他にも様々な本を読んでいくなかで、ワンピースには人生に必要なほとんど全ての要素がつまっている。仕事や人生についても多くを教えてくれるすごい物語だと思った」と回答しました。
就活で職種選びに悩んでいるという学生からは「なぜ今の仕事を選んだのですか」と質問され、「新卒で入った会社はモノを売る仕事だったが、自分に合わず辞めてしまった。でも営業は好きで自信もあった。自分の得意な事や価値観、経験を加味して今の仕事にたどり着いた」と話されました。
最後に田形氏は「皆さんの人生をより良いものにしてください」と学生たちに語り、講演を終えられました。

担当教員からのメッセージ

同じキャリアコンサルタントのネットワークでお目にかかった田形さん。明るく前向きで、常にアグレッシブな生き方をリスペクトしています。そんな田形さんにお越しいただいたから8年、学生もとても楽しみにしているコマです。こんな身近なコミックに、キャリアを深く学べるコンテンツが詰まっていたことには、本当に驚きです。そして、そのことに気づいて講座を創られた田形さんの素晴らしいセンスにも乾杯です。学生の気づきも驚くほど多いのも特徴です。
改めて感謝申し上げます。

2023年6月5日

ウェルビーイングについて学ぶ! JWP研究会が女子大生フォーラム「What is Well-Being~自分を輝かせるキャリアの描き方~」を開催しました。

2月25日(土)に実践Well-Beingプロジェクト研究会(以下、JWP研究会)による「女子大生フォーラム「What is Well-Being~自分を輝かせるキャリアの描き方~」が開催されました。本フォーラムはJWP研究会の有志の学生が企画・運営を行い、実践女子大学のほか聖心女子大学や慶應義塾大学など7大学の女子学生が参加。ゲスト講師にEVOL株式会社代表の前野マドカ氏をお迎えし、ウェルビーイングについての理解を深めました。

JWP研究会の活動は?

はじめに今回の企画運営を行う5名の学生たちから、本フォーラムの説明がありました。
去年はSDGsについて学んできたJWP研究会。しかし不確実な未来を生きていく女性がキャリアを築き自信をもって人生を歩んでいくために、より自分自身に目を向けることが大切と考え、今年度はウェルビーイングへの学びを深めることを重点に活動してきました。
「本フォーラムでは、一年を通して学んだことを参加者に共有する機会にしたいと考えています」と開催の主旨を伝えました。

ウェルビーイングって?

まずJWP研究会の活動を通して学んだ「ウェルビーイングについて」の発表がありました。
ウェルビーイングとは、狭い意味での心身の健康だけでなく、「身体的、精神的、社会的に良好な状態であること」であると説明。ウェルビーイングが近年注目されている理由として、ウェルビーイングの研究が深まってきたことの他に、時代の変化とともに「モノの豊かさから心の豊かさへ」変化してきたことを説明しました。

ウェルビーイングはビジネスにおいても注目されています。企業が利益のみ追及するのではなく、働き方の多様化など働く人たちの幸福も追求するべきという考え方です。様々な場面で注目されるウェルビーイングについて、より理解を深めていこうというのが本フォーラムの目的です。

7大学の女子学生が交流!

ウェルビーイングの基礎知識が共有されたところで、フォーラムの目的の1つでもある参加者同士の交流を深める時間に。
3~4名に分けられたチーム内で、それぞれ自己紹介となぜこのフォーラムに参加したかを話しました。また、アイスブレイクとして運営学生が考案した漢字クイズが実施され、最初は緊張気味だった参加者の皆さんも徐々に楽しそうに会話を始めていました。

自分を輝かせるキャリアの描き方とは

続いて、ゲストの前野マドカ氏による講演が行われました。
JWP研究会では以前、ウェルビーイング研究の第一人者である前野隆司氏にお話を伺う機会があり、そのご縁でパートナーである前野マドカ氏に学生たちから講演を依頼しました。マドカ氏も隆司氏に感化され幸せの研究を始め、現在では幸せを広めるワークショップやプログラムを開発されています。

前向きな人は創造力や生産性も高く、周りに良い影響を与えるという研究結果があります。「幸せは移ります。皆さん覚えておいてくださいね」と前野氏。では幸せな人とはどんな人でしょう。それは夢や目標を持ち、多様な人とつながりを大切にして前向きに自分らしく生きる人のこと。

「やってみよう」「ありがとう」「なんとかなる」「ありのままに」が幸せの4つの因子です。

人間は、ないもの・苦手なもの・できないことに目が向いてしまう生き物。しかしそれでは幸せになれません。自分にあるもの、得意なもの、できていることに目を向けることが大切と言います。
「自分の良さや強みは意外と自分では分からないので友達や家族に聞いてみましょう」前野氏はアドバイスを送りました。

「Well-Beingダイアログカード」使った幸福度を高めるワークショップ

ここで、前野氏がグループに1枚ずつWell-Beingダイアログカードを配りました。幸福度研究に基づいて作られたカードにはそれぞれ問が書かれています。
例えば「自分にありがとうと言いたいことは?」「本気で取り組んでいることは?」「人生をかけて成し遂げたいことは?」など。
答えを考えることで自分自身の大切なことや軸について知ることができるカードです。グループごとで話し、他の意見を聞くことで幸福度を高めていきます。

対話は盛り上がり、自然と拍手が出るグループも。それぞれグループで対話したあと、感想を発表しました。
「自分にもいいところがあるんだと気づけた」という意見や
「皆違う答えだが共通点があった」などという感想が出ました。
「自己分析にもつながった」という気付きもありました。

女性のキャリアは自分で作っていける

最後に前野氏はキャリアについて語りました。
前野氏は「女性のキャリアはいかようにでも作れます」と断言します。せっかく築いたキャリアを、ライフステージが変わるたびに壊してしまうのではと怖れる女性は多いもの。しかしキャリアとは本当に好きなこと、わくわくすることを追い求めていくことでできていくと前野氏は言います。

起業することだってひとつの選択です。
「私も以前は専業主婦で、自分がいまこんな仕事をしているなんて想像していなかった」と語り、最初からキャリアを決めつけずに、やりたいことや夢をたくさん考えておくことが大切と話しました。

Well-Being宣言!

フォーラムの最後には参加者全員が「Well-Being宣言」を行いました。
自分自身にとってのウェルビーイングを考え、言語化できるようにします。
風船型の紙が配られ、それぞれの思うウェルビーイングを宣言。グループ内で発表し合います。全員分の「Well-Being宣言」は模造紙に貼り付け、可愛らしく飾られました。

最後に参加者から、
「自分から主体的に動こうと思った」や「やりたいことをやってみる、前向きに行動していきたい」などの考えや、
「自分に自信を持つという共通点がありつつ、そのなかでもそれぞれに違いがあった」という気付きがシェアされました。

前野氏は「自分をいい状態にすることを、しっかり考えてくれてとても嬉しいです。全員に応援メッセージを送りたい」と語り、女子大生フォーラムは終了しました。

企画・運営した学生たちの話

コロナ禍で先行きが見えず、人とのつながりが希薄な学生生活だったので思い出に残る活動がしたいと考え、ウェルビーイングという前向きな言葉に惹かれて研究会に入りました。

受け身の活動が多かった中、自分たちで主体的に行動したくて今回の女子大生フォーラムを企画しました。

他大学にも訪問し、チラシを置いていただくなどの宣伝活動を行った結果、想像以上にたくさんの方が参加してくださいました。

自分たちが頑張って開いた場で、皆が笑顔で交流しているのを間近で見ることができたことが何よりも嬉しかったです。

深澤晶久教授の話

2021年度に立ち上げた「JWP(実践ウェルビーイングプロジェクト)研究会」も2年目を迎えました。
2020年責任世代である私自身が、2050年責任世代である学生たちに、少しでも良い形でバトンを渡したい、そんな想いから辿り着いたのが「Well-Being」でした。その2年目の活動のファイナルイベントが、今回の「女子大生フォーラム」でした。企画から運営まで、まさにプロジェクト・マネジメントをやり遂げてくれた学生たちの姿に、大きな成長を感じるとともに、頼もしさまで身に着けてくれました。
この企画にお力添えいただいた前野マドカ様に、この場を借りて心から感謝申し上げます。そして、参加してくれた学生の皆さんにとって、さらにウェルビーイングな時間が沢山訪れることを祈ります。

2023年5月24日

「女性とキャリア形成」の授業でアフラック生命の木島葉子氏から女性役員になるまでのお話を伺いました。

共通科目「女性とキャリア形成」(担当:文学部国文学科 深澤晶久教授)の授業で、アフラック生命保険株式会社(以下、アフラック生命)の木島葉子顧問をお迎えし、女性役員になるまでの経緯や大切にしていることについての講演が行われました。進行は担当のグループの学生たちが行うなど、学生主体の組み立てとなっており、講演後も積極的に質疑応答が行われました。

アフラック生命とはどんな会社?

木島氏は実践女子大学の卒業生。そして現在、実践女子学園の常務理事をされています。
「このような形で皆さんとお会いすることができて大変嬉しく思っております」と自己紹介が始まりました。アルバイトとスキーなどスポーツに夢中な大学時代を過ごしたと言い、
「女性のキャリアの話の冒頭にはふさわしくないかもしれませんが、大学生活は自分のやりたいことを自由にできる素晴らしい4年間です」と話しました。

今回進行を担当したグループの学生

就職活動をしてアフラック生命へ入社。当時はまだまだ小さな会社だったそうです。アフラック生命は、1974年に日本で初めてがん保険を提供する保険会社として誕生しました。がん保険は、がんに罹患された人々を経済的にサポートする「生きるための保険」です。来年50周年を迎えるにあたり「生きるを創る」というVISIONを掲げ、女性を含む人財の能力の発揮やダイバーシティ推進に取り組んでいます。

アフラック生命の推進するダイバーシティ

アフラック生命は創業時から役割や評価などの男女差はなく、1997年に生保業界で初の女性役員が誕生しました。しかし、2014年の女性の管理職は10%にとどまり、他社との差も無くなってきたため、女性活躍を推進していたとは言い難い状況に。
そこで目標を策定し、2025年までに部下のいる管理職の女性割合30%達成を目指しています。

育児と仕事の両立セミナーも積極的に開催。男性社員はもちろん、社外の配偶者も参加できるセミナーで、産休前や復帰後の働き方やキャリアを考えます。また男性の育休取得は100%を目指しており、取得時期はいつにするかなど上司の方から確認するようにして、育休を取りやすい環境を作っています。

働き方改革にも力を入れており、テレワークやフレックス制度も導入。
「重要なのは、こういった制度を育児や介護をしているなど限られた一部の社員が使うのではなく全社員が使うこと」と木島氏。さまざまな制度を組み合わせ、組織的に実践していくことが大切と話します。

危機時の対応で成長した

では木島氏がどのようにキャリアを築いていったのでしょう。
木島氏は「私自身のキャリアを話すうえで外すことができないのが危機時の対応です」と語りました。
2011年の震災の際は、翌日から業務を再開したものの、計画停電で継続に支障が出るという事態に。パソコンも電話も動かず、対応が困難になりました。ただ、そのとき物事の進め方や、やり方を決める判断材料をそろえることの重要さに気付いたといいます。

「危機時を経験することでだんだん不安は小さくなり、自信は大きくなっていきます」と木島氏。あの時大丈夫だったから今回もできると、困難にも主体的に取り組むことができるようになったと言います。
そして「主体的に取り組むことで、チームのサポートを得られることにもつながった」と話しました。

最後は気合!女性が活躍する社会へ

ただ、「キャリアをアップしていくとは、日々の積み重ねの結果である。」と話します。
必ずしも危機時の対応を経験しないといけないわけではなく、日々の仕事を真面目にやることが基本だと語りました。
「そして私が何より大切にしているのは、気合です」と木島氏。
何事も絶対にやりとげるという気持ちで、周りを巻き込み動かしていくのだと話しました。

経営など上に立つ一員として大事にしているのは、常に人に見られていることを忘れないということ。女性で役員を務めているのは日本ではまだまだ少ないため、ロールモデルとしての自覚を持ち恥ずかしくないように取り組んでいると言います。また、実践女子学園の理事になり、学園の精神である「女性が社会を変える、世界を変える」が自分の夢になったと言います。「100年以上前にこの考えを持っていたことに感動を覚えました」と話し、今の時代になんとしても実現したいと思っていると力強く語りました。

日本の女性の活躍推進はまだまだ道半ば。ただ、これからどんどん良くなっていくはずと言います。
「皆さんもぜひ自分の軸を持って頑張っていってほしいと思いますし、私も応援していきたい」と学生にエールを送りました。

自分のこれからに活かせる講演に

その後グループごとで感想を話し合い、木島氏への質問の時間が持たれました。
「男性がいない環境で育ち、強く言えないのですが、男性にも自分の意見を言えるようになるには?」という質問には
「私もどちらかというと黙っている方が好きなんです」と意外な回答が。
「ただ仕事をしているときは、役割を果すため自分のプライベートな性格は二の次だと思います。またそのための準備や練習をするなど、求められていることに対して自分はどう振舞えばいいかを考え実行することが大切です」と話しました。

「自分の強みの見つけ方は?」という質問には
「自分では見つけづらいので、友人や家族など他人に教えてもらうのがいいですよ」と回答されました。

最後に進行役の班の学生から
「できないことはないという強い言葉が印象に残りました。お話の内容をこれからにつなげていけたらと思います」と感想を述べ、
講義は終了しました。

担当教員からのメッセージ

企業トップを迎えて行う「女性とキャリア形成」も今年で3回目を迎えました。ゲスト講師のトップを務めていただいたのは、アフラック生命保険の元専務取締役で、本年4月からは本学の常務理事に就任された木島葉子さんでした。企業における女性の活躍という視点では、常にトップランナーを務めて来られた木島さん、やはり仕事には厳しく、人には優しくというご本人の確固たる理念をお聞かせいただきました。本学の卒業生であり、学生にとっては、本当に良きロールモデルであると感じました。今年も6人のゲストが登場されます。

2023年5月22日

「国際理解とキャリア形成」の授業で「未来のオリンピックの姿を考える」講義が行われました。プレゼンはスポニチに掲載!

共通科目「国際理解とキャリア形成」(担当:文学部国文学科 深澤晶久教授)の授業で、4月18日にスポーツニッポン新聞社の皆さまをお迎えし「未来のオリンピックの姿を考える」講義が行われました。この日はオリエンテーションとして藤山健二編集委員から現在のオリンピックの形や問題点が提示されました。後日学生たちはプレゼンテーションに臨み、その様子はスポニチに掲載される予定です。

スポニチってどんな新聞?

最初にスポーツニッポン新聞社の池田氏からスポニチに関して説明がありました。
スポニチは来年75周年を迎える老舗のスポーツ新聞社です。新聞発行だけでなく、マラソン大会や将棋の王将戦、映画コンクールなど年間250件以上のイベントの主催や後援も行っています。

「スポニチを読んだことはありますか?」と池田氏が学生たちに問いかけると3,4人が手を挙げました。女子大生にはあまり身近ではない新聞です。
スポーツ新聞とは、野球やサッカー、オリンピックなどのスポーツを中心に、芸能やレジャーなどのニュースを伝える大衆紙です。駅やコンビニで売っているイメージが強いですが、定期購読者の割合は65%と多く、女性読者も約1/4いると言います。

「皆さんWBCは観ましたか?」と聞かれるとほとんどの学生が手を挙げました。スポニチが配った優勝記事の号外も、ものの数分で1万部がなくなったと言います。大きな盛り上がりに、池田氏も「やっぱりスポーツには国をひとつにする力があると感じたイベントでした」と語りました。
webニュースは自分から興味があることを拾いに行きますが、新聞は記事が目に入ってくるためさまざまな情報を知れるのがメリットだと言い、
「幅広い情報を知っていると、いろんな人と話もはずみ信頼も得やすいです。皆さんも新聞を読んでもらえればと思います」と話しました。

オリンピックの理念とは

続いて藤山氏からオリンピックに関する話が始まりました。
藤山氏はスポーツ記者歴40年。
世界陸上やゴルフのマスターズ、サッカーW杯などさまざまな大会を取材するなか、オリンピックは夏冬合わせ7度担当されています。

2021年に行われた東京大会では、日本は58個のメダルを獲得、そのうち金メダルは27個と史上最多でした。多くの選手の活躍があった反面、オリンピック終了後に汚職が明らかになり、元理事が逮捕されるなど問題も残りました。
「残念ながら毎回多くのどの大会でも出てくる話です」と藤山氏。このイメージからも若者のオリンピック離れが進んでいると言われています。

また、2022年の冬の北京大会中には、ロシアがウクライナに侵攻。オリンピックが「平和の祭典」と呼ばれるのは理由があります。オリンピックは「スポーツを通じて平和な世界の実現に寄与する」ことを目的にしており、オリンピック開幕7日前からパラリンピック閉幕7日後までは休戦とすると国連に定められています。IOCはロシアの五輪休戦決議違反を強く非難し、現在ロシアとベラルーシの選手は大会に出場できないという処分もされています。ただ、政治とスポーツは別ではないかという議論も。オリンピック憲章にも「個人の競技者間の競争である」と明記されており、国家間の競争ではないということが、オリンピックの理念でもあります。

これからのオリンピックの女性参加とは

「皆さんは女子大生ということで、オリンピックと女性について考えていきたいと思います」と藤山氏。

オリンピック第一回大会の女性参加は0人。スポーツは男性が行うものでした。しかし反対の声が広がり第2回から22名が参加。東京大会の男女比は男性51.2%、女性は48.8%になり、次のパリ大会では男女50%ずつになる予定です。ただ、数を一緒にすれば平等なのか、という議論もあります。女子選手として出場できる国は先進国ばかりで、女性にスポーツが解放されていない国もまだ多くあります。また、トランスジェンダーを公表している選手がどちらの性で出場するのか、に関しては体格差やホルモンバランスなどの問題も残っています。
「スポーツで大切なことは公平性」と藤山氏は話します。年齢や体重などで階級を分けるのもその一つ。「トランスジェンダーの選手を拒否するのではなく、これから検討必要な問題です」と話しました。

さらにメタバースはオリンピックにどのように活用されるかも、これからの姿を考えるのに大切です。これからはバーチャル空間でオリンピックが行われる可能性も出てくるかもしれません。
「ぜひそういったテクノロジーの面からもオリンピックについて考えてもらえたらいいと思います」と藤山氏は語りました。

プレゼンは記事に!

最後に学生から
「一流の選手に共通する姿勢や言動はありますか」と質問があり、
藤山氏は
「思考がポジティブ。怪我など落ち込むことがあっても前向きにとらえることができる人たち」と回答され、講演を終えました。

今年のお題は
「実践女子大生が考える、新しい五輪の姿」です。

次回は元女子マラソン選手である有森裕子氏もお迎えし、オリンピックについての理解をさらに深めます。その後グループで検討し、プレゼンテーションに臨みます。
プレゼンテーションの様子は、なんと記事になりスポニチに掲載予定。よりよい発表にするため学生たちはグループで早速話しあっていました。

担当教員からのメッセージ

2014年からスタートした本授業では、一貫してオリンピックパラリンピックを学生とともに考えてきました。延期された「東京2020」の1周年イベントが開催されたのが昨年、そして来年は、もうパリ五輪が開催されます。
東京2020のレガシー講座の位置付けで行われているスポーツニッポン新聞社様とのコラボ授業、今年も、どんなアイデアが提案されるのか、とても楽しみです。

2023年2月14日

頭で考えるより手で考える!「グローバルキャリアデザイン」の授業でレゴ®︎シリアスプレイ®︎の体験が行われました。

全学部対象科目「グローバルキャリアデザイン」(担当:文学部国文学科 深澤晶久教授)の授業で、1月17日(火)に「レゴ®︎シリアスプレイ®︎の技法と教材を活用したワークショップ」(以下、LSP)を体験する特別講義が行われました。今回の授業は3・4限の時間を続けてじっくり行われました。蓮沼孝氏をファシリテーターに、学生たちは実際にブロックで手を動かして作品を作り、視点を変えてみることの大切さを学びました。

おもちゃで戦略を考える?LSPとは

「なんで子どものおもちゃを使っているんだと思う人もいるので」と蓮沼氏は自己紹介を始めました。
蓮沼氏は商社の出身。経営人材の育成・ヘッドハントに携わり経営者の育成プログラムの開発をしてきました。コミュニケーション方法や関与の仕方を模索していた際に「LSP」に出会います。

LSPとは、デンマーク発祥のおもちゃブロックを使って行われる人材育成の手法のひとつです。2001年に教育理論に基づいて確立され、2003年にはNASAが導入したことで有名になりました。LSPは「全員が参加できる会議を作る」目的で作られました。
一般的な会議では2割の参加者が場を取り仕切り、8割の人が聞いているだけと言われます。
「でも残りの8割の人たちもちゃんとアイデアも持っており、その場に貢献したいと思っています」と蓮沼氏。その人たちも参加できる会議を行うための手法として、キャリアプランやアイデア創出の場でLSPが使われます。
LSPはファシリテーターの誘導によってレゴブロックを使うことで、人種も性別も年齢、地位も様々な人が関係なく一緒に行える特徴があります。

頭を使うより手を使う!

「今回のワークショップの目的は、視点を変えるということです」と蓮沼氏は話します。
自分を客観的に見たり他の人のことや全体を俯瞰してみたりすること。
同じ作品を見ていても、人はそれぞれ違う点に注目しています。他人が自分の作品を見た感想を聞くことで、新たな自分に気付くことも大切です。

基本の流れは、作品を作り、作品に意味を与え、他者へ語り、聞く。大切なのは「頭で考えず手で考える」ことです。
頭で考えて設計せず、触ったブロックを使って作り始めることが大事なのです。
作品が出来たら対話を行いますが、ここでも大事なことが。「その作品を通して語り、作品を通して問う」ことです。人の反応を見るのではなく、自分の感じたことを素直に伝えることが重要です。

ブロックで作品を作ってみよう

いよいよ演習が始まります。
学生たちに配られたケースのなかには50個のブロックが。
蓮沼氏から「このブロックを使って高いタワーを作ってください」とお題が出ました。

目の高さ、頭の高さを目指して、ブロックをつなげます。ブロックを縦にしたり横につなげたり。5分後には様々な形のタワーが出来上がりました。班でできたタワーを見て、作った人がこだわりを語り他の人が感想を言います。
安定を目指した人、最初に先端を作った人、色にこだわった人、作り方もさまざまです。
感想も「高くてすごい」「かわいい」などが飛び交っていました。

次はブロックを10個選びました。
周りの人と自分の選んだブロックを比べると「みんな違うものを選んでいますよね、これが個性なんです」と蓮沼氏は語りました。
そして、次のお題は選んだブロックで「ふしぎな生物作り」。
ブロックを組み合わせているときは、学生は皆真剣です。
作品ができたらまた班で対話します。
ケンタウルスみたいな神話の生き物、移動する植物などなど。
「どうやって動く?」「これは手?」など質問も活発です。「真ん中が黒いのは腹黒いってこと?」「そうかも」なんてやりとりも。

すると蓮沼氏から
「これは実は皆さんの3年後の自分なんです」と衝撃のお題が。
作った生き物を通じて、自分の将来について語ることに挑戦しました。
「皆に幸せを振りまく存在」「花を咲かせて世界平和を広める」など、不思議な生き物のプラスイメージを取り出し、なりたい自分を投影していました。

続いて蓮沼氏は
「ヒュッゲって知っていますか?」と5枚の写真を見せました。
ヒュッゲとは、レゴ発祥のデンマークの言葉。ハートマーク、暖かそうな部屋、笑顔の家族などが写されました。
「これらは全部、ヒュッゲです。皆さんがつかんだイメージを元に作品にしてください」と、蓮沼氏はヒュッゲとはなにかあえて説明しません。
学生たちが作った作品は「日常の何気ないしあわせ」「居心地の良い部屋」「花が咲いていて安らげるところ」など、ポジティブなイメージのものが多く出来ました。「あったかいイメージから連想して、太陽に近づけるタワー」を作った学生も。自分の思うヒュッゲが1つの班に4つできました。

「その4つのヒュッゲを1つのストーリーにしてください」と蓮沼氏。
異なる視点で作られたものを集合するとどうなるかを体験します。全員が参加し自分の思いや意見も反映されることが大切です。成長の物語や、癒しや尊さに気付くストーリーが作られました。

ウェルビーイングに貢献する事業とは

次はいよいよ大きな課題に挑みます。
テーマは「都心(恵比寿・渋谷・新宿)で生きる人々のウェルビーイングに貢献する新しい事業を作る」。
より充実した生き方ができるような事業を作品にします。ブロックは教室の真ん中に大量に広げられたものをすきなだけ使ってOK。時間は10分です。ブロック選びも頭を使わずに、手元にあるものから作っていきます。

出来た作品は多彩です。具体的なもの、抽象的なもの、大きいもの小さいもの、カラフルなものとさまざま。
「知らない人同士でも悩みを共有できるカフェ」「心に抱える意見を吸い上げられるタワー」などいろいろな作品がありました。
発表が終わると蓮沼氏は「他のメンバーの作品のなかで、あなたは何をしてみたいですか?」と問いかけます。
学生たちはこの人の作品のなから私はこういうことができる、もしくは自分のアイデアと組み合わせたら面白い、ということを話しあいました。

視点を変えることの大切さ

最後に、各班で今日の気付きを話し合い、発表しました。
「当たり前かもしれないけれど、同じパーツを使っても違うものが出来上がった」という気付きや、
「作品はそれぞれ違うけれど、公共性や多様性を大切にしたい思いは共通していた」という感想などが出るなか、
「自分は何がしたいのかを改めて考えるきっかけになりました」や
「就活で不安ななか、やりたいことを話し合える有意義な時間だった」という感想もありました。

蓮沼氏は「自分が持っているアイデアだけでなく、複数の意見を知ることは話し合いだけでは難しい。今まで皆さんが考えていたキャリアというものの見方が、今回で変わっていたらと思います」と語りました。
学生たちは視点を変えることや他者の意見を聞くことの大切さを学び、楽しい授業は終了しました。

深澤教授の話

グローバルキャリアデザインにおいて恒例となった「レゴ®︎シリアスプレイ®︎の技法と教材を活用したワークショップ」この授業のスタートで案内した時、学生の反応の多くは、ブロックを使ってのキャリアの授業が全くイメージ出来ないものでありました。
しかし、実際に講座がスタートすると、その表情が一変します。なかなか可視化出来なかった、これからのキャリアの道が見えてきたり、自分自身の興味関心がを改めて浮き彫りになったり、そしてグループの仲間からのメッセージで自分自身の強みが明確になったりと、このワークショップの深さに驚くことになります。
毎年、多くのサポーターのご配慮をはじめ、格別なるご尽力をいただいている蓮沼孝様に、心から感謝申し上げます。ありがとうございました。

2023年2月8日

「実践キャリアプランニング」の授業で丸山珈琲とのコラボが行われ学生たちがこれからの時代のカフェをプレゼンしました。

2年生が対象の共通科目「実践キャリアプランニング」(担当:文学部国文学科 深澤晶久教授)で英文科の学生が、12月23日(金)に株式会社丸山珈琲とのコラボ授業を行いました。代表の丸山健太郎社長、広報の小林りえ子氏、バリスタの冨岡智恵氏の前でプレゼンを行いました。テーマは「これからの時代に合ったコーヒーを主軸にした飲食店」。プレゼン時間は5分です。優秀賞には丸山珈琲から賞品も。先週の8グループに続き、この日は7グループが発表を行いました。

場所は?ターゲットは?今の時代に合う店舗とは

最初の班は、サービスエリアに出店することを提案。
人が多く行き来する高速道路の中にあることで、家族連れや学生の集団、ペット連れなど様々な旅行者をターゲットに。外見は丸山珈琲の軽井沢店のような自然になじんだウッド調にし、ペット可のテラス席を設営します。またテイクアウトすると少し安くなるようにし、サービスエリアを利用する客層のニーズに合わせた価格設定を提案しました。

続いての班は「ワークカフェ」をプレゼンしました。
コロナ禍で増えたリモートワークに対応できるカフェで、一人個室や複数人個室などを用意します。日本では年代が上がるにつれコーヒーを飲む割合が上がるというデータを示し、ターゲットを社会人に設定したことを説明。場所は丸の内や虎ノ門などのオフィス街としました。丸山珈琲の冷めても美味しいコーヒーの利点を生かした、長時間の作業でも楽しめるカフェを提案しました。

2つの顔を持つカフェ

次の班は「朝から夜まで楽しめるカフェ&バー」を考案しました。
7-11時はコーヒースタンド、日中はカフェ、19-23時はバーと営業形態を変えることで新規顧客の開拓を目指します。朝はテイクアウトのみとし、日中はハンバーガーやパンケーキなどランチ営業します。夜はコーヒーカクテルを出すバーにします。カウンター席多めの、黒や茶色基調の落ち着いた空間にし、居酒屋などとの差別化を図ります。

時間帯で営業形態を変える案は他にも。続いての班は「Masquerade Cafe」と名付け、街に合わせて変化するカフェを提案。
日中は働く会社員に、夜も仕事終わりに利用してもらおうと考えました。場所は恵比寿などオフィス街に設定。日中はワッフルやスコーンなど手軽に食べられるものをだし、夜はアルコールの他デカフェのコーヒーも提供します。座席レイアウトは図を作成し、分かりやすくイメージできるように工夫しました。

若者にもコーヒーを楽しんでもらうには

続いてはキッチンカーという新しい形が提案されました。
平日は丸の内で会社員をターゲットに、休日はファミリー層を狙い代々木公園を設定。電子決済やランチボックスなど手軽に楽しめるサービスを考案し、フードはドーナツやケーキ、そして発表者から「コーヒーに合うと思うので」とクッキーも提案されました。キッチンカーの外見は落ち着いた茶色の色合いで、イラスト化してプレゼンしました。

次の班は「昭和と令和をつなぐ」をコンセプトに純喫茶風の店舗をプレゼン。
コーヒーの関心は低い20代に流行の、昭和レトロの魅力あふれる内装を提案しました。場所は高円寺を設定し、手書きのメニューなど喫茶店の良さを取り入れました。内装にはピアノや本を置くなど、実践女子大学にちなんだ提案も。また、コーヒーの定期便やサブスクで季節ごとのオススメコーヒーを届ける、令和のサービスも入っています。

最後の班は「珈琲と推し」と題して、推し活女子をターゲットにした店を提案しました。
ラテアートや、スプーンに推し色のリボンを付けるなどのサービスを考えました。時間は14-17時限定で、特別感と既存顧客との共存も目指します。場所は表参道で、白い木造の明るい雰囲気に。店内には店側の推しコーヒーなどの展示も。また推し活はSNSへの投稿も多い文化。推し活の投稿が店の宣伝にもなるとアピールしました。

すべての発表が終了!丸山賞は?

すべての班の発表を終え、丸山氏から総評がありました。
丸山氏は発想、作り込み、チャレンジ、実現性、洞察力を5段階で評価。
各班に「実現性が高い」「一人個室は面白いが、プレゼンが短いのが惜しかったです」「コンセプトに惹きつけられました」「デカフェやレイアウトなどよく考えられていました」など細かく講評を下さいました。

そしていよいよ丸山賞の発表。
受賞したのは「昭和レトロのカフェ」を提案した班。
丸山氏は「2つの違う要素を組み合わせ、うまく展開したことが素晴らしい」と絶賛。学生たちは賞品にコーヒーのドリップパックをいただきました。
学生からは「プレゼンを少し失敗してしまったけれど、全員でたくさん考え自信があったので嬉しいです」とコメントがありました。

また、特別賞で「推し活カフェ」を提案した班も受賞。
学生は「賞を頂けると思っていなかったですが、練りこんで考えられて良かった」と感想がありました。

人生はリズム!英語を武器に世界へ

最後に丸山氏は
「高校時代からコロナ禍の影響があり大変な日々だと思うが、これから良くなると思います」と語り始めました。丸山氏は高校卒業卒業にインドやイギリスなど海外を放浪する生活をしていたとのこと。その後結婚し軽井沢で喫茶店を創業して今に至ると話し「人生はストーリーで、必ずアップダウンはある。そのなかで、皆さんには英語という武器があります」と英文科の学生を励ましました。「英語でコミュニケーションができるのは本当にすごいこと。世界とつながることができます。ぜひ英語の力を使って、豊かな人生を送ってください」と力強い言葉を学生たちに贈りました。

深澤教授の話

毎年、大変お世話になっている丸山珈琲様とのコラボ講座、今年も、珈琲のテイスティングから始まり、学生のプレゼン、そして丸山社長からのメッセージをいただき、無事に終えることが出来ました。
「五感で感じるキャリア教育」と銘打った当科目から得られる学びは本当に大きいものがあると感じています。
そして、今年の丸山社長からのメッセージでは、英文学科で学ぶ意義の深さを伝えていただき、学生のモチベーションも大きく上がりました。
改めて、格別なるご支援をいただいた丸山珈琲の皆様にこの場を借りて厚く御礼申し上げます。