社会連携プログラム
SOCIAL COOPERATION PROGRAM
TOPICS
2025年8月4日

2025年度「実践キャリアプランニングa」の授業で、文化放送の課題に対し、学生によるプレゼン発表が実施されました。

7月4日(金)と7月11日(金)に「実践キャリアプランニングa」(担当:文学部英文学科 鹿島千穂 専任講師)の授業で、文化放送から提示された課題に対する最終プレゼンテーションが行われました。課題内容は「20秒のラジオCMを考える」。テーマは二つ提示され、「渋谷センター街の子ども食堂」チームは7月4日、「実践女子大学」チームは7月11日に発表を行いました。

学生は、台本を掲載したパワーポイントスライドを使い、発表中に読み上げました。さらに事前準備として提案するラジオCMの企画書を提出しています。同じテーマの全グループの発表が終わった後に、学生間投票で優秀賞を選定。鹿島専任講師は『自分が好きな作品に投票してください』と呼びかけました。さらに、課題発表時に講演していただいた村田氏が企画書を読んで選出した「文化放送賞」も発表されました。

この記事では各テーマで優秀賞と文化放送賞を受賞したグループを紹介します。

「渋谷センター街の子ども食堂」|優秀賞:チームポンデリング

「チームポンデリング」は、子どもをターゲットにしたCMを提案しました。放送時間は学校終了後の夕方17時〜19時を想定。「食の温かさ」と「地域のやさしさ」が伝わる内容です。

【CMコピー】
(探偵ドラマ風のピアノBGMと足音のSE)

探偵「俺は探偵。渋谷区宇田川町ビルディングで目撃された『謎のあたたかいごはん』を追っている…」
子ども「あ、それ?渋谷区こども食堂のごはんだよ!」
(音楽一気に明るく)
探偵「まさか…この優しさ、(間を開けて)無料だと!?」
子ども「事件は『渋谷区子ども食堂』で起きている!みんなで食べるごはん、捜査不要のうまさです!」

CMの主人公は、子どもにも親しみのある“探偵”キャラクター。物語は事件をきっかけに会話で進行し、子どもの視点からワクワクしながら自然と子ども食堂の魅力に触れられる構成になっています。音楽も工夫されており、ミステリアスなBGMから疾走感のあるBGMへと切り替わることで、事件解決の爽快感を演出しています。会話も元気でコミカルにまとめられ、難しい言葉は平易な表現に言い換えるなど、細部まで丁寧に作り込まれていました。「どこで開催されているか」「無料で食事ができる」といった重要な情報もしっかりと押さえられています。

発表後の質疑応答では、鹿島先生から「ヒントになった作品はありましたか?」との問いに、メンバーは「国民的探偵アニメです」と回答。続けて「必要な情報を残し、簡単でキャッチーな言葉でつないでいる。まさに以前の講演の要点を押さえた、子どもにも届く素晴らしいCMだった」と評価が寄せられました。

「渋谷センター街の子ども食堂」|文化放送賞:チームMARRY

文化放送賞を受賞した「チームMARRY」は、子ども食堂を「大学生にとっても身近な場所」として提案しました。ターゲットは大学生で、孤独感を抱える若者に向けたメッセージ性のあるCMに仕上げられています。

【CM案】
(食事中の音声)

男性「好きな色とかってあるんですか?」
女性「うーん、このイチゴみたいな赤が好きかな」
男性「今日の洋服の赤も似合っていますね」
女性「でしょう?だからランドセルも赤なの。お兄ちゃんともっと話したい」

ナレーション「おかわりされたのは、ご飯じゃなくてあなたとの会話でした。出会いじゃないつながりを。渋谷センター街こども食堂」

放送時間は深夜帯(22時〜25時)を想定し、「みんなの孤独をいやす場所」というコンセプトを軸に、学生自身の孤独感と子ども食堂でのサポート活動を丁寧に結びつけました。

CMでは、マッチングアプリの会話を模した演出が印象的です。恋愛のやり取りかと思わせておいて、実は子ども食堂での小学生との会話だったという意外な展開が、音声メディアならではの魅力を引き立てています。また、大学生にとってなじみのあるマッチングアプリという題材を取り入れることで、子ども食堂を“自分ごと”として感じてもらえる工夫も凝らされていました。

発表後、鹿島先生から「スタッフ募集の情報はどこで見つけましたか?」と質問があり、メンバーは「子ども食堂のHPで随時募集されているのを見つけた」と回答。続けて「マッチングアプリの要素を盛り込んだり、オチを用意したりと、多角的に構成が練られたCMだった」と評価が寄せられました。

村田氏からは「音声ならではの特徴を生かして聞く人によい裏切りを演出しつつ、情景やそれぞれのキャラクターが浮かぶようなコピーであり、大変素晴らしい作品だと思います。何よりおかわりされたのはご飯じゃなくて、あなたの会話という言葉がとても心に響き、心が温まりました。子ども食堂の魅力が存分に伝わり、興味を引くとても魅力的な音声CM作品だと思います」とコメントが寄せられました。

〈実践女子大学〉優秀賞:チーム東日本ガールズ

優秀賞を受賞した「チーム東日本ガールズ」は、進路に悩む高校2年生の女子生徒をターゲットに、実践女子大学の魅力を伝えるCMを制作しました。放送時間は、学校の授業が終わる16時30分ごろを想定し、等身大の視点から親近感を引き出す構成になっています。

【CMコピー】

JK1「ねえ最近、#推し活 しかしてないんだけど~(笑)」
JK2「それな?でも私、最近#未来活 始めたかも」
JK1「え、なにそれ(笑)」
JK2「実践女子が、企業と授業とやるんだって。マジで就活前のリハって感じ」
JK1「それガチすぎじゃん…。ってか渋谷だよね?通いたすぎ」
JK2「『映え授業』じゃね?」
JK1「え、なにそれ強!てかそれ未来見えてんじゃん」
ナレーション(女性)「実践女子大学渋谷キャンパス。#推しは未来のわたし」

BGM:渋谷スクランブル交差点のざわめきと信号音のカッコウ(ラジオ内の会話の部分にBGMとして流す)

CMには、未来の実践生となる“JK”たちが登場。実際の高校生に近いテンポ感のある会話と、渋谷の象徴ともいえるスクランブル交差点の環境音をBGMに使うことで、大学の立地の魅力が自然に伝わるよう工夫されていました。また、「PBL授業」といった専門用語も「企業と授業」「就活前のリハ」といった高校生に伝わりやすい言葉に言い換えられ、将来への期待を膨らませる内容になっています。

中でも印象的だったのは、「推し活」から「推しは未来のわたし」へとつなげたコピー。いま夢中になっている自分と、将来の自分を重ね合わせる構成が、進路を考える高校生に前向きな一歩を促していました。さらに、ハッシュタグを効果的に使うことで、SNS感覚で情報が伝わる親しみやすさも演出されています。

発表後の講評では、鹿島先生から「文章を読んだだけではピンと来なかったが、読み上げを聞いて魅力が伝わった。世代間で単語の意味が分からなかったが、それがむしろターゲット世代に刺さるとわかって面白かった」と、リアリティと説得力にあふれる表現が評価されました。

〈実践女子大学〉文化放送賞:チームIデンティティ

文化放送賞に選ばれた「チームIデンティティ」は、女子高生とその保護者の双方をターゲットにしたCMを提案。放送時間は、ちょうど帰宅時間にあたる16時から18時を想定し、親子で耳を傾けたくなるような内容に仕上げました。

【CMコピー】

(SE:ヘアアイロンのジジジ、水道のシャー、メイク道具のカチャカチャ、洗面所の反響音)

実践女子大生A「鏡、渋滞しすぎじゃない?」
実践女子大生B「ほんとそれ~。てかさ、今日、企業連携の授業じゃん。準備した?」
実践女子大生A「うちらさ、ビジュ整えながら、企業170社以上とコラボしてんの、エグくない?」
実践女子大生B「てかもう、実践してるよね、フツーに。」
ナレーション(女性) オシャレも、社会も本気で向き合う。
(ジングル) 女性が社会を変える、世界を変える。 実践女子大学

CMでは、「渋谷キャンパスの魅力」や「建学の精神(女性が社会を変える、世界を変える)」を、日常の大学生活になじませながら紹介。セリフにはリアルなキャンパスライフの様子が盛り込まれ、自分がここで学び、すごすイメージが自然と浮かんでくるよう工夫されています。また、「おしゃれにも社会にも本気で取り組む」という、現代の女子大生像を等身大で描いた点も印象的でした。

社会連携事業を取り上げ、「実社会とつながる実学の場」としての大学の特色にも言及。親世代に対しても安心感や納得感が得られるよう、客観的な数字や取り組みの具体例を織り交ぜながら構成されていました。

質疑応答では、鹿島先生から「ターゲットに保護者も含めた理由は?」という質問があり、「大学選びは本人だけで決められないことも多い。親御さんにも、こどもの“好き”を実践できる環境があることを知ってもらいたかった」との回答がありました。

村田氏からは「実践女子大生の日常を切り取ったストーリー仕立ての映像で、勢いのあるセリフとリアルなやりとりが印象的。軽やかなテンポのなかに、「企業170社とコラボ」というインパクトあるキーワードが盛り込まれ、最後には“おしゃれにも社会にも本気で向き合う”というフレーズでしっかりとメッセージが締めくくられています。日常の延長線にあるパワフルさが、緻密な構成とセンスによって自然に引き出された作品です。実践女子大生の魅力がびしびしと使って伝わってくる作品ということで、選ばせていただきました」とコメントが寄せられました。

授業全体の講評

授業の最後に、村田氏からの総括コメントが紹介されました。

「それぞれのCM作品の設定や言葉選び、セリフの話者のキャラクターや効果音などのクリエイティブをはじめ、CMを届けたいターゲットや目的訴求、ポイント、流す時間に至るまで、最後までよく考えられて工夫されており、大変感心しました。対象についてそれぞれがよく考え、思いを巡らせた様子がよく伝わってきました。渋谷センター街こども食堂の方は、思わず笑顔がこぼれるような心温まるような作品が多く、実践女子大学の方は、まさに生き生きと学ぶ本学の学生の顔が浮かんできて、改めて魅力的な大学であることを再認識しました。ラジオでそのまま流せそうなものも多く、私自身も楽しませていただくとともに刺激を受けました。ぜひこの機会に音声で伝えることや音声を楽しむことに興味を持ってもらえると嬉しいです。貴重な機会と素晴らしい作品をありがとうございました」

担当教員からのメッセージ

学生たちは1ヵ月にわたって「20秒のラジオCM制作」に取り組みました。秒単位の短い時間で「伝わる」作品にするにはどうしたらよいか、アイデアを出し合い、ことばを厳選して完成した作品は、文化放送村田様の「本気度と一生懸命さが伝わってきた」との評価の通り、斬新で完成度の高いものでした。また、企画発表の際にCMのイメージをオーディエンスに伝えるために、SEやBGMを駆使したり、CMコメントをテンポよく読み上げたり、あるいはAIで音声化するグループもあったりと、さまざまな工夫を凝らしていたことにも感心しました。
ラジオのプロである文化放送様が選んだ作品と学生間の投票で選んだ作品が違ったのも、ラジオの訴求層の違いを表しているようで興味深い点だと感じました。この経験を通して、学生たちが音声表現の奥深さや面白さに触れられたことを嬉しく思います。お力添えいただいた文化放送様に心より感謝申し上げます。

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