社会連携プログラム
SOCIAL COOPERATION PROGRAM
TOPICS
2025年8月5日

社会人にはどんな力が必要?「実践プロジェクトa」の授業でサントリーの新人研修を考える課題のプレゼンテーションを行いました。

7月11日に「実践プロジェクトa」(担当:文学部国文学科深澤晶久教授)にて、サントリーホールディングス株式会社(以下サントリー)とのコラボ授業が行われました。この日は6月に企業から出された課題に対しての最終プレゼンテーション。課題は「サントリー社員として、サントリーの新人研修を考案すること」です。中間プレゼンを経て、内容をよりブラッシュアップして臨みます。学生たちはサントリーの髙橋氏、斎藤氏を前に自信をもってプレゼンしていました。

グループワークで「協働力」を付ける

最初の発表は6グループから。
「協働力」にフォーカスした一週間のプログラムを考案しました。
アンケート結果から、日本の若者は輪を乱さないことを重要視する傾向があると分析。
しかし協働力とは周りと合わせることではありません。違う考えでも一緒に仕事をして、結果を出すことができる力です。
サントリーの大事な資源である「天然水の森」に関わる地域課題に取り組むことで協働力を高める、としました。
発表後の講評で、斎藤氏から「自分たちで行ったアンケート結果をしっかり分析し整理できていた」とお褒めの言葉が。
髙橋氏は「水問題に絡めていたけれど、協働力とのつながりがもっとあればさらに良かったです」と話されました。

次の5グループは「揺らぐ世界に揺らがない力を」をコンセプトに、1年間を通して行う研修を考えました。
時代を越えて社会人に求められる力として思考力や主体性、柔軟性が大事と考え、それぞれが身に着くワークを提案。
前期ではクイズなどで知識を養い、中期にそれぞれ気になることを調べる個人ワーク、後期には販売戦略を考えるグループワークを行います。
講評では髙橋氏から「原稿を見ずに話していて事前準備をしっかりしたことが伝わりました」と感心の言葉もありました。
斎藤氏は「アイデアはとても良い。どんなワークがどんな成長につながるのかもう少し考えてみましょう」とアドバイスもいただきました。

社会人基礎力を身に付けるには?

3グループは社会人基礎力をOSとアプリケーションに例え、「基盤となる考えは最新にアップデートし、語学力などのスキルをダウンロードすることが大事」と主張。その上で若者の8割が、挑戦することに苦手意識があることに注目し、意欲を引き出す研修を考えました。
主体性を養う方法として、プレゼンテーションのワークを行い、自分の言葉に責任を持ち行動できる人材を育てます。
髙橋氏は「中間発表から内容を大きく変えて、改善しましたね」と驚いた様子。「社会人基礎力を詳しく分析し理論的でした」と感嘆されました。

続いては4グループです。
社会には「自ら動く人と繋がり価値を生み出す人材」が必要として、まずは自己理解ができる自己診断ツールを導入することを提案。
「探求心」が弱い、「協調性」が苦手など、自分になにが足りないかを把握してからグループワークに臨みます。お互いの強みや弱みを補いあうことで、協調性やリーダーシップなどを育む計画です。
斎藤氏は「方法論をよく考えている。成長支援を長期的にできる研修で良いアイデアだと思います」と語られました。

パラスポーツを研修に活用

次の2グループは、現代社会ではAIが発展していることに注目。
しかしビジネスも根本的には人と人でのやりとりです。AIには真似できない、人に気持ちに寄り添う人間性を育てることが重要と考えました。
考案した研修はなんともユニークな「逆転研修計画」。
上司と部下の立場を入れ替え課題に取り組みます。部下が上司に具体的に指示を出すことで、リーダーシップや言語化能力を身に付けます。上司と部下の相互理解にもつながり、風通しのよい社内になるとしました。
斎藤氏からは「人間性と自ら行動することのつながりに、もっとフォーカスしているとさらに良かった」とコメント。
また、中間発表とがらりと内容を変えてきたことに対して「中間発表より素晴らしくなっている」と頑張りをねぎらいました。

最後は1グループ。
社会人にはリーダーシップや規律性が求められるとして、団体スポーツを取り入れた研修を提案しました。
ゴールボールという視覚障害の方が行うパラスポーツを通し、フェアプレーの精神やルールを守る規律性、積極性を養うと発表しました。
髙橋氏は「研修の中身が全グループのなかで一番詰められていた。実際に、車いすラグビーを行う研修もあります」と感心されていました。

自分の個性に気付き次に活かそう

全グループ発表が終わり、サントリーのお二人から総評をいただきました。
「非常にハードだったと思いますが、まさに『仕事』を体験してもらえたと思います」と髙橋氏。「グループで協力し、適材適所で進めていったと思います。そのなかで自分がうまく出来なかったこと、足りないものを知れるいい機会になったはず。この授業で終わりではなく、得たことや気付いたことを糧にするため一歩踏み出していってください」と語りました。

斎藤氏は「大事なのは結果よりもプロセスです。他の人は自分からどう見えたか、自分は他の人からどう見えたか。自分の個性に気付き、自分がどう成長できたかを大事にしてください」と話しました。
そして二人から「全員が優秀賞です」とアイスクリームのギフト券がプレゼントされると、学生たちから歓声が上がりました。ほっとした表情で笑い合う学生たちは、難しい課題を乗り越えた満足感に満ちていました。

担当教員からのメッセージ

「実践プロジェクトa」は今年で5年目となりました。サントリーホールディングス様には毎年ご支援いただいています。そして、一貫して同じテーマをご提示いただいています。大学生なったばかりの1年生が、社会人に求められているものを調べあげ、サントリーホールディングス様の新人研修を考えるというのはかなりハードルの高い課題ではありますが、この講座が「1年生に対して大学での学び方を学ぶ」という目的があるからです。言い換えれば、この授業で考え、調べ抜いた社会人に求められることを理解し、これからの大学生活を送ることが、素晴らしいキャリア形成に繋がるからです。まさに「主体性講座」と名付けている理由がここにあります。今のレベルと社会人に求められるレベルとのギャップを埋めていく事が大学での真の学びなのです。そして、今年は、初めて併設校の実践女子学園高等学校の3年生も2名加わってくれました。「実践10年教育」の具現化が図れた意義ある講座となりましたことを付け加えさせていただきます、最後に、毎年ご支援いただいているサントリーホールディングス様に心から感謝申し上げます。

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